総合科学技術会議の審議状況について

1.総合科学技術会議の審議状況

・平成20年10月31日

○ 平成21年度概算要求における科学技術関係施策の重点化の推進について
 選択と集中を徹底した予算編成に向け、関係省庁の平成21年度科学技術関係の概算要求について、「平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針」を踏まえ、革新的技術などの重要政策課題への重点化の確認と、優先度判定(SABC評価)等を行った結果が報告された。

○ 諮問第7号「特定胚の取扱いに関する指針の改正について」及び諮問第8号 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針の改正について」
 平成16年7月、総合科学技術会議は、人クローン胚の作成・利用を、他に治療法のない難病等に関する再生医療の研究に限定して容認する、との意見を決定した。これを受け、文部科学省は、関係指針の整備に向けて、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の下、人クローン胚の作成・利用を認める際の要件等について慎重に検討を重ね、本年2月、検討結果を報告書として取りまとめた。
 同報告書を基に作成した「特定胚の取扱いに関する指針」及び「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の改正案について、法律等の規定に基づき総合科学技術会議に諮問を行った。

○ 「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定について
 各府省や研究開発法人等が実施する評価のガイドラインである「国の研究開発評価に関する大綱的指針」について、昨今、研究開発への期待が高まる中で、現行の課題を解消し、より実効性の高い評価をするための改定案を決定し、内閣総理大臣に対して意見具申することとした。

○ 2008年ノーベル賞受賞者との意見交換
 ノーベル物理学賞を受賞された小林誠教授と益川敏英教授にご出席いただき、受賞された研究内容についてご説明いただいた後、科学技術政策について意見交換をした。
 益川教授は「我々が大学で研究をしていた当時、 『日本は戦争で負けた。資源もない。だから、科学で食っていくしかないんだ』という、科学に対する社会全体の熱い思いがありました。 今後の日本も、高校生、中学生が科学に憧れを持ち、 希望を叶えられるような社会にしていってほしい。」とご発言。
 最後に麻生総理大臣から、「日本から4名ものノーベル賞受賞者が一挙に出たことは本当に明るいニュースだった。日本の底力を示した意味で、大変誇らしく思っている。」「第二、第三の小林・益川先生に続く人を生み出していく努力をしていかなければならない。科学技術政策に関しては、長期的な視点を常に持ってきちんとした対応をしたい。」と発言があった。

・平成20年12月8日

○ 平成21年度科学技術関係予算の編成に向けて
 平成21年度の科学技術関係予算の編成に関し、優先度判定等の結果を的確に反映した予算措置や、革新的技術推進費、 大挑戦研究枠、健康研究分野の一体的推進、社会還元加速プロジェクトへの格段の予算措置、予算配分の不合理な重複や過度の集中の排除を徹底すること等をとりまとめた案を決定し、内閣総理大臣及び関係大臣に対して意見具申することとした。

○ 国家的に重要な研究開発の評価(気候変動問題対策二酸化炭素削減技術実証試験)
 総合科学技術会議は、大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発(国費総額が約300億円以上)について、国の科学技術政策を総合的かつ計画的に推進する観点から、自ら評価を行い、その結果を公開するとともに、評価結果を推進体制の改善や予算配分に反映させることとしている。
 「気候変動問題対策二酸化炭素削減技術実証試験」は、平成21年度予算概算要求において経済産業省が新たに実施することとした事業であり、平成21年度から平成25年度までの5年間の国費総額約330億円を見込む大規模研究開発である。総合科学技術会議では、評価専門調査会に当該研究開発に関係する分野の専門家・有識者を交えて調査・検討を行った。その結果を踏まえて評価を行い、その結果をここにとりまとめ、原案どおり決定した。

○ 意見交換(革新的な技術をいかに日本の競争力強化に結びつくよう展開するか)
 世界に先駆けてiPS細胞を作製した京都大学の山中伸弥教授にご出席いただき、研究内容やiPS研究が目指すものについてご説明いただいた後、今後、研究成果を実用化していく際の課題などについて意見交換を行った。
 山中教授は、プレゼンテーションの中で、iPS細胞を利用することによって実現する可能性のある再生医療や治療薬の開発について説明され、今後のiPS研究成果の実用化促進の課題も併せて提起された。これを受けて麻生総理大臣は、「ノーベル賞を受賞した研究も素晴らしいが、山中先生のiPS細胞研究はまた、研究の成果が難病の患者さんの命を救う可能性があるという点において日本にとって大事なもの。ぜひ今後も世界の先頭に立って研究を進めて行ってもらいたい。関係大臣においては、挙げられた課題を解決することを第一に、一丸となって、出来る限りの努力をしてほしい。」と述べた。

2.専門調査会等の主な審議状況

○ 基本政策推進専門調査会(下記組織図参照)
 第3期科学技術基本計画の着実な推進を図るべく、「基本政策推進専門調査会(以下、基本専調)」を設置して調査審議を行っている。

  1. 地域科学技術施策については科学技術による地域活性化を図るため、地域の内発的・自立的な取組を促しつつ、各府省、地方公共団体、独立行政法人等が推進する地域科学技術施策全体を俯瞰しながら、地域のイノベーションの創出を強力に推進するための我が国としての総合的な戦略を策定するため、地域科学技術施策ワーキング・グループを設置し、科学技術による地域活性化戦略を取りまとめた。
  2. 京都大学山中教授がヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)の作製に成功し、早急な臨床応用が期待されている。日本発のこの技術を世界に先立って確立するためには十分なバックアップ体制の構築と研究の進捗状況を踏まえたルール作りが不可欠であることから、iPS細胞研究ワーキング・グループを設置し、7月、「iPS細胞研究の推進について(第一次とりまとめ)」を取りまとめた。
  3. 現在は、基本専調の下に設置される各PTにおいて第三期科学技術基本計画のフォローアップに向け、検討を行っているところ。特に各分野別推進戦略については、基本専調の下に分野別推進戦略総合PT、さらにその下に各分野PTが設置され、検討を行っている。

基本政策推進専門調査会組織図
基本政策推進専門調査会
制度改革WG
研究資金WG
科技外交WG
iPS細胞研究WG
地域科技施策WG
環境エネルギーWG
分野別推進戦略総合PT
(検討状況に応じて設置)
ライフサイエンスPT
情報通信PT
環境PT
ナノテクノロジー・材料PT
エネルギーPT
ものづくり技術PT
社会基盤PT
フロンティアPT
地域科学技術PT

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

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