学校法人制度改革特別委員会(第3回)議事録

1.日時

令和4年2月22日(火曜日)10時00分~12時30分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 個別の論点について
  2. その他

4.出席者

委員

福原主査、佐野委員、西岡委員、梅本委員、尾崎委員、米澤委員、田中委員、小原委員、川並委員、嵯峨委員、重永委員、尾上委員、福田委員

文部科学省

森高等教育局私学部長,滝波高等教育局私学部私学行政課長,相原高等教育局私学部私学行政課課長補佐

5.議事録

【福原主査】
 皆さん、おはようございます。ただいまより、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会学校法人制度改革特別委員会の第3回の委員会を開催いたします。
 本日も御多忙の中、皆さん方には御出席、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 本日も、新型コロナウイルス感染症対策のために、Zoomを用いたウェブ会議として開催いたしまして、その様子をYouTubeライブ配信にて公開いたします。会議資料等事前に配信しております。また、音声、画像等、御準備はよろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の会議の運営に関する連絡事項等、また本日配信されております資料の確認をいたします。では、よろしくお願いいたします。
【相原補佐】
 私学行政課の相原でございます。本日もよろしくお願いします。
 本日もウェブ会議でございます。また、併せてライブ配信を行っておりますが、委員の先生の御発言の際には、場面に向かって挙手をされるか、Zoomの参加者ボタンから手を挙げる機能を使用されるかのいずれかでお願いいたしまして、主査の指名を待って、ミュートを解除して御発言いただく。発言時以外はマイクをミュートに戻していただくということでお願いいたします。
 配付資料につきましては、議事次第のとおりでございますが、資料1から6、それから、参考資料1、2-1から2-7、3から8までとなっております。
 このうち、資料3につきましては、団体さんからいただいております論点に対しての意見を集約した整理表でございますが、今回、資料4といたしまして、日本私立中学高等学校連合会様より追加の提出の意見書をいただいております。この部分を資料3にも反映させていただいております。
 また、資料5につきましては、これまでの議論を踏まえて、福原主査のほうから、議論について一定の覚書という形で、今回資料の整理をいただいているところです。
 また、参考資料の中では、参考資料3及び4が、御出席の委員以外の団体からの意見書ということで、追加で配付をしているものとなります。いずれも公表資料でございます。
 以上でございます。
【福原主査】
 それでは、審議入りたいと思います。
 本日は、議題(1)といたしまして、前回に引き続き、学校法人ガバナンス改革に関する個別論点のうち、総論、理事・理事会、評議員・評議員会の関係部分を中心に討議してまいりたいと思いますが、ただいま御紹介がございましたように、まずは、本日追加で意見書を提出していただきました日本私立中学高等学校連合会の嵯峨委員から、5分間程度で簡単に御説明を賜りたいと存じます。では、よろしくお願いいたします。
【嵯峨委員】
 よろしくお願いいたします。
 それでは、私どもの追加の意見書について述べさせていただきます。まず、理事・理事会、評議員・評議員会の在り方についてですけれども、各中高法人では、理事長・理事の適格基準や選解任、理事会議事録の作成などについて、建学の精神や宗教など各学校法人の事情を鑑みながら、今後も、各学校法人がそれぞれにふさわしい取組を主体的に行えるようにすることが適正であると考える。
 評議員会の権限などについてですけれども、私立中学校・高等学校は地域の公教育の一端を担っており、学則定員などはもとより、募集人員や入学者選抜の日程についても、文部科学省の指導の下、都道府県に設置されている公私立高等学校連絡協議会を通じて、公立高等学校と協議し、地域の実情に応じた生徒募集を行うなどしており、公立学校と共に地域における健全な公教育の維持・発展に貢献している。その教育活動と学校経営は地域の評価の上に成り立っていることから、現行法の意見聴取事項などについて評議員会の決議・承認などを要するということは、必要でないと考える。
 選解任、適格基準についてですが、各私立中学校・高等学校では、理事・評議員・監事・教職員など学校関係者が一丸となって学校経営や教育活動に取り組んでいる。校長理事は教学からの意見を学校経営に反映させており、評議員理事は理事会における相互監視に重要な役割を果たしていることから、いずれも引き続き必要である。また、建学の精神に基づく学校経営や教育活動を実施するためには、理事会・評議員会のメンバーには各学校の教育理念や実態を理解している者が必要であり、これは法人の合併、解散などの最重要事項の際にも、卒業生、現職員などの学校を深く考えている関係者の方々の意見が必要だと考えております。
 理事長の解職や理事の解任については、理事長や理事に法令違反などの解任事由がないにもかかわらず、むやみに解任や解任請求がされ、適正な学校経営や教育活動が妨げられることがないようにすべきである。また、中高法人については、金融機関から借入れをする際、理事長個人が保証債務を背負うことが総じてあることを含めて、理事会・評議員会の在り方を検討すべきである。
 理事・評議員の任期について、学校経営や教育活動は安定的・継続的に行っていく必要があることから、各学校法人がそれぞれの実情に応じて任期を定め、必要があれば再任されることができるとすべきである。
 評議員会には学校法人の職員や私立学校の卒業生が含まれており、各中高法人では文部科学省の通知を踏まえ、学校法人の役職員が大多数を占めたり、特定の同族が多く選任されたりしないよう取り組んでいる。さらに私立学校法では特別の利害関係を有する評議員は議決に加わることができないとされており、あえて評議員の員数について、理事の2倍を超える数が必要であるとすることは疑問である。
 その他、理事会での理事による職務状況の報告について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では報告回数は3か月に1回とされている。各学校法人によって理事会の開催回数は異なることから、理事会での理事による報告回数については各学校法人の実情を考慮する必要があると考える。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 それでは、その他事務局から、本日追加して配付しております資料等の説明を含めてお願いしたいと思います。また、会議の委員としてはお迎えしておりません団体からも、本特別委員会宛てに意見が提出されているところでございますので、併せて御紹介いただきたいと思います。ではよろしくお願いします。
【相原補佐】
 それでは、まず、参考資料3をお願いいたします。日本経団連が1月の下旬にホームページで公表されておりましたものでございますが、ちょうど先週15日に経団連さんが文科省に来省されて、大臣に直接この提言を手交されるということもちょうどありまして、私も立ち会ったところですけれども、今回のこの抜粋をお配りしておりますが、3枚目からの部分が、大学中心としたガバナンス改革に関しての御意見ということになっております。
 適切なガバナンスの実現ということで、大学が内部に閉じずに、学外者をしっかりと入れていく、ダイバーシティーを確保していくというような課題の認識も示されております。
 その上で、特に私立大学については3ページから4ページにかけての部分に記述がございますけれども、理事会、評議員会、監事、それぞれの機能を明確化した上で、それぞれが責任を持って実質的な役割を果たすことが極めて重要です。次のページにかけての部分です。
 それから、少し監事の兼任の禁止については既に法制化されていますので、若干事実の誤認の部分も含んでおりますが、その後ろの「理事および評議員については、明確化した役割に基づいて」、「兼任のあり方を見直す必要がある」と、このような提言をいただいております。
 またそれとともに、情報開示の一つの在り方として、統合報告書ということで、ここでも今後もガバナンスに関しての情報というのも工夫していくようなことも、今回抜粋しておりませんが、その後ろの部分でも提言いただいていたという状況になっています。
 続きまして、参考資料4をお願いいたします。仏教系大学会議様から本委員会宛てに頂戴した御意見でございます。前回のガバナンスに関する有識者会議、ガバナンス改革会議の議論がされていたときに、仏教系、あるいはキリスト教系などでも様々議論があったように承知しておりますけれども、今回、この仏教系大学会議様からは、資料にありますように、役員の選解任の在り方に特に御意見を頂戴いたしました。
 具体的には、宗門の関係、団体あるいは本山といったところから理事が選出されている、そういう枠を定めた学校法人の寄附行為の実態があり、その意義というのを尊重していただきたい、このような御意見を頂戴したところであり、学校法人の沿革、多様性の実態を踏まえた御意見の一つであろうかというふうに思います。
 それでは、次に資料3をお願いします。本日は、後ほど主査のほうから覚書の御説明があろうかと思いますが、少し関係する部分について、各団体のこれまでの提出意見、本日資料4にて中高連様からいただいた部分も含めて、この資料3に整理をしておりますので、改めて状況を確認しておきたいと思います。
 0-2というところで、大きな評議員会の在り方の総論的な考え方についての御意見が載っておりますが、理事会と評議員会について、原則、今の現行制度における関係性を維持するという御意見が多かろうと思います。そしてその上で、多くの団体から、監事等が機能しない、不正が放置される、非常時というような言い方も出てまいりますが、そのような場合に評議員会が監督機能を持つという部分について、一定の賛成の御意見を頂戴している、このような状況ではないかと思います。
 次に、1-1の理事会において、理事長の選定、あるいは解職を行うことを法定化することという部分につきましては、賛成、異論がないという意見と、また寄附行為等で定める現行制度がよいと、意見が分かれているような状況があろうかと思います。
 次のページをお願いします。1-3、あるいは1-4というところでは、理事の選任、解任に関しての御意見をまとめておりますが、ここも改めて御覧いただきますと、先ほど参考資料4でも御意見がありましたが、選任について、寄附行為でそれぞれのやり方を認める、選任機関を寄附行為で定めるということについては、おおむね賛成の御意見が多いのではないか。
 またその上で、解任の在り方について、先ほどもございましたが、非常時というような状況において、また、先ほど中高連様よりも御意見もありましたが、一定の解任事由、法令違反等があるような場合に、この選任機関に対して、理事の解任の請求を評議員会が行おうというような権限の行使の仕方についても、一定の賛成の御意見が多いのではなかろうかというところでございます。
 次に、1-6と2-8が相互に関係する部分でもございますが、理事会と評議員会で、現在は一定の数は評議員の中から理事が選出されている。またそれ以外の理事も、評議員と兼務しているような実態があるわけですが、この部分をどのように今後考えていくかという部分については、先ほど経団連のほうでは、役割を明確化するということで御意見も頂戴したところではありますが、この間、団体における意見については、理事と評議員の兼職の解消を目指していくことに賛成の御意見と、現行の兼職関係が適切であるという御意見に割れている状況が見られるかと思います。
 戻りまして、2-1と2-2の部分が、評議員会の決議事項に関しての意見の状況ということでございますが、大臣所轄法人と知事所轄法人についてかなり御意見の割れる部分があり、ここでは最低限の決議事項として、先ほど申したような選解任に関してのような請求といったところに関しては、2-1に御覧のとおり、おおむね皆さん方は賛成であると。
 他方で、知事所轄、あるいは短期大学協会、私立大学協会さんも含めてだろうと思いますが、この2-2の部分のような、評議員会の議決事項を追加的に導入していくような制度に対しては反対の意見が多いという状況、他方で私立大学連盟さんからは、方向性には賛成すると、このような状況となっておりまして、今後この辺り、今日はまた主査から議論を踏まえた御提案があろうかと思いますが、議論を深めていただければというふうに承知しております。よろしくお願いいたします。
【福原主査】
 ありがとうございました。これが各団体、本日の書面提出も受けまして、事務局にて整理していただきました御意見ではございますが、追加資料としては提出されていないまでも、この間、各団体で様々な協議や意見交換の機会をお持ちになっておられると仄聞をいたしております。
 そういったところを踏まえまして、各団体内での議論の御様子とか、あるいは前回御提示いただきました意見に追加したり、ここは少し変更の様子であるというようなところがもしございましたら、本日のこの席で差し支えないところで御紹介いただければと存じますが、まずその点いかがでしょうか。各意見、今事務局でまとめていただいたこの表以外に、最近の御議論の中で何か口頭ででも、本席で議論に入る前に紹介しておきたいという事柄がございましたら、お伝えを賜ればと思いますが、よろしいでしょうか。よろしいですか。
 じゃ、福田委員、よろしくお願いします。
【福田委員】
 ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。恐れ入ります。
 追加ということではないんですけれども、以前に資料4-7で提出させていただきましたが、資料としては今回お出ししておりませんが、申し訳ないですけど、先ほどの経団連さんの全部を読み込ませてはいただいていないんです。私、昨夜移動してきていまして、先ほど資料の御説明で見せていただいたというところです。
 何が言いたいかといいますと、そもそも前も申し上げましたが、ガバナンスに関する議論の最初の報告書、要するに昨年の3月の有識者会議ですけれども、学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性というものが公表されておりますが、基本的な認識の最後に、当会議の議論の取りまとめは、大学を設置する学校法人の在り方について議論したものであり、併せて私立学校の多様性に配慮して、学校種、規模等の実態に応じた簡素な機関設計等を認める学校法人の類型の在り方についても検討するように提言するというふうに見解が示されております。
 大学法人の改革を主眼として議論された内容でございますが、都道府県所管の学校法人にも一定程度及ぶことは十分あるんではないかというふうにも私どもは考えてございますが、都道府県所管の学校法人ないし、専修学校を代表する準学校法人については、大学法人とは別の機関設計を検討する必要があるんではないかと考えてございます。そのことはやはり特に地域社会に根差した私立学校の多様性の維持と、地域社会発展に資する人材育成の基盤となるというふうに考えてございます。
 本日の追加の資料で、全部読み込んでおりませんけれども、経団連さんから出てきた、先ほどの御紹介の中では、やはり経団連さんからの御意見というのは、大学をフォーカスしてお出しになっておられますし、その中でも学校法人の多様性というようなことで、仏教系大学会議からの御意見もやはり大学の御意見ということで、学校法人だけを見れば全てが1つではないということはもう、今御参集の委員の先生方も十分お分かりの中で、なかなか大学に合わせていくと、最大公約数は大きくハードルも、それから種類も変わってしまうんではないかということを危惧しております。
 したがいまして、プランとしてはというか、私の個人的な案ですけれども、やはり大学をきちっと、そういった設置するためのガバナンスの改革をある程度示されまして、それに準じるといったらおかしいですけれども、準じ方は、ハードルを下げる準じ方もあれば、施行時期を後ろへ延ばすということもプランとしてはあるんではないかというふうに、個人的には考えております。一つその辺、書類、ペーパーとしては付け加えておりませんけれども、再度の意見を申し上げさせていただきました。
 以上です。ありがとうございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。福田先生の日頃の御所属先並びに御活動の全国専修学校各種学校総連合会のお立場も踏まえましての御意見の追加、また整理として承っておきたいと思います。御丁寧にありがとうございました。
 ほかに何か、それぞれいかがでしょうか。どうぞどなたか。小原先生。どうぞ。
【小原委員】
 今回のガバナンスの会議で、監事の役割というのが少し欠けています。実際、理事会、理事、理事長の監視も監事の役割です。令和元年にその機能は強化されましたが、実際それが本当に機能しているのかどうかも含めて考えていかなければなりません。評議員会対理事会という2つの対立という軸でガバナンスを考えるのではなくて、もう一つの軸である監事機能、これについてももう少し議論を深めることも考えています。実際監事機能が強化されたとしても、研修がどの程度なされているかということも検証しなければならない点もあります。監事は非常に重要な役割を担ってきておりますので、ここの機能を強化するとか、そういったことも議論に含めていくべきではないかなと考えている次第です。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。最近の私学法の改正で監査機能の実質化が図られた矢先でございますので、その経過や成果といったようなものを補足しながらも、今次の議論において、ここの部分をもっと強調すべきではないかという小原先生の御意見、ごもっともな御意見として拝聴いたしました。貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。川並委員から追加の御意見です。
【川並委員】
 今回の議論については、先ほど小原先生がお話しになりましたように、理事会と評議員会が中心になっておりますが、やはり監事の観点が入ってこないと、この議論は進まない気がいたします。監事の機能を別に話し合うのではなく、理事会と評議員会のガバナンスの間を取り持つ機能としての監事ということを考えると、多少この場でも監事のことについて御議論いただいた方がよろしい気がいたします。重ねてで申し訳ありません。お願いいたします。
【福原主査】
 ありがとうございます。私もごもっともだと考えております。
 今後、議論を進める中で、また、紹介かたがた御意見としては拝聴してまいります。ここで全部出していただいたということではなくて、この間の各団体でいろんなお集まりがあるときに協議されて、書面を作るときまでには盛り込めなかったような御意見等がありましたら御紹介いただきたい、こういう趣旨でございますが、よろしいでしょうか。あと、各委員の御見識、御経験に基づく御意見につきましては、この後、後半で十分開陳いただきたいと思います。各団体としての意見の追加はよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、先ほどから紹介がございましたけれども、今後議論を進めていくに当たりまして、主査といたしましては、当初から、いろいろな意見を拝聴して私の手許でメモを取っていたり、また事務局のほうに多々お寄せいただいている資料等を拝見したり、また、法制度的な点では日頃接していることも踏まえて改めて経緯を調べてみたりいたしておりました。
 あくまで主査限りのものをまとめておりましたが、ぜひ事務局のほうでも提供いただきたいということもございましたので、この間のメモを急ぎまとめまして、今後の御議論の参考に供するべく、主査のいわゆる覚書として、今日はもう一つ、私なりの議論の進め方に関する御提案をさせていただいた次第でございます。それが資料5として配付されておりますので、ここで若干紹介させていただいた後に、本日の討論に入りたいというふうに思います。資料5を御覧いただきたいと存じます。
 なお、私の日頃の癖で、話も長ければ文章も長いと言っていつも関係者に叱られているので、それでは分かりにくいかということで、事務局にて私の覚書の骨子をパワーポイントにまとめていただきました。今朝拝見しまして、ぜひこれを皆さんにもお目通しいただきながら、お聞きいただきたいと思います。5分、10分ほどお時間を頂戴したいと思います。
 まず、この覚書と題する書面の趣旨は、今申し上げました、私の主査としての務めを果たすために積み上げてまいりましたメモをまとめたものですが、既に主な論点として事務局にて用意していただいていたものがあって、それが現行の私学法の条文体系に沿った大変すばらしいものではあるのですけれども、議論を進める上におきましては、やはり前身となる有識者会議の報告書や改革会議の報告書がフォーカスをしております評議員会とこの理事会との関係、また理事と評議員との関係といったところを抜きにしては、なかなかその他の論点の議論が進まないのではないかと、このように考えまして、学校法人の機関構造の設計に関する基本的な視点、あるいは学校法人の多様性に基づいた規律上の工夫として、どのようなものが意見として述べられているのかということから、まとめさせていただいたものでございます。
 そしてその前提として、やはりこの場で私たちが認識しておかなければならないのは、他の公益法人と称される様々な法人とは異なって、学校法人というものが持っている特殊性を、この機会にしっかりと再認識すると同時に、社会に対して説明する責任が私たちはあるのではないかということでございますのでまずそこを私なりに皆さんの御意見を踏まえて整理させていただくことから始めたわけでございます。
 覚書の「はじめに」から1のところにあるのが、まず、その私立学校法と学校法人の特殊性というものでございます。確かに学校法人という法人類型が設けられる前には、学校を設置する法人は、改正前の民法の財団法人の類型しかございませんでしたので、その財団法人の基本系をベースに、学校を設置するということの特殊性を入れて、学校法人という法人類型が設けられたわけでございます。しかしそこで言う学校法人の業務というのと、その学校法人が設置する学校の業務、いわゆる校務と言われているものは、完全に分離されるわけではなくして、学校法人の業務の特殊性というのは、やっぱりそれを設置する学校というものの果たしている特殊性なのであって、だからその点、学校法人がこの校務をつかさどる学長、校長の権限を最大限尊重しながら、設置する学校の教育研究の発展に向けて、高度に戦略的な取組を進める、そういう任務を負っているわけでございます。
 この点は、直近の私学法の令和元年改正、ペーパーの3ページの(2)で確認しておりますけれども、私学法令和元年改正の新設された24条では、「自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保を図る」こと、これが今日の学校法人の責務として明定されていることを確認いたしたいと思うわけでございます。
 そしてもう一つは、いろいろな私的なリソース、財産を含めたリソースというものが、創立の理念と建学の精神の下に、学校を設置、管理するために拠出されている、そういういわゆる私的なリソースが公共性がある学校の運営というものの財産の基礎になっているというのが、特殊性でございます。
 したがって、こういった特殊性を踏まえて、創立者でありますとか、その御親族の関係者、また理念を共にする特定団体の関係者を中心に構成される評議員会を構成して、そしてこれが、他の法人とは異なって、諮問機関という位置づけがなされてきたものと理解できるわけでございます。
 しかしこれは、いわゆるプロトタイプと申しますか、伝統的な学校法人の機関構造の基本系でございまして、この基本系は、時代の発展とともに、時代の経過、また社会の高度化とともに、いろいろな変容を受けているわけでございます。伝統的な学校法人の機関構造やガバナンスの構造というものが変化を遂げてきておりまして、現代ではさらにこういった創立のいきさつだけではない、社会の広いステークホルダーとの対話によって、学校運営を実現する、すなわち、そして一部のリソースだけではなく、広く社会のあらゆるリソース、補助金もあれば、地域からの御協力もあれば、様々な方々の御協力というものを新たに獲得した学校法人の運営が必須の時代となっています。
 そういった社会情勢を踏まえて、今回、学校法人の機関の在り方とかガバナンスの在り方というものが求められているのだと、こういうふうに認識されるのではないかと存じます。本日提示されておる経団連の意見は、大学法人にフォーカスしておりますけれども、こういったことが認められるわけであります。
 一方、私立学校のみならず、国公立の学校につきましても、またその他の様々な公益性、公共性を持った団体の組織につきましても、戦後の組織づくりの当初のプロトタイプを脱して、現代の社会のニーズに合わせて、大変大きく展開を遂げている中で、ひとり学校法人が、その特性が強いものですから、プロトタイプにより多く依拠していて、それはそれで意味があることではありますけれども、他の組織体との競争、こういった中で広く社会のリソースを、将来の社会を担う人たちの育成教育というものにどう向けていくかということ、これにしっかりと取り組んでいかなければなりませんし、その任務をやはり社会に発信してこそ理解が得られるのではないか。そういうことを総論で述べさせていただいたわけでございます。
 一方でやはり今回の議論で、残念ながら、この伝統的なプロトタイプの学校法人の構造の中で、予想していなかったような不祥事が起こってきておりますし、また度々前回までの意見でも紹介されておりますように、現代的に展開を遂げている学校法人の機関の構造にありましても、一部の方々の行動によって不祥事が発生するということも、現実に起こっているわけであります。
 そういった制度が持っている構造的なリスクと申しますか、こういったようなものを、やっぱりそれぞれのタイプに応じて認識をして、今問題がないから、今は改革の必要がないというだけでは、社会の理解が得られるわけではございませんので、将来を見据えて、この改革を進めていかなければならない、このように考えたということでございます。
 そこで、申し訳ありません、釈迦に説法を重ねますけれども、今次のこの議論において、学校法人の機関構造設計を考え直すに当たっての基本的な視点、それから、ほかにも組織のルールとして取り入れられている様々な規律、ルールづくりの工夫というものを、ちょっと拾い上げてみました。
 まず第1は、先ほどの今日の追加意見の紹介でもありましたけれども、法人の意思決定をする権限をどのように分配するのかという問題。これは評議員会と理事会との関係をどうするのかという問題と、それから監事も含めて、そのほかのいろいろなものも含めたガバナンスの構造というものと両面で、やはり適切な構築を図っていかなければならない。
 先ほども小原委員、川並委員から御指摘があったように、理事会と評議員会のみをフォーカスしてガバナンスが完結するわけではなく、監事の役割や、その他様々なものからのガバナンスというものも考えなきゃならない、こういうことでございます。特にこれまでの私学法は多様性を重視して、大部分が寄附行為に委ねられるという特徴もございました。そういった点を、やはり対社会的に明確にして適切な機関設計をすべきだと、こういうことでございます。これが第1の視点。
 第2といたしましては、やはり多様性を前提にいたしますと、先ほど来、中高連並びに専修学校等からも御意見が出ておりましたように、主管庁の違いですとか法人の規模といったようなものを考慮いたしますと、それでも寄附行為による自治を一定の範囲で許容するとか、また、その経過措置を設けて、現状との大きな違いというものを緩和していく、段階的に実現していくルールというものも必要ではないか。規制区分を設けたり、なお寄附行為の自治を認めたり、さらには経過措置を置いて、段階的に実現していくという工夫も必要ではないかというものであります。
 3つ目は、各種のガバナンスを組み合わせて、そのエンフォースメントに期待するということであります。適切な機関構造の設計、それからさらなるガバナンスといったようなものを設けるときに、やっぱり情報の公開、開示といったことや役員報酬等のルールを通じてガバナンスを実効あらしめる。また、ハードロー、ルールベースの法的規律だけではなくて、省令もありますけれども、そのほか自主的なガバナンス・コードの果たす役割。これは特に学校法人の自律性、多様性という意味では大変有効な方法ですので、ガバナンス・コードの見直し等もこの機会に行う必要があるのではないか。
 そしてそういった法的側面においては、民事だけではなく、新たな行政罰や刑事罰といったものも、他の法人等を参考に、必要な範囲で、自律性、多様性を損なわない範囲で導入することを検討すべきではないか。そういった視点を皆さんの御意見から感じ取らせていただいた次第でございます。まだまだ至らないところもありますが、今次の時点で主査なりに感じ取ったところをまとめさせていただきました。
 そういう総論を受けまして、今日御議論いただく際の参考までにということで、まず学校法人における理事会・評議員会の法的な地位、意思決定権限の分配を通じての協働と牽制の在り方という点で御議論を始めて、合意が得られる範囲を探るという、当特別委員会のミッションを果たしていけばどうかということでございます。
 そこで、まず最初が、その理事会と評議員会の意思決定権限でございますけれども、現在のところは完全に評議員会を諮問機関と捉えて、ただ理事長が事前に理事会の最高・最終の決定をする前に評議員会に意見を聞かなければならない事項を定めるとともに、その範囲につきましては寄附行為でもってさらに拡大していく、そういう仕組みを取っているのですけれども、ここのところ、やはり評議員会というものも意思決定の機関として、しかし従来の学校法人の特殊性を発揮するために、従来並びに現代的な評議員会の特徴を発揮するために、寄附行為の変更とか合併、解散といった、学校法人の根幹に関わる基礎的な変更等については議決をすることを、明確に法律上も定めたほうがよいのではないということを提案させていただきました。ただ、これについて賛否両論もあろうかと思いますが、いかがかというお尋ねでございます。
 それから、特に最近重要度を増しております中期計画や役員報酬基準については、他の法人は評議員会の議決機関としておるようでありますけれども、これにつきましては、例えば基本方針にとどめておくといったような工夫なども検討すればどうかということでございます。
 なお、知事所轄の学校法人につきましては、従来の形を維持するということでどうかというのが、今までの御意見を聞いたところで私なりにまとめ方の提案としてなし得るところでございます。
 次に、評議員会等の牽制機能によって、どう学校法人のガバナンスを強化するかということにつきましては、そこの選任機関の明確化、それから解任事由の法定化、さらには理事長の選定・解職の権限の法定化といったものが必要であろうということ、さらに理事選任機関が機能しないといった場合に、評議員会が解任の請求、また監事が機能しない場合に差止請求とか責任追及を行うという、寄附行為の番人としての最後の役割を評議員会に託するのはどうか。
 それから理事におきましても、やはり理事会の監督権限を発揮させる意味では、理事会への職務報告等をしっかりと義務づけておく。これまでもなされているんですけれども、これをしっかり義務づけることで、社会においても、きちっとそういうことを理事会で行っている、評議員会で行っているということが、この法的なルールを設けることで発信され、社会的な信頼を得ることになるのではないかというものでございます。
 すみません、もう少し。3番目に、そういうことを踏まえますと、評議員をどのように選出するか、そして評議員会の構成をどうするか、この議論ができるのではないかということで、評議員会の選任につきましては、従来ややもすると、全面的に理事長・理事会に委ねるということがあり、そのことが少なくても何かの不祥事発生の温床になってはいないかという御指摘が多々あるところ、こういうことではなく、基本的に評議員会がこの選任機関として明確に登場してもいいのではないか。
 さらに、理事と評議員の兼職ということについてでございますけれども、今日の発展した学校法人の経営型を考えますと、兼職ということは禁止する方向で、また、役員の近親者や教職員、卒業生等属性に応じた評議員の選出についても、上限の割合を設定することで、学校法人が、一部の方々だけではなく、広く意見を聞いて運営されている姿、形を社会に示す必要があるのではないか。
 そういうことからすると、評議員に求める資格・能力といったようなものも要件を明確化する。さらには定数、少な過ぎても、また多過ぎても適切ではありません。また任期の適切な在り方を続いて検討する必要があるのではないかということでございます。
 そういうことを中心に議論を始めて、監事の機能を実質化するとともに、そのほかの監査体制、これも重畳的、多方面での監査といったものを充実させる。特に三様監査と呼ばれているものを充実させる必要があるということを、改めて主な論点で示されたことも踏まえて提示させていただきました。
 長くなりましたけれども、こういう状況を踏まえて、本日、この理事会・評議員会の地位について皆さん方の御意見を賜りまして、改めて合意を得られる部分を探ってまいりたいというふうに存じております。
 多少この時点で覚書を提示させていただいたということについて、御懸念を覚えられる方もおられるかもしれませんけれども、決してこれでもって皆さんの御意見を吸収し尽くしたとは思っておりませんので、どうぞ今日後半の時間を通じて、これからの議論を進める骨格になる部分につきまして、皆さんの御意見をいただき、合意の得られるところで合意を確認していきたいというふうに存じている次第でございます。長くなりまして恐縮でございました。
 そのことを踏まえまして、ただいまの私の説明、また事務局及び団体からの御説明を踏まえまして、コメントや、あるいは質問、意見というものを自由に賜ってまいりたいというふうに存じます。どうぞ。有識者の皆さん方も、今回は指名するということではなくて、それぞれ御自由な御意見を賜ってまいりたいと思います。いかがでしょうか。
 では、まず田中委員、お願いいたします。
【田中委員】
 ありがとうございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。主査の福原先生におまとめいただきましたこの覚書、非常にバランスが取れていてありがたいと思っております。非常に重要なことを御提示いただいたと思います。まだまだもちろん御議論もこれからでございますし、決定まではプロセスを踏むことになると思いますけれども、3点申し上げたいことがございます。
 評議員会の在り方と理事会の在り方について、私学団体の中で様々な御意見がございますけれども、ちょっと誤解といいますか、どういうふうに運営するかについて、皆様の御経験が違うがために、かなり懸念があるように思いますので、1点目は、その評議員会の運営の在り方について、すなわち兼職の禁止の件でございます。2点目は、その評議員会がどういう役割を果たすかということになります。
 まず兼職に関してですが、私も福原主査のおっしゃっているとおり、評議員と理事は兼職をするべきではないと思っております。早稲田大学におきましても慶應義塾大学におきましても、多くの私学では、評議員から理事が選ばれる場合が多いんです。ただ、一たび理事になった場合は役割が異なるというふうに理解しておりまして、理事になれば、理事はその学校法人の意思決定をし、その政策の実行、執行をすることになります。
 評議員は、やはり諮問機関としてモニターをするので、その学校にのめり込むのではないんですよね。実際に従事しているのではなく、モニターをして、監査といいますか、大所高所から見て、これは妥当かどうかということをおっしゃる立場だと思いますので、役割が異なると思います。そこで兼職を禁じたほうがよろしいと。
 次に、じゃ、評議員会だけで、その学校法人の教職員が、評議員がいなくて内容が分かるんですかという御質問も随分、私学の団体から出ているんですけれども、これもやり方次第だと思っておりまして、至近な例で恐縮ですが、早稲田大学の例を申し上げると、理事会のメンバー、また監事の方々も、評議員会には陪席をさせていただいております。
 議長はもちろん評議員会の会長が議長を務めるのですが、評議員の方から、学校法人の運営に関して質問が出ます。これはおかしいんじゃないですかとか、今回校舎を建てるというけれども、まだこの校舎はもつのに早過ぎるんじゃないですかという、厳しい質問が出ます。それに対して理事の者は、自分たちの意思決定が妥当であるということの御説明をするわけです。
 そのときにやはりおかしなことが起こっていれば、評議員会がそれを是正するようにお話をするということで、そこに協調関係と協働もあると同時に、緊張関係もあり、お互いにモニターをすることもあると思っております。その意味では兼職というものを禁じたほうがよろしいでしょうし、理事に一たび選ばれれば、評議員の地位を一応降りるということです。もちろん理事を退任された場合に、評議員に戻るということがあってもよろしいとは思います。そこは各学校法人でお決めになるということができると思いますので。とにかく理事の間は評議員を降りるという。
 それから、評議員会が勝手に何でも決めたら困るという御懸念があるんですが、理事会の者がそこに出て御質問にお答えするということで、やっぱりコミュニケーションをよくすることが大事だろうと思っております。
 3番目に申し上げたいことは、福原主査の今の文部科学省の事務局でおつくりいただいた要約版の中で見る限り、評議員の選解任についてあまり深く触れていられないようなんですが、ここはやはり監事の方の御指摘を重要視して、評議員が不適切な暴走といいますか、理事会の決定が必ずしも妥当性を欠くものでない場合にもかかわらず、評議員会がそれをオーバーライドして、上書きして決定するような場合、例えば理事会が何十億もするような校舎の決定を、競争入札にして行って決めたにもかかわらず、評議員会が、この競争入札はどうも偏っているので、もっといい仕様に応えられるところを私は知っているので紹介したいということで、評議員会がそこを随意契約で決めるようなことがあると、恐らくそれは監査をされる監事の方から見れば、不適切だろうと判断されると思います。
 そういう場合には、やはりその評議員の暴走を止めるような仕組みを学校法人全体に埋め込む必要があり、すなわち監査監事のアドバイスに従って、理事会がそういう強引な運営をする評議員会を止める、もしくは是正勧告を出させていただくという。監事が是正勧告を出していただけばいいと思うんですが、監事の権限の強化ということは、本日も小原委員からも御指摘いただいておりますけれども、監事がやはり意見を述べるだけじゃなくて、是正勧告を出せるようなことが必要だと思います。
 それで止まらない場合には、評議員で強引なことを言う方や評議員の会長を解任する権限を理事会にも与えるべきだろうと思います。どちらもそうです。理事会にしても評議員会としても、法令違反であるとか社会的規範から逸脱するような行為があった場合、監事の是正勧告に従わない場合には、お互いに解任する権限を持たせていただくことが望ましいんではないかと。
 先日も自民党の会議の中枢の方と、それから規制改革をされている5名の国会議員の方と、私学の団体で意見の交換をいたしましたが、5名の自民党の国会議員の方たち全員が、今まで問題がないのだから、このまま改革をしなくてもいいという意見ではなく、理事会にしても、学校法人の暴走が止まるような仕組みを、やはりハードローによって決める必要があるでしょうという御意見を賜っております。
 私どもは、変えないという選択肢は非常に今狭まっていると思っておりまして、何も変えないということは、世論、また国会議員の多くの方の承認を得られないだろうと思っておりますので、本日の福原主査の御示唆は、非常に貴重な御示唆だというふうに拝聴いたしました。
 以上でございます。ありがとうございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。今の田中先生、大変多くの重要な要素を含んでおりますが、やはりその中でこの意思決定権限の分配は同時に、それぞれの会議体の運営の在り方と深く関わっているのだということを御指摘いただきました。そういう中で、やはり基本的に兼職というものをすべきでないということでしたね。
 それから、今は評議員会から選ばれるという仕組みについてですが、この兼職ということになりますと、じゃ、評議員会から選んじゃいけないのかというわけじゃなくて、評議員会から選ばれた、そのときには、評議員としての地位を、その間停止するとかいう形を取ればいいのではないかという御提案も頂戴したところでございます。
 それから評議員に対して、一定のしっかりした権限が与えられるということが明定されたら、評議員の選解任、こういったものについてやっぱり監事の監査の対象にということですが、この点、私は今日ちょっと時間を要したので、簡単に申します。監事そのものも評議員会が選任すると同時に、近親者の監事の就任を禁止して、今日先生方も御指摘いただきましたけれども、まず監事の地位の独立性と職務の公正性はきちっと確保した上で、評議員に対しても、そういった監事からの監査不正報告をする場合の対象に加えるなど、何らかの牽制をしたらどうかということは、私も最後のページに書いておりましたので、これは我が意を得たりというふうに存じます。ありがとうございました。
 それから自民党の先生方がお考えのことも御紹介いただきましたけれども、その点は、一つの社会の多数の声というふうに拝察をいたしますが、私自身といたしましても、そういった点、同様の方向があることが分かりました。ありがとうございました。
 では、この後、私、意見の確認はいたしませんが、幾つか御意見を頂戴できそうですので、順次指名させていただきたいと存じます。米澤委員、お手を挙げていただいていますが、いかがでしょうか。
【米澤委員】
 ありがとうございます。田中委員のほうからもお話がありましたけれども、今回の覚書で、非常にバランスの取れた形で議論をしていただいたことを感謝いたします。具体的には、過去2回の会合での議論が、また、有識者会議、改革会議の関係者の間の理解のそごが生まれやすいところについて、歴史的な経緯や法制度の基本的な仕組みまで立ち返って整理していただいて、かつ、その結果として共通認識を形成しようということを理解いたしました。このようなアプローチを取られたことには賛同したいと思います。
 その上で、多少抽象的な話になるかもしれませんけれども、この覚書は、いわゆる自主性と公共性の効用というもののバランスの問題を、次のような理解で整理しているというふうに思います。
 これはあくまで相対的なものでありますけれども、自主性については、創設時に中心的な意味を持つ創立の精神と建学の理念、公共性については、法人の拡大や成熟に伴うステークホルダーの現代的な広がりと関連づけられているようなニュアンスというふうにも取れると思います。
 このような論理展開の背景には既に御指摘があったように、まず財政面で、学校法人が私財を投じて設立されているということと、それから、開設時には施設設備の補助がなくて、修業年限一回りのいわゆる完成年度までは経常費の補助もないという、私学助成の構造的な特性を考えると、納得できるところかなというふうに思います。これは恐らく施設設備の補助が厚く、開設当初から給付対象となっているんでしょうか、福祉事業、社会福祉法人とは大きな違いがあるかなというふうにも思います。
 同時に、私たちの間の対話の中では、この議論って非常に納得できるところというか、バランスが取れたというふうに取れると思うんですけれども、この会議体の外に出たときに、どこまでそのバランスがとれているものとして受け止められるかということについては、最終的な形にするときに、多少御配慮いただいてもいいかなと思ったところがございます。
 それは2つの議論が今既に行われていることを前提として、こういうような形でリプライされたような点になっているかと思います。1つは当然ながら私学関係者の間の議論からは、いわゆる自主性に対する強い価値づけが表れていて、過去の2回の間に十分に主張されていて、その意味で逆に自主性の話はあまり出てきていないというところになるんだと思います。もう一方は、我々が前提としている改革会議の議論が、先回も言いましたけど、公共性の根拠を一連の公益法人改革の基本的ロジックを反映して、税制優遇を含めた公的支援、公的資金の購入において、改革の必要性を強調しているというロジックがございます。
 これに対してある意味で、オルタナティブというか、違う見方として、ステークホルダー論を持ってきているわけなんですけれども、最終的にはその両方が、結論から言えば複眼的にある、両方に対して説得力があるような形で議論をしないと、世間には通用しないのかなというところがございます。そういう意味で、その部分に関して多少厳格な形で、客観性を持った納得できるような議論をしていただければというところがございます。
 その上で、もう一つ論点として最初のところで設けていただいたところは、学校法人の理事のステークホルダーにおける位置づけ、あるいは役割を、経営として見るのか、あるいは教学を含めて見るものなのかということ、少しここは、多分最終的には見方が分かれるのかもしれませんけれども、どこかでリジッドな議論はしておいたほうがいいかなというふうには思います。
 具体的に私自身が、どちらかというと大学教員の平の立場に近いところにおりますので、私から見たとき、教員から見たときには、経営を担う、特に学長の先の理事長というのを想定した場合には、これは経営者として映り、教学からある意味で独立した存在というふうに映るわけでございます。そうするとあえて言えば、経営者と経営の問題として、これは理事と評議員の問題を考えればいいのかなというふうに考えると、その評議員のほうに教学の代表である教員が入ることが考えられることになると思うんですけれども、多分そういうような形での整理になるのかなと思います。
 一方で、では経営者である理事長、あるいは理事というのが、全く教学から分離しているのかというと、ここも微妙なところがあって、既に出てきている校長理事も含めて、理事の中に、今の現行法の下では、教学の代表としての顔も持つ校長、学長が入る。かつ、その学長、校長はもしかしたら、一般的なセナートというか、教員集団からは独立した形になるかもしれないという、ちょっと複雑な構造があるので、ここをきちんとどういうような形での想定をするのかということは、整理しておいたほうがいいというようなことでございます。多分最終的な結論は出ないところかもしれないなというふうには思います。
 もう一つ私が申し上げたことで、今回拾っていただいたところがあるんですけれども、ステークホルダーとして、現在の学生と生徒児童、あるいは保護者というものを、卒業生と別に入れ込むかどうかというのが、すごく私自身が重要だと思いつつ、まだ法制度としては悩んでいるところでございます。
 これはどういうことかといいますと、仮に授業料が全く存在しない、仮にとなりますけれども理念的には存在しない、義務教育の公立の小中学校を考えた場合には、その保護者、これは基本的には社会的なステークホルダーになって理解ができるんだと思うんですけれども、ここで私立の場合には、授業料を払って、学費を納めていて、かつ多くの学校法人は学費を主要な財源としているような状況の中で、これは市場による関係なのか、あるいはそれを超えてステークホルダーとして入れていくのかみたいなところは、少しまだいろんな議論があり得るところかなと思います。
 結論的にはそういうことを意識はしたほうがいいと思うし、議論をしたほうがいいと思いますけれども、最終的なところでは、現地点では法制としてハードに入れ込むというよりは、各学校法人が、御自身でこの考え方というのを少し整理いただくことを強く要求するような形での法制度設計にして、その上でお考えを透明性のある形で示していただくことが大事かなというふうに思います。
 あとは、税制のところの議論でもう一つ補足しておかなきゃいけないのは、多分これが結局、多様性が相当にある議論だということだと思うんです。一部の、特に高等教育の関係者の方、専修学校に関しては都道府県所轄になると思うんですけれども、それにおいては補助金が非常に少ないということになるので、公共性がどうかという議論はあり得るし、高等教育に関しては大体10%ぐらいというようなところになるんですが、義務教育段階に近いところに関して言えば、これは都道府県によるんですけれども、地方自治体によってはかなり補助率が高いようなところがあって、その辺を突かれたときにどういうふうに答えられるのかということについては、もうそれなりの理論武装が必要かなとは思うところでございます。
 あとは最後に少し、先ほどの教学のところについてかなり突っ込んだ議論をされた資料が今回出てきたので、あえて御紹介したいと思うんですけれども、参考資料8が出ていると思うんですが、私立大学協会の私学高等教育研究所から出ているものなんです。これは今、ページ数で言うと42ページあるんですが。ですので全部を紹介はできないんですけれども、かなり突っ込んだ議論をされているので、後でお読みいただければと思います。
 その上で、1ページ目がここで御紹介しておきたいところなんですけれども、学校法人ガバナンス改革の審議内容について、この時点でという意味ですが、どういう意見が出ているかということが示してあるんです。これをどう見るかなんですけれども、47%はどちらでもないと答えていて、残りの賛成と反対の比率をまともに見れば、割れているか、かつ二分されているわけでもないという、様子見に近いように読めるんです。
 恐らくこの後で話合いは何度も各団体の中でされているので、ずっとこれよりは共通理解が進んでいらっしゃるかもしれないとは思いつつ、ある意味で、団体を代表した意見ということでこの議論をまとめていただくような、この委員会自体の立てつけの問題もあるかもしれませんけれども、実態はかなり割れている、あるいは相当に多様性があってこの問題を理解しているということは、少し実勢的に考えた上で今後の議論をしていく必要があるかなというふうには思った次第でございます。
 すみません、長くなりまして。以上でございます。
【福原主査】
 専門的分野から分析を加えて御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。
 では、小原先生、川並先生の順に御意見賜ってまいります。小原先生、どうぞ。
【小原委員】
 ありがとうございます。まず、理事及び理事長の解任の件ですけれども、これは実際寄附行為の中で定められております。この寄附行為ですけれども、あたかも各法人がそれぞれの都合に合わせて書いているように印象を与えていますけれども、実はこの寄附行為そのものは文科省のほうでひな形が用意されていて、それから外れたりすると、設置認可、あるいは申請することができないというほどに決まっております。したがって、本学の場合を例に取りましても、寄附行為で定めてあることは全て、文科省のほうでつくったひな形を遵守しているようになっております。
 その中で役員の解任ですけれども、理事総数の4分の3以上の議決及び評議員会の議決により解任することができるということで、既に理事長の解任条項はもう定められています。それを法律化にするのか、しないのかということですけれども、評議員会にもその議決権があります。
 一方、評議員の解任に関しても同様の定めがあります。評議員を解任する場合は、評議員総数の4分の3以上の議決及び理事会の議決により解任することができる。その事由は幾つか定められています。したがいまして、理事長の選任、解任のことはもう既に寄附行為の中で定められていることですから、あえて取り上げることはないんではないかなという気がいたします。
 それで、今度は一般的なその他重要事項の議決をどうするかということですけれども、福原先生の案では、協働という文言が前提として挙げられています。しかし、例えば、評議員会の議決と理事会側の案とが相反した場合、これは最終的にどちらになるのかということが非常に大きな課題になってくると思います。今のところ評議員会ではなくて、理事会が最終議決機関だということになれば、その問題は解決するんではないかなと考えております。
 もう一つ、兼任の件ですけれども、大きな大学、いわゆる大都市、大手大学と言われるところの場合と、地方の中小、あるいは弱小の大学法人、あるいは小中高の法人の場合、理論どおりにはいかないというのが現実です。実際協会加盟校の8割方は、兼任せざるを得ないというような状態です。実際私も法人調査で幾つか地方の大学に行ったことはあるんですけれども、正直理事の人を集めるのに非常に苦労していて、最終的にはとんでもない遠距離の人に理事をお願いせざるを得ない。それは地元にそれにふさわしい人がいないからとの理由です。
 当然その倍に近い数の評議員を別個に選ぶとなったら、実際に理論どおり、理屈どおりにはいかないというのが現実です。ですから慶應、早稲田のように、黙っていても向こうのほうから評議員になりたい、なりたいというような恵まれた環境にいる大学と、そうでないところを見ますと、やっぱり兼任というのはある程度認めざるを得ないんじゃないかなと考えます。
 地方に行きますと、地元には見識者と言われる人もいませんし、大学のために責任を取ろうと言ってくれるような人がいない。いわゆる理論どおりには実態はいかないということも、今回十分に踏まえていただきたいのが実情です。また、幼稚園に至っては地域に根差しているわけですから、非常に人材に欠けるというところがあります。
 そういった実態もある程度踏まえて、理事・評議員の兼任を禁じるとか、あるいは議決権をどうするかということも、併せて検討していっていただきたいというのが私の考えです。
【福原主査】
 ありがとうございました。多くが寄附行為に委ねられている点につきましても、しかし寄附行為には作成例があり、認可を要するという中では、寄附行為が示している役割は大変大きいことを、しっかりと御指摘いただいたというふうに思います。それでも作成例でございますので、認可に当たっては多様性を配慮した認可がされておりますので、理事長の解任につきましても、一定の法定化により、理事会に権限があるかということを示したほうがいいのではないかという提案であったわけであります。小原先生からも、そのほかも含めて、大学法人でも多様性があるということで御指摘をいただき、ありがとうございました。
