科学技術・学術審議会(第64回)議事録

1.日時

令和2年10月14日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 次期科学技術・イノベーション基本計画について
  2. 最近の科学技術・学術の動向について
  3. 各分科会等の報告について
  4. その他

4.出席者

委員

濵口会長、青木委員、小縣委員、甲斐委員、梶原委員、春日委員、勝委員、岸本委員、栗原和枝委員、栗原美津枝委員、小池委員、小長谷委員、鈴木委員、須藤委員、角南委員、辻委員、中田委員、西尾委員、橋本委員、長谷山委員、平田委員、福井委員、藤井委員、宮浦委員、観山委員

文部科学省

高橋文部科学副大臣、三谷文部科学大臣政務官、藤原文部科学事務次官、松尾文部科学審議官、板倉科学技術・学術政策局長、菱山科学技術・学術政策研究所長、行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、梶原大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、塩崎大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、長野大臣官房審議官(研究開発局担当)、合田科学技術・学術総括官、金光文教施設企画・防災部計画課長、淵上高等教育企画課長、塩田企画評価課長、坂口振興企画課長、ほか関係官

5.議事録

【大土井室長】  それでは、時刻になりましたので、本日の科学技術・学術審議会の総会を開始前に事務局からお知らせいたします。本日でございますが、事前に五神先生、白石先生、白波瀬先生と十倉先生は御欠席との連絡を伺っておりますが、ほかの先生方は御出席ということで、会議は成立してございます。
 また本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Webexによるウェブ会議での開催にございます。表示される御氏名について、表示されているかどうか、いま一度確認を頂きますようよろしくお願いいたします。
 また、ウェブ会議システムに傍聴者の方も参加しておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、濵口会長、よろしくお願いいたします。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会の第64回を開催いたします。御多忙中、御出席いただきました委員の皆様方、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
 本日は、高橋ひなこ副大臣と、三谷英弘政務官に御出席を頂いております。
 それでは、まず、高橋副大臣から御挨拶を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋副大臣】  皆さん、おはようございます。文部科学副大臣の高橋ひなこです。第64回科学技術・学術審議会の総会開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 科学技術・学術は、新たな知を創出し、持続的なイノベーションの源泉になるものです。研究開発や産学連携を通じ、我が国の国際競争力の向上を図ることは喫緊の課題であると考えています。
 また、現在政府が全力を挙げて推進しているデジタル社会の構築には、先端科学技術の研究開発とその実装が必要不可欠です。文部科学省では、大臣を本部長とする文部科学省デジタル化推進本部を立ち上げ、私を主査とする科学技術ワーキンググループを設置しました。速やかに国民の皆様に先端科学技術の恩恵を感じていただくよう、検討を加速しております。
 このように、現代社会では、科学技術と社会の距離をますます近づけていかなければなりません。本日の審議会は、およそ1年半にわたり、分科会等で様々な政策課題について御議論いただいた委員の皆様に、改めて御参集いただき、これまでの御議論で感じた点、今後の議論に生かすべき点など、日本の科学技術・学術の振興に向けて御助言を頂戴したいということで、開催をいたしました。
 是非とも、忌たんのない御意見・御提言を賜りますよう、心からお願いを申し上げ、開会の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、三谷政務官より御挨拶を賜ります。よろしくお願いいたします。

【三谷政務官】  よろしくお願いいたします。文部科学大臣政務官の三谷英弘でございます。先ほど、高橋副大臣がおっしゃったことに尽きているわけでございますけれども、私からも第64回科学技術・学術審議会の総会の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 我が国が将来にわたって成長と発展を遂げていくためには、科学技術・学術の振興を一層図る必要があります。そのためには、研究者が従来の習慣や常識に捉われない柔軟な思想と斬新な発想をもって研究に取り組み、そこで生み出された成果を応用・発展させていく必要があり、その重要事項を議論する本審議会の役割は大変大きなものと認識しております。
 本日の審議会におきましても、是非とも忌たんのない御意見・御提言を賜りますようお願い申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入る前に、事務局から説明をお願いいたします。

【大土井室長】  事務局でございます。まず、事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 まず、文部科学審議官の松尾泰樹でございます。
 次に、サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の行松泰弘でございます。
 続きまして、科学技術・学術政策局長の板倉康洋でございます。

【板倉科学技術・学術政策局長】  板倉でございます。よろしくお願いします。

【大土井室長】  続きまして、研究振興局長の杉野剛でございます。
 続きまして、科学技術・学術政策研究所長の菱山豊でございます。
 続きまして、科学技術・学術政策局担当審議官の梶原将でございます。
 続きまして、研究振興局及び高等教育政策連携担当審議官の塩崎正晴でございます。
 続きまして、研究開発局担当審議官の長野裕子でございます。
 続きまして、後ほど出席いたしますけれども、科学技術・学術総括官の合田哲雄が、後ほど御説明差し上げます。よろしくお願いします。
 続きまして、研究振興局振興企画課長の坂口昭一郎でございます。
 そして、事務局でございますが、科学技術・学術政策局企画評価課長の塩田剛志でございます。
 そして、最後、私、今回事務局をしております大土井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上が、事務局の異動の御紹介でございます。
 次に、御報告事項が1件ございます。お手元、資料の参考資料1-1を御覧いただければと思います。今、事務局で画面共有させていただきますけれども、参考資料1-1の科学技術・学術審議会運営規則におきまして修正を行いましたので、それの御紹介でございます。第9条におきまして、ウェブでの会議出席を出席者とみなせるようなお諮りをし、それをお認めいただいたというものの規則の改正を行ってございます。
 次に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、事前にお伝えしておりますとおり、委員の先生方に幾つかお願いがございます。まず、御発言の際でございますが、右側に参加者というのが出てくると思うのですけれども、そちらの手のマークの挙手ボタンを押して、意見の表明を意思表示していたければと思います。また、御発言後は、再度挙手ボタンを押していただきまして、挙手を取り消していただきますようよろしくお願いいたします。
 また、御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただきますようよろしくお願いいたします。
  なお、オンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようよろしくお願いいたします。
 最後でございますが、御発言の際におきましては、資料を参照する際、資料番号、ページ番号、あるいはページの箇所などを分かりやすくお示しいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上、事務局からお願いと御連絡でございます。以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 議題1の次期科学技術・イノベーション基本計画についてお諮りします。
 事務局から、まず説明をお願いします。

【塩田企画評価課長】  それでは、資料1-1-1を御覧ください。来年4月からの次期基本計画に向けまして、総合政策特別委員会にて濵口会長の御指導の下で委員名簿記載の先生方に計10回にわたりまして活発に御議論いただきまして、報告書をまとめておりますので、御説明いたします。
 2ページを御覧ください。現状認識といたしまして、デジタル革命によりモノからコトへの移行、知識集約型社会への転換が加速しておりまして、競争力の源泉が知の創出や情報・データの獲得に変化しております。また、諸外国の状況を見ても、科学技術・イノベーション政策、STI政策が従来の範囲を超えて、国家の総合戦略、中核に変化しているということでございます。
 このような認識の下で、第5期計画で掲げましたSociety 5.0の実現のためには、大学や国立研究開発法人の基礎研究力に支えられた知が循環し、それに対して活発な投資が行われ、イノベーションが創出されるという、大学・国立研究開発法人を中核とした知識集約型の価値創造システムの構築が必要です。このシステム構築によりまして、左下ですけれども、少子高齢化やSDGsといった社会課題の解決、また、右ですが、人間主体のインクルーシブ社会の実現を図るというのが、本報告書のコンセプトでございます。
 次の下ですけれども、来年度からの5年間に当たる次期科学技術基本計画期間というのは、本格的な少子高齢化を迎える我が国が知識集約型社会への転換を主導していくための、言わば決断・実行の分水嶺でございまして、科学技術・イノベーションへの集中投資とシステム改革が求められます。取りまとめ時期の関係で、コロナについての詳細な記載はございませんが、感染症などの世界課題への対応や、デジタル化の加速のためにも、官民を挙げた集中投資と、あらゆる資源の総動員が必要でございます。
 次のページに、このコンセプトを実現するための基本的方向性と、具体的施策をまとめてございます。第2章は、基礎研究・学術研究の強化でございます。点線の枠内ですけれども、博士後期課程学生への経済的支援、若手研究者支援、新興・融合分野促進、また、自然科学と人文社会科学の融合などについて提言しております。
 第3章では、大学・国立研究開発法人がシステムの中核となるべく、役割の拡張を提言しております。点線の枠内ですけれども、大学・国立研究開発法人の知的生産活動への企業による価値づけ、大学・国立研究開発法人と連携したカーブアウトベンチャー、また、経営資源を戦略的に活用するための規制緩和等について提言しております。
 第4章では、イノベーションの担い手の育成、第5章では、デジタル改革に対応した研究システムのデジタル転換、情報基盤の充実、スマートラボ等を提言しております。
 次のページ、第6章では、科学技術と社会の在り方、科学技術と社会が調和し、信頼を得られる関係性の構築、また、第7章では、政策イノベーションといたしまして、自前主義からの脱却、外部との協働、また、エビデンスに基づく政策立案などを提言してございます。
 第8章では、我が国の強みや特色を踏まえ、重要な研究開発領域を定め、戦略的に推進していくことの必要性を指摘しております。例えば、丸2におきましては、課題先進国である我が国において、文理融合の総合的知見の活用によるソリューションモデルの開発とグローバル展開を提言しているところです。
 以上が報告書の概要でございますが、これまで、この内閣府の調査会等で説明するなど、内閣府における次期計画の検討に活用していただいているところです。
 続けて、内閣府における次期計画の検討状況を簡単に御説明いたします。資料1-2-1を御覧ください。 
 内閣府における次期計画の検討状況でございます。現行の第5期におきましては、Society 5.0が提言されておりますが、次の計画では、Society 5.0の実現に向けた検討というコンセプトで進められてございます。
 次のページでございますが、基本計画専門調査会から、8月の末に検討の方向性(案)が公表されまして、年度内の閣議決定に向けて、現在は個別の論点についての議論が行われております。本日は、8月に公表された検討の方向性(案)の内容について御説明したいと思います。
 次のページをお願いいたします。基本的考え方といたしまして、幸福の最大化と安全・安心の確保、Society 5.0の具体像の共有と実装化、こういった基本的な考え方の下で、現状認識といたしましては、例えば真ん中の枠でございますけれども、デジタル化についてのスピード感の欠如、研究力の低下、コロナ禍を受けた国民の期待の高まり、こういったことに言及するとともに、隣の枠ですけれども、基本法改正を踏まえた人文社会科学と自然科学を融合した総合知の重視について言及してございます。
 次期計画の方向性といたしましては、その下ですけれども、丸1から丸5までの方向性が提示されておりますけれども、このうち特に丸1のSociety 5.0の具体化につきましては、右側でJapan Modelとしておりますけれども、総合政策特別委員会でも取り上げました知識集約型社会、この概念を用いまして、Society 5.0を定義してございます。総合政策特別委員会で強調いたしましたSDGs、デジタル化に加えまして、日本の価値観、こういったことを盛り込んでおられます。次期基本計画の方向性として掲げられた5つの方向性としては、ほかに、丸2では社会実装、丸3では感染症・災害、安全保障を念頭に置いたSTI政策、丸4では研究力の強化と官民の研究開発投資、丸5では人材育成と国際化が挙げられてございます。
 また、Society 5.0の実現に向けた政策として、下の方ですが、1、イノベーション力の強化、2の研究力の強化、3、人材育成・資金の確保、こういった3つに整理してございます。
 科学技術基本法の改正もありまして、次の計画は、初めての科学技術・イノベーション基本計画になることもありまして、1番目にイノベーション力の強化というのが挙げられているということかと思います。イノベーション力の強化につきましては、新たな価値を生み出す社会システム基盤の構築、イノベーション・エコシステムの強化などを取り上げてございます。
 次の、研究力の強化でございますけれども、デジタルトランスフォーメーションですとか、多様で卓越した研究、大学の機能拡張、戦略的な研究開発、こういったことも言及されてございます。
 最後に、人材育成と資金循環でございますけれども、人材育成の関係施策に加えまして、総合政策特別委員会でも強調いたしました官民の研究開発投資による資金循環についても取り上げられているところでございます。
 引き続き、文部科学省としては、総合政策特別委員会で御議論いただいた報告書、また、本日いただきます御意見を踏まえまして、内閣府の基本計画の策定作業に協力していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【濵口会長】  ありがとうございました。
 私も総合政策特別委員会で、この準備のまとめをさせていただくとともに、今、内閣府の専門調査会において御議論させていただいておりますが、総合政策特別委員会でまとめられたこのインクルーシブ社会であるとか、持続的発展というのは、内閣府の現在の案にも生かされていると思います。さらに、今、SBIRの改革等、具体的に進む中で、イノベーション、アントレプレナーの育成というのが進みつつあると思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、ただいまの説明について、御意見・御質問がありますでしょうか。御意見ありましたら挙手のボタンを押していただいて御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 

