科学技術・学術審議会(第79回)議事録

1.日時

令和8年4月27日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室及びWeb会議形式

3.議題

  1. 各分科会等からの取組報告について
  2. 第7期科学技術・イノベーション基本計画について

4.出席者

委員

大野会長、上田会長代理、五十嵐委員、上田浩史委員、大須賀委員、大竹委員、梶田委員、川辺委員、久世委員、久保田委員、合田委員、佐伯委員、佐藤委員、鷹野委員、高橋委員、田中委員、千葉委員、寺井委員、仲委員、中北委員、原田委員、深見委員、宮澤委員、明和委員、山崎委員、相澤委員、狩野委員、菅野委員

文部科学省

小林文部科学副大臣、清水文部科学大臣政務官、柿田文部科学審議官、今泉総括審議官、大土井総務課長、西條科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、俵科学技術・学術総括官、近藤研究開発戦略課長、小川国際研究開発政策課長、奥人材政策課長、相原人材政策推進室長、馬場参事官(研究環境担当)、對崎産業連携・地域振興課 課長補佐、髙橋科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、淵上研究振興局長、生田大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、助川学術企画室長、石田大学研究基盤整備課長、豊田研究振興戦略官(人工知能活用担当)、早田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長ほか関係官

5.議事録

【大野会長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会総会(第79回)を開催いたします。皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、小林茂樹文部科学副大臣に御出席いただいております。初めに、小林副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【小林副大臣】  文部科学副大臣の小林茂樹でございます。先生方におかれましては、御多忙の中、このように多数お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
 科学技術・イノベーションは、国内外の社会課題の解決に貢献し、持続可能で強靱な社会を構築する源泉と認識しており、去る3月27日には第7期科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定されました。この計画の策定に当たっては、本総会においても何度か御議論いただき、委員の皆様方から賜りました御意見を基に作成したものでございます。
 本日は、第7期基本計画に関し、我が国の基礎研究力の強化による科学の再興をはじめ、今後5年間の政策の方向性案、講ずべき施策等について御報告させていただき、今後、本計画に基づき、文部科学省が施策を進めていくに当たって留意すべき事項等について御議論をいただければと思っております。
 我が国が誇る科学技術・イノベーションの英知がお集まりをいただいている会議でございますので、本日も着実な、確実な一定の成果がもたらされることを心から期待をして、冒頭の御挨拶といたします。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
【大野会長】  小林副大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入る前に事務局から説明をお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  本日の総会は、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める会議開催の定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 続きまして、本会議での発言の進め方についてです。会場にお越しの委員におかれましては、御発言の際にお手元のマイクのスイッチを押していただき、マイクがオンとなった後に御発言ください。また、御発言を終えられましたら、マイクのスイッチを再度押していただき、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
 次に、オンライン上から参加される委員におかれましては、映像をオン、音声のマイクはオフ、ミュートの状態にしておいてください。御発言の際は、手のマークの「挙手」ボタンを押していただき、御指名がありましたら「ミュートを解除」し、御発言ください。また、発言後は再度「挙手」ボタンを押して挙手を取り消すとともに、マイクもミュート状態に戻してください。
 以降は会場・オンライン共通となります。オンラインからでも発言者が分かるよう、御発言の都度、初めにお名前をおっしゃっていただくよう、よろしくお願いします。また、資料を参照して御発言される場合は、資料番号やページ数、ページ内の該当箇所などをお示しいただくよう、御配慮のほどよろしくお願いします。
 本日の資料についてですが、資料一覧に記載のものと、机上に追加資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。
 続きまして、4月1日付で文部科学省の出席者に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 科学技術・学術総括官の俵でございます。
【俵科学技術・学術総括官】  俵です。よろしくお願いします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  研究開発戦略課長の近藤でございます。
【近藤研究開発戦略課長】  よろしくお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  国際研究開発政策課長の小川でございます。
【小川国際研究開発政策課長】  よろしくお願いします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)の生田でございます。
【生田大臣官房審議官】  よろしくお願いします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  大学研究基盤整備課長の石田でございます。
【石田大学研究基盤整備課長】  よろしくお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  研究振興戦略官(人工知能活用担当)の豊田でございます。
【豊田研究振興戦略官】  よろしくお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  最後に、私、科学技術・学術戦略官の髙橋でございます。
 以上です。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 今日は議題が2つございますが、1つ目が、各分科会等からの報告です。5件の報告事項がございます。
 議題2は、意見交換として、これは科学技術・イノベーション基本計画について御報告いただき、加えて、現在進んでいる成長戦略についても御説明いただいた後、意見交換をしたいと思います。そういう意味で、議題の2の意見交換の時間を確保したいこともあり、恐縮ですけれども、各部会長からは、ポイントを絞ってコンパクトに御報告いただきますようお願いいたします。御報告が終了しましたらば、報告いただいた件について、その都度、5分を目安に意見交換を実施したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、産業連携・地域振興部会からの御報告をいただきます。部会長の久世委員から報告をお願いいたします。
【久世委員】  それでは、産業連携・地域振興部会の中間のまとめについて御紹介させていただきます。
 冒頭、小林副大臣より御説明がありましたように、2026年度より第7期科学技術・イノベーション基本計画が始まっています。この状況におきまして、我々の部会でも、2026年3月までの議論、それから産学連携を取り巻く国内外の状況を踏まえて、第7期計画期間中の2026年度から2030年度の5年間における産学連携の在り方について、政府として取り組むべき方策、または、その方向性を取りまとめましたので御報告させていただきます。
 資料は、お手元の資料1-1を御参照いただければと思います。
 まず、通し番号4ページのところです。これが、我々の部会で議論しました産学連携の全体のイノベーション・エコシステムのイメージです。下のほうに図がありますが、これまで注力してきた産学連携は、一番下の青い部分のリニアモデルです。大学等での科学研究の成果や研究シーズを、産業界の戦略やニーズとマッチングを図り、学術研究から応用研究、応用研究から開発研究、さらに社会実装というリニアモデルを推進してきました。このモデルでも、それなりの成果が出ています。
 この成果をさらに大きく全体に広げていくのが、歯車の図になっているエンジン1です。近年、科学とビジネスの距離が非常に近づいており、社会実装のスピードもどんどん上がっています。このような環境下では、リニアモデルで生まれてきた研究資金、育った人材、新たな知財、特許、ノウハウ、データなどを、効果的に活用し、さらに循環させるようなシステムが重要です。いわゆる研究力の原資として大学に還流させることを目指します。それがまずエンジン1のイノベーション・エコシステムの深化です。
 それから、創出できた新たな原資を、より戦略的にどう再配分をするか、ポートフォリオ管理やプライオリティーの設定などを実現するためには、大学自体の経営力の強化が求められています。つまり、緑の部分のエンジン2による大学の経営力の強化がさらに重要になってきます。また、大学の経営力を強化することによって、総合的に大学の研究力を日本としても益々底上げしていくことが重要だと考えています。
 これまで産学連携ではいろんな取組がありました。産学官のコミュニティの形成、大学発スタートアップもかなり増えています。それぞれの大学が、今まで築いてきたコミュニティやスタートアップなどを中心に、地域、産業界との関わりもさらにうまく活用して経営力を強化し、各大学のミッション、特色を活かしながら、産学連携駆動のための研究力の強化が一層重要だと考えています。
 このエンジン1と2を御紹介します。
 まず、エンジン1です。通し番号5ページです。ここにありますように、緑のところから始まり、青くなって社会実装されていくのは、リニアモデルですが、それを赤とオレンジでさらに還流させ、回すのが、駆動エンジン1になっています。
 繰り返しになりますが、産学連携によって生まれる資金・人材・新たな知財、これを次の研究力の原資として、オレンジのところで上にくみ上げる好循環を構築することが重要だと考えています。
 さらに、大学における、共同研究も増えていますし、スタートアップの創出も進んでいます。それらの最大化やさらなる効率化に加えて、資金などを循環させるためのノウハウなどを一つの大学に閉じず、全国規模で蓄積し共有していくことが重要だと考えています。
 続きまして、エンジン2は、ページ6です。ここは、研究力の底上げに向けた大学の経営力の強化のところです。地域中核・特色のある研究大学強化促進事業であるJ-PEAKS採択大学においても、現在、大学間の連携がかなり強化されつつあります。この動きも、一大学に閉じずに、各大学はその強み・特色を生かすべきですが、それを核にしながら領域を超えて戦略的な経営改革が重要だと考えています。
 それから、その下に記述された新たな研究やイノベーションを生み出し続けることも、1回限りでなく、継続性が非常に重要になってきます。そのための環境構築が必要です。今までは、産業界との共同研究のテーマの多くは、各研究室や領域で個別に進められていますが、そうではなく、大学全体として産業界に、どうやって立ち向かっていくのか、一緒になってやっていくのか、共同していくのか、そういった経営力の強化が求められています。
 最後、ページ7です。実際にこのようなエンジン1、2を具現化するためには、下の図で、一つの大学を中核機関とし、一番下にありますように、そこに参画機関の大学、さらには国の研究所、上のほうに自治体、金融機関、企業、スタートアップがあります。また、上に記述された自治体や企業は日本に閉じず、海外も含めて連携の強化が求められています。
 まず、これらを実際に回すためには、大学のトップや経営層の強いコミットメントと、その大学の組織構造の中で有機的に連動や連携する機能を持って、複数の大学や自治体といった外部組織の相互作用をさらに誘発、誘起することが極めて重要です。
 それから、冒頭申しましたように、最近の科学とビジネスは、非常に近づいています。スピード感も要求されています。成長戦略にて、分野の重点化という背景がありますので、いかに大学のガバナンスを利かせていくか、ガバナンス改革とセットでこれを実現していく必要があります。それから、産業側でも、産業を担う経済圏・エコシステム、あと、日本における重要技術分野の研究開発、社会変革を牽引する人材が必要になります。人材の育成は、コアとして非常に重要になってきます。
 大学、産業界、自治体で、人材の交流やローテーションをさらに進めていく必要がありますが、日本は、海外に比べて非常に遅れています。企業の研究所から別の企業の研究所への人材異動が95%以上あるのに対して、企業と大学間での人材異動は5%以下です。人材が産業界と大学で相互に交流しないと、お互いの人材、取り組み、環境、戦略の理解がなかなか進みません。この課題を解決するためにも人材育成が重要になってきます。
 もう一つ付け加えますと、大学側のトップ、経営層のコミットメントも重要ですが、日本におきましては産業界の経営トップや経営層のコミットメント、加えて強いリーダーシップは、変革の重要な鍵となります。
 以上、本まとめの内容を踏まえて、文部科学省を中心に、産学連携によるイノベーション・エコシステムの深化、深掘り、また、大学の経営力の強化による研究力向上に向けて一層の充実が図られることが期待されます。例えば、最後の4ページの連携イメージにおいて、各種支援事業がありますが、それらをうまくこの枠組みに組み合わせて具体化していくことが求められています。今後、産業連携・地域振興部会でも検討を続けますが、ぜひ検討に当たっては皆様の御意見、御感想をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本件について、5分をめどに意見交換をしたいと思いますけれども、皆様から何か御意見ございますでしょうか。
【寺井委員】  以前にも申し上げた記憶があるのですが、このエコシステムという用語の意味についてです。今回エコシステムという用語を使用されている意図としては、いわゆる直線的・段階的にやられてきた研究から社会実装までの流れを複線的にやっていく、あるいはフィードバックをかけるというようなことが大事だという趣旨は大変よく分かります。
 ただ、例えば今回の第7期の基本計画でも、検索すると30か所ぐらいエコシステムという言葉が使われています。これは生態系をイメージされたメタファーとしての表現だと思うのです。それならば、要するに、誰が何をどこまで担うのかというようなところが、エコシステムを強調し過ぎると少し不明確になりやすいのではないか。ひいてはその政策評価が非常にやりづらくなるのではないかと懸念をしております。
 それから、生態系のメタファーということであれば、やはりその生態系というのは、ある外力がありますと軌道修正して自己修復していくというような機能がありますので、やはりこういう社会システムにおきましても、強靱な自己修復機能を仕組みとして内包するようなシステムというのが本当は求められるのかなという気がいたしています。
【大野会長】  ありがとうございます。狩野委員から、御発言いただきたいと思います。
【狩野委員】  ありがとうございます。こちらの内容、大変重要だと思いまして、人材委員会としてもと思いますが、加えてそのときに、どういう人に元気になってもらうと、このサークルが回るのかということについては、ぜひ検討は必要かと思います。いわゆる卓越性の在り方について、よく言う、パスツールの4象限という考え方があって、理論性と実用性の軸をそれぞれ取ったときに、ぜひ両方を目指す人、すなわち「パスツールの象限」を追う人を元気にしたいという気がいたします。この両方を元気にする人というのは、今までの卓越性のはかり方では卓越性を測りそびれている可能性がありまして、これの開発が必要かなということを思いました。
【大野会長】  ありがとうございます。それでは、久世部会長、一言だけお願いします。
【久世委員】  御意見どうもありがとうございました。
 まず、寺井委員からのエコシステムについてです。ご指摘のとおり、エコシステムという言葉は、いろいろなところで使われていますので、誤解がないように、ある程度、定義しながら使っていったほうがよいかと思います。
 また、御指摘があったように、今回、我々の部会のほうから御提案させていただいたエコシステムも、誰がどこでどうやって推進していくかを決めることは非常に重要です。先ほど申しましたように、この資金を循環させたり人材を循環させたりすることになります。人材のほうも、先ほど狩野委員からもありましたが、実際には各人材の処遇を考える必要があります。クロスアポイントメントもありますが、その仕組みがなかなか進んでいない実態もあります。実際、給与体系や処遇だけでなく、研究者本人が自己達成するために、エコシステムの中でのキャリアパスなども具体化する必要があります。寺井委員からの、誰がどこで、このエコシステムを動かすという話にも関係して、各登場人物の役割りの具体化が重要です。企業も大学も国の研究所も同じですが、ここに登場する研究者など主役となる人材が、いかにモチベーションを上げて活躍してもらうかという観点でもエコシステムが重要です。
 それから、寺井委員からの自己修復モデルについてです。世の中の動き、経済の動き、産業界の動きは、非常にスピードが速いです。科学技術の進展も速いです。したがいまして、一旦決めた仕組みや仕掛けがそのままプロセスで回るというわけではなく、その時々に応じて柔軟に対応していく必要があります。御指摘のとおり、そういう機能が必要だと考えます。
 最後に、狩野委員からの、誰を元気にするか、ということについてです。私も、この点は、まさに非常に重要で、やはり、主役である現場で活躍する人材を元気にすることを中心に全体設計を考えて、仕組み、仕掛け、制度をつくっていかないと、結局、絵に描いた餅になるかと考えています。本当に貴重な御意見ありがとうございました。
【大野会長】  それでは、次の報告に移りたいと思います。大学研究力強化部会からの報告を、部会長の千葉委員からお願いいたします。
【千葉委員】  それでは、資料2、通し番号19ページになります。
 第13期科学技術・学術審議会大学研究力強化部会で部会長を務めております千葉でございます。本部会は、大学等の研究力強化を図るため、国際卓越研究大学制度や地域中核、特色ある研究大学の振興など、多様な研究大学群の形成に関して、幅広い観点から調査検討を行う部会です。併せて、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律の規定に基づき、文部科学大臣が国際卓越研究大学の認定・認可を行うに当たり、科学技術・学術審議会の直下にある本部会において意見聴取プロセスを実施することとされています。このたび、東京科学大学の申請に対し、国際卓越研究大学の認定・認可に当たって審議を行い、認定・認可が適当とする答申を行いましたので、資料2に基づいて私から御報告させていただきます。
 20ページを御覧ください。国際卓越研究大学のイメージです。円の上から時計回りに、多様性・包括性のある環境、資金の好循環、新たな知・イノベーション創出、さらに人材・知の好循環といった観点を通じて、世界最高水準の研究大学を目指すのが国際卓越研究大学でございます。
 21ページを御覧ください。国際卓越研究大学制度における公募・選定のポイントを示しています。これまでの実績や、現在行っている取組で判断するのではなく、変革への意識とコミットメントの提示に基づき審査を行うこととしております。
 審査に当たっては、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス体制の確立、この3点を要件としています。
 審査のプロセスとしては、国際卓越研究大学の認定を専門的に審査するため、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議、通称アドバイザリーボードを設置し、総合科学技術・イノベーション会議及び科学技術・学術審議会との情報共有等をしっかりと行うことができる形を構築し、審査を進めております。そのため、CSTI及び本部会の一部の委員が、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議の委員を兼ねております。今回は第2期の公募を行い、昨年5月に公募を締め切り、6月から段階的に審査を実施しました。
 22ページを御覧ください。申請のあった8大学の申請の概要をまとめております。詳細は割愛させていただきます。
 23ページを御覧ください。先ほども触れました、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議での審査経過について記載しております。有識者会議において、申請のあった8大学の書面審査だけでなく、国内外のレビュアーの意見に加え、面接審査、研究現場の状況等を把握するための現地視察などを実施しています。
 24ページを御覧ください。アドバイザリーボードの結論です。東京科学大学は、この4月から国際卓越研究大学として認定し、4月から体制強化計画を開始しています。また、計画初年度と3年度以内に進捗状況を厳格にモニタリングすることが適当となりました。
 京都大学については、認定候補として、体制強化計画案の磨き上げを実施した上で計画を開始することが適当となりました。
 東京大学は、認定候補とすべきかの判断に当たり、さらに確認を要する点があるとの判断に至り、審査継続となりました。
 国際卓越研究大学については、文部科学大臣の認定・認可に先立って科学技術・学術審議会において意見聴取を行うことが法律で定められており、大学研究力強化部会において、アドバイザリーボードでの審査結果について審議を行いました。東京科学大学の認定・認可も含めて、審査結果は適当であると判断いたしました。
 今般、国際卓越研究大学の認定・認可を行いましたが、変わろうとする大学の姿を見ることができました。今後、このような大学の変革のモメンタムを加速し、研究力強化を実現するため、本部会の設置趣旨である多様な研究大学群の形成に向け、審議を進めてまいります。
 大学研究力強化部会において審議しました国際卓越研究大学の認定・認可について、簡単ではございますが、私からの報告は以上となります。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、本件に関して御質問、御意見はございますでしょうか。
【狩野委員】  こういう議論をするときにどうしても、文部科学省等で議論すると、統計学的な人の存在が主になっていて、トップダウン的な方面が注目されがちだと思います。けれども、所属する方々それぞれがやる気を出せて、科学のアウトプットをもっと出していただくに至らないと、結局のところ科学の再興という価値を生み出そうとする視点からは意味はないのかと思います。この意味でのボトムアップ性の方面については、この制度ではどのようにお考えでしょうか。
【千葉委員】  私の認識している範囲では、大学の経営層だけではなくて、幅広く構成員との意見交換も含めて実施して、この大きな方針が構成員にも一定程度浸透しているかどうか、要するに今後の発展性を担う非常に重要な部分ですので、そういう部分での観点の評価も進められていると認識しております。
【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは次に、人材委員会からの御報告をお願いします。主査の狩野委員から御報告をお願いします。
【狩野委員】  ありがとうございます。狩野でございます。
 内容は、38ページ以降と、参考では9ページ以降です。
 人材委員会では、去る7月30日、今後の科学技術人材政策の方向性という、いわゆる中間まとめをとりまとめ、本総会でも説明いたしました。並行して動いておりますワーキンググループでこちらの技術職員の皆様に関する内容を進めてまいりました。その意図としては、科学技術のアウトプットを出していくに当たって、いわゆる研究者と呼ばれる人だけではなくて、ほかにもいろんな役割の方々が御活躍いただくことがアウトプットにつながると信念を持って進めてまいっております。その一つ、マネジメント人材については既にガイドラインをお出ししたところです。
 今回は、技術職員と言われる方々についてのガイドラインとなっておりまして、こちらは日本初の取組だと思っております。幸い3月31日にNHKニュースでも取り上げていただきました。詳細の内容については人材政策課長より御説明いただきます。よろしくお願いします。
【奥人材政策課長】  狩野先生、ありがとうございます。このガイドラインの概要について簡単に御説明させていただきます。
 39ページ目をおめくりいただければと思います。この技術職員のガイドラインですけれども、主に研究大学等において技術職員、研究開発マネジメント人材あるいは事務職員等、多様なステークホルダーが関わった体制をつくっていく必要があるということで、今回、特に技術職員について人事制度のガイドラインとして取りまとめをさせていただいたものです。
 左側の第1章ですけれども、こうした技術職員の体制整備を図っていくためには経営層のリーダーシップとコミットメントが必須ということで、第2章以下の項目を簡単にまとめた形で、第1章に全ての内容を列挙させていただいています。
 また、第2章として、技術職員の組織的・戦略的なマネジメントと題し、技術職員に求められる役割について、研究基盤の確保、研究者との協働、産学連携等を念頭に、技術力を生かした社会との連携という3つを挙げています。
 また、(2)で技術職員の組織化といたしまして、特に技術職員に関して全学的な組織体制の整備が必要だということ、組織改革と人事制度の改革を一体的に進める必要があるということを挙げています。
 また、技術職員について可視化を図っていくという観点から、研究基盤や技術支援サービスについての可視化、職務内容についても可視化を図っていくということを挙げています。
 右側、第3章、人事制度の構築について、特に技術職員に関して優秀な人材をいかにして確保していくのかということが極めて重要な課題だと思っています。高度専門人材に即した形での処遇を適切なものとするということ、多様な採用ルートを確保するということの重要性、それに加えて、評価に基づいてきちんとした処遇、業績評価の在り方を検討するということ、それと、キャリアパスに関して、単線ではなくて、どちらかというと複線的なキャリアパスの構築が必要だということを挙げています。
 また、第4章としては、高度専門人材としての育成に関して、機関における研修機会等の確保に加えて、東京科学大学においてTCカレッジ等の取組もされています。こうしたものを活用しながら、全国的な取組として拡大してくことが必要だということを挙げています。
 あわせて、第5章におきまして、この組織体制を維持していくために、いわゆる運営費交付金は当然大事ですけれども、競争的資金あるいは民間企業等の直接経費・間接経費をうまく活用していくことが大事だということも併せて挙げさせていただいています。
 次の40ページ目で、複線的なキャリアパスのイメージとして、マネジメント層に行くキャリアトラックと、スペシャリストとして活躍するという2つの主なルートというのを挙げさせていただいているところです。
 また、41ページ目では、先ほど狩野主査からも話がありましたが、研究開発マネジメント人材に関しては昨年の4月末にガイドラインを公表させていただきました。それに加えて、今回の技術職員のガイドライン、それと真ん中下あたりにもありますけれども、研究設備・機器の共用推進に向けたガイドライン、この3つのガイドラインを総合的に適用していくことが必要だということを挙げさせていただいています。
 今後、国立大学の中期計画等にこうしたエッセンスを反映するとともに、国の機関向けの競争的資金制度の中では、こうしたガイドラインに基づく体制整備というのを盛り込むという方向で検討させていただきたいと思っています。
 私からは以上です。
【狩野委員】  ということで、いわゆる優秀な人、例えば博士人材を含めて、このような仕事の在り方に対して一生かけてもいいかなと思えるようになっていただきたいという気持ちを含めて、こういうガイドラインにいたしました。ぜひ御検討いただければと思います。
 以上です。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、御意見あるいは御質問があれば、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。久世委員。
【久世委員】  御説明ありがとうございました。こういった技術職員の業務、キャリアパス、そこに対するフォーカスは、大変重要だと考えています。
 質問は、40ページにキャリアパスのイメージがありまして、その下にある業務例に関してです。これまで技術職員は、大学の研究における様々な実験を円滑に実施するために、実験設備や実験技術といったものをサポートすることがメインだと思います。ここに記載のAI for Scienceにも関係しますが、デジタル技術、その中でも特にAIを活用した研究が主流になってきています。研究者自身がAIなどの力をつけて、自らが研究に使っていくことも大事です。それに加えて、AIそのものの技術革新もかなり進んでいるので、これに特化したエキスパートは必須になってくるかと思います。その辺りについて、この取組の中での位置づけなどの議論はありましたでしょうか。
【大野会長】  ありがとうございます。あと3つ手が挙がっていますので、まずお伺いしてから、御回答等があれば、していただきたいと思います。中北委員、お願いいたします。
【中北委員】  簡単な質問ですが、今のこの絵にある中で、大事なインセンティブのところの一つだと思いますが、給与体系に対する御議論等というのは、ある程度ありましたでしょうか。例えば、現在ではある級からある級に行くのに間がすごく、幾つかが、3、4が空いたりとか、そういうのがあったりとかで少し目こぼれをしている感があるので、そういうようなところ非常に大事かなと思いますので、お伺いしました。
【大野会長】  ありがとうございます。それでは、続いて梶田委員、お願いいたします。
【梶田委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。御説明いただいたことにそれぞれ納得いたしました。ありがとうございます。
 ただ、関連して1点、技術職員の数という点で発言させていただければと思います。よく知られているように、世界のトップ大学などと比べて日本の大学の弱みは、研究者の数に比べて圧倒的に技術系職員が少ないことかと思っております。そのため、多くの研究者が、本来であればほかの方に任せる仕事も受け持ってきており、その結果、研究者の研究時間が確保できない等の問題があると思っています。
 したがって、本日御説明いただきました、技術職員の人事制度等に関するガイドラインとともに、ぜひ今後、技術職員の数の確保という観点でも御検討いただければと思いましたので、発言させていただきました。
【大野会長】  ありがとうございます。それでは、川辺委員、お願いいたします。
【川辺委員】  東京海洋大学の川辺でございます。質問の内容は今の梶田委員と全く同じでして、こうしたガイドラインは非常に重要だと思いますが、現場では技術職員のポスト自体がない、あるいは少ないというのが大きな課題になっているのではないかと思います。このガイドラインはすばらしいと思いますが、そもそもそのポストをどうやって確保するかとか、あるいは拡充するかとかいうところについても、何か御配慮いただけるとよいのではないかと思いました。
【大野会長】  どうもありがとうございます。それでは、まとめて手短にお願いします。
【狩野委員】  1つ目、AIに関して、ありがとうございました。やはり基盤を支えるという意味で、この方々に大変活躍いただきたいと思っておりまして、例えば、データの整備あるいは機器の保守その他についてもこの方々にお願いできるとよいのではないかというような議論があったと記憶しております。
 続いて、給与あるいは数に関してです。まず、お金の面については残念ながら、国家財政もそう簡単ではございませんので、今回に関しては、各大学のマネジメントのほうでぜひ検討いただきたいというような表現ぶりになっていると理解しております。実際、法人化しておりますので頑張ればできるのではないかという議論にせざるを得なかったところでございます。
 それから、数の確保については、やはり研究者以外の人生を歩んだときに、そのかたがそれで人生の意義を感じられるかというところが非常に大事だと思っております。この意味でも、先ほど申し上げたように、この仕事をすることも、例えば研究者という名前の仕事をするのに比した素敵なものであるというような方向に持っていくのが重要ではないかと思っております。この意味ではもしかすると、この技術職員という役割の周辺でも、産学での人材の循環のようなことも考えていくのもよろしいのかなと思っております。例えば、企業には技師長という方々もおられますので、例えばそことの連関というのもあるのかなと思っております。
 以上です。奥課長、何かありますか。
【奥人材政策課長】  中北委員から給与体系についての御質問がありましたが、基本的にここのガイドラインの中でも、高度専門人材としてふさわしい処遇、評価というのをきちんとやるべきということで、幾つかの大学の事例も紹介させていただきました。これに基づいて、各大学のほうでそれぞれ、専門職としてふさわしい給与体系をきちんと整備していただきたいと思っています。
 また、梶田委員、川辺委員から、現場での確保が必要だというお話がありました。おっしゃるとおり、国立大学の法人化以降、技術職員の数自体が大幅な減少傾向にあります。そのため、運営費交付金の中で承継職員として雇うということはもとより、競争的資金であるとか民間企業からの外部資金等も活用しながら、きちんとしたポストを確保していくことが必要だということも併せて打ち出しをさせていただいているところです。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 小林副大臣は、公務の御予定がございまして、ここで退席をされます。どうもありがとうございました。
 それでは、議事を続けたいと思います。次に、研究振興局(人工知能活用担当)からの御報告をいただきます。豊田戦略官からお願いします。
【豊田研究振興戦略官】  46ページの資料4に基づきまして、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針について御説明いたします。私は、AI戦略官の豊田でございます。文科省は4月からAI担当の新しい部署ができておりまして、そこの初代課長でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 47ページです。AI全体の歴史の中で3つの潮流があるというお話です。近年、AIの発展はすさまじいものです。最近でいうと、2024年にAI分野でノーベル物理学賞とか科学賞とかの受賞もありました。2020年頃から第4次AIブームということで、AIの大衆化が物すごく進んでいます。我々もスマホで日々AIを活用する時代が来ているところです。その中で3つの潮流です。
 一つは、AIそのものの原理に関する流れということで、ブラックボックス性とか、あるいはハルシネーションなど、内部構造が分からないという課題があります。AIそのものの原理解明が求められていることが一つです。
 2つ目は、リスクへの対応です。不確実性が残る中で、AIに相談する中で自死される方も出てきているということで、リスク管理の重要性が指摘されているところです。
 3つ目は、AIトランスフォーメーション、いわゆるAXでして、その中にAI for Scienceも含まれていますが、AI掛ける何々ということで、教育、医療、建設など、そこにサイエンスが入っているということです。
 48ページです。国際動向についてです。米国、EU、英国、中国と挙げさせていただいておりますけれども、特に2025年に主要国でAIに関する国家戦略が相次いで発表されているところが注目点かと思います。
 特に、米国ではGENESIS MISSIONという大統領令が出されておりまして、これはマンハッタン計画あるいはアポロ計画に次ぐものと表現されております。赤字のところでございますけども、今後10年間で米国の研究及び技術革新の生産性と影響力を2倍にするという野心的な構想も掲げられておりまして、初期投資としても、昨年12月にエネルギー省、DOEが3.2億ドルを超える投資を実施するという発表もされました。
 英国におきましても、赤字のところですけれども、通常二、三年かかる薬物候補探索というのを100日で行うということで、こちらも野心的な計画が打ち出されております。
 米国については、3月の日米首脳会談におきましても、日米の協力を深化させていくということが米側のファクトシート、我々のほうでも発表しています。
 49ページです。ここでは主要国の重点分野ということで記載させていただいております。
 50ページです。我が国においても、今年度からの5年間の、第7期科学技術・イノベーション基本計画においてもAI for Scienceをしっかりと位置づけています。AIと科学の融合によって研究パラダイムの転換が起きていて、AI for Scienceが急速に拡大しているという記載もございます。また、第2章の「科学の再興」の中でも、この5つの具体的取組が整理されています。また、国家戦略技術領域の中でもAIがしっかり位置づけられているということかと思います。
 次のページお願いします。ここでは、目指す姿としてビフォーアフターを整理しています。Beforeのところは、数年前までは研究者が時間をかけて調査や実験を行って、論文作成までに2年程度を要する世界観であったところ、現在は、大規模言語モデルの活用、ロボット、スパコンなどを活用できる環境が整いつつあると。ここに、AIエージェントの活用などが入って、右下のところですけれども、科学研究の在り方の変革ということで、科学研究サイクルの加速、論文生産性の向上・省力化、異分野の参入ハードルの低下、新たな科学的知見の創出などが期待されるということかと思います。
 次のページをお願いします。ここでは日本の国際的な立ち位置を示しています。AIが科学研究にどれだけ浸透しているかということで、論文全体に占めるAI関連論文の割合ということで、世界平均が10%程度ですが、インドが20%ぐらいでずっと続いて、米国も10%程度です。日本は7.47%ということで、さらに浸透させる必要があると考えています。
 次のページお願いします。これも日本の現状ですけれども、左上に、AI研究ランキング、スタンフォード大学が2025年に発表したものですが、そこでも日本は10位から11位ということで、AIに必要なGPUなどの計算資源についても、米国が圧倒的に多い中で日本は全体の約1%にとどまっています。投資額についても、左側が民間で右側が政府投資ですけれども、日本がかなり少ないということです。
 56ページお願いします。文科省としても、これ文部科学省決定でございますけれども、3月末に基本的な戦略方針をつくりました。今後5年間の集中改革期間ということで、これがまさに第7期基本計画と軌を一にしたものにしています。
 具体的には57ページです。5年間を集中改革期間として、20のアクションということで取りまとめています。目指すべき姿は、自律性と信頼性を備えた国家の実現ということで、強みとして、情報基盤と研究基盤、社会基盤ということで、情報基盤としてはスパコン、研究基盤としては多様な研究者層、世界最先端の研究装置、高品質な研究データの蓄積などが挙げられると思います。社会基盤としては、経済規模に加えて、ロボティクスや暗黙知、現場知といった日本固有の強みがあるかと思っています。
 その上で、3つの大きな目的を掲げています。第1に、研究の質とスピードを高めることによる研究の抜本的強化。第2に、科学の再興。第3に、国際的優位性と戦略的自律性の確保だと思っております。これらの目的に向けた具体的な目標として、先端的な成果を創出、そして研究期間を10分の1にする、それで国際的優位性を確保するということを挙げています。
 具体的なターゲットの例をその下に掲げておりますけれども、第1は材料系ですが、日本の強みを生かして新材料開発を10倍に加速させる。ラボシステムを構築して、マテリアルの量産を実現すると。第2はライフ系で、大規模データを活用してバイオ生成基盤モデルを構築、創薬やバイオ製品の開発につなげると。第3は、分野横断的なもので、AIエージェントなどを活用して、大型先端研究施設から得られるデータを用いて実験の自動化・自律化を進めて、新たな科学の方法論を創出するということでございます。
 柱となる取組は3つに集約されていまして、研究力・人材、計算資源と研究データかと思っております。具体的な進め方のイメージですが三角形の図です。トップ層を引き上げる取組と裾野拡大の取組とございます。これについては補正予算等でも措置していますので、後ほど御説明いたします。
 次のページお願いします。目指す将来像として、3つの要素の循環ということで、簡単にいきますけども、3番の情報基盤のものと、2番のデータ創出のところ、1番のAI駆動型の研究開発ということで、この循環が必要だと思っています。
 59ページでございます。具体的なKPIということで示させていただいております。基盤として、計算基盤、流通基盤、左側のケーキの図ですけど、計算、流通、データ基盤の上に、研究としてアプリケーション、AIモデルということで、それぞれ、例えば計算基盤であれば10倍にするとか、あるいは研究であれば世界3位にすると、そういった目標を掲げています。それをトータルして、一番下のところですけれども、2030年には、全国どこでも誰でも、AIを高度に駆使した研究活動が可能な社会を実現するというところをターゲットにしています。
 62ページをお願いします。全体の予算規模ですけれども、右上に書いてございますが、今回、補正予算で約1,500億円、そして当初予算で200億円ということで、約1,700億円でスタートしています。このうち研究のところ、左上のところです。AI for Scienceと小さく書いてあるところですけれども、具体的には63ページです。
 これがAI for Scienceによる科学研究革新プログラムということで、補正予算で370億円措置しています。ここにはプロジェクト型、これがトップを引き上げるというもので、チャレンジ型というのが裾野形でございまして、具体的には次のページです。
 このSPReAD 1000というのが裾野拡大型ということで、4月17日に既に公募を開始しております。この1000というのは1000件採択する予定ということでして、1件当たり500万円程度で、対象は大学生とか高専生とかも含みます。あと、民間も含めるということでかなり幅広くアプローチ、実際に研究にAIを使っていただくということを狙いとしています。それで、引き上げるほう、ARiSEの方は5月上旬に公募開始ということで、現在準備をさせていただいております。
 説明は以上でございます。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、本件について御質疑あるいは御意見をお願いしたいと思います。仲委員、お願いします。
【仲委員】  御説明どうもありがとうございました。日々、どんどん上昇していくこのAIの力をどうやって捉えるかについて、こうやって見通しを見せていただきましてありがとうございます。
 心配なところは、このAIが入ってくることで、研究に関する貧富の差が広がってしまわないかということです。最近は本当にAIに任せて、研究計画立て、実験も行い、そして分析も考察も行うというふうなことができるようになっている。それも一つのAIではなくてエージェントにさせて、複数のいろいろなAIの得意技を組み合わせて、そういった活動をしていくというふうなことが、当たり前のようなことになってきていると思います。
 そのときに、例えば専門家の話を聞くと、一つの課題を行うのに何百万円、こういった研究を行うには何百万円、そんなお話を伺ったりします。そうすると、例えば、このJSTの基金など採択された方はいいが、そうでないと、ますますそういうふうな形で推進ができる部分とできない部分との差が広がってくるのではないかと思ったりするところです。
 ですので、こうやって基金化して、応募してという競争的基金というのも重要ですけれども、例えばベーシックインカムならぬベーシック研究費という形で、インフラとして、エージェントなども自由に使えるというようなことを国として考えていかなくてはいけないのではないかなと思うのが一つ。
 それで、それに備えられる人材育成の話がありましたけれども、今はノーコードでプログラムを書ける時代ですので、文理、区別することなく、AI教育を進めていく施策が必要と思いました。質問は、この2つです。
【大野会長】  どうもありがとうございます。まずは御発言をいただいてから、豊田戦略官から少しコメントいただきたいと思います。それでは、相澤委員、お願いいたします。
【相澤委員】  大変詳細な御説明をいただきありがとうございました。AI for Scienceの重要性は、私の情報分野でも、日々感じているところです。仲委員のおっしゃいましたベーシックインカム、実は以前からかなり気にしておりまして、AIはやはり非常にお金がかかるので、ある程度の科学の多様性というものを保つためには、その基盤部分でベーシックインカムに当たる計算リソース含めてサポートしていくことが重要ではないかと感じています。
 また、人材という面で、明らかに不足しているとあちらこちらで言われる人材をカバーできるのはAIだと思いますので、その人材を考える上で、AIをどうやって補充要員として考えていくかというのは重要です。たとえば先ほどの議論に出てまいりました技術職員についても、かなりのところAIでは代替が不可能な部分を担っている重要なポジションだと感じましたので、そういったことも踏まえたバランスを検討に含めていければよいのかと思いました。
【大野会長】  ありがとうございます。深見委員、お願いいたします。
【深見委員】  私も我が国の研究にとって非常に重要なプロジェクトであると考えました。
 一つだけ御質問したかったのは、最初にありました、リスクの問題もあると思います。AIに関しましては、データの取扱いについて、あるべき形を見ていくことも検討する余地があると思いますので、そのデータの取扱いについてどのようにするかとかについて教えていただければと思いました。
【大野会長】  それでは、久世委員、お願いします。
【久世委員】  深見委員のデータの取扱いやセキュリティーは非常に重要です。その上で、データをもっと連携して活用するというのが、このAI for Scienceの本当の勝ち筋だと考えています。
 57ページです。3番目の研究データの高品質データの創出、そのデータの一体的運用に関してです。日本はなぜか、例えば研究者や技術者のメンタリティにも関係していますが、大学においても産業界においても、企業間、大学間、企業の内部でも、組織間の壁があり、自分たちのデータを外部と共有して、そこから新たな価値を生み出すことが難しくなっています。
 こういった組織風土を、データを本気で活用していくように変えていかないと、結局、システム的に優れたプラットフォームを用意しても、高品質のデータが集まらず価値は出ないと思います。何か具体的な仕組み、仕掛け、作戦がないと、日本の場合、変わっていかないように感じていますが、その辺りは、いかがでしょうか。
【大野会長】  ありがとうございます。狩野委員、お願いします。
【狩野委員】  私、もともと医療が専門で、今は教育にも関わっておりますが、そういう領域でAIを使った研究と考えると、やっぱりどうしても個人情報の問題があります。他方では一人に紐づいたいろんな情報が一遍にないと、あまり意味がないという問題もあります。ここは個別の努力に任せているとなかなか基盤が進展しないというのは、例えば医療データでよく見てきました。こういうところを、例えば国が信頼感を担保してやっていくというような考え方もあるかどうか等、ぜひ教えていただければと思います。
【大野会長】  どうもありがとうございます。時間の関係でここまでとし、豊田戦略官、いかがでしょうか。
【豊田研究振興戦略官】  ありがとうございます。
 まず、相澤先生と仲先生のベーシックインカムのところです。今時点でベーシックインカムに直接対応するものはございませんけれども、先ほど御紹介したSPReAD 1000みたいなところがかなりその思想としては近いものとしてあるかなと思います。
 もう一個必要なのは、計算資源をいかに確保するかということかと思っておりまして、アカデミアだけではなくて、やはり民間とか、あるいはその海外の計算資源をどううまく利用していけるかというところもあるかなと思っておりまして、その辺り、経産省とか、あるいは海外の政府機関ともコミュニケーションは始めているところです。
 それと、リスクの問題については65ページに、今回の戦略の中でもデータの扱いについて触れています。もちろんオープン・アンド・クローズ戦略の下ということなのですけれども、これは研究者とか研究機関で留意すべきことということで、原則公開、原則非公開、両方をどちらか検討するものということで、その一番下のところに確認項目としてチェックリストを活用し、各自でチェックができるように例示させていただいております。
 それと、久世先生のデータ連携、一体的運用というところはまさにおっしゃるとおりでございまして、もちろんアカデミア間のデータ共有というところは、これまでも文科省として、進めてございますけれども、特にアカデミアと民間とのデータ連携というのをもっと進められないかということで、経産省ともコミュニケーションを取っています。
 恐らく、どこまでいっても、このドメインごとというか、一般的に全部のやつをというよりかは、各それぞれのドメインごととか、あるいはそれぞれの課題ごとにどうステークホルダー組んで、お互いに競争領域とか非競争領域というのを設定して、データを出すメリットというのも、多分企業も基本的にはクローズの世界が多いと思うので、そこの辺りをどうつくっていくか。きっと、そのデータを持ち寄ることで、1社ではできないデータ量で、例えば基盤モデルをつくることで、それが還元されるのであれば、じゃあ我が社も出そうとか、そういうことだってあると思うのですけれども、きっと、そういうメリットもしっかりつくった上で、その辺りのデータの連携を、オープンクローズ戦略だと思いますけど、どうしていくかということをまさに今検討していますので、引き続きいろいろと御指導いただけたらありがたく思っております。
 狩野先生のご質問は、大変難しい質問かとは思いますが、もちろん国家にとってその辺の情報をどう管理するのかという文脈もありますし、研究を進めるに当たって、その辺りをどう、ちゃんと整備するのかというのもあると思います。そこは、恐らくそれもドメインごとのそういう研究データベースがあって、そこをどう整備していくのかという話だと思いますので、その視点でも少し私のほうでも確認したいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【大野会長】  どうもありがとうございました。まだまだ御意見がありそうですけれども、時間の関係で次の御報告に行きたいと思います。
 次は、大臣官房文教施設企画・防災部からの報告を早田室長からお願いいたします。
【早田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  私からは、国立大学法人等施設整備5か年計画の策定について報告をさせていただきます。
 まず、そもそもこの計画は、教育・研究の機能を最大化するために国立大学法人をどのように施設整備するかという方向性や、5年間でどの程度の施設整備を行うかという整備量を示した計画です。この計画は、第2期科学技術基本計画の中で、当時、大学施設の老朽化や狭隘化の解消が重要な課題とされ、そのときに、緊急整備計画として平成13年度に策定したことが始まりです。ここから科学技術基本計画と連動させながら、5年ごとに改定を行ってまいりました。昨年度末に、第6次ということで改めて計画を策定しましたので、それについて報告をさせていただきます。
 大切なこととして、国立大学法人は、知と人材の集積拠点として地域や世界とともに発展すること、国家的な資産として、多様なステークホルダーが競争したり、安全・安心な拠点として整備したりするということが求められております。
 こういったことを踏まえて、施設の目指す方向性として、イノベーション・コモンズの実装化と地域の防災拠点の実現という、大きく2つの方向性を打ち出しました。このイノベーション・コモンズという言葉が耳慣れない言葉だと思いますが、どういうものかと申しますと、教育や研究等のあらゆる分野・場面で、地域、産業、海外とともに創造活動を展開する場所のことです。その下に写真が幾つか並んでいますが、こういったものがイメージです。
  イノベーション・コモンズは、前回の第5次計画で打ち出したのですけれども、その後、じわじわと各大学において浸透し、個々の施設においては幾つか取組が見られているという状況です。これをキャンパス全体に拡大し、さらなる成果創出につなげていこうという願いを込めまして、実装化とさせていただきました。
 もう一つ、地域の防災拠点の実現とは、災害時に災害拠点病院、また地域の避難所としての機能を果たせるように、対災害性を強化しようというものです。
 82ページを御覧ください。国立大学法人は全国で、約2,650万平米保有をしておりますが、次の5か年で、そのうちの約3割に相当する820万平米を多様な財源も含めて、国費以外の財源も含めて、1兆4,500億円通じて整備をしていこうという計画です。そのうちの大半、780万平米が老朽改善整備でして、戦略的にリノベーションをしながら建物を80から100年間かけて使い続けるという長寿命化のライフサイクルを定着させることを目指しております。これに加えて、新たな教育ニーズに対応する必要もありますので、新増築についても15万平米実施していくという計画を立てております。
 この実現のための実施方針として3つ掲げています。1つ目は、施設整備費補助金をはじめとした国の予算の安定的確保。2つ目が、長寿命化ライフサイクルの定着等の全学的な施設マネジメントの推進。3つ目が、地方公共団体や産業界との連携について取り組むということです。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、本件について何か御質問あるいは御意見ございますでしょうか。
 もしございませんようでしたら、後で御発言を全体でいただける時間が取れれば取りたいと思っていますので、どうぞそのときによろしくお願いいたします。
 以上で、議題の1が終わりました。
 続いて、議題の2です。「第7期科学技術・イノベーション基本計画について」、本計画を踏まえた検討状況、そして最近の日本成長戦略会議をめぐる動きについて、文部科学省から御説明いただきたいと思います。それでは、まず近藤研究開発戦略課長及び俵科学技術・学術総括官から、合わせて15分で御説明をお願いいたします。
【近藤研究開発戦略課長】  本日は、まず前半5分程度で資料6に基づき、本年3月27日に閣議決定いたしました基本計画の概要について、私、研究開発戦略課長、近藤より御報告させていただきます。その後、続けて、10分程度で総括官の俵より、直近の動きとして日本成長戦略会議における議論について、特に文部科学省に関連する部分を御説明させていただければと思います。
 本審議会の委員の皆様におかれましては、これまで3回の総会にて、基本計画に盛り込むべき事項について御審議いただいてまいりました。具体的には、改選直後の昨年3月の時点で、基本計画の改定に向けて検討すべき課題や方向性について御意見を伺い、7月の時点での内閣府の検討状況、あるいは11月には「科学の再興」に関する有識者会議の検討状況を御報告させていただいたところです。
 84ページをお願いいたします。科学技術基本計画ですが、科学技術基本法に基づき、5年ごとに作成されております。1996年の第1期の計画策定から昨年度までの6期の概要、資料のとおりでございます。この基本計画の特徴の一つといたしましては、5年間の政府目標、投資目標を定めている点でして、6期の基本計画期間中、政府投資目標30兆円に対しまして、実績は43.6兆円となっております。一方で、官民合わせた研究開発投資は、2024年度までの4年間の実績として86.3兆円にとどまっておりまして、目標の120兆円を下回る見込みということになっています。
 85ページを御覧ください。第7期基本計画の全体像をお示しさせていただいております。科学とビジネスの近接化、あるいはAIと科学の融合、国際的な科学技術人材の獲得競争の激化という現状認識、あるいは、我が国の課題として既に御案内のとおり、トップレベル論文数指標のランキングの下落、博士号取得者数や研究開発投資の伸び悩みといった点を整理させていただいているところです。
 目指すべき未来社会としては、科学技術・イノベーションの強化によって好循環を生み出し、豊かで安全・安心な社会を目指すということをお示しした上で、これを実現するための基本方針として、下段、科学技術・イノベーション政策の転換あるいは推進システムの刷新を掲げまして、この科学技術を国力の源泉とするという方針を示しております。
 具体的な政策の柱は、最下段の6つの柱を掲げておりますが、これらの最も根幹に位置するものとして、知の基盤としての「科学の再興」という方針を示しているところです。
 86ページ以降、具体的な施策並べておりますが、詳細は割愛させていただきます。例えば、文部科学省に最も関連するものとしては「科学の再興」ですので、86ページに掲げられた施策になっております。既にこれらの施策を推進するため、初年度となる令和8年度予算としては、政府全体として6.3兆円措置しており、文部科学省としては、国立大学運営費交付金などの基盤的経費、あるいは科研費などの研究費、合わせまして約2.1兆円を科学技術関係予算として措置しているところです。
 文部科学省といたしましては、次年度以降もしっかりと予算確保に努めてまいりたいと考えておりますが、まずはこの令和8年度予算で措置されたもの、あるいは前半の議論でございました国際卓越研究大学やJ-PEAKSなどの過年度の補正予算等で措置された事業、それから、先ほどの御報告でありましたAI for Scienceなどの、令和7年度補正予算によって新たに措置された事業なども通じて、この科学の再興の実現に向けまして、関連する事業をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
 文科省としては、この計画に基づきまして、科学の再興に掲げられた政策中心に、本審議会の委員の皆様あるいは現場の研究者、関係者の皆様との対話を図りながら、関連事業をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
【俵科学技術・学術総括官】  ありがとうございます。続けて、日本成長戦略会議の議論について報告をさせていただきます。この日本成長戦略会議については、さらなる我が国の経済の成長実現のためということで、昨年の11月に総理を議長とする会議として開催がされているものになります。
 最初は2ページ目をご覧ください。この成長戦略会議の本体の下に、左側、戦略分野の分科会、これは17の分野をベースにしてワーキンググループなどが開かれていますが、それと併せて、右側になりますけども、分野横断的課題への対応ということで、(1)から(8)まで分科会が開かれています。文部科学大臣を会長とするものは、これらのうち、(2)の人材育成のところになっていまして、ここについては、大臣のほか副大臣、政務官も構成員として入っていただき、かつ有識者の先生に入っていただきながら議論を進めてきています。
 この人材育成分科会のビジョンについては、実は今朝分科会を開催し、ビジョン案を示させていただいていますが、本日は、先週の22日に、この分科会のビジョン案のエッセンスとなる内容を大臣から報告させていただいていますので、22日の報告の内容をベースに説明をさせていただきたいと思います。
 そのほか一つだけ、(1)に新技術立国も分科会として開かれています。これも関係あるので少しだけ最後に触れたいと思います。
 3ページ目をご覧ください。人材育成について、本日の議論、報告もいただいていますけれども、現状と課題のところです。これは最初の黒丸のところにありますが、人材需要、これが大きく変化する中、理系が少ないという、この現在の学びの構造のままであると、理工・デジタル系人材や、現場人材、これらの不足によってミスマッチ、これらが生じる懸念があるというのが一つです。黒(2)番のところ、これは、地方、地域の医療・福祉、産業、こういった地方の維持に不可欠な人材の不足の懸念というものです。3番目の黒丸、これは17の戦略分野との関係でも、人材課題があるだろうということで、3つ挙げています。先ほどと重なりますが、各産業を支える理工・デジタル系人材、現場自体の不足。2番目として、高度化する技術や新しい知識・技能への対応。3番目として、新しい価値を生み出すイノベーション人材の不足、これらの課題にどう対応していくかというのを中心として議論いただきました。
 4ページ目をご覧ください。対応の方向性についてです。課題への対応の方向性ということで書いていますが、最初の黒丸のところ、教育機関が産業界とも協働しつつ、「イノベーション」を興すことのできる人材や「現場」を支える人材を戦略的に育成するということで、そのために、2番目の黒丸になりますが、人材育成システム改革ビジョンを作成して、高校から大学・大学院、また社会人も含めての人材育成システム改革も進めるということで、高校から社会人まで一貫したシステムとして取り組むことが必要だろうということの方向性を出していただいています。
 次のページお願いします。最初の(1)として、このAX時代における産業基盤を支える人材育成に向けた、一つは、高校教育、それと高等教育の一体的改革ということでここに示していただいています。(1)、高校教育改革、(2)、高校教育改革と連動した高等教育改革ということで、大学の規模適正化、これらをはじめとした社会・地域のニーズを踏まえた高等教育の実現に向けて、一人一人の学生に対する支援の充実と教育の質の向上、これらが必要だということで、これらを進めるというのが一つです。これらの中には、理工・デジタル系人材育成の強化、知事と学長等の産学官金の関係者が連携した取組、こういったことも具体的に示していただいています。
 (3)のところ、高度化する技術や新しい知識・技能への対応ということで、a、リスキリングの推進、c、地域で必要な人材の育成に向けた専門学校の教育の質の向上、f、新しい産学連携の形として産学が協力して設置・運営して学位の授与を行う「契約学科」の推進、こういったことも示していただいています。
 次のページお願いします。ここが主に科学技術人材、先ほどの取組とも連携しますけれども、クリエイティブ人材の育成、科学技術人材の育成ということでまとめていただいています。
 (1)のところ、aにありますけども、産学での研究開発を通じた研究者・技術者の育成、あるいは若手研究者を中心とした新興・融合研究の促進、b、基盤経費と多様な競争的研究の充実・強化ということで、運営費交付金や科研費の大幅な拡充。