 では、川並委員からどうぞ。
【川並委員】
 今、小原委員から非常に広く御発言がありましたので、重なるところがありましたらば御了承願いたいと思います。
 まず、今、福原主査より御指摘のありましたように、寄附行為の記載事項につきましては、やはりある程度私学の自主性に任されているため、文部科学省の基準やガイドラインに沿ったものばかりではないと仄聞している部分もございます。そういった中で、今回ある程度、寄附行為の記載事項について、全私学を合わせて話し合われることになると思っております。
 理事会と評議員会の件でございますけれども、まず理事と評議員の兼職につきまして、私立短期大学は地方の小規模な短期大学が多く、基本的に理事並びに評議員は無報酬で、いわゆる名誉職としてお願いしているところが非常に多い中で、成り手を探すことに苦労されていると聞いております。そういった中で、理事と評議員をさらに分けて集めることは、なかなか難しい部分があるということ、人を集めるという部分で課題があるという実情をご承知いただければと思います。
 また、先ほどから度々と指摘されていますように、理事会と評議員会の意思決定が分かれた場合にどのように対応するのかの調整についても、いろいろと課題が山積していると思います。ですので、この兼職につきましては、もう少し御一考されたほうがよろしいと思っております。
 評議員の役割の牽制機能につきましては、理事の選解任について論じられておりますけれども、この選解任を評議員会が行うことは、かなり恣意的な意思決定がされる可能性がゼロではありません。長期的な学校法人の運営を考えた場合に選解任を評議員会にそのまま委ねることについては、甚だ疑問がございます。この辺につきましても、さらに御議論いただきたいと思います。
 私自身は評議員会の牽制機能については、監事の機能と連携すべきであると思っております。監事と評議員会の機能をもう少し強化し、お互いに連携することにより、理事会に対する牽制機能を持たせることができるのではないかと考えます。
 評議員の選任方法につきましても、評議員を評議員が選ぶと主査の私案にございますが、そういった仲間同士で互選をしていくことが果たしてよいことなのかについても、さらに検討を加えていく必要があるのではないかと思っております。
 最後になりますけれども、大臣所管と都道府県所管という所管によって法人を分けて考える必要があるとの意見が出ております。分ける理由として、国庫補助金が大学法人に出ているためとすることは、大学法人のみに税金が投入されているという見え方がしますが、実際には、地方公共団体、都道府県の所管法人にも同じように補助金、または非課税措置という形で助成金が出ております。そういったことを鑑みますと、分けて考えることが正しいのかについても、さらに検討を加えていただけたらと思っております。
 私より検討を加えていただきたいとお願いいたしましたものは、基本的に今のままでは反対ということであり、それらについて御検討いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【福原主査】
 ありがとうございます。川並委員からは、いつも実情を踏まえた形で建設的な御意見をお寄せいただいて、ありがとうございます。兼職禁止が難しいという御事情をお伝えも賜りました。また、評議員の選任についていかがかということを、そういう点で御指摘いただきました。また、各論のところで御議論を進めていただければというふうに思っております。
 梅本委員からも御意見をということで、どうぞ。
【梅本委員】
 梅本です。聞こえておりますでしょうか。ありがとうございます。
 ちょっといろいろ多岐にわたってお話を伺っていましたので、何点か申し上げたいと思いますが、最初のほうで田中先生から、例えば理事会で重要な財産について、建て替えるとか、請負契約ですか、そういうのを決めたのに、評議員会で別の業者さん、例えば評議員の懇意の業者さんを連れてきて、その評議員の決定になっちゃったら、それはそれで問題だということがございましたけれども、恐らくそのような事項は、どちらかというと理事会決議事項で終わる事項というんですか、どのような事項について評議員会が決議事項として関与するかという定め方の問題でクリアになるのかなと思いまして、そういう重要な財産とかの処分ですとか、契約を結んだりとか、その辺りまで全部評議員会が決めちゃうということは、私は少なくとも想定していませんし、このたびの福原先生からの覚書にもそこまでは触れられていないのかなと思いました。
 それから、評議員と理事の兼職の問題です。これも以前から、有識者会議、ガバナンス改革会議等でずっと議論されてきたテーマでして、おおむね兼職は認めるべきでないという意見でまとまってきたのかなと思うんですが、そうすると先ほど川並先生からもありましたが、成り手がいなくてちょっと困ってしまいますみたいな実情もおありかと思います。
 現在評議員の定数が理事の2倍という設定ということもあって、多分なかなか人材の確保というのが難しい面があるのかもしれませんが、その辺は兼職を認めないことにすることによって、定数を下げるといいますか、理事を超える程度の人数にすると。兼職が解消されれば別に2倍にする必要はないと思いますので、そういう意味では評議員の定数をちょっと下げるということで、ある意味フォローはできるのかなというふうには思いました。
 あと、評議員の選任の方法です。場合によっては解任の方法となるかもしれませんが、これは公益法人でもなかなか難しい問題として、結局社会福祉法人もそうなんですが、やっぱり定款の定めに委ねておりまして、法律上は具体的に評議員をどうやって選ぶのかというのは、明確には定まっておりません。
 こういう人は評議員になっちゃ駄目ですよみたいな、ネガティブリストはいっぱいあるんですけれども、こういうふうに選べという方法ですとか、こういう人がいいよという類型みたいなものは、実は公益財団法人でも社会福祉法人もそうだと思うんですが、そういう積極的なルールというのが実はなくて、基本、定款に委ねられているんですよ。
 ところが学校法人さんの場合は、ちょっとそこは公益法人さんとは違っていまして、昔から3類型といいますか、教職員だったり、卒業生だったり、その他寄附行為で定める者という定め方をされていますけれども、そういう位置づけでもって評議員会が独自の発展を遂げてきたといいますか、発達してきた歴史がございますので、むしろそこは公益法人等とは違って、積極的に評価されるべき点といいますか、前回私が申し上げた、評議員会が正当性を有するというところと関係しますけれども、そういう意味ではそのような評議員会でもって、新たな評議員をその決議によって選任したり、あるいは解任したりということを、法律上も明確にすることが可能であるし、むしろそうすることによって、他の公益法人において学校法人というのはこうやって評議員会を選ぶということを、法律上もちゃんと書いていますよと。
 むしろ誇れるべきだということなんですけど、そこが公益法人の中で結構いつも曖昧なので、評議員会がそんな権限を持って果たしていいんだろうかみたいな議論につながっていくんですが、そこはむしろ学校法人としては、他の法人法制の範を示していますから、そういう意味では積極的に選び方、私は評議員会の決議で選ぶほうがいいと思うんですけれども、そういう選び方を法制上も明らかにすることが、意義があることではないかと思った次第です。
 私からは以上になります。
【福原主査】
 ありがとうございます。
 あと、有識者委員の佐野委員からも御意見ということで。佐野委員、どうぞ。
【佐野委員】
 ありがとうございます。先ほど主査のほうから、先を見据えて各学校の実情に配慮した上で、現在寄附行為に委ねられているガバナンスの構造について、適切な機関設定に反映するといった基本の方針が出されまして、これはごもっともなことだと思っております。
 その上でこの意思決定権限の分配、それから牽制機能の強化、評議員の選解任を含めた構成の問題、この3つについて論点を絞っていただいたんだと思っております。
 この牽制機能の強化面につきましては、前回、私は特に兼職の問題にフォーカスいたしまして、理事と評議員の兼職については禁止すべきではないかと。もうこれは先ほど田中委員からもお話が出たとおりでございまして、役割の明確化、そしてこの牽制機能の可視化ということで、兼職を避けることによって評議員数の人数を絞ることができる、それからまた情報交換については一定の手だてを講じることでカバーできるということをお話しさせていただきました。
 今日は意思決定権限の分配ということについてフォーカスさせていただきたいと思うんですけれども、この評議員会の決議が必要な事項は何なのか。その議決がなければ執行できないこととする、これは何かということです。このうちこの覚書にもございますけれども、例えば解散、合併、こういった組織としての基本的な事項は、評議員会の議決がなければ執行ができない、法律化すべきだということについて、ちょっと2点の前提から考えてみたんですけれども、まず1点目。
 先ほど冒頭どなたか、委員からも御発言がありましたけれども、私学法というのは大学法人用であるとか、幼稚園法人用であるとか、そういう区分がない。私学法は所轄別に決めているわけでもなくて、全ての学校法人が共通して守るべき最低限のルールだと、この前提がまず1点あると思うんです。
 それからもう一つは、私学は最初は建学の精神、理念の下に私財を寄附して、公の法人として創設されたわけですけれども、その後の歴史によって財務構造も変わってきています。いろんな形が出てきています。また法人とか学校部門の人的構成も、それぞれ共通の私学法のルールの下でありながら、これを守りながらいろんな形ができているという現実があるということ。
 この2つの前提があってどうするかということを、今、合意形成を図ろうとしているんだと思っているんです。最初の全ての学校法人が共通して守るべき最低限のルールなんだというところに強く力点を置きますと、やっぱり私学は私財から成り立っているとはいっても、公の存在として法人格を得たわけだから、例えば法人の解散というような基本的な問題については、公共性を担保している評議員会の議決を経なければ実施できないとするべきである。むしろ地域密着型の小規模法人などは、その存亡に関わるということになりますと、地域にとって大変大きな重要な問題ですから、大法人に限らず、そうすべきだという考えも出てくるんではないかと思います。
 しかし一方、2つ目の前提から考えてみると、同じ学校法人といっても、同じ私学法という共通のルールを守りながら、いろんな形ができてきている。地域性の強弱であるとか、法人の創設時の理念の相違によって、いろんな形に育ってきた実態があるわけです。学生数を見ても、同じ大学法人としても、数百人規模、200人、300人規模のところから、10万人規模といった、抱える在学生数の違いもあります。
 財政構造も創設時とは違って、法人間でその後の財政構造が変わってくるということがあります。理事や評議員の構成についても、先ほど大手大学の例が出され、希望者がいっぱいいるんだというようなこともあったり、そうかと思えば人を探すのが大変だといったようなこともあって、その人的構成も様々になっている。
 この現実から、評議員の議決がなければ執行できないというふうに一律的に法律化してしまうことは、果たしてその法の狙いとする効果に実効性が出てくるんだろうかということが疑問として、私には思えてくるわけです。例えば解散であるとか、合併、分離などを考えてみますと、理事会メンバーは多くの職員の時間を使って、理事も自ら時間を使って、情報を集めて分析して、理事会議論を重ねて、理事会としての議論を構成してきたわけです。基本的な重要事項となれば、さらに時間、労力を使っていることだと思うんです。
 評議員会がこれらについて情報を適時に理事会並みに共有して判断を下すことが、その実行可能性が一律的に各大学法人にあるのかということなんです。同じ大学法人でも、もちろん当校はできますというところもあると思います。ですけれども、それはやはり歴史、長さの問題であるとか、先ほど申し上げた人的構成であるとか、それから法人の理念であるとかで変わってくるんだと思うんです。
 どの私学さんも、評議員会と理事会について相互牽制機能は重要であるということを御理解して、情報交換しているわけで、特に寄附行為の変更というのは評議員会の諮問事項になっていますから、寄附行為に当該学校が、当校はこれこれについて評議員会の議決を経なければ執行できないんだという取決めをしているんであれば、寄附行為に書かれているんであれば、評議員も当然同意しているという前提があるわけです。
 むしろ諮問機関としての評議員会との意見交換であるとか、意見聴取であるとか、理事会側の説明、そして評議員会の質問に答えて、丁寧に同意を得られるような合意形成を図っていく、そういう過程のほうが大切であって、大学法人だから一律に法律化することが実情に合っているかというと、冒頭申し上げました2つ目の前提から考えると、なかなかこれは難しい。となると、今の42条2項の法律というのは非常に有効性が高いんだと思うんです。
 しかしながら、これがいつまでも通用するのかというふうに考えてみたときに、特に重要な法人の基礎的な存亡に関わるようなものについては、やはり広く公共性を担保している評議員会の同意を得なれば執行できないという仕組みにしたとしても、今の私学の在り方の実態を変えるものではないと思いますので、その辺は、先ほどの主査の御説明にもありましたけれども、先を見据えて経過措置を設けるなどして、ここは改善していく余地があるんだろうと思います。
 喫緊に変える課題かというと、実務の問題があり、どこにハードルを置くかということは問題が出ると思います。大学ならいいのかというと、大学でもいろんなものがある。幼稚園でもいろんなものがある。そういったことを考えると、これを喫緊に今回、ここは法律化だと決めるには、ちょっとまだ議論が足りないのかなと思いますので、先を見据えての方向性としてはよろしいかと思うんですけど、例えば経過措置を設けるなりして収束を図るのがよろしいんではないかなというふうに思った次第でございます。
 以上のとおり、牽制機能の強化であるとか評議員構成について、牽制機能については前回、私は意見を申し上げさせていただきましたので、今回はその意思決定権限の分配、特に評議員会の議決がなければ執行できないとするべきことはどうかというところについて、フォーカスして意見を述べさせていただきました。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございます。まさにそこをこの後フォーカスして、合意がどこで得られるかを、佐野先生に諮っていきたいと思いますので、引き続きよろしく御指導お願いします。
 尾崎先生には、後ほど御意見いただきます。嵯峨先生にお話ししていただいて、尾崎先生にお願いします。次は、もうこの意思決定権限はどうするかという点、今、佐野委員からも御指摘を得ましたので、もう少しポイントを絞って議論していかないと、皆さんが多様な論点を一挙に述べておられますので議論が進みません。そこで、嵯峨委員と尾崎委員に意見をいただきましたら、今度はポイント、論点を絞り込んで御意見いただく形にしたいと思います。そのところ御配慮いただきまして、嵯峨委員、尾崎委員、よろしくお願いします。
【嵯峨委員】
 私からはちょっと簡単にいきたいんですけれども、まず1点は、評議員と監事を集めるということに関しては、先ほどから意見がありますように、弱小と言ってはいけないんですけど、小さな学校法人、それから幼稚園、また地方の学校法人だと、評議員も監事も成り手、しかも責任が重くなればなるほど、やはり成り手というのはなかなか見つけられない。もちろんもっと言えば、赤字でこの先どうなっていくか分からないような学校の監事、評議員にもなりたくないというのは、多分実情になってしまうので、もちろんそれは仮定の話ではあるんですけれども、そこのところは御配慮願いたいなと。ガバナンスに決して反対するとかそういう意味ではないんですけれども、配慮していただく必要性はあるのかなと。
 それから、今ちょうど佐野先生が言われていた、法人の解散、合併の件なんですけど、実は私、昨年度合併をしたものなんです。ただ、先ほどの例じゃないですが、ちょうど同じぐらいの女子校を2つ合併したもので、ただ一番やっぱり気を遣ったのはOGです。要するに卒業生。それから現役の生徒。現役の生徒にそれを言っても、実際ホームページに出しても反響もなかったですけれども。あとはやはり現役の教職員。その辺のところに非常に配慮はしました。
 1個にまとめたうちの一つは、経験上、こういうことがあったということだけ言いたいんですけれども、私がもう一個の学校に行ったときは、もう理事会、評議員会、監事、三つ巴です。逆に牽制し合っているというよりは、足の引っ張り合いをして、誰がどううまく逃げるかとか、そっちのほうに走っていて、学校が潰れかかっているにもかかわらず、そういう状況だったので、それを取りまとめるのはかなり労力を必要としました。
 ですので、もちろん牽制機能、監督機能を強めるのはあれなんですけれども、あまりに三すくみになってしまうと、今後そういった事例もまた出てきてしまうのかなと。やはり理事会がある程度引っ張っていくという形は必要なのではないかなというふうに感じております。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 尾崎委員、どうぞ。
【尾崎委員】
 尾崎です。発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 まず福原先生、このメモ大変ありがとうございます。大変個人的にはよくとまっている、大したものだと思っております。どうもありがとうございます。
 いろいろな論点があったわけですが、まず議論するに当たって、ここでの議論は、先ほど佐野委員もおっしゃったように、法人の意思決定の権限分配の議論と、そして法人の理事者というのでしょうか、あえて言うならば経営者、法人の運営者が、その行動をするに当たってどう監督していくかということだと思います。
 これを福原先生は法人の意思決定とガバナンス構造とおっしゃっていたんですが、意思決定もある意味でガバナンス構造ですので、ガバナンス構造の中において法人はどのような意思決定構造を持つべきなのか、また、牽制という言葉より、私は監督だと思うわけなのですが、そういう監督の機能をどう配分していくのかというふうに私は理解しております。なぜ牽制という言葉をちょっと使わないかというと、実は意思決定におきましても牽制ということがあり得るわけでございまして、その意思決定をする中において理事会と評議員会がどのように協働し、これは田中先生おっしゃったような話なのですが、むしろ牽制していくか。
 この牽制というのは先ほど、私も理想としているのが、まさに自分の大学を言うのは何なんですが、まさに理事、監事が評議員会に出席し、適切に評議員の質問に対してお答えする。そこにおいて緊張関係が生まれてくる。これはある意味で、評議員と理事との間の牽制関係の下に意思決定がなされているというふうに考えているわけでございまして、そういう点で私は大変よく分かった次第であります。
 その点で、1つ意思決定の在り方としては、従来あまり議論していなかったのが、理事会の権限であります。理事会と理事長の権限を一体どのように配分するのか、これも意思決定におけるガバナンス構造における大変重要なポイントでありまして、ここで自分の専門の会社法を引っ張り出すのは申し訳ないのですが、取締役会、学校法人でいえば理事会が業務執行の決定権限を持っています。そしてこういう事項については取締役会、理事会が決定しなければいけないというのが、会社法では条文が掲げられております。そして「その他重要事項」、これも取締役会、理事会が決定するという立てつけです。
 しかしそうでないものは、理事に委任するという前提で、条文上は理事に委任することができないという表現の仕方で、これは理事会で決めなさいという条文の立て方になっています。つまり業務執行を決定するのは理事会であるということを、まず宣言されるのが重要なポイントかなと。従来は理事会の議論はあまりやっておりませんでしたので、そこのところをはっきりさせておきたい。
 そのときに、業務執行は決定するのですが、いわゆる基礎的変更、こういうものは法人の重要決定事項でありますので、やはり法人の意思決定として理事会だけで決めていいのですかと。先ほど、嵯峨先生はじめ様々な先生が、評議員を集めるのは大変だとか、こういうふうにおっしゃっておられますと、ますます理事会中心というでしょうか、ある意味で下手すると、理事長中心ですべて意思決定してしまうという法人構造になっているのではないかという危険性を感じております。そういった意味で、そこに意思決定の段階における、ある意味で牽制機能というのでしょうか。
 そういった点で、少なくとも基礎的事項とか、その他重要事項、これは一体何をするのかはこれから御議論だと私は思いますが、いわゆる基礎的な変更については、やはり評議員会。先ほど米澤先生がおっしゃったように、ステークホルダーたちがたくさん入ってくるのは、実は評議員会でいいのではないかと個人的には思っておりまして、現在も卒業生であるとか、教職員であるとか、その他各学校法人が必要なものと考えるステークホルダーをそこに入れることができるという仕組みになっておりますので、現在の44条でしょうか、評議員の選任、その辺りというのは、その第1項は、こういうスタンスを守りながら、先ほど福原先生の書かれたメモにありますように、上限とか、ある意味で割合とか、こういったことを議論して、あまりにも理事長の体現できるような評議員の構成ばかりではまずい。やはり牽制機能が働く、意思決定機能としての評議員会というものを考えることがいいのではないかと思って聞いておりました。
 もう一つは、佐野先生の言い方からすると、今日はテーマじゃないということかもしれませんが、牽制機能のほうの話ということで、先ほどの意思決定については、同意するという評議員会の立て方、これはなかなか巧妙な表現だと思っておりまして、評議員会が決めなければ決められないのではなくて、理事会が決めたことを評議員が納得して同意する。これは先ほどの、提案者が説明して評議員会が納得して同意するということと、割とすんなりくる考え方かと思いますので、同意事項とするというやり方はあり得るかなと。ただ、そのターゲットになるのがどういう重要事項であるかは、これから御議論いただければというふうに考えております。
 加えて理事会の権限を明確化することによって、業務執行は全て理事会の責任でやるのだというガバナンス構造。そして理事長はその業務執行の決定されたものに従って行動する。そして日常的なものについては理事長が行う。これはまさに株式会社の代表取締役と同じでありますから。そして重要な業務執行決定、事業計画であるとか様々なものについては理事会で決める。そして加えて評議員会に提案する議案というのも、まずは全部理事会で決める。理事会で決めなければ評議員会に提案できないという話になってくるのかなと思っております。
 ちょっと長くなります。すみません。牽制機能のほうですが、兼職という議論、評議員と理事の兼職の議論というのは何か。理事が執行であるとするならば、評議員が監督であるという側面を、今回強調しているかと思います。監督者と執行者が同じであるというのは、これは理論的に考えられません。理屈からいくとあり得ないことですね。つまり評議員会を監督機関であるというふうに考えれば考えるほど、兼職というのはできない理屈になってきます。
 しかし先ほど言ったように、評議員会に意思決定機関的要素も少しあるとするならば、そこにいろんな考え方があるのだろうと思いますが、そういう形で考えていく。そうなりますとまた我が校を言うようでありますが、理事になったら評議員と兼職していないという、運営の仕方かもしれませんが、またあるいは、これこそ寄附行為であって、寄附行為でそういうようにしておいて、評議員会はあくまでも監督機関であるという側面を強調する。それを「見える化」するのが大変重要であろうと。そういうことがこの福原先生のメモに書いてあるのではないかなというふうに、私は感じております。
 そして、その他いろいろとございますけれど、入札の議論というのは前回も少しあったわけですが、これはもめてしまったらどうしますかという、先ほど小原先生のほうからの御指摘があったわけですが、そのときに法人としてのファイナルはどうしますということ、これも決着をつけるのはなかなか難しい問題です。
 ですからそれこそ、寄附行為ではっきりさせて決める問題です。そしてこれを、先ほど佐野委員がおっしゃったのかもしれませんが、ディスクローズする。こういうことについて評議員会ともめたときには理事会の決定をもって法人の決定としますというのも、一つのアイデアかなという感じはしております。しかし、どのアイデアがいいのかは、ちょっと私は分かりません。
 そして先ほども44条を少しだけ申し上げたのですが、監督機能についてでありますが、監督機能についてその44条の1項1号から3号、これを全部寄附行為にある程度丸投げしております。つまり1号、2号はこういったところから、寄附行為で何でもかんでも決めてしまえる。この決め方いかんによっては、理事者側の意向が大変強くなってしまう危険性があります。
 少なくともこの部分については開示すべきである。つまりこの学校法人はどういうふうにして評議員会を決めているのですかということは、強調した形で開示したほうがいいのではないかという感じがしております。そうしてそれについて福原メモは、上限ということですが、ある意味で割合。その割合のときもどういう割合のつくり方をするのがいいのかはなかなか難しいわけですが、ここは御議論いただいてと思います。
 それをハードローで決めたらいいのか、それとも、先ほどちょっと申しましたように、寄附行為で決めて開示するのか。これは方法の問題だと思います。ただ少なくとも、様々なステークホルダーをとり込めるのは評議員会ではないかというふうに思っております。理論どおりにはなかなかいかないかもしれませんが、やはりある程度理念を背景にした改正案を社会に発信するということは、大変重要なことだろうと思います。
 つまり法改正とはある意味でのメッセージの発信でありますので、今回のメッセージの発信として、こういう形で学校法人はガバナンスを自律的に自主的に、文部科学省が何だかんだいろんなことを言って指導されているかもしれませんが、それを自分たちでやっているのだという自覚を持って、自律的なガバナンス構造をつくり上げていくことが求められているのだろうと思います。
 ちょっと長くなりましたが、私の意見です。どうもありがとうございます。
【福原主査】
 いえいえ、ありがとうございました。私の至らぬところもカバーしつつ、また、気をつけなければならないところも的確に御指摘いただいたかというふうに思います。
 法律関係の組織法の専門家ばかりではございませんので、ややもすると、意思決定をどのように分配するかということだけに終始してはなりませんので、意思決定の分配というのは権利、義務を発生させる仕組みとして、必ず設けなければならないのだけれども、その中で今、牽制機能を発揮する、言わばチェック・アンド・バランスとよく言われる、そういったものも働かせなければなりませんし、かといってガバナンスは、その意思決定権をどう分配するかだけで決まるわけじゃありませんので、それを含めたその他のガバナンスの手段が必要ということになります。
 しかし、やっぱり肝になるのは、意思決定権限をどうするかということであり、それを明確にしておかないと、その周りを囲むほかの制度もなかなか構築することができないと、こういう趣旨でございました。
 それでは残る時間、恐縮ですけれども、できるだけ論点について合意が得られるところを見いだして参りたいと思います。だいたいは今まで御指摘いただいてまいりましたし、大臣主管か知事の主管かということによって違いも見えてまいりました。また御意見で共通するところも見えてきたとは思うのですけれども、改めて、主な論点の順でいきますとやはりフォーカスするところが違ってきますので、論点を絞って御意見をまとまればまとめていきたいと思います。
 まずは、学校法人における理事会と評議員会の関係です。この点では、現行法は評議員会を諮問機関と位置づけて、寄附行為によって理事長として意見を聞かなければならないとしており、寄附行為において意見を聞く場合に議決を要するとしているところなどがあって、もう既にその構造の下で評議員会が議決機関化しているところもあれば、プロトタイプで諮問機関とのみ位置づけられているところもあって、現状も様々です。
 そういう中で、やはり先ほど尾崎委員からも御指摘いただいたような、しっかりと理事会が創設の経緯や、また社会の各意見を踏まえて最終決定しているのだということを明らかにする仕組みとして、どういうものが適切か、不適切か、そういうことを議論してみたいと思います。尾上委員から何かこの点、これまでも意見を述べていただいておりますけど、いかがでしょうか。この点、理事会と評議員会の意思決定のあり方ですが。
【尾上委員】
 基本的には自主性と公共性の調整を図っていくということで、今言った評議員会や理事会の在り方ということ、私どもはそれは是としております。ただいろいろ個別に当たって、兼任の制限とか、それは本当にそういった趣旨から言うとごもっともですし、決議事項について云々かんぬんというのも是なんですが、今日の主査の覚書にも御配慮いただいているように、やはり規模別、特に幼稚園は小規模法人ですので、段階的な運用とか、そういったところを十分運用段階で御配慮いただいてというようなただし書で、基本的には連合会としては賛成の意を表している次第でございます。よろしくお願いします。
【福原主査】
 ありがとうございました。この点も既に意見が出ておりますけれども、現行の42条1項、2項の基本的な構造とその運営の実態を踏まえまして、ここのところがやはり他の法人と違うところもありますし、この運用実態によって、様々な不祥事の温床が生まれてしまっているのではないかという、社会的な疑義も生ずるところでございます。
 そういう中で、評議員会を万能、最高決定、最終決定の機関とする位置づけにつきましては、学校法人の特殊性から、皆さん方の御同意は得られないということは、もう認識できたところでございます。かといって、やはり今後を見据えて、この評議員会という様々なステークホルダーの創立以来の意見を、その意思決定の中にどう組み込むかということは、この機会に議論しておくべきことではないかというふうには思われるわけですが、この点についていかがでしょうか。
 私の一つのたたき台というか、たたかれ台といたしましては、やはりこの学校法人の創設の経緯や様々なステークホルダーの考え、いろんなリソース、創立時の一部の方々の最初に出てきた出資だけじゃなくて、現在、補助金あるいは税制優遇といった公的なものだけではない、自治体や企業、その他様々なリソースを、もっとこの教育研究という活動の中に呼び込むためには、そのための信頼を得るためには、そういった方々の意見をきちっと踏まえて運営しているんだということを社会的に発信する必要もあるので、米澤先生が言っていただいた公共性というものの考え方にもいろんなレベルがあるだろうというふうには思っているところでございます。
 そういうことを踏まえますと、いかがでしょうか。基礎的な変更事項については、理事会の議決がまずあって、そして評議員会の議決がされたことでもって、その学校法人の決定というふうに、基本形として社会的にも構成するということでいかがか。
 その場合に、合併、解散、あるいは寄附行為の変更といった基礎的変更事項に加えて、他の法人はいろんな重要事項を、この評議員会の議決事項にしています。中長期だとか役員報酬基準とか。この辺は学校法人では、まだまだ理事会が専門的な判断でされるところでもあるので、どこまでを。議決していいということが合意されても、その範囲というのはかなり厳格に考えなければいけないのではないかというふうに、皆さんの意見からは感じ取ったところですが、この点何かいかがでしょうか。
 田中先生。
【田中委員】
 ありがとうございます。今のところ、先ほどの佐野委員の御指摘は非常に重要だと思っております。やはり理事会は執行機関でありますから、方向性を提案する。それに対して、重要事項に関しては、承認ということでもよろしいですが、評議員会が同意をすることは、形としては望ましいと思うんです。
 これまでの私学における幾つかの不祥事の中に、やはり理事長が決めて理事会を説得してしまうと、それを止められなかったという件があるわけです。特に社会の注目を浴びて批判の的になっている案件というのは、そういう場合が多いわけですね。これが、やはり制度上の問題であると思います。個人に悪い人がいたから起こったんだというだけではなく、例えば早稲田大学でも、同じようなことを狙う者が出てくれば、止められない可能性というものは常に危惧しております。
 ですから、そういうことをしない人を選ぶということに専念はしているんですけれども、それだけでは多分済まないとすると、やはり評議員会の同意を得ることは必要だと思うんですが、例えば、大きな校舎を建てるというのはかなり中長期計画に入りますので、建て替えるということは評議員会の同意を得る。ただ、どこの建設会社に発注するかということの決定は、理事会が公正に行うということで、つまり具体的な施策の執行は理事会が決定する。しかし、全体の構造は評議員会の同意を得るということが必要だと思うんです。
 もしそのときに理事会の発注の選定の仕方に問題があれば、監事が指摘をし、それを改めて評議員会に報告すれば、評議員会がそれを止めることができるように。何かそういうストップをかける機能を持たせるということだと思うんです。ですから何でもかんでも評議員が決めるんではなく、中長期計画、それから役員の報酬もそうだと思いますが、かなり重要な事項である。ですから合併や寄附行為の変更、中長期計画、役員報酬に関しては、理事会は評議員会に提案をする。提案の内容は理事会が決めるということでよろしいと思うんです。というようなところだと思っております。
 以上でございます。
【福原主査】
 それで先生、中長期の場合も、その中長期の方針とか骨子というものは、やっぱりその学校法人の在り方に関わることもあるので、骨子とか方針では評議員会という手もありますよね。役員報酬についても。あと、具体的な業務内容については理事会というふうに分配しておくことも、趣旨としてはあり得ますよね。
 だから基礎的変更は恐らく御異論はあまり出てこないと思われます。慎重に扱えば、評議員会が同意または承認をするという立てつけに、あまり御異論は出てこないのではないかとは思いますけれども。問題は重要事項ですね。そのほかの中長期計画とか報酬基準とかについては、その詳細まで評議員会で決めてもらうということになると、業務に関わるので、これは方針じゃないかな。方針あたりでかもしれませんね、先生。
【田中委員】
 すみません、中長期計画も、素案は理事会がやはり考えるかと思うんです。それを承認していただく。そのときに、やはり異論が出れば、評議員会の中に専門の検討委員会を設けるということが起こると思うんですけれども、それが先ほどから出ておりますような、知事の所管であります小中高、幼稚園ですとかの場合には、それだけの評議員の数がそろわないこともあるかもしれませんので、大学も、大臣権限所管の学校法人においても、知事の所管の学校法人におかれても、素案自体はやはり理事会でつくって提案するということでよろしいと思うんです。
 ただ、評議員の中でやはり強い異論があった場合には、その評議員の中に検討委員会を設けて、再度検討するということがあってもよろしいと思うんですが、原則は理事会が提案し、それを評議員会が同意するなり承認するなりと。そこで問題があれば止める。そのときに、どちらにも気がつかない場合に、監事が割って入ることもあり得る。監事が、理事会も評議員もお気づきじゃないんですが、このやり方は社会通念上まずいですよというということを御指摘いただいて、監事の御指摘によってそこを見直すことができると思いますので、やっぱり原則の執行は理事会が行っていくという福原主査のお考えに私も近いです。それを少し明確に理解すれば、評議員がやたらに何でも決める権限があって怖いと我々が思っているところは払拭できるように思っております。
 以上でございます。
【福原主査】
 一応、私からは、最初に戻って申し上げます。大臣所管の大学法人についてはミニマム、基礎的変更については、評議員会の承認、同意ということに御異論はないだろうというふうに申し上げたので、知事所管については、私の覚書では従来の構造を維持するというということでも、私は社会的な信頼を得られるのではないかと思います。そうしないと評議員に人が得られないとか、実情を御指摘されていますので、42条の構造を維持するという御意見があったらどうぞ。
 本当ならば理念型としては、大学法人だけではなくて、基礎的変更は少なくとも、やっぱり評議員会が決める構造を世に示したほうがよいという意見もあれば、しかし現状としては、そこへ持っていくまでには現状からあまりにも大きく変わるから、せめて経過措置とか、5年はとか、何とかしてそうしてくれと。今回は大学法人についてはいいけど、知事所轄の学校法人については現状を維持して、将来に向けて選任とかをやる、こういうこともあり得ると思いますが、ちょっとその辺、大学法人以外等につきましても御意見を聞きたいと思います。
 まず、川並委員、重永委員、そしてあと、有識者委員の尾崎委員という順で御意見をいただいてまいります。よろしくお願いします。
【川並委員】
 ありがとうございます。おおむね反対を申し上げるつもりはございませんが、大臣所管法人として大学法人と十把一からげにされますと、短期大学法人も大臣所管法人に区分されており、大学法人であっても小さな法人もありますので、規模において経過措置等をされるということであれば、大臣所管法人が全て同じだと思われると大変困りますので、大臣所管法人であってもその辺については御検討いただきたいと思います。
 また、都道府県所管の法人でも、高等教育機関として大学等と同等の教育を提供している法人のもありますので、そういった法人を各都道府県に任せていいのか。私も詳しくはございませんが、高校以下の法人においても、全国的に展開している学校法人を1つの都道府県に任せていいのかなども含めて御検討いただけたらと思います。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 では、重永委員からどうぞ。
【重永委員】
 ありがとうございます。今の川並先生の懸念等、もっともだと思いますけれども、今、私がここで申し上げたいのは、評議員会の権限をどうするかという、先ほどの福原先生の論点整理について申し上げたいと思うんです。田中先生が中長期計画について、評議員会の決議事項にしてよいというような趣旨のことをおっしゃっていましたけれども、私は中長期計画を評議員会の決議要件とするのは反対です。
 中長期計画というのは非常に細かな具体的な計画、細目に至るところまでひっくるめて、全部中長期計画というふうになるわけですよね。そういう細かなところについて評議員会が判断できる材料、それは持ち合わせないと思います。どんなに優秀な方々であっても、それを判断してくださいというのはやはり難しいところがありますので、理事会の権限というふうにして進めていくべきだと思います。
 もちろん評議員会に、中長期計画については細目に至るまで、全て報告をしなければならないというのは当たり前です。そのとき、評議員の方々から質問が出たとき、あるいは疑問が出たときに、しっかり理事会は説明をし切る、説明責任を果たすということは当然でございますけれども、議決要件、承認要件ということについて私は反対でございまして、ただ評議員会については、理事等の明確な根拠のある背任のことですとか、あるいは根拠のある不適切入学の疑いがあるですとか、そういう非常に重大な事柄を例示する形で、評議員会の議決なり、あるいは評議員会が理事長・理事の解任を請求できるとか、そういうような決め事にするのがよいのではないかなということを思ってございます。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 では、あとは有識者の委員からの発言要請が続いておりますので、尾崎委員、佐野委員、梅本委員の順にお願いします。時間も迫っておりますので簡潔にお願いします。
【尾崎委員】
 分かりました。尾崎です。田中先生に伺いたいのですが、そのときに学外理事という発想はあるのですか。つまり、私たちは社外取締役だとか独立取締役という学外者が、そういう歯止め役を果たすべきであるという議論をやってきた記憶があるのですが、今回その議論はあまり表に出していなかったので私は発言しなかったのですが、監事が止めるとなると、監事は、いわゆる妥当性監査をするのかと、こういう議論が私は出てきてしまうような気がするのですが、この点いかがなのでしょうかというのが、私の発言したかったことです。
 もう一点、重永先生がおっしゃったことについて、これは先ほど福原先生がおっしゃったように、中長期計画それ自体ではなくて、その方針というのでしょうか、枠組みと。これは評議員会マターであるというふうに私は提案として聞いたのですが。この点、福原先生いかがですかという、この発言だけです。すみません。
【福原主査】
 ちょっと議論を進めるためではありますが、まずはそれもあり得ると。中長期計画全部というのでは、やはり重永先生がおっしゃったみたいに、これを評議員会でかけたら、もう毎回の事業計画まで、業務に関する意思決定全部が含まれてしまう可能性がありまして、長期にわたって理事会の機動的な意思決定をそれによって防いでもいけませんので。
 ただ中長期計画というのも今重要ですから、その基本的な方針のあたりは了解を取って、その細部を理事会が決定するのがいいんじゃないかと、そういう意味です。まず中長期計画に関しては、そういう骨子、方針と具体的内容を分けておいたほうがいいというふうに。もしするならばですよ、そうじゃなかったら、これはもう諮問事項にとどめておいてもいいのでということで。そういうことです。
【尾崎委員】
 尾崎ですが、私もそういう形で理解していたわけなんです。
【福原主査】
 ありがとうございました。
 あと、いろんな意見を取り入れるということに関して、田中先生、今、尾崎先生から御意見がありましたが、これは評議員会だけでいいのか、理事会にもそういう傾向が始まっているんじゃないか、そういういろんな意見を理事会に入れることはどうかということです。
【田中委員】
 それも学校法人によると思いますが、早稲田大学では学外理事を必ず入れるというふうにしております。学外理事のほうが多い大学もおありになるので、それは様々だと思いますけれども、学外理事の方の意見によってある程度、学校法人の思い込みを正すということはできると思います。
 ただ、学外理事のほうが数が多くなっている法人もおありになるんです。そのときに、やっぱり教学事項に関しての理解が不足するという指摘が出ています。こういう教育は重要だというときに、学外理事でビジネスマンの方ばかりですと、いや、そんなの要らないだろうと。自分が卒業した30年前、40年前の経験で言うと、そんな授業はないほうがよかったなんていう意見が出るということが言われていまして、現在の教育の在り方を理解しない学外理事ばかりでは困るということもありますので。
 ただ、教職員だけで理事会ができていることには、やはり暴走の可能性があるので、尾崎先生がおっしゃるように、監事とともに学外理事という役割もある程度果たせると思っております。そこは各学校法人によって若干の幅があると思いますので。ただ学外理事という存在は重要であろうというふうには存じております。
 以上です。
【福原主査】
 ありがとうございました。尾崎委員からは御質問だったので。
 では続いて、佐野委員から再度御意見。
【佐野委員】
 主査の御質問は、何を法律事項とすべきかということだったかと思いますので、そこに関して申し上げたいと思うんですが、評議員会の議決、もちろんそこに行くまでにはいろんなプロセスがあると思いますが、議決がなければ執行できないことは何かということかと思います。
 これにつきまして私は、組織の存亡がかかっているといいますか、解散であるとか、合併、組織変更、こういったものについては大臣所轄法人にかかわらず、これは全ての学校法人として評議員会が議決機関になるべきではないか。これはもう最後の手段ですから、法人としての存亡というのは、これはやるべきではないかと思います。これが法律事項としての最低だと思います。
 その次に、例えば中期計画の骨子についてどうか。これはごもっともだと思うんですけれども、いろんな私学の形態があることを踏まえれば、私学の自治に任せていいと。もちろん諮問事項に入っていますから、コンセンサスを得るための努力というのは、大学に限らず幼稚園もする。これは当然のことですけれども、法律事項とするには、ちょっと申し訳ないけど先送りでもよろしいんではないか、もしくは大学法人に限るという規模の基準を設けてもよろしいものではないかというふうに思っております。
 以上です。
【福原主査】
 寄附行為の変更は、先生、どうなんですか。
【佐野委員】
 ごめんなさい。寄附行為の変更というのは、今たった1行変えるについても寄附行為の変更になってしまうということがございます。ですから、これは寄附行為の変更全部を、その都度やりますと非常に煩雑になってしまうので、ちょっとこの寄附行為は諮問でもいいのかなと。また先ほどどなたか委員から、開示という問題がありましたけれども、大学法人については寄附行為は公表することが法律化されております。寄附行為については、むしろ知事所轄にも広げていくことによって実態が見えてくるということもあるのではないかなと。寄附行為を評議員会の議決にするというには、ちょっと寄附行為の中身がもしかしたら粗くなってしまう可能性があるんではないかということを考えると、議決にしなくてもよろしいのかなというふうに思っております。
 以上です。
【福原主査】
 本日の参考資料5に、評議員会の議決事項をほかの法人では最近どのように定めてきているのか、そして、私たちの前身の会議である有識者会議や改革会議でどこまで広げているのかということが整理され、各法人比較もございます。ここの点を踏まえて、梅本委員、学校法人の現時点における実情を踏まえた、評議員会の同意、承認という趣旨での議決事項としては、どこまでが適切かという議論をしているのですけど、御意見、よろしくお願いします。
【梅本委員】
 ありがとうございます。私は、さっき佐野先生のおっしゃった意見とかなり近いんですけれども、やはり法人の基本的な重大な存亡に関わるような、合併だったり、解散だったり、あとは一般財団ですと、事業を全部譲渡するというのも評議員会の決議事項になっているんです。
【福原主査】
 事業譲渡ですね。組織再編だけでなくだ。
【梅本委員】
 そういうのも当然全ての法人に共通して、やっぱり評議員の同意、承認を得ないといけないというふうにすべきかなと思っています。
 あと寄附行為の変更も、御指摘のとおり、いろんな瑣末な言葉を改めたりとかという部分もあるんですが、例えば事業を追加したりとか、そういう寄附行為の中でもかなりコアな部分を変えるとなったら、全てに共通で、やっぱり評議員会の承認を得るというふうにしたほうがいいんじゃないか。
 以上が考えなんですが、大臣所管法人においては、先ほどから御議論があります、その中期的な計画の基本方針でもいいと思うんですが、その作成であったり変更、あるいは役員報酬基準の策定等を追加で承認事項とする。
 あとちょっと私が思っているのが、決算というのが毎期あるかと思うんですけれども、公益法人ですと定時の評議員会で大体中心的な議題が決算承認なんですが、その辺りもやっぱり加えられるべきなんじゃないかなというふうには感じております。
 以上でございます。
【福原主査】
 ありがとうございます。そうですよね。そのあたり、事務局の方から、議論の前提としての御案内ということもお願いします。また、確かに寄附行為の中でも、理事、監事とかの選任等について評議員会が担うということになりますと、それは寄附行為によってということになると、何人選ぶのかとかいうことも問題になります。そういう基本的な構造に関わる寄附行為というのは、やっぱり評議員会がそれらを選ぶということになれば、必要かなという気もします。では、この辺、今の資料も含めて制度的な前提等について、事務局より御紹介いたしたいと思います。よろしくお願いします。
【相原補佐】
 今、寄附行為の変更が少し議論の俎上に出てまいりましたが、現在の私立学校法上は、寄附行為の変更については45条というところで出てまいります。その寄附行為の変更というものに関しては、基本的に今は理事会の決定というのがあること、これは実は法律では明文化されていないんですけれども、その前提の上に所管庁が認可をする、あるいは2項において届出をするということで、重要度に応じて、その中身に応じて認可を要する手続事項と届出でよい事項という段階的な区分も、私学法施行規則の省令で、少しその辺りのグラデーションをつけることは可能な仕組みというのが既にあります。
 また、事業譲渡という指摘もあったわけですが、それも現在の私立学校法上は特に、30条の寄附行為の記載事項として、学校の種類や課程といった部分、この辺りとしていることに伴いまして、必然的に事業譲渡については寄附行為の変更の中で捉えられているというのが、現在の私学法の仕組みかと思います。
 少し戻りますが、寄附行為の変更をすべからく議決事項にするかどうかというところも、またこのように認可、届出でグラデーションがあるように、評議員会との関係でも一定のグラデーションをつけるような措置は法令上可能なのではないかというふうには考えた次第です。補足いたしました。
【福原主査】
 ありがとうございました。お約束いただいておる時間も迫っておりまして、私の進行の采配の不手際で、もっと御意見いただかなければならず、個別論点について議論を進めなければならないのですが。私が今日お聞きした議論では、最初の個別論点として掲げました理事会と評議員会の意思決定権限の分配、とりわけ評議員会の決定権限につきましては、少なくとも学校法人全体について、その存立に関わる基礎的変更については、やはり評議員会の同意、承認を必要とするということで足並みをそろえてはどうか。そして、ただ知事所轄の学校法人等においては、その他は現状を維持する。
 その代わり大学法人については、承認、同意する部分を段階的にもう少し増やす必要があるのではないか。ただ、中長期計画や報酬といったところまで、そして寄附行為の全てというところまではいかないので、組織変更を基礎的に加えても、プラスアルファ程度ということになるのではないか。
 それだけしたら、あとは評議員会をやらないんじゃなくて、今までどおりちゃんと諮問はしなければならないので、評議員会の機能が発揮されることは発揮されるので、議決機関という形で権限を分配して機能を発揮させるのは、ミニマムそういう学校法人の存立に関わる部分を中心に設定してはどうかという意見を、私の耳はそのように聞き取ったんですが、何かその点についていかがでしょうか。
 そういうふうにしておけば、そこから牽制機能をどうするかということで、次の論点に入っていけるのではないかと思います。そこについても今日、かなり御意見を頂戴いたしましたので、そこのところは今日聞き取った御意見等を踏まえまして、今日から少し、まだ御意見を言い足らなかった部分については事務局にお寄せいただきたいと思います。私にて覚書パート2を作る精力は残っておりませんが。
 しかしながら、今日の御意見はきちっと受け取って、もう一回、次回には個別論点としてのたたかれ台を、今日の御意見、あるいはこの後寄せられる御意見を踏まえて御提示させていただいてもと思います。もうスケジュールもさほど残されておりませんので、次回はそういうことを踏まえて御議論を戴きたいと思います。
 今日は、肝になるところについて御議論を戴くことができました。この委員会は最初どうなるかと思っていたのですが、皆さんの見識と御協力のおかげで、まず第一歩を踏み出せたように思います。今日のこの第一歩が、私春一番になるのか、春の嵐になるのか、心配していたのですけれども、今日は2022年の2月22日という世紀の日付でもございますので、これは我が国の私立学校の転機、進歩については、大変記念すべき第一歩になったんじゃないかと勝手に自画自賛しております。どうぞお許しいただいて、そういうことで、次回からは個別論点をどんどん進めていきたいということでよろしゅうございますでしょうか。
 では、そういう形で進めさせていただくことにいたしまして、まだなお御意見、御懸念がありましたら、容赦なくお届けをいただきたいというふうに思います。
 では、次回の会議等、今後の進め方につきまして、事務局より御案内をいたします。よろしくお願いします。
【相原補佐】
 本日も長時間にわたりましての活発な御議論、大変ありがとうございました。
 今後の予定につきまして、資料6で審議日程(案)をお示ししております。第4回、次回は、来月、3月9日の水曜日に13時から16時、また、第5回の会議につきましては、17日木曜日の15時半から18時半ということで開催を予定しておりますので、また詳細は担当より連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。
【福原主査】
 ありがとうございました。では、今の御案内に従って進行してまいりますが、その間、年度末のお忙しい時期であっても、関連する意見交換などが様々な会議体で行われることと存じます。
 また本日、有識者の委員の方々から様々な御意見をいただきましたので、私のほうからもう一度、その次なるたたかれ台をつくる直前に、有識者の方々の御意見を賜る機会を別途設けることもございますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げまして、本日の第3回の特別委員会はこれまでとさせていただきます。
 お忙しいところ、熱心な貴重な御意見の数々を頂戴しました。ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ――了――

お問合せ先

文部科学省
高等教育局私学部私学行政課

(高等教育局私学部私学行政課)