【濵口会長】  では、春日先生、お願いいたします。

【春日委員】  春日文子です。

【濵口会長】  よろしくお願いします。

【春日委員】  大変すばらしい在り方をまとめていただきまして、総合政策特別委員会の先生方、皆様に、事務局も含めて御礼を申し上げます。
 これを拝見しまして、人類の生存のための課題に真正面から向き合う、これは感染症も、地球環境問題、気候変動問題も含めて、その強い姿勢が打ち出されていることと、人間の幸福をやはり非常に大切に扱っていただいているということ、人文社会科学の総合地位、そして国際化、人材育成にまで幅広く目を向けていただいていることに、大変感銘を受けております。
 次の課題としましては、これを、文部科学省の施策として、実際に実行に移していただく、そこが大変重要になると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。また、委員としても尽力させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【濵口会長】  どうもありがとうございます。いろいろまだ課題がたくさんございますけれども、今のコロナ禍1つ見ましても、世界全体で言えば3,700万人感染していて、死亡者がもう100万人を超える状態、アメリカ1国で21万人の方が亡くなっております。日本は1,600人。これは、やはり日本の社会システム、それから、いろいろな教育であるとか、国民皆保険、介護システム、こういうものが非常に効果的に働いているだろうと。我々、実は意外と自分たちの価値に気がついていないのではないかなということを、私は最近実感してはいます。
 一方で、大学を知の拠点として、知識集約型の価値創造システムをつくるということ、これはまだ、掛け声をかけたところで、実態をどういうふうに具体化していくかというのが、これから大学の大きな課題になってくると思います。委員の先生方の積極的な御意見を是非賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほか、御発言よろしいでしょうか。
 よろしいでしょうか。

【濵口会長】  はい、どうぞ。勝さん。

【勝委員】  ありがとうございます。
 方向性としては、これは非常によくできているなと思いますし、今、会長が言われたように、ポストコロナという中での在り方ということで、非常によくできていると思います。
 1点だけ少し指摘させていただきたいなと思ったのが、スライド番号の方の26ページなのですが、先ほど来、人文社会との融合というのもありますし、やはり評価方法がかなり重要になってくるのではないかなと。これは、インフラの部分になるとは思うのですけれども。自然科学の方は、ある程度、定量的に出てくるということがあると思うのですけれども、やはり人文社会においての新たな指標をどのようにつくっていくかというのは、学術の評価のみならず、大学の評価とも関わってくることであると思いますので、この辺のディテールというか、この辺についても、次期は何かしら、特に日本の科学においての指標の在り方というところ、今、申し上げたように人文社会科学になると思うのですけれども、この辺、是非考えていただければというふうに思いました。1点だけ、指摘させていただきました。

【濵口会長】  貴重な御指摘を頂きました。まだ、ここのところは、これからやるべき課題を整理したところで、もう少し具体的な盛り込みが必要なフェーズだと思います。政策的には、人文社会に対する研究費の増額とか、その辺のところは今進みつつあって、JSTでも、人文社会だけの課題を解決するものが1つ走っています。
 それから、もう1つは、従来の理系の研究と人文社会的な研究を融合させて、総合的な研究推進を行うという方向性が、かなり進みつつあるように思います。そこを具体化しつつ、人材を育成していく作業が、これからとても大事なフェーズに入っていくのではないかなと思っています。よろしくお願いします。
 ほかの方、よろしいでしょうか。
 御意見ございませんでしょうか。

【岸本委員】  すみません。岸本ですけれども。

【濵口会長】  はい。どうぞ。お願いします。

【岸本委員】  通しページの3ページのところに、取りまとめの図が出ていますが、この図は非常に大切な図で、いろいろなところで使われていくのではないかと思われます。この図の真ん中のところに、知・情報・データ・人、資金の循環ということで、人間が出てくるのがここになっているのですけれども、多少、ここに人が入っているというのは違和感があって、人に関わることについては別出しで外に書いた方がいいのではないかと思います。確かに人が循環するということは大切なのですけれども、知識と情報とデータと人を、何か同列に扱っているような印象があります。このインクルーシブな社会の実現を表す図としては、もうすこし工夫した方がいいかなと思いました。よろしくお願いします。

【濵口会長】  大事なことですので、検討させていただきます。
 これ自体は、3月26日に答申を出したところなので、今後の活用の仕方のところで、この図を少し検討させていただくということでよろしいでしょうか。

【岸本委員】  はい。お願いいたします。ありがとうございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、議題2に移りたいと思います。最近の科学技術・学術の動向についてでございます。まず、事務局から説明をお願いいたします。

【合田科学技術・学術総括官】  科学技術・学術総括官の合田でございます。私の方から3点、御説明させていただきますが、まず、資料2-1を御覧いただければと思います。先の通常国会におきまして、立法府の先生方の御議論を経まして、科学技術基本法等の一部を改正する法律が成立してございますので、その御報告を申し上げたいと思っております。資料2-1でございます。
 110ページでございます。ここにございますように、大きな法改正が3つございました。1つは科学技術基本法の改正でございます。1995年、四半世紀前に議員立法ということで、立法府の御議論の中で成立をいたしました科学技術基本法でございますけれども、今回、これが科学技術・イノベーション基本法ということに改正をされまして、人文科学のみに関わる科学技術というものも、科学技術・イノベーション基本法の中にきちんと位置づけられると同時に、3つ目の丸でございますけれども、これまで科学技術・イノベーション活性化法に定義をされておりましたイノベーションの創出というものについての定義規定を、この科学技術・イノベーション基本法に新設をいたしました。特に、科学技術・イノベーション活性化法におきましては、どちらかというと、新商品開発などの経済的な価値というものを重視していたわけでございますけれども、今回は、科学的な発見や発明、あるいは創造的な活動を通した経済的な価値を含む大きな社会的な価値というものを、しっかりとイノベーションというものに位置づけて、そういう意味におきましては、人文社会科学も、これらの科学的な発明・発見を生かした大きな社会像というものを、国民全体の間で共有していくというような意味というものを、今回、明記をしたところでございます。
 また、科学技術・イノベーション創出の基本方策に、4つ目の丸に書いてございますように、丸1から丸8の事項を追加し、特に、丸8には新たな知見を生かした社会課題への対応ということで、SDGsへの対応ということも法律上明記をしたというところでございます。
 また、その次の丸にありますように、大学におきましては、特に人材育成ということについての大学の役割というものを明記するとともに、先ほど塩田課長からの御説明にもございましたが、科学技術・イノベーション基本計画、これまで1996年の第1期の科学技術基本計画から、現在に至るまで、第5期まで定められておりますけれども、来年度からの第6期に向けて、この科学技術基本計画に人材の確保の要請といったことを明記するという改正が行われたところでございます。
 また、それに伴いまして、2つ目、2ポツでございますが、科学技術・イノベーション活性化法も改正されてございまして、例えば、3つ目の丸でございますけれども、成果を活用できる事業者等に出資できる研究開発法人の追加、あるいは、その下にございますように、出資先事業者において、共同研究等が実施できると、いわゆる研究開発の外部化といったようなことが可能か等を明確にすると同時に、その下に、日本版SBIRとございますけれども、中小企業やベンチャーのイノベーション創出を政府全体として支援をしていくという、これまで中小企業等経営強化法にあった仕組みを、科学技術・イノベーション活性化法に位置づけまして、政府全体で取り組むということを明確にしたところでございます。
 また、内閣府設置法におきましては、科学技術・イノベーション推進事務局というものを法律で明定をすることによりまして、政府全体としての科学技術・イノベーション推進体制の確立を図るということを、今回、法律において明確にしていただいたということでございます。先ほど、塩田課長の方から申し上げました、第6期の科学技術・イノベーション基本計画等を相待ちまして、この法律を基に、科学技術・学術政策の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
 私の方からは以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 この後、副大臣・政務官お二人とも政務がございまして、御退席されるそうでございます。高橋副大臣、三谷政務官、御出席賜りまして誠にありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

【高橋副大臣】  ありがとうございます。よろしくお願いします。

【濵口会長】  それでは、議事を続けさせていただきます。
 続いて、令和3年度概算要求等について説明をお願いします。合田さん、よろしくお願いします。

【合田科学技術・学術総括官】  引き続き、御説明を申し上げたいと思います。ページ数で申しますと、112ページを御覧いただければと思います。
 令和3年度の科学技術関係予算のポイントということでお示しをさせていただいております。御案内のとおり、文部科学省の予算は、全体で大体5.4兆円余りでございますけれども、うち、2兆円強が初等・中等教育、2兆円弱が高等教育の予算でございまして、これに加えて、ほぼ1兆円というものが、いわゆる科振費、科学技術に投じられている予算でございます。この中でも、科学技術予算のポイントと、左側の一番上にございますように、令和3年度の概算要求におきましては、1兆2,427億円という額を要求してございます。昨年に比べて、2,665億円、率にして27%増という、大変思い切った、強気な要求をさせていただいているところでございます。文部科学省全体としては11%増というものでございますので、科学技術にしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
 個別の内容をごくごく簡単にかいつまんで御説明を申し上げますと、左側の、我が国の抜本的な研究力の向上と優秀な人材の育成の1つ目の黒い丸でございますが、科学技術・イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業というのがございます。29億円の新規事業でございますが、これは、総合科学技術・イノベーション会議などからも指摘をされておりますように、この20年間で修士課程から博士課程に進学する生徒さん、いわゆるストレートドクターが1万2,000人から6,000人に半減しているということを踏まえまして、現在、3万人ほどいらっしゃいますこのストレートドクターの学生さん、博士の後期課程の学生さんに対して、少なくともその半分の1万5,000人には、年間180万円ほどの生活費相当分の支援をしっかりしていくという大きな目標を立てているところでございます。その1万5,000人の中で、既にJSPSのDCなどで7,500人は支援されてございますので、残りの7,500人も、今回のこの大学フェローシップ創設事業、新年度は1,000人を支援するということで要求をさせていただいておりますが、最終的には3,000人、これで支援をさせていただきたいと思っております。と同時に、競争的資金の中から、リサーチアシスタントとして支援するといったものも含めまして、この大学フェローシップ創設事業、それから、競争的資金によるリサーチアシスタントとしての経費を支援すること、それから、JSPSの特別研究員事業、DCなどとの組合せで、大学院の博士課程の学生さんがしっかりと研究できる体制をつくってまいりたいと考えております。
 その下は、今申し上げた特別研究員事業ということで、JSPSのDCにつきましても、22億円増ということで、しっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
 その下の科研費、それから、そのさらに下の戦略的創造研究推進事業につきましては、それぞれ40億円増ということで、しっかりと確保させていただきたいと思っております。未来社会創造事業でありますとか、WPI、それから、戦略創造の中の、いわゆるRISTEXなどについてもしっかりと取り組ませていただきたいと考えております。
 また、その下にございますけれども、骨太方針2020で、世界レベルの研究基盤を構築するためのファンドを創設してはどうかという議論がございます。これは、事項要求ということで金額は入ってございませんけれども、現在、内閣府とともに、財務省などとも相談・調整をさせていただいているところでございます。
 その下でございますけれども、イノベーション・エコシステムということで、EDGE-NEXT、STARTといったような事業、それから、共創の場の形成支援ということで、しっかりと産業政策と科学技術・イノベーション政策を、縦割りを打破していきたいと思っております。
 また、その下に、研究基盤の整備と共用とリモート化・スマート化の推進ということで、126億円という額を要求してございます。これは、先の本年度の二次補正におきまして、30億円ほど計上したわけでございますけれども、今回のコロナ禍で研究室がロックアウトしてなかなか研究ができないという状況の中で、遠隔で実験ができる、あるいはバイオリソースなどを自動的にケアするというようなことについての設備を整備するという予算を盛り込んだところ、相当な、大学から御要望を頂いたところでございます。スマートラボということの実現に向けて、今回、126億円の増をしっかりと要求をさせていただきたいと思っております。
 その下にございますように、スーパーコンピュータの富岳、それから、東北大学に設置予定の次世代放射光設備、それから、最先端的大型研究施設などの整備にも引き続き取り組ませていただきたいと思っております。
 右側でございますけれども、AIのAIP、それから量子につきましてはQ-LEAP、それぞれ取り組ませていただきたいと思っておりますし、その下にございますライフサイエンス分野につきましても、メーカーと連携しながらしっかり取り組ませていただきたいと思っております。
 さらに、その下でございますが、ビッグサイエンスにつきましては、特に、宇宙・航空分野につきましては、アルテミス計画に向けた研究開発におきまして、実に1,265億円増の2,809億円を要求しているというところでございます。
 それ以外にも、海洋、極域、防災、減災、環境エネルギー、原子力につきましても、それぞれ要求をさせていただいているところでございまして、今回、概算要求から予算編成過程が1か月短いというところでございますので、日々、財務省主計局と折衝させていただいているところでございます。1円でも多くの予算を確保するために、全力を尽くしたいと思っておりますので、委員の先生方の御支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、125ページは、来年度の来年10月に、いわゆる研究3局と言われる科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局の、この3つの組織の改組をしたいと考えておりまして、これも機構・定員要求と同時に概算要求をさせていただいたところでございます。
 一番上の、1、2、3とございますけれども、来年、2021年度というのは、2001年に文部省と科学技術庁が一緒になりまして文部科学省ができてからちょうど20年目に当たるところでございます。社会の構造的な変化を先導するための分野ですとか、あるいは、旧文部省や旧科学技術庁の縦割りというものを超えた価値創出が生じる組織にしたいと思っております。また、2つ目にございますように、様々な国際関係の変化の中で、安心・安全の実現ということも重要なポイントでございます。それから、もう1つは、この研究3局と、高等教育局との連携の強化を図りまして、大学における研究振興強化をしていくということで、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 具体的に、次の126ページを御覧いただければと思います。細かい資料で大変恐縮なのでございますが、飽くまでも、今、要求をさせていただいているもので、名称につきましては、内閣人事局や内閣法制局との調整の中で変更する可能性がございますので、その点、御留意をいただければと思いますけれども、右側が新しい組織、左側が現在の組織でございます。特に、新しい組織を御覧いただきますと、科学技術・学術政策局の上から2つ目、戦略研究推進課については、今、研究振興局が行っている戦略創造を移管をいたしまして、研究開発ストリーム、研究開発目標、それから研究戦略のファンディング、これをトータルで行う課を創出する予定でございます。
 それから、この科学技術・学術政策局の一番下に、参事官というのが、国際戦略担当として要求してございますが、これが先ほどの国際的な環境の変化による安心・安全の実現という観点から、参事官という課長級ポストをしっかりと確保して、この問題に組織的に取り組んでいきたいと思っております。課長級のポストを要求する、獲得するというのは並大抵のことではございませんが、不退転の決意で取り組ませていただければと思っております。
 それから、研究振興局でございますけれども、上から3つ目に学術基盤政策課というところがございます。ここが高等教育局との役割分担を明確にいたしまして、大学における研究政策、あるいは、指定国立大学を中心とした研究大学の政策につきましては、高等教育局と、この学術基盤政策課が協力、連携をしながら、研究大学の固有の役割や位置づけや財政構造を踏まえた支援を行っていくということを行っていただきたいと思っております。
 一番下の研究開発局でございますけれども、この開発企画課に社会課題対応、データ利活用という担当の企画官を置きまして、研究開発局の審議官とともに、各課が担当しておりますそれぞれの研究開発法人が持っている技術やデータを、より広く利活用するための横串を通していくということに、是非取り組ませていただいて、マトリックスに研究開発をしていこうという議論をさせていただいているところでございます。
 今申し上げましたように、新しい社会的な構造の変化を先導し、かつ、大学における研究振興という体制をしっかりと強化することによって、大学をお支えし、研究開発法人とともに科学技術の振興に重ねて当たらせていただきたいと思っておりますので、引き続き御指導いただければと思っております。
 私の方からは以上でございます。

【淵上高等教育企画課長】  引き続きまして、高等教育局高等教育企画課長の淵上でございます。
 資料は、通しで127ページ、資料2-2-3でございます。高等教育局の主要事項、令和3年度概算要求について、簡単に御報告をさせていただきます。
 この一番上の箱にございますように、新たな日常の実現、あるいはSociety 5.0時代に向けて、我が国の成長・発展を牽引する高等教育への転換ということで、骨太などを踏まえまして、学生の学びの確保、教育の質向上、教育研究基盤の強化を一体的に推進するということで、全体の予算を構成してございます。全体の予算要求といたしましては、1兆8,000億円余りになっております。これに事項要求としてプラスアルファで要求をしているというのが全体像でございます。
 このページの左側にございますように、まず基盤整備として、国立大学運営費交付金等が1兆1,000億円余り、私大の経常費等として4,000億円余り、国立高専で671億円ということで、この基盤整備のために、大体全体で1.6兆円を計上しているところでございます。このほか、大学入学共通テストの実施、あるいは高等教育の就学支援の実施という経費がございます。この高等教育の就学支援の5,800億円につきましては、基本的に内閣府への計上ということになってございます。
 右側にまいりまして、多様な人材の育成ということで、グローバルの展開、あるいは、右下にまいりまして、大学教育再生の戦略的推進ということで、大学院教育、あるいは革新的・先導的なプログラム開発というものも計上してございます。
 128ページ目が高度医療の人材育成ということで、先進的医療イノベーション人材育成事業、それから、大学病院における人材養成強化事業、そして、感染症に対応できる高度医療人材養成ということで、50億円を要求してございます。
 また、右側がSociety 5.0、ウィズコロナ、ポストコロナに向けた人材育成ということで、数理・データサイエンス人材、あるいは、知識集約型社会を支える人材育成事業、そして、下から3つ目の星にございます、デジタルを活用した大学・高専教育行動化プランということで90億円を要求してございます。
 129ページを御覧いただきますと、今申し上げたものの内数でございますけれども、今回の概算要求では、既定経費、これまでの経常的な経費については前年度同額で、コロナ対応について新たに要求できるということでございました。高等教育の関係で、コロナ対応をまとめたものがこちらになります。コロナ対応だけで、右上にございます821億円プラス事項要求ということになってございますけれども、ここに、先ほど申し上げたものの内数でございますが、まず、ポストコロナの新たな日常の実現ということで、大学の教育研究基盤整備のために648億円を計上しております。これは、国立大学、私立大学、あるいは高専などにおきまして、新たな時代における知を結集して、日本全体の地域に貢献する取組、あるいは新たな知を創出する取組といったものを支援するための基盤となる研究整備でございます。
 また、加えまして、デジタルを活用した大学・高専教育高度化プランということで、新しいデジタル環境に応じた新たな教育手法の開発ということで、例えば、VRを用いた実験・実習でございますとか、そういう新たな技術を用いた教育へのチャレンジをする、こういう取組についての支援経費を90億円計上しているところでございます。
 このほか、ウィズコロナにおける継続支援ということで、人材育成プログラム、これが大学院教育の充実のための15億円、あるいは右側にございますけれども、大学病院における感染症に対応できる高度医療人材ということで50億円を要求してございます。
 右下には、これ以外の事項要求といたしまして、授業料減免の支援、あるいは、大学入学共通テストの実施、あるいは、大学・高専の船舶の建造ということで、事項要求として計上しているところでございます。
 全体といたしまして、冒頭申し上げましたように、1兆8,000億円余りプラス事項要求ということで、しっかり各大学の取組を支えていけるような予算を計上しているところでございます。
 引き続き、委員の先生方の御支援を賜れればと思っております。私からの御説明は以上となります。

【金光計画課長】  文教施設企画防災部計画課長の金光でございます。
 引き続き、国立大学等の施設整備に関する概算要求の概要について、御説明申し上げます。通しページでは159ページ、資料2-2-4を御覧ください。
 まず、施設整備関連の来年度概算要求額につきましては、資料の上段に記載させていただいておりますとおり、820億円プラス事項要求でございます。このうち、820億円の内容につきまして、まず御説明を申し上げます。資料の中ほどにある取組と書かれているところを御覧いただけますでしょうか。4つの事業を縦に記載させていただいておりますが、まず、一番上のところが、例年通りの通常の施設整備でございます。こちら361億円を計上して、大学等の機能改善に取り組んでまいろうと考えてございます。
 また、上から2つ目、3つ目をコロナ枠として要望をさせていただいております。具体的には、2つ目にあります感染症研究環境整備といたしまして、今回のコロナ禍を踏まえ、感染症拠点、研究拠点の整備を行うもの、それからまた、3つ目にございますように、新たな日常に対応した環境改善整備として、3密を避け、教育研究活動を再開・継続できるようにするための換気・空調等の環境改善を図っている事業と、この2事業をコロナ枠として要望いたしております。
 次に、取組の4つ目にございます防災・減災、国土強靭化に関する事項要求について御説明申し上げます。近年の災害の多発化等を踏まえまして、今年度までの3か年に限って、国土強靭化のための臨時の予算措置がなされてきたところでございます。国立大学の施設整備につきましても、耐震化やライフライン整備に関して、3か年で1,300億円を超える予算措置を講じてきたところでございます。現段階では、この予算措置の継続がなされるか否か、政府内で検討している段階でございますので、こちらについては事項要求とさせていただいているところでございます。
 施設整備につきましても、大学等の教育研究環境の改善を少しでも進めていきたいということから、1円でも多くの予算の確保を目指して取り組んでまいりますので、応援のほどよろしくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御意見・御質問ございましたら発言をお願いします。いかがでしょうか。

【甲斐委員】  甲斐ですけれども、いいですか。

【濵口会長】  どうぞ。甲斐先生、お願いします。

【甲斐委員】  最初の方の113ページのあたりですが、これまで若手人材育成と言いますと、大体ポスドクや任期付き助教を対象として議論されてきましたが、大学の実感としては、大学院生が上がってこないというのが、非常に喫緊の課題だと思っていたわけですね。その問題を解決しないと、いずれ日本の学術の担い手が枯渇してしまうのではないかと危機感を持っていました。
 その1つの改革として、大学院生に給与をあげる方策がずっと議題に挙がっていたと思いますが、このたび、博士課程の学生に半分ぐらいは給与を与えるという計画を立てていただいて、大変感謝しております。とてもいい方向性だと思います。
 それで、次に考えていただけるなら、少額でもいいのですけれども、修士課程の学生も何とかサポートするようなことを考えていただけたらと思います。とにかく、大学院に入ってこない。ですから、修士から博士に行かないというのも問題ですけれども、大学院生を増やすということを積極的にこれからも進めていただけたらと思います。
 よろしくお願いいたします。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。本当に今、大学院の、特にドクターコースの支援は大変大事だと思いますので、御理解をいただけるようにと思っております。
 それでは、観山先生、御発言ございますでしょうか。

【観山委員】  はい。

【濵口会長】  はい、どうぞ。

【観山委員】  概算要求、是非ぜひこの要求を満額獲得いただけるよう頑張っていただければと、まずは応援の弁を述べさせていただきたいと思います。
 組織の改革というのは、不断に向かわなければいけない。文部省と科学技術庁が一緒になったのが20年前と。20年になったのかと、ちょっと感慨もありますけれども、質問は、単純に、まず、この126ページの矢印で実線と点線がありますが、これは局をまたいだものが点線で、局内が実線という、その意味でしょうか。

【合田科学技術・学術総括官】  はい。仰せのとおりでございます。

【観山委員】  そうですか。それで、ちょっと発言もされましたけれども、学術基盤政策課というのが新しくできて、しっかり頑張っていただきたいと思いますが、これが従来の学術機関課の発展形だとは思いますけれども、学術機関課では大学内の知見、研究拠点、それから、共同利用機関の支援というものが多かったと思いますけれども、これが振興企画課とかに移っていって、横にもう、これは矢印というのは、一応、横に行くというのは基本だと思ってこの図を見たらよろしいのでしょうか。

【合田科学技術・学術総括官】  はい。その点は少し御説明が不十分で恐縮でございました。引き続き、大学共同利用機関、それから附置研究所につきましては、学術機関課の後継の学術基盤政策課が扱うことになります。これまでは、学術機関課というのは、かつての研究機関課のときのように、大学共同利用機関と附置研究所の御支援をさせていただくというのが中心だったわけでございますけれども、現下の状況の中で、そのことに加えて、先ほども申し上げましたように、大学、組織としての大学全体の研究力の強化ですとか、研究政策、それから、指定国立大学のような、我が国をリードするような研究大学全体の、研究大学の固有の位置づけや財政構造ですとか、それから、その研究のアクティビティというものに着目をした様々な支援というものも合わせて政策的に展開をさせていただきたい、そうすることの中で、拠点であるところの大学共同利用機関や、附置研究所に対する支援というものも是非強化をしていきたいということで、このような改組をさせていただいたところでございます。
 特に、この学術基盤政策課が、研究機能の強化、あるいは大学院教育の中核を担っている大学と日々キャッチボールをしながら、その特性においた支援策というものを、省内でも、あるいは霞が関でも実現していくための重要な役割をこの学術基盤政策課に担ってもらうということで、今回の改組を希望しているところでございます。
 是非、そういう意味においては、頼りにしていただける、しっかりと大学を、研究大学をお支えできるような課にしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【観山委員】  分かりました。そうすると、高等局との連携も非常に重要になるわけですね。

【合田科学技術・学術総括官】  おっしゃるとおりでございます。

【濵口会長】  観山先生、まだこれは原案の段階ですので、御了解いただければと思います。

【観山委員】  ありがとうございます。

【濵口会長】  それでは、青木先生、お願いいたします。

【青木委員】  ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
 1つは通し番号の112ページなのですけれども、大学等ファンドによる世界レベルの研究基盤を構築するためのファンド、これを是非実現していただきたいと思います。すばらしい計画だと思いました。
 もう1つは、120ページの部分ですけれども、私も宇宙開発利用部会に関わっておりますけれども、このような増額、特に、文部科学省82%増額していると思いますので、是非実現していただきたいと、敬意をもって申し上げたいと思います。アルテミスのところが、その増額分の半分ぐらいになると思うのですけれども、今、世界は、世界の在り方が大きく変わるときで、宇宙とサイバーですとか、新しい分野によって、日本の価値観を強く主張していくこともできると思いますし、日本の経済発展、強い日本をつくる基盤にもなると思います。是非、1円でも多くというふうにおっしゃっていましたが、全額獲得できるように頑張っていただきたいと思いますし、私どももできることがあれば何でもいたしたいと思います。ありがとうございました。

【濵口会長】  ありがとうございます。力強いエールをいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、福井先生、お願いします。 

【福井委員】  はい。
 通し番号の129ページが主として関わると思いますが、高等教育局のコロナ対応関係で、今までにある様々な問題を解決するために、予算を取っていただくのはすばらしいと思っていますが、目立たないのですけれども、このような問題に対応するためには、どうしても公衆衛生学全般の知識とか技量が必要でして、日本では、欧米と比べると、公衆衛生学全般の教育が非常に遅れていると思っています。例えば、アメリカですと、もう100年以上、公衆衛生学の大学院ができて時がたっていますけれども、日本ではまだ文部科学省が認定するレベルの公衆衛生学の大学院はまだ5つしかございません。かなり遅れていますので、そういうところにも、もっと投資をお願いしたいと思っております。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、鈴木先生、お願いします。

【鈴木委員】  博士課程の学生さんに対して在学中に支援をするという、非常に手厚いことを考えてくださっているのは、若手支援という意味ではすごく重要だと思うのですが、ただ、今までの経験で、なぜ修士課程まで行った学生さんが博士課程に行かないかというと、博士課程に行っても、その後の受皿、就職口がないということの方が、強く学生さんには浸透していて、それで、博士課程進学を諦めるというケースが非常に多かったです。人材育成と言って、博士の学生さんを大事にすることも大事なのですが、その後の受皿について、予算という問題ではないかもしれませんが、もう少し検討が必要ではないかなと思います。以上です。

【濵口会長】  その点は多分、大学院改革とカップルして動かないといけないと思いますね。その議論は文部科学省の中で動いていると思いますけれども、企業への就職支援をですね、リーディング大学院は、明らかに就職が高くなっておりましたので、そういう改革は効果があるなと見ております。

【鈴木委員】  そうですか。ありがとうございます。

【濵口会長】  それでは、宮浦先生、お願いします。

【宮浦委員】  宮浦です。ありがとうございます。
 今、ちょうど話題になっておりました博士後期課程への経済的支援に関する新規事業ですね。113ページあたりですけれども、新規に立てていただいて御礼申し上げます。ここが、人材委員会を担当しているのですけれども、非常に問題になっているところでありまして、博士後期課程への進学が減少してきた背景といたしましては、今、御指摘いただいたように、出口の問題と、その出口で特に企業での活躍を博士が推進できるようなシステムを構築するということと、アカデミアに進んだ場合のポスドクの雇用環境ですとか、雇用の安定性の問題、その2つが大きな原因であろうということで、人材委員会でも議論させていただいております。特に、ポスドクの雇用状況につきましては、ガイドラインを今、小委員会で作成しているところでございます。より安定的で優秀な研究者に向けて努力できるような雇用体系をつくりたいということでございます。
 非常に重要なのが、やはり、博士後期学生が卒業後に、博士を取った後に、企業でグローバルに活躍できる場を獲得できるということが極めて重要であり、今回の新規事業でも、学生の支援はもちろん重要なのですけれども、それと同時に、企業と連携したドクターの活躍推進の場の設定ですとか、仕組みづくりですとか、そういう形を総合的なパッケージとして取り組むということが重要だと思います。そのあたりに委員の知恵を出し合っていけたらいいのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【濵口会長】  どうぞよろしくお願いします。非常に重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、栗原先生、お願いします。

【栗原(和)委員】  ありがとうございます。130ページの国立大学改革の推進等のところで、特に「コロナ禍を踏まえた取組への支援」について、意見を申し上げたいと思います。
 このコロナ禍で、在宅で研究するに当たって、例えば、自宅から大学の図書館が利用できるとか、そういう大学の基盤的な整備がどれだけ重要かということを、非常に実感したところでございます。それぞれの大学において整備状況は非常に違うと思いますので、それぞれの大学が工夫して、より良い形で基盤整備ができるように、施策が実施できる形を是非つくっていただけたらと思います。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。この点は、文部科学省にしっかりと現場の要望をよく踏まえていただいて、御支援いただきたいと思っております。おっしゃるとおりであります。
 それでは、須藤先生、お願いします。

【須藤委員】  ありがとうございます。
 112ページに概算要求のスライドがあるのですけれども、文部科学省としてどの様な分野にこれから力を入れるのかなと、非常に興味を持って聞いていました。最初に第6期の科学技術基本計画の話があって、内閣府の方で全体をまとめているのですけれども、文科省として何を重点に考えているのかなというふうに考えていたのですけれども、この112ページで、まず、安全・安心やフロンティアに関する課題解決型の研究開発ということで、宇宙、それから海洋、防災、環境エネルギー、原子力というのをどーんとうたってありまして、その上の重点分野にAI、量子技術、それから健康・医療というふうに書いてありまして、こういうところに恐らく文部科学省としては重点的に投資していきたいと考えているのかなというふうに推測しています。文科省としたら、やはり、どの分野に力を入れるって、あまり正面切って言いづらいのだとは思いますけれども、やはり、国民の視点からすると、今、国がどういうところに重点的に投資しようとしているのかというのは非常に興味があるところだと思いますので、このような書き方というのは、私は非常に評価したいと思います。
 ただ、ここに書いてある分野を特に重点的にやろうという意気込みというふうに取っていいのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

【濵口会長】  いかがでしょうか。

【合田科学技術・学術総括官】  御指摘のとおりでございます。私ども、この112ページの資料でございますと、分野としては、今、御指摘のあったように、右側の方に書いてあるような分野というのは、特に力を入れていきたいと思っております。政府や統合イノベーション推進会議などにおきまして、AI戦略、量子戦略、ライフサイエンスについて、それぞれ政府全体の戦略もございまして、国際的な競争の中でしっかりと力を入れていきたいと思っておりますし、それに至るような萌芽的な研究というものも含めて、この左側の方の事業で、その次の次を見据えた支援をしっかりとしていきたいというふうに考えております。以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。これは、多分、CSTIの方で議論されているSociety 5.0が実装化できていないと、それで第6期に実装化するという議論も踏まえて、AIというのが出てきていると思います。そこは本当にしっかり実装していただきたい。大学はそういうAIを100%活用した組織になるように御支援いただきたいなと、個人的には思います。
 次の報告に移りたいと思います。それでは、次に、科学技術・学術政策研究所からの報告をお願いいたします。

【菱山科学技術・学術政策研究所長】  科学技術・学術政策研究所長の菱山でございます。私どものNISTEPからの報告ということで、今回は、そのページの下の方にあります科学技術指標2020を御説明します。これは8月7日に公表されたもので、NHKのニュース、あるいは日経新聞等でも公表をされたものであります。
 まず、科学技術指標というものは、御存じかもしれませんけれども、2005年から毎年公表しております。その発端は1991年からでありますが、当時はまだ不定期でありました。科学技術活動を、2番目の四角にありますように5つのカテゴリーを立てて、主要指標をずっと追ってきているということで、これは継続的に追ってきているということになると思っております。また、今年は新型コロナウイルス、COVID-19が相当課題になっておりますので、それについてのコラムというのも入れているものでございます。
 内容について、少しお話をさせていただきたいと思います。次のページをお願いします。
 そこは、研究開発費総額の推移でありまして、我が国は、最初のところにありますように、アメリカ、中国に続く規模です。部門別では、企業では3位、大学では4位、公的機関でも4位ということでございますけれども、特に、3番のポツの2番目の文章でありますが、企業の研究開発費において、中国が1位になっているということでございますが、それは右側の表にあるとおりであります。
 次のページは、研究者の数でございまして、これはFTE換算で、Full-Time Equivalentsの換算で67.8万人ということで、米中に次ぐ第3位の規模にいることと、あとは、部門別では、どの国も企業の研究者数が多いということであります。
 次のページをお願いします。
 こちらが、非常にいろいろなところに取り上げられたものになりますけれども、論文数であります。論文数、それからトップ10%の補正論文数と、トップ1%の補正論文数について、日本はこの10年間で順位の低下が顕著であったということであります。それから、論文総数において、今までずっとアメリカが1位だったのでありますが、ついに、数においては中国がアメリカを抜いて世界一ということであります。日本はそこに黄色でマーカーをしてありますけれども、10年間で順位が下がっていることが顕著になります。
 次のページをお願いします。
 これは論文数と特許のつながりについて分析したものでありますけれども、日本の技術、特許は、他国と比べて、科学的成果としての論文が引用されている割合が、日本の統計では低いのだけれども、日本の論文は世界の特許に多く引用されています。特許の中に、この論文を引用しているというのが出るのですけれども、それを分析した結果であります。これは、濵口理事長がよく御指摘されている点でもあると思います。日本の論文の科学的な成果は、世界で多く使われるけれどもというのが、統計でも表れているというものであります。
 次のページをお願いします。
 ここは、産業界で人材が活用されているのか、高度研究人材が活用されているかというものでありますけれども、日本と各国を比較しますと、日本の企業において研究者に占める博士号保持者の割合というのは、アメリカと比べても低いということが示されているものであります。
 次のページでありますが、次のページは、企業における新規採用研究者における博士号保持者ということで、製造業では博士号保持者の新規採用が増加しているけれども、非製造業では停滞しているということであります。これは、産業構造が、製造業よりも非製造業が多くなっているので、多くなっている方の非製造業でなかなか博士号保持者の採用が停滞しているということが示されているものであります。
 次のページですけれども、これは商標出願と特許出願を比べた関係を見たものでありますが、日本は特許という技術に強みを持つけれども、商標に関して見てみると、ほかの国と違って、右の一番下のところに日本があって、そこに注釈がありますけれども、最新年で商標出願数よりも特許出願数が多いというのは日本のみということでありまして、どうも新製品あるいはサービスへの導入という形への再展開が、他の主要国に比べて少ない可能性があると。これは可能性ではありますが、そういう統計が出ているものであります。
 次のページからは参考資料で、感染症に関するコラムということであります。次のページ、170ページですね。感染症に関することではありますが、実は、これ以外にも、私どもNISTEPは、コロナの関係で国民意識調査とか、研究者に対する意識調査とか、困っていることはありませんかとか、そういった調査をしておりますし、また、プレプリントがあります。このところのコロナで注目されていますけれども、プレプリントの状況の調査などを行ってきていて、随時、ホームページにも公開しているところであります。
 今日は、この指標2020で書いたコラムについて少しだけお話をさせていただきたいと思います。
 ここにありますように、感染症に関する論文というのは増加しているが、シェアは横ばいということでありますし、直近10年間のパテントファミリーとか国別シェア出願数はアメリカが1位ということで、ドイツ、イギリス、日本、フランス、中国というふうに続いているということでございます。
 あと、新型コロナウイルスで出入国制限があった国で、外国人研究者の出入国を見てみると、減っています。その前までは、高度の研究人材が増えていた、外国人研究者が増えていたのですけれども、非常に減ってしまったということと、あとは、日常の世界におけるデジタル技術の活用について見てみると、諸外国より低調だというのが分かっています。172ページを見ていただくと、論文数について分かります。
 それから、次のページは、感染症に関する特許出願状況ということであります。ただ、感染症に関する薬は、御存じのように、なかなか産業界としても実用化するには躊躇するような状況でございますので、ここにはそれを表しているところです。
 それから、次のページが外国人研究者数の推移ですが、これは増えてきたのですけれども、その次のページを見ていただくと、この1月、2月、3月ですね。非常に出入国における移動が減ってしまったということなどがあります。
 簡単ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。

【濵口会長】  ありがとうございました。大変深い分析をいろいろやっていただいて、考えることが多いと思いますが、いかがでしょうか。御意見・御質問ございますでしょうか。
 中田先生、お願いします。

【中田委員】  ありがとうございます。本当は先ほどのところで手を挙げたのですけれども、いずれにせよ、デジタル技術というのをどういうふうに応用分野でこれから広げて使っていくかということに関しましては、その応用分野で人を育てるというのが、なかなか難しい。基礎的な人たちをそこに投入するというのが、人材獲得の意味で非常に難しいと思っていて、それぞれの分野でデジタル人材を育てていくというような方向性というのを、それがうまくいくような仕組みというのをちょっと考えていただければ非常にいいなと思っています。
 そういうことが、今回のお話になってくると思いますけれども、イノベーションとか、いろいろな世界での特許をつくっていくというところにつながっていくのではないかなと思っております。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。NISTEPの方は分析が大きな仕事ですので、その政策転換はやはり文部科学省として考えていただかないかといけない課題ですね。

【濵口会長】  小池先生、では、お願いいたします。

【小池委員】  どうもありがとうございました。こういう全体感を、私ども学ぶ機会として、大変いい資料を分かりやすく御説明いただきましてありがとうございます。この中で、1点申し上げたいのは、やはり、我が国の人口が減り、しかも、少子高齢化していくという変化をどう考えるかということだと思います。先ほど、絶対数でいろいろな数値を出していただきましたが、現在でも、日本の人口はアメリカの3分の1ですし、中国の10分の1なわけです。その中でこれを見ているわけですが、今後、日本の人口は減っていきます。かつ少子高齢化していきます。そうしますと、いわゆる生産人口、しかもその中の比較的若い方々が研究を支えるわけで、この現象をどう捉えるかというのが、非常に大きな鍵ではないかと思います。
 こういう分析を踏まえて、今、考えますと、冒頭にお話しになりました、総合政策特別委員会でおまとめになった報告というのは大変すばらしいと思っておりまして、特に8章で、日本らしさというところを思い描いておられるところです。研究開発戦略の推進、第8章、日本らしさで世界を変えるというところに、日本は課題先進国であると指摘されています。少子高齢化、社会保障の増大、災害など、非常に大きな課題を持っていて、それを解決する先進国であると述べられています。その日本らしさに重点を置き、これらの逆境下の中でこういう分析を基に戦略を是非明確に描いていただくと、社会へ発信する力がより強くなるのではないかと思いました。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。大変貴重な御指摘です。多分、このデジタル化をどこまでやれるかというところが、省力化するという形でも意味がありますし、新しい産業を興す意味でも可能性があると。一方で、伝統的な日本のものづくりですね。これをいかに維持していくかという、こういう両極の作業がこれから大変大きな課題になってくるというふうに……。

【小池委員】  先生、一言よろしいですか。

【濵口会長】  はい、どうぞ。

【小池委員】  先ほど、青木先生からもお話があったのですが、宇宙の利用や、災害科学の展開を通して社会、世界への日本の貢献に対して、非常に高いリスペクトを得ております。そういうところも1つの軸かなとも思います。

【濵口会長】  国土強靭化というのは、非常に日本は進んでいると思いますし、地震とか災害に非常に強い国であるし、国民性も本当にレベルが高い、民度が高いと実感しております。御指摘のとおりだと思います。

【濵口会長】  それでは、橋本先生、お願いします。

【橋本委員】  橋本です。私も先ほどのところで意見を言わせていただこうと思ったのですけれども。

【濵口会長】  すみません。

【橋本委員】  いいえ。先ほど来、博士課程の学生の支援の話と、それから、若手研究者のその後の話というのが出ていたと思うのですけれども、これに関しましては、私は内閣府のSIPの委員ですので、そちらの議論も含めてちょっとお話しさせていただきます。文科省と一緒に、実は先生方がいろいろ御指摘になった点を、総合的に今、検討しているところです。すなわち、博士課程の学生の支援だけではなくて、それを、学位を取った後どうするのか。産業界にかなり流れて、しかも優秀な人が流れていかなければいけない。そのために、産業界もそういう協力をしていただかなければいけないということとか、あるいは、ポスドクになった人が、ポスドクでそのままテニュアトラックに入った人もいるけれども、テニュアトラックに入れなかった人もいるわけで、その人たちがどうなっていくのか。テニュアトラックに行って、テニュアになった人はいいですけれども、テニュアトラックで残念ながらテニュアになれなかったと、そういう人たちはどうしなければいけないのか。さらに、テニュアになっても、その後ずっと昇進していけないケースもあるわけで、例えば、50代になって昇進できなかった人たちはどうあるべきかというようなことも、全体像を含めて、今、議論しているのですね。その中の一部は今回の予算の中にも入っているのですね。ただ、その全体像をなかなかお話しする機会もないし、お話しされていないので、そういう意味での御理解もいただけていないし、ちゃんとまとまった御意見も伺えていないということになるので、これは事務局へのお願いですけれども、今、文科省で、私たちも一緒に、随分その辺の全体像を議論しているわけですので、それを是非、この場で一度紹介していただきたいなと思うのですね。今日の話にもありました、実は大学の現場の方が、この問題が一番大きな問題として感じているのです。ですので、是非全体像をお話ししていただいて、それでいろいろな意見をいただくというのは大変重要だと思いますので、これは提案させていただきます。

【濵口会長】  ありがとうございます。是非お願いします。

【橋本委員】  私も長いこと大学におりまして、博士課程の学生も随分育ててきましたので、その辺の現場感覚はまだあると思っているのですけれども、ここで大変重要なのが、実は、現場の先生方の試みでありまして、今回のこれは、博士課程あるいは若手研究者を活性化し、日本の研究力を高めるという、このポイントは、最優秀の学生が博士課程に行くということなのですよ。分野によっては必ずしもそうなっていないところが、今あります。確実にありますね。ですから、最優秀の人は皆ドクターに行く、逆に言うと、ドクターに行った人たちは皆最優秀の人だという、こういうトレンドができると、実はかなりの部分が、解決とは言わないですけれども、まずそれがないと、実は先ほど言ったようなことは解決しないのです。
 大学の現場において、最優秀の人だけをドクターに入れるというのは、これは大変なことです、実は。かなり現場で血を流さないとできないことなのですね。これは採択率の問題にも関わってきますので、文科省も採択率のことをどのように取り扱うのか。採択率のことを言うと、今のようなことはできなくなります。一旦は採択率が下がることになると思います。でも、このようなことをやる中において、長期的に見たときに、本当に最優秀な人が皆さんドクターに行く。その後、産業界に行き、あるいはアカデミアへ行きというような全体像を描きますので。

【濵口会長】  先生、その御意見を一遍まとめて報告していただいて、御議論させていただくというふうに。

【橋本委員】  是非。私が申し上げたかったのは、文科省だけに任せていたら駄目で、現場の先生方の行動が極めて重要だということを申し上げたかった。

【濵口会長】  引き続き御支援賜りますようよろしくお願いします。
 それでは、続きまして、宮浦先生、お願いします。

【宮浦委員】  ありがとうございます。宮浦です。
 調査結果について、詳細にありがとうございました。175ページですね。特に、この感染症関連で、外国人研究者の出入国が激減しているという点が、どれぐらい今後回復してくるかというところが非常に重要だと思っておりますので、今後、回復状況についても、比較的ショートサイクルで御報告いただけると有り難いのと、あとは、その内訳ですね。回復過程で、留学生、学部学生、大学院、博士前期・後期、並びにポスドク等の、それぞれのフェーズの外国人研究者の方がどういう形で回復してくるかというのが、今後の研究力強化に大きく左右してくる要因であろうと考えております。
 特に、博士後期の留学生やポスドクなどの回復が非常に希望しているところです。なぜかと言いますと、今後、論文や特許等の回復が、今後一、二年以内に非常に鈍化してくることが危惧されます。論文数等も外国人の寄与率が大きいですので、一時的に落ち込むことを危惧していて、それのためには、どういうポピュレーションの外国人の入国が回復してくるかという情報を今後いただけると有り難いと思います。以上です。

【濵口会長】  この点、NISTEPでも分析していただいて、人材委員会の方にデータを渡していただけるといいですね。

【菱山科学技術・学術政策研究所長】  ありがとうございます。こちらは法務省の統計を使っておりますので、全て、今、先生がおっしゃったような分析ができるかというと、ちょっと。

【濵口会長】  難しいですね。

【菱山科学技術・学術政策研究所長】  集めていない数字はできないのです。ただ、これは毎月やるのは法務省の統計ですけれども、留学生とか研究者は、年ごとのは書面なりを受け取ったりしていますので、できる範囲で出したいと思います。

【濵口会長】  外務省も出入国をちょっと緩和する方向で話が進んでいると思いますので、回復基調にはあると思いますけれども、データを改めて追加させていただきたいと思います。情報が入った時点でですね。よろしくお願いします。

【宮浦委員】  是非よろしくお願いします。

【濵口会長】  よろしいでしょうか。御意見なければ、次の議題に移りたいと思います。お願いします。
 議題3の各分科会等の報告について、まず、学術分科会長及び情報委員会主査の西尾先生から報告をお願いします。

【西尾委員】  西尾の方から報告いたします。資料の178ページを御参照ください。
 コロナ禍により社会が大きく変化しまして、学術研究を取り巻く情勢であるとか環境も大きく変化する中、学術研究及びそれを支える情報科学技術の振興方策の在り方について、私が分科会長を務めています学術分科会及び主査を務めています情報委員会の2つの会議におきまして、7月から連携して検討を進めてまいりました。9月30日に両会議合同の提言、「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」がまとまりましたので、概要を報告いたします。
 1番目は、検討の背景と方向性です。コロナ禍によりまして、社会の在り方が大きく変容した結果、コロナ新時代とも呼ぶべき新たな時代を迎えることとなりました。コロナ禍によって、時間や地理的制約を超えた新たな活動スタイルが普及するとともに、社会の様々なデータの活用が量的・質的に拡大し、データ駆動の活動が社会のあらゆる分野に波及し、急速に発展・進展しております。
 一方で、我が国においては、大学等のネットワークへの接続環境に差があること、遠隔での実験・観測のシステムが構築されていないこと、学術情報のデジタル化やデータ活用のための環境整備が遅れていること、サイバー空間のセキュリティやプライバシー保護の問題など、コロナ禍によってSociety 5.0の実現に向けての様々な課題が見いだされました。
 我が国としては、このようなコロナ禍が浮き彫りにした課題を分析して、その克服を通じて、よりよい未来社会、Society 5.0の実現に向けた変革につなげていく視点が非常に重要です。コロナ禍のような予測困難な事態に対応するためには、多様な学術知の確保が最善の策であり、国は、研究者の自由な発想に基づく学術研究への公的投資を充実し、振興を図ることが必要です。また、それを支える情報科学技術への研究開発投資の拡充、研究のデジタルトランスフォーメーションの推進に取り組むことが不可欠です。公的投資によって、学術研究を振興する以上、学術界は、社会に対してどのように貢献するのかを明らかにした上で、教育・研究に従事するということが求められます。
 コロナ新時代において、学術研究が社会から期待される役割として、以下の3点が考えられます。1つ目が、コロナ禍のような国家的危機の克服など、我が国が直面している社会的課題の解決に向け、学術知を創出・蓄積しておき、必要に応じて可及的速やかに提供すること。2つ目が地球規模の課題の解決に向けて、国際社会と連携し、貢献すること。そして、3つ目が、コロナ新時代を切り拓く豊かな教養と高度な専門的知識を備えた人材を育成することです。
 このような認識の下、これから申し上げます4つの視点で、学術研究及び情報科学技術の振興方策を検討しました。
 まず、学術研究及び情報科学技術の振興方策で、1番目として、不測の事態においても研究を継続するためのレジリエンスの確保です。1つ目、科研費について、繰越し手続きのさらなる簡素化を進めるとともに、研究費のより有効な支援を可能とするため、全研究種目の基金化を推進することにより、研究者の負担や不安を軽減する。2つ目、優秀な博士後期課程学生が研究の道を諦めることがないよう、国の支援の下、研究者として適正な対価を支払うことによる処遇の向上や、特別研究員事業の採用期間の延長などにより、若手研究者などが安心して研究に取り組める環境を整備。3つ目、大学などにおいて、不測の事態においても可能な限り研究活動を継続できるよう、活動制限下においても研究の特性や重要度に応じた例外的取扱いを可能とする業務継続計画の策定・運用を推進することが求められています。
 次に、2番目として、コロナ新時代にふさわしい新しい研究様式への転換です。情報科学技術自体の研究開発を恒常的に進めつつ、各分野の研究データ基盤、高性能計算資源及び遠隔操作が可能な実験設備などをSINETで接続した、国全体の一体的情報システム基盤及び大学などにおける情報システム基盤を整備・高度化することが不可欠です。研究におけるデータ活用のため、データの取得・共有・長期保存などを可能にするセキュアな研究データ基盤を構築する。そして、研究データの共用・利活用を促進するためのルールや、適正な取扱いなどの在り方を明確化しないことには、現場が混乱してしまいます。大学図書館及び多様な学術情報のデジタル化や、著作権法の見直し、情報科学技術研究者と各分野の研究者の協力による研究の遠隔化・スマート化など、研究のデジタルトランスフォーメーションを促進することが肝要です。
 3番目として、研究者の交流と連携の担保です。オンラインサービスを効果的に活用したコミュニケーションにより、研究活動を活性化することが重要です。海外特別研究員事業について、コロナ禍による採用期間の延長を認めるとともに、新型コロナウイルスの影響の終息後、直ちに国際研究ネットワークを強化することができるよう、若手研究者の海外研さん機会の充実、外国人研究者の招へいなどの取組を強化することが重要です。共同利用・共同研究体制を強化するため、遠隔で実験・観測できるシステムの早期構築や、共同利用・共同研究拠点のネットワーク化の推進が不可欠です。共同利用・共同研究体制により推進している大規模学術フロンティア促進事業について、我が国がコロナ新時代においても世界の学術コミュニティの中で信頼と尊敬を得られる地位を維持できるよう、国が責任を持って一層積極的に推進する必要があります。オンラインと対面のハイブリッドな教育研究の充実に向けて、情報通信環境の強化や感染拡大防止対策の観点からの大学等の施設を整備し直すことも重要です。
 4番目が、社会の負託への応答です。総合的・計画的な人文学・社会科学の振興により、コロナ新時代において我々の指針となる新たな価値の提示や社会課題の解決などにおいて、それらの知見を活用することが大事です。AIやビッグデータなどを用いて、様々な社会ニーズに対応するとともに、情報科学技術分野と各分野の密接な連携を通じ、データ駆動型科学、AI駆動型科学などの新たな科学的手法の発展を促進することが不可欠です。教育・学習データの分析・活用、デジタル教育コンテンツのリポジトリ化と共用促進などにより、教育の発展に我々は貢献していくことが重要です。研究の多様性を確保するため、感染症関連を含む多様な研究分野に十分に投資するとともに、学術研究が社会の負託に応えることができるよう、国において、学術政策、科学技術政策、大学政策が連携して施策を推進するための体制を構築することは、待ったなしの状況です。
 文部科学省においては、この提言を踏まえ、令和3年度政府予算案において、学術研究及び情報科学技術の関連施策が充実されるよう努めていただきたく、切に願っております。また、大学などの研究機関においては、コロナ新時代に対応した研究の在り方について、引き続き検討し、必要な取組を推進していくことも大いに期待されるところです。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。すばらしい提言をつくっていただきまして、ありがとうございます。本当に、今後の社会をどうつくっていくか、大学をどうつくっていくかに関して、すばらしい御意見であると思います。
 これに続きまして、EBPMの推進を指向した審議の在り方について、事務局から説明をいただいた後、御意見をまたいただきたいと思いますので、まず、EBPMの説明を、大土井さん、お願いします。

【大土井室長】  資料3-2-1でございます。研究計画・評価分科会における審議の状況につきまして、御報告申し上げます。
 まず、資料3-2-1に視点が幾つか書いてございます。ありていに申し上げますと、2021年度から第6期の基本計画が始まりますので、その基本計画を踏まえた上で、各分野の戦略につきまして、改めて御議論いただいてはどうかというのが視点の1番でございます。その際に、文科省として、例えば特徴的な役割を担うべき人材育成でございますとか、国際協調でございますとか、そういった視点についても付加して議論してはどうかということ、あるいは、文字面は出てきませんけれども、今回のコロナの影響でございますとか、社会のデジタル化でございますとか、そういった視点も改めて加味した上で、文部科学省における分野別戦略というのを議論いただいてはどうかというのが視点の1番でございます。
 次の視点の2番でございます。その議論に当たりまして、様々なデータというものがあるだろうというのを、改めてここで整理をしたらどうかということでございます。大きく丸1から丸3まで、丸1は、要は有識者の先生方の御意見、2番目につきましては、審議会での委員ではなくて、研究現場によくいらっしゃるような、あまたいらっしゃるような研究者の方々の生の意見。3つ目は、俯瞰的、あるいは客観的な状況、情報、そういったものを、今までも取り組んではまいりましたけれども、改めて分野別の戦略の御議論においても活用いただければいいのではないかというのが視点の2番でございます。
 次のページがございます。その際に、では、どういったものを視点として議論をするかというふうなものが、視点の2番の最後のページでございますが、これは御参考までに御参照いただければと思います。主立っては先ほどの視点の1番と2番でございます。
 今、説明した内容を文字面にしましたのが、次の資料3-2-2でございますが、先ほどの説明と重複しますので、これにつきましては割愛させていただきます。
 栗原分科会長、何かフォローがあればお願いいたします。

【濵口会長】  よろしいですか。

【栗原(和)委員】  研究計画・評価分科会において、4月の分科会で意見交換しまして、非常に幅広い議論・意見がありましたので、全部は御紹介できませんが、幾つか補足させていただきます。
 2つの分野別委員会に私も加えていただいておりますけれども、分野別委員会では以前から研究計画やプログラムの議論に加えまして、海外も含め、分野の動向とか、活動紹介や動向報告をいただいて、それらの議論をまとめた分野俯瞰や新しい動向についての報告も適宜まとめているところと理解しております。そのような活動にNISTEPやCRDSなどでまとめておられるデータ等をさらに活用できれば、さらに複層的・多面的な視点で研究戦略や計画が考えられると思っております。
 また、研究計画・評価分科会での議論で、分野別委員会を超えた視点として、幾つかの議論がございました。例えば、分野を超えた共通視点やアプローチについて、具体的には、人材育成とか、研究基盤、例えば基盤インフラのようなもの、あるいは社会と科学の在り方など、また、融合分野などをどう戦略的に進めるかについては議論の工夫が必要という意見がありました。これらの議論は、分野別委員会だけではできないのではないかと、例えば、当分科会で場をつくれないかというような御意見もありました。また、文科省の研究戦略は、他省庁とどう異なり、どうあるべきかというようなことも、戦略の上で考える必要があるのではないかというような意見もございましたので、紹介させていただきます。以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。大分お時間押しておりますが、今のEBPMの課題というのは、西尾先生のこのコロナ新時代における今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策という提言において、例えば、融合型の議論をするために、学術分科会と情報委員会が一緒に議論していただいても、どういう方向でやるかというのを、1つの典型を、西尾先生、お示しいただいていると思います。そのエッセンスがEBPMだと思いますが、ちょっとお時間押しておりますが、御意見あるいは質問ございましたら、簡潔にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。西尾先生のお話も含めてですね。ポストコロナ時代をどうするか、非常に大きなポイントをきちんとおまとめいただきましたし、その重要性はまた栗原先生の方で改めて強張していただいていると思います。いかがでしょうか。皆さん。御発言いただければと思います。
 皆さん、賛同していただけるということでしょうか。よろしいでしょうか。本当に今、時代の転換点にあって、恐らく、学術研究、それから大学の役割、大学における高等専門人材の育成というのが大きな転換点を迎えるし、それをやらないと、2025年以降の少子高齢化がどっと押し寄せる時代に、日本は耐えられない状況に入るというのは目に見えている状況ですね。ですから、この科学技術・学術審議会の役割というのは、以前にも増して非常に重要なかじ取り役としての役割が出てくると思います。どうぞ、御意見いただければと思いますが。

【西尾委員】  ただ今、濵口先生におっしゃっていただいたので、1つだけコメントをよろしいでしょうか。

【濵口会長】  お願いいたします。

【西尾委員】  先ほど、菱山所長の方からも、最近の日本の学術研究に関するいろいろな動向、世界の中における立ち位置などについてのお話がありました。私の方から報告させていただきましたように、日本がコロナ新時代において、学術研究について、教育のことも含めて、新たなプラットフォームに乗れるか乗れないかということが、世界の中でリーダーシップを取っていけるかどうかの、正にターニングポイントだと思っております。そのような意味で、学術研究についてはデータ駆動型科学、AI駆動型科学、また、教育については対面授業とオンライン授業をいかにハイブリッド化するかとか、日本全体が新たなプラットフォームにいかに乗るかということを、本当に真剣に考えなければならない時点だと思っています。そのようなことについてコメントさせてください。

【濵口会長】  ありがとうございます。本当に、先生のこの提言で、改めて課題をきっちりと認識させていただいたと思います。
 それでは、栗原先生、お願いします。

【栗原(美)委員】  栗原美津枝です。
 ただいまの提言だけに限った話ではなく、もう少し広い話なのですけれども、今回、コロナを経験しまして、環境や地域、消費に対して行動変容が身近で起こっていると思います。その中で、今日、大学だけではイノベーションは生まれないし、企業だけでもイノベーションは生まれないという議論がありましたが、地域のイノベーションもより重要になっているというように思っております。ですので、この観点から、いま一度、地域のイノベーションということ、それから企業と教育との連携ということが、より有効になるよう見直しが必要ではないかと思います。
 産業連携・地域支援部会の方でも議論していましたのは、地域のビジョンを共有するような地域共創の場というものを設け、企業・大学だけではなくて、自治体やユーザーが入るというようなことも大変重要ではないかというように感じました。
 企業という中に、先ほどNISTEPさんの方から話がありましたけれども、日本では非製造業のイノベーションに関して、オープンイノベーションの取組が非常に低いです。製造業と比べるというだけではなくて、海外と比べても低いので、ここには、非常に大きなニーズがコロナの後で起こっていくのではないかと思いますので、そういうところも是非地域共創の場が関わっていただけたらと思います。
 それからもう1つは、青木先生がおっしゃられた宇宙産業です。ここについては、IT産業と同様に産業の基盤になると思います。デジタル化ですとか、防災ですとか、こういったところにも大きく活用できますし、何よりも自治体等の行政サービスもユーザー側として積極的に活用していただく機会があります。そういったところから、ニーズに即したイノベーションが起こってくるのではないかと思います。以上です。

【濵口会長】  ありがとうございます。貴重な御指摘いただきました。地方のデジタル化を含めた地域振興、非常に大事ですね。
 それでは、小池先生、お願いします。

【小池委員】  西尾先生のこの提言、大変、全体をきちっと押さえて、やるべきことが明確に書かれていて、大変ありがたい示唆をいただきました。
 私自身は栗原和枝先生と御一緒に研究計画・評価分科会でやらせていただいておりますし、地球観測推進部会も担当させていただいておりますが、今、西尾先生からいただいたこの視点の中で、この提言の中で、2点簡単に付け加えていただけるとありがたいということを申し上げたいと思います。
 というのは、このコロナによって、私どもが今までやりたいと思っていたことが、やりたいとは思っていたけれどもやれなかったことや、結構やれたことがございます。それは、この文科省で、こういったウェブ会議ができるということです。私、4月に提案したのですが、そのときはできませんでした。そういうことができるようになったことが、いろいろな側面で経験してきたわけですが、振り返ってみると、なぜできなかったのかということを、私どもがきちっとやはり押さえる必要があると思います。そうでないと、これから、できないと思っていることがいつまでもできないままに終わってしまう。そこの分析というのが必要ではないかというのが1点目です。
 2点目は、最近の内閣府の調査によりますと、東京23区の20歳代の方の35%は、地方に移住したいと思っておられるとお答えになっておられます。仕事は東京だけれども、地方に移住したいと。政府は、そういう方に100万円支援をするという政策もお決めになっているようで、大変大きな変革だと思います。これは、私は国土政策をずっと担当しておりましたが、1962年以来ずっとやってきた分散的な国土の利用ということはなかなか実現できなかったのですけれども、今、この逆境下でできそうになっています。結論は何かと言いますと、このコロナで、今までできなかったことがぱっとできるような部分が目に見えてきたということを、いかに科学技術政策の中に入れるかということをお考えいただくという、その2点を申し上げたかったのです。
 長くなりまして申し訳ありませんでした。

【濵口会長】  いえいえ。ありがとうございます。
 西尾先生、今の御意見いただいて、御検討いただけますでしょうか。

【西尾委員】  今回の提言は、まずはコロナ禍の緊急事態の中で、特に来年度の予算に向けて、我々がこういう提言を出すことによって、コロナ新時代における研究教育の振興に資するためということで、少し短期的な視野での提言になっております。しかし、今、小池先生のおっしゃられた意味で、もう少し中長期的に見た場合に日本がどう変動していくかということを踏まえた上で、学術研究あるいは情報科学技術をどう振興していくかということについては、もう一段別の提言が必要になると思っております。その新たな提言の中で、例えば、先生がおっしゃった、地方にどんどん移住していくというような問題をどう捉えるかというようなことは、コロナ禍による新しい生活への変容の中で、人文学・社会科学系の研究者にとっては非常に大きな研究テーマになる、と考えております。そういうことで、今後、新しい時代をどう考えていくかという羅針盤になっていくような研究を、自然科学系だけではなくて人文学・社会科学系の研究者も含めて総力を挙げて推進していくことの必要性を提言等でまとめていきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。

【濵口会長】  ありがとうございます。どうぞ引き続きよろしくお願いします。
 恐縮ですが、お時間となりましたので、本日はこれで閉会させていただきたいと思いますが、最後に事務局から連絡事項をいただくのと、それから、橋本先生の課題を次回等で事務局に計画していただくことも、引き続き宿題としてお願いしたいと思います。
 それでは、大土井さん、連絡等お願いいたします。

【大土井室長】  大土井でございます。本日はありがとうございました。ウェブ会議に不慣れとはいえ、非常に先生方にも御迷惑、傍聴の方々にも非常に御迷惑をかけました。本当に申し訳ございませんでした。改めて、デジタル化を早く進めなければいけないなと思った次第でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 本日の議事録の案でございますが、後日、事務局からメールで先生方の方に御確認させていただきたいと思います。その上で、御確認いただきましたら文科省のホームページに掲載するということになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【濵口会長】  ありがとうございます。まず、デジタルトランスフォーメーション、文部科学省から始める決意表明をいただきましたので、よろしくお願いします。
 それでは、これで科学技術・学術審議会64回を終了させていただきます。お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

【大土井室長】  ありがとうございました。

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