学校法人の解散に関する諮問文

平成24年10月12日
大学設置・学校法人審議会

学校法人の解散に関する諮問文

24文科高第600号
平成24年諮問第11号

大学設置・学校法人審議会

 別紙の学校法人に対し解散を命ずることについて、私立学校法第62条第2項の規定により諮問します。

平成24年10月12日
文部科学大臣 田中眞紀子

学校法人に対する解散命令について

設置者名

学校法人堀越学園

設置者の所在地

群馬県高崎市八千代町2-4-2

設置校(所在地)

創造学園大学
(群馬県高崎市)
創造芸術学部(280)
ソーシャルワーク学部(100)

高崎保育専門学校
(同市)

高崎医療技術福祉専門学校
(同市)

堀越幼稚園
(同市)

子供の国幼稚園
(同市)

解散を命ずる理由

 学校法人堀越学園は、平成19年度以降、これまで再三にわたり管理運営上の様々な問題について指導してきたが、現在まで改善が見られず、以下の事項について、私立学校法等に違反している。

  1.  設置する学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金並びに設置する学校の経営に必要な財産を有していない(私立学校法第25条)
  2.  組合等登記令に基づく必要な登記を行っていない(同法第28条)
  3.  監事のうち1名が欠けており、補充されていない(同法第35条・第40条)
  4.  適正な財産目録等を作成しておらず、事務所に備え付けていない(同法第47条)
  5.  学校法人の教職員に対して毎月支払われるべき賃金が支払われていない(労働基準法第24条)

 文部科学省としては、今後の学校法人の経営の改善に向けた具体的かつ有効な取組やその根拠について、文書での報告を求めてきたが、現在に至るまで、学校法人堀越学園から適切な回答がなかった。
 これらの状況から、文部科学省として監督の目的を達することができないものと判断し、私立学校法第62条第1項の規定に基づき、学校法人堀越学園に対し解散を命ずることが相当と考えている。

備考

○これまでの経緯については別紙のとおり。

○平成24年10月3日に学校法人堀越学園理事長に対する聴聞を実施。

○平成24年8月22日現在、学校法人の報告によれば、在学生は以下の通り。

  • 創造学園大学220名
  • 高崎保育専門学校11名
  • 高崎医療技術福祉専門学校59名
  • 堀越幼稚園132名
  • 子供の国幼稚園53名

学校法人堀越学園における主な指導経過等

(平成19年12月5日)

 法人理事等が来省し、資金繰りの悪化等について報告。以後、事実関係を確認しながら、経営や管理運営の改善の指導を継続。

(平成21年3月6日)

 管理運営に適正を欠く(平成14~16年度の財務計算書類に虚偽記載)として平成20年度の経常費補助金の不交付決定。

(平成22年7月23日)

 学校法人運営調査実地調査を実施。

(平成22年10月28日)

 平成15年の大学設置認可申請時の書類に虚偽記載(負債額の改ざん、監査法人の署名・押印の偽造)があることが確認され、寄附行為変更不認可期間5年の設定を通知。

(平成22年11月18日)

 平成22年7月に実施した運営調査の結果に基づき指導事項を文書で通知。毎年度の事業評価報告書の作成など6項目を指導。

(平成23年3月31日)

 日本高等教育評価機構による認証評価において、不認定という評価。11の評価基準のうち、教育研究組織、教育課程、管理運営、財務など8の基準について「満たしていない」とされた。

(平成23年9月25日)

 教職員への賃金不払。以後現在まで大学の教員を中心に賃金の不払が継続。

(平成23年10月21日)

 平成22年11月の通知に対する改善報告書が提出されるが、毎年度の事業報告書の作成など実際には実行されていないものがある。

(平成23年12月5日、6日)

 学校法人運営調査実地調査(2回目)を実施。

(平成24年2月10日)

 平成23年12月に実施した運営調査の結果に基づき指導事項を文書で通知。教育の継続性の確保が困難であり、今後の学校法人及び大学の在り方について早急に検討し、適切な対応を行うこと、給与の未払を解消するとともに学校債について適切に対応することなど16項目を指導。

(平成24年4月6日)

 平成24年2月の通知に対する改善報告書が提出されるが具体性がなく内容不十分。外部からの支援を受けられない場合を想定した対応を検討するよう指導。

(平成24年5月21日)

 前橋地裁高崎支部にて堀越氏等が理事の地位にあること等を仮に定める決定。これに関連し学内が混乱し、大学が10日間休講措置。

(平成24年5月24日)

 大島理事長等に、対立する理事とも協議し最低限の法人の管理運営と教育環境の維持を確保するよう指導。

(平成24年5月29日)

 中山理事等に、債務超過の場合、法律上各理事に破産申立ての義務があることを伝達。

(平成24年6月12日)

 堀越理事等に、対立する理事とも協議し最低限の法人の管理運営や教育環境の維持を確保するよう指導。債務超過の場合、法律上各理事に破産申立ての義務があることを伝達。

(平成24年6月20日)

 堀越学園の設置する大学、専門学校、幼稚園の現状を確認するため実地視察。

(平成24年6月25日)

 堀越学園の設置する幼稚園の給食、送迎バスの担当者が賃金不払を理由に出勤拒否。数日間続く。

(平成24年7月19日)

 法令違反の是正、運営資金の確保、運営資金が確保できなかった場合の対応等を検討し報告するよう文書で指導。

(平成24年7月31日)

 7月19日付通知について対立する理事双方より別々の回答。具体的な改善策については言及なし。

(平成24年8月7日)

 学生等の転学、法人の解散等を含め今後の対応等を検討し報告するよう文書で指導。これに対し法人からの正式な回答はなし。

(平成24年8月29日)

 今後の対応等を報告するよう再度求めるとともに、適切な回答がない場合には、所要の措置を講ずることを文書で通知。

(平成24年9月3日)

 担当職員への賃金不払により幼稚園の給食が弁当に変更。

(平成24年9月5日)

 8月29日付通知について対立する理事双方より別々の回答。外部からの資金提供による法人再建の意向が示されるが、実現可能性のある具体的な方策は提示されず。

(平成24年9月18日)

 堀越学園に対し、行政行政手続法第13条第1項第1号に基づく聴聞通知を発出。

(平成24年10月3日)

 堀越学園に対し、行政手続法第13条第1項第1号に基づく聴聞を実施。
 法人関係者からは、法人再建の意向が示されるが、実現可能性のある具体的な方策は提示されず。また、解散命令が出された場合、学生や教職員に混乱が生じるとの懸念が示された。

(平成24年10月10日)

 堀越学園から、聴聞に関する追加資料が、対立する理事双方より別々に提出された。外部からの資金提供による法人再建の意向が示されるが、実現可能性のある具体的な方策は提示されず。

参照条文

<解散を命ずる根拠>

○私立学校法(昭和24年法律第270号)(抄)

(解散命令)
第六十二条 所轄庁は、学校法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基づく所轄庁の処分に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限り、当該学校法人に対して、解散を命ずることができる。

(略)

<違反事由>

○私立学校法(昭和24年法律第270号)(抄)

(資産)
第二十五条 学校法人は、その設置する私立学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有しなければならない。

(略)

(登記)
第二十八条 学校法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。

(略)

(役員)
第三十五条 学校法人には、役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない。

(役員の補充)
第四十条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

(財産目録等の備付け及び閲覧)
第四十七条 学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
2 学校法人は、前項の書類及び第三十七条第三項第三号の監査報告書(第六十六条第四号において「財産目録等」という。)を各事務所に備えておき、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

○労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

<解散命令の諮問>

○私立学校法(昭和24年法律第270号)(抄)

(収益事業)
第二十六条 (略)
2 前項の事業の種類は、私立学校審議会又は学校教育法第九十五条に規定する審議会等(以下「私立学校審議会等」という。)の意見を聴いて、所轄庁が定める。所轄庁は、その事業の種類を公告しなければならない。

(略)

(解散命令)
第六十二条 (略)
2 所轄庁は、前項の規定による解散命令をしようとする場合には、あらかじめ、私立学校審議会等の意見を聴かなければならない。

○学校教育法(昭和22年法律第26号)

第九十五条 大学の設置の認可を行う場合及び大学に対し第四条第三項若しくは第十五条第二項若しくは第三項の規定による命令又は同条第一項の規定による勧告を行う場合には、文部科学大臣は、審議会等で政令で定めるものに諮問しなければならない。

○学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)

(法第九十五条の審議会等で政令で定めるもの)
第四十三条 法第九十五条(法第百二十三条において準用する場合を含む。)の審議会等で政令で定めるものは、大学設置・学校法人審議会とする。

○大学設置・学校法人審議会令(昭和62年政令第302号)

(分科会)
第五条 審議会に、次に掲げる分科会を置く。
 大学設置分科会
 学校法人分科会

(略)

3 学校法人分科会は、審議会の所掌事務のうち、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)及び私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)の規定に基づき審議会の権限に属させられた事項並びに学校教育法の規定に基づき審議会の権限に属させられた事項(私立の大学及び高等専門学校に係るもののうち、審議会の定めるものに限る。)を処理することをつかさどる。

(略)

○大学設置・学校法人審議会運営規則(平成13年2月20日大学設置・学校法人審議会長決定)

第二条 文部科学大臣の諮問があったときは、会長は、その調査審議を分科会に付託するものとする。

(略)

第三条 分科会に付託された事項及び分科会の分担事項に係る建議については、分科会の議決をもって審議会の議決とする。

(略)

お問合せ先

高等教育局私学部参事官付