評価は、国際的に高い水準の研究開発、社会・経済に貢献できる研究開発、新しい学問領域を拓く研究開発等の優れた研究開発を効果的・効率的に推進するために実施する。評価の意義は、次のとおりである。
本指針が対象とする研究開発評価とは、1研究開発施策、2研究開発課題、3研究開発機関等及び4研究者等の業績の評価を指す。研究開発の範囲は、国費を用いて実施される研究開発全般とする。具体的には、各府省等の研究開発実施・推進主体が行う研究開発並びに大学(国公私立を含む。)及び大学共同利用機関(以下「大学等」という。)、独立行政法人研究機関、国立試験研究機関、特殊法人研究機関等の研究開発機関が自ら実施する研究開発が対象となる。また、民間機関や公設試験研究機関等で国費の支出を受けて実施される研究開発、国費により海外で実施される研究開発等も対象とする。
評価実施主体は、本指針を踏まえ、評価のための具体的な仕組み(評価指針等の策定、評価委員会の設置等)を整備し、研究者の能力が十分に発揮されるよう、厳正な評価を実施するとともに、その評価結果を適切に活用し、また、国民に対して評価結果とその反映状況について積極的な情報の提供を図る。その際、各府省においては、評価の実施及び評価結果の活用が適正に行われるよう、所管官庁としての責務の重要性も十分に認識しなければならない。
評価者は、厳正な評価を行うべきことを常に認識するとともに、優れた研究開発をさらに伸ばし、より良いものとなるように、適切な助言を行う。また、自らの評価結果が、後の評価者によって評価されることになるとともに、最終的には国民によって評価されるものであることを十分に認識しなければならない。
研究者は、研究開発活動の一環として評価の重要性を十分に認識し、自発的かつ積極的に評価に協力する。また、研究者は、専門的見地からの評価が重要な役割を果たすものであることを十分に認識し、評価に積極的に参加する。
研究開発評価は、第1期科学技術基本計画に基づき、大綱的指針が策定されたことにより、研究開発機関及び研究開発課題について本格的に導入された。以後、大学に関しては、自己点検・評価が義務付けられ、評価が一層促進されるとともに、客観的な立場からの専門的な判断を基礎とした信頼性の高い評価を実施するために、大学評価・学位授与機構が設立(平成12年4月)された。また、独立行政法人研究機関が設立(平成13年4月)されたが、それらの業務の実績に関する評価については、その所管官庁に設置された各々の独立行政法人評価委員会によって行われることとなった。
第2期科学技術基本計画では、「評価結果の資源配分・処遇への反映や評価プロセスの透明性は未だ不十分であるとされており、評価の実効性の向上が課題」とし、「評価の在り方や方法、評価結果の公表等については、早急に改善が必要」であり、「研究開発評価に関する大綱的指針を改定する」とされている。さらに、「評価システムの改革」が優れた成果を生み出す研究開発システムを構築するための大きな柱の一つであることを指摘している。
また、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」において、研究開発についても客観的かつ厳格な評価の実施が義務付けられることとなった。
これまでの実施経緯を踏まえ、1.の「評価の意義」を実現するために、
に重点を置いて、次の方向で評価システムを改革する。
1.「評価における公正さと透明性の確保」については、客観性の高い評価指標や外部評価の積極的活用、評価内容等の被評価者への開示、評価結果の速やかな公表等を実施する。2.「評価結果の資源配分への反映」については、評価結果を予算、人材等の資源配分や研究者等の処遇等に適切に反映させる。3.「評価のために必要な資源の確保と評価体制の整備」については、評価業務のための体制を充実させるとともに、研究経験のある人材の確保と研修等を通じた評価人材の養成、さらには、研究開発データベースの整備や審査業務等の効率化のための電子システムの導入等を進める。
総合科学技術会議は、厳正な評価、評価結果の適切な活用等が十分に行われるよう、評価実施主体の評価の実施状況についてフォローアップを行い、各府省へ意見を述べる。
また、本指針の実施状況等を踏まえて、必要に応じ、本指針を見直すとともに、適宜、評価実施主体においても、その評価方法等を見直す。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --