大学設置・学校法人審議会 学校法人分科会長コメント

平成24年10月25日
大学設置・学校法人審議会

大学設置・学校法人審議会 学校法人分科会長コメント

 このたび、大学設置・学校法人審議会は、平成24年10月12日に文部科学大臣から諮問された学校法人堀越学園に対する解散命令について、妥当とし、その際、在学する学生、生徒及び幼児の修学機会の確保の観点から可能な限りの措置を講ずることとするとともに、それに必要な期間を考慮し、平成24年度末までに解散を命ずることが適当であるとの答申を行った。
 学校法人は、高い公共性を有する学校の運営を継続的かつ安定的に行う責務を負っていることは言うまでもない。また、現行の学校法人制度においては、それぞれの学校法人が建学の精神に基づき多様な教育を提供できるよう自主性、自律性が尊重されている。
 しかしながら、学校法人堀越学園においては、経営上も管理運営上も数多くの問題を抱え、危機的な状況にまで陥っている中で、文部科学省から再三にわたり改善を求める指導を受けてきたにもかかわらず、改善に向けた責任ある真摯な対応が見られないなど異常な状況が続いている。このことは、いかに自主性、自律性が尊重されているとはいえ、高い公共性が求められている学校法人としてあるまじき姿であり、解散を命ずることによってしか問題の解決が図れないという事態に立ち至ったことは、極めて遺憾である。当然のことながら、このような事態を招いた学校法人堀越学園の責任は厳しく問わざるを得ない。
 同時に、在学生の修学機会の確保のため、学校法人堀越学園には、転学等に必要な措置をはじめ責任ある対応に総力を挙げて取り組むよう強く求めたい。
 また、転学等の支援については、この際、他の学校におかれては、可能な限り学生等の受入れについて御配慮いただき、関係諸団体におかれても御協力いただくよう期待したい。国においても、前例にとらわれず、できる限りの支援をしていただくよう積極的な対応をお願いしたい。
 本事案は、基本的には特定の学校法人が自らの責任で招いた異例のものではあるが、私立学校を取り巻く社会情勢の著しい変化の中にあっては、高い公共性を有する私立学校を自主的、自律的に運営するという学校法人制度の根幹を揺るがしかねない要素をはらんでいる。このような観点から、改めて我が国の私立学校制度について、多様な教育研究を展開される各学校設置者の一層の自覚を期待したい。
 なお、学校法人分科会の審議においては、修学機会の確保など在学生の保護という観点からは、現行の私立学校法について、学生が在籍している学校法人の解散が不可避となるような事態への対応の在り方を更に検討し、時代の変化に合わせたものとしていかなければならないとの指摘もあった。建学の精神に基づく私立学校の自主性、自律性の尊重という原則を十分踏まえながら、本事案のような異例なケースにも対応できるような制度的方策についても、本分科会として検討課題としつつ、引き続き任務の厳正な遂行に努めていきたい。

平成24年10月25日

大学設置・学校法人審議会
学校法人分科会長 日髙 義博

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