学校法人制度改革特別委員会(第5回)議事録

1.日時

令和4年3月17日(木曜日)15時30分~18時30分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 個別の論点について
  2. 報告書(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

福原主査、佐野委員、西岡委員、梅本委員、尾崎委員、米澤委員、田中委員、小原委員、川並委員、嵯峨委員、重永委員、尾上委員、福田委員

文部科学省

森高等教育局私学部長,滝波高等教育局私学部私学行政課長,相原高等教育局私学部私学行政課課長補佐

5.議事録

【福原主査】
 皆さん、こんにちは。ただいまより、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会学校法人制度改革特別委員会第5回を開催いたします。
 年度末が近づきます御多忙の中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、御承知のとおり、昨夜遅く、東北地方に強く大きな地震がございました。被災された皆さん、また、不自由や不安を覚えて生活を送っておられる皆さんに対しまして、当委員会一同より心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りを申し上げます。
 また、同地域の大学、学校、幼稚園等々におかれましては、年度末の様々な行事を用意されていたところであろうかと存じます。こういう時期ではございますけれども、無事それらが進行されますことを、併せてお祈りをいたしておきたいと思います。
 さて、本日も、新型ウイルス感染症対策のために、Zoomを用いたウェブ会議として開催をいたしまして、その様子をユーチューブライブ配信にて公開をいたします。会議資料、音声など、改めて御準備よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から、連絡事項と、本日配付、配信されております資料の確認をいたします。よろしくお願いします。
【相原補佐】
 私学行政課の相原でございます。本日もよろしくお願いします。
 主査からも冒頭、お話がございましたけれども、宮城県、福島県沖の地震、一日も早い復旧、学校活動の再開をお祈りしたいと思っております。
 本日もウェブ会議の運営につきましては、御発言に当たりまして、画面に向かって挙手をされるか、Zoomの参加者ボタンから手を挙げる機能を使っていただくか、そして、主査の指名を待って、ミュートを解除して御発言をいただき、終わられましたらミュートに戻していただくということで、よろしくお願いいたします。
 本日の配付資料につきましては、議事次第のとおり、資料1から4まで、そして、参考資料の1から4までとなっております。資料の1が、最後に残された論点に関しての刑事罰についての資料、それから、資料の2と3は、これまでの主査覚書に議論も加えた形で事務局でまとめ直した報告書(案)、そして、その概要と。そして、資料の4は、前回のお配りした規模に応じた対応案、少し正確を期して用語等の修正を施したものということになります。
 また、参考資料におきましては、参考資料の2が、各私学関係団体の意見をまとめた表、そして、参考資料の3と4は、また後ほど事務局のほうから紹介いたしますが、構成委員以外の団体からの御意見ということで届いておりますので、御紹介になります。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと存じます。本日の進め方でございますけれども、御案内のとおり、まず、議題1といたしまして、学校法人ガバナンス改革に関する個別論点のうち、まだ御議論を、御意見をいただいておりませんでした私立学校法における刑事罰の在り方についての部分を討議させていただきます。その後に、私学行政課のほうでおまとめをいただきました報告書(案)について討論を進められればと考えております。
 本日も約3時間の長丁場の時間を頂戴をいたしておりますので、途中で10分間ほどの休憩を取らせて進めさせていただきますので、どうぞよろしく御協力のほどお願いをいたします。
 それでは、まず、事務局から資料の内容の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【相原補佐】
 私学行政課です。まず、資料の1の御説明をしたいと思います。
 昨年末の文部科学省におきます私立学校ガバナンス改革に対する対応方針の中におきましても、刑事罰の在り方というのも含めて、不祥事事案を踏まえて検討するということの要請がされておりましたところ、この会議におきましても、主な論点ということで、前回まで主な論点の資料を配付させていただいておりましたが、その中でも、論点の7-3だったかと思いますが、刑事罰についての意見も紹介をさせていただいておりました。
 今回、改めて最後に、個別の論点ということで取り扱い、審議をお願いするわけでございますが、今回、この刑事罰につきましては、私立学校法の中に、1ページは特別背任罪ということ、それから、2ページは贈収賄罪、そして、3ページは目的の範囲外の投機的取引、そして、不正手段による認可の取得という4つを掲げておりまして、それに相当する刑事罰が、一般的な法人の法制においても近年は取り入れられているということが一般的でございまして、4ページ5ページに、一般社団法人法、そして公益認定法というところにおける同様の刑事罰の取扱いを参考として整理をさせていただいております。
 1ページに戻っていただきまして、特別背任罪につきましては、とりわけ学校法人の財産の保護、同様に3ページの投機取引についても、これも学校法人の財産の保護というような部分が保護法益ということになります。また、2ページの贈収賄につきましても、これも役員等の職務の公正といった部分が保護法益ということになります。
 また、この贈収賄も、それから3ページの不正手段による認可取得という部分も、一般的に学校法人あるいは学校法人制度に対する社会一般の信頼というのも保護法益に射程に入ってくるというようなものとなっておりますが、いずれもこの保護法益につきましては、教育のために管理することというのを付託された財産を守っていく、あるいは役員の職務の執行の公正を担保していくということでありまして、これらはいずれもガバナンスの問題を防止していくという刑事罰ということであろうかと思います。
 冒頭、一般法人法についても御紹介いたしましたが、他の法人制度、社会福祉法などもそうでありますが、他の法人制度におきましても、このような刑事罰というのが一般的に整備されてきているという状況がございまして、その中では、特別の法人制度というのを別の法律で、私立学校については、学校法人について私立学校法という別の法律で定める仕組みであるがゆえに、このような罪、刑事罰というものの扱いは、特別な法人の法制において整備しなければ適用されないというような状況が生まれているというようなことでございます。
 したがいまして、ここでは性善説か性悪説かということでは必ずしもなく、そのような刑事罰の未整備状況というのを改善するということが、他の法人とも比べて、信頼向上確保ということにつながっていくということであろうかと思っており、また、通常の運営というものをされているケースに対して、一切、この刑事罰の導入に関しては影響というのを及ぼすものではないというふうにも考えておるところでございます。
 本日は改めて、この刑事罰、他法人と同様に、それぞれの特別法人法制の中において整備するという方向性について、御意見を賜れればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料1、私立学校法における刑事罰の在り方についてというところを、まず皆さん方から御意見、また、それに先立つ御質問等をいただきたいと存じます。
 重永委員どうぞ。
【重永委員】
 今のではないんですけれども、前回、第4回会議における米澤先生の御質問に関することについて、私が少し意見を申し述べたものですから、それに関して発言しなくてもよろしいでしょうか。
【相原補佐】
 グループ法人のところの御質問が。
【福原主査】
 学校法人のグループ経営に関するところで、最後に幾つかやり取りいただいたところかと思いますが。
【相原補佐】
 御用意されて……。
【福原主査】
 恐縮でした。御用意いただいているのでございましたら、では、今の刑事罰の在り方についての御意見を賜るのは少し置きまして、先に重永先生からコメントをいただきたいと思います。どうぞ。
【重永委員】
 恐れ入ります。前回、第4回会議の最後のところで、米澤先生からお話しいただいたことにつきまして、その後、もう少し敷衍していただきたいということで勝手なお願いをしましたけれども、米澤先生並びに私学行政課のスタッフの皆さん方にお手数をおかけしましたが、大変ありがとうございました。よく分かりましてございます。
 米澤先生の御質問といいますか、御意見について、今ここで繰り返しませんが、私が考えましたことをちょっと申し述べさせていただきますけれども、まず、結論的には、米澤先生の御心配は杞憂ではないかなというふうに私は考えております。同一グループの学校群において、学校グループにおいて、複数の学校法人に分けまして、それらの理事長を親族や近親者、あるいは関係者で全部占めるというのは大変難しいというか、そういうふうにするほうが力の分散にむしろつながって、学校運営が非常に運びにくくなるのではないかというふうに思いまして、そういう方法を取るところはあまりないだろうというふうに思ったところでございます。
 それで、私どもの、東京都市大学グループと申しますけれども、大臣所轄法人でございますが、東京都と神奈川県、そして、長野県にキャンパス、また、学校を置いております。そのうち、長野県は、高等学校のみ設置しております。東京都市大学塩尻高校と申しますけれども、会計監査をはじめ、諸監査については、長野県知事の管理下にもありつつ、文科大臣の会計監査の監督を受けておるというような状況でございます。
 この私どものグループについて申してみますと、都市大塩尻高校を別法人にしまして、理事長ほかを別立てにするということは、何のメリットもないというふうに思っております。学校法人運営が離れ離れになりますし、それとともに学校そのものの運営がグループ理念から乖離していく原因となりますので、管轄の違いによる本来の意図外しだけを狙って別法人にするということはあり得ないというのが、現場にいる者の率直な実感でございます。
 そういうことと併せまして、今回の報告書(案)を拝見いたしましたら、米澤先生が御心配になっていることについても考慮がされているところのようですので、私は報告書にそれが盛り込まれることにつきましては、それに従うことにやぶさかではないということを最後に申しまして、一応、米澤先生に対するお答えになっているかどうか心もとないところはありますが、最初に発言させていただきました。ありがとうございました。
【福原主査】
 ありがとうございます。前回、時間の関係で、米澤委員と重永委員のやり取りにつきまして、まとめが不十分なところがございまして、失礼いたしました。重永委員のところから、前回の議事録の最後にもございますけれども、それを敷衍して、委員の皆さん方に実態の御説明かたがた、今、コメントがございました。
 米澤委員、何か。よろしゅうございますか。
【米澤委員】
 ありがとうございます。それでは、手短にお礼を申し上げたいと思います。
 私の申し上げたかったことは、複数に学校法人が分かれていく。それは子法人の場合と、グループ法人があるんですけれども、そこでガバナンス上の隙間みたいのができないかということについての懸念というのがあって、それが大丈夫かということについて、悪用される機会があるかということを伺いたかったんですけれども、今のお話を伺う限り、そうではないということで、理解いたしました。
 その上で、恐らく今回、最終的な報告書の中でお示しいただいたんですけれども、小規模な学校法人に対する配慮というのをこれから議論していくことになるんですけれども、やっぱり一番懸念すべきことは、今回の我々の在り方というのが、基本的にガバナンスの在り方というものに焦点があって、例えば、このガバナンスの在り方によって、結果的に学校法人の統合が進んでしまうとか、あるいはその逆があるというようなことを副次的効果として生み出すということを意図したものではないということが明確に伝わるということが一番大事かなというふうに感じておりまして、そのようなことを少し委員としてのまとめをするときに、組み込んでいただきました。
 以上でございます。
【福原主査】
 どうもありがとうございました。私どもの立場からも、両先生に対してコメントいただきましたことを御礼申し上げたいと存じます。
 私のほうで、また覚書に、学校法人のグループ経営という傾向が今後広がる予想もございましたので、そういったことが、単一の学校法人を前提としたこの議論の中であってはいけないという指摘だけさせていただいたところを、両委員から掘り下げて、実態面から、また、理論面から御意見を賜ることができました。今後、またいろいろな議論をさせていただくときに、大いに参考になろうかと存じます。どうもありがとうございました。
 それでは、まず前回に続く御意見をいただければよかったのですが、ほかに、前回の意見の補足といいますか、そういうことがありましたら先に伺います。この後、報告書について御意見いただくところでも。またいただければと思いますが、よろしいですか。
 それでは、本日の進め方で御了解いただきましたとおり、まず、私立学校法における刑事罰の在り方について、先ほど事務局から資料の説明いただきましたので、これに関する御意見や御質問等を賜ってまいりたいというふうに存じます。何かございますでしょうか。
 この点、各私学の団体のほうから、当初主要論点に関する意見として寄せていただいたところでも、特段、御異論というようなものがあったわけではございませんが、今、改めて学校法人に関しても、一般法人法をベースに、他法人にも及んでいる刑事罰の規律、刑事規律というものを及ぼすことに関して、御意見、御懸念等ありましたら、お伺いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、ここの部分につきましては、本日改めて御意見を賜る場を設けさせていただきましたが、小原先生、御意見おありでしたら、よろしくお願いします。
【小原委員】
 意見ではなく質問です。例えば、3ページに刑事罰の対象に投機取引のために学校法人の財産を処分した場合があります。例えば、多くの大学で資産運用していますが、それで、もし過去にありました約150億円を仕組債で損失を出した大学のような場合はこれに当てはまるのでしょうか?それとも、もっと前に、ある理事が大学の所有する不動産を不動産会社に売却したというのがありました。損害を与えたというのは、結果、損害が出てしまったのと、ある程度意図して害を与えた、共に網にかかるのでしょうか?
【福原主査】
 では、念のために、その範囲について御説明を。
【相原補佐】
 事務局ですが、小原先生、ありがとうございます。
 まず、御指摘のありました、資産運用の件につきましては、学校法人運営調査委員会のほうの議論も踏まえた形での通知というのも出ております。そして、今回議論しておりますような内部統制というのも、まさに役員の善管注意義務・忠実義務というのが具現化する、今回リスク管理等についても具現化していくというのが、一つの理事会の役割になっていく部分も関わってくるとは思いますが、一般的にそのようなしっかりとしたリスク管理というのをした前提における資産運用という部分が、刑事罰の対象となるものでは決してないと。ここにありますように、事業規模に比して過大な取引というのをやるようなこと、そして、学校法人の財産を危険にさらすような場合が該当してき得るというふうにお考えいただければと思います。
 また、前の部分のほうに逆になってまいりますが、損害を実際に与えたかどうかという部分につきましては、損害を与える、そして、その意図というのが当初からあったという部分が、この特別背任におきましては、ここでは自己もしくは第三者の利益を図るという意図、そして、法人に損害を与えるという意図、ここがこの特別背任の要件の一つに入ってくるということになってまいります。
 補足の説明でございます。
【福原主査】
 小原委員、よろしゅうございますでしょうか。決して結果的な責任ということではなくして、ここにありますように、目的の範囲外における投機的取引に関してということでございますので、そのような厳格な解釈をしていただければというふうに思います。
【小原委員】
 ありがとうございました。
【福原主査】
 ほかに何か御質問等ございますでしょうか。
 ありがとうございます。では、ここのところは他の公益性のある法人と同様、また、学校法人であればこそ、ここに拠出された公共性の高い財産の保護という観点で、こういった刑事罰を導入するということにつきまして、皆様方から御同意をいただいたということで、進めさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
 では、これまでの当初の主要な論点という形で各団体の御意見をお伺いをし、また、それについて寄せられた御意見や調査事項を踏まえて、主査の覚書というものを作らせていただいて、理解を深め、議論を進めてまいりました。
 それらを踏まえて、また今回、この委員会の一応のまとめとしての報告書(案)を検討するという段階に入ってまいりましたので、ここで本日御提示いただいております報告書(案)につきまして、皆さんの御意見をいただきながら、まとめを進めさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から、この報告書(案)の説明をお願いいたします。また、併せて前回から今回の間に、この特別委員会の議論の進行に合わせて、会議委員を出していただいていない団体からも、当特別委員会宛てに意見が提出されておりますので、それらも併せて紹介をさせていただくということに、少しお時間いただいて、お聞きいただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
【相原補佐】
 それでは、まず、参考資料の3を御覧いただきたいと思います。構成委員以外からの団体の御意見として、まず、この参考資料の3は、全国知事会さんからの御意見ということでございます。
 大きく2つ、いただきました。まず、1点目は、これまでのガバナンス強化との整合性、あるいは私学団体の意見を十分に踏まえた検討ということを御要請する意見というのが1点目と。特にこれまでの強化との整合性というところは、令和元年の改正というのに今取り組んでいるというところをしっかり踏まえてほしいと。併せて理由にそのように書いておられるかと思います。
 もう一つの御意見のほうは、法人運営の透明性を確保しつつ、創立の精神、建学の理念に基づき運営ができるように、法人の規模にも配慮した慎重な議論をお願いしたいということで、理由にもございますが、それぞれの設立の経緯や規模、あるいは小規模であるほど、制度改正に伴う負担という部分が実務上の運営に影響を及ぼす可能性があるところを考慮していただきたい、このような御意見となっております。
 次に、参考資料の4をお願いいたします。こちらは、日本私立大学教職員組合連合さんからの御意見で、2回目の追加の御提出ということになっております。
 まず、1ページ目のローマ数字の1につきましては、評議員会の議決事項をより広く法定してほしいというような御要請になっているかと思います。
 2ページのローマ数字2については、理事の選任に関連しまして、理事長・理事会による理事の選任というのを無効にするように定める、そのような御意見となっております。
 また、3ページから、ローマ数字3は評議員の部分になりますけれども、1番ですが、評議員の選任を理事長・理事会が行うというのは無効と。ただし、理事会による推薦は妨げない、このような御意見になっております。
 また、2番3番になりますが、評議員会の構成という部分、あるいは選任方法という部分で、構成については、今回、教職員に関しての上限を求めることへの反対御意見ということ。また、選任方法については、それぞれの区分ごとにしっかり明確にという。これも前、いただいた御意見かなというふうに思います。
 次に、4ページ、監事でございますけれども、監事は、1番にありますように、評議員会で選任する。ただし、理事会による推薦は妨げないという御意見のほかに、2番で、教職員が休職して監事になれるようにしてほしいという御意見もここで頂戴をしております。
 また、5ページになりますけれども、評議員・評議員会に対しての監事の監査というものがどのようになるのかというところも含めてと思いますが、少し御懸念の意見というのがここで表明されているというところであります。
 最後に、ローマ数字の5で、会計監査、子会社ですけれども、会計監査人について賛成の意見、それから2番で、子法人について監査の対象としていくというような御意見、これは前回も御意見もいろいろありましたが、今回また御審議をしていただく部分かなというふうに思っております。
 そして、6ページにその他ということで、1番ですが、学校段階、規模ごとに、学校法人の基礎的な事項というのは区分して考えるのではなく、全法人に適用すべきだという御意見をいただいております。
 このような御意見を頂戴したということで、また議論の参考としていただければと思います。
 それでは、資料の2、報告書(案)をお願いいたします。主査からも御紹介ございましたが、これまでの主査の覚書、御労作を事務局のほうで、前回までの議論も加味し、また、主な論点で提示させていただいたところも少し補足をさせていただきまして、今回、この報告書(案)として、学校法人制度改革の具体的方策についてということで案を提示させていただきます。
 まず、1ページの「はじめに」でございますが、当初の検討の経緯どおり、ここは、学校法人の改革につきましては、私立学校が社会の信頼を得て一層発展していくために、学校法人の沿革や多様性に配慮しつつ、社会の要請にも応え得る実効性ある改革を推進すると。あるいは、不祥事事案の再発防止策というのを反映する、このような基本の考え方を確認し、関係者の合意形成を丁寧に図ってきたというところを記載してございます。
 次の段で、大きなこの全体の具体的方策を貫く考え方を整理しておりますが、特別委員会の前身の諸会議の検討成果というのも踏まえ、執行と監視・監督の役割の明確化・分離という改革理念を継承しつつ、各機関の建設的な協働と牽制関係の確立によって、学校法人の円滑な業務執行、幅広いステークホルダーの意見の反映、法令や社会的規範から逸脱した執行の防止・是正を目指すという考え方をここでまとめさせていただいております。
 最後の段、この報告書の射程範囲でございますけれども、具体的方策につきましては、私立学校法の改正により実現すべき事項を中心としてまとめたという位置づけであります。その上で、その法律以外の事項についても、下位法令や通知の検討、あるいは寄附行為の定めになお委ねられる事項についても、寄附行為作成例の見直しや各関係団体のガバナンス・コードの改訂といった自主的な取組を促進していくと。このような改革の不断の努力ということをまとめさせていただいております。
 2ページをお願いします。1については、学校法人の独自性、これを主査の覚書をベースにまとめさせていただきました。1の改正経緯は御覧のとおりであります。
 その上で、1-2、学校法人の責務という部分、この部分も、主査に大変丁寧に整理をしていただきましたが、学長、校長という、校務を統督する、統括する法人業務との関係性という、私立学校、学校法人をめぐる独自性、固有の文脈というのをしっかりここで確認をさせていただいております。
 その上で、そのような機関、法人業務と校務に関しての特殊構造におきまして、経営と教学面の協調を図り、その中で運営基盤の強化、教育の質の向上、運営の透明性の向上という責務を果たしていくという観点から機関の設計も考慮していくんだということで、まとめさせていただきました。
 また、1-3の部分では、これまでの御議論を踏まえまして、所轄庁の違いや規模の大小等、様々な法人の多様性を尊重し柔軟に対応するという考え方を、改めてここでまとめとしてさせていただいております。
 次に、1-4、これも大変主査に丁寧におまとめいただきました、学校法人をめぐる制度の固有の文脈というのを、評議員会を中心に今回改めて事務局でも継承させていただいております。
 その上で、3ページの(2)評議員会の設置趣旨ということで、私的財団等の拠出に基づいて創立の理念、建学の精神の下に私立学校を設置・管理するという固有性というものを改めてここで確認いたしますとともに、評議員会というものの位置づけ、しっかりと法制定以来どのようになっているのかというところも確認をするとともに、また、主査に整理していただきましたけれども、創立者等が評議員会の構成員となり、また、執行機関の理事長・理事にもなるというような創設時における学校法人運営のプロトタイプというようなもの、あるいは、教職員、卒業生、あるいはその他の関係者といったものが評議員の多くを占めたり、あるいは、財産面においても、当初の創設時の影響というものが薄れて、人的集団としての性格を強めるというようなケース、このようなそれぞれのケースというのもここで例示はさせていただきましたが、その次の(3)でございますが、そのような様々な創設の経緯、段階、多様な学校法人がある中において、評議員会に着目した場合に、これも主査の整理に従いまして継承いたしましたが、1つは、伝統的なガバナンス構造として、建学の精神に力点を置いた寄附行為の番人というような評議員会の位置づけ、あるいは現代的なガバナンス構造ということで、教育研究活動が拡大してくるという中では、幅広いステークホルダーとの対話によって公共性を維持する、そういう場としての評議員会、それぞれにおいて、業務執行の牽制という点では、建学の精神というのをしっかり顧みるようにする、あるいは特定の利害関係に意図的に支配されないようにする、そういったことをしっかり考えていく必要があるという考え方、さらに、学校法人については、税制優遇や私学助成、幼児教育・高等教育の無償化といったことも含め、社会的な信頼を確保すべき要請が強まっていると。このように、ガバナンス構造の現代化の要請を含めてまとめたところでございます。
 4ページをお願いします。そして今回の、特に機関設計の見直しに当たっての視点、こちらも主査の丁寧なおまとめをほとんどそのまま継承をさせて、まとめさせていただきましたが、先ほども「はじめに」にも出てまいりました、2-1におきましては、執行と監視・監督、その役割の明確化・分離というのを考え方として、権限というのを機関ごとに明確に整理、分配すると。そして、建設的な協働、相互牽制というのを、学校法人に、私立学校の特性に合う形で実効性のある構造というのをつくる。このような考え方をここでまとめております。
 そして、ガバナンス不全という構造的なリスクから不祥事にもつながる部分、その辺りをしっかりと提言するような評議員会の地位や、理事・監事・評議員の選出の在り方の改善を目指すという考え方で整理をしております。
 また、主査の覚書で当初整理いただいたとおりですが、現行の制度で問題がないから改革の必要はないということではなく、寄附行為に広く委ねられているガバナンス構造について、一定の部分は法的な規律で明確化し、社会の信頼を獲得していくというようにまとめさせていただいております。
 次の2の部分につきましては、特に委員の皆様方の中でも、規模といった部分に着目した御意見を広くいただいておったところでありますけれども、必要な規律は共通に明確化して定める一方で、所轄庁の違いや規模というのにもしっかり考慮して、寄附行為による自治というのを許容していくという考え方というのも示しております。
 「その上で」の段落の後半のほうになっていきますけれども、これまでの議論を踏まえまして、その際、知事所轄法人であっても、全国的に展開するなどの大規模な法人については、大臣所轄法人と同等の扱いとすると。あるいは、大臣所轄法人においても、実務上の支障が規模の小ささゆえに生じることのないように図りつつも、一方で、広くステークホルダーの意見を取り入れる要請というのが強いということも考慮するということで、まとめさせていただきました。これは前回も主査が、かけがえのない教育、あるいは社会的な影響というのを考慮していく必要があるというふうにおまとめいただいておったところかと思います。
 最後は、「あわせて」の部分、これは主査の覚書からそのままでございますが、変更が今回制度改正で生じる部分の負担というところは、大臣所轄学校法人以外の法人を中心として慎重に措置する、あるいは、経過措置というのを定めるという考え方で示してまとめております。
 次に、3つ目のエンフォースメントというところで、4ページから5ページ目にかけての部分、こちらは、主査の整理のとおりに継承いたしましたが、5ページの冒頭、「また」というところになりますけれども、理事会・評議員会の議事録の作成や閲覧、会議運営の手続、あるいは紛争の早期・画一的な解決に資する訴訟制度の整備、あるいは本日御議論いただいた刑事罰といったような部分、これらも一部には論点で提示はさせていただきましたが、他方で、その辺りは学校法人固有の事情を考慮するというところを特段要しないという部分かとも思いますが、そのような事項につきましては、この特別委員会の前身の諸会議における検討の成果というのを踏まえて、他法人等を参考にした制度を導入していくという考え方を、ここで改めて追記をさせていただきました。
 また、「はじめに」と同じでありますけれども、私立学校法改正というハードローの整備以外に、ガバナンス・コードの見直しや実効性の確保という面での検討、改善というのを今後も進めていくということの必要性も追記してございます。
 次に、3番からが、今回の具体的な改正事項を中心とした具体的方策ということでございます。
 まず、3-1ということで、理事会・評議員会の地位、関係という部分になりますが、主査も大変丁寧におまとめいただきましたが、そのまとめの構造というのをそのまま借用させていただきました。
 まず1つ目に、(1)で、意思決定権限分配というところでまとめております。この部分は、評議員会に、この意思決定の権限というのを理事会との関係でどのように分配し直すのかという部分でありましたが、これまでの覚書及び議論という整理を改めてここで載せておりますが、かいつまんで言えば、大臣所轄学校法人では、任意解散・合併、あるいは、それに準ずる程度の重要な寄附行為の変更というような法人の基礎的変更等については、理事会の決定とともに、それに加えて評議員会の決議を要すると。また、それ以外の業務事項については、理事会中心に決定しているという現行制度を維持するということ。あるいは、次のページまでに知事所轄法人についてまとめておりますが、基本的にこれは理事会の決定ということとしつつも、寄附行為で評議員会の議決を要することを定めることもできる現行の制度を維持するということにしております。
 なお、資料5ページの大臣所轄法人の一番後ろの部分と、そして、知事所轄法人の一番後ろの部分に、今回の法改正では措置しないけれども、次の改正の検討事項ということで、引き続き大臣所轄法人においても、中期計画や役員報酬基準といった重要な業務事項をどう考えるのかという部分、あるいは、基礎的変更事項については、意思決定は知事所轄法人も含めて全学校法人共通の仕組みにしていくといった部分、この2点は検討課題ということで明記をさせていただいております。
 次に、評議員会と理事会の関係という部分でありますけれども、改めてここでは、意思決定機関として、評議員会を最高議決機関とするかというのが非常に大きな議論が続いてきた部分でありますけれども、上記のとおりに、今回は理事会と評議員会の双方の決定を有するということで措置するということで、かつ、その議決事項というのは、基礎的変更という重要事項に限定するということになりましたので、この部分につきましては、大きく法的に新たに整備する事項というよりは、議論を確認した事項ということになろうかと思います。
 最高機関とはしないという確認の上に、また、評議員会の決議の対象となる事項というのは、まさに基礎的変更のような重要事項でありますので、逆に、教学面の校務の具体事項や法人の業務執行の具体事項は、評議員会の決議の対象にならないというような考え方の整理も前段に入れております。
 そして、後半の段落におきましては、評議員会の議決も要する事項について、理事会と評議員会で内容が異なるような場合の扱いをどう考えるのか、これも議論いただいた部分ですけれども、今次の改革では、この議決事項も随分限られたものになりましたし、改革自体はこの両者の上下ということよりは、建設的な協働というのを確立しているという考えだったかと思いますので、その点でまさに両者の決議をもって、学校法人の意思決定とするということ。優劣というのをここで定める、措置するというものではないと。このような場合、この協働を促進していくためのそれぞれの法人の手続を、寄附行為であらかじめ定めていくことも考えられるというふうに、議論を改めてここでまとめさせていただいております。
 次に、(2)の理事会の監督によるガバナンス強化ということで、ここは前回概要の図で改めて理事会の部分を独立して提示させていただきましたが、評議員会による牽制と理事会による牽制というのを分けて、まずはここで理事の職務の執行監督というのを権限として担っております理事会の監督というのを、(2)でまとめ直した部分ということになります。
 その上で、今申しましたように、理事会というのは平成16年の法改正で法定されたときに、まさに理事の職務の執行を監督するという権限、これが意思決定とともに付与されたということでありまして、ここの監督機能の実効性を高める部分は、全ての学校法人共通で取り組むということで、具体には、理事長の選定・解職という監督の重要手段については、理事会が行使することを法定するということ。
 そして、理事会の監督を実質あるもの、実効あるものにするために、重要事項の決定、例えば、評議員会で意見聴取をするような、そのような重要な業務の決定事項については、個別の理事にその決定を委任することを禁止して、理事会にその決定権限をしっかり留保するということ。それから、理事会に対しては、理事が職務の報告をしっかりするように義務づけると。また、理事会の構成や活動状況といった、そういうガバナンスに関わるような状況も、事業報告書などにおいて情報開示を進めていくということで、これも主査の覚書を継承させていただいております。
 加えて、なお書きですけれども、これも既に書かれておったところだと思いますが、職務報告の義務を課すに当たっては、業務の範囲や理事会の頻度といった、それぞれの規模の実情というのもありますので、知事所轄法人については柔軟な扱いを認めるという考え方をここでしております。
 「さらに」の段落になりますけれども、こちらは前回の資料で初めて規模に応じた対応案の中でお示しをし、議論いただきましたけれども、特に、ステークホルダーの意見を反映していくということの要請の強い大学を抱える大臣所轄法人においては、外部理事の数というのを1人から引き上げるということをここで明文化したところであります。
 7ページをお願いします。理事会は分離して、今、(2)で御説明しました。ここは(3)は、評議員会のチェック機能ということで整理をし直した部分であります。評議員会につきましては、これも法制定時、あるいは平成16年改正それぞれで、一定の監視、チェックという部分の機能を期待されてきておるというところでありますが、(1)で提言としては整理をしておりますような案では、意思決定権限という分配の中では、評議員会に大きな権限移譲というのをするわけではないという結論でございますので、それを前提といたしまして、今回はそれ以外の意思決定権限以外でのチェック機能というのを具体的に整備するという方針で示させていただいております。
 具体的な部分で、理事の選解任というのが一つ、チェック機能の発揮場面ということになってまいりますが、この部分につきましては、理事の選任機関として、評議員会その他の機関、これも主査の覚書の中でも例示はさせていただいておりましたが、評議員会以外にも、理事会や役員の選考会、設立団体、あるいは選挙の実施機関、このようなものが様々に法人では現にあるわけですが、そういった任意に置かれている機関も含めまして、理事の選任機関というのを寄附行為において明確に定めるように法的に措置するということ。今回、さらに論点資料で示しておりました、2-3であったかと思いますが、評議員会以外の選任機関で理事が選任されるようなケースにつきましては、選任機関において、この理事の選任について、評議員会の意見を事前に聞くというところも追記をいたしたところでございます。また、選任過程の透明性という部分は、法的な部分以外にも、ガバナンス・コードでしっかり取り組んでいく部分があると。これも継承してございます。
 また、理事の解任の部分につきましては、前々回も議論ありました。また、前回、全私学連合さんからの意見の照会もあったところですけれども、寄附行為の定めに委ねられている理事の解任、これについて、まずは、この客観的な解任の事由というのを法令違反、義務違反、心身の故障、その他寄附行為で定める事由というのをしっかり法定するということ。そして、評議員会は、理事の選任機関が機能していないような場合に、解任事由のある理事の解任を選任機関に請求できるようにすると。あるいは、解任事由のある理事の不正行為といったようなものについて、監事が差止め請求といったような権限を行使しないような場合に、そういった差止め請求などを監事に行ってもらうように、評議員会も請求できるようにすると。また、そのような請求によっても十分な是正が図られない、機能しないというようなケースに、評議員で訴訟を提起するというような形で、重層的なガバナンス構造を法的に措置すると。このような考え方、主査の覚書の提示の部分を継承させていただいております。
 なお書きの部分になりますが、これは、このような例えば評議員会が一定のチェック機能を、評議員会の招集というのがなされなければ行使できないわけでありますが、仮に評議員会が招集されないような場合にこれをどうするのかというのは、現在、監事も招集権というのも持って、措置されておるところでありますが、評議員が自律的にというのを考えた場合には、とりわけ大学等、評議員の規模が大きい大臣所轄法人では、現在の仕組みにおいて、私学法上、評議員の3分の1以上によって評議員が招集するという部分がなかなか機能しにくい部分がございますので、そういった適時の開催というのが担保されるように、招集要件の緩和や、あるいは議題提案といった形の評議員の負担軽減というのを規模に応じて考えていくということ、これも、規模に応じた提案ということで、前回、資料にも入れた部分をここに明文化させていただきました。
 次に、校長理事、理事と評議員の兼職という部分になります。校長理事制度につきましては、論点の中で、1-5であったかと思いますが、おおむね賛成の意見のあった部分のとおりでございまして、ここは理事の解任事由に該当する場合には、理事として解任がなされるようにするということを前提にしつつ、経営面、教学面の連携を図るという、この校長理事制度を維持していくというふうにここで追記をさせていただいております。
 次に、8ページまでにかけての部分で、理事と評議員の兼職という部分が一定の役割を果たしてきたというところも振り返りつつも、これからを考えた場合には、兼職というのをやめ、評議員会のチェック機能の実効性というのをしっかりと可視化していく観点で、理事は理事の立場において評議員会に出席して、理事会の考え方をしっかり説明していくような仕組みを整えていくと。このような方向、これも主査の覚書を継承させていただいております。
 また、次に、任期の部分、こちらは論点のほうで提示しておりました1-7であったと思いますが、それをここに追記をさせていただきました。理事の任期については4年というのを上限ということにしつつ、評議員会あるいは監事のチェック機能の形骸化というのを招かないように、その任期を超えないようにするということで示しております。
 評議員会に対しても一定の牽制というのを図るという部分につきましては、不正行為について報告をしたり、あるいは、究極の場合には、解任勧告の対象とするというところ、これは覚書のとおりでございますが、さらに、論点の2-11からになりますが、評議員、新たな権限を付与される部分については、そういった権限が濫用されないように、権限の範囲内、これが前提になると思いますが、それに応じた善管注意義務、損害賠償責任を負うというところを明確化するというのを付記させていただいております。
 次に、(4)は、評議員の選任、あるいは構成という部分であります。兼職との関係もここにも通ずるものがありますが、全体のまず考え方といたしましては、特定の者が評議員を選んで、そして評議員から理事が選任をされるというようなことを通じて、評議員会のチェック機能、あるいはその結果として、さらに理事会の監督機能も形骸化するというようなところをしっかり踏まえた改革というのをしていくとの考え方を示しております。
 評議員会の選任については、理事会というのが全面的に選ぶというのは適切ではないものの、一方で、しっかり審議機能を確保していくということも必要であると。このような、独自の学校法人の仕組みであるところも踏まえて、基本的には、評議員会というのを選任機関として明確にしつつも、理事・理事会による評議員の選任について、一定の上限を設けるということで、そのバランスを図るというまとめとしております。
 また、評議員の資格・能力の要件については、教育研究への理解や法人運営の識見を求めるということで、これは主査の覚書のとおりでございます。
 次の評議員と理事の兼職の禁止という部分が、大変御議論、当初あった部分かと思いますが、ここでは、前回の御議論というのも踏まえまして、理事と評議員の兼職は、しっかり評議員会が健全に機能するように、兼職を禁止するというところでまとめております。そして、併せて評議員の下限の定数というのを、今の理事の定数の2倍を超えるという部分から、理事の定数を超えるというところまで、理事の定数分を引き下げるという考え方を具体化させていただきました。この辺り、実際上、御意見といたしまして、人材確保について議論のあった部分は、改めてここに議論として残しておるところでございます。
 また、評議員会の構成の部分、これも前回も御議論いただいておりますが、大きく前半が、役員近親者や同一団体所属者という部分について、公益法人の認定基準などを参考に、学校法人としての固有の部分もしっかりとバランスを図りながらも、一定の上限を定めるという考え方、また、教職員、卒業生の部分では、とりわけ年末以降も議論のあった部分について、教職員が評議員となることに関して、私立学校については、経営というだけではなく、教学との協調というのが必要である。あるいは、人的集団という私立学校、そういった部分の固有性に鑑みて、兼職を禁じる措置というのは講じないというまとめをいたしました上で、こういった積極的な評議員の類型においても、一方では、評議員会というのが健全な機能を果たすという意味では、特定な利害関係者に偏らないために、一定の上限を定めるということで整理をしております。
 また、その点については、なお書きになりますけれども、規模の提案の中で配慮しておりました部分も、提案としては、役員近親者等が評議員として重要な役割を果たす場合もあるということで、知事所轄法人について一定の配慮というのを講じることが考えられるということで整理をしております。
 次に、3-2の監査の部分になります。こちら以降は、前回議論をいただいた部分でございますが、監事については、皆さん方の御意見、しっかり機能強化していく部分は、御意見が強く一致しておった部分かと思いますが、この点から、監事の選任は、前回確認されたように、評議員会の任務にしていくと。また、役員の近親者は、監事の就任を禁止するということをここで整理を継承しております。
 その上で、明確には前回書いておりませんでしたが、論点の3-3に示しておりましたように、監事についても、評議員会の決議によっていつでも解任するということでは、非常に恣意的になるというおそれもございますので、理事同様に、客観的な事由、次のページにかけてになりますが、これも限定していくという考え方をここで整理をしております。
 その上で、これまで明確には資料上は出ておりませんでしたが、これまでの前身の2つの会議で共通しておりました、監事の選解任等に関して監事が意見を表明する、監事の意見を確認するという手続が提言されておりましたところを、ここで最後に付記をさせていただいた部分です。
 また、前回、規模の資料で提示した事項として、特に大規模な大臣所轄法人について、監事は一部常勤化するという部分、ここで改めてまとめたところであります。前回、主査と田中委員とで御議論、御意見あったところも反映をさせていただいております。
 次に、(2)の監査体制というところで、これも前回大きく議論をいただきましたが、そのような部分を踏まえて、内部統制のシステムの整備の総論的な考え方を冒頭に追記をさせていただきました。
 また、今回、規模の資料も一部修正させていただきましたけれども、次の段の「一方」というところにも書いておりますが、理事会として、この内部統制システムというものの決定が義務づけられない場合においても、私学法における役員の善管注意義務・忠実義務というのがございますので、必ずしも内部統制システムの理事会の整備決定の義務というのがなくとも、業務執行者である理事長や理事において、それぞれの担当業務について具体的な内部統制というのを運用しなければならないんだというところ、これも前回の御議論を踏まえて追記をさせていただきました。
 次に、会計監査人の部分、非常に議論、前回もいただいた部分でありますけれども、改めて様々な御意見を踏まえて整理をさせていただきました。まず最初に、会計監査を職業的専門家に行ってもらうことの意義ということで、そこはしっかり計算書類に第三者保証を付与していく、そして、説明責任の履行を支援するという考え方をまずまとめさせていただきました。
 その上で、実際の会計監査人という形でどのように整備を求めていくかという部分は、改めて大臣所轄法人、内部統制システムの義務づけの範囲と同じ範囲で、大臣所轄法人に対して、会計監査人の選解任や報酬等の独立性、あるいは会計監査人の欠格要件といった部分も併せて法令上措置すると。特に議論もありましたが、監事と会計監査人の連携によって、より監事が会計以外の業務監査に注力しやすくなるというところを改めて確認をいたしました。
 また、その際ということですが、これも御議論いただいた部分ですが、私学法に基づく計算書類や会計基準と振興助成法に基づく計算書類や会計基準を一元化するという考え方、そしてその上で、私学法に基づく会計監査人による会計監査というのを受けるような場合には、助成法に基づく公認会計士による監査を重ねて受ける必要がないように、法的に重複のないよう措置するという考え方を示しております。
 これも前回、非常にいろいろ御議論いただいた部分ですけれども、知事所轄法人におきましても、仮に会計監査人ということの移行というのをする場合も、選任手続のような部分を除き、実務上大きな変更は生じるものではないということから、積極的に移行するということは考えられるという整理をさせていただいております。
 また、これらの会計監査の制度化と併せて、前身の2つの会議共通で提言されておりました部分、計算書類の作成期限を一月延長して2か月から3か月にするというところも、今回追記をさせていただきました。
 次の情報開示の部分につきましては、基本的には12月の改革会議において提言されていた部分と大体同じ方向性ということで、御異論は論点上もなかったかと思いますので、そのようなまとめとしております。
 子法人につきましては、御議論、十分必ずしも深まったかというと、なかなか難しかった部分もありますが、今回、本日の冒頭御議論いただいた部分についても付記をさせていただきました。そこはなお書きということで、グループ経営、子法人の扱いというものを一定程度明確化していくことというのは、逆に、学校法人間の相互連携や統合というのを妨げたり、あるいは小規模法人というの無理やり統合していくという方向にしていく、そのようなものではないということをこのなお書きで明確にさせていただいております。
 その前の「具体的には」という部分を今回、具体に記載を追記させていただきました。子法人に関しての論点といたしまして、計算書類における開示、あるいは調査、監査というものをどう適正にしていくのかという部分、2つあろうかと思います。まず、計算書類の注記という部分で、出資会社、関連当事者の範囲といったものをどうするのか、あるいは出資会社に係る役員といった部分の記載をどうするのか、あるいは、平成17年から学校法人においても学校法人間取引というものを追記するというようなことで、グループ法人という部分の状況を一定程度開示する方向になっているわけですけれども、今回のガバナンス改革を踏まえれば、さらにその学校法人について、役員・評議員の兼任関係といった記載事項を増やしていくべきか、このような具体の見直し事項というのをここでは明示をしている部分であります。ただ、具体には、この辺りは通知で検討する部分でおりますので、法的な措置する部分ではないかというふうに認識しております。
 他方、「また」以下の部分は法律事項となってまいりますけれども、監事が子法人の役職員を兼職することを禁止する、あるいは、子法人から監査業務以外に継続的に報酬を受けている者というのは会計監査できないようにすると。あるいは、監事や会計監査人がしっかりと子法人を調査対象とすることもできるようにする、このような辺りを明確にするということで、今回、具体の記載を追記した部分であります。
 最後に、3-3ですけれども、刑事罰につきましては、今日、議論を前半させていただいた部分であり、また、寄附行為の名称の部分につきましては、その名称を維持するということでの7-4の論点の御意見を踏まえたまとめをさせていただきました。
 長い御説明になりましたが、事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明をいただきました報告書(案)について、御質問も含んで、御意見をいただいてまいりたいと存じます。御意見、御質問等、御発言がある委員につきましては、お知らせをいただきたいと存じます。時間も限られておりますが、取りまとめに向けまして、皆さん方の御協力をお願いいたしたいと思います。
 なお、本日、小原委員が所用で少し閉会より先立って退室することの御通告をいただいておりましたので、今も発言のお手を挙げていただきましたので、まず御発言いただければというふうに思いますが、よろしいでしょうか。では、小原委員、それから、その次に川並委員とお手を挙げていただいております。順次というよりも、それぞれの御発言をいただいたところを中心に、関連した御意見等を賜ってまいりたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 では、小原委員、よろしくお願いします。
【小原委員】
 幾つか意見を申させていただきます。まず1つは、5ページの3-1、理事会・評議員会の地位のことです。(1)で、理事会と評議員会の意思決定権限というのがありますが、たしか福原先生がまとめてくれた案には、理事会が最終議決機関そして評議員会は基本的には諮問機関であるということが明示されていたはずです。今回それがありません。
 それで、私が気になるのは、6ページの上から、理事会と評議員会の関係性のところです。理事会と評議員会の関係性の4行目に「必ずしも直ちに不可欠な措置とは言えない」という文章が入っています。これは近い将来、前の改革委員会ですか、が出したことへ移行する含みがあるのではないかという気がします。そのことが含蓄されているんではないかという思いがいたします。ですから、はっきりと、理事会が最終意思決定機関であることは出しておく必要があるというのが1点です。
 それから、ページが遡りますが、4ページの真ん中あたり、「偏った属性を有する集団の影響下に理事会や理事長が置かれるリスクが生じうる」、「こうした観点からすると、現状でも問題がないから改革の必要はないと判断するのではなく」という文言が入っています。これをここの文章に残してしまいますと、一部の私立大学が改革に抵抗していたということを記録に残すようなことになってしまいます。それは、この時点で、悪者は誰だろうということを暗に示すことになりますので、私としてはこれは削除していただきたいというが2点目です。
 それから、気になったのは、任期なんです。もし理事会と評議員会が相互に協働、いわゆるチェックと協働するというのであれば、なぜ理事が4年で、評議員が6年、その違いの根拠は何なのかという辺りが最終的には評議員会に力を与えるような意図があって、理事は4年、評議員は6年と定めたのではないかなという疑念を私は抱いております。

【福原主査】
 ありがとうございました。
 川並委員は関係するところですか。ほかのところでしょうか。では、川並委員からも御意見頂戴してから。
【川並委員】
 私のほうから3点ですが、1点目は、今、小原委員からありました任期について、同じように4年と6年という差があることについて疑問を感じました。
 2点目は、2ページに『「学校法人の業務」として、設置する私立学校に係る校長の「校務」をつかさどる権限を最大限尊重しつつ』とありますが、これを読むと、経営と教育が分離しているように見える気がしますので、この『つかさどる権限を最大限』という文字を取り、『校長の「校務」を尊重しつつ』とすれば、経営と教育が分離したような印象が無くなるのではないかなと感じました。
 3点目は、11ページの子法人の在り方について、ベースは学校法人同士の子法人のことだと思うのですが、子法人をいろいろな意味で考えたときに、決算の時期がずれた場合に問題が生じることがあるのではないかという不安があります。この辺をどう解決するかについて、御検討を加えていただけたらありがたいと思います。答えがあるわけではないのですが、不安を感じております。
 以上です。
【福原主査】
 どうもありがとうございました。
 田中委員も、関連したところも踏まえてということでございましょうか。
【田中委員】
 任期についてですが……。
【福原主査】
 そうですか。では、田中委員までお聞きしてから、事務局のほうで少しコメントすべきところはコメントさせていただきます。
【田中委員】
 じゃ、後で。
【福原主査】
 いや、田中先生にお伺いしてからコメントしますので、田中先生、先に御指摘いただければと思います。
【田中委員】
 私は、理事の任期と評議員の任期が重ならないということも大事な点かなという気はしておりますが、4年と6年というふうに長さがずれるということは、長さの違いだけで重ならないということになる訳でないということを申し上げたい。というのは、卑近な例でございますが、早稲田大学では、評議員は、理事や理事長が就任する就任時期と2年ずれているんですね。ですから、理事長が選ばれたときに、評議員は既に2年前に決まっているんです、任期は4年なんですが。
 ですから、理事長が勝手に自分の好きな人を全部選ぶことはできずに、かつて選ばれた評議員の方々に理事会はモニターを受けるということになります。2年たったところで理事会が評議員を推薦することがございます。評議員の選任は、最終的には全部のメンバーを評議員会が承認しないと決まらないんです。評議員が互選で半数を決めて、残りの半数は理事会が推薦するという形を取りますが、全ての評議員会のメンバーは評議員会が承認するとなっています。
 さらに、理事会が推薦する評議員候補の推薦をする選考委員会があるんですが、それは理事会に推薦されて評議員になった者は、その選考委員になれないんですね。互選で選ばれた評議員だけが、理事会が推薦する候補者の選考委員会の委員になれるという仕組みです。かなり理事長が勝手に評議員を決められないような仕組みをつくっております。それも先ほど申し上げたとおり、理事長が就任した2年後に新しい評議員が選ばれて、4年任期を務める。その2年後に新理事長が選ばれるということなので、評議員と理事の任期は同じ長さでございますが、理事長が勝手に自分と同じ任期で人を動かすことができないような仕組みをつくっております。そのようなこともあり得るということで、6年と4年でなければならないところはないと思います。御提案の趣旨はよく分かります。このたびのこのおまとめ、非常にすばらしく、よくバランスが取れていると思っておりまして、感服して拝読しておりましたが、その点だけ、参考意見としていただければ、こうしてくださいということじゃないので、参考意見としていただければ結構でございます。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 順次ということではなくして、どこかフォーカスしてということで、お三方にまず意見を開陳いただきました。その中で表現に関わっていたり、また、主査の覚書と今回のところとでトーンが違うのではないかとお読み取りいただいて、御懸念等をお出しいただいたところもございますが、それはまた後ほど御懸念を解消するように努めることと致します。新たな議論という意味では、やはり理事会と評議員会の機能を実質化するためにも、理事や評議員の任期、この部分に今、お三方とも関心を寄せていただきました。また、御意見をいただきました。
 この点について、4年6年ということとか、その背景など、御議論をいただくのに当たって参考になる情報がありましたら、お願いします。
【相原補佐】
 まず、理事の任期の在り方としては、改革会議では、例えば、2年ということで会社の並びでの提言がされておりました。他方で、私どもも、あるいはアンケートなどでも把握しておるところでは、実際上はそれよりも長い任期というのが多く、3年4年5年といった部分が一般的に多く、それで8割ぐらいを占めておるような実態であったというふうに把握しています。
 とりわけ学校の教育研究というものの業績というものを見ていくというのを考えた場合には、2年というのを標準、あるいは上限とするのは短過ぎるだろうということで、実態も鑑みて4年ぐらいということ、しかし、一方で、定期的に選任という形でのチェック機能というのも担保するという意味合いで、そのバランスを取って、4年というのを上限とするというのを一つ、今回、ここで提案をしているものになるものです。
 今御指摘いただいた、評議員が6年というふうになっている部分ですが、例えば、改革会議の提言においては、理事の2倍というふうな、倍というのが評議員と監事について、身分保障を徹底するという考え方にはなっておりました。これは、基本的には牽制、チェック、監視、監督という機能を果たしていただくというところの独立性を徹底する一つの考え方ということではあろうかとも思いますけれども、他方で、影響力が強くなり過ぎるという部分もあろうかと思います。その部分の一つのバランスというのを取った形で、4年というのを理事の上限としてするのであれば、長くすることもできると。ただし、長過ぎてはいけないので、そこもやはり評議員は評議員、監事も監事で定期的に選任というチェックを受けていただくというところで、評議員については6年というところでの上限ということを提案させていただいておりまして、理事にしても、評議員にしても、ここで御覧いただいておりますように、あくまで上限でありまして、実際にどのようにするのかというのは寄附行為で定めるということ、もう一つ、理事のところに記載しておりますが、考え方として、理事の任期は監事、評議員の任期を超えないということでありまして、例えば、それが多くの法人の実態としても、理事が4年、評議員も4年、監事も4年という法人も多かろうと思いますが、そのような同等という設定の仕方は一つあるのかなというふうには思っております。これが、まず、任期についての部分の整理かと思っております。いかがでしょうか。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 今回、理事会、評議員会の権限を再認識して、寄附行為に一方的に委ねられている権限分配というものについて、ミニマム、こういった権限については法令で定めるという態度に出た場合に、やはり構成員たる理事、評議員に人を得るということが大事になってまいりますし、それがまたずっと長引くというわけではなくして、その構成員について上限をひとまず決めていこうということで、これまでの様々なアンケート調査等を通じて、現在行われている任期等を踏まえて、上限という形で提案をさせていただいたということでございます。
 私の知り得るところで、評議員の任期が6年というふうになっていた場合には、半数改選という形で継続性を維持している学校法人もあるように聞いておりますし、また、先ほど田中委員から御指摘いただきましたように、必ずしも理事長との任期と一にしないことによって、しっかりとした牽制機能といいますか、御意見をいただく体制を取っておる学校法人もあるというふうに拝察をいたします。その場合にも、上限という意味で、ひとまず評議員は6年、理事を4年として、そこで再選はもちろん妨げないということでありますから、その任期においてもう一度適任の方を選任する手続を取ると。これがあまり頻繁だとまた大変でございますので、そういう意味で4年、6年と、こういうふうにしているわけでして、決してそのことによって評議員会の任期の長い短いによって、その機関の権限がどっちかが強いといった判断はするわけではございません。こういうことから、上限という形で定めているということを御理解いただきたいというふうに思います。
 あとは寄附行為自治という形で、これまでの工夫が重ねられればと。こういう回答でございましたが、いかがでしょうか。任期の件につきまして、何かほかに、今初めて出てきた話題でもございますが。
 小原委員、どうぞ。
【小原委員】
 これを法律で定めることなのか、それとも、ある程度寄附行為で明示させるようにするのか。ある程度、各法人、いろいろな事情があるので、その辺、少しゆとりを持たせることはできないのか。何でもかんでも一律に、地方も都市型も一律にやるのがよろしいのか。特に小中高法人のことを考えると、一律にするのには、いろいろと人材確保だとかの観点から問題があろうかと思います。ここはもう少し柔軟性が持てるような表現があると、各法人、対応できると思います。
 ここは大学法人と高校以下の法人とは事情が違ってくると思いますが、法律は1本ですから、非常に対応が難しいところが出てくるのではないかなというのが、私の懸念です。
【福原主査】
 ありがとうございます。
 役員の任期という点については、ほかにいかがですか。
 嵯峨委員、関連してでしょうか。
【嵯峨委員】
 すみません。任期の前に、私ども中高連といたしましては、やはり理事と評議員の兼職の禁止というのを、知事所轄学校法人には適用しないでいただきたいなというのは……。
【福原主査】
 なるほど。そこの点についての御意見ですね。分かりました。
 では、任期の点については、あくまでも上限ということで、あとはかなり寄附行為に委ねられていると御理解いただければよろしいかというふうに思います。これが短いということはないと思います。この辺、役員任期、他の法人等についていかがですか。尾崎委員、ほかの組織等における役員任期という点では何か。
【尾崎委員】御指名ですので、お答えしますが、会社法の場合、取締役は2年が上限なのですね。条文では「2年以内」です。だから、定款で監査役設置会社におきましても、1年にすることができるわけです、定款で。そして、監査役のほうは4年になります。さきほどの話では、任期の長い監査役のほうが偉いのかって話になっちゃうんですが、そうではなくて、やはり監査というものを継続的にするなら、4年ぐらいの身分保障をしましょうと。
 今回も、評議員会というのは、ある意味で、監督的な性格を強めていますので、少し長めの任期がいいのじゃないかということで、これ、上限ですよね。今、相原さんがおっしゃったように、寄附行為で上限のうちの中で決めるのは、各学校法人、御自由ですので、小原委員がおっしゃったようなことは、学校法人に合わせて上限が6年、あるいは上限が4年ということになっていますので、その枠の中で決められれば柔軟に対応できるのじゃないかと私は聞いておりました。
【福原主査】
 どうもありがとうございます。
 梅本委員からも、御意見いただけますでしょうか。
【梅本委員】
 ありがとうございます。尾崎先生おっしゃるとおりで、公益法人の法制でも似たような立てつけになっていまして、たしか理事が2年で、監事が4年だったかな。短縮することは定款で妨げないというのが監事になっておりまして、ということになりますので、ただ、ちょっと思ったのが、6年上限、4年上限で結構なんですけど、短縮の、例えば、寄附行為で評議員も理事も1年とかって決めちゃうことがもし可能となっちゃうと、何か毎年毎年選挙しているみたいな危惧もあるのかなとふと思いましたけれども、その辺は学校、個々の法人さんの自主性に委ねるといいますか、寄附行為の定めるところに文字どおり従うということで、ある程度裁量を認めるということでもよろしいかと思いました。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございます。
 あまり細かくする、短くし過ぎるということは、恐らく各学校法人でもないことかと思いますが、上限を定めるということについて御懸念があるやもしれませんが、ここの点につきまして、先ほど申し上げたような、やはり選任、解任という手続をきちんと経ているのだと、この間、その年度では手続きを経ているのだということを社会に示しておくという意味合いがあると思われます。ただ、その定め方については、期差選任をするだとか、理事長の任期だとか、また、学校の方でありましたら、大学長や校長の任期、そういったようなもの等を勘案して、設置する学校種によって、それぞれの学校法人でお決めになるということになろうかと。こういう趣旨であろうと思います。
 任期については、そういうことで御理解いただけるということでよろしいですか。
 重永委員もよろしいですか。何か御意見あったのですか、今。
【重永委員】
 すみません。恐れ入ります。今、福原先生がまとめてくださったところでオーケーでございます。上限の年数を提示したから、その法律が各学校法人を誘導していくということではなくて、私どもの学校法人グループは、現在、理事も評議員も3年が任期というふうになっておりますけれども、それをあえて変えなくてもいいというような判断を今しながら聞いておりましたので、ありがとうございました。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 小原委員からは、いつも、そのことが何かほかの見方へ影響が出てこないようにという御示唆もいただいているものかと思いますので、そのように小原委員の御指摘も承っておきたいというふうに思います。ありがとうございます。
 佐野委員、この件についてでしょうか。
【佐野委員】
 ありがとうございます。私も、上限を定めた上での寄附行為の任意性を持たせるという、これは全く異論ないところでございます。
 この任期の期間の問題ではなくて、終期、終わりの問題について、ちょうど今見ています8ページの理事の任期、評議員・監事の任期のところに、注書きで7番というのがございますので、これについてちょっと任期という言葉に絡めて確認をさせていただきたいんですけれども、任期、年数があったとして、「会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」という注書きがございます。これ、非常に重要なことで、多くの学校さんが、人事異動などの関係で、結構、3月末で任期終了、4月1日というのが多いんですね。しかしながら、2年にしろ4年にしろ6年にしても、やはり職務の全う、終わるというのは、やっぱり決算書類の、いわゆる承認であるとか報告、こういった時期になるので、この終期、終わりについて、注ではなくて本文に上げるなどして、私学さんの注意喚起を促して、移行時にはそういった形を取っていただけるような手当てをしていただけないかなと思いまして、任期という言葉に絡めまして終期、終わりの話をちょっとさせていただきました。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございます。
 同時にそれは新任期の始期とも関わるわけでございますので、任期の始期と終期につきまして、これがいろいろな事情でずれてしまったままのところもあればということですが、しっかりとした責任を取る期間を明確にするという意味でも、ただいまの佐野委員の発言は大変的確で、重いものがあると私自身も拝聴いたしました。ありがとうございました。この点、貴重な御意見として承っておきたいというふうに思います。
 では、任期につきましては以上とさせていただきまして、この後、一般的な御意見等もあるかと思いますが、少し長くなってきておりますので、ここで10分ほど休憩を取らせていただきます。そして、休憩を挟んで、まず、小原委員が御退室までの時間があと僅かということであれば、まず休憩後先に小原委員から、さらに御意見、御指摘、問題提起等いただいてから、ほかの方々の御意見をいただこうというふうに思います。
 では、15分開始でよろしいですか。17分。
【相原補佐】
 そうですね、17分。
【福原主査】
 17分。私学行政課、厳格でございますので、17分再開ということで、ここで10分休憩を取らせていただきます。よろしくお願いいたします。
(休憩)
【福原主査】
 御協力ありがとうございます。
 それでは、御休憩いただいた後、続きまして議論を再開いたしてまいりたいというふうに思います。小原委員、もう少し先ほどの点に加えてとか、重ねてで、御退室前に御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
【小原委員】
 ありがとうございます。それでは、2点ほど。まず、10ページのところの内部統制システムの整備で、8行目のところに、監事への内部通報等の内部統制システムの整備を下すというところがあります。これ、誰が監事に内部通報するのか。場合によっては、監事の仕事が物理的に増えてしまうおそれがあります。この辺、少し明確に示しておく必要があると思います。
 それから、最後の点です。12ページ、寄附行為の名称です。これ、終わりの部分にあります。「ただし、評議員や外部理事に積極的に法人のガバナンス構造を理解してもらう意識も高まっており、一般的により理解しやすい用語とすることを引き続き検討していくべきである」というのは、これは早々に寄附行為という名称をやめて、定款という、産業界と同じにするという意図があってのことなのでしょうか。この辺、どうなっているか、ちょっと私としては気になるところです。
 以上です。
【福原主査】
 随分気にしていただくところが多くて恐縮でしたけれども、まず、小原委員のほうからの御懸念、御意見を踏まえて、頂戴したところについて、私や事務局のほうからコメントさせていただいて、ほかにも御意見いただきたいと思います。
 全部で5点いただいて、3点目の任期につきましては、先ほどまとめをさせていただきましたが、まず、第1点といたしまして、理事会と評議員会との関係におきまして、主査の覚書では、理事会が最高の意思決定機関として位置づけられていたがという御指摘がありましたけれども、私の覚書のところでも、理事会を最高の意思決定機関ということを明示したわけではございませんで、かといって、前身の会議で定められたような、評議員会が最高の意思決定機関、最高、そして最終の監督の機関という位置づけはいたさないということでございます。それを直ちにそこまで持っていくということは、これは議論中に合意は得られませんよという意味を含めたわけであります。直ちにではなくて、時間を置いたらそうするのかというお言葉を頂戴したのですけれども、これはそこまでも私は考えておらず、そのままの表現が使われたということでございます。
 ただ、全私学連合のほうでおまとめいただきましたものにつきましては、明確に理事会が最終意思決定ということをうたっておられて、評議員会は諮問機関であることを原則とすると。このようにおっしゃっていただいておりますので、ここのところは恐らくいろいろな学校種によって異なることもあって、原則としてというところで、御意見の調整をいただいたものと拝察をいたしております。
 そこで、この主査覚書も報告書(案)もミニマム、評議員会においても決定を議決していただかなければならない事項明示をして、そして、その事項に関する基礎的変更、最重要事項に関しての決定の理事会と評議員会の議決の関係については、それぞれの学校種において決めていただく、明示しておいていただくという立てつけになってございます。その意味で、どっちかにしなければならない、こういうふうに言ったわけではなくして、できますれば、規制区分というのがありましても、同じ学校法人であれば、ミニマム、同じルールを設けるということができるところはしておいて、そして、学校種によって異なるところは寄附行為等で変更していただくと、こういうルールづくりの基本を踏まえて述べさせていただいておりました。それはどっちがどっちかという決めつけは避けさせていただいたというふうに御理解いただければというふうに思います。
 それから、2点目に、この機会に、不祥事が起こっていないからこのままでいいではないかというふうに言ったところは、何かそういうふうに言っていた人がいることを批判しているかのように受け取られかねないということでございましたけれども、これはみんながそう言っていたわけじゃなくして、ここにいる私学の関係者みんながそういうふうに思っているわけじゃないですよということを社会にきちんとお伝えをして、私たちの態度として、何も不祥事が起こっていないところだから改革はしないという態度ではなくて、この時代、私たちは自律的に、私学関係者以外からの意見で私学のルールが決まるのではなくて、私学の関係者の知恵と努力で私たちのルールをつくっていくのだという姿勢を示したかったばかりの言葉でございますから、この点、御容赦をいただければと思います。
 そして、第4点の内部統制のところの監事への内部通報というものと、それから、5点目の寄附行為について今後の検討という表現が気がかりだという御指摘をいただきましたので、この点何かコメントをいただくことはございますでしょうか、事務局。
【相原補佐】
 ありがとうございます。10ページの内部統制システムの整備の部分、御指摘の行に、リスクマネジメント、内部監査、あるいは監事のサポート体制、そして、監事への内部通報といった具体の事項を書いておりますのは、これは他の法人制度も含めまして、一般的に内部統制システムとして決定すべき事項ということで、主に省令などの規則において定められている事項の一部代表的なものをここで御紹介をしているものであります。
 その上で、監事の内部通報という部分は、例えば、ほかの世界、法人の世界におきましても、取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制といったような形で法令上は出てきますけれども、誰が監事に通報するのかというのは、あくまで内部通報でございますので、法人内におきまして、役員、あるいは職員、教員などが不正等を発見した場合に、監事さんにそれをお伝えするということで、監事の監査業務というものを、情報収集を支えるというような意味合いで受け取っていただければというふうに思います。
 以上でございます。
【福原主査】
 お時間が限られているところで貴重な意見を頂戴してまいりましたけれども、小原先生、ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか、今のところの回答でひとまず。
【小原委員】
 ある程度、人事部とかそういうのを間に挟ませてもいいということですね。
【福原主査】
 そういうことですね。
【小原委員】
 分かりました。
【福原主査】
 それでは、ほかにまた御意見いただいてまいりたいと思いますが、その前のところの嵯峨委員、福田委員、田中委員、新たにお手を挙げていただきましたけれども、休憩前に開陳された意見に関して、少し議論、あるいは回答をさせていただいてから御意見いただきますので、それが終わりましたら、福田委員、田中委員の順番に御意見いただいてまいります。
 その前に、川並委員から、任期のほかに2点、御意見いただいておりまして、その1つが、校長の権限というところについて、少し尊重というところが強過ぎるのではないかという表現上の御懸念、あるいは御指摘をいただいたわけですけれども、これはやはり学校教育法と私学法という立てつけの関係におきまして、とりわけ大学を設置するという学校法人等におきまして、学長、教学の長の意見というものを尊重をした運営ということを社会的にも明確にするということをさせていただきましたので、これも教学と法人で教学のほうが強いというわけじゃなくして、それを尊重すると。質の違う仕事をしておるわけですから、それを述べさせていただいたということで、御懸念を払拭していただければと思います。
 もう一つ、3点目に子法人のことに関して御指摘いただきましたけれども、ここでいう子法人というのは、戦略事業法人とか、学校法人が出資等をして設けている事業会社でありますとか、その他の組織のほうを指してございますので、学校法人と、学校法人というわけでは必ずしもございませんので、その点、そういう表現をさせていただいたというふうに御理解をいただければと思います。
 そして、次に、嵯峨委員のほうから、やはり理事と評議員――川並委員でしたか。失礼しました。すみません。川並委員、私の今のについて何か。
【川並委員】
 ありがとうございます。役割として校長の権限を尊重しているところは良いのですが、「つかさどる権限を最大限」という言葉の言い回しが、わざわざこの文言を入れる必要があるのかをお聞きしたかったことと、あと、子法人につきましては、過去に決算時期が違っていたため、幾つかのトラブルが起きた事案があったと記憶しており、子法人が関係するような不祥事を考えたときに、どう整理するかも考えたほうがよろしいのではないかということで発言をさせていただきました。
【福原主査】
 ありがとうございます。ごもっともな御意見かと思います。
 学校長の権限につきましては、最大限というのは、これは冒頭から申し上げておりますように、学校法人というのは学校を設置しているというところがほかの法人と異なっていて、ほかの法人と異なる点を強調して整理を始めたものですから、そちらの学校、あるいは大学でありますとか、そういうところの教学の意見を最大限尊重するということで、絶対的にと言っているわけではございません。最大限というのは、学校法人の特徴を強調させていただいた主査覚書や報告書の表現でございますので、そういった表現でそのまま法律化するというわけではございませんので、その姿勢を示させていただいたことで御理解いただければというふうに思います。絶対的というわけではなくて、やはり学校法人と協調して、法人の経営と協調していくことは当然のことでございますので、御意見としては賜ってまいりますけど、御理解いただきたいと思います。
 それから、子法人について、決算時期が異なるということがございました。これはあることでしょうね。ただ、これ、会計処理としては連結をするわけではないので、あえて決算時期等が異なっていることが何か問題というか、そういうことが起こってくるということでしょうか。その点、ちょっと御懸念の事例というか、内容が分かれば……。
【川並委員】
 過去に決算時期が異なったため、資金の流動性を高めた学校法人があったと記憶をしております。そういうことを含めてどのように考えるのかということでございます。
【福原主査】
 ありがとうございます。これは御教示いただいたものとして承らせていただきまして、今回、そこまで子法人のところにまで議論が及んでおりませんけれども、御指摘承っておきたいと思います。ありがとうございました。
 では、もう1点、嵯峨委員からいただいた理事と評議員の兼職について、学校種においては、依然、現行と同じようにしておけないだろうかという御意見でしょうか。
【嵯峨委員】
 総論からいきますと、全国知事会からの意見書にもあるように、小規模であるほど制度改正の負担が大きく、学校運営に多大な影響を及ぼす可能性があるので、したがって、中高法人については、学校教育や学校運営に支障が生じることがないような慎重な措置をお願いしたいということから、中高連としては、理事と評議員の全面的な兼職の禁止については、知事所轄学校法人に適用しないことを望みます。問題の所在は、評議員を理事数プラスアルファに減員すれば済むという単純な数合わせの問題ではなく、やはり小規模法人の多くは、何度も申し上げるとおり、学校法人の運営に当たっては、理事、評議員、教職員など学校関係者が一丸となって当たっているということもあり、理事と評議員の牽制機能強化、役割分担などと言っている場合ではないのは事実です。その意味で、理事、評議員の兼職禁止については、知事所轄学校法人には適用しない形としていただくよう望みます。
 もう一点ですけれども、先ほど小原先生からございましたように、やはり寄附行為についてですが、私立学校においては、寄附行為という用語は、単に法律用語というだけでなく、むしろ私立学校の存在の原点を象徴的に表す用語であり、私立学校法では今後も維持すべきと考えております。
 寄附行為の名称については、これまでも学校法人のガバナンスに関する有識者会議などで検討されており、引き続きの検討事項とするのではなく、本特別委員会において寄附行為の名称は維持すると決着していただくようお願い申し上げます。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 寄附行為のほうにつきましては、おっしゃるとおりでありますので、そういう言い方を今後の検討においてもしっかりと確認して、理解に努めるようにいたしませんと、寄附行為がルールであるのかどうかということで誤解を招く可能性がございますので、その点を述べたまでだというふうに思います。
 さて、理事と評議員の兼職ですが、これは嵯峨先生、今回、私たちのここで意見をまとめてきたところでは、評議員会を最高の強大な権限を持った機関としてはいませんので、そこが大きな権限を持つということになりますと、これは兼職しないと大変心配だと、理事会とは違った考え方がそこで起こってきて協力関係がつかめないんじゃないかという御懸念が残るかもしれませんが、今回は評議員会がそのような強大な権限を持つということ合意しておりませんので、御懸念は直ちには当たらないというふうに思われますが……。
【嵯峨委員】
 そこの懸念というよりは、やはり実務的にうまくスムーズにいろいろなことが運ぶためとか、あとは、やはり成り手の問題のことを非常に懸念しておりまして、より小さい学校法人、幼稚園も含めてですけれども、そういうところで、実際にこれで成り手、引受け手を見つけることは、今後も少子化とか、そういった中で、地方も老齢化が進んだ中で、そういうことは維持できるのかというようなことで、心配しているのは、どこが力がという話とはちょっと違うと思います。
【福原主査】
 分かりました。たしか社会福祉法人の改革をしたときにもそういう意見が強くて、それを見定めるときに、経過措置を置いて実施に当たっての慎重を期したという例があったというふうに私も承知しておりますし、その場合、認定こども園等につきましては、企業型、それから学校法人型、また、社会福祉法人型というのがあって、それぞれ先に改正されたルールに従って設置したところにおいて、そういった同様の御懸念があったけれども、この間の経過期間が過ぎたところにおいて、そういった御懸念が具体化したという事例はなかったというふうには聞いております。そうしたことも踏まえてで、こういう形を取らせていただいたんですが、ほかにも、理事会の御推薦等によって評議員が選ばれるのが、かなりの数、認められるということでございますので、兼職をこの機会に外す方向で努力していただくということも可能ではないかというふうには拝察しておるわけでございます。けれども、やっぱりどうしても人が見つからないという御趣旨でしょうか。嵯峨委員、いかがですか、その点。
【嵯峨委員】
 私個人の学校では、多分恐らく大丈夫だと思いますけれども、やはり本当に懸念しているのは、私どもより地方の小さい学校が、かなりそれも地方の小さい学校だった場合に、本当にできるのかというのを、私ども、取りまとめとして、一応心配、懸念をしているという話になります。それと、やはり一部でも兼職者がいたほうが、本当に連絡のスムーズさもあるのだというのが実務的な話です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 その点についてでしょうか。田中委員。
【田中委員】
 評議員と理事は、やはり役割が異なるということは随分議論されております。有識者の方の専門の委員の方たちからも、役割が異なるということは、ほぼ皆さん全員おっしゃっていることでございまして、そうすると、やっぱり兼務ということの理屈が通らないのですね。それで、ここで2つポイントがありまして、嵯峨委員の御指摘を受けて我々が考えられるのは、評議員の数の下限を下げると。理事会の数も下げれば、理事会の数と評議員の数は同じかそれ以上ということになっていますから、同じでもよろしいとすれば、例えば、理事会4名で評議員4名ですとか、3名と3名とか、評議員3名理事会3名で、役割が異なるということになります。やはり意思決定する方たちとモニターする方たちというふうに分かれると思います。そうすると、兼職の人数の問題はある程度何とかクリアできる可能性があります。そして2つ目のポイントですが、どういうふうに意思決定して運営していくかということが評議員の方に分からないだろうということに関しては、こちらにも書いていただいておりますが、評議員会に理事が出席して、評議員の方の質問に答える。実際、どういうふうに運営しているかはそこで説明するということでございますので、とすれば、連携が取れるということなんですね。
 今回のこのおまとめで非常にありがたいと思っていますのは、協調するというのと同時に牽制をするということでございまして、モニターはするんですが、やはり協力して学校法人を運営していくという考え方を前面に出していただいていますので、人数が少なくても同じ数であり、お互いに理解し合うようにする。ですから、理事も評議員会に出席して――出席してというのは、議決権は持たないわけですが、質問に答えて内容をよく評議員の方に理解していただくと。とすると、嵯峨委員のおっしゃっている御懸念は解消できるんじゃないかということがございますので、それのことで今手を挙げました。
 先ほど手を挙げたのは違うことですから、それはまた後で。
【福原主査】
 今の点、やはり実務が大事ですし、現実にその場でいろいろな御苦労をしていただいている方々の御意見を今回は最大限承ろうという趣旨でこの委員会を運営させていただいております。一方では、社会に理解をしていただけるものでなければならないとは言いつつ、やっぱり実務でフィージブルなものでないと法制化できないということですので。尾上委員、いかがですか。この点、今の理事と評議員の分離について……。
【尾上委員】
 当初、兼職を禁止するということで、「うわー、それは」という感じになっちゃったんですが、私どもが当初からお願いしておることのいろいろな御配慮で、逆に、評議員の下限定数の引下げとか、そういった配慮をいただきましたので、本当に現実的に照らし合わせてみれば、当初、兼職を禁止することによって、評議員の成り手がいるのかなとか何とかといって、理事の定数の倍以上というイメージで考えていたので、そういうところが十分に課せられる一方、運用に当たっての具体的な現実的な配慮というかがなされたという点では、私どもは逆によく理解できますし、そういうことでしっかりと、やはり兼職の禁止というのは、今回いろいろな重要な課題があるとは思うんですが、一番重要な柱立ての部分だと思いますので、そこは十分私たちも加盟園に対して、今後のやはり理事と評議員との役割の違い、そして、時代が求めるそれぞれの立場を十分、逆に、運用段階に当たって、会員の皆様に啓発して、理解を求めるということに、ちょっと今、先、その気持ちが半分行っておりまして、何よりも主査を中心に、いろいろな相反する事項を現実的にお取りまとめいただいたことに改めて感謝と敬意を表します。ありがとうございました。
【福原主査】
 ありがとうございます。実務で社福のほうでやっておられるところあたりは、先行した経験がおありですので、そういう御意見も出てきたことかと思います。また、経験がないところは杞憂に終わればいいんですけれども、御心配が先立つということも、これ、ごもっともなことかというふうに思いますので、この点、法令を整えた後の実施時期や、また、そういったところで最大限の配慮措置ができればなというふうにも思っておりますので。
 福田委員、先に、この点も含めて御意見等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【福田委員】
 ありがとうございます。この件を含めてと今おっしゃられましたんですけど、非常に収まりのいい評議員会と理事会というふうに、私どもといいますか、専修学校のほうとしては考えてございますので、そのことをまず申し上げまして、手を挙げさせていただいたのは、専修学校らしい意見かも分からんのですけれども、本日の具体的方策についての4ページですけれども、4ページの中程、2-2の項目で、6行目ぐらいから始まるんですけれども、「知事所轄学校法人であっても全国的に展開するなどの大規模な法人については、大臣所轄法人と同等の扱いとすることも考えられる」と。また、ここの一番下段ですけれども、「大臣所轄学校法人以外の法人を中心として慎重に措置するとともに、必要に応じて経過措置を定めることが考えられる」と。要するに、大規模な法人と小規模――ほかの学校種の先生方も小規模と、規模のお話をされるんですけれども、なかなか大規模といったら、5、000人以上ぐらいなの、1万人以上ぐらいなのと。小規模というのは、200人以下は小規模なのか、100人以下が小規模なのか、ちょっとその辺がなかなか具体な数字は難しいと思うんですけれども、イメージ的に主査のほうから、もしくは文科省事務局のほうから、これぐらいかなというようなイメージを教えていただければありがたいなというのが1つと、もう1点は事務局にお伺いしたいんですけれども、本日の資料の参考資料3番です。知事会からのということで御案内がございましたけれども、このペーパーだけ、どこにも知事会から出てきたのか、それから、日にちはいつ出てきたのかということが分かりませんので、もしよければ、口頭でも結構ですけれども、いつの時点で出てきたものなのか、その辺を御回答いただければありがたいと思います。
 質問と意見としては、2つ。以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 では、兼職のことも関わるかと思いますけれども、大方の皆さん方は、御議論いただいてきたところで、兼職をこの機会に禁じるけれども、今、実務運営上の御懸念もまだ完全に払拭されたとは言い難い状況を御示唆いただきましたので、この点につきましては、随所に書かれていますように、規模別規制区分等における配慮という中で対応していくことが必要かと認識させていただいたということで、まとめさせていただきたいと思います。
 そして、それに加えて、福田委員から、規模別というんですか、資料4で規模という言葉が独り歩きしてしまったようですが、実は、ここに書かれているものでは、規制を区分する上では、一応、大きくは大臣所轄と知事所轄という形になっていて、ただ、知事所轄といえども、全国的な規模で展開しているものもあり、ここでいう規模というのは、やっぱり大臣所轄というのが全国的な規模で展開しているという了解があるのかもしれません。どちらかというと所轄によって決めているというのは、規模の大小とか、会社だったら資本金だとか負債額といったのいろいろな基準があるのですが、そういう規模というのは、なかなか学校法人や設置する学校については、従業員数だとか、資本金だとか、そういったもので決められるわけではございませんので、ルールづくりの上では、今申し上げた大臣所轄と知事所轄という形で整えているというのが基本であります。
 ただ、そのほかについて、資料4も含めてちょっとコメントいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
【相原補佐】
 今、主査からもお話がございましたが、学校法人というものを全体として一つの学生数や財政といった観点での規模基準で切ってしまう、区分していくという発想ではなく、これまでの取りまとめの方向としては、前回も主査がおっしゃられておりましたけれども、かけがえのない教育をやっていく、そして、それの社会的影響の大きさというところで、一つの線引きとして、大学等の大臣所轄学校法人というところには、逆に言うと、ここは小規模か大規模かということではなくて、そういった社会的影響、政策的な観点から、やるべきをやるという共通の取組というのを求めつつ、そして、知事所轄の子法人の部分については、逆に他の法人制度でも規模区分を採用されているようなところに少し参照しながら、そしてまた、今日も議論出ておるような移行措置、経過措置のような配慮というものも加えながら、この制度の移行というのを考えるというのが一つの区分というふうに考えています。
 知事所轄の中でも、しかしながら、知事所轄だからということで、今度は全部、表の右側の区分でいいかというと、そこはやはり大規模、広域の活動されている学校法人というのは、むしろ大学をしのぐような規模のものも実際にはあろうかというところは、考え方として、やはり大臣所轄大学と同等の扱いをしていく余地というのはあるんじゃないかということだとは思っております。
 ただ、この部分の規模、あるいは広域性といった部分をどこまでというのは、なかなか今ここで掘り下げて決め切ることは難しいかとは思いますが、それはまた法律より先の、今日の資料4でも示してはおりませんが、やはりそれは法律よりはその先の政令あるいは省令といった事項の中で、さらに規模というのは具体化していくような事項ではあろうかと思います。今回、考え方としてあくまでまとめています。
 ただ、参考に申し上げれば、社会福祉法人においては、会計監査、あるいは内部統制といった部分で、財務に関しての基準がありまして、これは例えば、大規模法人というのは収益30億円、負債60億円といった基準が設けられているような例もありますが、この辺りもそういったところを参考にして、今後、また検討を深めていく部分かなと認識しております。ありがとうございます。
【福原主査】
 今のコメントで、資料4というところも、これは今後、法令レベルというよりは、いろいろな省令ですとか、そのほかの、あるいは経過措置を設けるという案というか、一つの方向性を示したもので、必ずしもこれで今日御理解いただいた、決まったというわけじゃなくして、対応する方向性が示されたものとして御理解いただければというふうに思います。やはりきめ細かいものが必要かと思います。
 福田委員、川並委員の順で。福田委員、よろしくお願いします。
【福田委員】
 ありがとうございます。今おっしゃるとおりで、これ、1ページの下のほうにも「下位法令・通知の検討は」ということで、恐らくそこで出てくるんだろうなということは推測もできておりましたので、今の相原補佐のお話で十分理解できました。ありがとうございます。
【福原主査】
 ありがとうございます。
 じゃ、関連して、川並委員どうぞ。
【川並委員】
 資料4ですが、今までずっとこの資料は「規模に応じた対応案」というタイトルですが、今、主査から話があったように所轄で分けるのであれば、このタイトルを「規模」ではなく「所轄に応じた対応案」としたほうが、我々の混乱が少ないと思います。
 また、今、社会的影響との話がありましたが、大学、短期大学、高等専門学校は、高等教育であることから社会的影響が大きいので大臣所轄ということだと思いますが、高等教育の定義もいろいろと入り組んでいる現在、大学、短期大学、高等専門学校以外にも高等教育機関であるとされている機関もあります。今ここで議論するべきことではないかもしれませんが、どこかで高等教育についても整理をしていただけたらありがたいなと思います。
【福原主査】
 どうもありがとうございました。
 この資料4について、最初から規模って書いたものですから、それでずっと使わせていただいておりますが、むしろこの規模というのは、定性的なほうを指しているということを御承知おきいただければというふうに思います。
 では、規模別のところについてまではそこで御意見いただきましたが、では、新たにほかの点につきまして、田中委員からよろしくお願いします。
【田中委員】
 ありがとうございます。このたび福原主査が非常に現場の意見を聞いて、バランスを取ろうとしていることに感銘を受けておりますので、その点から、先ほどお立ちになりましたが、小原委員がおっしゃったことの1点目と2点目について、ちょっと私の意見を申し上げたいと思います。6ページ目のところでありますが、理事会と評議員会との関係性の中の第1段落の4行目のところですけれども、「評議員会を最終の意思決定機関とすべき意見もあったが」の後のところですが、「必ずしも直ちに不可欠な措置とは言えない」の「直ちに」を削除していただけないかということです。これは、小原委員も気にされていたところですが、「必ずしも不可欠な措置とは言えない」ということで意味はほとんど十分に通ると思うんですね。
 タイミングについては、直ちにというのは、直感的な意味なのかもしれませんけど、必ずしも不可欠な措置とは言えない、すなわち評議員会を最終決定機関にしなければならないという意見もあるけれども、必ずしも不可欠な措置とは言えない。それが必ずしも妥当性を持つわけではないということを申し上げる。全否定するわけではないですけれども、やっぱり直ちにというと、そこが弱いという御指摘があったと思います。「直ちに」を抜くだけでは、その意味合いはほとんど変わりませんので、やっぱりそのほうが、一つはっきりしたメッセージになるということがございます。それが1点。小原先生のお気持ちも考えて、福原主査のおっしゃるように、バランスを取れればと思います。
 もう1点は、小原先生おっしゃった2点目なんですけども、4ページ目でございますが、「現状でも問題がないから改革の必要性はないと判断するのではなく」ということについて、これ、別に犯人探しをするとか、そういうことじゃないと思いますので、であれば、次のような表現のほうがいいかなと思います。「現状において問題がないからといって、改革が不必要と判断するべきではない」と。客観的なんですよね。現状でも問題がないから改革の必要がないと判断するというのは、誰かがそう思っているんじゃないのかとか、誰かがそう判断しているんじゃないのかというニュアンスに聞こえるということをおっしゃったと思います。
 ここは、「現状において問題がないとしても、改革が不必要であると考えるべきではない」と、丸で切っていただいてもいいんですね。「判断すべきではない。そして、先行するガバナンス改革の議論を参考にしつつも」ということで、非常に客観的に、現状に問題がないとしても、改革が不必要というわけではない。もしくは、私学のガバナンスを高めるために、改革が不必要であるとは言えないという。そこで丸で切っていただいたほうがいい。そういう客観的な表現にするだけで、この合意書は非常に格調が上がると思います。ぜひその辺り御検討いただければと思います。非常に細かいことですけれども、福原主査のおっしゃるように、やっぱり気持ちが一つになることが大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。まさに筆が走り過ぎたところを踏まえて、今日コメントさせていただいた私たちの意志を社会に発信するという意味からも、田中委員の御指摘はごもっともかと思いますので、承っておきたいと思います。ありがとうございました。
【田中委員】
 ありがとうございます。
【福原主査】
 それでは、次に、佐野委員、梅本委員、有識者の方々からの意見を賜ってまいります。いかようなところからでも、また、先ほど出てきたところとの関連でも結構でございます。
 佐野委員からどうぞ。
【佐野委員】
 ありがとうございます。私もこれ、全体として、本特別委員会の趣旨でありますところの丁寧な説明、それから私学の合意形成、これに向かっておまとめいただいて、事務局の方々の御苦労に敬意を表したいと思っています。
 その中で、先ほどちょっと理事の任期等の終わりの件について申し上げましたので、あと3点ほど、確認を含めてちょっと意見を申させていただきたいと思うんですが、まず1点目が、9ページの評議員会の構成のところです。真ん中よりちょっと下ですかね。なお書きのところですが、なお、知事所轄学校法人については近親者云々ということで、評議員への役割があるんだから就任してもいいんじゃないかというような書きぶりになっています。
 これについて、私は知事所轄法人に限ったことではないということでよろしいのではないかと思っておりましたので、上限を設けることによってカバーできるわけですから、近親者等が評議員に就任することを知事所轄法人に限る必要はない、ここに限定する必要はないというふうな書きぶりにしていただければと思ったところです。
 それから、2点目が、10ページから11ページにかけての会計監査人の整備のところです。これ、大変、おまとめ微妙な書きぶりになっているなと思いました。10ページの一番下の段落では、学校法人会計の適正確保について、これは財務情報の信頼性確保ということだと思うんですけれども、専門家の担保が必要だというふうにお書きいただいています。ところがこれ、根拠法令については触れていないんですね。
 次の11ページに行きますと、大臣所轄法人については、会計監査人を設けましょうと。規定しますと。そして、知事所轄法人にあっては積極的に入れましょう、法律には入れませんよというような書きぶりになっています。
 先般の第4回の委員会のときには、この財務情報の信頼性確保という点、それから、監事との連携含めまして、助成法から私学法に監査の根拠を移すことを検討してはどうかというようなお話もあったかと思うんですが、この辺のところをオブラートに包んでお書きいただいているんで、まだペンディングになっているのかどうか、その辺のところをちょっと確認したいなと思いました。
 それから、最後3点目なんですが、同じ11ページの子法人の在り方、先ほど川並委員からもちょっとお話が出た出資会社の件だと思うんですけれども、決算期が違ったらばどうするのか、問題があるよねという提起がございました。この決算期のずれによる問題というのは、学校法人の子法人に限らず出てくると思うんですが、注記情報の充実、開示情報の充実等によってある程度カバーできるように工夫すれば、解決の道が出てくるのかなというふうに思ったところなんです。で、最後の段落なんですね。なお書きでお書きいただいているんですが、「なお」ということで、学校法人間の相互連携、統合を妨げるものではなく、小規模な学校法人の存続・発展を妨げるものではないという書きぶりになっていますね。これは、多分、機関設計のいかんによって支障が出ないように配慮しているんですよ、小規模にも配慮しているんですよということを意味しているのかなとも思うんですが、ここが書かれている場所が、重層的な監査体制の構築という中で、子法人の在り方というセクションに入っているがために、ちょっと意味するところが分かりにくくなっているのではないかと思うんですね。
 これは子法人の在り方であるとか、監査の問題、監事監査、監事、会計監査の問題とはちょっと別物だと思いますので、内容について、冒頭、委員間でのやり取りがありましたけれども、そういったことを生かすということであれば、「はじめに」であるとか、1-3ですか、多様性のところであるとか、2-2の規制区分など、ちょっとほかの場所に移して、この改革会議の検討が、そういった小規模法人の発展を妨げるものではないというような書きぶりになさってはいかがかなと。その文章が必要かどうかも含めて御検討いただければということで、ちょっとコメントさせていただきました。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。拝聴いたしまして、ごもっともだというところが多々ございましたので、受け止めておきたいというふうに思います。
 続いて、梅本委員からも御意見いただきます。
【梅本委員】
 梅本です。私も、1点だけちょっと意見を申し上げます。報告書の6ページの、先ほどから若干お話出ています理事会と評議員会との関係性というところなんですが、小原先生の読み方と多分私は全然違う角度で読んでしまっているのかもしれないんですけれども、2行目あたりで、「学校法人の基礎的変更等や各法人の寄附行為で定める評議員会の議決事項について、評議員会を最終の意思決定機関とすべきとの意見があった」と。が、これは「必ずしも直ちに不可欠な措置とは言えない」という記載があって、さらに下のほうに行きますと、「各機関の決議の優劣を一律に法制上措置するものではない。この場合、学校法人として理事会と評議員会との建設的な協働を促進するための手続を各法人の寄附行為であらかじめ定めることも考えられる」という記載がございまして、福原先生の前の覚書も踏襲された表現かなと思っているんですが、要するに、評議員会の議決事項とするということの意味は、評議員会が議決しない限りは、法人としての意思決定にならない。例えて言うと、内閣が法律案をつくって、それを決定して、国会にかけて、国会が議決して初めて法律になる。国会が否決してしまうと法律にならないというのと一緒でして、そういう意味では、やっぱり評議員会は最終の意思決定機関、そういう言葉として、意味合いとしては、最終決定機関になるんじゃないかなと、私はずっと思っていたんですけれども、ただ、最終意思決定機関という言葉が、若干いろいろいわくつきといいますか、ちょっと誤解を招くような言葉なので、ネガティブな意味で使われてしまっているのかもしれませんが、評議員会の議決事項にするということは、ある意味、論理必然的に、評議員会が最終決定機関になるということだと思うんですね。
 あと、下のほうに行くと、建設的な協働を促進するための手続を各法人の寄附行為であらかじめ定めるということを許容するというんですかね。うがった読み方をしてしまうと、評議員会と理事会とで意見が割れてしまったと。理事会は、例えば寄附行為を、第何条を変更するという議案を決定して、それを評議員会にかけて、評議員会がその議案を否決してしまいましたと。この寄附行為変更はまかりならんと。それもある意味一つの意思決定だと思うんですけれども、その場合に、寄附行為で、その場合は理事会の決定を優先するとか、話し合って決めましょうとか、まとまらなければ理事会の決定を優先するとかというのをもし許してしまうと、では、何のための評議員会かということになると思うんですね。
 それだと、結局、議決事項とされたんだけど、ある意味、評議員会が諮問機関の域を出ないといいますか、評議員会の御意見は拝聴しましたけれども、理事会としてはこのように行きます、それを寄附行為で定めることによって、理事会の決定を優先すると。それは、大分うがった読み方かもしれないんですけれども、字面だけ追うと、何かそう読めなくもないような表現が並んでいるのがちょっと気になっておりまして、もうちょっと表現ぶりを、建設的な協働と相互の牽制というお考えはいいと思いますので、ちょっとその辺りについても明確に、最低限評議員会の議決事項とされたことについては、やっぱり評議員会の議決がない限りは、法人としての意思決定といいますか、それはちょっと難しいんだよということを出していただけるとありがたいかなと思った次第です。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。意思決定権限ということからすれば、そこにそういう権限を与えて、評議員会が議決ができなかったら法人としての意思決定はできないということは、理事会の決定だけでは不十分ということになろうかというふうに思いますので、理論的によると、先生のおっしゃるとおりです。かといって、では、そのことで最終、それが評議員会が最終かというと、そういうわけじゃないので、理事会の決定はしていって、そこの違いが出てきたときにどのような調整を図るかということについては、寄附行為その他で各学校法人できっちり手続を定めておいていただきたいという趣旨ということになりますので、それを理論的にどう捉えるかということだと思います。白黒はっきりつけろという御意見もあろうかと思いますけれども、そこは学校法人の意思決定の特殊性という意味で、このような立てつけを表現しているということになりましたが、それを分かりやすいように表現しろという御意見として承っておきたいというふうに思っています。ありがとうございました。
 そうしたら、次は米澤委員、そして、重永委員と御意見をいただいてまいりたいと思います。
【米澤委員】
 ありがとうございます。9ページの一番下のところなんですけれども、監事の選解任のところについて、ここで最終的に出てきている案は、この観点からは、監事の選任を理事長ではなく評議員会の任務とすべきであるというようなことになっているんですけれども、これについて、今日お示しいただいた日本私立大学教職員組合連合から出ているものの資料の中で、3の1というのが、これが3ページ目にありまして、そこの中では――違いますね。すみません。監事は4ページですね。4ページの4の1のところで、最初に「監事は評議員会において選任すると定めること。ただし、理事会による推薦は妨げない」というようなことが書いてあって、そのもとになっている根拠として、前回、話が出ていたところで、何らかの形で理事会が関与できる余地を残したほうがいいのではないかという議論と、それに対しての様々な意見というのが書かれていて、その上でこういうような形で書かれているというところがあるんですけれども、これについて少し明確に共通理解を持ったほうがいいかなというのが、1つ、示したい論点でございます。
 どっちにしても、私自身が非常に気になるのは、私がたまたま国立大学法人というか、国立大学に属していて、その中で、監事の任命は文部科学大臣になるわけですけれども、もちろん文部科学大臣が単独で決めるわけではなくて、大学から候補者を出すわけですね。そこで国立大学の役員もある程度の範囲で推薦に関わるというような仕組みになっていまして、その辺を考えたときに、どこまで評議員会の選任というのが、法的な根拠というものと実態というところで、どこまで完全に任せていいのかみたいなところがまだはっきりしないまま議論が進むのがちょっと気になるというところで、全体の御意見を伺った上で、何らかの共通の見解はあったほうがいいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 時間も来ておりますけれども、では、重永委員まで本日は御指摘をいただきたいと思います。どうぞ。
【重永委員】
 ありがとうございます。私、梅本先生が先ほどおっしゃった論点でございますけれども、評議員会と理事会との、どちらが最終なのかというような、表現として、最終の意思決定というようなことを評議員会に持ってこられると、最高機関ではないかとか、いろいろな誤解も持ったりしますので、できるだけ盛り込まないで記述していただけたらありがたいとは思うんですけれども。実際、評議員会の同意がなければ決定に至らないということであれば、梅本先生がおっしゃるようなことだと思っております。最終的な決定は評議員会の同意がなければならないというようなことだと思っているんですけれども、私どもがその際に、最初からお願いをしてきておることなんですけれども、それを日常の学校運営に押し広げていただくと、本当に学校現場はスムーズな、また、スピーディーな決定ができずに、私立学校の本当に特色でございますけれども、いろいろな教育プログラムを日々考えているということが実現できなくなりますので、非常時に限定するというようなことで、評議員会の議決が絶対必要だということについては、限定していただければと思っております。非常時につきましては、寄附行為の変更ですとか、学校の存続に関わる問題ですとか、理事長あるいは理事会の不正の問題だとか、様々あるとは思うんですけれども、そういうのが限定的に列挙していただくというようなことが必要かなと思っておりまして、そういう条件つきで梅本先生のおっしゃることに賛意を示すということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 では、今のところ、あと、これに関連するところまで本日は御意見いただきますが、田中委員、どうぞ。
【田中委員】
 今の件でございますけれども、梅本委員の御意見に私は反対でございます。恐縮ですが、やっぱり評議員会が最高の意思決定機関と明文化した途端に、学校法人の意思決定は評議員会が決めなければならなくなるので、重要事項とか合併とか長期計画とか、大規模事業以外でも、例えば、コロナでオンライン教育に全部切り替えるというようなことを、評議員会を待っていれば、4月にはとてもできない。それは5月にしかないわけですから。2か月3か月待っていたらば、もうコロナが大感染してしまうというときに、意思決定するのが理事会なんですね。ですから、現場の意思決定というものは迅速でなければならない。攻めのガバナンスということも必要だということは申し上げておりますし、こちらの親委員会になりますが、学校法人設置審議会学校法人分科会の会長でいらっしゃる村田治関西学院大学長も、それはすごくおっしゃっているんですね。やっぱり攻めのガバナンスというものが必要であると。つまり、意思決定するのはどこかということがはっきりしなければならないと。
 ですから、平成26年の私学法ではそこをはっきりさせたわけですけれども、今回はそこはかなり丁寧に、今回、福原主査、また、事務局の御尽力によって、協調的にうまく融和的に進めるということで、よい表現にしていただいていています。法的にどちらが優位かは定めないという表現になさっているんですよね。これ、大事だと思います。大事なところは評議員会で決めなければまずいですということはおっしゃっているんですが、最高意思決定機関であると言った途端に、もう理事会は何も決められなくなります。それは非常にまずいんだと思うんですね。ですから、今の表現をお守りいただくことが、今回の改革のやっぱり肝になるというふうに存じております。
 以上でございます。
【福原主査】
 何か一言で表現しようとしてしまうと、その言葉が独り歩きするということでありますし、理論的に何かまとめたいと思いますと、それがまた独り歩きするということで、必ずしも梅本委員も、皆さん御懸念のような言葉遣いではなくて、理論的に見ると、やはり評議員会の議決というものがないと、理事会の決定と併せてないと、法人の意思決定にはならないという意味をおっしゃっていただけだと思うのですが、梅本委員、ちょっとコメントをいただいて、そこまでとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【梅本委員】
 すみません。梅本です。私、何でもかんでももちろん評議員会で意思決定しようというつもりは全然ございませんので、ただ、ちょっと文章を読みましたら、基礎的変更とか、寄附行為であえて議決事項としていることについても、評議員会の意思決定じゃないみたいな、何かそういうふうに読めたものでしたので、もうちょっと表現ぶりをクリアにしていただけないかなという趣旨で申し上げました。
 その点で、田中先生と私、全然意見が違うとは思ってないんですけれども……。
【福原主査】
 そう言葉に出すと、独り歩きもしかねませんが……。
 では、最後にあと一つ、尾崎委員、お手が挙がったので、最後に一つ、どうぞ。
【尾崎委員】
 時間がないところであれなんですが、私は田中先生と同じように思っています。これは、あくまでもその前の段落の学校法人の意思決定とするというところで、2つがそろわないと、学校法人の意思決定にならないのですね。先ほど国会の話をされたのですが、衆議院と参議院が共に決まらないとまずいわけです。それが衆議院と参議院が違ったときどうしますかというと、まず、両院協議会を開きましょうという話があるわけで、それをここで福原先生はおっしゃっているわけですよね。一律に決着をつけていくのじゃなくて、2人で話し合いなさいと。それで話し合うのが、ここにありますように、寄附行為でどういうふうにしますかと。これ、まさに協働してやりましょうと。そういうことを福原先生は書かれたのだと私は思っておりまして、そういうふうに読んだのですね。
 そこについては、決着のつけ方は、例えば、予算案については衆議院が優越するという憲法規定があるわけですから、こういうことについてはこうこうこうだというのを、どこかで決めがあればいいわけですから、通常これ、fundamentalchangesですから、大変重要なことですよね。これが、理事会と評議員会を全く2つに分かれてしまったというふうになってきますと、これ、もう1回話し合いなさいよと。どうしてかというと、1回だけの評議員会じゃ決着つかないことだってあるわけですよ。どうも誤解を生んでいるのじゃないかと理事会が思ったら、2つが集まってもう1回評議員会を開けばいいわけで、それを寄附行為で書いておけばいいという趣旨であると私読んだのですが、田中先生もそう読まれたのではないのですか。
【福原主査】
 そうですね。田中先生もそうですし、私も、だから、例えば、それで一事不再理だからそれはもう全部駄目になっちゃうよというんじゃなくして、説明が足らなかったら説明を尽くして再審議をしてもらうとか、あるいは、評議員会がやはりステークホルダーの意見として、理事会では、排除されなかった意見がそこで出てきたために保留をしたんであれば、それを踏まえた修正案をまた理事会が出してくるとか、そういった建設的な協調ということが大事なのであって、どっちが違っているからこうしろということが学校法人の運営にとって重要なのではないと。こういう趣旨では皆さん、お考えは一緒ですが、それを理論的にどういうふうに制度づけるか、大変難しいところはあるかと思いますが、その趣旨を御理解いただければと。
【尾崎委員】
 ですから、福原先生おっしゃったように、一律に法律上の措置をするものでないというところがメッセージだと私は思って、読みました。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 お約束いただいた時間が近づいてきております。年度末でお忙しいところとは思いますが、本日、多数の御意見をいただきましたし、まだ今後に向けて、こういう点は配慮すべきであるという未来志向の、ここまでの議論をまとめるというだけじゃなくて、やはりこの機会ですから、せっかく有識者の方でも、また、私学の関係者が集まる機会もあったことですので、そういう機会も設けたいと思います。そこで、今回で本委員会を終了とせず、予備日も開催させて戴き、今後は短時間になると思いますが、もう一度3月22日に開催の上、報告案をまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。
 次回最後だよということを言わないままここで打ち切ると、何かもやもやして残ってしまいますので、22日はまん防も明けていると思いますが、22日にもう一度御意見を戴きたいと思います。ですから、蒸し返しとか繰り返しではなくして、これまでを踏まえて、あとここを今後に向けてとか、こういったところを経過措置してとか、まだ言い足りなかった、そういったところの御意見をいただきたいというふうに思います。
 ただ、次回の会議まで期間がございませんので、本日の御意見を入れた改訂版をお出しするという時間がございませんので、このまま使わせていただくことにして、それを前提に、今申し上げたような、今日の延長としてのお時間を頂戴をしたいと思います。当日は、いろいろな会議等々、重複しておることも聞いておりますので、次回、夕刻1時間半か2時間という限られた時間になりますけれども、開催をさせていただきますことを御了承いただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【福原主査】
 ありがとうございます。
 そういうことで、本日の御議論は以上とさせていただきまして、次回、そういうことで会議を開催するということでございますので、事務局から御案内をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【相原補佐】
 本日も大変長時間にわたる活発な御議論をありがとうございました。
 今、主査のほうから御説明ありましたが、前回の会議資料8においても御案内をしておりました、第6回会議予備日を活用して開催ということでお願いをしたいと思います。3月22日火曜日の16時30分から18時30分ということで、改めてまたお集まりいただくようお願いをしたいと思います。詳細はまた担当のほうから御連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。
【福原主査】
 また、資料で御紹介が漏れていたものも、次回、改めて御紹介させていただきたいというふうに思います。内容をお知らせしましたけど、知事会の資料の発信日並びに発信者名が漏れておりましたので、そういったところ、資料の調製もさせていただきます。
【相原補佐】
 主査、すみません。補足ですが、知事会の資料は、昨日、全国知事会さんのほうから私どもに提出があったものということになります。
【福原主査】
 口頭でありがとうございました。
 また、教職員組合連合会のほうから、大変重要な地位を占めておる教職員という、学校の教職員という大切な立場から、日々いろいろな業務に従事している皆さん方からも、建設的な御意見をいただきましたことを改めて御礼を申し上げたいと思います。今日の御議論の中でも、適宜取り上げていただいた方もいらっしゃいましたし、また改めて読ませていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、本日、皆さんから頂戴いたしました時間も迫っております。本日の会議は以上とさせていただきます。
 なお、次回は1時間半か2時間のところでまとめとさせていただきますので、言い尽くせなかった事柄等があります場合には、あらかじめ書面で事務局にお送りいただければと思いますので、よろしく御配慮のほどお願いをいたします。
 本日も長丁場になりました。どうもありがとうございました。年度末のお忙しいところ、あと1日、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

 ――了――

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高等教育局私学部私学行政課

(高等教育局私学部私学行政課)