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中央教育審議会

 1998/11 議事録 
中央教育審議会第223回総会   (議事録) 

   中央教育審議会  第223回総会

議    事    録

平成10年11月6日(金)14:30〜16:00
霞が関東京會舘      35階  ゴールドスタールーム

    1.開    会
    2.議    題
        初等中等教育と高等教育との接続の改善について諮問
    3.閉    会

    出    席    者

    委  員                              事務局
      根本会長                            有馬文部大臣
      鳥居副会長                          森田政務次官
      市川委員                            佐藤事務次官
      木村委員                            富岡生涯学習局長
      河野委員                            辻村初等中等教育局長
      國分委員                            素川高等学校課長
      小林委員                            佐々木高等教育局長
      坂元委員                            長谷川企画課長
      田村委員                            高  総務審議官
      土田委員                            杉浦政策課長
      永井委員                            その他関係官
      横山委員


○根本会長    それでは、ただいまから中央教育審議会の第223回総会を開催いたします。
  本日は、大臣はじめ、皆様大変お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  早速でございますけれども、当審議会では、6月に「幼児期からの心の教育の在り方について」、そして9月には「今後の地方教育行政の在り方について」の答申を取りまとめました。本日は、新たな諮問をいただくことになっております。
  それでは、これから有馬大臣から御諮問をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○有馬文部大臣    よろしくお願いいたします。
          〔有馬文部大臣から根本会長へ諮問文を手交〕

○根本会長    ただいま、諮問文をいただきました。これをまず事務局で読み上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○事務局    それでは、諮問文を読み上げます。



      次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。
        初等中等教育と高等教育との接続の改善について                    
          平成10年11月6日
                              文  部  大  臣    有  馬    朗  人
    
(理  由)
  来るべき21世紀において、我が国が活力ある国家として発展し、科学技術創造立国、文化立国を目指していくためには、あらゆる社会システムの基盤となる教育の役割が重要であり、これまでにも各般にわたる教育改革を進めてきたところである。
  初等中等教育については、まず[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむことを目指して、平成14年度からの実施に向けて教育課程の改訂をを進めている。新しい教育課程においては、完全学校週五日制の下で、教育内容の厳選により基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実するとともに、豊かな人間性や自ら学び自ら考える力を育成することとしている。また、個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現を目指して、中高一貫教育制度の導入を行ったところである。
  また、高等教育については、教育研究の高度化、個性化、多様化を図るとの基本的な考え方の下に、大学改革が進められている。特に学部段階の教育の改善に関しては、各大学の創意工夫により教育の質的向上を図るために様々な取組が進められているところであり、今後は、社会の一層の高度化・複雑化、大学進学率の上昇、入学者の履修歴の多様化等を踏まえて、「課題探求能力」を育成する観点等からの教育内容の見直し、各大学の責任ある授業運営、厳格な成績評価等を推進することにより、学部教育の再構築を図ることとしている。
  一方、国民の幅広い大学への進学希望と少子化の進行等により、遠からず短期大学を含む大学への進学率は5割を超えることが予想されている。また、高等学校における教育は選択幅の拡大等により一層の多様化が進むことから、これまで以上に多様な能力、適性、履修歴等を有する学生が大学に進学してくることになる。このため、今後は、このような状況を踏まえて、高等学校及び大学それぞれの役割分担を明確にすることが必要であり、その上で、初等中等教育及び高等教育を見通した教育の在り方を考えることが重要となっている。
  両者を見通した教育の在り方を考えるに当たっては、まず高等学校と大学の接続の改善を図ることが必要である。これまで高等学校と大学との関係は、主として大学の入学者選抜を接点とするものであったが、今後はそれぞれの役割分担に基づき、両者を通じて教育を効果的に進めていくことが必要となっている。すなわち、各大学はその求める学生像を明らかにするとともに、高等学校は生徒の能力・適性等に応じて進路指導や学習指導を充実すること、また入学者選抜においては高等学校までの教育の成果を適切に評価して、各大学の個性に応じた入学者を確保すること、さらに高等学校までの教育の成果を大学において更に発展させることなど、両者の接続の改善を図ることが極めて重要になると考えられる。そして、このような両者の接続の改善を図ることは、現在進めている初等中等教育及び高等教育それぞれの改革をより一層推進するためにも不可欠であると考えられる。
  このため、初等中等教育と高等教育との接続の改善について、次のような事項を中心に検討する必要がある。
  (1) 高等学校及び大学の役割分担の明確化と両者の教育の連携について
  (2) 高等学校と大学との接続を重視した大学入学者選抜の改善について
  (3) その他の関連する施策について
    
  以上でございます。

○根本会長    それでは、文部大臣から御挨拶を兼ねまして、諮問理由の御説明等をお願いいたしたいと思います。

○有馬文部大臣    本日は、御多忙のところ、御出席いただきましてありがとうございます。第15期及び第16期の中央教育審議会におかれましては、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第一次、第二次答申に引き続き、本年6月には「幼児期からの心の教育の在り方について」、また、9月には「今後の地方教育行政の在り方について」の答申を取りまとめていただきました。これらの答申は、いずれも今後の我が国の教育の基本的な在り方を示すものであり、文部省としては、これらの答申の趣旨を踏まえて各般の教育改革を推進しているところであります。
  初等中等教育については、第一次答申で示された[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむという今後の教育の基本的な在り方を踏まえ、平成14年度からの実施を目指して、現在、教育課程の改訂を行っているところであります。新しい教育課程においては、完全学校週5日制の下で、教育内容を厳選して基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実するとともに、各学校の創意工夫を凝らした特色ある学校づくりによって、豊かな人間性や自ら学び自ら考える力の育成をより一層進めることとしております。特に、中学校における教育については選択教科の拡充等を図り、高等学校における教育については、必修教科・科目や卒業に必要な単位数を引き下げ、選択の幅を拡大するなど、これまで以上に個性を伸ばす教育を推進することとしております。また、第二次答申を受け、個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現を目指して、中高一貫教育制度の導入を行ったところであります。さらに、このような各学校における特色ある教育活動の展開を促進することなどを目指して、地方教育行政制度の見直しを進めることとしているところであり、今後の初等中等教育、特に高等学校における教育はこれまで以上に生徒の実態に応じた多様なものになると考えられます。
  また、高等教育については、これまでも大学審議会の答申を踏まえて、各大学の個性化、教育研究の高度化、組織運営の活性化等を進めてきたところですが、21世紀において大学が社会から求められる役割を十分に果たし、国際的にも評価されるようになるためには、大学の教育研究の質を飛躍的に向上させる必要があることから、去る10月、同審議会から「21世紀の大学像と今後の改革方策」について御答申をいただきました。
  同答申は、「競争的な環境の中で個性が輝く大学」を目指して、教育研究の質の向上や、教育研究システムの柔構造化、組織運営体制の整備、多元的な評価システムの確立等を提言しております。特に、学部教育については、「課題探求能力の育成」を重視するとともに、専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力等を培うことを基本として、教育内容の再検討、責任ある授業運営、厳格な成績評価の実施などを推進して、学部教育の再構築を図るべきであるとしています。また、大学院については、その教育研究水準の質的向上を図るとともに、高度の専門的知識・能力を有する研究者や高度専門職業人の育成等の役割を重視していくべきであるとしています。今後、各大学においても、本答申を踏まえて様々な改革が図られ、大学の多様化・個性化がますます進んでいくものと考えております。
  一方、国民の大学への進学希望は依然として高く、短大を含む大学進学率は既に現行制度発足当時の高等学校への進学率を超えておりますが、今後は18歳人口の減少も進むことから進学率は更に上昇し、遠からず50%を超えると予想されております。また、高等学校への進学率はおおむね97%に達しておりその教育は多様なものとなっておりますが、選択幅の拡大等により、教育の多様化が一層進むことになります。そして、大学にはこれまで以上に多様な能力、適性、履修歴等を有する学生が進学してくることになるものと考えられます。このため、今後は、大学は高校卒業者の半数以上が進学し、多様な学生が学ぶ教育機関であることを十分に認識して、高等学校及び大学の役割分担を明確にすることが必要であります。その上で、初等中等教育及び高等教育を見通した教育の在り方を考え、教育面での連携や大学入学者選抜の在り方等について見直しを行い、両者の円滑な接続を図ることが一層重要になるものと考えております。
  初等中等教育と高等教育との接続については、第14期の中央教育審議会以来、入学者選抜の在り方を中心とする審議をお願いしてきたところでありますが、以上のような観点から、先ほどお示ししたとおり、初等中等教育と高等教育との接続の改善について、改めて御審議をお願いする次第であります。
  次に、具体的な検討事項について御説明申し上げます。まず、高等学校及び大学の役割分担の明確化と両者の教育の連携についてであります。先ほど申し上げましたとおり、初等中等教育及び高等教育の改革が進展する中で、今後、高等学校及び大学の一層の多様化・個性化が進むと同時に、大学は高校卒業者の半数以上が進学する教育機関になることが見込まれております。したがって、両者の接続の改善を考えるに当たっては、まずこのらの変化を踏まえて、高等学校及び大学それぞれの役割分担を明確にすることが必要であります。その上で、両者の連携を勧めることについて、例えば、大学教育を受けるのに十分な能力と意欲を有する高等学校の生徒が大学レベルの教育に触れる機会を更に拡大する方策や、各大学がその求める学生像や教育内容等の情報を周知するための方策、また、高等学校における生徒の能力・適性等に応じた進路指導や学習指導の在り方、さらには、入学者の履修歴等の多様化に対応して入学後に大学教育の基礎を教える工夫等について御検討いただきたいと考えております。
  次に、高等学校と大学との接続を重要視した大学入学者選抜の改善についてであります。大学入学者選抜については、その在り方が高等学校における学習指導や生徒の学習態度に大きな影響を及ぼすばかりでなく、受験競争の過熱化は国民の幅広い関心事項となっております。このため第14期以降、本審議会において様々な御審議をいただき、過度の受験競争の緩和を図る観点から、選抜方法の多様化や評価尺度の多元化等の改善を行ってきたところであります。過度の受験競争の緩和を図ることは、完全学校週5日制を定着させるためにも重要であり、これらの取組は今後とも続けていく必要があると考えております。
同時に、高等学校及び大学の多様化・個性化が進み、また高等卒業者の半数以上が大学に進学するようになることから、今後は高等学校と大学それぞれの役割分担を踏まえて、高等学校までの学習の成果を適切に評価し、大学における学習に接続していくことが一層重要になると考えております。このため、まず、各大学の個性に応じた入学者選抜を行う観点から、各大学が多様な進学希望者の能力・適性、高等学校までの学習の成果等を適切に評価するための選抜方法の開発や、丁寧な入学者選抜を行うための体制の整備等について御検討いただきたいと考えます。また、大学入試センター試験については、高等学校と大学との接続を重視した観点から、その在り方等を含めた改善策について、御検討をお願いいます。なお、これらの検討を行うに際しては、諸外国の状況、例えば、入学者選抜と学生の大学間の流動性や授業料との関係等も考慮して御検討いただきたいと考えております。
  さらに、その他の関連する施策についてでありますが、大学及び高等学校の役割分担を明確にして接続の改善を図ることに伴い、小学校と中学校、中学校と高等学校の相互の接続の在り方についても検討が必要になると考えております。また、学校における望ましい職業観の育成や職業生活に結びついた教育内容等、学校教育と職業生活との接続にかかわる課題についても、御検討をいただきたいと考えております。
  21世紀の初等中等教育と高等教育の改革の方向は、ほぼこれまでの各審議会の答申で示されたものと考えますが、これらの改革は両者の接続を円滑なものとすることで、より一層効果的な推進を図ることができると考えております。会長、副会長をはじめ、委員の皆様におかれては、引き続きの御審議となり、誠に恐れ入りますが、以上のような趣旨を御理解いただき、何とぞ、十分な御審議を賜りますようお願い申し上げます。
  なお、これらの検討事項につきましては、多角的な視点からの検討が必要であり、また短い期間では容易に結論が得られない難しい課題であるかと思いますが、皆様におかれましては、誠に申しわけありませんが、およそ1年程度をめどにお取りまとめいただければ誠に幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

○根本会長    どうもありがとうございました。
  それでは、引き続きまして森田政務次官に御挨拶を承りたいと思います。

○森田文部政務次官    中央教育審議会の諸先生方におきましては、常日ごろから大変にお世話になっております。ありがとうございます。
  21世紀におきまして、子どもたちがたくましく、また心豊かに育ってもらいたいと願うものでございます。その上におきましても、初等中等教育、高等教育を通じて教育を効果的に進めていくために、高等学校と大学の役割の分担を明確にしていかなければならないと思います。今回は、初等中等教育と高等教育との接続の改善について御審議をお願いするところでございますが、特に国民は大学選抜について大変大きな関心を持っているところでございます。大変難題でございますが、ひとつ十分な御審議を賜りますようよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○  配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
  (事務局から説明)

○  それでは、本日は、初等中等教育と高等教育との接続の改善について、自由討議を行いたいと思いますが、事務局のほうでその参考となる資料を用意しておりますので、まずそれについて説明していただきたいと思います。
  (事務局から説明)

○  それでは、ただいまの説明を踏まえまして、初等中等教育と高等教育との接続の改善について、自由に御意見を賜りたいと思います。諮問の内容について御質問があれば、それについてもどうぞ御発言ください。
  なお、今後の審議の進め方及び審議会の公開に関する対処方針についてお諮りする時間が必要と思いますので、これから約30分ぐらいをめどに御意見を承りたいと思っております。

○  直接関係はないのだと理解しているんですけれども、高等学校と大学の接続の関係を考えることに関して、大学を出て就職をするところのことは、答申に書くかどうか別にしまして、全然考えなくてもよろしいのかなという気がすごくするわけです。つまり、一流ブランドの高等学校を出て、一流ブランドの大学を出て、一流ブランドの会社に入るといったようなことについては、既にそういうのは時代おくれなんだという話があるわけですけれども、その辺のところをよく考えておかないと、高等学校から大学の接続のところを考えてみても、何か十全ではないような感じがするわけです。非常に雑駁な意見で恐縮ですが、そんなことを感じました。

