科学技術・学術審議会(第66回)議事録

1.日時

令和3年10月13日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 第11期の活動について
  2. 委員会の設置について
  3. 最近の科学技術・学術の動向について
  4. その他

4.出席者

委員

濵口会長、大野委員、小縣委員、小川委員、越智委員、小原委員、梶原委員、春日委員、勝委員、岸本委員、栗原委員、小長谷委員、五神委員、白波瀬委員、鈴木委員、高梨委員、高橋委員、田中委員、仲委員、長谷山委員、福田委員、藤井委員、宮浦委員、観山委員、明和委員、村山委員、門間委員、安浦委員

文部科学省

高橋文部科学大臣政務官、柳文部科学審議官、千原科学技術・学術政策局長、池田研究振興局長、生川研究開発局長、柿田総括審議官、渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、阿蘇大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、坂本大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、原大臣官房審議官(研究開発局担当)、氷見谷科学技術・学術総括官、齋藤計画課長、塩田研究開発戦略課長、斉藤人材政策課長、奥野振興企画課長、植木大学研究基盤整備課長、川口参事官(情報担当)、大土井海洋地球課長、柿澤高等教育局企画官、佐野科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、ほか関係官

5.議事録

【濵口会長】 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会の66回を開催させていただきます。御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、後ほど高橋はるみ文部科学大臣政務官に御出席いただける予定となっております。御出席がかないましたら御挨拶を頂くことになっておりますので、よろしくお願いします。
それでは、議事に入る前に事務局から資料の説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは、本日は、科学技術・学術審議会の委員30名のうち、現在26名の方に御出席を頂いております。科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。後ほど、2名ほど遅れて参加をされるということで聞いております。
次に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をいたします。
まず、文部科学審議官、柳孝でございます。

【柳文部科学審議官】 ただいま御紹介いただきました文部科学審議官に9月1日付で就任しました柳でございます。どうかよろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 総括審議官、柿田恭良でございます。

【柿田総括審議官】 9月21日に総括審議官に就任いたしました柿田です。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、渡辺その子でございます。

【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】 渡辺でございます。皆様、御無沙汰しておりました。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 科学技術・学術政策局長、千原由幸でございます。

【千原科学技術・学術政策局長】 千原でございます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 研究振興局長、池田貴城でございます。

【池田研究振興局長】 9月21日付で研究振興局長を拝命いたしました池田でございます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 科学技術・学術政策局担当審議官、阿蘇隆之でございます。

【阿蘇審議官】 阿蘇でございます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 研究振興局担当審議官、坂本修一でございます。
それでは、研究開発局担当審議官、原克彦でございます。

【原審議官】 原でございます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 科学技術・学術総括官、氷見谷直紀でございます。

【氷見谷科学技術・学術総括官】 氷見谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 大臣官房文教施設企画・防災部計画課長、齋藤禎美でございます。

【齋藤計画課長】 齋藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 高等教育局企画官、柿澤雄二でございます。

【柿澤企画官】 柿澤でございます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 研究振興局大学研究基盤整備課長、植木誠でございます。

【植木大学研究基盤整備課長】 植木でございます。よろしくお願い申し上げます。

【佐野科学技術・学術戦略官】 次に、WebexによるWeb会議の開催に当たりまして、事前にお伝えしておりますとおり、委員の先生方にお願いがございます。
まず、御発言の際は、手のマークの「挙手」ボタンを押すようにお願いいたします。御発言後は再度「挙手」ボタンを押して、挙手を取り消してください。
御発言時以外は「ミュート」にしていただき、御発言時のみ「ミュート解除」を御選択いただくようお願いいたします。
オンライン上でも聞きやすいように、御発言の都度お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
御発言の際、資料を参照する場合は、資料番号、ページ番号、又はページ内の該当箇所を分かりやすくお示しいただくよう御配慮願います。
事務局からは以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、早速議事に入ります。
議題1の第11期の活動について、お諮りします。こちらは、前回3月に開催の総会におきまして、科学技術基本法改正や第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた科学技術・イノベーション政策の在り方について、今期どのようなことを御議論いただくかを各分科会、部会、委員会で検討いただき、次の総会において報告いただくことになったことを受け、御報告いただくものであります。
資料1-1-1の1枚目には各分科会等の主な検討事項等、2枚目には科学技術・学術審議会の構成について、各分科会長等のお名前とともに記載があります。3枚目より分科会等ごとに取り組む活動についてまとめていただいております。
それでは、2枚目に記載の分科会等の記載の順番に従い、それぞれ2分間で報告をお願いいたします。報告をまとめられた国際戦略委員会と情報委員会については、3分でお願いいたします。大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。
それでは、まず、研究計画・評価分科会の分科会長である岸本委員から報告をお願いいたします。

【岸本委員】 承知しました。岸本でございます。
簡単に御紹介させていただきます。
本研究計画・評価分科会では、分科会に所属している2部会、8委員会に対して、第6期科学技術・イノベーション基本計画に対応する取組について、第11期の活動の検討の上、分科会で報告を頂きました。その際、各部会等に関する研究及び開発等に関するものに加えまして、自然科学の知と人文・社会科学の知の融合である総合知の創出、活用に向けたものの2つの観点から御報告を頂きました。
各部会等の個別の取組につきましては、時間の関係もありますので、割愛させていただきますが、いずれの部会等でも、基本計画の関係部分を踏まえた上で、各分野の推進等に関する事項についての検討や研究開発課題の評価等を行う予定としております。
分科会ではそれらの活動とも連携する形で、文科省として行うべき研究及び開発の計画等について審議を進めるとともに、文科省として推進する研究開発課題については、引き続き、事前・中間・事後評価を行う予定としております。
また、これまで議論を進めてきた研究開発プログラム評価の導入につきましては、評価の屋上屋の排除や負担軽減に配慮しつつ、実効性のある評価の在り方について審議する予定でございます。
なお、繰り返しになりますけども、これらの計画の審議や評価を行うに当たりましては、総合知の創出・活用に向けた取組の観点が適切に含まれていることを意識することとしております。
報告は以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございました。それでは、次に、資源調査分科会の分科会長である宮浦委員から報告をお願いいたします。

【宮浦委員】 宮浦でございます。資源調査分科会でございますが、第6期学術・イノベーション基本計画で求められる知の創造に資するために、資源の総合的利用に関する栄養成分の基礎的なデータ集として「日本食品標準成分表」を位置づけております。
日本食品標準成分表の充実並びに利活用を含めた在り方の検討に当たりましては、食品成分委員会を設置いたしまして、次期の改定方針や在り方に加えて、第1に収載食品の更新と充実、第2にデジタル社会での多様な利用を見据えた食品成分データの利活用の推進方策の検討と精度並びに信頼性の向上、第3に国内外の動向調査を行っていくところでございます。
特にオープンデータの意義等を踏まえまして、食品成分データ、オープンデータとしていくために、一般成分の決定の手順や各段階での様式のシステム化など、必要な検討を行ってまいります。
また、ドラフト版の公開、並びに関係省庁の利用状況を把握、また、データ提供の方策等も検討しているところでございます。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、学術分科会の分科会長である大野委員から報告をお願いいたします。

【大野委員】 ありがとうございます。第11期学術分科会における活動について、御報告をさせていただきます。
本分科会では、学術の振興に関する重要事項を調査審議する立場から、「総合知」の創出とその活用、ポストコロナ下における科学技術・イノベーション政策の在り方等について検討を進めているところでございます。
「総合知」の創出・活用につきましては、8月24日に人文学・社会科学特別委員会において、「『総合知』の創出・活用に向けた人文学・社会科学振興の取組方針」を取りまとめたところでございます。
また、第10期より継続いたしまして、共同利用・共同研究拠点、そして国際共同利用・共同研究拠点の期末評価等に係る審議を行っております。「連合体」の取組等も含めた大学共同利用機関法人の在り方についても引き続き検討を行ってまいります。
さらに、研究費制度の改善・充実に関しましては、これまでの科研費改革の検証及び制度全体の不断の見直し、さらには国際的ネットワークの中で実施すべき研究の支援や若手研究者育成方策等について議論を進めているところでございます。
人文学・社会科学の振興につきましては、人文学・社会科学分野の研究データ共同利用のための基盤整備やデータサイエンスの応用促進の在り方など、「総合知」の創出・活用やポストコロナ下の新たな価値創造へ向けた人文学・社会科学分野への期待に応えるための振興方策について検討を進めているところでございます。
私からの御報告は以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、海洋開発分科会の分科会長である藤井委員から報告をお願いいたします。

【藤井委員】 藤井でございます。海洋開発分科会では、今年からスタートしております持続可能な開発のための国連海洋科学の10年と第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえつつ、今後、策定をされることになっております第4期の海洋基本計画に向けた海洋科学技術の在り方や推進方策について検討を行うこととしています。
そのため、本年5月に開催をいたしました第64回海洋開発分科会において、分科会の下に海洋科学技術委員会を設置いたしました。同委員会において今後機動的に審議を行うこととしています。
具体的には、将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有の在り方や国内外の機関との連携を含めた効果的・効率的な観測体制の在り方、それから、カーボンニュートラルへの貢献も含めた気候変動への対応の在り方、防災・減災への貢献や海洋資源調査の促進など、安全・安心な社会の構築に資する海洋科学技術の在り方、海洋あるいは、海洋生態系の理解の深化や、それらの持続可能な利用・保全に向けた海洋生命科学の在り方などについて審議を行うことを検討しております。
特に海洋観測におきましては、センサー等の計測精度と、AUV、すなわち無人機や、船舶等のプラットフォームのポジショニングの精度、そしてシミュレーションモデルに必要なデータ解像度、これらを同時に高めて、互いに整合的に進めていくということが求められます。
全体を統合して考えていくことが非常に重要でありまして、その在り方についても併せて審議を行っていきたいと考えております。
これらの検討に当たりましては、総合知の創出・活用に加えて、市民参加による取組においても念頭に置きながら審議を進める予定でおります。
また、この11期におきましても、引き続き、文部科学省として推進する海洋技術等に関する研究開発課題について、事前・中間・事後評価を行うこととしています。
私からの御報告は以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、次に、測地学分科会の分科会長である小原委員から報告をお願いいたします。

【小原委員】 小原でございます。測地学分科会では、科学技術・学術審議会でお認めいただきました建議に沿って、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の推進と進捗管理を行っております。
現在5か年計画の3年目でございまして、そのレビュー報告の作成と併せて、次期の計画の検討を進めているところでございます。来年度には外部評価を受け、次の建議案を作成し、再来年度には新しい建議を審議会にて御審議いただく予定となっております。
また、火山につきましては、「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」、並びに「火山機動観測実証研究事業」を進めているところでございまして、そのフォローアップを行っております。
これらの地震火山観測研究に関わる事業というのは、そもそも地震・火山災害に対するレジリエントで安全・安心な社会構築を目指しているというところから、正にSociety5.0の実現に向けた取組であると言えます。
また、東日本大震災を受けて、それまで理学中心であった地震火山観測研究計画は、現在、人文・社会科学や工学を含めて、災害軽減を強く意識した計画へと転換しており、既に総合知の活用や社会実装に向けた取組を進めているところでございますが、今後のレビューや地域計画の策定に当たっては、さらにこれらの取組を強化していきたいと考えているところでございます。報告は以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、次に、技術士分科会の分科会長である小縣委員から報告をお願いいたします。

【小縣委員】 技術士分科会は、前期、すなわち第10期技術士分科会における検討報告に継続して検討を進める項目を絞り出しまして、以下に書いてあるとおりでございます。
第11期としては、ここには書かれておりませんが、分科会に試験部会、制度検討特別委員会、APECエンジニア特別委員会、3つの部会又は委員会を設けまして、それで検討を進めていきたいと思います。
その中では、一番上にございますように、技術資格の国際的通用性の確保の観点を十分に加味した上で、技術士第一次試験の適正化、さらには外国人エンジニアが受験しやすい試験方法を検討していきたいと思います。
次に、技術士補制度における指導技術士の技術部門限定の是非についてです。
そして、IPDと書いてありますが、これはイニシャル・プロフェッショナル・デベロップメントの略でありまして、初期専門能力開発ということでございますが、この初期専門能力開発を通じた資質能力開発支援を達成するためのロードマップの作成、そしてコミュニティー形成、こういったことも検討してまいります。
技術士の権利義務に関わるところの更新制の導入や資格活用促進、これを視野に入れた、CPD、すなわちコンティニューイング・プロフェッショナル・デベロップメント、継続研鑚ということでございますが、この継続研鑚活動の促進についても検討してまいります。
さらに、総合技術監理部門の技術士資格を得るために必要な能力の測定方法や名称等についても検討いたします。
また、文部科学省と技術士会が連携いたしまして、技術士資格の活用の周知についても検討していきたいと思います。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、次に、基礎研究振興部会の部会長である観山委員から報告をお願いいたします。

【観山委員】 基礎研究期振興部会の観山でございます。科学技術・イノベーション基本計画における基礎研究の位置づけを踏まえて、基礎研究の共通認識、基礎研究の定義や、新型コロナウイルスの影響を含む国内外の動向などを確認し、知の蓄積及び広がりを持つ意義・価値及び社会的効用、そのような意義・価値を評価する方法、また社会に分かりやすく広報する方法、上記の取組に資する人材育成の在り方(研究支援人材等も含む)などを観点の例として、基礎研究の社会的意義・価値について討議することを計画しております。
以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、研究開発基盤部会の部会長である岸本委員から報告をお願いいたします。

【岸本委員】 岸本から報告させていただきます。第6期科学技術・イノベーション基本計画等を踏まえまして、先端的な研究施設・設備等の研究基盤の整備・高度化、それと利用について、また研究設備・機器に資する基盤技術などについて、特に複数領域に横断的に活用可能な科学技術に関する事項に関わる審議を進めております。
その際、文科省が現在進めております「先端研究基盤共用促進事業」というのがございますけども、それにつきまして、事業の推進方策に関する検討を行うとともに、採択機関が行う研究設備・機器の共用に関する先端的な取組の内容につきまして広く展開することを検討しております。
さらに、研究設備・機器の共用化のためのガイドライン等を今年度中に国が策定するということになっておりますけれども、その内容や、来年度以降の大学等における活用方策等に関してどのような助言を行っていったらよいかということについて検討を進めます。
なお、研究基盤の整備等に関する審議を行うに当たりましては、総合知の創出・活用に向けた取組の観点も意識するようにいたします。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、産業連携・地域振興部会の部会長である須藤委員が御欠席でございますので、部会長代理である栗原委員から報告をお願いいたします。

【栗原委員】 産業連携・地域振興部会におきましては、第6期の基本計画等を踏まえまして、研究開発の成果の普及・活用の促進をはじめとします産学官の連携の推進、そして、地域が行う科学技術の振興に対する支援、これらに対しての重要事項の審議を行ってまいります。
今期、具体的には、2ポツ目の後段、2行目からの「主に」と書いてございますけれども、大学発スタートアップ創出、それから、本格的な組織対組織の産学連携、この2つについて議論をしてまいりたいと思います。
1つ目の大学発スタートアップ創出の方ですけれども、これはスタートアップのエコシステム拠点都市が令和2年度に選定され、政府としては3年間の集中支援を行う、文科省としても、大学の体制整備について、令和3年度から5年間の支援を行っていくという予定です。こうした拠点都市の形成に向けての動き等を受けて、大学発のスタートアップの創出ですとか、アントレプレナーシップの人材育成、こういった強化策について議論をしていきたいと思っています。
2点目の本格的な組織対組織の産学連携についてですけれども、これは今地域の中核となる大学の振興について、政府の方で今年度中に施策のパッケージを作成することになっております。
また、共創の場形成支援プログラムの方も、令和2年度の後半から開始されていますので、こうした動きを踏まえまして、地域の中核となる大学の振興に資する産学連携の方策について議論してまいりたいと思っております。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、生命倫理・安全部会の部会長であります宮浦委員から報告をお願いいたします。

【宮浦委員】 宮浦でございます。生命倫理・安全部会におきましては、第6期の基本計画の動向を念頭に置きつつ、具体的な審議を進めてまいります。
まず、個人情報保護法の令和2年改正及び令和3年改正の見直し状況等を踏まえて、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針等の関係指針の見直しを検討してまいります。
また、次に、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の生命倫理専門調査会で検討中の基礎的な研究について、2点でございますが、その取扱いの方向性を踏まえて関係指針の見直しを検討してまいります。
その点、第1に、遺伝性の先天性疾患研究を目的といたします新規作成胚にゲノム編集技術等を用いる基礎的研究、第2に、ミトコンドリア病研究を目的といたしました新規作成胚に核置換技術を用いる基礎的な研究、この2点についてでございます。
また、そのほか、ライフサイエンスに関わる生命倫理並びに安全確保に関わる動向を踏まえた調査・検討を適宜進めてまいります。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、国際戦略委員会の主査であります岸本委員から報告をお願いいたします。

【岸本委員】 岸本から報告させていただきます。第6期科学技術・イノベーション基本計画におきまして、科学技術の国際展開に関する戦略を策定することとされたことを踏まえまして、令和3年の3月から6月にかけまして集中的に審議を行いました。
この審議を踏まえまして、令和3年6月に社会の変化を踏まえ、知の発展による世界貢献を含む国際交流・協力の目的と考慮すべき観点や取組の方向性について再確認・整理をいたしまして、「科学技術の国際展開の戦略的推進に向けて」を取りまとめました。
以下ではその取りまとめの内容について簡単に御報告させていただきます。次のページになるかと思いますが、資料1-1-2-1が、その取りまとめの概要になっておりまして、次のページからの資料の1-1-2-2というのが本文になっております。ここでは、1-1-2-1を使いまして簡単に概要について御説明させていただきたいと思います。
この取りまとめでは、まず一番上の方にありますように、現状認識を整理いたしました。その上で、真ん中のところにありますように、国際交流・協力の目的を最大限達成するために、研究力の強化、それと真ん中にあります、新たな価値の創造や社会課題の解決、それと科学技術外交、これらの3つの大きな柱を立てまして、そのために考慮すべき点をそれぞれについてまとめております。
簡単に御紹介しますと、研究力の強化につきましては、良質な研究成果の創出、他国との研究力の相互の関係構築等を挙げております。
また、新たな価値の創造や社会課題の解決については、SDGs課題の解決、研究成果の社会実装や展開等について記載しております。
最後の科学技術外交におきましては、我が国の未来社会像の各国地域との共有でありますとか、国際社会における我が国のプレゼンス向上を挙げております。
以上の3つの柱に加えまして、下の方にありますけども、ポストコロナを含むその他の観点ということで、それらのポイントについて記載しております。
具体的には、対面・オンライン形式を含め、コロナ禍における国際協力・交流の内容が適切な手段を組み合わせたものになっているかとか、リモート化された研究設備等の活用、組織内での国際活動のためのサポート体制の構築等について記載しております。
最後は、国際交流を含めた今後の取組として、国際頭脳循環と国際共同研究の取組の方向性について記載しております。
本報告を踏まえまして、科学技術の国際展開に関する取組が進められていることを期待するとともに、本部会といたしましても、この取りまとめに基づいた施策の具体化について必要に応じて議論を行っていく予定でございます。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして、情報委員会の主査である安浦委員から報告をお願いいたします。

【安浦委員】 それでは、安浦の方から説明させていただきます。第11期の情報委員会におきましては、情報分野における研究開発の推進方策と学術情報基盤の在り方、この2点について議論を行っていく予定でございます。
既にこれまで6月までに、研究DXとそれを支える学術情報基盤の在り方について集中的に議論をしてまいりました。
資料の1-1-3、通し番号で言いますと29ページからになります。その内容をお示ししております。その最後のページに図がございますが、これで少し説明させていただきます。研究DXの肝となる研究データの共有・利活用につきまして、是非皆様にも御理解いただきたいという趣旨でございます。
研究活動を行っていく中で生み出されますあらゆるデータを研究データと呼んでおりますが、その研究データを共有し、利活用していくことで、データ駆動型研究による研究プロセスの変革や革新的な成果の創出が期待されております。
国際的にはオープンサイエンスが進展している状況で、また新型コロナウイルス感染症の拡大を背景にして、研究データの提供が論文掲載の要件となったり、世界的な出版社やIT企業も研究データをビジネス対象として関心を高めているなど、研究データに対する動きが活発になっていると言えます。
これらの状況に対応するには、研究データの共有・利活用、そして管理を戦略的に行っていくことが重要となります。そのため、学術界全体で取り組んでいくべきことが3つあると考えております。
まず、研究データは戦略的資源であり、その共有は論文執筆と同等の価値を持つという基本的な認識を学術界全体で持つことが必要であるという点です。天然資源に乏しい我が国で国際競争力の源泉となり得るのがこの研究データであると考えられます。
情報委員会では、研究データの管理・共有・利活用を支援するための基盤及び体制の整備を議論しておりますが、学術界全体では、研究データの共有を促進し、データ駆動型研究を推進する流れを生み出すことが必要だと思っております。研究者のグループでのみデータを使用するのではなく、戦略的に共有し利活用できることでイノベーティブな成果の創出につなげることができると考えます。
こういう研究プロセスの変革を起こすための基本となる学術情報基盤の整備を進めていくことが低下し続ける我が国の学術研究の成果の回復につながるものであると考えております。学術研究に携わる皆様全てが取り組んでいくべきことだと考えておりますので、第11期の情報委員会の活動と併せ、御説明させていただきました。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、最後に、人材委員会の主査である宮浦委員から御報告をお願いいたします。

【宮浦委員】 宮浦でございます。人材委員会は、第6期基本計画を踏まえまして、科学技術・イノベーション人材の育成・確保の施策について審議を進めております。
特に、今期の人材委員会におきましては、博士後期課程の学生を含む若手研究者への支援の方策にどのような在り方で進めるかということを幅広く検討してまいる予定でございます。
具体的には、博士人材のキャリアパスの確保を中心的な議論を進めてまいりますが、博士人材、特に産業界の進出や社会的地位の向上等に向けて、施策並びに関係機関との連携方策などを検討して取りまとめてまいりたいと思います。
なお、若手研究者の検討に当たりましては、若手研究者御自身のみならず、大学や企業等に対するヒアリングも実施してまいる予定でございます。
そのほか、前期、第10期の人材委員会で策定いたしました「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」のフォローアップを行うことと、女性研究者、URA等の多様な研究人材の支援の在り方についても必要に応じて議論を行っていく予定でございます。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございました。ただいま各分科会等の分科会長、部会長、主査から御報告を頂きましたが、後ほど議題2と併せてこの議題1の議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、続きまして、大学ファンド創設と大学研究力強化に向けた取組について、植木大学研究基盤整備課長から説明をお願いいたします。

【植木大学研究基盤整備課長】 かしこまりました。植木でございます。それでは、資料の1-2に基づきまして、私から御説明申し上げます。
1つは大学ファンドの創設、もう一つは、そのファンドの創設も含めた大学研究力の強化に向けた取組についてでございます。
お時間の関係もありますものですから、要点をかいつまんで御案内申し上げます。
ページおめくりいただきまして、1つ目の大学ファンドの創設に関してでございますけれども、10兆円規模の大学ファンドの創設ということで、まず、そもそもの背景について、一番上、枠の中で囲っておりますとおり、1つは、現状といたしまして、研究力(良質な論文数)が相対的に低下しているという状態。あるいは博士課程学生が減少し、若手研究者はポストの不安定な状態にある。あるいは資金力の面でも、世界トップ大学との差が拡大の一途にあるということを踏まえまして、今後は、右側に書いてあるとおりです。世界トップ研究大学の実現に向けて、財政・制度両面から異次元の強化を図る必要がある。
そのため、大学の将来の研究基盤への長期・安定的投資の抜本強化でありますとか、世界トップ研究大学にふさわしい制度改革の実行が必要であるという背景がございます。
それを踏まえて、右下のとおり、今回大学ファンドのスキームとして創設をさせていただいているものでございますけれども、まず、科学技術振興機構(JST)の中に大学ファンドを創設いたします。ここに政府から資金を拠出してもらって、大学ファンドを資金運用機関に対して運用を委託し、その運用益を研究大学に資金配分をする。研究大学におきましては、将来の研究基盤としての大学の共用施設、あるいはデータ連携基盤等々への活用を図るということでございます。
この研究大学につきましては、左側に書いてありますけれども、世界トップ研究大学にふさわしい大学改革、あるいは資金拠出にコミットする必要があるということでございますし、この財政融資、資金拠出につきましては、50年の時限ということで、将来的には各大学がそれぞれ自らの資金で資金調達、運用をするための仕組みを導入するという趣旨でございます。
具体的にファンドの額については、現時点では4.5兆円まで見通しとして確保をしております。10兆円規模ですので、残り5.5兆円については、可及的速やかに確保すべく財政当局と調整を進めているところでございます。
次のページでございますが、そうしたスキームを前提として、これまでの進捗と今後のスケジュールということで整理をさせていただいております。
一番左側、大学改革が上の半分でございまして、下が資金運用でございますが、両方に共通する事項といたしまして、昨年度、JST法の一部を改正する法律を提出し、成立を見たものでございます。それを踏まえて、まず資金運用の部分でございますけれども、内閣府のCSTIに大学ファンドの資金運用ワーキンググループが設置され、かねてから検討が進められておりますけれども、これが先般8月26日のCSTIの決定を受けて、今後、文部科学大臣の基本指針、あるいはJSTの基本方針を策定し、同時にJST内における体制整備を進めて、今年度中には運用を開始したいと考えております。
一方で、大学改革の面では、これもかねてから内閣府CSTIの方に世界と伍する研究大学の専門調査会が設置され、記載のとおりの例えば世界と伍する研究大学の定義そのものから議論が進められてきております。これも同じ8月26日にCSTIの本会議でこの中間取りまとめが報告をされましたけれども、この中で、後ほど申し上げますとおり、大学改革の具体的な制度設計につきましては、大学を所管する文部科学省の方に検討が依頼されておりますので、それを受けて、現在世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等の検討会議、これが文部科学省の方に設置をされておりまして、鋭意現在検討が進められております。
見通しといたしましては、これを最終的には報告書として検討会議から上の専門調査会の方に中身をフィードバックいたしまして、この専門調査会が年内に最終まとめを取りまとめられる予定のまとめの中に、検討会議の報告書の中身についても反映をしてフィードバックして盛り込んでいただくことを想定しておるものでございます。
それを踏まえて、次の通常国会に関連する法案を提出し、その法案の成立を踏まえて、その後、実際のファンドの支援対象の大学の選考でありますとか指定を経て、できれば令和6年度の支援開始を目指して今準備を進めているところでございます。
その次でございますけれども、今申し上げた内閣府の専門調査会における主な議論の状況でございます。これは右下に記載のとおりの上山先生を座長とする構成員で、左側に記載のとおりの開催状況でこれまで検討が重ねられてきました。
その上で、先般の中間取りまとめにつきましては、次のページにその概要が記載をされておりますけれども、そもそも世界と伍する研究大学の目指すべき姿といたしまして、まずは「3%程度の事業成長を前提に」、「産業界や学術界、地域行政など多様な主体を巻き込みながら」、いわゆるステークホルダーですね、「グローバル社会の変革を牽引する活動を展開することをミッション」とすることが必要と記載されております。
その上で、2ポツでございますけれども、そういった大学の在り方として3つの観点から整理がなされております。
1つはガバナンスの在り方といたしまして、1つ目の丸にありますように、大学経営に関する重要事項を、学内外のステークホルダーが共に議論、共有を行う最高意思決定機関としての合議体が必要であるといったことや、あるいは3つ目、学長の選考につきましては、合議体において経営的資質を踏まえて、大学内外から適任者を選考できることが必要であるといったようなことが盛り込まれております。
2つ目の在り方といたしまして、左下に記載の、事業・財務戦略につきましては、2つ目の丸でございますが、大学全体の事業戦略等を立案し、責任を持って実行に移す事業財務担当役員、いわゆるCFOの設置が必要であるといったようなことが記載されております。
右側に記載の、教育研究システムの在り方といたしましては、例えば2つ目、優秀な博士課程学生を研究者として処遇するといったような必要性、あるいはその次の丸でございますけれども、教学に関する事項の実質的な責任者としてのプロボストの設置が必要であるといったようなことが述べられております。
その上で、3ポツですけれども、当面必要な制度改正等といたしまして、1つ目のダッシュにあります、既存の大学制度の特例として新たな制度的枠組み、仮称として特定研究大学制度を構築すること、また、国として適切な関与を行うためのアドバイザリーボードの設置が必要だとされております。
それから、3つ目のダッシュでございますけれども、特に国立大学法人につきましては、合議体のガバナンスを可能とする法制度を導入するため、そのための法改正が必要であるとされておりまして、具体の制度改正内容については、別途、関係省庁において検討を進めるということで、これを受けて、今般文部科学省で検討会議が立ち上げられたところでございます。
次のページでございますけれども、今申し上げた専門調査会につきましては、マル2ファンドからの支援の基本的方針ということで、今後、専門調査会も引き続き、支援対象大学としての必須要件でありますとか、ファンド支援対象の大学の数、支援期間、あるいは支援の打切りなども含めたモニタリング評価の方法について、現在正に検討が進められているところでございます。
次のページ以降が、私どもの文部科学省に設置をされた検討会議の動きについてでございます。これにつきましては、右側に記載の構成員の先生方、金丸先生を座長に構成されております検討会議において、左側に記載のとおりの検討事項について検討がなされております。記載のとおり、新たな世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正について、その構築、ガバナンスあるいは規制緩和等について議論が進められているところでございます。
次のページ以降が、具体的にどういった制度改正等のための事項があるのかというのを中間取りまとめの中の記載を抜粋することによって御案内をしているものでございます。
1つ目が、そもそもの大学制度の構築といたしましては、1つ目の丸として、既存の国立大学法人制度、あるいは公立大学・公立大学法人制度、そして学校法人制度、いわゆる私立大学ですね、の特例として、すなわち国公私立大学に共通する制度として、トップクラスの世界と伍する研究大学に特化した仕組みを構築することが必要であるといったようなこと。
それから1つ飛ばして3つ目ですが、ステークホルダーとしての国の関与も必要であり、アドバイザリーボードのような仕組みを設けることが必要であるとされております。
その下の2つの丸につきましては、もろもろの規制緩和事項について盛り込まれているところでございます。
次のページ、引き続きですが、2つ目で、国公立大学法人における合議体の設置等についても記載がなされております。1つ目の丸、アンダーラインでございますけれども、「合議体の設置を可能とする法改正を行うことが求められる」とした上で、その下の丸でございますけれども、その合議体の権限や、マル2合議体の構成員、そして、マル3評価の仕組み等々について、それぞれ明確化をする必要性が唱えられております。
一方で、一番下でございますけれども、公立大学法人につきましては、可能な限り地方団体の任意の判断に委ねるべきという、もともとの地方独立行政法人法の趣旨を尊重した検討が必要であるとされておるところでございます。
以上が大学ファンドの創設についてでございますが、次に今の創設を含めた大学研究力の強化に向けた取組について、御案内をいたします。
13ページでございます。大学研究力強化に向けた主な取組といたしましては、まずは、御案内のとおり、第6期の科学技術・イノベーション基本計画の中でも、例えば大学は多様な知の結節点であり、また、最大かつ最先端の知の基盤であるといったようなことで、様々な取組を進めるべきことが盛り込まれておりますが、具体的にはどういった取組が進められているかと申しますと、下に書いてありますように、マル1からマル3でして、1つ目は、先ほど来申し上げている大学ファンドの創設でございます。次期通常国会での必要な法改正を目指しております。
2つ目が、地域の中核となる大学の機能強化ということで、総合的な支援パッケージを今年度内に取りまとめることとされております。
3つ目、若手研究者の活躍促進という観点では、博士課程学生の支援を大幅に拡大するべきことが盛り込まれておるところでございます。
これらの取組を進めるに当たって、一番下に参考として大学研究力強化委員会の新設とありますけれども、これについては次のページに詳細に記載をさせていただいております。
まず、この委員会の設置の背景でございますけれども、先般、文部科学省の組織再編が行われまして、その趣旨は、大学等の研究力強化に向けた政策を総合的に推進すること、これが柱になっております。このため、例えば、私どもの課の名称でありますとか、あるいは大学研究力強化室を新設するなどがなされておるところでございます。
その上で、2ポツ、大学研究力強化委員会の役割として記載させていただいておりますけれども、文部科学省といたしましても、大学等の研究振興に関する総合施策の実施等に当たりまして、大学等における科学技術に関する研究開発、これに関する重要事項について機動的に調査する必要があることから、科学技術・学術審議会の下に大学研究力強化委員会を置くこととしたいと考えているものでございます。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

