平成14年4月2日(火曜日)10時~12時
東海大学校友会館「阿蘇の間」
阿部会長、小林会長代理、池上委員、池端委員、石田委員、石谷委員、石原委員、大﨑委員、川崎委員、郷委員、小平委員、小林委員、澤岡委員、末松委員、平委員、高久委員、田中委員、谷岡委員、谷口委員、田村委員、土居委員、西野委員、橋口委員、垣生委員、平澤委員
御手洗文部科学審議官、山元科学技術・学術政策局長、遠藤研究振興局長、井上科学技術・学術政策局次長、林官房審議官、坂田審議官、素川審議官、尾山政策課長
資料2-1に沿って各分科会長、部会長から分科会等の活動状況について説明があった。
初めに澤岡研究計画・評価分科会長から説明があり、引き続き事務局から資料3-1、3-2に沿って説明があった。主なやり取りは以下のとおり。
(○:委員、△:事務局等)
○ 全体としてまとまっているが、「評価の階層構造」を作るという点はまだ不十分だと思う。研究者の流動性を含めた階層構造を持った評価システムというものを考えると、非常に分りやすいものができるのではないか。また、評価をする目的は何かという観点が抜けているのではないか。
○ 評価基準について、何を重点的に見るのかといった具体的な記述はあるのか。また、研究の現状認識についてはどう考えているのか。
○ 評価基準について明記しているものはなく、業績評価など各項目の中で個々に散りばめられている。研究において基準が個々に異なっており、それをまとめあげる事はできていない。
△ この草案が対象とする研究開発の範囲は非常に広く、1つの基準を示すことが適当かという議論があったため具体的なところまでは踏み込んでいないが、評価の実施主体が目的を明確にし、それに合った具体的な研究項目・基準を定めるように指摘している。
○ 研究者の提案の仕方について、何か条件があっていいのではないか。また、特定研究者への研究費の過度な集中を防止するという点が重視されると、優れた研究者が大きな構想で研究を進めることができなくなる。そうした点にも配慮してほしい。
○ 後者については私も同感である。研究費の重複に神経を尖らせ過ぎると、本来の研究費の趣旨がおかしくなる。極めて例外的なケースだけを取り上げて議論が行われがちである。
○ 研究者等の業績評価に関しては、最近、特に米国を中心としたいわゆる国際ジャーナルの点数に過度に依存しているため、国内学会の論文誌刊行等の活動にマイナス面が出てきた。これは国内の雑誌がまだ評価対象として挙げられるレベルに達していないということだが、評価する側でも、我が国の雑誌で発表しているという点を考慮するなど、柔軟性を持ってほしい。
○ 大学は教育機関でもあり、評価自体が教育機関と純研究機関で相当違っている面があるので、そこはどこかで組み込んでもらう必要がある。
この議題については次回の総会で引き続き審議することとされた。
資料4-1、4-2に沿って、平海洋開発分科会長から説明があった。主なやり取りは以下のとおり。
○ 気候変動に関する観測研究はどちらかといえば物理的な循環に重点がおかれているようだが、陸域と海域の生物循環とか大気と海洋の連携といった点についてはどうなっているのか。
○ そのような視点も全部入っている。また、水の循環に生態系や物質循環も考慮して検討を行うことが重要という指摘を行っている。
○ 最後の「情報の流通」という箇所には、既存のデータベースや海外との調整など全てを含むと理解してよいか。
○ 海外との問題については国際共同でのデータ収集や、今後の経済水域における観測の面で国際協力の重要性を指摘している。国内では、毎日のデータについても流通する体制ができている点や海洋データセンターの機能の拡充という点を指摘している。
○ 今回この答申を作成するにあたっては、国立大学とその附置研究所を対象にしているのか、それとも私学まで含めているのか、あるいは産業界における研究開発や独立法人まで含めているのか。また、今までの日本の海洋研究については何が問題であり、今後のアクションとしては何が重要なのか。
○ 前者については、対象は大学だけではなく日本全体で、各省庁が推進するものも反映されるべきという議論を行った。後者については、問題点は海に対する国民の理解がだんだん遠くなってきていること、重要点は海洋の保護と開発をどのように調和させるかということである。
