我が国は、科学技術創造立国の実現を目指して、「科学技術基本法」(平成7年法律第130号)を制定した。本法に基づき第1期科学技術基本計画(平成8年7月 閣議決定)、第2期科学技術基本計画(平成13年3月 閣議決定)が策定された。第2期科学技術基本計画においては、社会、経済をめぐる課題を解決するとともに、知の創造と活用により世界に貢献する等、国の持続的発展や国際的地位にふさわしい国の姿を実現するためには、科学技術の戦略的重点化、科学技術システムの改革、科学技術活動の国際化の推進の重要政策が不可欠であるとされ、優れた成果を生み出す科学技術システムを実現するための柱の一つとして、評価システムの改革が挙げられている。
このように、研究開発について適切な評価を実施することが極めて重要であるとともに、評価が研究開発活動と一体化したものと見なされ、評価が定着していくことが必要である。科学技術を振興するため、研究者を励まし、優れた研究開発活動を奨励していくとの観点をもって適切な評価を実施することで、研究開発活動の効率化・活性化を図り、より優れた研究開発成果の獲得、優れた研究者の養成を推進し、社会・経済への還元等を図るとともに、国民に対して説明責任を果たすことができる。
その際、科学技術の進展、社会経済情勢の変化に対応するだけでなく、生命倫理、環境に関する問題のように、科学技術が人間と社会に与える影響が広く深くなりつつあることから、人文・社会科学の視点にも配慮した評価が求められている。
研究開発評価については、第1期科学技術基本計画に基づき、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成9年8月 内閣総理大臣決定。以下「大綱的指針」という。)が策定されるとともに、第2期科学技術基本計画に基づき、大綱的指針が改定され、一層の充実が図られることとなった。本指針は、大綱的指針を発展的に見直し、評価対象として、大綱的指針において示されていた研究開発課題及び研究開発機関に、研究開発施策及び研究者等の業績を加えるとともに、評価における公正さと透明性の確保、評価結果の予算、人材等の資源配分への適切な反映、評価に必要な資源の確保と評価体制の整備を図ることを重要な改善点として盛り込むこととする。
本指針による評価は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づく政策評価と対象とする範囲は異なるが、基本的に目指す方向を同じくするものである。本指針は、政策評価に求められている諸要素を踏まえ、さらに、研究開発の特性を考慮したものである。本指針による評価の実施に当たっては、同法に基づく政策評価と整合するように取り組むこととする。また、研究開発機関等の評価のうち独立行政法人研究機関については、「独立行政法人通則法」(平成11年法律第103号)に基づく評価と整合するように取り組むこととする。
本指針は、研究開発に関する評価について基本的な方針を示した、いわばガイドラインであり、各府省は、本指針に沿って、評価方法等を定めた具体的な指針を策定することとする。また、評価実施主体(注)は、本指針及び各府省の指針に沿って厳正に評価を実施することとし、総合科学技術会議は、研究開発評価の実施状況についてフォローアップを行い、各府省へ意見を述べることとする。
(注)評価実施主体としては、次のものが想定される。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --