参考1 科学技術・学術活動の国際化推進方策について(概要)

1.基本的考え方

 第2期基本計画の理念を実現するには、科学技術・学術活動の国際協力・交流の主体的、積極的な推進がきわめて重要

1)先端研究における国際協力の戦略的推進

○ 我が国と先進諸国の研究水準、動向等を的確に把握し、共同、分担、競争の必要性について十分な戦略的、政策的検討を行い、効果的な協力を主体的に展開
○ 特に、巨大プロジェクトについては、国として適切な戦略的判断を時機を失せず下すためのシステムを整備する必要
○ 先端研究の推進とその基盤強化の観点から、国際間の研究ネットワークの形成とそれを通じた先端研究の国際協力への取組みを強化

2)地球規模の問題解決への取組みの強化

○ 地球規模問題等の解決は、科学技術・学術活動の成果に待つところが大きく、そのための国際的協力の強力な推進が期待される
○ 研究者コミュニティによる国際研究協力の発展を促進し、国際機関等による取組みに我が国の特長を活かして積極的に参加するなど、人類共通の諸課題解決のため、主体的国際協力活動を一層強化

3)アジア諸国との研究パートナーシップの構築

○ 将来、アジアが欧米と伍する世界の研究センターに発展することを目指して、長期的観点からアジア諸国との研究パートナーシップを構築する
○ 人材の養成、確保についての支援協力を強化
○ 地球的規模の課題への取組みについてアジア地域を中心に活動を展開
○ 欧米との研究協力に当たって、アジア諸国、特に研究活動の発展の著しい中国、韓国、インド等と提携して協力・交流を推進

4)国際交流・協力の基盤強化

○ 世界水準の施設・設備の整備と同時に、国際的に活躍できる人材の育成や大学、研究機関の国際活動を日常化するための体制を整備
○ 国際的な学術誌の刊行や電子媒体での情報発信等により、我が国の研究活動の状況や成果を積極的に世界へ発信
○ 知的財産の取扱いについての政府及び大学・研究機関それぞれの段階における体制整備

2.重点的に推進すべき方策

1)政府間合意に基づく重要課題協力の機動的推進

○ 政府間協議で、我が国が戦略的判断に立ってイニシアティブを発揮することは、重要政策課題の解決に向けた国際的協力の推進の上で重要であり、明確な政策形成のためのシステムを早急に整備
○ 国際協力の確実な実行のため、文部科学省が関係府省等との連携の下、国際会議開催、国際共同研究実施、専門家派遣等を機動的に進めるためのシステムを確立
○ 政府間合意のうち、学術協力、すなわち、研究者コミュニティの自発的協力を促進することが適切なものについても支援方策を講じる必要

2)多国間研究ネットワークの構築

○ 最近の先端研究の国際的展開に対応するためには、従来の二国間の研究ネットワークを継続的に強化するとともに、新たに多国間ネットワークを早急に構築し、大型共同研究の実施や研究者交流を発展させる必要
○ 二国間の拠点大学交流を大幅に拡充するとともに先進諸国との学術振興機関との協力の下、重点分野を選んで各国の中心的大学・研究機関を拠点とするネットワーク形成を早急に推進

3)研究者国際交流の促進

 研究者の国際交流によるパーソナルネットワークの促進は、国際化推進の重要課題であり、次の諸点に重点をおいて、一層促進

1 外国人特別研究員招致の拡充と運用の弾力化

  • 外国人特別研究員事業を第1期科学技術基本計画に掲げられた2050人規模を目指して拡充するとともに運用の改善と受入れ体制の整備
  • 大学院生にも対象を拡大して短期受入れの道を開く
  • 優秀な外国人特別研究員が、大学、研究機関等に適切なポストを得られるようにする

2 若手研究者等の長期海外研究の促進

  • 中国、韓国等への研究者長期派遣
  • 中堅研究者の長期海外派遣
  • 特別研究員の一定期間海外派遣
  • 大学院博士課程後期の学生の海外派遣制度の整備拡充

3 国際研究集会支援の強化

4)国内の研究環境国際化の推進

○ 大学・研究機関の外国人スタッフの拡充に向けての採用努力が必要
○ 外国人研究者のための研究・生活環境を整備(特に、宿舎の確保、外国人研究者の競争的資金への応募の促進、海外での研究発表の支援)
○ 我が国社会が、外国人受入れについて理解を深め、適切な対応へ一層の努力が払われるよう、働きかける必要
○ 国際担当副学長等の特定、国際担当部門の整備、優れた専門職員、ボランティアの採用、確保と研修の強化等の措置

5)国際的情報発信力の強化

1 学会・研究機関等への支援

  • 我が国が国際的に高い研究水準にある分野における英文誌の刊行を促進するため、学会等の優れた試みに対して集中的に支援
  • 優れた研究論文の英文抄録等の発信、論文等の研究成果の永久保存(アーカイブ)、機械翻訳の一層の活用、高度化

2 電子媒体での国際的情報発信の推進

  • 科学技術振興事業団、国立情報学研究所等による電子ジャーナル、データベース等の研究成果の情報発信を支援する事業を積極的に推進
  • 学術論文、特許、新聞記事、www(world wide web)上の研究紹介等多様な情報の活用、統合、分析と流通・提供に関する研究とそれらの流通基盤の整備

3 人的ネットワークの形成・強化

  • 我が国との研究交流経験者を中心とする研究者コミュニティの形成を支援
  • 在外公館の科学アタッシェ、科学技術・学術振興機関、大学・研究開発機関等の海外拠点が戦略的に連携し、情報発信に努める

6)国際協力に係る知的財産の取り扱いに関する体制整備

○ 科学技術協定下で実施される国際共同研究から創出される知的財産をめぐるトラブルを未然に防止するため、科学技術協力協定に、極力知的財産に関する規定を盛り込んでいくよう努める必要
○ 大学・研究機関等においては、今後知的財産について原則機関帰属とし活用していく方向を踏まえ、国際協力に係る知的財産の取扱いも含めた知的財産ポリシーを作成・公表するとともに、知的財産の組織的管理のための体制を整備することが必要
○ 知的財産ポリシーの作成に当たっては、研究者・ポストドクター・学生に対する知的財産取扱いのルールを、日本人、外国人を問わずに明確に定めることが重要
○ 今後知的財産に配慮した国際的研究者交流を推進していくに当たっては、知的財産の取扱いに関するルールについて研究者の理解を深め、意識を高めることが肝要。そのため、大学・研究機関における知的財産取扱いの体制整備の基盤として、長期に海外渡航する研究者に対する注意事項を国あるいは機関が作成するとともに、海外からの受入研究者に対して知的財産に関するルールの周知を図る必要

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

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