科学技術・学術審議会(第67回)議事録

1.日時

令和4年4月26日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

Web会議形式で開催

3.議題

  1. 第11期の各分科会等の活動について
  2. 最近の科学技術・学術の動向について
  3. その他

4.出席者

委員

濵口会長、須藤会長代理、天野委員、大野委員、小縣委員、小川委員、越智委員、小原委員、春日委員、岸本委員、栗原委員、小長谷委員、白波瀬委員、鈴木委員、高梨委員、高橋委員、田中委員、仲委員、長谷山委員、福田委員、観山委員、明和委員、村山委員、門間委員、安浦委員

文部科学省

末松文部科学大臣、高橋文部科学大臣政務官、義本文部科学事務次官、柳文部科学審議官、千原科学技術・学術政策局長、池田研究振興局長、真先研究開発局長、柿田総括審議官、坂本大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、林大臣官房審議官(研究開発局担当)、原大臣官房審議官(研究開発局担当)、寺門科学技術・学術総括官、塩田研究開発戦略課長、赤池科学技術・学術政策局付、工藤参事官(情報担当)、大土井海洋地球課長、佐野科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、河村振興企画課学術企画室長、畑山ライフサイエンス生命倫理・安全対策室安全対策官、ほか関係官

5.議事録

【濵口会長】  それでは、お時間になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会第67回を開催いたします。御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、オンラインでの会議でいろいろ御不便をおかけしますが、どうぞ御寛容のほどお願いいたします。
 本日は、末松信介大臣、それから高橋はるみ大臣政務官に御出席を賜っております。御挨拶を頂きたいと思います。
 まずは末松大臣から御挨拶をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【末松文部科学大臣】  ありがとうございます。文部科学大臣の末松信介です。第67回科学技術・学術審議会総会開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の先生方におかれましては御多忙のところ、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。そして、いつも大変お世話になっておりますことに深く感謝を申し上げます。
 第11期科学技術・学術審議会におきまして、第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえました研究開発の在り方、また研究力強化に向けた取組内容につきまして、活発な議論が行われていると伺っております。
 特に、前回の総会では、大学等の研究力強化を図るため、大学研究力評価委員会が新たに設置されるなど、審議会の役割、ますます重要になってまいりました。
 科学技術立国の実現は、岸田政権が掲げる成長戦略の大変重要な柱でございます。本日は、各界を代表する委員の先生方に、科学技術立国の実現に向けた忌憚のない御意見を賜りますようにお願い申し上げます。
 引き続き、科学技術・学術行政への御支援、よろしくお願いを申し上げます。
 今日は高橋政務官もオンラインで参加をいたしております。よろしくお願い申し上げます。開会の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは次に、高橋大臣政務官より御挨拶を賜ります。どうぞよろしくお願いいたします。
【高橋大臣政務官】  ただいま御紹介賜りました、文部科学大臣政務官、高橋でございます。私からも一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
 本日は大変御多忙のところ、科学技術・学術審議会総会に御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 科学技術・イノベーションは我が国の生命線とでも言うべきものでありますが、近年、研究力の低下が指摘されている残念な状況にございます。
 第6期の科学技術・イノベーション基本計画におきましては、世界最高水準の研究力を取り戻すことが目標として掲げられているところであり、文部科学省といたしましては、委員の皆様方の御知見を賜りながら、研究力強化のための対策を立てていきたい、このように考えているところでございます。
 本日はぜひとも忌憚のない御意見を多数頂きますよう、心からお願いを申し上げます。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入る前に、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 事務局、お願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。まず、本日の総会でございます科学技術・学術審議会令第8条1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
 続きまして、事務局に人事異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
 まず、研究開発局長、真先でございます。
 それから、研究開発担当審議官、林でございます。
 科学技術・学術総括官、寺門でございます。
 また、本日は事務次官の吉本も出席しております。
 次に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、事前にお伝えしておりますとおり、委員の先生方にお願いがございます。
 御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押すようお願いいたします。
 御発言後は、再度挙手ボタンを押して、挙手を取り消してください。
 御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。
 オンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号、またはページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう御配慮願います。
 本日の資料につきましては、議事次第に記載のとおりでございます。なお、参考資料1-1として、最新の委員名簿をお配りしております。
 説明は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきます。議題1の、第11期の各分科会等の活動についてお諮りします。
 前回10月に開催の総会におきまして、科学技術基本法改正や、第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえ、今期どのようなことを御議論いただくかを検討いただきました結果を、各分科会長等から御報告いただきました。
 本日は、各分科会等の活動状況全体について、まず事務局から簡単に説明を頂いた後、分科会等から主な活動報告について、2点を代表して御報告いただきたいと存じます。
 それでは、まず各分科会等の活動状況について、事務局から報告をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、資料1-1-1について御説明をさせていただきます。
 まず、資料の1枚目でございます。こちらは、科学技術・学術審議会に置かれている14の分科会等についての構成をお示ししたものとなっております。
 2枚目につきましては、それぞれの分科会長、分科会長代理等の方につきまして、一覧にさせていただいたものとなってございます。
 3枚目、4枚目に、第11期における審議状況についてまとめさせていただいており、各分科会等の審議状況、審議事項、報告等、開催状況が一覧となるようにしております。
 この中で、報告等の部分について記載をいただいている分科会等でございますが、学術分科会、測地学分科会技術部、技術士分科会、国際戦略委員会、情報委員会となっております。
 情報委員会でまとめていただきました第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた情報分野の振興方策取りまとめにつきましては、資料1-1-2として添付をさせていただいているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、分科会等からの主な活動報告について、初めに測地学分科会長である小原委員から報告をお願いいたします。
 小原委員、お願いいたします。
【小原委員】  測地学分科会の小原でございます。測地学分科会では、ここにありますような、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)を推進してございます。
 では、34枚目に飛んでいただけますでしょうか。
 この計画は、平成31年1月に、科学技術・学術審議会から関係大臣に建議されております。昨年度は5か年計画の3年目に当たり、次の建議の検討に向けて総括的な自己点検を行うため、レビュー報告書を作成いたしましたので、本日はそれについて御報告申し上げます。
 次のページをお願いいたします。こちらが計画の概要となってございます。
 最上段の第1次計画というのは前の計画になりますが、こちらは平成23年の東日本大震災を踏まえて、それまで理学中心だった計画から大きく方向転換し、災害科学の一部として推進することにしたものです。
 その1次計画のレビューに対しては、方向性を継続してさらに発展させるべきという外部評価を頂き、それを基に策定された第2次計画におきましては、工学や人文・社会科学との連携をさらに強化するとともに、防災リテラシー向上のための研究を加えて5本柱といたしました。
 次をお願いいたします。実施体制につきましては、第1次と同様に、2つの共同利用・共同研究拠点の連携を軸として、協議会に大学や行政機関等全ての機関が参画して計画を推進してございます。第2次からは、赤字で示した8つの機関が新たに参加いたしました。
 次のページをお願いいたします。こちらが第2次計画のポイントになります。
 災害に対する国民の基本的理解を深めるため、防災リテラシー向上のための研究を新たに追加したとともに、分野横断的に取り組む重要な課題を総合的研究に選定。また、災害軽減への貢献が強く期待される課題を重点的研究として積極的に推進いたしました。
 次をお願いいたします。防災リテラシーについて補足いたしますと、本計画ではその向上に向けて、過去の災害事例から得られる知見を社会に伝える手法、受け手に合わせた情報発信や教育・研修プログラムの開発等を、一番下にありますような既存の3本柱と連携しながら進めております。
 次をお願いいたします。本計画の成果はたくさんございますが、時間もございませんので2つだけ紹介させていただきます。
 こちらは、重点的研究にもなっておりますが、測地観測、つまりGPSで日々得られるデータを用いて、内陸地震の新たな長期評価手法を開発するというものです。
 ここでは、内陸域に蓄積されるひずみ速度の14%が地震で開放されると仮定して、マグニチュード6以上の内陸地震が今後30年以内に発生する確率を計算いたしました。
 このような長期評価は、文科省が事務局であります地震本部の施策の一つでございますので、地震本部での社会実装に向けて、情報交換を開始したところでございます。
 次をお願いいたします。今後、大規模な噴火が予想される桜島におきましては、火山活動の推移モデルを構築して噴火予測を行い、住民避難まで視野に入れた分野横断型の重点的かつ総合的な研究を実施しております。
 具体的には、マグマ貫入量を分岐条件として噴火様式や規模を予測し、それに基づいて火山灰の降灰量や範囲を予測、さらには住民の意向調査を踏まえた避難シミュレーションを実施して、避難可能性を検証したというものでございます。
 このように、現象の解明や予測にとどまらず、被害予測や避難方法に至るまでの成果が得られたということは、総合的研究という分野横断型の実施体制が有効であることを示すものでございます。
 また、第6期科学技術・イノベーション基本計画に記載されております「レジリエントで安全・安心な社会の構築」にも資する重要な成果であると考えております。
 次をお願いいたします。こちらが、最後のまとめとなりますが、地震・火山に関する研究を災害科学の一部として推進するという方針の下、分野間の連携も進み、災害軽減に資する研究成果が創出されており、さらに連携を強化して計画を推進していきたいと考えてございます。
 以上、報告を終わります。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは続きまして、国際戦略委員会主査である岸本委員から報告をお願いいたします。
【岸本委員】  岸本でございます。それでは、42ページ、43ページの資料で御説明申し上げたいと思います。42ページが本日の説明の内容になりますが、その前に43ページの方を御覧いただければと思います。
 この内容は前回の総会で報告したものでございますけども、昨年6月に国際戦略委員会において、「科学技術の国際展開の戦略的推進に向けて」を取りまとめました。
 この中で、世界秩序の再編成、グローバルアジェンダの顕在化、新型コロナウイルス感染症の拡大など、世界的に大きく状況が変化する中で、国際的な研究コミュニティにおける我が国の存在感が低下するという大きな課題があり、科学技術を戦略的に国際展開していくことが重要であるとの現状認識の下、研究力の強化、新たな価値創造、社会課題解決、科学技術外交といったことについて国際交流・協力の目的と考慮すべき観点について整理し、国際交流・協力のための取組の方向性として、国際頭脳循環、国際共同研究について留意すべき観点や、大きな方向性について取りまとめを行いました。
 この報告を踏まえまして、具体的に取り組むべき施策について、令和4年3月の国際戦略委員会において議論を行い、科学技術の国際展開に関する戦略として取りまとめました。
 その内容が、前のページになりますけども、42ページの内容になっております。
 ここでは、取り組むべき施策をここにありますように5つの点に具体化いたしました。
 まず、丸1といたしまして、国際頭脳循環のうちアウトバウンドについては、従来、文部科学省で実施してきている海外特別研究員事業などのフェローシップ型の事業に加えまして、米国などで中心に行われています海外研究者の下でRAやTA等として給料を得ながら研究する、あるいは博士号の学位修得などの活動を行う移籍型の国際頭脳循環に参入する若手研究者の新たな流動モードを促進するとしています。
 次に丸2ですけども、国際頭脳循環のうちインバウンドについてですが、これまで実施してきました世界トップレベル研究拠点形成プログラム、「WPI」と呼ばれていますけども、それによる国際的研究拠点は世界的にも高い評価を得ております。
 そこで得られましたノウハウを基に、WPI拠点の国際化成功に共通するポイントを整理し、それらを各大学等の拠点における取組の水平展開の基盤とすることで、更なる国際化を推進していくということでございます。
 3点目といたしましては、国際共同研究についてになりますけども、近年の国際情勢の変化も受けて、我が国へのいろいろな引き合いは年々強くなってきておりますけども、「too little、too late」というような評判がありまして、なかなか対応できていないのが現状であります。
 今後は、海外との連携を一層強化していくために、国同士の協定に基づく国際共同公募、ここでは「第3階層」と書いてありますけども、そういった形での国際共同研究事業の拡充を進め、高いレベルの共同研究を推進する基盤を整えていくこととしております。
 併せて、戦略的創造研究推進事業など国内向けの研究プログラムにおいても、国際共同研究の実施についても引き続き進めていくことにより、全体として国際共同研究への転換・拡大を進めていくこととしております。
 4点目といたしましては、ジョイント・ディグリーの推進になります。この制度は、我が国の大学と海外の大学が連携し、共同の教育プログラムを開設し、同一の学位を授与する制度であります。学生等が大学の学部・大学院段階から国際的な素養を身につけるためには、この制度の一層の充実を進めることが重要であると考えられます。
 このため、令和4年8月から、国際連携教育課程制度の設置認可要件の緩和、収容定員制限の撤廃、国内他大学等の参画など、教育研究の質を担保しつつ制度を改め、大学等の更なる参画を促すこととしております。
 最後になりますが5番目として、博士課程学生支援については、文部科学省において第6期基本計画や研究力強化若手研究支援総合パッケージ、これは総合科学技術・イノベーション会議などの検討でございますけども、それらを踏まえまして、博士課程後期学生への経済的支援の抜本的な充実や、RAの処遇改善に向けたガイドラインの策定などの取組が進められてきたところであります。
 このような支援を通じまして、日本の優秀な博士課程学生の海外研鑽の機会の充実や、あるいは海外の優秀な留学生が学位取得・研究を行う上での日本の魅力の向上など、我が国の研究環境の国際化にも寄与することを期待しております。
 以上のような戦略は、第6期基本計画も踏まえて策定したものでありまして、今後この戦略に基づいた取組が着実に進められることを期待しております。
 最後になりますけども、54ページ、ちょっと先になりますが御覧いただきたいと思います。
 このスライドは、大学の学部から大学教員までの在籍者数と、それに対応するような形になっておりますけども国際関係施策の現状をまとめたものになっています。
 今回の5点の具体策は、ここに挙げられております施策を、総合的な観点から、より充実させ、有効にしていくということになっておりまして、以上のような5点の戦略を進めることにより、国際交流活動が活発になってくることを期待しているものであります。
 御説明は以上になります。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、ここで各分科会等の活動状況及び分科会等からの主な活動報告について、15分程度、意見交換の時間とさせていただきます。
 御質問、御意見ございましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、ちょっと最初、私が口火を切らせていただきます。
 佐野さんの説明の中に、情報分野の振興方策取りまとめもまとめられたというお話がありましたが、少し要旨を解説していただけると、この情報分野の人材育成、非常に今クリティカルで重要な点に差しかかっていると思うんですけど、なかなかうまくいっていないですし、それから研究者の育成が特に難しい分野の典型になっております。
 どういう方策が取りまとめられたか、ちょっとお話しいただけると助かりますが、いかがでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。よろしければ、まとめられた情報委員会の安浦先生にもし、よろしければお願いできますでしょうか。
【濵口会長】  そうですね。安浦先生、お見えになりますね。お願いします。
【安浦委員】  今回出しております資料は、前回この会議でも少しお話しさせていただきました、情報分野全体の振興方策でございまして、人材育成にフォーカスしたものではございません。もちろん、人材育成のことも書いてございます。
 基本的には2つの柱で成り立っておりまして、1つは、全ての分野が、「研究DX」と最近の言葉では言われておりますけど、デジタル化が必須になってきておりまして、それを支えるために、研究データ基盤、それから計算基盤、そしてネットワーク基盤、この3つをしっかりとつくっていくこと。
 ネットワーク基盤につきましては、既にSINET6が、今まで100Gbpsだったものが400Gbpsになりまして、この4月1日から動き出しております。
 計算基盤につきましては、昨年度から「富岳」が利用に供されているところでございまして、一番急がないといけないのは研究データを取り扱う基盤をつくるというところであります。この部分の施策を様々な観点から、これは全ての分野に絡みますので、いろいろな分野のデータがきちっと取り扱うことができ、かつ、研究者がそのデータを取り扱うために余計な仕事を更にしないといけないということにならないように、システムと、さらにそれを使っていくための制度とかルール、そういったものをつくっていくこと。その中で、データエンジニアとかキュレーターみたいな人材、そういうサポートをする人材というのが必要になってくるので、この辺は新たな人材育成の問題点として指摘しているというところでございます。
 もう1つは、情報科学自身の新しい流れをつくるというところで、これは人間の理解、AIだけでは駄目で、AIのモデルになっている人間の脳、そういう脳科学もどんどん進んでおりますので、そういったものとの組合せ、さらには、人間が構成している社会とか、その上に成り立っている文化、そういったものの理解まで含めた情報学というものを考えていくというのが一つのポイントで、そういったものをやりつつ、Society 5.0の社会実装でありますとか、カーボンニュートラルを目指す社会問題解決、こういったところを進めていく必要があるという、そういうまとめになっております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。急に振ったにもかかわらず、正確に丁寧に御説明いただきました。大変感謝申し上げます。
 ほか、幾つか皆様もお聞きしたい課題があるかと思いますが、どうでしょうか、いかがでしょうか。地震の問題も非常に大きな、火山も問題になっておりますし、一方で、日本の若手研究者の国際化が大分今、衰えているような実感もあります。いかがでしょうか。
 大学の現場におられる学長、総長の先生方、いかがですか。
 大野先生、御指名させていただいていいですか。
【大野委員】  ありがとうございます。東北大学の大野です。
 我々は、この地に住む以上、4つのプレートがきしみ合っている日本の国土をきちんと理解して、それに十分対応する教育、研究がなされないといけないと考えています。
 そういう意味で、今日御報告いただきました測地学分科会の報告は極めて重要だと考えています。私どもも11年前の東日本大震災を経験して、災害をいかに科学にし、国際的な広がりを持ったものにするかという災害科学の取組を継続的に続けておりますので、今日、御報告いただいた測地学分科会の皆様との重なりが極めて大きいところと実感いたしました。
 特に、小・中・高の防災・減災という教育もきちんと進めるべきだと以前から実感しておりますし、これは様々な教育改革の現場でも度々、私以外の方からも発言があったところだと思います。我々は、初中等教育から高等教育、さらには世界最先端の研究までをパッケージとして進め、それによって国土の、この地に住む者の安全・安心、あるいは減災を図っていくべきだと、改めて御報告をお伺いして思いました。
 突然の御指名でしたので、感想を申し述べさせていただきました。ありがとうございます。
【濵口会長】  すみません、ありがとうございます。
 小原先生、何かコメントございますでしょうか。
【小原委員】  大変有益なコメントをいただきまして、どうもありがとうございます。
 この計画につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、第2次から防災リテラシー向上のための研究というものを追加いたしまして、先ほど大野先生もおっしゃいましたような初等中等教育に対しても、防災とは何なのかということを子供たちにもちゃんと伝えられるようなプログラムを、今、この課題の中に盛り込んでおりますので、そうした中で、防災に対する考え方をより強化していくとともに、地震・火山現象に対する興味も併せて持っていただいて、それで、こういった科学の道への進学を促進するような形で、子供たちに良い影響を与えることができたらいいなと考えてございます。どうもありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 お手が挙がりました。仲先生、どうぞお願いします。
【仲委員】  どうもありがとうございます。私も国際戦略の岸本先生の御説明、大変よく、すばらしい案を示してくださったと思いました。
 これを現実に行おうとするときに、今、2つ大きい懸念があると思うんです。1つは、例えばロシア・ウクライナ問題などがあり、共同研究、国際研究を行っても、そういう中で機微情報が出てきたときにそれをどうするのか、どうやって知財を守っていくのか。
 こういったことを、各大学・各機関で決めていくというのもあると思うのですが、国としてどういう方針でやっていくかを示していただけると、すごくありがたいと思うところです。
 2点目は、やはり今の事情、コロナ事情ですが、こういう事情があるので、大学院生であるとか研究者がなかなか国に入ってこられない、あるいは帰れないということがあったりする。これも、研究の推進という観点から言うと、国として何らかの方策を打ち出していただけると、進むのではないかなと思うところです。
 以上2つ、意見みたいな形になってしまってすみません。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思いますが、岸本先生、現状で何かお考えございますか。かなり厳しい潮流が生まれていると思いますが。
【岸本委員】  まさに重要なご指摘だと思います。我が国としては、国の中で閉じ籠もっているだけでは活力が出てまいりませんので、そういったことも踏まえながら、若い学生さんたち、あるいは研究者の人たちが活力を持って国際交流できると、そういうような枠組みを私たちで考えていく必要があるということで、国際委員会の方でも議論しているところでございます。
 御指摘を踏まえながら検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【仲委員】  どうもありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。ほか、御意見ございますか。
 越智先生、どうぞ、お願いいたします。
【越智委員】  ありがとうございます。私も仲先生がおっしゃられたことに関する問題を一つ取り上げたいと思います。
 濵口会長からも言われましたように、日本の科学技術力をいかに上げていくかということが、今は問われていると思うのですが、一方で、先ほど述べられたような問題があります。
 研究のインテグリティ、あるいは安全保障輸出管理制度というのが、これは大学で検討されておりまして、広島大学もこれに問題がないよう取り組んでいるところなのですが、やはり政府から研究インテグリティに関する十分な方針が必要だと、私も思っております。
 例えば「世界と伍する研究大学の在り方について」では、世界と伍する研究大学にふさわしい研究インテグリティの確保ということで、大学の自律的な安全保障管理計画の策定等と資料に記載されておりまして、それぞれのこういうふうな国際的な問題が、大学の問題として解決するように言われているのではないかということになります。
 このような国際的な問題は、国家レベルの外交あるいは安全保障等とも関係しますので、政府が一定程度の方針を出していくということが必要だと思います。
 一方で、あまりこのインテグリティに前のめりになり過ぎると、科学技術が内に籠もってしまうということになりかねませんので、やはり安全保障輸出管理等のコンソーシアムを直ちに構築した上で、適切・適時に柔軟に対応していくような方向がいいのではないかと考えております。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。以上に重要なポイントをいただきましたが、文部科学省の方でどなたか、回答できる方はお見えにならないですか。
【千原科学技術・学術政策局長】  会長、科政局の千原でございますが、よろしいでしょうか。
【濵口会長】  はい、どうぞ。
【千原科学技術・学術政策局長】  今、仲先生あるいは越智先生から重要な、経済安全保障にも係る御指摘をいただきました。
 研究インテグリティにつきましては、今、時期は定かではございませんが、政府として研究インテグリティに関するガイドラインをお示ししたところでございます。
 まだまだ、研究現場に十分御説明ができてないかなという反省も込めて申し上げますが、そういった、どういうガイドラインの内容かというのをしっかり説明を申し上げるとともに、また今、文科省として具体にどうするのがよろしいか、好事例とかそういったことも今、検討させていただいておりますので、そういったことも併せて、研究現場の先生方には御紹介をしたいと思います。
 また、安全保障貿易管理についても、高等局あるいは科政局共々、ガイドラインをお示ししておりますところなのでございますが、そういったことも丁寧に御紹介をしていきたいと思っております。御指摘大変ありがとうございました。
 失礼いたします、以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。千原局長、速やかにお答えいただきまして助かります。情報をなるべく大学にしっかり開示していただくことは今、とても大事かなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 もうお一人、白波瀬先生、どうぞ、お願いいたします。
【白波瀬委員】  ありがとうございます。では手短に。仲先生の方から御指摘がありましたので、それに乗っかる形で発言させていただきたいと思います。国際化につきましてもちろんガイドラインということがあるのですが、やはりこの中でかなり分野の違いというのがございます。
 同時に、分野を超えて研究者個人として、研究倫理や人権の保障ということもあります。また、先方の所属先との関係、それが国家としての政策と密接に関連していると複雑で、これらがかなり複層的に日進月歩で動いている状況だと考えております。
 今、国連につきましても、パブリックグッズという形で、学術界における重要性ということもかなり積極的に展開されているという状況があります。この潮流に日本が決して後れるようなことがなく、しっかり議論に参加すべきと考えます。地政学的な問題、いまはウクライナ紛争というところもありますけれども、アジア全体の地域との関連も含め文理を超えたところで、是非、学術という舞台での議論の場に参加できるような人材育成含めた後押しや御理解、協力が必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。しっかり議論を進めたいと思います。よろしくお願いします。
 長谷山先生、それではお願いいたします。
【長谷山委員】  長谷山でございます。ありがとうございます。
 一つ、国際頭脳循環というところで資料を拝見していまして感じたことなのですが、やっぱりアウトバウンドを一生懸命やろうというのをこれまで大分進めてきましたけれども、どうも最近の状況を見ていまして、インバウンドということに力を入れる、これが非常に重要ではないかという気がいたします。
 つまり、コロナ禍で教員が出ていったり、あるいは呼んだりということが大学としてできない期間が長くて、相当苦労いたしました。そこで、だんだんと外務省、文科省に大学としてお願いをして少し緩和されましたが、安全対策を取りながら、そうした学術の交流については、特別扱いという言葉はあまりよくないかもしれませんが、それをしていただきませんと、継続性が一度途切れると、学術交流というのはまた取り戻すのが大変ですので、それをやっていただければと。
 それからもう1つは、やはり知の拠点、欧米にあるものに参加させるということも大事なのですが、日本の国内にパッケージで、つまり、土地とか宿舎とか豊かな生活スタイルを送れるとか、そういう、研究者あるいは留学生がそこで生活をしていく、日本というところに魅力を感じてやって来て、いろいろな研究者がお互いに触媒となって交流をすることで、また知の拠点として成長していく、そういうものはもう、その地域の自治体、それから国、大学とか、まさに産学官連携でないとつくっていけないフィールドなんです。
 だから、そういうものを一から計画して、日本にいろんな拠点をつくって、世界から研究者が集まる、また研究者としての大学院生、学生が集まるという、そういう大きな構想をつくって、そして国際頭脳循環のインバウンドを強化していくという政策につなげるべき時期が来ているんじゃないか。
 やっぱり日本というものの魅力とか置かれている立場、昨今の安全保障とかいろんなことを含めても、この日本という土地柄を利した、そうした国際研究の拠点をつくる、もうこれは国が一体となってやっていくというような、そういう、ぜひ構想を立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございます。国際戦略委員会の方で検討いただければと存じます。
 いろいろ御意見ありがとうございました。本日、各分科会等の活動状況及び2件の主な活動報告をいただきまして、さらにAI等の人材育成のお話を頂きました。
 お願いが一つありますが、今期最後の総会、年末に予定しておりますが、前回の総会において御報告いただいた内容を踏まえて、各分科会等の今期の活動の実績について御報告いただきたいと願っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 まだ数か月ございますが、しっかり準備をしていただいて、活動を充実させていただいて、今の御意見にも対応できるような議論をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ここで末松大臣、高橋大臣政務官、お二人は御予定がございますので、ここで退室されます。
 どうも、長時間御臨席ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、科学技術・イノベーション基本計画との関係について、まず事務局から説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  それでは、説明をさせていただきます。資料1-2につきまして、御説明をさせていただきます。
 まず、第6期科学技術・イノベーション基本計画でございますが、目標ごとに具体的な取組というものが記載をされてございます。そして、その取組ごとに担当する府省名というのが記載されているところでございます。
 この表につきましては、基本計画に記載をされております目標を表の左側に記載させていただき、当該目標の中に位置付けられている取組のうち、本審議会に関係する可能性のある取組というものにつきまして隣のカラムに書かせていただき、さらに、当該取組に関係する可能性のある本審議会の分科会等名につきまして、右から2つ目のカラムに整理をさせていただいたというものとなってございます。
 また、第6期の科学技術・イノベーション基本計画におきましては、科学技術・イノベーション政策における、目指す主要な数値目標につきまして、主要指標といたしまして目標ごとに記載されているところでございまして、当該主要指標というものを目標ごとに表の一番右側に整理をさせていただいたものとなっております。
 この記載をさせていただいております分科会等名につきましては、あくまでも関係する可能性のあるものについて記載をさせていただいているものでございます。
 私の方から、表の説明は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。ただいまの表の説明に関して、御質問、御意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
 左から3番目のカラムかな、各委員会の関連する委員会が述べられておりますので、見ていただければと思います。2番目ですね、ここは注目していただければと思います。
 御意見、御質問ございませんか。よろしいですか。
 年度末に向けてこれをよく見ていただいて、また議論を進めていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。本日は、第6期科学技術・イノベーション基本計画に記載の目標等と、本審議会の分科会等々の活動について説明いただきました。
 各分科会等におかれましては、今日説明いただいた第6期科学技術・イノベーション基本計画に記載の目標について、次期の各分科会等の活動において特に議論を行っていただくべき目標、及び当該目標の達成に向けて文部科学省として進めていくべき活動、これをやりなさい、あれを考えなさいということですね、それをしっかり御議論いただき、可能であれば今期の活動実績と同様に、今期最後の総会で御報告いただきたいと思っておりますが、重ねて、どうぞよろしくお願いします。
 もう一回、表をお手元にプリントアウトして、じっと見詰める時間を小1時間取っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて議題2の、最近の科学技術・学術の動向についてをお諮りします。
 これについては、1番として大学研究力強化に向けた取組について、2番として我が国の研究力強化に向けたエビデンス把握について、この2点について説明をいただいた後、意見交換を予定しております。
 まずは、大学研究力強化に向けた取組について、坂本研究振興局担当審議官から説明をお願いします。
 坂本さん、お願いいたします。
【坂本審議官】  坂本です。よろしくお願いいたします。資料2-1、通しのページ番号で75ページからの資料で御説明させていただきます。
 大学研究力強化政策、多様な研究大学群の形成に向けた政策のポイントについて御説明をいたします。
 次のページ、76ページを御覧ください。今日の御説明の項目は3項目あります。
 1つ目は、世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの創設。これは法案が現在国会で審議をされております。その内容を含めて御説明をいたします。
 2つ目が、本審議会に設置されました大学研究力強化委員会の検討内容についての御説明でございます。
 3つ目が、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの内容でございます。
 77ページを飛ばして、78ページを御覧いただければと思います。
 まず、こういった大学研究力政策の根本にあります問題意識について、この78ページに整理をさせていただいております。
 この審議会の皆様、先生方には御説明をするまでもないことでございますが、特に上の囲みにございますとおり、海外で科学技術への投資が拡大している。この下の4つの箱の左側にその状況を書いてございますが、そして産業構造も大きく転換している中で、我が国の研究力及びイノベーション力というのは相対的に低下しているということがございます。
 例えば右の上の箱でございますが、研究力の低下、これはトップ10%論文数の順位にも見られますし、あるいは左下、博士号取得者数の伸びが、日本の場合はほとんどないというなところ、そこにも見られるというふうに我々は考えてございます。
 次、79ページを御覧いただければと思います。こういった研究力、競争力の差というのがどうして出てくるのかと。この主な原因として、我々は大学の資金力というのが挙げられると考えてございます。
 欧米のトップレベル大学は、潤沢な資金を用いて、若手研究者支援や振興分野研究に向けた研究基盤の強化を精力的に行っていると。それによって大学自体の改革にもつなげていくというところがございます。
 諸外国のトップレベル大学の基金の状況、右上に棒グラフがございますが、ハーバード4.5兆円、イエール、スタンフォード、プリンストンも3兆円程度あるいはそれ以上ということで、年間1,000億から2,000億円の運用益が収入として入っているという状況がございます。
 こういったところで、競争力がどんどん、我々は相対的に失われてきているという状況を挽回するために、10兆円の大学ファンドをJSTを運用主体として創設されることが決定いたしました。
 この10兆円ファンドの創設については、昨年の通常国会で法案が提出され、成立をしております。そして、ファンドも運用が開始されております。さらに今、運用益を用いて助成を行う枠組みを定める法案、国際卓越研究大学法案が国会に提出されております。現在審議が行われています。
 その法案の内容について御説明いたします。80ページをお願いします。
 この国際卓越研究大学制度の全体像でございますが、目指す姿は一番右上にある「世界と伍する研究大学」、世界最高水準の教育・研究でございます。
 この状態を目指すために、この下のオレンジの囲みでございますが、世界最高水準の教育・研究活動の結果として、新たな知・イノベーションの創出、こういったものが行われる。その中核に研究大学がなるという、これはもう盛んに今、議論されているところでございます。
 そのために何が必要かということで、先ほどの資金力という話になりますが、多様な財源の確保等を通じた強固な財政基盤。そして、成長を可能とするような高度なガバナンス体制。さらに、結果として潤沢な大学独自基金というものが創設されるというようなことが必要になってくるだろうと考えております。
 ということで、この国際卓越研究大学制度につきましては、右下の囲みにございますが、国が基本方針として、その枠組みをどのように構築していくのかというのを定めると。
 具体的には、まず国際卓越研究大学制度の政策的な意義であるとか目標、そして、この大学の認定等に関する基本的な事項、手続であるとか要件、そういったものを定めていくというところでございます。
 具体的な、法案によって定められる枠組みというのは左上に書かれてございますが、文部科学省、この科学技術・学術審議会、そして内閣府、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIでございますが、これを文部科学省が主体となって定めていきますが、科学技術・学術審議会、そしてCSTIの意見も聴取しながら、重要な意思決定を行っていくと。その意思決定としては、国際卓越研究大学の申請を受けて認定を行う。計画の申請を受けて認可を行う、こういった手続でございます。
 こういった手続を進める上でのポイントとしては、左下の緑の囲みに書いてございますが、大きく3つございます。
 一言で言うと、世界と伍する研究大学となるためのポテンシャルを有しているかどうかというところをしっかりと見極めていくと。まずは国際的に卓越した研究成果の創出。研究力をお持ちかどうか。そして、実効性高く意欲的な事業・財務戦略を構築しているか。そのためには、ここでは事業規模の3%成長ということも要件にするということ、これは内閣府の方針でも示されておりますが、申請する大学側に大きなビジョンとコミットメントが求められるというふうに我々は考えてございます。
 さらに、自律と責任あるガバナンス体制。合議体によるガバナンスというもの、多様な視点を入れたガバナンスというものをしっかりと構築していただくということを想定しております。
 次、81ページを御覧ください。現在の大学ファンド、あるいは国際卓越研究大学制度の構築に関するスケジュールでございますが、今2022年度でございますが、関連法案が国会に提出され、これが成立できれば、基本方針の策定に移ると。この基本方針を策定された後、公募、選定に移っていくということでございます。運用益の状況を見つつ支援を開始していくというスケジュールを想定しているところでございます。
 次、82ページ、83ページには、今申し上げました国際卓越研究大学法案の条文のポイントが書かれてございますが、内容は今御説明したものでございますので省略をさせていただきます。
 85ページにお進みください。85ページから、今度は大学研究力強化委員会についての御説明でございます。
 設置の趣旨は、先ほど申し上げました大学等の研究力の強化を図るため、幅広い観点から調査検討を行うということで、昨年10月に設置をしていただきました。
 国公私立大学の研究人材、資金、環境等に係る施策を、戦略的かつ総合的に推進するということを、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
 委員の方々、ここに示されておりますが、委員長には東北大の大野総長、そして委員長代理には富士通の梶原常務にお願いをしているところでございます。
 開催状況については、昨年の12月に第1回の会議を開催いたしまして、冒頭の挨拶で田中文部科学副大臣から、多様な研究大学群の形成に向けて、大学の強みや特色を伸ばし、研究力や地域の中核としての機能を強化する上で必要な取組や支援策など、幅広い観点から議論を行っていただきたいというお願いをさせていただいているところでございます。
 その後、1月、2月に2回、会議を開催していただいているところでございます。
 次、86ページにお進みください。この国際卓越研究大学制度の設計と、それから多様な研究大学群の形成について、大学研究力強化委員会の方で検討を進めていただいております。
 そこには当然データも必要なってまいりまして、そのデータの一例を86ページに示しておりますが、例えば、ここで示されておりますのは、日本では旧帝大クラスと比較して中堅大学の研究力が落ちているというふうに指摘されております。地方の国公私立大学は学術基礎研究の層の厚みや研究者の多様性を生む土壌となっているというところ、これが一極集中型になりかけているという懸念が深まっているということが議論されました。
 一方で、欧米の主要国、特に米国では、優秀な教員獲得・確保競争において、トップレベルの大学だけではなく、各州の州立大学も非常に積極的であると。多くの中堅大学は得意分野を持って、その分野の一流の研究者を集める努力を行う。そして、大学の研究競争力の原動力にもなっていることがございます。
 したがって、我が国においても研究者の流動性でありますとか、あるいは研究独自色をもっと発揮すると。大学間の健全な切磋琢磨型の研究環境を構築することが重要ではないかといった御議論をいただいているところでございます。
 次、87ページを御覧ください。そういった議論の中で、例えば高知大学でありますとか、あるいは金沢大学、地域でのソーシャルイノベーション、あるいはトップレベルのサイエンスについての先進的取組についても共有をされたところでございます。
 次、88ページを御覧ください。こういった状況を、レビューをしていただいた上で、今後の検討として、上のポツにございます、特に2つ目のポツですが、大学の研究力をどう上げていくかといったときに、何よりもやはり人材が大事でございます。
 それは当然、研究活動の主力である研究者、あるいは学生の方々も当然でございますが、さらにマネジメント人材も重要であると。したがって、大学のマネジメントと連動した研究力の向上、そういった改革が必要ではないかという考え方、これを議論していただいているところでございます。
 そして、今後の取組については3つの柱がございますが、丸1、魅力ある拠点形成による大学の特色化。丸2、大学の研究基盤の強化。そして丸3、組織間連携・分野融合による研究力の底上げ。それぞれ多様性に富んだ国際的な融合研究であるとか、あるいは研究施設・設備の共用化・プラットフォーム化であるとか、そういったこれまで議論されたことを改めて整理をされておりますが、これをどのように具体化・実質化していくかというところを、我々文部科学省も内閣府と協力して検討を進めておりまして、それをぜひ、これからまた、この大学研究力強化委員会でも御議論、検討を進めていただきたいと考えているところでございます。
 その施策の立案のベースになるスキーム、89ページを御覧いただきたいのですが、概念的にはこういったものになるだろうということで整理をさせていただいております。
 左側、日本全国の大学ということで、魅力ある拠点形成というものの考え方を書いてございますが、世界トップレベルの研究、サイエンスを行うところ。あるいは、B大学ということで、大型の産学連携を推進するところ、産学連携拠点。あるいは、Cとしては、産学官連携を通じて地域の産業振興、あるいは課題解決に貢献すると。
 特にこの2つ目と3つ目のようなところは、産業構造変革、あるいは社会変革をリードする人材を育て、そして技術を生み出す、そういった拠点に大学がなっていくべきだと。そこでは、産学連携政策の主力事業である、「共創の場」と小さい字で書いてありますけども、共創の場形成支援プログラム、こういった活動も非常に重要になってくると考えてございます。
 ここで、共創の場ということで93ページに飛んでいただければと思います。
 この共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)の大型共同研究拠点の一覧がここにございますが、この具体的な内容としては、次のページ94ページを御覧いただきたいと思いますが、例えば左上、弘前大学、健康医療に係る「超多項目健康ビッグデータ活用」ということで、これは青森県全体の問題として、短命県として有名であるという汚名を返上する、事態を打開するために、非常に高度なコホート研究を行われていると。
 2013年にCOIのプロジェクトに採択をされて、超多項目健康ビッグデータ、1,000オーダーの超多項目について、ずっと住民の方々の協力を得て、ビッグデータの蓄積を進められ、それを今後の健康医療に係る予測、あるいは予防法開発が進められているということでございます。
 この弘前大学では、2019年1月現在で39社の企業がこのプロジェクトに参画をされており、民間投資、年間約3億円を誘引していると。共同研究講座も次々に立ち上がっていると伺っております。
 産学連携による教育研究の成長、これはまだまだ我が国において開拓の余地があるのではないかと考えてございます。
 次、95ページをお願いします。3つ目の項目でございますが、総合振興パッケージです。
 この総合振興パッケージについては、何を目指すかというところを御説明するために、107ページに飛んでいただけますでしょうか。この107ページが、この総合振興パッケージの狙いを示してございます。
 先ほど御説明いたしました、世界と伍する研究大学を支援するための大学ファンド、これについては、4つの段がありますが一番上の段、世界と伍する研究大学を支援するというものと、あと右に縦に伸びているオレンジの欄がありますが、個人に着目した優秀な博士課程学生への支援、これは既に補正予算で措置されて、先取りして支援が始まっておりますが、これが基本的には大学ファンドの運用益を用いた支援になります。
 それ以外のところは、今後、研究大学として世界と伍するレベルまで成長していく、それをどうやって支援していくかということ。先ほど申し上げました、特定分野でトップレベルの研究を既に行われている大学、あるいは大型の産学連携拠点、あるいは地域の課題解決の中核を担われている大学がどのように成長していくかというところを支援させていただく、その支援策をこの総合支援パッケージとしてまとめていくということ、これを今、進めているところでございます。ぜひこれは大学ファンドと並ぶ柱として、この振興パッケージの強化というものを加速していきたいと考えてございます。
 98ページにお戻りください。98ページを御覧いただきますと、この支援の全体像でございますが、大きく3つの柱がございます。
 まず、左にございます「大学自身の取組強化」という枠囲みでございますが、大学が自らマネジメントをしっかりと効かせて、先端的な取組にドライブをかけるような活動を行っていくと。それに対して、我々政府としても支援をさせていただくということがございます。
 右に行きますと、「繋ぐ仕組みの強化」と書いてございますが、これは、サイエンス、イノベーション共に、異なる知識、アイデア、あるいは人材をいかにつなぐかということが非常に重要な問題になっているということ。これはもう、論を待たないところでございます。
 そのために、真ん中のちょっと右側の囲みになりますが、自治体との連携強化、あるいは府省間の事業連携による一体的な支援でありますとか、制度改革、あるいは地域の産学官ネットワーク強化でありますとか、こういったところでしっかり進めると。
 そういったことを通じて、また右上の丸3の囲みになりますが、地域社会における大学の活躍の促進というところも進めていけるだろうというふうに、我々は考えているところでございます。
 こういった、社会に対して価値をどんどん提供していくことは、学問の発展にとっても非常に重要だというところを我々考えてございまして、一番真ん中の上下の矢印に書いてございますが、人文・社会科学も含めてあらゆる知識を総合的に活用する、この総合知を生み出していく。あるいは、その左の矢印でございますが、社会との協働・対話を通じて知の価値に対する投資を呼び込んでいくということ。こういった場をつくるということが、この総合支援パッケージで狙いとする枠組みによってできるであろうと。
 その基盤にあるのが、下でございますが、大学による戦略的経営、マネジメントの改革。欧米のトップレベル大学はこの戦略的経営、マネジメントというものをどんどん高度化させていると。これをぜひ、日本の研究大学においても進めさせていただきたいというふうに我々は考えているところでございます。
 次、99ページを御覧いただきますと、具体的にこのパッケージの内容はどういうものになるのかというところでございますが、2月1日に、まずCSTI決定が行われております。
 先ほどの、大学自身の取組強化等々の柱に、それぞれどのような施策が整理されるのか、その関連施策群を、整理をしているというところでございます。
 予算額で見ますと、右上にございますとおり令和4年度予算額462億円、令和3年度補正173、合わせますと635億円というのが、今、現時点では投入されているというところでございます。
 さらにこの施策の内容を見ていきますと、100ページを御覧いただければと思います。これが主な施策の一覧になりますが、ここで御説明をさせていただきたいと思いますのは、左の真ん中辺にございますが、この施策群は、大きく言うと人材育成、教育、社会実装、イノベーション、そして下にある研究、サイエンス、これらが有機的に結合する形で進められる必要があるという問題意識でございます。
 それを支える基盤的経費、マネジメントのための経費というところがあるというところでございますが、こういった施策を有機的に結合させる、あるいはユーザーである大学側に有機的に組み合わせて利用していただくことで、右の目指す姿にございますが、大学の強みを伸ばし、最大限こういった施策を活用するということ、そのためのスキームをつくっていきたいというふうに我々は考えているところでございます。
 101ページを御覧いただければと思いますが、これはそのスキームの概念図でございますが、当然、先ほど申し上げました戦略的経営、一番下でございますが、戦略的経営のためのマネジメント力をもっと上げていく。これまでも、体制を支援する仕組みというものがございます、ここに書かれてあるとおり。それをしっかりと強化していくということはあるんですけれども、さらに、左上にあるような先端的な取組、ドライブをかける仕組み、これに関わる施策をもっと強化することはできないか。そして、そういった施策を進める上で、文科省内のいろいろな政策分野の連携体制をつくる。あるいは、省を超えて重要政策課題、あるいは地方創生といったテーマを軸に府省連携を図るということを進めさせていただきたいというところが、この振興パッケージの基本思想としてございます。
 次のページ、102ページを御覧いただければと思います。地域社会における大学の活躍促進に向けた関連事業というのは、文科省だけではなくて、各省がそれぞれテーマごとに、重要課題ごとに取り組まれているというところがございます。
 これはそれをマトリックスしたもので、これは事業マップとしても公表されてございますが、例えばスマートシティーと自動運転、こういったところについては、103ページにございますが、この右でございますけども、政策課題への対応ということで、丸1、関連技術の高度化あるいは基盤技術の開発、自動運転レベル4の実現・普及。あるいは、その自動運転技術の実装を目指す。地域課題の解決、例えば過疎地域のモビリティーサービスをどのように確保するかと、様々な自治体が悩まれているというところ、ここをもっと大学も食い込んでいくことが必要ではないかと。で、産学官金の連携によって、実際に事業化していくというところができるのではないかと。
 こういった形で、大学が自治体と組んで主要な役割を果たすことが期待されているというところは、ますますそういった場面が増えているというところが申し上げられたというふうに思います。
 104ページ、105ページは、今後の考え方を整理したところでございますが、最後、文部科学省が今後どのように検討を進めていくかというところで、106ページを御覧いただければと思います。
 106ページの上の囲みに書かれてございますとおり、今後はパッケージ作成を機に、大学と対話しながら特色や強みを伸ばす取組を、局課を超えてきめ細かく伴走支援する政策実施スタイルに転換をしていきたいと考えてございます。
 大学のミッションに基づく戦略的経営をぜひ大学側で実現していただく。自ら変わるということをぜひ我々は後押しさせていただきたい。そして、研究力の強化、あるいは地域の課題解決への貢献というものをぜひ拡大していただきたい。
 今後は、我々文科省としても令和5年度要求を見据えてさらに取組を加速させていくと、そういった仕掛けを検討していきたいと考えてございます。
 説明は以上です。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、我が国の研究力強化に向けたエビデンス把握について、塩田研究開発戦略課長から説明をお願いいたします。
【塩田研究開発戦略課長】  それでは御説明申し上げます。前回総会でいただきました御指摘を踏まえまして、さらにエビデンスを整理いたしましたので、御説明申し上げます。
 116ページをお願いいたします。これ、ちょっと字が小さくて見えにくいですけれど、主要指標について、2000年の値を100としたときの直近の数字でございます。
 例えば日本のGDPは109ということでございますが、他国を見ていただくと大きく伸びているという状況でございます。
 真ん中辺りも、大学部門の研究開発費というのがございますが、日本はOECD推計値で94とございますけど、他国はこれも伸びているというものでございます。
 その右側ですけども、大学部門のFTE研究者数についても、日本は100ということですが、他国は伸びている状況ということになってございます。
 このように、GDPの伸びが緩やかで、例えば社会保障費の増大などで財政が圧迫される状況ですので、予算を最大限有効活用することが求められるかと存じます。
 そのためにも、これまでの取組を検証いたしまして、エビデンスに基づいて予算の使い方というのを考えていく必要があるかと思います。
 また、政府や研究機関双方で、予算を使わずともできる取組、こういったこともしっかりと考えていく必要があるかと思います。
 119ページでございますが、これは分数カウントの論文数の推移でございます。日本はここ数年は微増に転じてございますが、他国が伸ばす中で、2005年に比べますと約3%、論文数自体を減らしているという状況でございます。
 次の120ページがトップ10%論文の方でございますが、こちらは論文数と違って下げ止まっていないという状況でございます。
 121ページでございますが、これは以前御説明しましたが、NISTEPが論文数に与える影響の要因を分析したものでございます。2000年代は教員の研究時間割合の低下ですとか教員数の伸び悩み、2010年代は博士課程在籍者数や原材料費の停滞といったことが影響しているという分析結果でございます。
 123ページでございます。国内論文と国際共著論文のQ値でございます。どこの国でも国際共著の方が圧倒的にQ値が高いわけでして、国際共著を増やしていくことがトップ10論文数につながるということかと存じます。
 ただ、日本の場合は、全体の多くを占める国内論文のQ値が一貫して下がっていて、例えば同じく非英語圏の韓国と比べても、国内論文のQ値は低いという状況でございます。この国内論文のQ値の低下も、トップ10論文が振るわない原因の一つかと存じます。
 次のページが、政府負担研究開発費を2001年と2017年で比較したものでございます。論文シェアのトップ4大学の第1グループ、第2グループ、こういったところのシェアが増えているというのが見て取れます。
 次のページでございますが、日本と論文数が同規模の英独との比較でございます。日本は英独と比べ、上位に続く層の大学の論文数が少ない状況ということでございまして、この辺りの層の強化が必要かと存じます。
 次に、127ページでございます。これはもう皆さんよく御存じの、運営費交付金の推移でございます。平成27年度以降は横ばいになっているということでございまして、平成16年と直近を比べると1,600億ぐらい減っているという状況だということでございます。
 次のページは競争的資金の推移でございますが、第2期基本計画で倍増ということで打ち出されまして、平成21年あたり、民主党政権下ぐらいでちょっと減少してございますが、近年は増加傾向と。平成16年と比べると750億増えているというような状況でございます。
 続きまして130ページでございます。競金を増やすに当たって、間接経費の創設ということが打ち出されておりまして、間接経費というのは、当該研究者や研究機関全体の研究環境改善を想定したものでございます。
 このグラフは幾つかの大学の間接経費の推移を示したものでございまして、間接経費はよく、不安定な財源で、例えば恒常的な支出を伴う人件費には向かないといった御指摘もあるところでございますが、これを見る限り、年度による減少というのはそう大きくは発生していないというようなものでございます。
 次のページが、間接経費の支出割合の各大学のサンプルでございますが、例えば研究部門の人件費というのが一番下の水色の部分になってございます。
 次のページが、間接経費で雇用される教員数ということで、RU11の平成19年と平成25年を比べると、灰色の特任教員の雇用が大きく増えているということでございます。
 次に、代表的な事業を見ていきたいと思います。133ページ、これは科研費の採択率の推移でございます。直近では27.9%と、2005年に比べると6.6%増えているというものでございます。
 次のページが研究種目の役割を紹介したものでございまして、右側に国際先導研究ということで赤い枠で囲ってございますが、新たに国際共同研究を促進するために設けられたものでございます。
 次のページが、トップダウン型の戦略創造の概要でございます。
 次のページが戦略創造の予算の推移ですが、あまり伸びてはいないというものでございます。
 続きまして、これが戦略目標の一覧です。
 その次がWPIということで、拠点形成型のWPIの概要でございます。
 次のページを見ていただくと、WPI拠点では国際公募を徹底するとか、英語を公用語化するといったような先進的な取組が行われているというような御紹介でございます。
 続きまして142ページを見ていただいて、これは民間企業も含めた全ての研究者数の推移ですが、研究時間割合を勘案した専従換算の数ですと日本は横ばいといった状況で、各国は伸びている状況にあるというものでございます。
 次のページが、国立大学に絞った本務教員数の推移ですが、これを見て分かるように、理工農の先生方は横ばいで、保健分野は伸びているというものでございます。
 次のページが若手研究者の割合ですが、40歳未満、青いやつが一貫して低下していると。
 次のページが研究者数の実数ですけども、これも青いのが減少しているというものでございます。
 次のページが、年齢層別の研究者の人口比です。特に日本は少子高齢化が進んで若い人口が減っているので、若手が減るのも人口構成に比例しているだけじゃないかという御指摘もあるところなのですが、これを見ていただくと、若手はほかの世代に比べるとやっぱり、人口比でも少ないということが分かるかと思います。
 続きまして、これは100万人当たりの博士号取得者数ですが、イギリスとかそういったトップレベルの国と比べると、日本は人口当たりの博士号取得者は3分の1程度ということになっているというものでございます。
 次に進んでいただきまして、次に研究時間を見ていきたいと思います。
 これはFTE調査をやっておりまして、平成14から平成20の調査の間で、研究時間割合というのは減少しておりますが、それ以降は、保健以外の分野では横ばいと。一方で、右下の保健分野は一貫して減少していて、診療活動の割合というのが増えているというものでございます。
 次のページは実際の活動時間ですが、年間の総職務時間の減少もありまして、調査ごとに実際の研究時間は減少していっているというものでございます。これは保健分野を除いて見ても、やっぱりずっと減っているというものでございます。
 次のページが、この調査の際に教員に、研究パフォーマンスを高める上で制約を尋ねたものでございますが、やはり研究時間という回答が一番多かったというものでございます。
 次のページが、具体的にどんな制約があるかということで、研究時間につきましては、教育負担と大学運営事務というのが多かったというものでございまして、また、前回の総会時に、年齢層別に見られないかという御指摘がありましたので、若手・中堅・シニアに分けて分析してみました。右下のシニアは大学運営業務というのが多いのに対しまして、上の若手は教育負担というのが多いということでございます。
 次のページが研究環境についての具体の質問でございますが、右下の方のシニアは、研究補助者の不足が一番だと。上の若手は、研究機器の利用が一番というような回答でございまして、若手の方が研究機器の利用に不便を感じている割合が高いというようなことがうかがえます。
 次に、海外の取組を御紹介させていただきます。155ページでございます。これは論文規模が同程度の大学の比較でございます。
 東大と、州立のワシントン大学と、国立のケンブリッジ大学とで、教員数の規模は似ておりますけども、教員以外の職員数というのが違いが出ているというものでございます。
 次のページの、京大とミュンヘン大学、エジンバラ大学の比較においても、同様の傾向が見られるというものでございます。
 次のページですが、前回総会で、海外との給与比較についての御質問、御指摘をいただきましたので、掲載してございます。日本の国立大学は英国とほぼ同額でございますが、アメリカと比べると低くなっているというものでございます。
 次に158ページ、これも前回の総会でEUのファンディングについての御指摘をいただきまして御紹介するものですが、EUのホライズンヨーロッパ、赤字のところでございますけども、全体予算の半分以上を占める第2の柱、真ん中のところですね、ここでは3か国以上の共同申請というのが求められると。おのずと国際共同研究が促進される仕組みということが構築されているというものでございます。
 次に進んでいただいて、160ページ、ドイツの例をお示ししたいと思います。
 ドイツのDFGの取組ですが、赤枠の3つはいずれもネットワーク構築の要素を含むようなプログラムでございますが、164ページで1つだけ御紹介いたします。
 164ページに進んでいただいて、エクセレンス・ストラテジーという、赤字のところにありますように、アメリカとかイギリスの大学に対抗する優れた大学を目指すプログラムというものでございますけども、これまでに46億ユーロが支出されていると。
 その内容は、赤枠のところですけども、大学と大学外研究機関が協力するクラスター構築を支援するというものだそうでございまして、次のページでございますが、赤枠のとこにありますように、他の組織との連携を制度的に進めたことで人材流動が盛んになり、海外から卓越した研究者を招聘するきっかけとなったといったような評価がなされているというものだそうでございます。
 次の167ページ、フランスの取組でございます。まず、このページの最後の行にございますように、大学は、フランスの研究機関であるCNRSや企業などとの共同の研究室を設けることが一般的になっているということだそうでございます。
 次のページ、赤のところですけども、IdExというものだそうですが、政府主導で拠点形成をするプロジェクトということですが、複数大学がコンソーシアムを組んで応募すると。各地で複数の機関が連携するインセンティブになっているということだそうでございます。
 次のページが拠点の一覧でございますが、そのうちパリ・サクレーの御紹介が次のページでございます。黒字のところでございますが、22の機関というのが1つの地域に集まっておられて、人材や資金、施設を一元的に管理する1つの法人格の下で運営されていると。こういった大きな取組がされているというものでございます。
 次に173ページ、今度はアメリカの御紹介ですが、EPSCoRと呼ばれるプログラムを御紹介いたします。
 赤枠のとおり、NSFの資金を獲得できない州を対象としたプログラムだそうでございまして、その内容が次のページでございますが、大学・政府機関等の連携を構築し研究基盤を改善するといったプログラムでしたり、複数州のコンソーシアム形成を支援するというような取組でございまして、先端機器の設置が進まない地域を支援するような取組だそうでございます。
 次に176ページ、イギリスの例を御紹介したいと思います。
 競争的資金による研究プロジェクトを実施するに当たって、ブロックグラントからの支出が発生しないように、各機関がフルエコノミックコストというものを算出してファンディング機関に請求すると。このような仕組みができているということだそうでございます。
 178ページが、最後に、こういったようなエビデンス等を踏まえまして、今後検討事項案ということで、事務局の方でまとめてみました。
 研究力向上のためには、予算をどこに振り向けるべきかと。また、お金を使わずともできることは何かということを、国と研究機関それぞれの役割を考えていく必要があるのかというふうに存じます。
 また、研究力といっても様々な面がありますが、論文数ということに着目するのであれば、NISTEPの分析からも、研究時間割合を勘案した研究者数というのを確保していくことがポイントでございます。
 特に、近年の若手研究者の減少ですとか、博士後期への進学率の低下に鑑みますと、若手研究者の安定的ポストの確保といったことを含めた1点目が重要になるかと存じます。
 また、2点目でございますが、論文数を伸ばしていくためには研究時間割合というのを上げていくのが大変重要でございます。国や研究機関双方で様々な工夫が必要かと存じます。
 例えば、競争的研究費の手続に負担がかかっているというような御指摘とか、評価疲れというような御指摘もございますし、また、日本の大学は教員以外の職員が少ないという現状もありますし、また研究者アンケートでは、教育・大学運営業務、これが制約だというふうな結果もございます。こうした業務の効率化も必要かと存じます。
 3点目ですが、「外向き志向」と書いてございますけども、トップ10論文を伸ばしていくためには国際共著を増やすということが考えられるわけでございます。先ほど国際戦略委員会からも御報告がございましたが、これまで以上に海外派遣を増やす、促す取組ですとか、海外から呼び込む施策、また海外から戻りやすくするような施策、こういったことを考えていくことが必要であろうと存じます。
 4点目ですが、研究力の低下が懸念されている状況に鑑みまして、国全体の研究力を底上げする施策、これにも力点を置く必要があるかと存じます。
 研究機関間の競争のみならず、アメリカ、ドイツ、フランスといった取組も参考にいたしまして、共に創る、共創といった視点も施策に盛り込みまして、研究機関間の連携ですとか、施設、データといったものの共有などを進めていくことが有効かと存じます。
 5点目ですが、民間企業による新たな価値創造につながるとともに、研究機関の研究力向上にも資する産学連携、そういったものをどのように推進していくべきかという論点でございます。
 最後に追記してございますのは、これらを実現するためには、研究機関におかれまして、運交金はもちろん、間接経費といった使途の自由度が高い経費を戦略的に御活用されることが重要かと存じます。
 説明は以上でございます。
【濵口会長】  それでは、議題2について、30分ほど意見交換の時間としたいと思います。いろいろ御意見、御質問ございますと思いますが、いかがでしょうか。
 たくさん挙がっております。それでは、まず村山先生、お願いします。
【村山委員】  村山です。よろしくお願いいたします。研究力の強化というのは非常に大事なので、絶対やらなきゃならないということなんですね。それで、お金を積めばかなりいいものができるし、例えば5年間、こういうお金を資金として大学に出してやれば、相当いいレベルの研究ができると思うんですよね。
 これが、日本が弱いと言われているのはその後でして、大学である程度までできた、プロトタイプぐらいまでできたものを、社会でどう使うかということなんです。ここが非常に弱いので、大学から社会への技術移転、ここをどうするかというのをしっかり考えなければならないと思うんですよね。
 これ、ほっといたら勝手に社会が使うということじゃなくて、かなり努力をして大学にあるものを社会につなげなきゃならないということなんです。ここが弱かったので、どうしても大学に技術がたまってしまうという状況が起こっていたと思うんです。
 これ、実はある意味、今の安全保障環境というのは極めて危険な状況で、ちょっと懸念しております。なぜかといいますと、国によっては社会実装に非常に興味のある国があるわけですよね。だから、そこと共同研究することによって、日本の大学にたまった技術が海外に流れてしまって、日本以外の国で実装されてしまうということが起こりつつあるんですよね。
 したがって、ここではやっぱり日本の大学に税金を使って研究力を上げたものを、知的所有権でくくって日本で確実に有効利用するという、そのメカニズムをしっかりと確立する必要があると思うんですが、その仕組みのようなものをどういうふうに考えておられるかというのを質問したいと思います。
【濵口会長】  どういたしましょう、文科省のどなたか。
 どうぞ、坂本さん、お願いします。
【坂本審議官】  手がたくさん挙がっているので簡潔に。
【濵口会長】  そうなんです、ちょっと時間の心配はしておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
【坂本審議官】  はい。今、村山委員から御指摘のあった点は、産学連携の根本的な問題だと考えております。
 これはいろんな説明の仕方があると思いますけれども、一つの言い方をすると、大学で行われるような基礎的な研究、あるいは非競争領域に相当するようなものと言ってもいいかもしれませんけども、それから競争領域、当然実装する場合には企業側の事業戦略に組み込まれてきますので、この競争領域に移行していくと。この移行の設計が、やはりまだまだ日本の場合、うまくいっていないケースが多いというところがございます。
 そうすると、例えば知財の取得を含めて、あらかじめ、どういうアプリケーションを想定するかを考えて知財を取得すると。そういったこと、プレマーケティングというような形で大学側がマネジメントを高度化する必要があるんじゃないかということ、これは長年議論されておりますので、そういったところをもっと政策的に誘導していくというところは、知財政策という観点からも重要ではないかと考えております。こういったものを幾つか組み合わせていくということが必要だと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。ちょっと懸念は、バイドール法以降、大学側にパテントをお渡ししているんですけども、十分カバーし切れない、周辺特許も含めてできない状況があって、攻められやすい環境が生まれているところは心配なんです。もうちょっと高度な政策が必要な時期に入っているかもしれないと思いますけど、非常に重要な視点だと思います。
【村山委員】  その視点で。その辺りの技術移転を担う人材育成も併せてやっていただきたいというのが私の希望です。これは人がちゃんと育たないとできない分野ですので、その辺りにもお金をつけていただきたいと思います。
【濵口会長】  URAとか、あとポストCOI、共創の場、ああいうところで育ってきた人材を、もう少し大学として政策的に育てていただきたいなというのが片方でございます。
 須藤先生、お願いします。いろいろ考えられることは多いかと思います、今の点で。
【須藤会長代理】  ありがとうございます。まず、坂本審議官の説明されたファンドの話から振興パッケージの説明、非常に分かりやすくて、まとまっているなと思いました。
 特に振興パッケージの3つの目的別に分けた分類というのは分かりやすいと思うんですけども、その中で、盛んに人材とか社会実装、研究力という3つの相互作用みたいな絵が出まして、それを目指して文科省がいろんな施策を取っていると。そのいろんな文科省の施策がうまく融合して書かれているなというのはよく分かりました。非常に分かりやすい資料だったと思います。
 ちょっと気になりましたのは、その中で各施策の話は出てくるんですけども、「ビジョン」という単語が出てきていたんですけど、もう少し大学としてどんな方向に行くのか。例えば、社会課題というのは何を社会課題として考えて、どうしようとしているのかとか、あるいは、新たな価値の創造というのも一つの柱にありますけど、どんな新たな価値をつくることを目指すのかという、そういう全体としての方向性を、やはり各大学にそろそろ要求してもいいんじゃないかと。その方向性の下で、人材、社会実装、研究力、各施策がうまく組み合わさっていくと分かりやすいのかなという気がしましたので、ぜひ、全体の方向性というのをもう少し、大学の方に要求してもいいのかなという気がしました。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。同感ですね。
 坂本さん、一言。
【坂本審議官】  ありがとうございます。須藤委員の御指摘、これからの産学連携にとって非常に重要だと思っております。
 94ページにCOIの具体例を示しましたが、これは、今、須藤委員におっしゃっていただいたビジョンというものは、大学側が知的資産というものをどう社会に対して提供していくのか、それをどう価値に転換するのかというところのビジョンと言い換えても、多分いいと思います。
 そのビジョンを明確に示すことというのは、例えばこの左上の弘前のケースもそうですし、あるいは右上の九州大学の例もそうだと言っていいと思うんですけども、これは学内の研究者、あるいはリソースを糾合するため、そして、その学内のリソースを糾合するだけではなくて、パートナーとも一緒に協働をして、新しい価値を創造するために不可欠なマネジメントの軸だと思うんです。それをまだまだ、大学側は示していない。
 ただ、これは相手のある話ですから、その協働する相手と一緒につくり上げていく部分もございます。これはさっきの知財のつくり込みとちょっと似ているところがあって、そういったインターフェースの役割を果たす人材の育成も含めて、大学がシステムを構築していく必要があると。これをぜひ、我々文科省としても進めさせていただきたいと思います。
 ちょっと、産学連携の話が相当入ってくるので、科学技術・学術政策局の方でもしコメントがありましたら、ぜひお願いをしたいと思います。私、一応全体をまとめて話をさせていただいています。
 以上です。
【濵口会長】  科政局、どなたかお見えになりますか。もう退席されたかな。
【塩田研究開発戦略課長】  すみません、研究開発戦略課の塩田でございます。いろいろと観点はあると思います。大変重要な御指摘だと思いますので、いろんな御指摘も踏まえながら、今後の研究開発戦略をしっかりと練っていきたいと思っております。
 すみません、本日は、この時点ではこれだけで、すみません。
【濵口会長】  はい。観山先生、お願いします。
【観山委員】  ありがとうございます。大学ファンドと総合振興パッケージという2つの枠組みで支援するということで、非常にありがたいことだと思いますけども、一つ意見というか質問というか、まず大学ファンドの方ですが、これは選ばれた大学に非常に重点的に配分するということでよろしいかと思うのですが、その際、やっぱり実績のある大学ですので、使途についていろいろ、こうしてくれああしてくれと言うんじゃなくて、お任せするという形がやっぱり重要で、それがいろんな先生方の研究時間を消耗しないように考慮していただきたいということが一つです。そして、それぞれの大学の個性を生かす形で、学長や執行部を中心に使途を考えられるということが非常に重要だと思いますので、それはぜひ、大学の方を信頼いただければと思います。
 それから総合振興パッケージの方で、178ページにも、研究力の全体を底上げするということは非常に重要でして、その中で、例えば研究機関間の連携促進とかということが挙げられていまして、これは非常に重要だと思います。ただ、新しい研究機関間の促進をしようと思うと、ものすごく会議とかで時間を取られますので、これは今までの共同利用・共同研究拠点とか大学共同利用機関というのがありますので、それをうまく使っていただいて活性化をするということが重要だと思います。
 その際、問題点は、共同利用・共同研究拠点とか大学共同利用機関というのはコミュニティがついていますので、新たな学際的な領域になかなか踏み込めない、というか踏み込んでいるところもあると思うんですけども、それをもうちょっとエンカレッジするような仕組みをぜひ考えていただければありがたいと思います。今までにも非常に長い蓄積があるわけですので、それを使って全体を底上げする、大学間を底上げするのだけども、その際、何々研究所という名前にとらわれないで、もうちょっと学際的な方向に幅を広げるというところに、ぜひ支援をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  これはお願いしておきますが、坂本さん。
【坂本審議官】  ありがとうございます。大変重要なところで、ファンドの使途については、これはもう観山委員がおっしゃったように、できる限り自由度の高い形で、これは制度的にもそのようにしたいと思っています。
 これはプロジェクトの資金とは違いますので、その使途は基本的には大学で決めていただくと。ただ、それは研究力を向上させるための体制の強化を行うための資金だと。それはもう、分野も何でもいい、使途もできる限り拡大することで、今、制度設計を進めておりますので。
 研究者の方々に、ほかのプロジェクト――ほかのプロジェクトに怒られますけど、プロジェクトを取るために負荷がかかるというようなことがないように、できる限り工夫をさせていただきたいと思います。
 2点目の、学際的領域にどんどん踏み込んでいけるように、大学共同利用機関、そして共同利用・共同研究拠点、それをしっかり利用していく。ぜひ我々も進めていきたい。
 新しいコミュニティをつくるということは、やっぱり新しい研究大学の成長の芽になると思いますので、そこはぜひ進めていきたいと思います。
 以上です。
【観山委員】  よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。福田先生、それじゃあお願いします。
【福田委員】  どうもありがとうございます。福田でございます。若手の研究者が少なくなっているという、この観点から2つほど、少しお話をさせていただきたいと思います。
 1点目は、若手の研究者が少なくなっているのは、大学院の学生が減ったりということもありますが、一つにはやっぱりドクターを取ってからの身分の不安定さがあるのではないかと常々思っておりまして、特に、例えば一番大事である学術振興会の特別研究員の身分が非常に不安定です。この結果、この身分のために結婚が難しくなったケースがあると聞いています。要するに、真の社会人となれず何かふらふらしているのというふうに見られてしまうことがあるわけです。
 これはしっかりとした職業だと私は思っていますが、残念ながら保証はない。制度としては、大学で雇用されている人の方がしっかりしているんです。大学としてのいろんな身分保障があるので、例えば健康保険とかもちゃんと入れる。
 なので、私は若手研究者を支援するときには、その身分保障をやはりきちんとする必要があると思っていて、この辺りをしていただけると、お金を物すごくかけるということでなくてもできるのではないかと思いました。これが1点目です。
 2点目は、インバウンド・アウトバウンド両方とも確かに大事なんですけど、国際的なコミュニケーションの取り方が非常に変わっているのではないかという気がしています。
 私の分野ですと、実は面白い論文は一瞬にしてSNSで世界に回ります。こんな面白い論文があったよと、仲間内であっという間に回るんです。それが引用されるんです。
 ところが、多くの場合、その輪に日本人は入っていません。ごく一部の日本人は、海外で一緒にそういう仲間たちと研究していたためにその輪に入っていて、世界の潮流が一瞬にして分かる。
 だから、若手研究者が世界の中での輪に入るためのいろんな努力というか、そういう場をつくってやることとが必要だと思います。同時に、若い人たちをもっと施策の場所に積極的に入れて、彼ら自身が、自らいろんなアイデアを出してつくっていくような場をやっぱり用意してあげないと、若い人たちの研究力はアップしないんじゃないかと思います。
 これから我々は、研究力が下がり続けた、この失われてきた十数年を戻していかなくてはいけませんが、戻すのは我々ではなくて若い人なんです。だから、その若い人たちが今から一緒になって施策の場に入って何かつくれるような、そういうような場を作る必要があると思います。ぜひ、文科省の若手と、院生、ポストドク、若い助教などで、新しい、世界と闘う施策をつくっていっていただけるとありがたいなと思いました。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。これは大きな宿題だと思いますので、坂本さん、よろしくお願いします。
 身分保障は本当に重要なんですね、あれ。社会保険とか、まだちょっと手が回っていないなと思って実感していますけど。
【坂本審議官】  よろしいですか。すみません、これは政策局の担当ではあるんですけども、この身分保障の問題、極めて重要だということは我々も認識しています。
 一方で、大学で雇用契約を結んでおられる方、あと特別研究員のような、フェローシップといいますか、支援を受けられている方、それぞれ、例えばアメリカでいえば、やはりフェローシップを受けられている方であるとか、リサーチアシスタントとしていらっしゃる学生さんであるとか、ポスドクであるとか、当然その身分保障のレベルは違うわけで、そこをやっぱり、日本の雇用制度を考えながら最適化していくというところが必要かと思います。
 ただ、やはり福田委員のおっしゃるとおり、安定性があって、そこで研究に専念できるという面も、これは研究時間だけではなくて、ここがあるというところは我々も十分認識しておりますので、これは雇用期間の問題も含めて、しっかりと検討していきたいと。
【福田委員】  ぜひよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  大野先生お願いします。
【大野委員】  どうもありがとうございます。先ほど観山先生がおっしゃられたこととつながります。今、知の活用というのに視点が行っていますが、知を生む土壌の充実も併せて、理想的には知の活用と土壌の充実が混然一体となるという形が良いと思っています。
 土壌が失われつつあることが危惧される例として、コロナ禍において我が国からの論文が少なかった。これはゴムが伸び切った状態で新しいことが起きて、対応ができなかったのではないかと心配される事態だと思っています。
 大学ファンドは、今お話がありましたように、対象校が限られるものの資金の使途というのは自由度が高いと想定されています。大学の自らの判断、マネジメントが重要となりますが、フロンティアを開拓したりすることによって研究者も元気になっていくと思います。
 総合振興パッケージもそのような形になるべきだと思いますが、通常のプロジェクトや産学連携、自治体系の地方振興などでは目的がはっきりしているため、知の活用であって、知の充実というのは必ずしも視野には入っておらず、この意味でパッケージとファンドとは違いがあり、このギャップを埋めることが極めて重要です。
 総合振興パッケージも、プロジェクトを引き受けるとどんどんその大学が豊かになり、あるいは運営費交付金の余裕ができ、先ほどのフルコスト、フルエコノミックコストを請求するというイギリスの例もありましたが、ぜひそういうものを取り入れて、大学が成長し、あるいは研究者のFTE(full time equivalent)が上がり、新しいフロンティアに挑戦することができるように、知を生む土壌も豊かになるよう、資金あるいは規制緩和を含めた、真の意味でのパッケージという制度を設計するべきだと考えてございます。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。坂本さん、よろしく。どうぞ。
【坂本審議官】  ありがとうございます。大野委員の御指摘はまさにそのとおりでございまして、まず、大きくサイエンス、それからイノベーション、そして教育という3本柱のお話をいたしますけども、サイエンスを太らせていくというところ、これはもう大学の肝ですので、ここはぜひ我々もしっかりとやらせていただきたいと思います。それがイノベーションの土壌になるというところは、全く我々もそのとおりだということで、基本的な認識です。
 その上で、やはり大学のマネジメント、これは大学ファンドでも議論をさせていただいているんですが、やはりサイエンスをしっかり太らせていくという部分で、大学がどのようにリソースを獲得していくか。これは産学官のリソース全体ですけれども。
 よく私が議論させていただいています、実学の部分でどのようにリソースを獲得していくか。あるいは、そのサイエンスの部分は大学が自ら、ここで基金が効いてくるんですけれども、例えばハーバードの財務報告書を見ても、やはりリベラルアーツであるとかそういったところというのは、もう圧倒的にエンダウメントからの収入というものの割合が大きいんです。
 実学の部分、例えばエンジニアリング、アプライドサイエンスであるとか、あるいはメディカルであるとか、あるいはパブリックヘルス、ここについてはもう3割から6割ぐらいがスポンサードリサーチとされています。
 だから、ここは実学で成長する部分というものと、それからサイエンス、ピュアサイエンスで成長する部分というものとを、どう、それぞれのリソースを獲得していくかというところも、やっぱり大学全体のマネジメントが非常に重要になると思うので、これは国際卓越研究大学の中では一体としてこの助成金を使っていくという形を可能にすることができるわけですけども、いろいろなサイエンスなりイノベーションなりで、今特徴をお持ちの大学がどう伸びていくかといったときには、その基盤となるマネジメント部分というものも同時に強化していくような建付け、これは考えたいと思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは安浦先生、お願いします。
【安浦委員】  ありがとうございます。多様な研究大学群の形成という点で少しお話しさせていただきたいんですけども、私、濵口先生の命で、JSTの若手研究者育成のプログラムと、それから博士課程の学生へお金をたくさん出すプロジェクトの両方に関わらせていただいて、この2年間で結構たくさんの大学のお話を直接お聞きする機会がございました。
 その中で感じたのは、中堅大学と呼ばれているところの問題点として、例えば、図書館システムで外国のジャーナルにアクセスできないというような、極めて基本的なハンディキャップを持っていることです。
 東北大学は、実験的に幾つかの東北の6つの大学と協定を結んで、そこの若手の先生を、東北大学のポジションも兼任させる形で、東北大学の図書館を使えるようにさせてあるわけです。このプログラムに入って何がうれしかったかということを、その若手研究者たちに直接聞いたときに、そこがもう雲泥の違いですという御指摘があったんです。
 そういう意味で、中堅大学というのが、トップ7大学、12大学とどれぐらいのベースのところでの差があるかということをやはり調べた上で、打てる手、打てない手、あると思いますけども、ぜひお考えいただきたいというのが1点。
 それからもう1点は、大学が100年以上かけてつくってきた仕組みの中で、図書館の役割とか、昔からある、例えば工学部でいえば技術部の役割とか、そういったものがこのDXの中で大きく変わろうとしていること。
 そういうときに、今までの図書館員の採用の考え方でいいのか。それでは多分、研究DXを支える新しい人材は育たない。
 ただ、両方ができる、図書館のことも分かるし情報のことも分かるような人材を、新しく、教員をサポートする人材として育てていくとか、そういった意味合いの新しい大学の職務構成というものを考えていく必要があるんじゃないかと思います。
 この2点でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に大事な点です。坂本さんにお答えいただきたいんですけど、時間が押していますので、まとめて後で御意見いただきたいと思います。
 それでは春日先生、お願いします。
【春日委員】  ありがとうございます。幾つかあるんですが、手短に申し上げます。
 福田先生がおっしゃっていたように、若手研究者の身分保障、これはもう私も何度もこの総会で申し上げてきました。
 今回の資料2-2で言いますと、それに関する質問ですが、142ページから145ページに教員数の推移を示していただいていますが、ポストの数の推移がどうなっているか。ポストがなければ教員数が増えるわけがないので、併せてお示しいただければと思います。
 それから、157ページにお給料、これも前回意見を申したので、それに対応していただいてありがとうございます。国際比較するのであれば、イギリスの教授、それからアメリカのポストだけでは不十分なので、申し訳ないんですけれども、もう少し国を増やして比較していただければと思います。
 でも、少なくともアメリカと比較したときに、もちろん社会制度や支出の状況が大きく違うことは踏まえても、助教の段階で大きな差があります。これは本当に、日本人のドクターを取った学生が二の足を踏んでしまうことは理解できる状況かと思います。
 そして、この審議会のミッション、もちろん、日本、そして日本の教育、大学の研究力強化を議論するのですが、もう少し大きく、日本の研究が地球の環境を含む地球社会にどう貢献していけるかというビジョンを、常に踏まえていきたいと思います。
 その観点から、今日の資料で申し上げますと160ページ、165ページ辺りに、ドイツの例が少し示されていますが、このように多国間プロジェクトへの資金スキーム、それから、大学だけではなくて国研や企業との合同のラボを運営する、そういうスキームをもっとダイナミックに増やしていきたい、いただければと思います。
 EUが多国間のスキームをファンドできるのは、EUという域内にまとまった国が協力しているからなのですが、アジアでも、アジア域内のほかの国の研究助成機関と連携して合同のファンドをつくるような、そういう仕組みができないものかというふうに、常々思っていたところです。
 そしてもう一つは、多分野の複合的なプログラムに関する助成です。これがなかなか増えていかないというところに問題を感じています。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは高梨先生、お願いします。
【高梨委員】  高梨です。じゃあ簡単に一つ、思ったことを申し上げますが、ちょっと私、意外だったのは、データを見させていただいて意外だったのは、若い方が、研究パフォーマンスを高める上での制約というところで、これは153ページですけども、研究機器の利用というのが第1位に挙がっているんです。
 結構今、外部資金とかかなり充実しているので、研究機器類、比較的、以前に比べれば充実しているかと思ったんですけど、若い方はやはりこれを制約に思っている方が結構多いということは、ちょっと私、印象的で、これ、先ほど観山先生からもお話ありましたけども、やはりこういうところで共同利用・共同研究拠点の活用ということは非常に重要かなと思っています。
 それから、さらに一般化すると、やはり大学にはかつてのいわゆる附置研究所というものがあって、これも100年以上の歴史があるわけで、この附置研究所というシステムが今、共同利用・共同研究拠点という形になっているわけですが、これをいかにやっぱり、個々の大学の問題じゃなくて、国全体でこれをどう活用していくか。この研究力の向上にですね。そういう視点というのをもう少し持ってもいいのではないかなと感じました。
 私は今、日本原子力研究開発機構に移っているんですが、3月まで東北大学の金属材料研究所におりましたので、附置研究所という観点からちょっと御意見を申し上げました。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。高橋先生、お願いします。
【高橋委員】  高橋でございます。今、映していただいた研究パフォーマンスを高める上での制約のところで、やはり博士課程に進む人の数がそもそも減っていますので、それを考えると1人当たりの生産性を上げていかないと研究力が上がらないということだと思いますので、この研究時間をいかに確保していくかというところを、もう少し真剣に考えた方がいいのかなと思っております。
 特に大学運営業務ですとか事務手続ですとか、あと研究資金の確保のための事務手続、こういったところは生産性を下げる要因になっていると思いますので、そこをいかにスマートに運営していくかというところを、もしうまくいっている大学があるのであれば、そういった事例、ノウハウを共有するですとか、そこに何か施策が打てないかなというところは1点です。
 もう1点が、給与の海外比較をお出しいただいたかと思うんですが、ちょっと細かいかもしれないですけど、為替が1年前とか2年前のものですので、直近、円安がかなり進んでいることを考えると、もう少し海外と比較して差があるのかなと思っております。
 その辺りは、最新の動向ということで、最新の為替で考えていただいた方がいいのかなと思いました。
 以上です。
【濵口会長】  それでは門間先生、お願いします。
【門間委員】  大学のことは素人ですが、先ほど高梨先生が御指摘されていた153ページの、若手の研究者の方で教育と機器が制限になっているということについて、今回この資料を見せていただいて、ストーリー的によく分かりました。この機器の問題で、私も、高度な機器を共有していくというのが効果的かと思います。
 高梨先生のご指摘に加え、各県等でもいろんな機器が充実してきているのを実感しているところです。
 先ほど、各地域で連携を深めていくという94ページのお話がありましたが、各地域の機器や施設をシステム的に活用していくような連携ができたらいいかと思いました。
 すみません、感想で。失礼します。
【濵口会長】  大型機器の共同利用、かなり文部科学省としてはプッシュしてきているんですけど、なかなか進まないのが現状で、何かもうちょっと知恵が要りますね。
 坂本さんにまとめてお答えいただきたいんですけど、もう時間なので、次回の宿題として、いろいろデータを追加していただくということでいかがでしょうか。よろしいですか。
 あと、最後の議題でその他というのがあるんですけど、多分その他はなしでいいかなと今思っております。御容赦いただければと思います。
 そうすると、一応、本日の議題は、ちょうど時間となりましたが、以上で終わるということで、最後に事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。お願いします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。本日の議事録でございますが、後日、事務局よりメールで送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。
 御確認いただいたものを文部科学省ホームページに掲載いたしますので、御承知いただくようお願いいたします。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。司会の不手際で、ちょっと最後は尻切れとんぼになって、坂本さんの大団円が聞けなかったのは残念ですか、次回またお願いしたいと思います。
 それでは、これで科学技術学術審議会第67回を終了といたします。本日はどうもありがとうございました。

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