○根本会長    では、事務局どうぞ。

○事務局    大変重要な御指摘でして、今回、諮問文のところでは、「(3)その他の関連する施策」ということにしてありますが、先ほど大臣から諮問理由の御説明がありましたとおり、大学教育も含めまして、学校教育と職業生活との接続ということもあわせて、関連事項として御議論をしていただく予定にしております。

○  諮問の内容を拝見して、いよいよ難しいところへきたなという感じがいたします。結局、ここのところを解決しないと、日本社会のひずみが直らないのではないか。殊に「(2)高等学校と大学との接続を重視した大学入学者選抜の改善について」のところをどうするかという問題。大学入試の問題づくり等を私は直接やったわけではありませんけれども、アドミニストレーターとしていろいろ見ておりまして、高等学校でどういうことを勉強してきたかということが大学の先生にはほとんどおわかりになっていないということなんですね。それで教科書を頼りに問題を出すということで、従前言われてきたことですけれども、アーティキュレーションの取組をどんどんやっていく必要があろうという気がいたします。
  それから、一部の国会議員の方の中には、例えば調査書をやめてしまえというような議論があるんですが、私はそれはとんでもない話だということを文教委員会でも申し上げたんです。やはり高等学校で何をやってきて、大学では何をやるかということを、もっと世の中に向かってはっきりしていかないといけないのではないかという気がしております。いずれにしても、非常に難しいな、頭が痛いなという気がいたします。

○  先ほど御指摘のあったことに関連しまして、一つは大学卒業後のことも含めて、生涯学習社会の中の高等教育、大学教育、そして初等中等教育という観点から、接続の在り方を全体的に考えていくことが一つでございます。
  それから、先ほど来の説明を伺っていて、いろんな課題の指摘はかなり行われているんですね。そして、教育改革プログラムみたいに既に現実に中教審で出した方向に沿いながら取組が始められていると承知しております。だから、この取組の方向、進められている度合いについて、中教審として一定の評価をしながら。すなわち、教育改革プログラム等にあることが進められている現実を評価しながら、焦点的な課題は何か、そして、よく言われる優先順位をお互いにはっきりさせることが必要なのではないだろうか。
  関連してもう1点申し上げますと、やはり接続の問題にかかわって、御承知のように初等中等教育ということに関して言えば、教育課程審議会の答申にも出ておりましたように、評価の考え方をこの際改めて見直して、はっきりさせるべきだということが論じられているわけです。一方、大学審議会の答申にあらわれている学生の大学教育の履修についての評価ですね。これは「評価の厳格化」というようなことが挙げられておりますけれども、初等中等教育との接続という点からも、大学における学習結果の評価の観点はもう少し明らかにしていく必要があるのではないか、そんなことを感じました。

○  大学入試の問題は、諸外国も含め我が国もいろんな試行錯誤を重ねて、決定打を見出せないで今日にきている。その時々に時代の背景も違いますから、今日的なものとしてもまた議論しなければならんと思いますけれども、一方でいろんな問題の中で、入試ほど全国民的な課題になるといいますか、みんな自らの体験を持っておりますし、それから子どもも抱えておるという中で、100人いれば100人意見を持っている。そして、方法論だけでなくて、入試というものに対して背景となる理念自体も違うということを考えますと、大変難しい課題だろうと思います。そういう意味で、先ほど大臣が言われました、1年程度というのはかなり厳しいなという感じもいたしております。
  もう一つは、大学審議会との関係で、中教審との役割分担というか、すみ分けというのか、あるいは関連づけというのか、その辺はどんなふうに考えたらいいのかということを、今、思っておるところでございます。

○根本会長    事務局、大学審議会との関係はどうですか。

○事務局    大学審議会との関係は、正直申し上げまして、具体的にはこれから御相談をさせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、後ほどお諮りすることになろうと思いますが、専門委員の人選なり、あるいは双方で節目で連絡を密にとって、審議の状況を踏まえつつ、どこまでどっちがということも含めて、今後、検討させていただきたいと思っております。

○  いずれにしても密接にやりたいと思います。

○  大変難しい諮問をいただいたと受けとめております。しかしまた、非常に重要な諮問であると考えております。いろいろな考え方があると私も思いますけれども、とりあえず気がついたことを一つ二つ申し上げます。
  まず最初は、先ほどから御指摘になっております入学試験を厳しくするのか、内部試験の厳格化とどうかかわるかということで、たまたま私、内部の試験がかなり難しい大学がある  ―日本では珍しいなと思ったんですが  ―ということを知りましたので、近々のうちに調べに行こうと個人的にも思っております。
  もう一つは、諮問の中にも言葉が出ておりますが、「少子化」という問題が入学競争などにどのような影響を及ぼすか。そのほか、初等中等教育にもどのような影響を及ぼすかということで、この少子化問題に教育としてどう対応するかということを、もしも御議論いただけると大変幸いでございます。

○  大変大切な問題を諮問していただいたと思います。幾つか考えたいと思います。一つは、アドバンスト・プレースメントとリメディアル・エデュケーションとの相互乗り入れをどのようにしていくか。高等学校で大学の授業を取る。で、上で認める。逆に高等学校の授業を大学でやる。その相互乗り入れに現在のハイテクがどのように役立つかという観点から一つ考えさせていただきたいと思います。
  それから、高等学校の教育が多様化になる。大学も個性を輝かすというので多様化になる。多様化と多様化との上手なマッチングの最適解をどうして求めたらいいかということを議論したいと思っております。
  その中の一つとして、入試というのは非常に大事な問題であります。いずれどこかで御紹介できればと思いますが、昔、進学適性検査というのがございまして、進学適性検査を受けた人は今、65歳前後になっております。その進学適性検査で上位0.1%とかの最高の得点を取った人が、今、65歳でどうしているかということの追跡調査をいたしまして、何百人かをアイデンティファイして面接をしたりしているんですけれども、ちょっと語弊があるから難しいかもしれませんが、進学適性検査よりも大学入試試験のほうがどうも現在のポジションを予想する力が高いようなデータが出かかっております。またいずれもう少し細かく御紹介したいと思います。そういう点で、学力検査も大事だと思います。  今の新しい学力は「生きる力」ですので、「生きる力」を総合的にはかる学力検査を考えて、例えば大学入試センター試験に取り入れていただいて、それプラス、各大学がやる面接とか、調査書とか、いろんな評価で「生きる力」をはかって、大学に入学させるといいなと思っております。
  そういうことと関連して、大臣がいらっしゃるんですが、大臣の御説明の理由の中で、諸外国の状況のところで、大学間の流動性とか、授業料との関係というように特別に言及していらっしゃるんで、何かお考え等をお聞かせ賜ることができれば大変ありがたいと思っています。以上でございます。

○  大変難しい問題なんですが、少しずつ動いているという感じは率直にします。11月3日にある大学で第1回の理数コンクールの発表がございました。夏休み中にかなり多数の中・高生が受験して、非常におもしろい結果を出したということで、大学祭の期間の3日に表彰式をやりまして、たまたま私も時間があったのでお伺いして話を聞きましたが、非常におもしろかったです。大学と高等学校のそういう意味での接続、アーティキュレーションというのは実体化し始めているという感じを率直に持ちました。これをぜひ進めていくことが、この問題の解決にかなりつながっていく面があるという感じを一つ持っております。
  もう一つ、接続で、今、多様化と多様化のマッチングという話をされたんですが、これは高等学校と大学との関係もそうですけれども、実は大学入試の中身もトレードオフといんでしょうか、あちら立てればこちらが立たずというような内容があるんですね。御説明しなくてもおわかりいただけると思うんですけれども、こういう入試でないとまずいという大学と、その入試をやられたのでは困るという大学があるわけですね。その辺のところについて、最適の組み合わせを考えていくのか、あるいは分けてしまうのか、その辺の議論をすることが重要ではないかと考えています。物理学の法則で、最適の組み合わせを方程式で出すという理論があるんだそうですけれども、この問題についてそれができるのかどうか。非常に難しい問題ですが、これから1年間ですから、かなり精力的に進めていかなければいけないと思います。

○  大方は各委員から、既に、お話が出たのでございますが、高校生とか、大学生に接触しまして、年齢に比較し非常に幼稚、幼いという感じを受けることが頻繁にあります。それは社会にあるいは自分自身の将来に対して責任を持つ、あるいは自分の職業選択と申しますか、何を自分の生きざまにしてこれから世の中に出ていこうとしているのかという点について、確たる意見が本人の内部で何も確立されていない。就職する時点になってもまだ決まらない人物をかなり多く見受けます。必ずしもそれは特定の高校や大学に偏っているようなことはなく、決まった考えを持主の数が非常に少ないのです。
  これを外国の学生と比較いたしまして、教科に対する取組の度合という観点から見ますと、外国の学生ほうが大変熱心であるという印象を受けております。これは将来、自分が何をやろうとしているかという意識と関係するように思います。初等中等教育と高等教育との接続の問題には多々議論がありますが、一番重要なことは自立と申しますが、自分の将来を見詰める。何も一つの考えにこだわる必要はないわけですし、仮に考えが決まっておっても、何かの転機で新しい方向に転向してもよい訳けです。これは別の意味での「生きる力」だと思うのですが、具体的な形での評価あるいは援助と申しますか、自己認識と意欲を確実にさせる手助けが重要で、この立場での接続を十分考える必要がある。
  評価ということも非常に難しい複雑な要素を含んでくると思いますし、決して簡単に結論の出る問題でもないのではない。個性を尊重した形での理想像や豊かな将来展望につながる根拠となるのではないかと最近強く考えるようになっております。
  新しい学問や技術あるいは芸術の領域で、独創的な地位を築く人材を養成する考え方を強めていくとしますと、なおさらそのような発想でのシステム化が重要であって、輝ける多様な存在を大事にしていく。具体的な例を一つずつ積み上げていくということしかないのではないかという気がいたしております。

○  この問題は、大学そのものの中身がどう変わるかということとも深くかかわると思います。そこが変わらない限りは難しいかなという感じもするんですけれども、いずれにしろポイントのところにきたと思います。
  どうあるべきかとか、このように希求するというようなことはかなり出ておりますので、具体的に国際比較の資料、専門的な本当に参考になる資料をたくさん目にしながらシミュレーションをして、どこがプラスで、どこがマイナスであるか、海外の事情なども比較考案しながらやってみるということになるのではないかと思います。
  私の希望といたしましては、本来の人間の成長に合うような教育のシステムがきちんとできる。幼いときは十分遊び、そして中学校・高等学校と育っていって、大学で何で生きていくのか、そしてどのようなことで社会貢献できるかというような、本来の人間の姿に合うような改革、それからリカレントにつながるような改革であることを望みたいと思います。

○  それぞれ委員の方がおっしゃったので、重複するのを避けたいと思うんですけれども、確かに委員の皆さんがおっしゃるように、大変難しい問題だと思います。
  ただ、これは国民的な関心からいっても、絶対避けて通れない問題ですから、多面的に検討しなければならんと思うんですけれども、これまで中央教育審議会第一次答申、第二次答申で、大学入試も含めて高等学校入試等をそれなりに議論して、一定の提言をして、それが実施に移されている途上にある。それがその後どうなっているのか、我々はフォローする必要があるのではないか。
  ここで提言しても、実際問題として、私は高等教育自体については詳しくないんですけれども、都道府県の教育委員会とか市町村の教育委員会が、例えば中高一貫の問題は来年度から本格実施ですけれども、現状で聞いている限りは、一、二の都道府県が動きを積極的に見せていますが、それらも含めて、これだけ1点刻みの偏差値ではだめだということで、相当思い切った提言もしてきたわけですけれども、それを受けとめる側、保護者や子ども、それから特に教育委員会関係がどのように受けとめているのか。何が障害になって入試の改善、改革が進まないのかということを、具体的な事実をもって検証しながら議論することが必要ではないかという感じを一つは持っています。
  私も前の第二次答申の時に大学入試について大学入試センター試験を発展的に解消し、資格試験にすべきであるということを主張したんですけれども、一部資格試験的なものの要素を取り入れるという形で第二次答申はまとまったわけです。財団法人社会経済生産性本部が7月に出した、高等学校入試は原則として廃止する、大学入試は入り口での競争はあまり意味がないので、高等学校卒の資格を検定するという形の達成度テストみたいなものにするとかという提言が出て、最近、メディアが取り上げていますし、国民的にも、関心が高まり、それが実際にできるのかどうかを含めていろいろ議論があるようであります。本格的に大学入試の在り方について、中教審自体が第14期以降審議してきたものに照らして、あまり抽象的な議論をしてもどうかと思うので、そういうものを検証しながらいい方法を編み出すような議論を重視していくべきではないかというのが一つ。
  それから、大学の場合は、大学審議会「21世紀の大学像と今後の改革方策について」答申が出されているわけですけれども、高等学校以下については必ずしもこれまでの議論で、高等学校像とか、中学校像というのが示されていません。ただ、私も思うんですけれども、昭和23年に学校教育法ができて、ちょうど50年、半世紀たつわけです。大学と高等学校以下の接続をずうっと考えていくと、ある意味では50年たった今の学校制度、6・3・3・4というものが本当にいいのかどうかを含めて、特に中等教育が前期と後期に3年で分断されているという問題を含めて、学制改革ありきということで議論するわけではないと思うんですけれども、結果として、本当に今の制度でいいのかどうかまで、接続の問題を考えるには、当然、議論としてはそこまで発展する問題だと思います。ただ、1年ということと、それから今の国や地方の財政状況を考えると、そう簡単に結論を出せる問題ではないと思うんですけれども、そのくらい多面的に検討する必要があるのではないかと思います。
  それから、他の委員から少子化の問題について意見がありましたけれども、私も前に少子化の問題を取り上げて議論する必要があるということを申し上げました。それは教育の面から、18歳人口の減少、それから小学校・中学校も含めてですけれども、少子化の中で、学校の学習集団の問題や、授業方法、授業形態等も含めて、かなり変えていく必要がある、当然また変わらなければならないという問題もあると思うので、そこらについても、高等学校、中学校、小学校という議論の中で、具体的な事実に即して検討する必要があるのではないかという感じを持っています。
  専門委員の方が委嘱されてから、どういう審議方法かということになるんでしょうけれども、きょう諮問を受けた限りでそんな印象を持っているということを申し上げておきます。