 (2)のところ、産業イノベーションをけん引する研究大学群の形成や国立研究開発法人の機能強化ということで、先ほど久世先生や千葉先生からの報告の中にも、研究大学群の形成について触れていただいています。ここについては、aのところになりますが、戦略17分野を中心とする産業競争力強化、これに貢献する新たな大学群の形成に向けて、特定分野において特に高い研究力を有する大学を認定して、研究開発、社会実装の中長期的な支援、これらを行う新たな制度の創設の検討ということで示していただいています。
 7ページをご覧ください。これは先ほどの科学技術人材の育成に関する施策について箇条書で示させていただきましたけども、それらを絵に表すとこういった形だろうということです。左側、多様な科学技術人材の育成・活躍、右側の上に、各教育段階における科学技術人材の育成、真ん中のところ、制度・システム改革の推進、最後に、基盤となる施策ということで整理をしています。
 次のページお願いします。こちらは、先ほどの研究大学群と国研の機能の強化ということで、左側と右側に整理をさせていただいています。
 9ページをご覧ください。特に左側の研究大学群の形成に関して、絵として示させていただきました。左の上のところに、世界最高水準のトップ研究大学の実現ということで、国際卓越研究大学、右側の上のところ、地域の中核となる研究大学ということでJ-PEAKS、それらに加えて、赤のところになりますが、産業競争力の強化に貢献する研究大学群の形成、これらをつくっていきたいと思っています。
 10ページをご覧ください。これは先ほどの新技術立国の分科会の中でも、赤枠に囲んでいるところですけれども、研究開発法人等の技術シーズの徹底した社会実装の実現と、産業競争力・研究力中核大学群、これは研究大学群をこういった名前で表現していますけども、その形成についても触れていただいています。
 11ページをご覧ください。これは先ほどの4月22日の戦略会議の中での総理の御発言の中でも、黄色で示していますけども、松本文科大臣、赤澤大臣は、産業競争力強化に貢献する新たな大学群の形成に向けて、17分野を中心に、中長期的に支援する制度の創設を検討してくださいと示していただいています。
 これらのことや、人材育成含めて、骨太の方針や成長戦略の内容、あるいは概算要求にもつなげられるように、引き続き大臣、副大臣、政務官とともに、また、分科会の先生方の協力も得ながら、具体的な取組につなげていきたい、そう考えています。よろしくお願いします。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、本件について意見交換、そして質疑応答も併せて行いたいと思います。前回の本会議において素案として審議状況が報告されました、第7期科学技術・イノベーション基本計画ですけれども、3月27日に閣議決定されています。最近の日本成長戦略会議における検討状況と併せて今御説明いただいたところです。今のお話にありましたけれども、これを受けて、これから5年間の基本計画期間中に文部科学省が推進すべきと考えられる取組の進め方や課題などについて、幅広く御意見、御質問を頂戴したいと思います。
 それではいかがでしょうか。狩野委員。
【狩野委員】  私、昨年度から大学の付属学校の担当をしていて幼・小・中・特別支援学校を見ており、及び、今年度からベネッセ教育総合研究所の理事をクロスアポイントしています。そのような観点から、この人材育成の重要性、極めて重要だと思って拝読し、後半に御紹介いただいた中で、場所によって高校と書いてあったり、小・中からと書いてあったりしています。できれば小学校・中学校から大事かなと思います。
 理由は、高校になると皆さん受験で頭がいっぱいになってきてしまう感じがします。より早期から、もし向いているのだったらこういう世界に入っていくということを考えて欲しいと思っています。それで、こういう世界というものの中身も、先ほどから話があるように、いわゆる今のアカデミアが設定する世界観だけではなく、産業と共にある世界観ということ、あるいは先ほどの多様な人材の在り方という「大きな地図」を持ったうえで、自分が一体どれに適正があるのかということを考えてもらうような機会が設定できるといいな、というのが一つ思っております。
 関連して、基本計画のところで書いてございました、戦略的科学技術外交の推進というところが、昔、外務大臣次席科学技術顧問という仕事を託されて初代をやりましたので、そのときの経験ですが、そのときに、高校生の中でこういうのに興味があるからやりたいって言っている人がやってきました。じゃあその人にどういう人生設計を与えてあげたら、この世界の人になるのかというのは、すごく分かりにくいです。いわゆる普通のアカデミアに行って業績を積み初めてここに来てくださいと言うのか、あるいは、せっかく興味があるから外務省に入ってくださいと言うのか、でも外務省に入ったらこの領域に直接行くわけではないわけです。そういうことで、こういう計画をつくったときに一体誰が担うのか、その担ってくれる人は一体どうやって育てていくのかというのは極めて重要な観点であるということを考えた次第です。
 それらを含めて、ぜひ、よりいい人が育っていくように、多様ないい人が育っていくように、文部科学省でも検討をお願いしたいと思って発言をいたしました。
【大野会長】  ありがとうございます。最後にまとめて文科省のほうから何かありましたら御発言をいただきたいと思います。まずは御質問、その他から始めたいと思います。寺井委員、お願いします。
【寺井委員】  理系人材が不足しているという要因の中に、やはり教育制度上の問題というのはずっと前から挙げられていますし、今回の御報告でも、それに対する対応策をたくさん、有効的なものを提案していただいております。
 ただ、私はやはり、理系人材が不足する社会的、文化的要因というのがあるのではないかと。理系がどちらかというと割の合わない職業と皆さん思われているのではないかということを最近思っております。例えば、学習負荷は高いですし、修業年限も長い。民間では賃金が必ずしも高くないというふうな感じで、合理的に考えると、もともと敬遠されやすいのではないかなと思っております。
 もう一つは、理系のロールモデルが見えにくいのです。成功物語として語られてない、語られにくいというようなことが我が国ではずっとあった。メディアでの評価も同じようなことがある。政治とか経済とか法曹関係、これは、やはりメディアはよく取り上げていただきますけども、理系の成功例みたいなものというと、せいぜいノーベル賞です。やっぱり一番注目を浴びるのはそれぐらいですということであります。
 それからもう一つ、失敗に対して不寛容な文化がやはりあるのではないかと。研究や技術開発は、本質的に失敗するものでありその連続だということは、我々には分かりますけども、なかなか日本の社会ではそういったところが受け入れ難いというようなところもあり、理系が結局、社会的・文化的に敬遠される素地があるのではないかなと思います。だからこそ、例えば若いお母さん、お父さん方に対する理系に対するリテラシーみたいなものを上げていただくような政策、そういったものも必要なのではないかなと思っております。
【大野会長】  どうもありがとうございます。オンラインでもたくさんの手が挙がっておりますので、できるだけたくさんの方々に御発言いただきたいと思いますので、御発言、恐縮ですけど短めにお願いしたいと思います。それでは、原田委員、お願いします。
【原田委員】  第7期科学技術・イノベーション基本計画、科学の再興に向けて多様なKPIが設定されていますが、これが絵に描いた餅にならないように、その目標をいかに達成するのか、そういう着実な戦略の策定と財源確保、この両面、充実を図っていただきたいと思います。
 先ほど、日本成長戦略会議の人材育成に関して、大変詳細な戦略が述べられていましたが、こういった戦略が各KPIにあるのかどうか。また、それから設定された投資金額についても、必要な金額の積み上げになっているのかどうか、こういったことを確認しながら、引き続き充実を図ってほしいと思います。
 一例示したいと思いますが、海外に派遣する日本人研究者をいつまでに何人増やすか。KPIが掲げられていましたが、これをどう達成するのか道筋を具体化する必要があると思います。去年、私の研究所でも若手が、JSPSの海外特別研究員に採択されましたが、受入れ希望先のコロンビア大学から、年間400万ほど給料が足りないと、それを理由に断られ辞退せざるを得なかったという現実があります。
 ですので、若手の海外派遣の給与の支給金額について、欧米のトップクラスの大学から受入れを断られるような状況であるということをしっかりと認識していただいて、若手が海外への研さんを積む機会を諦めるということのないようにしていただきたい。海外派遣は、ごく一例でして、意欲とかやりがいだけではこのKPI目標達成は無理なので、それをいかに達成するのか、着実な戦略と、それに見合った充実した投資を求めます。
【大野会長】  どうもありがとうございます。それでは、佐伯委員、お願いいたします。
【佐伯委員】  私も人材育成に関して少し意見を述べさせていただきます。先ほど、分野と実際の人材育成、ミスマッチがあると報告にありました。特に理系が少ないとお話がありました。大学で教育に携わる者として、入試制度のせいもあると責任も感じているところではございますが、例えば高校段階にて、そもそも、理系と文系が分かれているという状況が、非常に問題が多いと考えております。
 現在、文系も理系も問わず、AIなど理系的な思考を要求するような仕事、それからそういった社会的な要求が高まっておりますが、例えば文系を選んで高校で学習をしてしまうと、例えば数学であるとか、あるいは理学系の学問であるとか、そういったことの基礎がほとんどできていないまま大学に進学してしまいます。そうすると、大学でまた教育をしなければいけないといったことになり、なかなか総合的な知力を持った学生を輩出しにくいということがございます。ですので、高校段階から、できれば文系と理系という敷居を取り去って、なかなか難しいとは思うのですけれども、その辺りも今後考えていっていただければなと思いました。それが1点。
 それから、人材育成の中で博士人材の育成が非常に重要な観点となっていると思います。その人数を増やすというKPIも示されておりますけれども、その一つの方策として、修士課程に対する支援、こちらのほうも忘れてはならないと思います。現時点で、学部生から修士に大体理系の学生は行くことが多いですが、その中で、博士課程に進学する学生が少ないということです。なので、例えば、博士課程まで行くということを前提に修士課程で支援を行うとか、つまり優秀な修士課程の学生が博士課程にしっかりとそのまま進学できるようなインセンティブを与えるといったような施策も必要ではないかと思いました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【大野会長】  どうもありがとうございます。それでは、会場に戻りまして、明和委員。
【明和委員】  御説明ありがとうございます。私から一言申し上げさせていただきます。85ページを御覧ください。第7期の科学技術・イノベーション基本計画の目指すべき未来像として「一人ひとりの多様なwell-beingにチャレンジし、実現できる社会」という文言を入れていただいたことには、本当に感謝しております。
 今の時代、20万年前にこの地球上に誕生したホモ・サピエンスの体、心は変わっていませんが、ヒトが生きる環境だけがこれだけ激変している中で、well-being向上を目指すことはきわめて大事だと思います。ただし、です。このwell-beingの捉え方をもう少し深めながら、そこに科学がどうコミットできるかという視点を入れていただくということは極めて大事です。実はこの点こそが、日本が非常にアドバンテージを持った学術的価値を発信できるポテンシャルをもつのではないか、と考えます。
 well-beingというのは、WHOの定義でありますように、バイオ―サイコ―ソーシャル、つまり身体的健康、それからサイコ、心の健康、そしてソーシャル、社会的存在として自分は受け入れられていると実感できる、この3つの次元を総合的にとらえる、そして、これら3次元のどこに重みづけを置くかによって、一人一人の多様なwell-beingが表現されます。いかにwell-beingを高められるような人材育成をするかが、日本という国の科学技術を牽引する、真に必要な人材育成の方向になるのではないかと思っております。
 そう考えますと、私は、理系人材を増やすという発想、これももちろん大事ですけれども、well-beingとは何か、人々が幸せになるための科学の方向とは何かを根幹として考え、自然科学のアプローチ、いわゆる理工系の知識や技術というものを得意とする、文理融合という言葉も古いですけれども、こうしたイメージを持てる脳を育てることが、きわめて大切だと思います。先ほど狩野先生がおっしゃいましたけれども、高校生になってからこうした人材を育成しようとするのではヒトの脳発達においては遅く、小・中、つまり思春期以前の段階から、知能だけではなく知性、感性を育てることが重要です。こうした点も含み入れていただきながら、ここで意味されている理工系人材の増加、とくに「増やす」とは何を強化する人材育成なのかを考えていただけるとうれしいです。
