平成12年の技術士法改正により、第二次試験を受験するに当たっては、第一次試験に合格することが義務付けられることになった。
このことは、従来技術士補になるための試験であった第一次試験の位置付けに質的な変化をもたらした。
すなわち、第一次試験は、もともと4年制理工系大学卒程度の専門的学識の有無を判定するものとされていたが、技術士補になるための試験であったことから、技術部門に係る基礎及び専門知識を確認する専門科目の範囲については、第二次試験の選択科目に準じるものとされてきた。そのため、大学では既に教えていない内容についても出題されてきた。
実際のところ、技術士補にならなくても一定の経験年数を経れば、技術士になるための第二次試験を受験することは可能であったことから、第一次試験の受験者数はさほど多くはなかった。
しかし、今回の法律改正により、技術士を志す全ての受験生が、第一次試験を受験することとなり、第一次試験が、従来の技術士補になるための試験という性格に加え、第二次試験を受験するための要件としての性格を持つことになった。
従って、第一次試験専門科目の内容についても、第一次試験の位置付けの変化を踏まえたものとする必要があり、4年制理工系大学で教えている程度の内容を基本とする趣旨を、より強く反映させたものとすることが妥当である。
以上の観点から見直しを行ったものが、別添1の新旧対照表である。
前回の技術部門見直しからの科学技術の進展を、踏まえた内容とする必要がある。
あわせて、平成12年の技術士法改正により、従来技術士補のみに認められてきた経験年数4年による第二次試験の受験資格が、優秀な指導者による監督の下で科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務に従事した者にも拡大され、経験年数4年で受験する者が大幅に増えることを踏まえた内容とする必要がある。
なお、技術部門及び選択科目によっては、業務資格類似のものとして位置付けられているものもあり、これらの技術部門及び選択科目における内容の見直しに当たっては、技術士資格の活用促進の観点から、業務における活用上、有益かどうかという観点にも配慮する必要がある。
以上の観点から見直しを行ったものが、別添2の新旧対照表である。
技術部門名の変更は、各々以下の理由によるものである。
(1)「電気・電子」部門 →「電気電子」部門
平成元年の技術部門見直しにより、「電気」部門から「電気・電子」部門に変更されたものであるが、近年、「電気」と「電子」は総合的にとらえ、用語としても「電気電子」を用いるのが一般的。
(2)「船舶」部門 →「船舶・海洋」部門
従来の「船舶」部門の範囲に、新たに浮体式海洋構造物を取り込むことに伴い、部門名称を、「船舶・海洋」部門と変更。
(3)「林業」部門 →「森林」部門
近年「林業」は、木材生産など産業を意味する場合に限定して用いられており、環境保全等包括的な視点から「森林」を取り扱っている同技術部門の性格に照らすと、「森林」という用語を用いるのが妥当。
(4)「水道」部門 →「上下水道」部門
法令用語上、「水道」は、上水道を指すのが一般的であり、同技術部門の受験者の大部分を占める下水道が、同技術部門に含まれることを明確にするために、「上下水道」部門と変更。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --