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大学設置・学校法人審議会

2002年10月30日議事録
学校法人制度改善検討小委員会(第1回)議事要旨

学校法人制度改善検討小委員会(第1回)議事要旨

1. 日   時 平成14年10月30日(水)   13時30分〜15時
     
2. 場   所 文部科学省別館11階   第7会議室
     
3. 出席者 (委   員) 石山卓磨、黒田壽二、高祖敏明、佐野慶子、田中雅道、山内昭人、和田義博
    (文部科学省) 玉井私学部長、山根私学行政課長、栗山私学助成課長、石井参事官、梶山私学行政課課長補佐、田村私学助成課課長補佐、松浦参事官補佐、西山参事官付調査官

4. 議   題
       (1) 主査の選出
  (2) 学校法人制度の改善(ガバナンス機能の強化)について
  (3) その他

5. 配布資料
       資料1 学校法人制度の改善(ガバナンス機能の強化)に関する検討項目(案)
  資料2 財務状況の公開の概要
  資料3 監事制度の概要
  資料4 理事制度の概要
  資料5 評議員会制度の概要
  資料6 学校法人の会計監査
  資料7 民間的な経営手法
  資料8 学校法人会計基準について

6. 議   事
       (1) 私学部長から挨拶があった。
  (2) 主査に高祖委員が選出された。
  (3) 委員会の公開について事務局より説明があり、審議会決定に基づき、議事は、非公開とするなどとされた。
  (4) 事務局から資料についての説明があり、ガバナンス機能の強化についての自由討議を行った。

      ○:委員   ●:事務局

○: 恐らく大学法人でも、これから閉鎖も想定されることを踏まえて検討を行っていると思うが、今まで文部科学省所管の大学法人で閉鎖された例があるのかお聞かせ願いたい。

●: 過去、2法人ほど破産したケースはあるが、債権者の理解を得て、学校経営は継続している。今回は、学校法人制度自体の改善、むしろ監査機能を生かして破綻にならないような仕組みを御検討頂きたい。

○: 何のために今、ガバナンス機能を強化しなければならないのか、文部科学省の考えをお聞かせ願いたい。私立大学、短大での不祥事を防ぐためにガバナンス機能の強化を図ろうとしているのか、それとも社会一般の状況によりガバナンス機能を強化するということなのか。

●: 確かに色々な問題が起きているが、それが直接に関係している訳ではない。むしろ、社会状況の変化の中で、学校法人制度が十分かどうかを御議論頂くのが大前提である。ただし、学校法人制度全体を見直すのではなくて、内部監査機能の仕組みは十分あるはずだが、それで十分と言えるのか、運用面ではたして機能しているのかどうか、また、情報公開にしても透明性を確保することが時代の要請だが、全て公開することの是非についても御議論頂きたい。

○: コーポレートガバナンスの場合は、効率性と健全性の二つの柱があるが、時代によって力点が変わる。私の経験では、理事会と教授会との軋轢というのがどの大学にもあり、効率性を失わせていると考える。このような問題について、法的な措置でそれを改善させるといったようなことも検討の中に入るのか。

●: 従来から、設置者である学校法人と設置されている大学との関係は常に議論になるが、法的な整備というより、運用の問題と考える。今回は、法人の運営としての健全性を担保することに焦点を当てて頂きたい。

○: 文科省として、ガバナンス機能の強化の検討に当たって、幼稚園法人と知事所轄法人、それから大臣所轄法人をまとめて考えるという前提なのか。それとも大学法人を主体で検討するのか。

●: 都道府県知事の所轄する高校以下の学校法人及び文部科学大臣所轄の大学・短大の学校法人を対象としたい。全ての学校法人を視野に入れてどの様なガバナンスに関する改善・方策が可能なのかを御検討頂きたい。しかし、大規模な大学と幼稚園、あるいは小・中学校とかなり様相が違う点もあり、その辺の法人の種別化も念頭に置きながら、御議論頂きたい。

○: いわゆる第三者評価は機関別評価になっているが、その第三者評価も視野に入れて行くのか。また、学校法人運営調査も学校法人について指導・助言をする機能を持っていたと思うが、この学校法人運営調査委員会も視野に入れるのか。

●: 第三者評価については、機関評価ということは大事な問題だと考える。評価項目として、情報公開も想定されており、第三者評価の導入ということも視野に入れつつ、御検討願いたい。また、学校法人運営調査委員制度を活用しながら、指導・助言を行ったらどうかということも視野に入れて頂きたい。

○: 私立学校が自主的に学校を発展させていくことを促進するような仕組みをどの様に構築するかに重きを置き、これらの仕組みをどう活用できるか等を自由に意見交換をして頂き、学校の種別の特有の問題は、別に整理して行きたい。資産の評価のことだが、学校法人も銀行等と同じように含み損がある。本来なら授業料に依存しなくても資産運用の中で運営していけば良いことが今の日本の状況ではなかなかできない。むしろ、持っている物の価値が下がっているという実態なので、今のやり方では実態を表していないという批判が出てくる理由がある。

○: 財務状況の公開については、財務三表の公開では不十分ではないか。むしろ、事業の実施状況がもう少し見えるようなものを公開すべき。それから、学校法人の会計監査だが、公認会計士の監査というのは会計基準について準拠しているか、否かについて意見を申し上げるということであって、ガバナンスと言った場合には、監事による監査制度、あるいは内部監査による業務監査といったものが一緒にならないと力を発揮できない部分がある。それから、会計基準の準拠性と会計基準そのものの改正が必要かどうかの見直しを行った方が良いと考える。

○: 例えば、公開を考えた場合、どうしたら経営の結果が見えるのかとか、教育研究の内容が財務評価に合っているのか、事業内容がもっと見易いものになるのか、というようなものが必要と考えるが、非常に難しい問題を含んでいる。団体の中でも、会計基準のどこに問題があるのか、検討を始めた所である。

○: 文科省として内部監査の実態把握をしているのか。

●: 大学について、文科省として資料3でまとめた調査などがある。私学関係団体においても、ガバナンス機能の検討を行っていると聞いているので、色々情報は収集をさせて頂きたい。

○: 監事に報酬を払っているかどうかの調査をしているのか。

●: 報酬を払っているかどうかは重要なことなのか。

○: 地元の名士に名前だけ借りて、報酬も払わないのに仕事はやって貰えないという経営者側の思い込みがあり、引き受ける方も名前だけなら貸しますよといった所が無いとも言えないので、監事の機能を強化するには、それなりの報酬が必要かと考える。

○: 私も会計検査院に呼ばれて行ったときに、監事の報酬が無ければ役割を果たすのは無理と言われたことがある。理事会に出席して頂いて、帰りに車代をお渡しするようなことで理事会に監事が出席しているということは、牽制にはなっていて良いと考える。より適切な機能を果たして頂くことが必要と考える。

○: 監事は私立学校法上では、理事よりも強い権限があり、監事がどの様な職務を行うかを徹底する必要がある。そのためには、研修会を開くことが必要である。色々な大学の監事に質問すると、「会計経理については、公認会計士に任せている。」と返ってくる。監事が担当した結果について、公認会計士が監査することが必要ではないか。監事が先に監査をし、会計監査と同時に業務監査を行う。財務公開の問題だが、ある私学関係団体では、財務三表の大項目について公開という取り決めがなされている。大きい大学では財務諸表は文科省に提出するために目的、プロジェクトごとに予算立てをして、それを計算分類で全部合わせていくらだとやっているので、実態を表していないのではないか。業務報告書と併せて発表するとか、今年はこの様な活動をしたと言うようなことを一緒に付けて貰うとかすれば、透明性を少しでも確保できるのではないかと考える。

○: 事業計画に従って予算を組み、理事会で承認して、理事長が執行することの必要性が、ガバナンス機能の上では非常に重要だと考えるので、どこかの項目に入れて頂きたい。

○: 予算をきちんと組むことが学校法人の健全性に繋がることは事実だと思われる。また、監事機能の強化というテーマで物事を考えたときに、果たして適切な監事というのが日本に育っているのか。一つは、職員が定年になって、名誉職的な意味で監事をしているようなケースも多いと思われる。学校のことはよく解っているが、理事長に対して物が言いにくいという監事はたくさんいる。もう一つは外部から監事になって頂く場合は、今度は学校のことがよく解らずに監査をしなければならず、監事を育てる機能として、研修会を開くなりする必要があると考える。

○: 大きな大学なら監査室があり、きちんとした対応をしているが、理事会の直前に監査を行い、そのまま理事会にかけている例も見られる。

(高等教育局私学部私学行政課)

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