科学技術・学術審議会(第77回)議事録

1.日時

令和7年7月15日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂及びWeb会議形式

3.議題

  1. 各分科会等からの取組報告について
  2. 第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討に向けての状況報告等について
  3. その他

4.出席者

委員

大野会長、上田会長代理、網塚委員、五十嵐委員、上田浩史委員、大竹委員、岡本委員、梶田委員、川辺委員、木部委員、久保田委員、合田委員、佐藤委員、鷹野委員、高橋委員、田中委員、千葉委員、寺井委員、中北委員、原田委員、日野委員、深見委員、水本委員、宮澤委員、明和委員、相澤委員、狩野委員、菅野委員

文部科学省

あべ文部科学大臣、西條科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、井上科学技術・学術総括官、石川研究開発戦略課長、根津研究開発戦略課企画官、奥人材政策課長、馬場参事官(研究環境担当)、豊田国際研究開発政策課長、伊藤科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、淵上研究振興局長、山之内振興企画課長、助川学術企画室長、板倉学術研究推進課長、俵大学研究基盤整備課長、小川大学研究基盤整備課大学研究力強化室長、土井参事官(情報担当)付室長、坂本研究開発局長、ほか関係官

5.議事録

【大野会長】  それでは時間になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会総会(第77回)を開催いたします。御多忙中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日はあべ俊子文部科学大臣に御出席いただいております。初めに、あべ大臣から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【あべ大臣】  皆様、こんにちは。文部科学大臣をさせていただいていますあべでございます。座らせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、科学技術・学術審議会総会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は第7期科学技術・イノベーション基本計画等について御議論いただく予定と聞いているところでございます。科学技術・イノベーション力を上げていくことは、我が国の発展の鍵でございまして、忌憚のない御意見をいただけるとありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、プレスの皆様はここで退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)

【大野会長】  議事に入る前に、事務局から説明をお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  本日の総会は、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める会議開催の定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 続きまして、オンラインでの発言の進め方についてです。会場にお越しの委員におかれましては、お手元のタブレットパソコンの映像をオンにしておいてください。また、音声は会場に設置したマイクで拾いますので、マイク、スピーカーともにオフの状態でお願いします。次に、オンライン上から参加される委員におかれましては、映像をオン、音声のマイクはオフ、ミュートの状態にしておいてください。御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押していただき、御指名がありましたらミュートを解除し、御発言ください。また、発言後は、再度挙手ボタンを押して挙手を取り消すとともに、マイクもミュート状態に戻してください。
 以降は、会場・オンライン共通となります。オンラインからでも発言者が分かるよう、御発言の都度、初めにお名前をおっしゃっていただくようお願いします。また、資料を参照して御発言される場合は、資料番号やページ数、ページ内の該当箇所などをお示しいただくよう、御配慮のほどよろしくお願いします。
 本日の資料については、資料一覧に記載のとおりです。不足等がございましたら事務局までお申し付け願います。
 続きまして、前回の開催日、3月からでございますけれども、文部科学省出席者に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
 科学技術・学術政策局長の西條でございます。

【西條科学技術・学術政策局長】  西條です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  研究振興局長の淵上でございます。

【淵上研究振興局長】  淵上です。どうぞよろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  研究開発局長の坂本でございます。

【坂本研究開発局長】  坂本です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  科学技術・学術政策局担当審議官の福井でございます。

【福井大臣官房審議官】  福井です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  科学技術・学術総括官の井上でございます。

【井上科学技術・学術総括官】  井上です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  研究開発戦略課長の石川でございます。

【石川研究開発戦略課長】  石川です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  国際研究開発政策課長の豊田でございます。

【豊田国際研究開発政策課長】  豊田です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  研究環境担当参事官の馬場でございます。

【馬場参事官】  よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  振興企画課長の山之内でございます。

【山之内振興企画課長】  山之内です。よろしくお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  大学研究基盤整備課長の俵でございます。

【俵大学研究基盤整備課長】  俵です。よろしくお願いします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 まず、議題1の各分科会等からの報告についてです。本日は4件の報告事項がございます。議題2の意見交換の時間を確保したく、各部会からそれぞれ、恐縮ですが3分での御報告時間をお守りくださいますようお願い申し上げます。4件の報告が終了しましたら、御報告いただいた件について、まとめて質疑応答・意見交換の時間をとってございます。
 それでは初めに、研究開発基盤部会からの報告、網塚委員からお願い申し上げます。

【網塚委員】  網塚です。よろしくお願いいたします。資料は主に3ページから8ページとなります。
 研究開発基盤部会の傘下に設置いたしました先端研究開発基盤強化委員会では、文部科学省が示しました「AI時代にふさわしい科学研究の革新~研究推進システムの転換による研究の創造性・効率性の最大化~」における方針も踏まえまして、我が国全体の研究の創造性・効率性を最大限に引き出すために、研究基盤の強化と刷新に向けた今後の取組方針について検討を行いまして、研究設備・機器の共用促進・開発・高度化に関して取り組むべき事項について整理したところでございます。
 今回の検討では、目標と今後10年で目指す姿を明確に設定しまして、それを実現するための実施方針をまとめました。本日はその概要を御紹介させていただきます。
 まず、目標として掲げておりますのは、共用を前提とした研究環境への転換となります。我が国全体で共用研究設備等の整備・運用の仕組みを構築するとともに、先端的な研究設備等の高度化・開発の場としていくことを目指しております。
 今後10年で目指す姿としては、以下のような点を挙げております。
 共用設備等の情報を一元的に集約し、見える化して、設備や利用の基礎情報とすること。
 全国の研究者が活用できる共用拠点を形成し、ネットワーク化する。
 研究設備等の整備・運用を、共用を前提とした仕組みに、抜本的に変容する。
 競争的資金では、研究の停滞を招かないことを前提に、設備の購入ではなくて、利用料金の計上を基本とし、共用整備等を活用して、研究活動の質と効率を高める。
 計測データ等を利活用しやすい形で蓄積する。
 共用の場を産学連携の接点とし、研究ニーズや革新的アイデアを基に、要素技術開発、試作機の開発、利用技術開発等を進めまして、その成果をいち早く先端的な共用設備として導入できる仕組みを確立する。
 以上を目指す姿として掲げております。
 こうした目標の実現に向けた実施方針の詳細については、取りまとめの資料に詳しく記載しておりますので、御参照いただければと思います。
 研究開発基盤部会からの説明は以上となります。ありがとうございました。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、学術分科会研究環境基盤部会からの報告を、梶田委員からお願いいたします。

【梶田委員】  それでは説明いたします。研究環境基盤部会において、「AI時代にふさわしい科学研究の革新~大規模集積研究基盤の整備による科学研究の革新~」について、意見等のまとめに至りましたので、その内容について御報告させていただきます。
 資料2-1、29ページを使って説明いたします。
 まず、水色の「AI時代にふさわしい科学研究の姿」です。我が国全体の研究の質・量を最大化していくための取組の一つとして、基盤となる研究環境の高度化・高効率化を図っていくことが必要です。その意義として、研究者がより創造的な活動に従事することが可能となることや、研究から得られるデータやAIを最大限活用することで、科学研究の進め方・在り方に変革をもたらすことにもつながります。
 そのためには、変革の原動力となり得る組織や機関等が一体となり、拠点やネットワークを形成して取り組んでいくことが必要です。そのための具体的な取組の方向性として、大きく5つ挙げています。まず、マル1が大規模集積研究基盤の整備。マル2はデータの蓄積と、AIとの協働による研究の最適化・新領域の開拓。マル3は体制の構築と人材育成。マル4は産業界との協働。マル5は国際頭脳循環の促進です。
 右側に「取組の具体化に向けて」とありますが、マル1からマル5に取り組むためには、組織として大規模な設備・機器や人的資源等の基盤を有し、科学研究の変革の原動力となることが求められます。
 大学共同利用機関は、これまでも人的・物的資源を研究者の利用に供するという我が国独自のシステムを展開することで、我が国の学術研究の発展に貢献してきています。そのポテンシャルを生かすことで、大学共同利用機関はこの構想を実現するための拠点やネットワーク形成の中心的機関の一つとして期待できます。
 ただし、この構想の実現には、大学共同利用機関間における役割分担・連携を促進しつつ、共同利用・共同研究拠点との連携やその他の様々な機関及び組織と協力し、オールジャパンの研究推進体制を構築することが必要です。
 この意見等のまとめを踏まえまして、今後、事務局において、よりよい形で具体化を進め、実行に移していただきたいと考えております。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、情報委員会からの御報告を、相澤委員からお願いいたします。

【相澤委員】  それでは、情報委員会からの報告をさせていただきます。
 現在、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討が各所で進んでおります。こうした中、情報委員会におきましても、次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について、幅広い観点から議論を行い、本年5月30日に取りまとめを行いました。その概要についてです。
 資料は1-3、1ページ目、通し番号で70ページ目にあります概要に基づいて説明いたします。次ページ以降は本文となります。
 まず左上、「背景」にありますように、AI for Scienceの進展や、生成AIの急速な普及により、研究データの質と量が飛躍的に増加し、分野や組織を超えた連携の重要性が高まっています。こうした変化の中で、今後の情報基盤はどうあるべきかを審議し、取りまとめたものとなります。
 右上にありますとおり、情報基盤への期待・影響として、AI時代の新たな科学技術・イノベーションを切り開くインフラとなること、AIモデルの高度化、AI for Scienceの拡大、分野融合や裾野の広い研究の促進、社会課題の解決や我が国全体の研究力・産業競争力の向上に大きく貢献すること等があるとした上で、今後の方向性を、その下にある6つの観点から取りまとめております。
 1つ目の観点は、真ん中にあります「AIを取り込んだエコシステムの構築」です。AIを前提とした情報基盤の整備に加え、日本の文化等に理解のあるAIが必要であり、蓄積された研究データを活用して、AIの高度化サイクルを生み出す役割が期待されるとしています。
 2つ目の観点は、「産業界・海外との連携」で、産学の協働を促進し、ユーザビリティの確保や、オープン・アンド・クローズ戦略等に留意し、協働が相乗効果を生む仕組みが必要であるとしています。
 3つ目の観点、「人材の育成・確保」では、研究エコシステムを支える人材の育成・確保や待遇改善等が重要であると指摘しています。
 4つ目の観点、「リテラシー向上、研究データの共有・活用促進」では、利用者のリテラシー向上や、データや成果を広く共有・活用する活動を促進するインセンティブ及び評価する仕組み等の整備の重要性を指摘しています。
 5つ目の観点、「AI for Scienceのための高度化」では、計算基盤やコアファシリティ化された研究施設・設備を情報基盤に直接接続することで、AI for Scienceやデータ駆動型研究の加速が期待できること、それを支える計算資源の整備や流通基盤等の高度化が必要であるとしています。
 6つ目の観点、「効果的な配置」では、全国的なエコシステムとして、最適な情報基盤について戦略的な検討が必要であることを指摘しています。
 そして、構築を進める上でのポイントとして、次世代情報基盤の構築に当たっては、長期的なビジョンと柔軟な対応が不可欠であり、国際動向を踏まえてアジャイルに取り組むことが重要であることなどを述べて、中間取りまとめを結んでおります。
 説明は以上となります。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは最後に人材委員会から御報告をお願いします。狩野委員から御報告をお願いします。