【濵口会長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、議題2の委員会の設置についてお諮りします。事務局から説明をお願いします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは、資料に基づきまして、「科学技術・学術審議会に置く委員会について(案)」ということで説明をさせていただきます。
科学技術・学術審議会運営規則第6条1項の規定に基づきまして、ただいま説明にありました大学研究力強化委員会というものを置くという案でございます。
調査事項は記載のとおりでございます。
2枚目、参考でございますけれども、1ポツ、分科会、2ポツ、部会、それから3ポツ、委員会とございます。この3ポツ、委員会のところに今回新設をする委員会を置くというものでございます。説明は以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございました。それでは、議題1及び議題2につきまして意見交換の時間とさせていただきます。大変中身の濃い、幅広い議題でありますが、御議論いただく時間は20分ほどしかございません。申し訳ございませんが、なるべく手短に論点を明確にして、御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。お願いいたします。いかがでしょうか。

【仲委員】 すみません、仲です。

【濵口会長】 仲委員、お願いいたします。

【仲委員】 1の情報委員会がおっしゃっていた、データを共有し充実していくというのは本当に重要なことだと思っています。その中で、科学データだけではなくて、例えば、卑近なところでは子供の虐待件数であるとか、社会的な数値というのもできるだけ整った基準で数値化していくということが必要ではないかと思っているところです。例えば、児童相談所への相談件数なのか、あるいは相談してきた人数なのかという違いで数値が随分違ってくるというようなことがあるんですけれども、私の知る限り、統一された仕方での数値が出されていないように思うんですね。こういったところって、教育場面でも、福祉場面でも、医療場面でもあると思っておりまして、そういうところの整備も必要ではないかと思ったところでした。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。まさしく総合知の分野ですね。安浦委員、いかがですか。

【安浦委員】 今の御指摘の点、非常に重要なポイントだと思っております。ただ、そういう行政データですとか、あるいは企業が持っているデータ、こういったものを統合していくのをどうやるかというのは、なかなか、法的な問題も含めて検討しないといけないものがあるので、まずは問題点を洗い出して、少なくとも学術データに関してはこれだけオープンにできますという形にして、それに伴って、行政データは結構ばらばらのフォーマットで出されているんですけども、それをどういうふうに統一フォーマットにしていくか。これはデジタル庁さんの役目かもしれませんけども、そういったところとも情報交換しながら進めていきたいと思います。ありがとうございました。

【仲委員】 ありがとうございました。

【濵口会長】 よろしくお願いします。ほか御意見はございますでしょうか。
梶原委員、お手が挙がっているようですが。

【梶原委員】 ありがとうございます。私からは科学技術の国際展開の戦略的推進に関して1点と、情報分野に関して1点をコメントさせていただければと思います。
最初の方ですが、国際連携や国際頭脳循環を進める一方で、経済安全保障の観点もしっかり整理しておく必要があると思います。今回の取りまとめの中で、経済安全保障の観点について具体的な検討がなされているのかどうかをお伺いしたいと思います。
それから、情報分野の研究開発の進め方についてです。こちらにつきましては、データを共有する仕組みも大事なのですが、基盤をつくるだけではなく、それが実際に使われてどのような成果を生んでいるかということが非常に重要だと思います。NIIが整備した基盤が2020年度末から運用を開始されていると認識しているのですが、実際にどのような形で使われているのかが明確になると、更に利用する動機が促進され、データももっと蓄積されていくのではないかと思います。逆にそういったところにまだ課題があるようであれば、また、NIIの基盤は国プロでも使っていくという方向もあったと思いますので、そうした点は内閣府、CSTIとも連携して検討を進めていくべきと思います。よろしくお願いいたします。

【濵口会長】 それでは、前半の問題、国際戦略、岸本委員、いかがですか。

【岸本委員】 重要な御指摘とお伺いいたしました。今回の取りまとめに当たっては、いろいろな観点を網羅的に出していくということで、その整理を行ったところでございます。その中でも、今回研究力の強化の中で、研究インテグリティーや技術流出防止の観点から必要十分かつ適切な手続が取られているかということを項目として挙げておりまして、実際に国際プログラムをつくるときにおいてはこういったところをしっかり見ていく必要があるという整理にしております。
具体的にどういうふうに進めていくかについては、更に検討が必要だと考えているところでございます。私からのコメントは以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。後半の問題は、どなたか、文科省の担当の方がよろしいかと思いますが、NIIの現状ですね。

【安浦委員】 安浦の方からよろしいですか。

【濵口会長】 お願いできますか。安浦委員、お願いします。

【安浦委員】 NIIの方で整備しておりますものを、現在は文献データが中心でありますけども、SINET6への移行に伴って、データを文献並みに、あるいはそれ以上にきちっと取り扱えるような仕組みに持っていくということで、現在、予算要求も必要になってまいりますので、いろいろなことを事務担当とも検討しているところでございます。
御指摘のように、これまでつくってきたものでどういう成果があったのかという検証は非常に大事だと思っておりますので、その辺はNIIとも相談しながら検証をしつつ、一方で、今後強化していくべきもの、特に、国際的な出版社あるいはIT企業がその辺の研究データ自身を非常に大きな市場とみなして取り込む、そういう動きがございますので、今日御出席の五神委員が総長をされていた時代に、東京大学を中心にNII、それから全国の大学と組んでmdxという、データを保持する基盤になるハード面のところはかなり整備してまいりましたので、その上に更に研究者が使いやすいシステムを組んでいくという方向で検討を進めているところでございます。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、春日委員、お手が挙がっておると思いますが。

【春日委員】 国立環境研究所の春日です。私の方からは、国際的展開の戦略性と、それから、最後に御説明がありました大学研究力強化の点、2点についてコメントさせていただきます。
まず国際戦略の方ですけれども、先ほど梶原委員がおっしゃったことと非常に共通するのですけれども、日本としてのもう少し戦略的な国益に結びつくような展開も考えるべきという点です。もちろんこれは国際競争力の強化にもつながりますが、その点が日本ではまだ少し弱いのではないかと考えます。
国際協調、国際協力、これが根底にあることはもちろんであって、日本のよさ、それから日本の強みを支える一番大きなところだと思います。ですけれども、その反面、お人よしになり過ぎてもいけないわけです。日本では非常にいい研究の芽が出たところで、研究資金がそこで中断してしまって、実際の果実がほかの国によって摘まれてしまうという、そういうことが時々見受けられます。非常にもったいないことですので、日本としてしっかりと最終プロダクトに至るまで研究のケアをするということ。それから、それを支えるサポート体制、そして、日本が、例えば標準化ですとか評価システムまで提案できるところまで持っていくことによって日本の国益が損なわれないで済むと思います。
もう一つ、大学の研究力強化ですけれども、既に御指摘がありましたように、URAや研究サポート、コーディネーター、こういうところへ博士課程の卒業生がもっと自信を持って、また誇りを持って進めるような道が必要と思います。
そもそも若手研究者の待遇、身分が非常に脆弱過ぎます。例えば欧米と比べて、博士を出たばかりの給与の面ではそれほど大きな違いはないかもしれませんけれども、日本国内で大学卒業後同じキャリアを取った人と比べたときに、研究者の給与が安過ぎます。これでは優秀な人が研究の道に進むということが、そこで意欲がそがれると思います。
さらに研究コミュニティーの閉鎖性が問題だと思います。現在のところでは、研究室単位あるいは学会の分科会単位が、若手研究者の将来を考えたときに、世界の全てだと見えてしまって、その中で自分の個性が発揮できないようなこともあります。
ですので、大学研究力強化委員会においては、キャリアを極めたここにいらっしゃるような方々からの見方だけではなくて、是非若い方、当事者の声も聞きながら審議を進めていただけたらと思います。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。特に若手の意見を聞くとかいう点も含めて、植木さん、御意見ございますか。

【植木大学研究基盤整備課長】 ありがとうございます。委員の先生御指摘のとおりでございまして、若手研究者の待遇改善、あるいは、要は活躍の促進につきましては、この資料の中でも、説明が足らなかったかもしれませんけれども、1つは、大学ファンドの対象としての研究大学の在り方の中でも1つの大きな要素になっておりますし、後段の大学研究力の強化に向けた主要な取組の大きな柱の1つとして、若手研究者の活躍促進というのも盛り込ませていただいているところでございます。
それを踏まえて、委員から今御指摘もありましたように、新しく設置をされる大学研究力強化委員会の中でも、今おっしゃったような若い方々の実際の声も聞きながら進めるといったような場も積極的に設けさせていただいて、実質的な議論を進めさせていただければと考えております。ありがとうございます。

【濵口会長】 御指摘いただいた博士課程の支援の問題は、現在、長期的には大学ファンドでサポートいただく形で、今年後期から6,000人規模の支援をJSTでもスタートしております。文科省でも1,000人規模でもう既に人材を育成しておられますし、大分これから全体的には広がると思いますけれども、課題は、まだ収入に対して課税がかかること、それから社会保障費を払わなければならないこと、それから、自宅にいても収入が別個になってきますので、扶養家族から離れること、二重三重にまだまだ法改正が必要な状況はあるかと思いますけど、これは文部科学省にもう一段頑張っていただく課題かなと思っております。引き続きよろしくお願いします。