○ 海洋の情報というのはナショナルインタレストである。我が国の場合、各機関で行われる観測データを共通フォーマットのデータベースとしてアーカイブを構築するという意識が欠如しているのではないか。そのようなアーカイブを国として何らかの形で構築していかないと、海洋研究そのものが国際競争力を持った形で進みにくいのではないか。
○ 海洋だけでなく大気などについても、データベースを整理するような枠組みが望まれる。また、子どもたちが海洋に親しめるような制度があるといい。
今後開催される分科会で議論を集約し、次回総会で審議することになった。
資料5に沿って、小林人材委員会主査より説明があった。主なやり取りは以下のとおり。
○ 優れたエリート層の研究者養成ということに論点を絞るのは賛成である。インブリーディング(大学院入学・大学教員採用の際の他校出身者に対する閉鎖性)という点については、アメリカと日本では研究をとりまく状況が違う。日本の場合には、研究資源が特定の大学に集中しているので、人材を無理に動かすことには限界がある。国内で動かすよりはむしろ、海外の大学との流動性を視野におく方が現実的であり、効果が上がるのではないか。また、「21世紀COE」の中で教育面について評価をする際には、卒業生、つまりアウトカムの質に対する評価を中心としたほうがいいのではないか。
○ 資料にある「大学教官における自校出身者の状況」について、学部・学科でどのような特性があるのか。また「博士及びポスドクの進路状況について」では、日本の場合、博士修了者の企業への就職者が約10%であるが、これは産業界に行く意志があるがそれでも10%しかいないということなのか。さらに「企業から見た博士課程修了者、ポストドクターの評価」と「博士課程修了者、ポストドクターを採用した企業の評価」では随分違う結果が出ているが、この2つのアンケートに答えた企業は重複しているのか、それとも全然別の企業なのか。
△ 「博士及びポスドクの進路状況」についてきちんとした調査があるわけではないが、学会の調査や我々がポスドクから意見を聞いたところでは、企業が第一志望ということでは必ずしもないが企業への就職の意思もあるとのことである。
○ 「21世紀COE」などにより、大学院生への教育よりも、むしろ研究成果が重視される可能性があるのではないかということで、大学院生に対する教官の指導内容がますます狭くなってきていることが一部で指摘されている。
○ 採用を前提に、ドクターあるいはポスドクを評価するのは大学の先生か、今の独法化した研究所の所長のみである。いろいろな分野の人が評価を行うような、いわゆる市場メカニズムを導入していってはどうか。博士に対する生活支援に関しては、優秀な博士を教育し、企業等に送り出すことによって寄付などの支援が集まるよう、大学側が努力しなければいけない。アメリカの場合、企業は大学の教育に対して投資する価値があるので、寄付を出している。日本でもドクターが企業で活躍するということがわかれば、お金はどんどん集まってくるのではないか。また、ドクターやポスドクの研究分野と社会や企業とのマッチングも重要である。
資料6に沿って、大﨑国際化推進委員会主査から説明があった。主なやり取りは以下のとおり。
○ 施設の問題等、日本は外国人にとって住みにくい国であるということについて何か議論はあったのか。また、政府が第2期科学技術基本計画において総額24兆円を政府研究開発に投入すると発表したことに対し、海外からの反応はどうか。
○ 外国の若手研究者はなかなか日本に来たがらないが、シニアの研究者でも短期間であれば来るという。その原因は研究環境の国際化という点に帰着する。せっかく外国人研究者を招致しても、お客のように特別なものとして扱い、それ故に研究者にとっても必ずしも居心地が良くない。そのような状況を改善しなければならない。また24兆円に対する海外の反応は、第1期の17兆円の時には目新しさもあってかなりのものがあったが、今回の第2期の場合はその延長として受けとめられているところがあるために、反応が小さいのではないか。
△ 昨年(平成13年)、OECDの科学技術政策委員会(CSTP)から、日本の第2期科学技術基本計画について特に時間をとって説明してほしいという要請があった。また先般の日英科学技術協力合同会議の際、イギリス首相の科学顧問がこのことに触れており、日本が科学技術に多額の投資をしているということについて関心を持たれている。
参考資料「データベースに関して提案される独自の権利についての見解」について、土居委員から説明があった。
科学技術・学術政策局政策課