【狩野委員】  では、人材委員会の内容を御紹介いたします。
 お手元の資料だと通しで84枚目からですけれども、人材委員会では昨年10月から議論してきました「今後の科学技術人材政策の方向性(中間まとめ)概要」ということで御説明いたしたいと思います。
 今回の概要は、これまでの審議や関係者の皆様からの内容を通じて得られた知見を基にして、5年間ぐらいで重点的に取り組むべき内容ということで整理しております。主に89枚目から91枚目のところについて御覧いただければ、その内容を拾ってまいります。
 まず、「基本的考え方」ですが、やはり人が中心です。科学技術人材は我が国の存立・発展の礎でありますので、この中心的な役割を持つ方々に対してどういうことができるかということが内容になっております。投資を拡大する必要、それから育ってきた人たち、あるいはその人たちにぜひ活躍していただきたいということで、それを通じて社会全体のイノベーションの力を高めていく必要があるということになります。
 この考え方を基にしまして、科学技術人材への投資の拡充、それからいろいろな場で活躍をしていただきたい、さらには、それらの方々が所属する組織あるいは機関の役割を重視していきたいということが設定されておりますけれども、それを整理するに当たりまして、職種別、教育段階別、そして制度・システム改革の別にまとめをいたしております。
 次の6枚目あるいは90枚目に行きますけれども、まず、「多様な科学技術人材の育成・活躍促進」としまして、職種としては、研究者のほかに、技術者、それから高度専門人材という職種を置いて、それぞれについて考察しております。研究者については、当然研究費の充実・確保が必要ですけれども、ほかに、安定的ポストがないといけないだろう、それから活躍の場や機会を拡大したい、それから、組織において研究環境の整備をしていきたいということなんですけれども、とりわけ産業ニーズに基づくような人材育成についても今回注目しておりますし、ほかにPI人件費の拡大など、具体的な取組を整理して記載しております。
 ほかに、研究開発マネジメント人材、いわゆるURA等の方々の人事制度についてガイドラインを公表いたしまして、こうした人材についての議論を特にしてきております。
 続いて、7枚目あるいは91枚目に参りますが、「各教育段階における科学技術人材の育成」について、これはいろいろ話題になっているところを含みますけれども、大学・大学院における教育研究活動の充実・強化として、博士後期課程学生の進学に向けた経済的な不安を解消する支援、そして、博士人材の社会の、アカデミアのみならず、産業界等の多様な場で活躍促進をしていただきたいという取組を整理しております。
 また、初等中等教育段階についても今回しっかり触れておりまして、裾野の拡大とトップ層の育成の両方をしていきたいということなんですけれども、とりわけSSH、スーパーサイエンスハイスクール等の取組、こうした科学技術教育の充実・強化、そしてさらには、小・中・高等学校において科学技術的な教育の充実・強化ということを挙げております。
 科学技術コミュニケーションというのも今回取り扱っておりまして、これらを通じて一般の社会と科学技術の取組がよりよく接続していくようにということが考えられた内容となっております。
 そのほか、制度・システムの改革としては、女性研究者あるいは外国人研究者等のダイバーシティを確保する、それから研究インテグリティ・セキュリティ、そしてELSIに係る取組についても触れられております。
 今回の中間まとめは比較的網羅的なものでありますけれども、網羅的にした結果として見えてきたことは、今までに比較して、より多様性を持ったキャリアパスについての支えがないといけないのではないかということが一つ。
 そして、私見としてはさらに、アカデミアに閉じない、社会との接続ということについても今後重要ではないかということについて考えながら、担当事務局の皆様とつくらせていただいたと思っております。
 こうしたことを通じまして、7月30日に次の人材委員会を開催予定でございますけれども、今日の皆様方の御意見も踏まえながら、中間まとめとして決定して、今後の科学技術・人材政策に生かしてまいりたいということでございます。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、各分科会等からの報告について、短くて恐縮ですけど6分ほど意見交換あるいは質疑応答を行いたいと思います。御質問、御意見ございますでしょうか。
 中北委員、お願いします。

【中北委員】  どうもありがとうございます。全て前向きな御提案、ありがとうございます。AI時代にふさわしい科学研究というところで、最後のほうに国際頭脳循環というのが我が国独自と書いてありましたけれども、これはAI掛ける国際頭脳循環という意味でしょうか。具体的にどんなイメージがあるのか御示唆いただければと思って、質問させていただきました。よろしくお願いいたします。

【大野会長】  いかがでしょうか。俵さん。

【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。大学研究基盤整備課の俵です。梶田先生にまとめていただいた内容になりまして、最後のところに国際頭脳循環のハブということで記載いただいています。
 これは、この拠点を整備するに当たって、国内だけではなく、海外の研究者も集まるような拠点にしていくべきだろうという意見がありました。AIの観点も含めた拠点として、研究者が幅広く集まるような形で進めようと。そういう御意見でありました。

【中北委員】  どうもありがとうございました。
 国内に集結するというよりも、ネットワーク型のハブみたいなイメージになるんでしょうか。

【俵大学研究基盤整備課長】  はい、そういうイメージであるかと思います。

【中北委員】  どうもありがとうございました。

【大野会長】  ほかにいかがでしょうか。
 水本委員。

【水本委員】  水本でございます。今のAIというキーワードに関係して、少し感想めいたことかもしれませんけれど、コメントさせていただきたいと思います。
 最後のほうにありました、科学技術を引っ張る人たちの人材育成ということに関して、それからAI for Scienceという言葉が途中にありましたけれど、この数年、本当にAIあるいは生成AIと言ったほうがいいのでしょうか、の活用、これはサイエンスを引っ張るのにものすごく重要であるという認識が高まっていると思います。
 それから、もう少し前は、データサイエンスという言葉で教育プログラムがいろいろな大学等で検討されたと思いますが、それが多分今度は、AIをきちんと使いこなすリテラシーというのですか、そういう教育プログラムが必要なのではないかなということを、非常に素人考えで直感的に思いついた次第です。
 教育の現場から離れて3年になるので、既にそんなことはやられているよということかもしれませんけれど、若い世代、それから既に研究者として一人前になっている方々も含めて、AIを科学のためにうまく使いこなす、リテラシーと言ったほうがいいのかもしれませんが、そういう教育がどこかできちんとなされるべきではないかなという感想を持った次第です。
 これは感想でございます。ありがとうございました。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。木部委員お願いいたします。

【木部委員】  ありがとうございます。木部でございます。資料91ページの理数系教育の充実ということについてお伺いします。これはとても重要だと思います。私は人文系の人間ですが、実は人文学にとっても、理数系といいますか、自然系の知識なしには、特にAI時代になりますと、人文系でもこれからAI抜きでの研究の発展はないと思っておりますので、理数系教育は重要になってきます。そうなると、理系・文系という枠ではなくて、全てにおいて、理数系も、それから人文系の学問もかなり重要になってくるだろうと思います。ですから、あまり理系・文系というふうに早くから分けてしまうのはどうかと私は思っているのですが、そういうことに関する議論はございましか。

【狩野委員】  ありました。ぜひ今後も続けたいと思います。

【大野会長】  よろしいですね。では、寺井委員お願いします。これで時間になりましたので、また何かありましたら、後ほどご意見をお願いします。

【寺井委員】  AI for Scienceというキーワードがたくさん出てきておりますけども、この中でやっぱり考えていかなければいけないのが、AI生成物の知的財産権はどこにあるのかという議論が既に始まっております。例えばAIを道具として利用した場合は、人に著作権があると考えられますけども、完全にAIが主体となって創作物を制作した場合は、これは人による著作物ではないので著作権は発生しないという見解もあるようです。
 それから、研究の場で特に問題になるのは、データです。AIが大量に学習するデータそのものの著作権をちゃんと気にしながら研究者は研究を進めるべきですし、あるいは、学習済みのAIのモデルそのもののプログラムですね、これには著作権が発生しないというような見解も聞いております。やはりこのタイミングで、AI for Scienceを高々と掲げるのであれば、いわゆるAIを活用した成果の知的財産権に対する整理と、一定の共通認識みたいなものが必要なのではないかなと思っております。

【大野会長】  ほかにも御意見があるようですけれども、これにてこのセッションは終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 人口減少の我が国で科学のアウトプットをさらに増やすためには、ここで御報告のありましたような4つのスレッドというのは非常に重要なものだと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、あべ大臣は予定がございまして、ここで退室されます。今日はどうもありがとうございました。
 それでは続きまして、議題2、最近の科学技術・学術の動向について、に入ります。
 まずは、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況及び米国の科学技術研究等をめぐる動向等について文部科学省から説明いただいた後、意見交換をさせていただきたいと思います。
 それでは、石川課長からまず10分で、資料2-1で御説明いただきたいと思います。

【石川研究開発戦略課長】  研究開発戦略課長の石川でございます。資料2-1を使いまして、第7期基本計画のその後の検討状況を報告させていただければと思います。
 資料2-1は、先月6月19日にCSTIの基本計画専門調査会で、事務局より報告されたものでございます。現在、CSTIの基本計画専門調査会では、8月末に中間取りまとめ(骨子)の取りまとめというスケジュールで議論を続けてございまして、6月19日のときに、この資料のように論点整理案をまとめております。
 続きまして次のページの141・142ページの2ページで「基本認識」を記載してございます。最初が国内外の経済・社会情勢の変化ということで、まさに科学技術・学術審議会の各分科会・委員会・部会の中でも認識として共通しているかなというところが記載されておりますけれども、1つ目として、少子高齢化・人口減少の進展、それに伴う構造的な人手不足、地域社会の活力低下、2つ目として世界経済の不確実性、3つ目として国際競争力の低下、イノベーション創出力の鈍化、そして自然災害の激甚化・頻発化というようなことを国内外の経済・社会情勢の変化ということで挙げております。
 2つ目として、国際秩序と地政学的リスクの変化ということで、地政学的リスクの顕在化ですとか、グローバルサウスの台頭、先端科学技術をめぐる国家間の覇権競争・投資競争の激化、国際的なルール形成競争の加速、それと気候変動・感染症対策など地球規模課題への対応の深化といったことが、国際秩序と地政学的リスクの変化ということで記載されております。
 続きまして、142ページになりますけれども、もう一つの基本認識として、科学技術・イノベーションを巡る潮流ということで、最初に、基礎研究から社会実装への移行の迅速化、サイエンスとビジネスの近接化というものが挙げられております。また、AI・量子・フュージョン等、ハイインパクトな科学技術の実装。各国が科学技術政策を国家安全保障の柱として位置付け、戦略的に推進。4つ目として、AIと科学の融合、AIの影響を前提とした研究開発。また、国際頭脳循環の強化の必要性。ディープテック・スタートアップの台頭と、エコシステム形成の重要性。研究セキュリティ・インテグリティの確保が不可欠ということと、最後、科学技術の「光と影」への認識というものが、科学技術・イノベーションを巡る潮流ということで、基本認識として記載されております。
 その上で、続きまして、143ページになりますけれども、「目指すべき社会像、国家の在り方に関する論点案」ということでは、最初の「目指すべき未来社会像」というところでは、Society5.0の社会を引き続き目指す一方で、その先を見据えて、いかなる未来社会像を描くべきかということですとか、本日もお話に出ておりましたけれども、With AI時代に向けて、テクノロジーが国民生活・経済活動の発展の基盤として欠かせないということですとか、Society5.0の先を見据え、科学技術・イノベーションによる人類の持続的発展への貢献を目指すといったことが、目指すべき未来社会像ということで記載されております。
 また併せて、「国家の在り方」として、科学技術・イノベーションは国力に直結し、総合的な安全保障の確保に不可欠ですとか、将来を担う若い世代が夢や希望を持てる活力ある国家の実現が必要であるということ。また、科学技術・イノベーションの力で、グローバルな社会課題の解決に貢献するとともに、高い国際競争力を保持し、持続的な経済発展を成し遂げ、さらには、国際社会にとって唯一無二の存在となり、同志国などとの連携による国際秩序形成へ貢献できる国を目指し、活力ある国家の実現に貢献していくということが記載されております。
 こうした基本認識ですとか潮流、国家の目指すべき社会像などを踏まえて、それに向けて、10年を見据えた今後5年ということでの第7期基本計画の方向性に関して、マル1、マル2ということで、2ページにわたって論点を記載してございます。
 最初に挙げておりますのが、科学の再興と技術・イノベーション力の強化ということで、これまで科学技術というふうにまとめていたり、科学技術・イノベーションとしておりましたけれども、今回の一つの論点として、科学の再興と技術・イノベーション力の強化というところで分けておりまして、その1つ目のポツとして、基礎研究力を抜本的に強化し、「科学の再興」を目指すということと、戦略的に重要な技術領域を選定、一気通貫で支援し、「技術・イノベーション力」を強化ということが記載されております。
 続いて、科学技術・イノベーション政策のガバナンス改革ですとか、国家安全保障も踏まえた科学技術・イノベーション政策への転換、また、AIシフトによる研究力の向上ということで、AI for Scienceによる研究生産性の抜本的向上ですとか、研究時間の確保が記載されています。また、人材の育成・確保ということで、博士人材の効果的・効率的な育成、研究マネジメント人材の在り方、戦略的な国際頭脳循環の展開等ということで記載されております。
 続きまして、145ページになりますけれども、大学改革の方向性、成長する大学への集中支援・産学官連携、また、アジア最大のスタートアップ・エコシステムの形成ということで、グローバル・エコシステムとの連結強化ですとか、スタートアップの創出・成長・グローバル化の推進、また、地域イノベーションの推進、国立研究開発法人の役割、あと、グローバル戦略・科学技術外交、それと最後に、官民の研究開発投資の確保ということで、基盤的経費の在り方、民間の研究開発投資の促進、民間から大学への寄附の在り方などが論点として挙げられております。
 最後、通しの146ページにつきましては、KPIとして、例えばということで、Top10%論文数の順位の引上げですとか、研究開発の生産性の向上、大学ランキングなどということが例示として挙げております。また、EBPM、論文数以外の指標の在り方といったところもKPIに関しての論点ということで記載しております。
 また、この基本計画の在り方として、将来を担う世代に届く計画ですとか、世界に対して日本の立ち位置を発信ということが記載されております。
 最後に、追加的な論点として、多様性、包摂性等の考え方や視点、科学技術の光と影、テクノロジーの急速な発展に対するガバナンスですとか、総合知の在り方、ジェンダードイノベーション、サイエンスコミュニケーションなどが論点として記載されております。
 こういった形で、6月に論点整理案として、CSTIの基本計画専門調査会で資料としてまとめられております。文部科学省としても、まさに今日報告いただいた4つの部会・委員会の報告につきましても、144ページのところに、最初に、科学の再興と技術・イノベーション力の強化ということで、基礎研究力を抜本的に強化し、「科学の再興」を目指すというのがありますけれども、まさにこれまで御議論いただいてきたものですとか本日報告いただいたものも、ある意味、この基礎研究力を抜本的に強化し、科学の再興を目指すというところに、かなり中心的に、具体的にしていくべき内容を御提言、御意見いただいていると思います。
 文部科学省として、ここの部分、「科学の再興」に向けてというところを中心にして、改めてこれまでいただいた御意見、本日頂戴する御意見も踏まえて、内容の具体化などを進めていきたいと考えております。具体化、深掘りしていくに当たっては、別途、有識者に御意見をいただく場を設定して、文科省としての議論を深めていきたいと考えております。
 取りあえず、資料2-1について、以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、資料2-2に基づき、豊田課長から、今度は5分で説明をお願いいたします。

【豊田国際研究開発政策課長】  国際政策課長の豊田でございます。よろしくお願いいたします。私から資料2-2で、米国の科学技術等をめぐる状況と、我々が今何をしているのかについて御説明いたします。
 1ページおめくりください。トランプ政権になって、やはりアカデミアに影響が出ているということで、下側にいろいろ数字が並んでいますけれども、例えばですが、米国政府の来年度の予算案、これは政府が出している予算案ですけれども、軒並み大幅減になっております。もちろんこの後、米国議会でのプロセスを注視していかないといけませんが、こういう動きとか、あるいはその下ですけども、留学生ビザの停止による混乱ということで、右側に書いてございますが、米国の研究者の75%が米国を離れることを検討しているという状況でございます。
 1ページおめくりください。それで、各国とも、これはEUを中心にですけれども、国レベルで、じゃあ、そういった優秀な研究者をどうキャッチしていくのかというところについて政策を打ち出しております。例えばEUでございますと、複数年で5億ユーロ、これは800億円程度ですけれども、フランスはそれに加えて1億ユーロということで、160億円程度ということで、次の資料の一番下、イギリスは100億円ということで、各国とも国レベルでこういった動きをしています。
 日本においても、次のページに、先日内閣府から、6月に公表しておりますけれども、J-RISE Initiativeということで、海外の日本人も含めて優秀な海外研究者をキャッチしていくと。できるだけ早期にやっていくということで、1,000億円規模ということで、これは既存予算をフル活用してやっていくということを打ち出しております。既存予算だけじゃなくて、その下の「主な方向性」の2つ目の四角のところに書いてございますけれども、直接的な施策として、大学ファンドの活用ということも言っておりまして、次のページに、これは先日公表しておりますけれども、早ければ今週中ぐらいに、各大学に対して公募を開始したいと考えてございます。
 海外からの優秀な若手研究者と博士課程学生を対象にして、それを獲得する大学を支援するプログラムということで、大学ファンドを活用ということで、3年間で総額33億円を捻出して、やろうとしております。
 この意味は、やはり迅速性というところでございまして、通常、我々、御承知のとおり、夏にかけて概算要求をして、年末にかけて予算を確定というか閣議決定して、年明けに国会審議みたいなスケジュール感ですと、やはり年度をまたいで採択を決めると、これだとトゥーレイトになってしまうので、我々、大学ファンドを活用することで、9月中には大学、採択校を決めてということを考えております。
 また、33億円というのは緊急的な措置としてやってございまして、もちろん今後、公募の応募状況を見ながら、国側の財源が律速にならないように、追加的な措置をしっかり考えていきたいと考えてございます。
 次のページ。最後のページだと思いますけれども、留学生の文脈でも、ハーバード、ビザの停止みたいな動きがありました。これは主に高等局で対応していますけれども、速やかに全大学に対して、米国にいる日本人の留学生あるいは米国に渡航しようとしている学生を対象に、そこの支援を各大学でできないかということでお願いをし、JASSOに一元的な窓口を設置して、そこでの相談あるいは各大学への支援を一元的に取りまとめて周知しているということをやってございます。
 私からは以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本件について審議を進めたいと思います。幅広く御質問、御意見があればお願いしたいと思います。全ての方に御発言いただきたいと思いますので、お一人2分を目安にお願いしたいと思います。
 まず、途中で退出されるということをお伺いしています梶田委員から御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【梶田委員】  ありがとうございます。梶田です。それでは、あまりまとまった考えではなくて、感想のようになっているところもありますけども、少し意見を言わせていただきます。
 まず、本日、科学技術人材ということで御報告がありましたが、その点に関連して、留学生の受入れについて、広い意味の我が国の科学技術人材の観点から、もっと本腰を入れないといけないんじゃないかと思います。日本人の若年人口が減るというのは避けられないので、将来の我が国の科学技術の一翼を担う人材候補として、多分大学、おそらく学部段階も含めて、もっと積極的に留学生を受け入れる政策が今後、割と早く必要になってくるんじゃないかと思います。
 今日も報告がありましたけども、今のアメリカの状況を見ていますと、やはり志の高い若者を日本の大学が積極的に受け入れる、博士人材だけじゃなくて、幅広に受け入れる必要があると思います。特に留学生が多くいる場で日本の大学生が日常を送るということは、日本人の国際感覚を養う上でも大切であると思いますので、ぜひこのような政策的な後押しを考えていただければと思います。
 それからあと、全く違う観点ですけども、今日、CSTIでの検討について御報告いただきました。その中で、146ページかな、ここのKPIのところで、研究開発の生産性(投入したリソースに対する研究活動の成果の効率性)の向上ということがあります。
 これ、もちろん悪いことじゃなくて、考えなきゃいけないことなんですけども、あまりここに重点を置いてしまうと、おそらく基礎科学研究という観点で、いろいろ変なしわ寄せが来るのではないかと思います。つまり、必ずしも基礎科学研究というのは効率性で考えられるものではないという部分がありますので、その点はしっかりとうまくまとめていただければと思います。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、高橋委員、手が挙がっていると思います。お願いします。

【高橋委員】  高橋でございます。今御説明いただきました152ページ辺りの海外の優秀な研究者の受入れに対する緊急的な措置ということで、非常にスピード感を持って対応できていることについては、非常に評価しております。
 一方で、こういった海外の優秀な研究者受入れの措置をきっかけに、国内の若手研究者に対する待遇も含め、もう少し日本の研究者の待遇を海外と同等に引き上げていくような取組も広げていくべきではないかと考えておりまして、いろいろなところで言われているかもしれませんけれども、やはり私の同世代である30代・40代の研究者も海外から声がかかっており、海外に行ったほうが待遇も2倍、3倍になるということで、「日本に残っている意味はあるのか」という声もよく聞きます。
 なので、今、一時的に緊急的な対応をされたことはすばらしいと思うんですけれども、これらをきっかけに、より長期的に日本国内の若手研究者に対する待遇についても考えていく必要があるかなと思います。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。人的資本に対する投資というのは極めて重要になると思います。
 大竹委員、お待たせしました。

【大竹委員】  御説明いただきましてありがとうございました。東京科学大学の大竹でございます。2点、コメントさせていただきたいと思います。
 1点目が、先ほどもお話にあった146ページのKPIの部分で、ここは例として挙げているという御説明だったので、それほどこの内容に拘泥する必要はないかなと思うんですけれども、キーワードとしてインパクトというのはこれから重要なのかなと。アカデミックインパクトと、さらにはソーシャルインパクトというのをどう測定していくかというのは、PI、KPIかどうか、KGIかもしれませんけれども、測定の仕方あるいは評価の仕方というのはそろそろ変える頃かなと思っています。そのインパクトをどう測るかということは、課題でもあるけれども、そういった方向にということが一部でも出ていると、方向性として未来感があるかなと思いました。
 後半のほうのJ-RISEについては、本当に迅速な対応ですばらしく、ありがたいと思っている中で、おそらく学術分野として危機を迎えているところを救うというのも学術界の役割と考えたときに、今、予算の出どころの問題で若手というのが入っているのは十分承知している中で、やっぱり分野を救っていくという中で、重要なキーになる研究者というのは各分野にいるので、そういった方も救えるような、あるいはそういう方にアプローチできるようなシステムになっていると、より訴求力というか影響力の大きい日本の施策になるかなと思っております。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、中北委員、お願いします。

【中北委員】  ありがとうございます。京都大学の中北です。大体皆さんがお話になっているのと同じになるかもしれないですけれども、2点コメントです。大学ファンドによる若手研究者の呼び込みというのは、もともと国際卓越等の目的とも見合うということで、ちょうどいいタイミングで、逆に今回をいい機会にできるということだと思います。
 ただし、そのときに、今、ヨーロッパは大体何年ぐらいの期間をイメージして今回されているのか、後でお聞きしたいと思ったんですが、やっぱり長くキープできるような施策であってほしいなと。いよいよ今回がチャンスだと。これからやるんだという意気込みを強くしていただいて、と同時に、魅力ある設計ですね、先ほどおっしゃったように、日本の若手自身が、ここにいて、よりステップアップもできるし、楽しいという形になればと思いました。
 それから2つ目、先ほど梶田委員おっしゃっていましたように、CSTIが大好きな大学ランキングとか、そこだけにこだわらない形のKPIですね、そこらはやっぱりやっていただかないと、各大学の大事にしようとしている視点と必ずしもマッチしないのであれば、基礎研究を深めたり進めるということと多分マッチしにくいんじゃないかと思います。そこらも御配慮いただければと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。前半の大変野心的な各分科会からの報告も含めてですけれども、資料全体を見させていただいて、「エコシステム」という言葉が多いと感じました。例えば「研究基盤エコシステム」であるとか、「AIを取り込んだエコシステムの構築」。それから後半の内閣府の資料で、「ディープテック・スタートアップの台頭とエコシステム形成の重要性」、そして「アジア最大のスタートアップ・エコシステムの形成」。この「システム」についてですが、これらの様々な研究のシステムを、もう少し体系化したほうがいいのではないかと思っています。プレーヤーがみな違いますよね。
 研究のシステムを大きく分けると、ひとつは学術のエコシステム。好奇心でもって新しいものを発見する、サイエンスの追求的な話です。もうひとつは社会に係ることで、社会課題の解決や新しい価値創造のための社会課題解決のエコシステムです。このように大きく分けるとプレーヤーがそれぞれ違ってきていて、社会課題解決になると、科学技術と社会との接点は産業界ですから、産業界との連携が必須になってくるわけです。
 そういった観点で本日のそれぞれのエコシステムを考えていくと、もう少し整理ができるのではないかと思います。前半の各分科会の話を聞いていても、他との連携とか学際的であるとか、非常に巨大なシステムに取り組もうとしています。もう少し細かくというか、目的によってある程度分けて考え、体系化したほうが進めやすいと思いました。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、原田委員、お願いします。

【原田委員】  ありがとうございます。丁寧な御説明ありがとうございました。
 私からも幾つかありますけれども、141ページですね、どこかの会議で以前もお伝えした気がするのですが、グローバルサウスという言葉の使い方です。これは発展途上国のように定義がある言葉ではまだないと思いますので、一体どういう国々を指しているのか、確認した上で使っていくということをお願いしたいなと思います。
 それから2点目は、143ページ、「高い国際競争力を保持し」に関連するところなんですけれども、ここはまさにそのとおり、高い国際競争力の保持、これは大変重要かと思います。ガラパゴス化は避けるべきだとは思うんですけれども、それをあまりに恐れて、どこかで見たことがある、あるいは既視感のある技術ですとか、ほかの国々の追随になるようなことはやっぱり避けたいなというところで、日本の独自性、まだ誰もやっていないような萌芽的な技術・イノベーションにも光をしっかりと当てて育てていく仕組みについての議論も大事かなと思います。
 それから、その次のページですか、144ページ。基礎研究力の抜本的な強化、これも本当にまさにこの政策の充実にはとても期待するところです。いろいろな先生方、コメントされていますけれども、やはり費用対効果、それから経済的な効果ばかりを優先して評価軸として独り歩きさせないという、多様な評価軸をもって基礎科学を支えるということが大事かなと思います。
 それから最後に、トランプ政権のアカデミア政策への対応として、J-RISE Initiativeの推進、これは非常によいことだと思います。海外で活躍する優秀な若手研究者が手にする給料というのは、実は日本のアカデミアの、場合によっては准教授・教授クラスの給与です。ですので、一朝一夕にはいかないとは思いますけれども、現場の日本人研究者がモチベーションを失うことがないように、若手のみならず、日本の全世代の研究職の給与の国際標準化についても、長期的視点で向上を図っていく必要があるのではないかなと思っておりました。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、相澤委員、お願いいたします。

【相澤委員】
  相澤です。大変ありがとうございました。私からは、AI人材の育成について一言述べさせていただきます。
 AIがサイエンス全体を底上げするという方向感は一致したところだと思います。情報分野にいる私から見ると、このAI人材の育成というのは切実でありまして、AI自体が劇的な変化の最中であることに加えて、研究者は非常に知的で複雑な作業をしています。つまり、学術分野にAIを適用するためには、AI技術の中でも、最先端のAI技術を駆使することが必要になります。
 そこで、国際研究力評価の分野別ランキングにおいて、今までは情報分野というのはその中のone of themであったんですけれども、今後は、情報分野の研究力そのものが、すぐに国全体の研究力に結びつくことが予想されます。
 一方で、研究分野間のバランスは重要ですし、情報分野自体、アカデミアの外に人材が流出していく点で人材的に危機的状況にある分野でもあります。つまり可能な選択肢は、AIも分かる様々な分野の人材を育成していくということに尽きると感じています。そういった意味で、AI人材の育成の切実度合いは非常に強くなっていると思います。ということで、感想でございますが、以上、述べさせていただきました。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、鷹野委員、お願いいたします。

【鷹野委員】  ありがとうございます。私からは2点、発言させていただきます。
 1つ目は、資料2-1の144ページだと思うんですけれども、中間取りまとめに向けた論点整理案の中で、このページの冒頭にございます、科学と技術を分けて考えるということについて、賛同いたします。大変重要な視点だと思っております。これが1点目です。
 2つ目は、高橋委員、それから原田委員からも御指摘があったんですけれども、研究者の待遇改善というお話がございました。私としては、やはり研究者というのが若者にとって憧れる職業であってほしいと思っておりまして、そうするためには、やはり待遇の改善というのも重要なのではないかと思っております。
 そしてそれに加えまして、議題1とも関連するんですけれども、技術者についての待遇、それからキャリアアップ、キャリアパスを今後さらに進めていく、検討していくというお話がございまして、その点も非常に重要なのではないかと。技術者の育成、それからキャリアアップ、そういったところも大事にしたいところだと思っております。
 この点に関しまして、具体の方策の検討がどの程度進んでいるのかというのがちょっと気になりました。もし時間の余裕がございましたら、その辺り、お聞かせいただければと思います。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございます。最後に時間をつくれるようにしたいと思いますが、よろしくお願いします。そのときに回答いただければと思います。
 それでは、深見委員、お願いいたします。

【深見委員】  国立成育医療研究センターの深見でございます。私は1つ、146ページのことにつきましてコメントさせていただければと思います。
 146ページの追加的な論点というところに、2番目といたしまして、科学技術の光と影、テクノロジーの急速な発展に対するガバナンスという部分がありますけれども、これは非常に重要ではないかと考えております。特に生命科学やAIの分野ではテクノロジーが急速に進んでおりまして、その倫理的な面に関して、各研究施設における倫理の審査が難しいという点も出てきておりますので、これに関しましては、どのようにガバナンスを行うかということに関しまして、いろいろな議論が必要ではないかと考えました。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、上田委員、お願いいたします。

【上田(浩)委員】  農業・食品産業技術総合研究機構の上田でございます。最後の米国の科学技術をめぐる動向等について、それを受けて緊急的に若手研究者の受入れ体制を構築してくださったのは非常に迅速でよい対応だと思います。ただ、しかし、これを続けていただくといいますか、広げていただくことが必要であると感じております。
 もともとどうして米国へ行きたがるか。やはりそこで学ぶだけじゃなくて、その後の受入れ体制とか、そこで活躍する土壌があるから行きたがるので、それを日本に次第に移行していくような政策が必要であると考えます。
 先日、たまたまポスドクの募集をかけたところ、全て海外留学生のオーバードクターでした。ということは、やはり日本で学んでも、受け入れていただく研究施設がないからあふれている状況であると思うので、そういったものにも目を向ける必要があると思います。
 さらに、つい数年前まで日本人のオーバードクター問題がありましたので、これを受けて、オーバードクターの受入れ先が少なくなってしまうということにならないように、そういった方面にも目を配っていただきたいと感じました。
 以上になります。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、明和委員、お願いいたします。

【明和委員】  御説明いただき、ありがとうございます。私は文理融合領域に位置づいている研究者でして、こうした観点から一言申し上げさせていただきます。
 143ページになりますが、高い国際競争力を保持し、持続的な経済発展を成し遂げ、これは本当に目指すべきものなんですけれども、私が大変重要だと思っているのは、国際社会にとって唯一無二の存在となるにはどうしたらよいかというところだと思います。特に日本のように経済、資金力であるとか人口、マンパワーがなかなか厳しい国においては、世界からやはり信頼される研究者、研究立国であることが非常に大事になると思います。
 そうした中で、例えば今、基礎研究力を抜本的に強化し、科学の再興を目指すと触れられましたけれども、実はこうした科学の再興の土台となるのは、やはりひらめきとか創造性、独創性だと思います。
 脳科学の観点から申し上げますと、AI for Scienceのところで、40ページに戻りますが、例えばここに科学研究向けAI基盤モデルの図がありますけれども、このような形でAIを壁打ちしていくことによって、つまり、AIとの対話を通じてループをつくっても、実はこれ、知識ベースのいわゆる情報処理のネットワークは活動するんですけれども、ひらめきや独創性が起こる脳のネットワークはまた別なんです。どうやってそのひらめき、独創性を強化することができるかという発想の中で、おそらく教育研究者養成をやっていく必要があるのではないかと思います。
 重要なことというのは、知能と知性・感性はやはり異なるということで、特に日本が唯一無二の存在となるためには、人類の持続的発展にとってこんな基礎研究が重要なのだということを、先を見通して提案できる研究者を育成する国である、ここが非常に重要なポイントになってくるのではないかと感じました。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、久保田委員、お願いいたします。

【久保田委員】  明治大学の久保田でございます。オンラインで失礼いたします。2つほどコメントしたいと思います。
 私、ロボティクス分野の研究をしているんですけれども、研究開発の速度というのは最近とくに非常に速くなっているというのを実感しております。分野にもよると思いますけれども、昨今、AIを含めたいろいろな手法が使われるようになってきていますので、ツールの充実あるいはデータセンターなどの基盤設備の充実というのは本当に重要と思っている次第です。
 2つ目は、J-RISEのお話がありましたけども、こういった枠組みが迅速に立ち上がるというのはすばらしいことだと思います。一方、日本の若手研究者や学生が海外で学ぶ機会というのも重要と思っておりますので、さらなる充実・支援ができるとよいと思っている次第です。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、川辺委員、お願いいたします。

【川辺委員】  ありがとうございます。東京海洋大学の川辺でございます。2つ申し上げたいと思います。
 146ページにKPIというのがございまして、先ほど何度もほかの先生方がおっしゃられたことではあるんですけれども、科学の再興を技術と分けて図るというのはすばらしいなと思います。
 ただし、基礎研究力を強化していったときに、従来のKPIではない指標というのは何なのかという議論を、もう少し展開させていただければと思います。例えば私の分野ですと、海洋観測などが関わるわけですけれども、観測は時間はかかるけれども画期的な発見などはすぐに出てくるものではなく、そのモニタリングを長期的に続けていくための研究経費も継続しにくいと伺っております。そういった研究を支えるための指標とは何なのかということを考えていただきたいと思いました。
 また、先ほど大竹委員からソーシャルインパクトという話が出てきたかと思います。こういう科学の再興というのを研究のほうでやることは、例えばピラミッドで考えると、トップのほうの話かなと思います。一方、その裾野を広くする、サイエンスリテラシーを広げていくことを考えますと、146ページの下のほうにあるサイエンスコミュニケーションというのは非常に重要になっていくかと思います。ですので、科学の再興とサイエンスコミュニケーションとを結びつけるようなことも考えていただきたいと思います。例えば、地域におけるシチズンサイエンスとトップクラスのサイエンスをどうやって結びつけるのかとか、あるいは、地域で科学の拠点となれる博物館がたくさんあるかと思うんですけれども、そういうところとの連携とか、そういった活動を支援するようなシステムというものも考えていただけるとよいなと考えております。
 以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、千葉委員、お願いいたします。

【千葉委員】  東京農工大学の千葉でございます。今回プレゼンしていただいたこと、まさにそのとおりだと思っておりますが、これを国民的な理解も得ながらしっかりと加速していく、あるいは基盤を固めるにはどうしたらいいだろうかということを考えているんですけども、やはり今、世の中を見ると、物すごく大きなリスクが、大体予想どおり、どんどん迫ってきているわけです。一つ一つは掲げませんけど、やはりそれを乗り越えるには当然サイエンスが必要で、もう一つは、国民あるいは地域の人たちとの対話とか、要するに、理屈ではなくて理解を得るようなことが必要です。
 この部分をしっかりと確立していかない限りは、サイエンスの基盤となるものが、要するに、国あるいは社会から認められない。結果としてはそれを前に進めにくくなってしまうということだと思います。
 ですから、いわゆる専門的な話だけではなくて、もっと分かりやすく、国民目線、社会目線に立ったものの発信の仕方というのも考えていく必要があると思いました。
 以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、網塚委員、お願いいたします。

【網塚委員】  網塚です。私からは、冒頭、梶田先生からも御指摘ありましたけれども、外国人留学生の受入れについて一言申し上げたいと思います。
 141ページの基本認識の最初のところにも少子高齢化・人口減少ということが掲げられておりますけれども、安全保障上の配慮が昨今いろいろ言われていて、それに配慮するのは当然なんですが、特に北海道のような少子高齢化・人口流出が激しい地域では、労働力確保の面、また、大学や企業では、半導体産業も来ましたけれども、科学、それから研究開発の担い手の面からも、外国人留学生を受け入れて、大学で高度な専門教育を施した上で、国内に定着してもらうということが非常に重要だと考えています。
 現状、多くの場合は、留学生を大学院から受け入れていますが、これらの留学生達は学位を取ると、その後、母国に帰ったり、英語圏での職を求めたりするケースがほとんどだと思います。一方で、英語で学べる学部プログラムを通じて、早めに受け入れて、日本語教育と併せて育てていくと、学部4年生になる頃には結構日本語が話せるようになり、大学院への進学率も高いですし、学位を取った後は国内での就職を希望するケースが非常に多いです。過去10年ほど、少人数なんですけれども、試験的に北大の理学部で実施したプログラムでも、そういったデータが出ております。
 こういった取組をぜひ広げて、外国人の高度人材の国内定着を促す仕組みの強化を政策的にも御検討いただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 田中委員、お願いします。

【田中委員】  皆さんがおっしゃっているので、多分、中北委員もしくは上田委員の後に言えばよかったと思うのですけれども、J-RISEというのはやっぱりすごく迅速に打つべき施策を打たれたということですばらしいと思うのですが、皆さんおっしゃっていますけど、若手に限るということだと思うのですよね。
 取っかかりとしては良いと思うのですが、その若手の方に、ほかに同様のものがあったときに、ここを選んでもらうという魅力ある点をアピールすべきと思います。
 中北委員もおっしゃっていましたけれども、ほかの施策に比べて、例えばどれぐらいの視点、どれぐらいの期間を考えるのかというのがまず大きいと思います。実際問題、私は、国立研究開発法人におりますけれども、結構ポスドクとか若手のときに職員になるという方はおられるのですが、なかなか、例えば10年とか長期的に、そのまま滞在していただくという方は非常に少ないです。
 それはもちろん、どなたかもおっしゃっていましたけど、やっぱりサラリーが違うというのもあると思いますし、ほかに移られるのは、何か魅力に欠ける部分があると思うのです。そういう問題をきちんと洗い出していただいて、長期的な視点で考えていただくのが良いかなと思っております。
 もう一つは、148ページ。アメリカのアカデミアに対する影響をまとめていただいていると思うのですけれども、多分DOEは1割減っているのですが、NSFは半分ぐらい減っているという、分野によって随分違いがあるというのは皆さん御存じだと思います。身近な方に聞きますと、DOEの予算が主な人はあまり影響を受けていないけれど、NSF関係はばっさり切られているとか、分野によって随分受け止め方が違うので、ある意味、ずるいのかもしれないですけれど、戦略的にそういうところも含めて考えるのも一つかなと感じています。
 すみません、大まかな意見ですが、以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 狩野委員。

【狩野委員】  ありがとうございます。先ほど人材の話をして頭がいっぱいだったので、出足が遅れましたが、3つ、柱で申し上げます。
 1つ目の柱が大きいです。どうしても国の施策はトップダウン的になりやすいんですけど、ボトムアップとどうやってバランスをとるかというところは非常に重要ではないかと思います。
 理由は、研究者という人たちって、人と違うのが趣味で、それで生きているとウェルビーイングが高い人たちなので、わざわざアカデミアにいて、そんなに高くない給料で生きているというところがあるんじゃないかと思うんですが、だとすると、その特徴を生かすには、トップダウンで縛るとうまくいかないわけです。
 トップダウンの今のありようは例えばどこにあるかというと、戦略的に重要な何とかを選定とか、それをやっちゃうとつまりトップダウンなんですよね。もちろんそういうのもあって構わないというか、皆様側から大事だと思いますが、ボトムアップをどれぐらいのバランスで保存するかというのは大事だなと思っております。
 そのボトムアップのありようとして、どんな人までは例えば研究者という定義の中でOKだと思うかというところがあると思っていて、今は論文を書く人という定義になっていて、ほかはどうでもボトムアップで結構ですというふうになっていると思うんですが、そこに、先ほどお話があったように、産業との往還をしようと思うと、多分論文を出すのが難しいような活動の在り方も出てくるでしょう。あるいは、社会のためというと、これまた論文にすぐにならないようなものから手をつけるしかないようなところも出てくるのではないかと思っておりまして、こういうところのボトムアップさをどういうふうに、測定するかが大切かと思います。
 あるいは、これは個人に限らなくて、各組織も、例えばその土地に合った思いつきから何かやったときに、それが国の真ん中で決められる、東京で決められるKPIに合っていないから評価しませんと言われるとやる気をなくす人がいっぱいいるので、こういうときにどういうふうにそれを拾っていけるかということがすごい考えどころだと思います。
 一提案としては、KPIはもちろん定めてあるんだけど、その定めてあるKPIのほかに、どんな予想外の、はかれない、けれども納税者に裨益するような成果が出たのかということを例えば聞いて集めて、その内容でまた評価をするというようなことも提案してみたらどうだろうかということを思いました。今の発言は個人としての発言で、人材委員会からの意見ではないです。責任を感じる人がいたらごめんなさい。
 それから続いて、2つ目の柱は海外の方との関係です。これも私の管轄で最近いろいろニュースがたくさんあったので思っていることなんですが、とある資金制度で留学生の生活費相当は支援しないことになったということだけを取り上げて、あたかも日本の国が留学生は必要でないと思っているというようなメッセージと受け止めている方が多かったような気がするんですけれども、実際には奨学金制度その他で、留学生を支える制度はたくさんあるわけです。
 J-RISEについて言うと、国の相手先が非常に決まった言い方をしているので、それとこれが両方出てくると、アメリカにいる人しかやらないんじゃないですかとかということが出てくると困ります。全体像を示して、多様な地域・国からの留学生を日本は必要としているんですということをしっかりと言った上で、その中で、今回この制度は趣旨からして日本人のためだからという、そういう言い方に持っていくしかないのではないかと思うんですが、そこのやり方はもう少し工夫がさらにあったらいいのかなと思っております。
 3つ目の柱は、官の科学技術を支えてくださっている皆様方も科学技術人材ではないかということ。要は、科学技術研究マネジメント人材という方々は結局何をしてくださっているかというと、科学技術のためにマネジメントしてくださっているわけですよね。そうすると、文部科学省の皆様もこういう方の一人であると言えるわけですが、その方々が2年に1回、持ち場が替わってしまわれると、起こるものも起こりにくくなるというような声はたくさん聞くことがあるわけですけども、皆様の側からはなかなか言いにくいということは分かりましたので、今回、こっち側の委員として発言をしてみることにいたしました。
 以上、3つでした。

【大野会長】  ありがとうございます。
 日野委員、さっき手を挙げておられた。

【日野委員】  東北大学の日野でございます。現米政権の影響に対する対応策ということから話を始めさせていただきたいんですが、困っている人がいるから助けるというスタンスにどうしても近視眼的には見えるんですけれども、今起こっていることは、実はグローバルに学術に対する挑戦であり、危機です。
 そういう意味では、研究者を救うというのもそうなんですけども、アメリカが支えているいろいろな研究開発の中のファンクションを、日本だけでなくてもいいかもしれませんけど、非アメリカの国々がどうやって支えていくのかということを少し視野に入れて、今、緊急ですごく動かしていますけれども、やや中期的な視野で次々に政策を考えていただく必要があるんじゃないかと。
 例えば我々、私も海洋科学をやっていますけれども、地球全体の海洋変動をリアルタイムで捉えることを目指した前例のない大規模国際プロジェクト=Argo(アルゴ計画)のマネジメントは米国にずっとあったんですが、それが非常に危機的な状況にあって、それを日本でどうやって引き受けるかというようなことを考えている動きがあるようです。ほかにもたくさんそういうことがあると思います。
 ですから、そういうふうに研究者ではなくて研究コミュニティを支える。そのときには、日本だけじゃ大変なので、ちゃんとほかの国との協調も考えて進めていただきたいと思います。
 それからもう一つ、ちょっと別ですけど、144ページで、戦略的に重要な技術領域を選定と書いてあるんですが、これをやり過ぎたのが今のアメリカの状況だと考えます。そういう意味では、他山の石と捉えて、要するにトップダウンのところで間違わない仕組みを私たちはちゃんと用意しておかなきゃいけないんじゃないかということも思ったので、併せてコメントさせていただきたいと思います。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】  ありがとうございます。皆様方がお話しされていること、もっともだと思ってお聞きしているのですけども、資料の143ページに目指すべき未来社会像というのが掲げられていて、最後の3つ目に、科学技術・イノベーションによる人類の持続的発展への貢献を目指すと書いてあって、これは科学技術に対する究極的な役割と私は思っています。しかし、これはすごく難しいことで、総論では皆さん納得していただけると思いますが、具体的にどうやって進めるのかというのは非常に難しい問題だと思っています。
 これは多分いろいろな分野の人が横断的に議論するとか、それから文理融合なんかももちろんですけども、さらに、社会一般の方々とのやり取りとか、非常にいろいろなことが生じないとこれはできないことなんですが、どうも今回まとめていただいたこのペーパーを見ても、ここの具体化に関してのことがあまり書けていないのかなということを感じています。
 ですので、ちょっと長いレンジの大きな話になるんだと思うんですけども、日々起こっていることへの対応とともに、並行しながらこういうことを進めていく必要があるなということを感じました。
 感想みたいな意見ですけど、以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、宮澤委員、お願いいたします。

【宮澤委員】  京都大学の宮澤です。資料144ページのところで、人材育成の話についてはこれまでも多くの委員の先生方が御意見されていたと思いますし、先ほど資料2-1について説明があったときにも、10年を見据えた今後5か年の計画ということで御説明がありましたけども、人材育成に関しては、皆さん御承知のとおり、なかなか一朝一夕にいかないというのは認識しておくべきかと思います。
 それで、議題1の各分科会等からの報告でもございましたとおり、初等中等教育での裾野の拡大という方針に関しては、私は非常にいいかなと思っておりまして、そういった広い知識に裏づけられたような教育をしていくことで、やがて高等教育あるいは大学教育にもそういった人材がやってくると思います。
 大学においては、やはり広い知識を持った、あるいは広い知識に裏づけられたような研究をやっていかないと、本来、イノベーティブな研究とかそういったものは生まれてこないというのは多くの先生方がおっしゃっているとおりです。
 それから、これに関連するのは、日野委員が先ほどおっしゃっていましたが、同じ144ページ、戦略的に重要な技術領域を選定。こうやってしまうと、限られた領域の研究だけが選ばれてしまって、本来であれば、イノベーティブな研究で、それを基に新しい研究分野が創出されるべきところが、阻害されてしまうという弊害が出てきてしまいます。
 こういったものを解決するにはどうしたらいいかというと、先ほど10年を見据えたとおっしゃっていましたが、もっと長い、20年、30年を見据えたような長期的な教育制度というもの、特に広い裾野を持った、広い分野をサポートするような制度が必要かと思います。
 そうなると、5年でどうするか。特に大学のほうですけども、同じく144ページの下のほうの人材の育成・確保で、博士人材の効果的・効率的な育成、研究マネジメント人材の在り方についても、下の若い世代が育ってくるのを待つのではなくて、あらかじめ広い分野をサポートしていただくような体制というものが重要かと思います。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、菅野委員、お願いいたします。

【菅野委員】  菅野です。2点、コメントさせていただきたいと思います。
 まず、最初の人材委員会の報告ですけれども、大変な取りまとめをありがとうございました。その中で、SPRINGに関して、社会人学生に対する支援も含まれているということで、大変好ましく感じました。
 より産業との連携を強くするということを今後も意識してほしいですし、もう一歩進めて、産業との共創も含めた議論が進むといいと思います。例えばある国では産業が深く大学の教育に関与するという例もあるようですので、その辺りも含めて検討があればよろしいかと思いました。
 2点目ですが、今日御報告のあった3つの委員会に共通することですけれども、例えば最初の計測・解析手法の共用化、リモートを含む利用法の深化、それからAIとデータの融合、これでより高度に迅速に材料開発が進むということで、これは期待していますし、この方向性が正しいと思います。
 ただ、少し違和感を覚えたところが、私自身、材料合成の立場で物を考えていますが、例えば49ページなどにある予測、合成、物性測定というループを回して、ここで自動・自律実験でそのループをクローズに回すと記載されています。絵としては非常にきれいですし、私もいろいろな議論の場ではこういう絵を描くのですが、少し理想過ぎると感じるところがあります。
 様々な種類の合成があり、これが多種多様で、これまで多くの研究者、それから研究室に所属する学生が様々なアイデアと数で、その知識がノウハウとして蓄積されてきたところがこれまでの日本の材料開発の強みではないかと感じています。自動化が威力を発揮する場もありますが、そうでないところは非常に多く、合成して物を生み出すところ、その基礎体力が弱りつつあるというのが大変課題であると考えます。ここの手当てが必要であるというのは事実です。
 物をつくるプロセスというように言葉を置き換えてもいいかもしれませんが、そのプロセスがサイエンスに達していないのが問題点であります。
 ただ、そこに経験的に学・産の知が集積されてきた事実、これが強みで、これをどのように生かすかが多分、今後議論の必要なところかと思います。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、久世委員、お願いいたします。

【久世委員】  菅野委員のご意見「すべてを自動化するのではなく、手を動かして実験を行うことで蓄積される現場の研究者のノウハウや知見も非常に重要である」に関しては、私もまったく同感です。この後に述べる私のコメントが誤解を招かないよう、少し前置きをさせていただきました。
 140ページ以降の中間取りまとめの論点整理には、AIやAI for Scienceに関する記載がありますが、私はAIそのものも重要である一方で、それ以上に「データ」の重要性を強く認識しています。データ駆動型の研究を実現するためには、今後ますますデータの重要性が高まり、AIのみならずシミュレーションなどにも広く活用されていくと考えています。研究開発基盤部会の発表でも同様のコメントがありましたが、データは非常に重要な要素であると認識しています。
特に、研究開発基盤部会の29ページには、データ駆動型研究のための基盤(プラットフォーム)についてよく整理されていますが、私もこの基盤の整備は極めて重要だと考えています。日本においては、産業界や大学がそれぞれ多様なデータを保有していますが、それらのデータは組織内に閉じており、組織の壁を越えて有効に活用されていないのが現状です。加えて、そのようなデータ共有を促進する組織風土が十分に醸成されておらず、個人の意識も低いことが課題です。これらの課題を解決するためにも、大学を中心に産業界を巻き込みながら、データ共有のための基盤を構築し、推進していくことが重要だと考えています。
マテリアル分野の研究開発事例として、45ページに紹介されているリバプールのマテリアルズ・イノベーション・ファクトリーは、ハイスループットシステムの好例です。日本で同様の施設を構築しようとすると、初期投資に数百億円、維持費にも数十億円が必要との説明がありました。これについても、大学を中心に産業界を集め、最先端の実験自動化ツールを集積・共同活用することが重要です。また、マテリアル研究開発においては、評価装置モ各大学や企業に分散して所有されている状況です。評価機器や自動実験装置は日本が強みを持つ分野であり、日々進化しています。こうした最先端機器をタイムリーに導入し、保守・運用することは、個々の大学や企業単独では困難です。
したがって、これらの実験評価装置やハイスループット自動化実験装置を共有化し、それらから得られるデータを集積してAIやシミュレーションに活用できる仕組みの構築が期待されます。現状、日本では装置やデータの持ち寄りが十分に行われておらず、その結果、スピードや競争力のある研究につながっていないケースも少なくないと考えています。このような状況を改善するためにも、日本として明確な方向性を示すことが重要です。部会の29ページの4(丸4)「産業界との協働」において、こうした議論がなされているようであれば、ご紹介いただけますと幸いです。
以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。1番目の議題で発言されたということはもうリセットされていますので、もしよろしければ御発言ください。

【大野会長】  ほかにいかがでしょうか。寺井委員。

【寺井委員】  ありがとうございます。人材の育成・確保のところなんですけども、この主題でいきますと、どうしても大学等の研究者の教育・育成というところに力点が置かれざるを得ないというのはよく分かります。民間企業に所属する技術士の育成は、じゃあ、どこで誰がしっかりリードするのかといったところがないなということですけど、よくよく基本法を見ますと、研究者・技術者の活用と適切な処遇の確保は民間事業者の責務と明記されているんです。だから企業任せで頑張りなさいというのが今の日本だと思うんですけども、とは言いながら、その技術者を育成するためのロールモデルみたいなものもどうしても必要かなと思っております。
 ということで、技術者分科会でこの辺も含めて一生懸命議論しているところなんですが、要するに、理工系学部を卒業して、技術士制度というのは技術士の資格を取るまでのいろいろな仕組みになっているわけなんですけども、その中には当然、能力開発を支援するような仕組みも今後つくっていかないかんということで、IPDという言い方をしているんですけども、ぜひ民間企業にもそうしたものを積極的にアピールして、技術士の資格の活用というよりは、技術士制度、今ある制度を活用して、民間にも科学技術系人材の育成に貢献していただきたいという方向で今後まとめていければいいかなと思っております。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 狩野委員どうぞ。

【狩野委員】  ありがとうございます。今の技術者育成の点は、実は、すみません、さっき言い漏らしたことで、ぜひともと思います。
 それで、関係ある機関としては、高専、あと工業高校もあります。それからあともちろんその後大学があるわけですけども、家庭科の技術的な教育を超えてあと何があったらいいのかとか、あるいは、今申し上げた工業高校について、そのレベルについて心配する声を聞いたことがあるんですけど、その辺りは一体どこが所管でどうするかとか、この辺りもここに関連して本当はこれからしないといけないなと思っておりました。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 水本委員、お願いいたします。

【水本委員】  すみません、時間があるということなので。
 これは適切な言い方かどうか分からないんですけれど、言葉でちょっと気になったことがありました。資料の144ページで、これは基本計画の方向性の論点なので、この言葉が残るとどうかなと思ったのが1個あります。
 一番上の言葉で「科学の再興」とあるんですけれど、これ、ぱっと見ると、科学が今すごく沈んでいて、それをこれからもう1回やり直すんだみたいな印象を普通の人に与えてしまうんじゃないかと。これは大きな誤解を与えかねないので、この言葉が表に出ないようにしていただいたほうがいいのかなと。別の言葉に置き換えていただきたいなと思いました。
 コメントです。

【大野会長】  ありがとうございます。
 木部委員、お願いします。

【木部委員】  木部でございます。ちょっと戻るんですが、最初の先端研究開発基盤強化委員会の資料の、「共用」という言葉がこれから非常にキーワードになるだろうと思うんですね。
 先ほどどなたかがおっしゃっていましたけど、なぜか日本ではなかなか共用が進まない。それがこの資料の14ページの諸外国の政策等という例を見ると、日本でも政策的に共用を進める必要があるのかなと感じました。
 それと、共用に関して、これは人材育成と非常に密接に関係していると思うんです。というのは、私の組織は文系なんですが、理系のことをやっている先生もいて、分析機器を共同利用しているんですけども、たくさんの申込みがあっても、それを指導できる人材がいないので、本当はもっと稼働率を上げたい、申込みを受け付けたいんだけども、受け付けると、それを指導できる人がいなくて、オーバーワークになってしまうのでできないということを聞きました。
 ですから、機器の共用、それから高度な機器の更新、導入を政策的に進めるということと、それを使用するための人材育成がセットになっているということをどこかで強調したいと思います。

【大野会長】  ありがとうございます。
 川辺委員。

【川辺委員】  ありがとうございます。今の木部委員のお話に続けさせていただきたいと思います。私のいる大学でもやっぱり機器の共用というのがたいへん大きな問題になっています。機器を共用することによって、貸出しでお金が入る点はよいのですけれども、やはり壊れる頻度、あるいは故障が発見される頻度というものも高くなるので、その間をどうするかという話がまたあります。
 さらに、修理の費用の支払いが、なかなか研究費のサイクルと合わなくて、どこで建て替えておくかとかいう、細かいところでも大変な思いをされていらっしゃる方が多いようです。
 もちろん技官の方がその機器の面倒を見てくれるようになっていればよいのですけれども、その人材をどうやって雇用するかという話もあり、機器の共用を進めるためには、共用自体はすばらしいことだと思うのですが、それを支える仕組みもまた制度設計していただけないかなと思います。
 以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 合田委員どうぞ。

【合田委員】  2つほど、J-RISEについてコメントさせてください。
 皆さん多くコメントされているので、ちょっとはばかられるんですけれども、1つ目は、海外からの研究者あるいは大学院生が来ると、彼らのキャリアパスがなかなか見えていないと。それを担保できるシステムの構築が非常に重要かなと思います。
 もう一つは、75%のアメリカの科学者が外へ出たいというネイチャーのアーティクルが、あったかと思うんですけれども、そこのサブタイトルが、実際どこへ行きたいかというと、ヨーロッパもしくはカナダへ行きたいというふうになっていて、そこでどうやってアジアである日本に来たいかというふうに持っていけるかというところが課題かなと思います。
 日本の研究はヨーロッパとかカナダとかに全然劣っていないと思うんですけれども、よくネックになるのが、見えないところ、例えばパートナーの仕事が見つからない、あるいは子供の教育とか、関わってくると思うので、議論が広がり過ぎてしまうんですけれども、そういう点もやっぱり検討に置いておくところが大事かなと思いました。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、上田輝久委員から御発言いただきたいと思います。