【大野会長】  どうもありがとうございます。あと30分ないので、1人2分御発言いただいても4時に終わらないという状況でございますので、私としてはこのKPIを何とかしたいなと思っています。
 それでは、山崎委員、お願いいたします。
【山崎委員】  第7期の基本計画の策定、本当に皆様の御尽力に感謝したいと思います。まず人材、とても大事だと私も思います。先ほど来言われていますとおり、理系人材だけでなく、やはり文系、理系問わず科学的思考、論法を学ぶということはとても大切だと思っています。
 これは、コロナのときにも科学コミュニケーションの大事さがうたわれましたけれども、データからどんなことが導かれるのか、何が分かっていて何がまだ分かっていないのか、そうしたところは理系、文系問わずマスターすることで、これからのAI時代をきちんと強化できると思っております。また、そのための生涯学習というものも大事だということを付け加えさせていただきます。
 2点目としまして、先ほど来、ベーシックインカムのようなお話もありましたけれども、これからの時代、やはりそうした公共財の考え方が大切だと思います。施設の話もありましたが、大学等の施設も、大学間だけではなくて広く民間などへの開放なども、より強化していただく、あるいは計算資源、それから、スタートアップ支援に関しましては国の資産、投資として培った知財、特許、IPのようなものも、できるだけ公共資材とみなすような、そうした広い意味での公共知財、公共のインフラを強化することによって幅広く、この科学技術・イノベーションの強化につながると思っております。
【大野会長】  どうもありがとうございます。それでは、オンラインの、まずこれまで御発言されてない方として、宮澤委員、お願いいたします。
【宮澤委員】  第7期科学技術・イノベーション基本計画について発言いたします。86ページをご覧ください。知の基盤としての「科学の再興」について、府省庁からの基礎研究への投資の推進という記載がここにございます。他方で、防災庁が年内に新たに設置されると伺っております。次の87ページ、技術領域の戦略的重点化には、左側の真ん中あたりに(6)防災・国土強靱化というのがございますけども、これらは切り離すことができない関係にあると考えております。ですので、この点を第7期の基本計画の中でどのように位置づけるか、ぜひ考えていっていただきたいです。
【大野会長】  それでは、同じくオンラインで、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】  佐伯委員、山崎委員からお話ありましたとおり、人材育成の文脈で申し上げると、理系の基盤がいわゆる文系には必要だというのは私もそのとおりだと思っていて、逆に文系が余るということが言われている中ですから、文系と言われている教育の体系というのを変えるチャンスかもしれないと捉えています。つまり、従来の文系というのではなくて、理系のエッセンスを含めた文系という新しい人材を育てていくというところが一つ、将来の方向性になるのではないのかなと考えています。
 前半の第7期のほうは1つ質問があるので、92ページをご覧ください。最後の科学技術・イノベーションへの投資について、目標と現状という乖離が少し気になるところではあって、この180億というところをどう実現していくのか。一つは税制改正というのはあるのは理解している中で、文科省としてどういった方策が考えられるかというところについては伺いたいと思います。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、会場に戻りまして、質問等のお答えは後でしていただきたいと思いますが、佐藤委員。
【佐藤委員】  今いろいろ御意見出ているような、高等教育に向けて、理系人材をいかに確保していくか、伸ばしていくかということも非常に重要だということは私も同感ですが、技術士分科会の担当を勤めている関係から一つ申し上げたいと思います。日本成長戦略会議の資料の7ページに、技術者という言葉は入ってはいるけれども、優秀で視野の広い技術者を育成するための制度として技術士の制度が既にあるわけですが、これを人材育成の仕掛けとしてもうちょっと国として活用できたらなと日頃思っております。そういったこともここに盛り込んで、企業で、産業界で社会実装していくような視野の広い人材を育成する仕掛けとしての重要性というのをもう少しうたっていただけるといいなと思いました。
【大野会長】  ありがとうございます。それでは、久保田委員、お願いいたします。
【久保田委員】  私から、成長戦略会議の議論について、一言申し上げたいと思います。2ページ目に、検討体制ということで、戦略分野、それから分野横断的課題への対応ということで、大変重要なテーマが書かれていると思うのですけども、一方、異分野での融合ということから新しい価値も出てくるというのもありますので、ぜひ異分野の交流を図るような仕組みなり、異分野がうまく回るようなことができるようになればよろしいかなと思っている次第です。
【大野会長】  ありがとうございます。続いて、菅野委員、お願いします。
【菅野委員】  私から、少し違った観点から。サイエンスをやる、研究をやるということは、結局人がやるので、魅力的でないといけないというように思います。魅力的であるためにはどのような環境を整えるか。例えば、AI for Scienceに関して、多分AI for ScientistからAI for Scienceに行くまでには大きなギャップがある。それをベースに言えば、魅力のあるデータベース、データ環境というのが必要で、いかに魅力的にするかでそこが乗り越えられるだろうと思います。
 それで、人材育成に関して、私自身は、博士を出た若い技術者、研究者の交流が重要であると思いますが、その場合も、いろんな交流をする場合、大学の環境、研究環境が魅力的でないと産業界から見てくれないという状況があります。国際交流に関しても、送り出しに関して様々議論されていますけれども、送り出しも受入れも、ともに日本の研究環境が魅力的でないと、送り出す先も相手にしてくれない。向こうからも入ってこられないという状況ですので、魅力的な研究環境をつくるということが一番大事なのではないかと考えます。
【大野会長】  ありがとうございます。それでは、大須賀委員、お願いいたします。
【大須賀委員】  私は、第7期基本計画の方針にある、科学研究と社会実装の一体的推進について一言発言いたします。私、医学が専門なのですが、昨今、医学系研究ではすぐに社会実装を求められるものが非常に多い。先ほどから出ておりますが、科学研究は確かに理系の方が非常に重要で、理系の発想で魅力ある基礎研究を行うというのは非常に重要なのですが、社会実装の部分まで理系の人だけで実施しようとすると、これはむしろ無理がある。すばらしい基礎研究をする科学者は基礎研究を精いっぱいやって、そして社会実装はむしろ、ビジネスマンがいっぱい考えて、ビジネスマンの発想で豊かに考えることによってむしろ社会実装ができるかもしれないということです。この一体的推進という言葉はいいが、一体的推進の中身が、必ずしも理系だけではなくて、ビジネスマン、また、ビジネスをやるような方の発想も入れて、社会実装につなげていくというふうな観点もぜひ入れてほしいなと思っております。
【大野会長】  ありがとうございました。それでは、上田委員、お願いします。
【上田(浩)委員】  まず、理系人材の確保に関して、先ほどから先に出ていた意見とちょっと重なるのですけれど、高校生レベルで考えていくのではなくて、やはり幼少期から理系の脳を育てていくというのは重要だと考えております。インドでは、インド式計算しかり、幼少期から科学的、理系の考え方が身について、あれだけ理系の人材が発掘されて成功を収めております。日本も倣うべきだと思います。
 また、もう少し進んで、高校でも今スーパーサイエンスハイスクールとか、あるいは理数科設けている高校とかもありますが、もう少しそこでも大胆に拡充して理系人材を育てていくべきかと考えております。
 加えて、これも先ほどから出ましたが、修士でやっぱり就職をしてしまう方が多い。それはやはり、働き口の不安と、あと、3年以上お金がかかって卒業するということに躊躇する。そこで岐路に立つと思います。そこで、その修士から博士への移行に関して、やっぱり奨学金なり国でのサポートが必要ですし、企業としては修士卒業時点で就職を確定した上で、博士課程への進学支援、そういうふうなものも抱き合わせて、企業とタイアップして博士の人材を築いていくということも必要かなと思います。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  基本計画に関して、先ほど明和委員からwell-beingの話が出ました。第6期のときには、well-beingの実現を目指すために、総合知を活用しようという話がありました。「総合知による社会変革」を目標として、そのために科学技術基本法を改正して、それまでは入ってなかった「人文社会科学」も入れたわけです。
 「総合知」、つまり深い専門的な知識を総合し組織化した知、ここではディシプリンによって文系と理系に分かれた深い専門的な知の総合ですが、それを第6期で5年間やってきました。私としては、あまりうまくいっていない、道半ばであると思っています。
 今回の基本計画の中では、それは大きな目標には掲げていません。ただし注目したのは、先ほど説明があった、第7期基本計画における「AI for Scienceのポイント」、通し番号の50ページのところです。ここで、「研究開発は、少数の天才研究者による発見を中心にした体系から、計算資源・データ・アルゴリズム・人間の知が統合された体系へと転換しつつある」としています。第6期の課題であった「総合知」を、人間に代わってAIが実現する可能性は多分ないだろうと思いながらも、面白いと思いました。もちろん「総合知」はこれまで通り人間が追求しながら、この課題についての、AI for Scienceの進展を期待しています。
【大野会長】  どうもありがとうございます。続きまして鷹野委員、お願いいたします。
【鷹野委員】  ダイバーシティーの視点で一言申し上げたいと思います。91ページです。参考資料ですが、資料の中に、KPIとして大学教授等の女性比率というものが掲げられております。これは、私の推測としては、大学教員の現在の女性比率とか、大学、大学院の女子学生の比率、そういったものに基づいた、ある程度現実的な目標だと思いますが、これは国際的に見てかなり低い状況ということを、改めて認識する必要があるのではないかと感じております。
 ダイバーシティーの視点の、予備軍が少ないというところをもっと強力に解決する。そういった施策が必要なのではないか。既に実施しておりますけれども、さらに強力に進める必要があるのではないかと思った次第です。
 それからもう一つ、この同じ資料の中に、テクニシャンの倍増というか増加ということが書かれています。質問になりますが、人材委員会のほうで技術職員について大変すばらしく整理し、道筋をつけてくださいましたが、この資料との関係がちょっと分からなかったので、もし可能でしたら教えていただきたいと思います。
【大野会長】  どうもありがとうございます。あと、今御発言御希望の梶田委員、そして久世委員、御発言いただいた後、上田会長代理と私から発言して、その後で文科省から御発言をいただきたいと思います。それでは、梶田委員、お待たせしました。お願いします。
【梶田委員】  御説明ありがとうございました。私のほうからは、第7期の科学技術・イノベーション基本計画についてです。まず、知の基盤としての「科学の再興」が最初に掲げられたことを大変うれしく思います。ぜひ推進をお願いいたします。
 それから、91ページで、研究力の向上に関する指標を見させていただいておりますが、第1、第2グループ等の大学の研究時間50%など、非常に重要な指標が示され、これらが達成されれば、その結果として、同じく指標にありますTop10%補正論文数、世界3位相当も見えてくるのではないかと思っています。
 ただ、研究時間50%を確保するには、例えば、AIを導入すればいいとかそういう簡単な話ではなく、もちろんAIは重要ですけど、恐らく現実にはURAとか事務系職員、技術系職員などの研究サポート人材の大幅増加、具体的にどのくらいかは分からないですが、感覚的には2倍など、なくしてはできないのかなと思いました。
 先ほどの技術職員の議論とも関わってきますが、同じくこのページで、研究者1人当たりの高度専門人材数で、先ほどのコメントにもありましたが、大体2倍にする旨が書かれており、これは本当大変心強く思いました。ぜひ、この研究サポート人材を倍にするような施策をしっかりと打っていただいて、この指標を実現していただければと思います。
【大野会長】  ありがとうございました。それでは、久世委員、お願いします。
【久世委員】  手短に2点あります。
 一つは、佐伯委員はじめ何名かの委員の方がおっしゃられていますが、理系と文系といった考え方は、無くしていく必要があると考えています。先ほど、佐伯委員のご意見に賛成で、高校で理系と文系を分けるのをやめてしまうぐらいでないと、日本の状況は変わらないと思います。
 二点目は、産学官の連携のところです。先ほど、第6次国立大学法人の施設整備の5か年計画のご説明で、土地が820万平米とありました。現在も、企業が大学や研究室に、一部、場所を借りたり、スペースを借りたり、共同研究で企業が何か場所をつくるというのはありますが、企業の研究所が丸ごと大学のキャンパスに移るようなより積極的な仕組み、仕掛け、施策ができないかなと思って聞いておりました。
 前職IBMのときは、例えば、IBMの研究所をインドやイスラエルで立ち上げる際に、まず、インド工科大学やイスラエル工科大学のキャンパスの中に、研究所を設立し、その後は独立しました。デジタルやオンラインが主流の時代になっても、物理的に同じ場所に身を置き、そこの研究者や技術者が密接に交流する環境が、非常に重要だと考えています。日本でも、それぐらい大胆なことをやっていかないと、なかなか産学連携が進んでいかないのではないかなと感じています。
【大野会長】  どうもありがとうございました。それでは、上田会長代理から御発言ください。
【上田(輝)会長代理】  私自身は、今回の資料の内容は非常に多様な視点で整理されており、内容は充実していると感じています。ただ、科学技術・イノベーション基本計画の資料の2ページ目に過去の計画の推移が掲載されていますが、こういうふうに1996年からこういう計画をやってきたにもかかわらず、2000年代初頭から我が国の相対的な研究力低下ということも一方で書かれている。ということは、これまでの科学技術・イノベーション基本計画の成果というものがある意味で限定的であったということになります。大きな視点で見た場合ということになりますが、これは重要なポイントだと思います。
 それを踏まえると、改善すべき課題について、一度、過去の科学技術・イノベーション基本計画の実行の結果、得られた知見というものを整理しておくことが重要になるというのが1点目です。これは、やはり日本の競争力の強化に最終的につながっていくような実効性のある計画、あるいはいろいろなプロセスを適切なタイミングでレビューしながら実行していくことが重要になると思います。
 2つ目は、今回の内容を踏まえますと、各種目標を達成していくためには、やはり目標達成のためのロードマップ及び、特にプロセスについて、どういうプロセスでこの目標を達成していくかという具体化が重要になると思います。そういう意味では、このプロセスの具体化と目標実現のためのロードマップの策定ということについての議論がこれから重要になると思いますので、ぜひその議論を深めていただければと思います。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 私からは、研究大学という観点からポイントを絞ってお話をします。研究大学は大きなエコシステムの中心になるというのが今回のメッセージだと思います。大きなエコシステムの中心というのは、人材育成、そして、今お話のあった産業界との連携、成長戦略への寄与、さらには社会実装と、これは1人の教員ではできませんので大学がしっかりとコミットし、ガバナンスが重要であるということにもなっていくと思います。その中で研究時間の確保をしっかりとしていくということです。
 2番目は、AIの活用という、これはもうどんなことがあっても活用しなければいけない。研究といってもやはり競争という側面もありまして、そこで後塵を拝してはいけないので、AIを使って競争力を上げていくということは必須だと思います。国民の皆さんの信頼があって初めて、この科学の再興あるいは研究時間の確保ということは出てきますので、ちゃんとそれに見合った成果が、大学人、あるいは大学には求められている。特に、研究大学には求められていると感じています。
 最後に、簡潔にもし御発言が可能でしたら、文科省の御担当から御発言いただきたいと思います。
【西條科学技術・学術政策局長】  科政局長の西條でございます。よろしいでしょうか。様々な御意見ありがとうございました。まず、人材育成の部分について、小・中から非常に重要だというところ、これはおっしゃるとおりだと思っております。多様な人材をどう育てていくかというところ、いただいたご意見は我々のほうでもしっかりとやっていきたいというように思っております。それは基本計画の中にもしっかりと盛り込んでいるところですし、今回の人材育成分科会のほうでも、そういった視点をしっかり入れ込んでいるところです。
 また、先ほど、原田先生はじめ他の先生方からも、KPI、絵に描いた餅にならないようにということについて、その中の事例でも日本人研究者の海外のお話もございました。まさに道筋を入れていく、海外特別研究員の給与のお話もありましたけれども、まさに我々も、国際頭脳循環の中でも一つ外に出していくというのは非常に重要で、もう既に国際のほうではそれを一つ入れて議論を開始させていただいております。今後、この場でしっかりと説明させていただければと思っております。
 また、文理融合とか文系、理系の廃止、そういったお話がございました。これは、教育のほうも関わりますので、今回この人材育成という大きな流れの中で、ここは教育、科学技術関係なく全体としてやっていかなきゃいけないと思っていますので、そこについては対応したいと思います。とにかく、文系だから理系だからというのではなく、やはり何をやりたいか、そのためには何を学ばなきゃいけないのか、そういった流れをしっかりつくっていかなきゃいけないのかなというようには思っております。そういったことが実際には、結果的にやはり世の中で求められる人材が生まれてくるというところもつながっていくのではないかと考えています。
 それから、宮澤先生からは、科学の再興における基礎投資、ここが各省庁からもというお話と、それから、技術領域の関係も御質問ございました。これはまさに、科学とビジネスの近接化と言われている中で、この各領域においても、やはりかなり基礎の部分からやっていく必要があるということで、そういった意味では、基礎だから文部科学省がやるというのではなくて、各省庁もそこを踏襲していただく、これは省庁にかかわらず、企業側から見ても一緒だと思いますが、今回そういった部分をしっかりと強化していきたいと思っております。
 その中で、大竹先生から、この官民の投資、特に民間からの投資が今回低かったことについて180兆円と、かなり大胆なものを立てているということで、これはおっしゃるとおりでかなりチャレンジなものです。本件については、経団連も非常に前向きに対応いただいておりまして、この目標を掲げるに当たって、CSTIが中心となり、いろいろ議論をさせていただく中で、この180兆円という数字を出しております。
 経産省の2040年の産業構造の改革の中でも、国内投資をとにかく増やしていくというのが挙げられております。大野先生からご発言ありましたように、まさに大学がその場となっていく、公共財というお話もありましたけれども、そういった取組をしっかりとやっていかなきゃいけないと考えています。
 それと、狩野先生はじめ他の先生方からもご発言ありましたが、とにかくサイエンスをアサインするのではなく、魅力的な場をしっかりとつくる必要がある。それで、今回の科学技術基本計画で特に科学の再興については、大きく我々変えなくてはいけないことを2点挙げております。一つは、官民からの投資の拡大はあるが、この量だけではなくて、しっかりと質を変える。研究システム改革というところに、非常に大きく重きを置いています。まさに質も量も変えていくということが重要だと考え、システム改革のところができてくると、その魅力があがる。それを牽引するためにも、研究大学、いわゆる研究大学群という話もさせていただいています。そこを先導的に牽引する場として研究大学群をしっかりつくっていくということを、すすめてまいりたいと思います。
 それから、その中でいわゆる一体的推進のところでビジネスの感覚を入れてというお話もありました。今回、新技術立国のほうで出しているフレーズが、技術で勝ってビジネスでも勝つということですので、これはまさにビジネスをつなげていくところ、ここも当然入れた形での対応を考えていくということだと思っております。
 あと、鷹野先生からも、ガイドラインと数字の関係、テクニシャンとかの数字の関係がございました。基本的に技術職員のガイドラインは、まさにどのように技術職員という方々を位置づけ、経営層としてもしっかり位置づけ、キャリアパスをしっかりつくっていくというところも含めての今回方針は出させていただいています。
 それに対して、先ほど梶田先生からのご発言がありましたけれども、やはりそういった方々を増やしていくということが重要なので、そのための数値目標です。また、この関係ですけれども、先ほどの研究環境というところになるのですが、我々としては各研究室に配置しているような方々というよりも、大学組織としてマネジメントし、しっかりとグリップする。これは、研究マネジメントも含めて、こういったものもしっかりと盛り込んだ形で、結果的に研究時間の50%を実現していく。これをまた、研究大学群というところがまずは先導的に引っ張っていくということを考えているところです。
 それから、久世先生からご発言がありました、企業の研究所ごと大学に入れる仕組みについて。まさに取り組みたいと思っているところです。一つは、今回出している研究大学群、産業競争力につながる研究大学群がそうだと思っているのですが、その先駆けとして今、「産業・科学革新人材事業」というものを創設しています。この中でもまさに、一つこれはどちらかというと大学に基礎研究所的なものを大学と企業の方が集まって、公共財としての大学でそういったものに取り組んでいける、これの中で人材も育成していく、こういった取組も、これから公募を始める予定ですので、先導的に引っ張っていきたいと考えています。
 上田先生からのお話は、まさにこれは実行していかなきゃいけないということですので、それぞれ施策等をしっかり進めていくことではあるのですが、総合的にどうしっかりとできるかというところはまたお示ししたいと思います。逆に言うと今回、科学審の下にある分科会や各委員会でもそういった議論をして、ロードマップ的なものもしっかり示せればというようには考えてございますので、そういった形で取り組みたいと思っております。
 大野会長が先ほど申し上げたとおり、まさに研究大学、これは今回、肝だと思っております。我々もこの5年間でしっかりと20大学以上つくるというところは提示させていただいており、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
【大野会長】  どうもありがとうございます。閉会に当たりまして、清水大臣政務官から御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。
【清水大臣政務官】  大臣政務官の清水真人です。総会の閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本総会に御出席の上、精力的に議論をしていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
 本日御議論いただきました、第7期科学技術・イノベーション基本計画は、本年度から5年間の科学技術・イノベーション政策の基礎となる重要な計画であります。先ほど来、委員の皆様から出た様々な御意見につきましては局長からも説明があったとおりでありますが、私どもとしてもしっかりと、今回皆様からいただいた御示唆を念頭に置きながら、この計画を着実に実施してまいりたい、このように思っております。
 今後とも、科学技術・学術施策の推進に向けての御支援、御指導賜りますよう、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  本日の議事録につきましては、後日、事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただくよう、よろしくお願いいたします。御確認いただいたものを文科省のホームページに掲載しますので、御承知おきください。
 また、本日の会議資料は、郵送の御希望がございましたら、机上に残していただければ、事務局で手配いたします。
 次回開催は、決まり次第、また追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、これで第79回科学技術・学術審議会の総会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

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