参考10 科学技術協力協定等における知的所有権の取扱いについて

1985年以前に締結された科学技術協力協定等には、知的所有権に関する規定はおかれていない。それに対し、1986年以降に締結された協定には、知的所有権に関する規定がおかれている。

≪知的所有権に関する規定を置くもの≫

カナダ(1986年5月)、イタリア(1988年10月)、フランス(1991年6月)、イギリス(1994年6月)、イスラエル(1994年12月)、オランダ(1996年11月)、フィンランド(1997年9月)、スウェーデン(1999年1月)、米国(1988年5月)、ロシア(2000年9月)、シンガポール(2002年1月)

※科学技術協力協定における知的所有権に関する規定
日加科学技術協力協定 第7条 (他の多くの協定でも同様の規定をおく)

  1. この協定に基づく協力活動から生ずる非所有権的性格の科学的及び技術的情報は、一般的な手続に従い、一般の利用に供することができる。
  2. 両締約国政府は、この協定に基づく協力活動から生ずる知的所有権又は所有権的性格を有する他の権利の保護及び配分につき十分な考慮を払うものとし、必要に応じ、この目的のために相互に協議する。

なお、米国・フランスとの協定においては、知的所有権に関する詳細な規定がおかれている(別添参照)。

≪規定を置かないもの≫

ソ連(1973年10月)、ドイツ(1974年10月)、ルーマニア(1975年4月)、ブルガリア(1978年3月)、チェッコスロバキア(1978年11月)、ポーランド(1978年11月)、ハンガリー(1979年5月)、中国(1980年5月)、豪州(1980年11月)、インドネシア(1981年4月)、ユーゴスラビア(1982年2月)、ブラジル(1984年5月)、インド(1985年11月)、韓国(1985年12月)

注1:括弧内は締結年月(改定したものについては、最新の改定年月)
注2:日ソ科学技術協力協定は、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、アルメニア、グルジア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドヴァ、トルクメニスタン、タジキスタンが承継。ただし、ロシアは2000年に別途協定を締結。
注3:日チェッコスロヴァキア科学技術協力取極は、チェッコ、スロヴァキアが承継。
注4:日ユーゴスラヴィア科学技術協力協定は、クロアチア、スロヴェニア、新ユーゴスラヴィア、マケドニアが承継。

科学技術協力協定上の知的所有権の取扱い

国名 科学技術協力協定・取極(締結年月順) 知的所有権の扱い
フランス 日仏科学技術協力協定(1974年2月)
1991年6月改定
・ 付属書において、知的所有権及び所有権的性格を有するほかの権利の保護及び配分について規定
・ 共同研究の成果の配分については、均衡の原則に基づいて相互に合意される配分
米国 日米科学技術研究開発協力協定(1980年5月)
1988年5月改定
・ 付属書4において、知的所有権及び所有権的性格を有するほかの権利の保護及び配分について規定
・ 共同研究の成果の配分については、原則当事者間の相対的貢献度等を考慮
カナダ
イタリア
イスラエル
オランダ
フィンランド
スウェーデン
日加科学技術協力協定(1986年5月)
日伊科学技術協力協定(1988年10月)
日・イスラエル科学技術協力協定(1994年12月)
日蘭科学技術協力協定(1996年11月)
日・フィンランド科学技術協力協定(1997年9月)
日・スウェーデン科学技術協力協定(1999年1月)
両国政府は、この協定に基づく協力活動から生じる知的所有権又は所有権的性格を有する他の権利の保護及び配分につき、十分な考慮を払うものとし、必要に応じ、この目的のために相互に協議する。
イギリス
シンガポール
日英科学技術協力協定(1994年6月)
日星新時代経済連携協定(2002年1月)
両国政府は、それぞれの自国の法令並びに両国が現在締結しているか将来締結する関係国際協定に従って、この協定に基づく知的所有権又は所有権的性格を有する他の権利を十分かつ効果的な保護及び衡平な配分を確保する。両国政府は、必要に応じ、この目的のために相互に協議する。
ロシア 日露科学技術協力協定(2000年9月) ・ 双方は、自国の法令並びに日本国及びロシア連邦が締結している関係条約に従って、次のことを確保する。
A この協定に基づく協力活動から生ずる知的所有権及び商業上の秘密である情報の十分かつ効果的な保護
B この協定に基づく協力活動の過程で使用されるために提供される過去に生じた知的所有権及び商業上の秘密である情報の十分かつ効果的な保護
双方は、必要に応じ、この目的のために相互に協議する。
・ この協定に基づく協力活動から生ずる知的所有権及び商業上の秘密である情報の使用及び譲渡については、当該協力活動の参加者間で合意する。
・ この協定に基づく協力活動から生ずる知的所有権の配分については、当該協力活動の開始に先立ち当該協力活動のそれぞれの参加者の貢献度を考慮して当該参加者間で合意する。
・ 知的所有権及び商業上の秘密である情報の取扱いに関し、この協定に基づく協力活動の参加者間に生ずる問題は、原則として、当該参加者間の協議により解決される。当該協議により解決することができない問題は、委員会に提起することができる。委員会における協議の結果問題が解決しない場合には、当該協力活動は停止される。

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