【上田(輝)会長代理】  私も、144ページの上から3行目までが非常に重要なポイントになっているんじゃないかなと考えています。特に科学技術を科学と技術に分けて、科学の再興、これはちょっと表現を工夫したほうがいいとは思うのですけれども、それと、技術及びイノベーション力の強化ということについて、これは議論をもっともっと深掘りする必要がある内容でありまして、総花的な内容に終わらないようにしていくことが非常に重要じゃないかなと思います。
 まず、基礎研究力の抜本的強化についてですけども、これはやはり基礎研究という以上、自由な発想を重視・許容して、拙速に成果を求めないという視点も重視することが大事じゃないかなと考えています。これは国際頭脳循環等を活用するということが必要になってくると思うんですが、研究者間の議論をより活性化すると。欧米ではかなり深い議論がされますけども、それを超えるような議論を活性化していくことが大事で、基礎研究力の多様性と独自性を評価するための新たな評価指標、あるいは新たな評価の考え方が必要だと思っています。
 ポイントは、多様な基礎研究を許容・評価するということがこれから重要じゃないかなと思います。これによって、科学の再興を目指すと。この再興というのは表現を工夫したほうがいいと思うんですが、これにつきましては、自然科学と人文社会科学の両方、すなわち文理融合というものを強く念頭に置いて、日本の強みに磨きをかけていくという視点が重要になると考えています。
 その意味で、3行目にあります戦略的に重要な技術領域を選定するということが非常に重要で、これも議論を深めていく必要があると思うんですが、これ、選定の仕方というものが非常に大きなポイントになると思います。
 具体的には、戦略的に重要な技術領域というものを3つの分類で、かつ短期、短期というのは例えば5年ぐらい、中期、10年、あるいは長期、20年から30年という視点で選定していくことが重要だと思います。全てのテーマですぐに結果を出すということは、重要であるテーマを考えていけばいくほど、10年、20年かかるということもありますので、そういう短期・中期・長期の視点ということで、基礎研究も技術力の強化も考える必要があると思います。
 そういう意味で、戦略的に重要な技術領域を3つの分類でということを申し上げましたけれども、これはまず第1に、世界でトップを目指すというテーマ、これは世界の中では抜き出て、まさに世界で日本が一番だということを目指すようなテーマ。2番目は、世界のトップレベルを維持すると。今、残念ながら抜きん出てはいないけども、これは非常に重要なテーマであって、世界で競争できるレベルにあるというテーマについては、これを維持していくと。できれば世界で抜き出ていくことを目指すわけなんですが、この2つ目の世界レベルを維持するというテーマ。3つ目は、残念ながら世界では競争力が低下してしまった。これは半導体分野が特にそうだと思うんですが、経済安全保障などの視点で挽回を図るべきテーマというような、こういう3つの分野を設定して、短期・中期・長期の視点で分類していくことが非常に重要であるんじゃないかなと思います。
 このような視点で、戦略的に重要な技術領域というものが、単に総花的な内容、議論に終わらずに、また、従来の考え方にとらわれ過ぎないように、新たな発想でめり張りをつけた形で具体化が進んでいくことを期待しています。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは最後に私から発言いたしまして、あとまだ少し時間がありそうなので、文科省のほうから今まであった質問等にも回答いただけたらと思います。
 先ほど申し上げましたけど、人口減少の中で、今まで以上に科学あるいは技術のアウトプットを出していくには、相当独創的な知恵が必要だと思います。その中で、科学の生産性という言葉は、不適切かもしれませんけども、アウトプットを今までより少ない人たちで担っていくべき時代になったと。仮に海外の方々に来ていただいたとしても、そういう大きな図柄は変わらないと思います。
 そういう意味で、生成AIが非常に効率を上げるということは、我々にとっては追い風ですけれども、世界もそれを利用するということ。さらに、共用というものも今話題になりましたけれども、それも、科学技術の、そして学術の生産性を上げるという意味で、極めて重要な手段であります。ぜひ、それらを組み合わせたものを、タイムリーに、しかも今までの組織形態にはこだわらない形で、日本の科学技術・学術コミュニティに提供できるようにしていただきたいと思います。
 もう一つのテーマは、基礎学術のアクティビティ。基礎と基礎科学・学術のアクティビティです。科学の再興という言い方をCSTIはしていますけれども、それは戦略的に分野を決めるというところとは別に、きちんとディファインしていただいて、科学者あるいは学術に携わる者が、自らの工夫あるいは興味で新たな発展を目指すということをきちんとできる形にしてほしいと思います。
 もちろんその中には厳しさも必要です。ゆっくり深めるということが、許されないと言うと言い方がよくないんですけれども、基礎科学でもやはり競争は競争で、一歩でもほかのグループより先に行きたいというのは、携わっている方々が皆、それで切磋琢磨しているところです。そういう競争にきちんと勝てる、そのために世界とつながって、新たな分野や新たな地平を切り開くという意味で、科学の再興と言うのがいいかどうかは別にして、科学に力を入れてほしいと思います。
 加えて、人材ですね。既に網塚委員からもお話がありましたけれども、学部段階でも良い留学生、世界からの人材を入れるということは重要です。加えて、誰でも来てもらえるというのはちょっと言い方がよろしくありませんけれども、将来の研究活動に、学術の活動あるいは科学技術のアクティビティに携われるような人にできるだけ早期に参加してもらうというのは非常に重要な観点です。それについては、日本の大学の定員のシステムなどは非常に堅くつくられていて、そこは柔軟にしていかないと、人材を受け入れるというところはうまく機能しないのではないかと私は感じています。
 ということで、私からの発言は以上でございまして、文科省から回答を、幾つかあったかと思いますので、お願いします。

【豊田国際研究開発政策課長】  国際政策課です。大変貴重な御意見をありがとうございました。結構あったかなと思ったんですけど、まず、高橋先生とか中北先生がおっしゃった、今回、若手研究者だけじゃなくて、日本の若手研究者の活躍という文脈ですが、我々もぜひ今回のこの施策を、いい意味で起爆剤に使っていただけたらと思っております。
 国際卓越研究大学の申請校といえど、例えばですね、ソフトのお金が圧倒的にないので、やはりこういった形で、海外のとがった人材を呼び込んだ上で、多分それぞれのそのレベルの大学だと、そういう人材が国内外問わず活躍していただくような、雑務とかはやらせずに研究に邁進していただくみたいな、そういう制度も学内で整えられているところがほとんどだと思いますので、何度も言いますけれども、ぜひ起爆剤としてうまく御活用いただけたらと思います。
 あと、高橋先生、原田先生から、若手だけじゃなくて全世代という話ですけれども、今回の施策は法令上の限界がありまして若手研究者だけになっていますので、シニア含めて、これは概算要求で我々確保していきたいと思ってございます。
 あと、来た人の定着について、田中先生、上田先生から御質問あったかと思いますけれども、今回我々の施策でも、やっぱりすぐにどこかに行ってしまうということは政策効果上もよろしくないと思っておりまして、各大学でこの3年間の期間中にテニュアトラックをしっかりつくっていただくということを考えておりますので、しっかり定着いただいて、特に若手研究者なので、その後しっかり長期にわたって御活躍していただくというところを政策効果として考えてございます。
 あと、危機のある学術分野をすくうという文脈ですけども、大竹先生からございましたが、これは狩野先生がおっしゃったトップダウンとボトムアップのバランスということかなと思っていまして、一つの施策でなかなか対応し切れないところがありますので、まさにボトムアップ型の多様な研究を拾うという捉え方もあるかなと思いました。
 あと、ヨーロッパですけれども、我々、大使館とかも通じて今のそれぞれの国の状況を調べてございますが、なかなか情報が、何人というところまでは実はなくて、あとスケジュールも意外とそんなに早くなくて、年度中に採択を決めるみたいなスケジュールで動いているところもあるようなので、意外と追い越しているというか、スピード感では、かなり早いタイミングで我々も対応できているかなと思います。
 あと、グローバルサウスの定義のところは、我々のほかの共同研究とかの施策との相乗効果云々というところも考えてございまして、これは原田先生からありましたけれども、ASEAN諸国とか、あるいはインドみたいなところを含められないかなと考えてございます。
 あと、久保田先生から、若手が外に出て学ぶ機会、要は受入れだけじゃなくて外にという話も、我々そういうメニューもそろえてございますので、これも概算要求のほうでしっかり対応していきたいと思ってございます。
 あとは合田先生から、キャリアパスとかパートナーとか含めて、要は受入れのための環境というところは、まさに各大学、特に国際卓越申請校とか、その辺りをしっかりやっている、あるいはやろうとしているという段階だと思いますので、そういうポテンシャルのある大学にしっかり支援していきたいなと考えてございます。
 すみません、ちょっと漏れがあるかもしれませんけど、以上でございます。

【大野会長】  ありがとうございます。
 俵課長、お願いします。

【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。俵です。機器・装置の共用や共同利用についての御意見もいただきました。
 機器の自動化だけではなくて、手を動かすものづくりのプロセスも非常に大事だという御意見があったかと思います。今回の施策あるいは議論の目的も、単純作業の繰り返しから、創造的な研究活動により力を入れていただきたいという趣旨もあります。
 今、先生からいただいたものづくりのプロセス、これもむしろ創造的な部分だと思います。装置の開発や、そういうところの観点では、手を動かすという視点も大事だという御意見だったかと思いますので、そういった御意見も踏まえて、政策に取り入れていきたいと思います。
 もう1点、機器の自動化、産業界との協働について、部会でどんな意見があったかということもあったかと思います。これは久世先生だったかと思います。これは島津製作所の方もメンバーに入っていただいていて、産業界の方々からは、例えば材料の分野でいうと、まだまだ装置の開発についても世界と戦える力を持っていると。ただ、メーカー単独ではなかなか難しいので、メーカーの協働で、そこにアカデミアにも入ってもらって行うようなところが重要だと。これは久世先生から御意見いただいて、同じような意見をいただきました。今回の大規模な集積の拠点が、試作品の開発の場にもなると非常にいいという御意見もいただいていますので、そういったことも踏まえて考えていきたいと思います。
 最後、機器の共用と人材育成についても御意見いただきました。これは海外でも、機器があるだけではなくて、人材がいることで人が集まるという御意見もありました。今回も同じような御意見だったかと思いますので、踏まえた取組につなげていきたいと思います。
 以上になります。

【大野会長】  それでは、馬場参事官、お願いします。

【馬場参事官】  すみません、時間もないと思いますので、一言だけ。先ほど木部委員、川辺委員から、共用の重要性があったと思います。我々としても持続性のある仕組み、システムをつくることが大事だと思いますので、庁内関係部署とも連絡して、持続性のある形で、これから具体化、今回の提案、提言を踏まえて、仕組みをつくっていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

【大野会長】  石川課長。最後に一言。

【石川研究開発戦略課長】  内閣府の資料で、今日、先生方にKPIの部分の話ですとか重点領域の選定の話がありました。まだこれから、KPIなども、内閣府含めて、我々も詰めていくというところだと思いますので、今日いただいた御指摘のところはしっかり念頭に置いて、内閣府ともしっかり議論していきたいと思います。
 技術領域の選定の部分は、今回、科学の再興と技術・イノベーションということで、科学を1回切り分けていますけれども、そういう意味では、内閣府のほうも、重点領域を決めたことによって、まさにキュリオシティドリブンのような研究のところまで影響するのかというと、そこはやっぱり違うよねという認識の下で、好奇心に基づいて研究者が研究したいというところと、ここは日本の今後の産業のためにこの技術に張っていこうということはちょっと別の話だよねというのもあって、書いていただいていると認識していますので、その辺、今日の議論も含めて、どちらも我々文部科学省は関わっているところですので、しっかり内閣府とも議論していきたいと思います。
 どうもありがとうございます。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 よろしいですね。それでは、これで本日の議題を終わりたいと思います。
 これまで皆様に出していただいた御意見を踏まえて、文部科学省において、第7期基本計画に向けて、具体的な対応策をまとめていただきますようお願いします。
 いずれにせよ、科学技術・学術の営みに対し、より一層の資金の供給と資金の循環が必要だということは明らかですので、それなしに復興はできないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。個人の意見ですけれども。
 ということで、委員の皆様、もし何かさらに御意見、御発言がございましたら、メール等で事務局までお寄せください。
 それでは最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

【伊藤科学技術・学術戦略官】  本日の議事録は、後日、事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただくようお願い申し上げます。御確認いただいたものを文科省のホームページに掲載しますので、御承知おきください。
 また、本日の会議資料は、郵送の希望がございましたら、机上に残していただければ事務局で手配いたします。
 最後に、次回の日程ですが、追って御連絡させていただきます。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、これで第77回の総会を終了いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付
電話番号:03-5253-4111(内線3848)
メールアドレス:shingist@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)