○  今回受けました諮問は、直接的には高等学校と大学の役割の分担とか、高等学校と大学との連続性の問題とか、入試とか、そういうことなんですけれども、このような教育問題全体の中のある一部の問題を  ―これは非常に重要な問題ですが  ―考えるにしても、日本人全部が、子どもが生まれて0歳のときから大体二十歳前後ぐらいまでの間に、どういうプロセスを経て教育を行っているかという、世界じゅうの流れと我が国とを比較してみる必要が、どうしてもこの際必要だと思うんです。人間というのは、生まれてかなりの時間をかけて体と精神を成長させていく人間形成という側面を持っていて、それを手伝うのが幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学というそれぞれの教育段階だと思います。
  2番目には、その途中で、一方では教養とか、基礎知識を身につけていくという側面があって、これもまた幼稚園から大学までの大きな役割だと思います。
  3番目には、そのような教育を受け、いわゆる学校生活を送りながら、実は社会を見たり、人の人生や親子の人生を見たりしている中で、だんだんに世の中がわかってきて社会観というのができてきて、その中から自分の使命感が生まれて、最終的にはどこかの段階で人生の目標を決めていかなければいけないわけです。その目標の決め方が、社会の必要度に応じて多様性を持っていなければいけない。そこのところが明らかに日本の場合には金太郎あめ方式で、みんなが同じことを考えるように教育してきたということを改めない限り、きょうの御諮問の高等学校と大学云々というところも、実は解決しないんだと思います。
  もう一つ、大きな3番目として大事なことは、日本人全体として見て国際的劣位を持っていることがどうもはっきりしてきているような気がするんです。その劣位というのも、結局はみんなが同じような考えに凝り固まってしまって、多様性を失っているところにあるような気がするんです。
  以上の三つのことが小学校から大学の仕組みの中で問い直されないと、部分的に答えを出すことはできないのではないか。それに加えて、先ほど来高齢化社会の問題として出ている生涯教育というもう一つの全く新しい次元の教育に対するニーズにもこたえなければいけない。
  こういう構造で考えてみますと、今の日本の小学校と中学校は、99.9%公立の教育に任せる、高等学校になると、約5,500校のうちの1,300校ぐらいを私立に任せる、大学になると、605校のうちの444校が私立というこの構造をどうするのかということが問題にいます。明治5年に学制ができたときは、小学校1万2,900校のうちの4,900校が私立だった。中学校は全国で264ですか、8大学区のうちの33中学校区ですから、たぶん264だと思いますが、最低限度それは県立中学校にするけれども、それ以外は様々な形態の中学校を用意しよう。実際にでき上がったのは、明治11年ぐらいになると600何十校ですから、そのうちの200数校は公立、残りが私学という構造であったわけです。
  そのようなものを振り返ってみると、これから新しい時代に要請されるいろんな新しいもの、先ほど来皆様のお話の中に出てくる多様性とか、多層な構造を持っているものという中で、これをどういう構造にすればやりやすいかというのがあると思います。
  それから、いつも私たちは言葉では「中・高」という言葉を使うんですが、子どもたちを見ていると、中・高一まとめで物を考えていると思うんです。ところが、学校制度は中学校でストンと切れていまして、中学校までは義務教育、そして高等学校になると、いろんな選択の余地が突然出てきて、子どもたちは振り回されている。この状態を最初からもう一遍考え直さないと、高等学校と大学の連結のところを考えるときにきっとうまくいかないのではないかと思います。
  それから、全若者の90数%が高等学校に進んでいますが、大学のところで、多くても50%が大学進学ということを考えるとき、中学校の終わりか高等学校段階で人生の目標がかなりの程度決まってきて、それなりの道が用意されている。必ずしも学校教育法でいう第1条に該当しない学校もあっていいのではないか。そうすると、非大学といいますか、大学の格付けは持たないけれども、みんなが自信を持って通うことのできるいろんな勉学の機会が用意されていて、これもまた接続の一部に組み込んで考えないと、今回、答えがうまく出てこないのではないかという感じを持っています。中央教育審議会でありますので、背景としてはそこまで一応考えた上で、諮問にお答えするというほうが健全なのではないかと思います。