【植木大学研究基盤整備課長】 こちらこそよろしくお願いいたします。

【濵口会長】 それでは、大野委員、お願いいたします。

【大野委員】 東北大学の大野です。情報委員会の御報告に関して、確認です。今、各組織でデータに関するポリシーを定めたりしていると思います。そこで、ともすればオープンというところだけが強調されて、戦略的とここでは書かれていると思いますけれども、場合によってはオープンクローズドでちゃんと権利を確保し、その先に行くということも重要ですので、梶原委員あるいは春日委員のおっしゃったことと重なりますけれども、この戦略的というところの意味は、今のように取ってよろしいということだと確認したいのですけれども、いかがでしょうか。

【安浦委員】 安浦の方から答えさせていただきますけども、正におっしゃるとおり、戦略的な研究データの共有・利活用及び管理が重要であると書いています。この管理というところが、まだクローズの段階では、きちっと管理をして、知財権化をしていくような、そういうアクションのフェーズのところはきちっと管理をしていきます。しかし、オープンにすべき段階になったら、スムーズにそこを連続的に研究者がほとんど負担を感じないような形で進めていけるという、そういう仕掛けをつくっていく必要があると考えております。
今度、研究計画提案の方でも、そういうデータマネジメントプランを研究計画に書くようになってくると思いますので、正に研究者から見れば、研究計画を書いたときに、クローズドをどういうふうに管理して、そしてオープンになったときにどういうふうにオープンにするかというのを書かないといけなくなります。それを余り研究者に負担をかけないようにITでサポートする、その仕組みを国としてつくっていくということを目指しているところでございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、五神委員、お願いします。

【五神委員】 大学基金に関して、世界に伍する研究大学をつくっていこうという中で、対象とする大学に求められる、事業規模の年率3%の成長という議論がありましたけれども、その議論の背景を確認したいと思います。
本来、どういう形で成長の機会をつくっていくのかが基本であって、その上でそのような成長を支えるためにガバナンスをどうつくるかという議論であるべきところ、現在の議論は主従が逆になっていると思います。国公私立の中から選ばれた大学が3%の成長をするといっても、現状の仕組みでは成長のメカニズムがありません。岸田首相は新自由主義的な成長を見直そうという趣旨のことをおっしゃっていますが、世界的に見てもコロナ禍の中で、欧米の大学において、やや行き過ぎてしまった従来の市場原理の経営を見直そうという動きが起こってきています。その流れの中で、3%の事業成長をみんなで求めましょうということ自体は、私は非常に大事なことだと思います。しかし、肝心なのは、その成長のあり方です。その中身を議論することを後回しにしていては、完全に本末転倒になってしまいますし、時代にも逆行しかねません。今、その議論において、中身をどうするか、知恵を絞りださないと、せっかくの施策も完全に空振りになってしまう。私が内閣府の専門調査会に呼ばれたときにも、それについて明確にお伝えしたつもりですけれども、その趣旨は必ずしも反映いただけていないように思います。
やはり学術の価値を新しい経済の中でどう経済循環の中に位置づけていくかという議論が必要で、それは学術の価値を知っているメンバーの方々が集まる、この審議会のようなところでしっかり議論しないと正しい議論ができないのではないかと思います。まず専門調査会の中で年率3%の事業成長という数字を出すまでの議論がどのように行われたかをここで共有していただいて、それでは十分でないとすれば、私たちはどうすればいいかということを是非お聞きしたいと思います。

【濵口会長】 植木さん、お願いできますか。

【植木大学研究基盤整備課長】 よろしゅうございますでしょうか。3%の事業成長につきましては、御案内のとおり、内閣府CSTIの専門調査会の方の中間取りまとめで記載がされております。そこで、本文ではないのですけれども、注記をされた解説がございまして、概要だけ申し上げますと、要は、諸外国の特に英米の研究大学の資金規模といたしましては、特に、オックスフォード、ケンブリッジ、スタンフォード、ハーバード等の年間実質平均成長率が3.8%であるということ。それから、この間のTHEの上位10校の平均名目成長率が5.5%であるといったようなこと。その際の各国の物価上昇率が2.1から2.6%であるということを踏まえれば、最低でも3%程度の成長率が世界と伍する研究大学には必要であろうといったような解説がなされております。そういった諸外国の成長率に鑑みた3%といったような具体的な数字が報告書、中間取りまとめの中では記載をされていると理解をしております。

【五神委員】 資料1-2に私が呼ばれて発言したという記録がありますが、そのときの、内閣府の第4回専門調査会の際の資料を見ていただければ分かりますように、コロナ禍の中で、授業料収入をメインの収入源とする大学の成長モデルは、世界中のトップ大学も含めて大きな見直しを迫られている状況になっています。公共財としての教育を支えるビジネスモデルは今、全世界で再構築しなければいけない状況で新しいモデルを模索している状況になっているのです。
例えばアメリカの場合、授業料収入モデルに加えて、もちろんエンダウメントの投資のリターンもありますが、スポーツなどの関連ビジネスの規模も非常に大きくなっています。そういった、市場原理に依拠する成長の中で構築されていた、高コストのビジネスモデルの見直しが明確に迫られているのです。日本はそのモデルに浸っていない中で、日本の強みをうまく生かした、日本ならではの成長モデルをどうつくっていくかが重要です。そのことを、専門調査会の場では述べたつもりです。本来的に公共財である大学を公共財にふさわしい、新しい経済モデルの中で支えていくための、成長の機会を内蔵した、循環モデルをうまくつくっていく中で3%の事業成長が実現できるということになるのであれば、これはすばらしいことだと考えています。
まだ、この基金の運用益による資金を配分するまでには時間があるので、その議論が不十分であれば、ここにはCSTIの議員の方もいらっしゃいますが、どこかでしっかりと考える必要があります。私はその中でも、大学セクターだけではなくて、日本全体として未来に対する投資をしやすくするような経済環境をつくっていくことが重要だと考えています。金融の専門家も含め、クリエーティブに新しい経済循環の仕組みをつくっていく必要があります。アベノミクスでつくったお金が滞留したまま動かず、せっかくつくったお金の価値がなくなってしまうのが非常にまずいということは、政府が一番深刻に捉えているところではないでしょうか。そのお金を動かすためには、どういう受皿をつくるかという、投資先の商品に相当するものを新しい仕組みの中でつくっていく議論をしないといけません。それが両方同時に進んで初めて3%事業成長が達成できるわけで、その議論を是非どこかでしなければなりません。旧来のビジネスモデルのままで、大学に3%の事業成長を求めたら、現在の日本の環境では東大であってもおそらく相当難しいと思いますし、本来目指すべき、大学改革にとって逆効果になりかねません。
そこのギャップが非常に深刻かなと思いました。議論がきちんとかみ合っていないような気がしますので、そこは是非修正していただきたいと思います。

【濵口会長】 今の五神委員の御意見は、ファンドを預かる側のJSTの理事長としても非常に重いものがあると思います。3%というのは難しいなという。特に、経済面でいけば、中国の今の状況はかなり厳しいものがありますので、その影響がどれぐらい出るかということもありますけど、実施は2024年を予定されているというような状況で、まだ時間がございますので、やはり引き続き是非この場で御意見いただいて議論を深めたいと思いますが、よろしいでしょうか。かなり深い問題をいろいろ含んでいるように思いますので、よろしくお願いします。
お手がまだ挙がっておられる方がお二人ほどございますが、ちょっとお時間が押しておりますので、後でまた改めてお時間ございましたらいただくことにして、今日、今の議題の中で決めたいことがございます。それは、資料2の科学技術・学術審議会に置く委員会の設置を決定したいと思いますが、原案どおり大学研究力強化委員会を設置してよろしいでしょうか。

(「異義なし」の声あり)

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、科学技術・学術審議会に新たに大学研究力強化委員会を設置させていただきます。
本委員会に所属する委員等は、会長が指名することとなっておりますので、後ほど事務局を通じて御連絡させていただきます。どうぞ御協力をお願いしたいと思います。
また、本日御報告があった分科会等の活動において、総合知の活用・創出について幾つかの分科会から言及を頂きました。この点、引き続き御審議に当たっては総合知を考慮いただくよう改めてお願い申し上げたいと思います。
また、次回総会においても各分科会等の活動状況について御報告を頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。
また、大学ファンドの運営に関してもしっかりした議論をこの場でも頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、議題3の最近の科学技術・学術の動向についてお諮りしたいと思います。1として令和4年度概算要求等、2として我が国の研究力強化に向けたエビデンス把握について説明いただいた後、意見交換を予定しております。2のポイント、相当厳しい状況がございますので、しっかりデータを見ていただきたいと思います。
まずは科学技術関係の概算要求について、氷見谷科学技術・学術総括官から説明をお願いいたします。

【氷見谷科学技術・学術総括官】 失礼いたします。氷見谷の方から令和4年度概算要求のポイントにつきまして、資料3-1-1、通し番号で参りますと53ページから始まります資料に基づきまして御説明させていただきたいと思います。時間が限られておりますので、大まかな点だけ、ポイントに絞って、本日口頭で御説明させていただきます。資料、大部でございますので、後ほど御覧いただければと思います。
それでは、53ページ、1枚おめくりいただきまして、54ページにポイントということで全体像を緑色の紙で示させていただいております。来年度の概算要求について、現在のところ1兆1,744億円ということで、対前年度、9,768億円からしますと2,000億円増ということで要求の方を考えさせていただいておるところでございます。
その中で大きく4つの項目でこの資料の方を作成しております。1つ目が、研究力向上、なかんずく人材の育成、2つ目が、その下にございます大きな緑の項目としてのイノベーション創出ということ、また右肩にございます重点分野に関する研究開発の推進ということ、また、課題解決型の研究開発の推進と、大きな4つの項目に分けてこの資料を作成しております。
続きまして、55ページに、資料としては2ページ目の方でございます。研究力の向上と世界最高水準の研究の拠点ということでまとめた資料が55ページ、2ページのところでございます。特に、この中では、左肩にございます科学研究費助成事業につきましては、来年度140億円増ということで、2,500億円ということで、増の方を要求の方をさせていただいているところでございます。
特に、その中では、その後、3ページ以降に資料ございますけれども、国際共同研究についてしっかりと支援をさせていただきたいということでございますとか、基盤Bということで、若手研究者の支援ということを充実してまいりたいと考えておるところでございます。
また、その後、戦略でございますとか創発、また、未来社会創造事業、ムーンショットというようなところで、それぞれの事業におきましても増額の要求をさせていただいております。
また、先ほど来御議論ございました10兆円ファンドにつきましては、右肩にございますけれども、現在、10兆円を目指して財務省と現在協議をさせていただいておるというところでございます。
また、その下、WPIでございますけれども、来年度、私どもとしましては、新規4拠点を形成したいということで増額の要求をさせていただいております。
このほか、例えば人文・社会科学につきましては、データ駆動型人文学の研究先導事業ということで、新規で要求をさせていただいているというところがございます。
全体資料の66ページ、この資料では13ページを御覧いただけますでしょうか。人材の育成・確保ということでございまして、若手研究者の育成・活躍促進と、女性研究者・次世代人材の育成ということで資料を作成しておりますが、特にこの中では、真ん中辺にございます、先ほども御議論ございました文部科学省としての大学フェローシップ創設事業ということで、今年度1,000人、来年度には2,000人ということで、博士課程の学生の支援をさせていただきたいと思っておるところでございますし、JSTに基金を設けさせていただきまして、次世代研究者挑戦的研究プログラムということで、引き続き6,000人の方々の博士課程学生の支援をさせていただきたいということでございます。
また、右肩でございます女性研究者の活躍促進につきましては、ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ、これは1億円増でございますけれども、この資料の中の16ページ、全体資料の69ページでございます。ダイバーシティ研究環境イニシアティブ、特に来年度につきましては、真ん中辺にございますけれども、女性リーダー育成ということで新たなメニューを設けさせていただきまして、支援をさせていただきたいということで現在財務省と協議をさせていただいているというところでございます。
続きまして、全体資料の70ページ、次の17ページをお開きください。科学技術イノベーション・システムの構築につきましては、特に私どもとしましては、地域の中核となる大学の振興に力を入れたいということで、続きましての71ページ、資料の18ページでございます。グローバルな課題への対応ですとか、国内の社会構造の改革、これに挑戦する大学に対してしっかりと支援してまいりたいというところでございまして、真ん中にございますようにビジョン主導の戦略的運営ということを行っていく大学に対しまして、そこの右側の方にございます、共創の場形成支援事業、また、大学発新産業創出プログラム事業でございますとか、あとこれは高等局の事業でございますけども、地域活性化人材育成事業、こういった事業、また既存の様々な事業、これらを組み合わせまして、文部科学省として、また、それだけではなくて、右側にございますように、関係府省とも連携をしながら、こういった地域の中核となる大学の支援をしてまいりたいというところでございます。
その関係でございますけれども、先ほども御指摘ございました、年度内に地域の中核となる大学の振興パッケージ、これを作成するという予定でございまして、これにつきましては委員の方にも御相談をさせていただきながらパッケージの方を是非作成していきたいと思っておるところでございまして、それを通じた地域の中核となる大学の振興ということに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
資料飛びまして、資料の24ページ、全体資料の77ページでございます。世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用と。この点につきましては、例えば左肩、官民地域パートナーシップによる、宮城県に現在建設中でございますけども、次世代放射光施設の推進でございますとか、これにつきましては、2023年のファーストビームを目指して現在建築中でございます。また、左隅でございますけども、スパコン「富岳」等につきましては、例えば、必要な経費でございますとか、また「富岳」につきましては、次世代研究基盤の在り方について現在これから調査研究の方を実施したいと考えておるところでございます。
また、続きまして、次のページ、全体資料25ページ、全体では78ページでございます。先端的研究の抜本的強化というところで、特に、先ほども御議論ございました研究のデジタル・トランスフォーメーションというところにつきましては、例えば、特にマテリアル分野に来年度は例として取り上げさせていただくというところで、マテリアルDXプラットフォームというものをつくっていくということでの概算要求の大幅な増額でございますとか、そのほかにも、量子分野でのQ-LEAPへの支援でございますとか、また、右肩でございますけれども、研究データ利活用のためのエコシステムの構築事業ということで新規の方で要求させていただいております。また、AIP、人工知能につきましても、引き続きの要求、また、来年度から新たに経済安全保障につきまして、重要技術を育成するためのプログラムにつきまして、内閣府と連携しながら要求をさせていただいておるところでございます。
それぞれの事業につきましては、その後資料ございますので、お時間のあるときに御覧いただければと思います。
また、資料飛びまして、27ページ、全体資料の80ページでございます。それぞれの分野の中で、特に健康・医療分野につきましては、特にワクチン開発の生産体制強化ということで、政府の戦略がございます。その戦略に基づいて、例えば世界トップレベルの研究開発拠点の整備ということで、27ページ真ん中辺でございますけど、新たな新規要求をさせていただきたいというところでございます。
また、資料飛びまして、全体資料で82ページ、資料中では29ページでございます。科学技術・イノベーションの戦略的国際展開ということで、しっかり頭脳循環をやっていくという観点から、SICORP、SATREPS等につきましても引き続き増額の要求の方をさせていただきたいと思っておるところでございます。
また、それぞれの課題に対応する研究ということでございまして、資料の31ページ、全体資料の84ページ以降、宇宙・航空分野、こちらにおきましては、月の探査関係、又は火星の衛星探査というようなもの等々につきまして、来年度、増額の要求を考えておるところでございます。また32ページの海洋につきましては、北極域研究船ということで、これらをはじめ、要求をさせていただきたいと思っておるところでございます。
また、続きまして、33ページでございます。自然災害に関する研究開発の推進ということで、海底地震等の観測網の構築・運用なども含めまして、要求をさせていただいております。
また、34ページ、カーボンニュートラルということで、関係の予算の記載をさせていただいております。
予算関係では最後のページになりますけれども、35ページ、全体資料の88ページでございます。原子力分野ということで、カーボンニュートラルの貢献という点も含めまして、主要の予算の概算要求をさせていただいております。
また、関連といたしまして、今年度、文科省組織改編をさせていただきました。特に政策課題にスピード感を持って対応することが必要ということで、資料の36ページ、全体ページでは89ページに方向性につきまして書かせていただいておりますけれども、政策課題に対応した形で研究3局を再編するということで、それぞれの方向性に基づきまして、資料37ページ、全体資料の90ページに具体の新しい課名ということで右側の方にまとめさせていただいておるところでございます。科学技術・学術政策局であれば、政策課の次に新しく研究開発戦略課ということで、研究開発戦略とムーンショットですとかCREST等々の戦略的研究ファンティングを一緒にさせていただく課を新設させていただいております。
また、研究環境課ということで、大規模研究施設と同時に、競争的資金ですとか、研究構成というものを併せて見させていただく課を新設させていただいております。
また、産業連携・地域支援課につきましては、産業連携・地域振興課ということで、国立大学法人の出資の件も扱いながら、しっかりと地域振興等を図ってまいりたいということで、課名を変えさせていただいております。
研究振興局におきましては、基礎・基盤研究課ということで、量子技術ですか、そういった点につきまして、新たに所管する課を設けさせていただいたほか、大学研究基盤整備課ということで、大学の研究政策、大学ファンドというものをこちらの方で重点的に見ていく課も創設させていただいたところでございます。
また、学術研究助成課につきまして、学術研究推進課ということで、科研費については、引き続き見させていただくと同時に、JSPS本体についても併せて所管させていただくということで、課の編成替えをさせていただきました。研究開発局におきましては、それぞれの課名等は変わっておりませんけれども、横串機能を持つような企画官を設けまして、しっかりとそれぞれの課が、縦割りではなくて、連携しながら課題に応じて対応していくという組織をつくっていきたいということでの編成、改組をさせていただいたところでございます。以上でございます。ありがとうございます。

【濵口会長】 ありがとうございました。次に、高等教育局関係について、柿澤企画官から説明をお願いします。

【柿澤企画官】 高等教育局の柿澤でございます。時間の都合もございますので、ごく簡潔に概要を資料の3-1-2に基づいて御説明いたします。
資料の3-1-2でございます。1ページ目と2ページ目が全体像でございまして、3ページ目以降が各事業の概要になりますので、各事業の概要につきましては、適宜3ページ目以降で御参考にしていただければと思います。
まず1つ目でございますが、国立大学改革の推進等ということで、1兆1,217億円を計上しているところでございます。こちら、運営費交付金が1兆1,167億円に加えまして、国立大学の経営改革構想を支援するための補助金としての50億円の要求という形でございます。
次に、私立大学等の改革の推進でございます。こちら、4,388億円というところでございますが、私立大学等経常費補助、こちらが3,015億円で、40億円増の要求。また、私立学校施設・設備の整備の推進ということで、こちらが321億円、222億円の増額要求というところが主な内訳でございます。
次に、3点目といたしまして、高等専門学校の高度化・国際化でございます。アントレプレナー教育の充実など、実践的・創造的な人材育成機関としての高専の機能の高度化・国際化を推進するとともに、施設・設備、設備整備のところでも、高度設備の共同利用拠点の整備ですとか、あるいは老朽設備の更新等について要求をしているところでございます。
次に、Society5.0の実現、ポストコロナ禍期における高度専門人材の育成等の推進ということで、1つ目は地域活性化人材育成事業でございます。こちら、今し方、氷見谷総括官の方からも地域の中核となる大学の振興というところでもございましたが、産学官、さらには金融機関も含めた地域連携プラットフォームを形成して、データサイエンス、起業家教育、地域課題に立脚した社会実装教育プログラム等を通じて、地域産業の高度化、地域発イノベーション、産学共同研究の発展を担う高度人材を育成する取組を支援するものでございます。
次に、数理・データサイエンス・AI教育の推進でございます。数理・データサイエンス・AI教育につきましては、政府のAI戦略等においても育成目標が掲げられておりますけれども、数理・データサイエンス・AI分野のマイナー・ダブル学位プログラム等の大学院教育のモデルの構築、リテラシー・応用・基礎レベルのモデルカリキュラムを踏まえた大学等での基盤的教育の全国展開、また、トップ人材層育成に向けた取組の推進をしてまいります。
次に、スマートDXを活用した高度専門人材育成事業ということで、75億円、こちらも新規事業となっております。特にスマート化が進む工業、農業、医療などの産業分野においては、先進技術を活用した設備、DX実習設備の導入と実習カリキュラムの高度化というものが課題となっておりまして、最新のDX教育設備を活用した新たな教育手法の開発、実験・実習の高度化を進め、大学等における専門人材の育成を図る事業でございます。
次に、ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業、こちらも16億円の新規事業でございます。コロナ禍で特に地域で必要とされる総合診療や救急医療、感染症対策等につきまして、遠隔システムを用いた医療、地域医療機関での実践等を通じて履修できるプログラムの開発を通じて、ポストコロナ時代に必要とされる医療人材を養成するものでございます。
3-1-2の2ページ目を御覧いただければと思います。2ページ目、こちら、高専における高度専門人材の育成というところで、サイバーセキュリティー等の社会的要請が高い分野の人材に加えまして、イノベーションの創出、社会課題を解決できる人材育成の取組を推進するものでございます。
1つ飛ばしまして、大学教育のグローバル展開力の強化というところでございます。こちら、スーパーグローバル大学創成支援事業、こちらが事業選定、37大学ございますけれども、徹底した大学改革、国際化を断行する取組、また、我が国の高等教育の国際通用性、ひいては国際競争力強化の実現を図るために環境基盤を整備する事業でございます。
また、大学の世界展開力強化事業というものも併せて取り組んでいくということで、国際教育連携やネットワーク形成の取組を支援してまいります。
次に、大学等の留学生交流の充実、こちらが341億円ということで、日本人学生等が海外留学を継続できるよう必要な支援、また、「留学生30万人計画」の検証結果を踏まえ、学生等の派遣・受入れの両面で質の高い国際流動性の確保に取り組むこととしております。
最後に大きな項目といたしまして、誰もが学ぶことができる機会の保障ということで、高等教育の就学支援の確実な実施でございます。こちら、事項要求となっておりますけれども、高等教育の就学支援、授業料等減免、給付型奨学金の確実な実施、無利子奨学金の貸与基準を満たす希望者全員に対する貸与の確実な実施及び修士課程学生に対する業績優秀者返還免除制度の充実に向けた取組等を推進することとしております。
資料3ページ目以降に各事業の概要がございますので、こちらも御参考にしていただければと思います。以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。最後に文教施設企画・防災部関係について、齋藤計画課長から説明をお願いします。

【齋藤計画課長】 齋藤でございます。国立大学等の施設整備に関する概算要求について説明いたします。資料は3-1-3、通し番号で120ページでございます。国立大学等の施設は、日本の次世代を担う人材育成の場であり、かつ、地方創生やイノベーション創出の重要な基盤です。国立大学の施設整備については、本年度から第5次国立大学法人等施設整備5か年計画に基づき、整備を進めていきたいと考えております。
この方向性として、資料の中段の右側ですけれども、キャンパス全体を社会の多様なステークホルダーによる共創活動が展開される「イノベーション・コモンズ」としていくための施設整備を目指しております。
そのため、令和4年度の概算要求に当たっては、右肩の上ですが、996億円、そのほかに国土強靱化関係予算を事項要求しております。
内容につきましては、資料の左側ですが、3点ございまして、安全・安心な教育研究環境の整備、機能強化等への対応、最後にカーボンニュートラルに向けた取組を推進してまいります。
具体的には、概要の箱の中の2点目ですけれども、大学等の教育研究施設や国立高等専門学校の校舎・学生寮などを戦略的リノベーションによる老朽改善を行い、機能強化とともに、長寿命化・脱炭素化を図るために必要な経費を要求しております。
今後とも国立大学の安全・安心、機能強化などを支える施設整備費補助金の確保に向けて取り組んでまいります。
説明については以上です。

【濵口会長】 ありがとうございました。それでは、次に、我が国の研究力強化に向けたエビデンス把握について、塩田研究開発戦略課長から説明をお願いします。

【塩田研究開発戦略課長】 御説明させていただきます。昨今、我が国の研究力の低下が指摘されていることを踏まえまして、NISTEP、CRDSにも御協力いただき、関連するエビデンスを集めました。御説明後、研究力強化に向けて御議論いただけますと幸いです。
次のページをお願いいたします。まず、最新の指標のポイントです。おおむね昨年と同様ですけれども、Top10論文数が10位に落ちました。イノベーションに関する指標もございますけど、本日は論文指標に着目して御説明させていただきます。
次お願いいたします。3つの論文指標の世界ランクですが、いずれも2000年代半ばから低下してございます。特に論文の質に関連すると言われる引用度Top10%論文とTop1%論文が低下しております。このことから本日は、2000年代半ばからの推移に着目して御説明したいと思います。
次お願いいたします。国別の論文数の推移ですけれども、2005年以降、我が国の論文数は、他国が増加する中、減少傾向でありまして、2005年と比較すると3%の減という形になります。
次お願いいたします。人口当たりの論文数で見ると世界で32位という形でございます。
次お願いいたします。引用度につきまして、全論文に占めるTop10論文数の割合をQ値と呼びますけれども、我が国のQ値は他の主要国に比べて低く、特に国内機関の研究者のみで書く国内論文のQ値が02、04年の6.1%から4.5%に低下しており、中韓と比べても低いという状況でございます。
次お願いいたします。Top10%論文の数、我が国が低下する中、インド、韓国、イランなどは大きく増加している状況でございます。
次お願いいたします。こうした論文指標のみならず、研究者等へのアンケート調査におきましても、我が国の基礎研究について成果が出ているかとの問いへの回答は年々数値が悪化している状況でございます。
次お願いいたします。分野別の状況です。論文数シェアの10年前との比較ですが、我が国は他国よりも減少幅が大きく、特に材料科学、物理学、工学、化学が減少し、臨床医学が踏みとどまっているといった状況でございます。
次お願いいたします。Top10%論文数のシェアでございます。こちらも日本の減少幅は大きく、特に材料科学、化学、物理学、基礎生命科学が減少し、こちらも臨床医学が踏みとどまっているといった状況でございます。
次お願いいたします。論文シェアランキングの10年前との比較です。中国以外は、米、英、独、おおむね順位を少しずつ落としているといった状況です。
次お願いいたします。次が韓国と日本の比較でございますけれども、韓国は物理学以外の全ての分野で順位を上げておりますが、日本は、物理学、臨床医学は、大幅な変化ではありませんけれども、それ以外の分野は大きく低下しているといった状況でございます。
次お願いいたします。こうした論文数の変化をもたらした要因についてのNISTEPの分析です。90年代に論文数が伸びた要因として、博士課程在籍者数や教員数増が挙げられており、2000年代に減少した要因は、研究時間割合の低下と教員数の伸び悩み、2010年代の減少要因といたしましては、博士課程在籍者数と原材料費が、挙げられてございます。博士課程在籍者も研究者の一部と捉えれば、研究者数と研究時間割合、こういったことが論文数に影響したということがうかがえます。
次お願いいたします。部門ごとの論文生産です。左の図ですけれども、2000年と2018年を比較すると、オレンジの公的機関は13%増、大学部門は、第1グループ、ここでいう第1グループは下にございますように論文シェアトップ4大学ですけれども、こちらは4%減、第2グループが6%増、一方、第4グループ、こちらは論文シェアが少ない私学中心のグループになりますけれども、こちらは10%増という形です。右側が10%論文数の方ですけれども、こちらはいずれの部門でも減少しているといった状況になってございます。
次お願いいたします。部門別のQ値です。第1グループが最も高く、公的機関部門が上昇傾向でございます。
次お願いいたします。大学の論文数についての日英独比較です。上がドイツとの比較ですけれども、日本の上位大学はドイツの上位大学よりも論文数が多い一方で、上位に続く層はドイツの方が多くなっています。
下は英国との比較ですけれども、上位は同程度ですが、上位に続く層は英国の方が多くなっております。
次お願いいたします。右の図でございますけれども、縦軸がQ値ですけど、英国、ドイツ、日本の3層にきれいに並んでおります。横軸が論文数で、右側に位置するほど論文数が多い大学ですけれども、我が国は右側の大学もQ値がそれほど高くないといった状況でございます。
次お願いいたします。次に、研究費関連です。政府と民間を合わせた研究費総額の対GDP比、我が国は高いです。ただ、我が国の研究費の7割以上が企業からでございます。企業の論文生産は6%ですので、留意が必要です。
次お願いいたします。大学部門の研究費は、左の図ですけれども、2000年との比較で0.9という形になります。なお、ここでの研究開発費は、国際比較のために、研究専従換算を考慮して補正した値になります。
次お願いいたします。公的機関の研究費も2000年と比較して減少している状況です。
次お願いいたします。これは部門ごとの基礎研究の割合です。大学はほぼ一定ですけれども、公的機関は97年頃から上昇していることがうかがえます。
次お願いいたします。大学部門の研究者1人当たりの研究費の比較でございます。ドイツ、韓国、フランスよりは少ないですが、中国、英国よりは高くなってございます。
次は、これが、2000年を100としたときの研究開発費、研究者数との比較です。各国が数値を大幅に伸ばしている中、日本は微増又は減少という形になってございます。
次お願いいたします。これが専従換算した研究者数ですが、多くの国が伸ばしている中で日本は横ばいといった状況でございます。
次お願いいたします。これは運営費交付金と競争的資金の推移です。平成16年と比べて運営費交付金が約1,600億円減少、科研費を含む競争的資金が750億円増加しているというものでございます。
次お願いいたします。それで国立大学の経常収入の内訳が、運営費交付金の割合が減って、競争的資金などの割合が増えるという形になります。
次お願いいたします。科研費の採択率は、2020年には27.4%になりましたというものでございます。
次お願いいたします。次からは若手研究者について見ていきたいと思います。これはノーベル賞ですけれども、おおむね30代後半の研究成果がノーベル賞受賞につながっていることが分かります。
次お願いいたします。これは若手研究者はほかの年代と比較すると論文当たりの被引用度が高いという、これはe-CSTIを使った分析でございます。
次お願いいたします。さらに次お願いいたします。これが大学教員の年齢構成ですが、40歳未満の割合が大きく減って60歳以上が増えているといった状況でございます。
次お願いいたします。博士課程入学者数も減少傾向だということでございます。
次お願いいたします。人口100万人当たりの博士号取得者は日本は低いといった状況が続いてございます。
次お願いいたします。修士課程からの進学者数、進学率はともに減少傾向でございます。
次お願いいたします。次に、大学の研究者の研究時間割合を見てみたいと思います。平成14年度から開始した調査では、研究時間割合がどんどん減少し、一方で教育活動や社会サービス活動が増加してございます。
次お願いいたします。これは分野別に見たものでございます。平成20年調査、2番目の調査ですけれども、これは全分野で減少してございますけれども、それ以降の調査では保健以外の分野では大きな変化はない。一方で、保健は、診療活動が大幅に増加して、研究が減っているといった状況でございます。
次お願いいたします。これが年間の総職務時間でございますが、平成14年時に比べて最新の調査だと1割弱減っております。うち、研究活動は3割5分減っている計算になります。保健分野を除きますと、研究時間は2割強減っているという形になります。
次お願いいたします。これは世代別に見たものです。若い世代の研究時間割合は中堅やシニアに比べて多くなってございます。ただ、職務時間や割合が減少している結果として、若手研究者の研究時間は14年と比較いたしまして3分の2に減少しているといった状況でございます。
次お願いいたします。大学の種類別で見ると、一番上の枠ですけど、国立、公立、私立の順で研究時間の割合が多くなっています。
一番下ですけれども、グループごとに見ると、論文シェアが高いグループほど研究時間の割合が高くなっているという状況です。
次お願いいたします。これは研究パフォーマンスを高める上での制約についてのアンケート結果ですが、研究時間への指摘が一番多かったというものでございます。
次お願いいたします。研究時間、具体的に何かというと、教育負担が重いということと大学運営業務ということが指摘されてございます。
また、研究資金については、基盤的経費の不足というのが一番多く指摘されてございます。
次お願いいたします。研究人材につきましては、博士課程学生が不足、ポスドクが不足という御指摘、研究環境については、研究補助者、技能者が不足していると、こういった御指摘が多かったということでございます。
次は、国際関係を見ていきたいと思います。次お願いいたします。我が国の国際共著率は、10年前は25%でしたけども、今35%まで伸びてきてございます。一方、英、独、仏は6割以上、米国も4割以上といった状況です。
次お願いいたします。日本を含めまして、どの主要国も国内論文に比べて国際共著論文の方がQ値は高いということでございます。日本は国内論文のQ値はかなり低いのですけれども、国際共著論文のQ値は他国ほどそれほど劣っていないという状況になってございます。
次お願いいたします。アメリカとの国際共著相手国を見たものです。10年前と比較して、アメリカから見た日本の位置づけは低下していると。一方で、中国、韓国、そういった国は存在感を高めていることがうかがえます。
次お願いいたします。これは研究者の海外派遣の状況です。30日以内の短期派遣は増えているのですけれども、中長期派遣は2000年頃をピークに減少しているという状況でございます。
次お願いいたします。更に次お願いいたします。アメリカで博士号を取得する者の数です。中国、インド、韓国、イランと、こういった国が多く博士号をアメリカで取っていると。日本は129名で、更に年々減少しているといった状況です。
次お願いいたします。さらに次お願いいたします。これが科学技術政策の俯瞰図です。本日は時間の関係上御説明いたしませんけれども、こういったこれまでの政策も考慮する必要があると考えてございます。
次お願いいたします。最後、まとめでございます。本日の資料からは研究力の低下がうかがえます。2000年と比較して大学・公的研究機関の研究開発費が伸びていない。基盤的経費が減少して、専従換算の研究者数が横ばいになっている。さらには若手研究者割合が減少している。海外派遣が停滞していると。こういった状況がうかがえます。
引き続き、本日御議論いただきましたことも踏まえまして、調査分析を進めたいと考えてございます。説明は以上でございます。

【濵口会長】 残り10分ほどの時間しかございませんが、御意見いただければと思います。いかがでしょうか。手短に御意見いただければと思います。
なかなか科学技術、厳しい状態です。越智委員、お願いします。

【越智委員】 広島大学の越智です。NISTEPの調査は本当にいつも参考にさせていただいておりますが、すばらしい内容だと思います。上位大学の論文数は、ドイツとかイギリスに比べてほとんど同じ、それより勝る。中位以降の方がずっと下がってくる。ドイツは比較的リニアに下がってくるのにというところあるのですけど、ちょっと調べてみたところ、運営費交付金と割と相関しているということが分かりましたので、一概にそれで中位とか下位の大学が少ないというようなことは言えないのではないかと思います。
それともう1点に関しては、科研費の採択率が30%ぐらいあるということで、科研費の申請、応募のための申請の書類を書いたり評価をしたりするのにかける時間というのは極めて大きいものがあると私は思います。
従いまして、ある程度論文を書いている人には8割、9割出して、その中で自由に研究をやってもらうような仕組みで考えていった方がいいのではないかと思っております。
ほかにも何件かあるのですけれども、特に私自身が思うのは、医師の裁量時間ですね。あれが規制をされてくると、これは研究に使える時間が全くなくなると思いますので、ここの部分は政府とやはり十分話合いをしていただかないと、地方に出ていく医師の数も減る、そして研究の時間も減るというような今後二重苦になる、と思います。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。同感の御意見いろいろ多いです。回答はまとめていただくことにして、お時間が限られていますので、春日委員、お願いします。

【春日委員】 ありがとうございます。職務時間等については、年代を区切った調査をされて、その結果をお示しいただきましたが、制約として考えられること、これについても年代ごとに調査をされているのでしたら、その点についてもお伺いしたいと思います。
それから、研究人材、研究時間、環境、資金でお聞きいただいていますけれども、給与についてもお聞きになっているとか国際比較をされているかについてもお伺いしたいと思います。
大変ショッキングな結果でした。ありがとうございます。

【濵口会長】 いい質問ですね。栗原委員、お願いします。

【栗原委員】 ありがとうございます。今の分析をお聞きしていて、現在もそうですが、むしろ今後がますます悲観的になるような結果だったので、大変ショッキングでした。これを解決するためには、大学の中だけで解決できないのではないかと思いますので、ほかの機関なり、産業界なり、あるいは国際的に協力していく、協調していくことも考えなければならないと思います。
もう1つ、その前の議論で世界に伍する大学の改革等々もありましたけれども、こういった改革が、今分析いただいた問題の解決にどう効果を発揮していくのか。改革や改善をばらばらに考えていくのではなく、もう少しまとまった視点で考えていかれると良いのではないかと思います。

【濵口会長】 それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 高橋でございます。いろんな国際比較のデータを頂いたのですけれども、その中で特に重点的に取り組んでいくものとそうではないものというのはきちんと認識を合わせるべきかなと思っておりまして、先ほど大学ファンドのお話でもありましたけれど、世界と伍する研究大学を目指すということなのですけれども、世界と伍することが最終目的ではないと思うんですよね。もちろん目指すことによって結果的に達成できることはあると思うのですけれども、それによって、世界と伍することによって何を目指すか。それによっては、独自のやり方で世界を突き抜ける場合もあると思うので、この指標は世界と肩を並べるべき、この指標は別に並べる必要はないときちんと冷静に認識していく必要があるかなと思いました。以上です。

【濵口会長】 ありがとうございます。それでは、勝委員、お願いします。

【勝委員】 御説明ありがとうございました。簡単に2点だけ。1点目は、この分析、非常に精巧なもので、非常に参考になりました。特に134ページの部分で、論文数の変化の実証分析があるのですけれども、やはりここで見ると、教員の数、それから博士課程の学生の数というのが非常に大きく影響しているということが分かるので、これ、先ほどの3%の事業費の増大という話がありましたけれども、任期なし教員の採用増も是非考えて欲しいと思います。もちろん競争的資金というのは重要ですけれども、それで任期つきの教員を増やすというのではなくて、やはり腰を据えて研究ができるような、そういうポジションを是非増やすような政策対応をしていただきたいと思ったのが1点。
それからもう1点、共著の論文、これ日本はそれほど比率としては低くはないなというのが分かったのですけれども、特にヨーロッパの場合、フランスとかドイツとか非常に共著率高いですけれども、これやはり研究費が、EUの研究費が非常に莫大であるということも考えますと、国際共同研究費を増やすことも重要ですし、どの辺に共著率の目標値を置くかというところについては、そうした状況も勘案していただければと思いました。以上でございます。

【濵口会長】 一通り御意見いただいたところで、残り3分で、答えられるところをまず答えていただいて、それからデータの必要なところが幾つかございますので、次回までの宿題ということで、塩田さん、お願いします。

【塩田研究開発戦略課長】 いろいろな御指摘どうもありがとうございます。独英との比較で、日本は運営費交付金と相関しているという御指摘をいただきましたので、さらにこの辺の構造について分析を進めたいと思います。
パフォーマンスを進める上での制約で、年代別に把握できているかということですけども、分析可能ですので、今日はお示しできておりませんけれども、分析を進めていきたいと思います。
給与比較については、私ども、今のところ手元には持ってございません。
世界と伍する大学との連携というのは、御指摘どおりだと思いますので、省内でしっかりと連携を取ってやっていきたいと思います。
競争的資金で任期つきを増やすのではなく、安定したポストを増やすことが必要というのは、核心を突いた御指摘だと思っております。
あとは、ヨーロッパ、EUの研究費、こういったことも、ヨーロッパの研究資金の構造についてはまた調べていきたいと思います。
すいません、雑ぱくですが、以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。植木さん、1分で付け加えること。

【植木大学研究基盤整備課長】 すぐ終わります。世界と伍する研究大学の最終目的、これ、伍することが最終目的ではないという御指摘についてですが、CSTIの中間取りまとめの中でも、最終的な目標は人類経済社会への貢献という言葉で整理をされておりますので、そのことも視野に入れながら議論を進めていく必要があろうかと考えております。
以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。本当にいろいろ御意見いただきました。今日、やはり2時間では足りなかったですね。ちょっと水入り勝負ということで、次回に幾つか先送りしたいと思いますが、本日は取りあえずこれで終了させていただきたいと思います。
閉会に当たりまして、高橋はるみ文部科学大臣政務官から御挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【高橋大臣政務官】 濵口会長、ありがとうございます。私、文科大臣政務官にこのたび就任をいたしました高橋はるみと申します。よろしくお願いをいたします。
第66回科学技術・学術審議会総会の閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。本来であれば、委員の先生方の御議論、参加をさせていただければと思っておりましたが、用務が重なりまして、閉会の御挨拶だけ申し上げること、お許しをいただければと思います。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本総会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございました。
科学技術・学術審議会は、各界のトップランナーの方々にお集まりを頂きまして、文部科学省が施策の方向性を決めていく上で大変重要な役割を果たしていただいていると伺っているところであります。
特に、今日は、科学技術・イノベーションの源泉となる大学などの研究力強化を図るための調査検討を行う新たな委員会の設置について、御審議、そして御決定を頂いたほか、我が国の研究力の強化に向け、エビデンス把握の現状を紹介させていただき、精力的に意見交換を行っていただいたと、最後の方は、今、私も参加させていただきましたが、聞いているところであります。
第6期科学技術・イノベーション基本計画において世界最高水準の研究力を取り戻すことが目標の1つに掲げられていることからも、文部科学省といたしましては、我が国の研究力に関する現状を把握し、その強化のための対策を立てていくことは大変重要と認識するものであります。
今後とも、科学技術・学術の推進に向けて、御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げて、閉会の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

【濵口会長】 ありがとうございました。それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。本日の議事録については、後日、事務局よりメールで送信、送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。
御確認いただいたものを文部科学省ホームページに掲載いたしますので、御承知おきくださいますようお願いいたします。
連絡は以上でございます。

【濵口会長】 ありがとうございます。今日御紹介させていただいたように、日本の科学技術、待ったなしの状態でございます。皆様の御支援、御協力を切にお願いして、本日の科学技術・学術審議会、66回、終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。

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