1956/11 答申等 |
公立小・中学校の統合方策についての答申 (第12回答申(昭和31年11月5日)) | |
12 公立小・中学校の統合方策についての答申
(諮 問)
昭和31年8月27日
中央教育審議会
文部大臣 清 瀬 一 郎
次の事項について,別紙理由を添えて諮問します。
公立小・中学校の統合方策について
(理 由)
戦後の学制改革に伴って発足した新しい小・中学校は,当初直面した様々の悪条件を克服して,逐年整備充実されてきている。
しかしながら,その現状をみると,公立の小学校および中学校のうち,小規模学校の占める割合は相当大きくこれらの小規模学校にあっては,一般的に,学校経費が割高になっているにもかかわらず教員の適正配置や施設・設備等の整備が困難であるため,十分な教育の効果を期待することができない。
このような事情にかんがみ,この際,小規模学校は,これを可能な限り統合整備して,義務教育水準の維持向上と学校経費の合理化を図ることが必要であると考える。
学校統合に関し検討すべき問題点
1.学校統合の基本方針について
公立の小学校および中学校の統合については,教育的・財政的・社会的その他の見地から充分検討し,慎重に行う必要がある。このためには,いかなる方針・方策により,これを実施すべきかについて検討する必要があると考える。
2.学校統合の基準について
学校統合を行うに際し考慮すべき適正な学校規模及び通学距離について検討する必要があると考える。
3.学校統合に対する助成について
学校統合に際して必要な学校施設・設備の整備,通学条件改善のための交通機関の設置等に対して,国及び都道府県はいかなる助成を行うべきかについて検討を要するものと考える。
(答 申)
昭和31年11月5日
文部大臣 清 瀬 一 郎 殿
中央教育審議会会長
公立小・中学校の統合方策についての答申
本審議会は,公立小・中学校の統合方策について,特別委員会を設けて審議を行って得た結果に基き,総会においてさらに慎重に審議し,次の結論に到達しましたので答申いたします。
記
公立小・中学校のうち小規模学校の占める割合は大きく,これらの小規模学校は教員組織の充実と施設設備等の拡充を図る上に困難を伴うことが多いので,これを適正な規模にまで統合することは義務教育水準の向上と学校経費の合理化のためきわめて重要である。
特に,ここ数年来画期的な規模において町村の合併が行われ,合併市町村ではその建設計画において地域の文化的中心であり精神的結合の基礎である学校の統合を重要な課題としてとりあげているので,この機運とあわせて,小規模学校の統合を促進することはきわめて適切なことである。
これらの諸点にかんがみ,この際合併市町村における学校の統合はもとより,その他の市町村における学校の統合についても,次の要領により積極的計画的に実施する必要がある。
I 学校統合の基本方針について
1.国および地方公共団体は,前文の趣旨に従い,学校統合を奨励すること。ただし,単なる統合という形式にとらわれることなく,教育の効果を考慮し,土地の実情に即して実施すること。
2.学校統合は,将来の児童生徒数の増減の動向をじゅうぶんに考慮して計画的に実施すること。
3.学校統合は慎重な態度で実施すべきものであって,住民に対する学校統合の意義についての啓発については特に意を用いること。
II 学校統合の基準について
1.小規模学校を統合する場合の規模は,おおむね12学級ないし18学級を標準とすること。
2.児童生徒の通学距離は,通常の場合,小学校児童にあっては4キロメートル,中学校生徒にあっては6キロメートルを最高限度とすることが適当と考えられるが,教育委員会は,地勢・気象・交通等の諸条件ならびに通学距離の児童生徒に与える影響を考慮して,さらに実情に即した通学距離の基準を定めること。
III 学校統合に対する助成について
1.国は,学校統合により必要とされる施設の建築費についてじゅうぶんにかつ計画的に助成すること。
2.国は,各種振興法に基く補助金等の配分については,統合を行った学校に対し格別の考慮を払うこと。
3.国は,学校統合に伴い児童生徒の通学を容易にするため必要となるスクール・バス,スクール・ボート等の交通機関の設置に対して助成策を講ずること。
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