○根本会長    ありがとうございました。
  これで皆さんの御意見を承ったわけでございますすけれども、私、最後に一言申し上げたいと思うんでございますが、皆さんの御意見を承って感じたことは、小学校、中学校、高等学校、大学という下からの流れ、そしてそれが社会につながって、これはまた企業の問題にもなりますけれども、今、学歴社会ということが言われておりますが、そういった下から上に向かっての方向と、今度は逆に社会あるいは国家、それから大学、高等学校、中学校、小学校という下に向かっての流れと双方向あると思うんです。この審議をやる過程では、やはり双方向、二つの流れを頭に入れながら考えていく必要があるのかなという印象を一つ持ちました。
  結局、先ほど言われましたけれども、本来の人間の成長、人間は何のために生きているのか、いかにして社会に貢献できるか、そういった視点といいますか、我々が追求すべき国家像といいますか、あるいは価値観といいますか、そういったようなものについて、大学審議会や教育課程審議会もいろいろお話はされておりますけれども、本審議会においてもどういう価値を追求するのかということをもうちょっと論議したほうがよろしいのではないか。それに向かって、あるべき大学、高等学校、中学校、小学校像を明らかにし、そういう論議の中で、大学と高等学校との間の接続はどうなるかというような、やや大ぶろしきではございますけれども、1回そういう論議が必要ではないかということを2番目に思いました。
  3番目には、教育というものは人格形成という基本的な問題があるわけでございまして、それに基礎研究の問題、それからスキルのアップというような、おおむね三つの課題があると思うんですが、それをめぐって先ほど来もお話のございました教養教育と専門教育、この二つのものをいかに有機的に連携させていくかという視点で、高等学校と大学との接続について考えてみる必要があるのかなと、皆さんのお話を伺って考えた次第でございます。
  最後になりますけれども、大臣から何か一言ございましたら。

○有馬文部大臣    発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。なるべく言わないようにはしているんです。あまり独断的なことを申し上げてもいけませんので、控えておりますけれども、先ほど御質問もありましたし、なぜこのようなことをお願いしたかということをちょっと述べさせていただきます。
  試験ということに限ってみても、先程、言われたように様々な意見がある。教育そのものに対して様々な意見がある。その中で、極論をいたします。幾つかの大学の入試が非常に難しいというようなことが、本当に初等中等教育をゆがめているのかどうか。極端に質問いたしますとね。もしゆがめているんだということがはっきりすれば、その幾つかの大学の入学試験を根本的に直していかなければいけない。一体、難しい大学と言われているようなところの影響が全体に及んでいるのか、このようなことが見えるかどうか。要するに、世の中で様々なことを言われているわけですね。
  そこで、外国との比較をあえてあそこにえらい細かく具体的に書かせていただいたか。あそこのところだけが突出して具体的だと思います。それはですね、これは委員の方の御質問であるんですが、例えば最近話題になっている財団法人社会生産性本部の提案に関連するわけです。あるいは、大学審議会のほうから出てきた答申に対して考えることがあるものですから、あえて述べたわけです。
  何かと申しますと、本当に入り口をやさしくして、出るのを難しくできるのだろうか。それがもし大学のいい教育の目安になるのであれば、アメリカでいうと一番いい学校はコミュニティ・カレッジということになるわけです。アメリカのコミュニティ・カレッジは、入った人の10%しか卒業できない。それに対して、ハーバード、プリンストン  ―この前、プリンストンのシャピロー学長が見えてお聞きしましたけれども、やはり98%近く卒業する。ですから、大学審議会で出口を難しくせよということは、4年で卒業させないで、極端に言えば8年でもいいよというようなことを考えれば、これは私は納得するわけですけれども、本当に外に出すまで考えていくのかどうか。外へ出すということを、私は非常にヘジテートし、国際比較をあえてお聞きしているのは、フランスのバカロレアだとか、ドイツの方式のアビトゥーアは、授業料を取っていないんですね。入学金はもちろん取っていない。だから、だれでも入ってきて、落第しても親もあんまり気にしない、何にも経済的な負担がないわけです。それに対して日本のように、国立でも今30万弱入学金を取り、そしてまた授業料を毎年50万近く取っていて、本当にドロップアウトさせていいんですか、外へ追い出していいんですかということが非常に気になりまして、あえて外国との比較をビシッとやっていただきたいと申し上げているわけです。そのとき、ヨーロッパの先進諸国及びアメリカとだいぶ違いますので、ヨーロッパ諸国のやり方、アメリカのやり方をピシッと見た上で、日本はどれが一番いいのであるかを御検討いただくというこになります。
  それから、大学によって、先ほどもお話がありましたけれども、ぜひ厳しく採りたいという大学もあるし、大勢採ってゆっくり教えたいという大学もあると思います。これ全体に対しておっかぶせるような試験の方策はないと思うんです。ですから、様々な方策を考えないといけない。何となくマスコミ、世論等を見ていますと、何かすばらしいマジックがあって、何でもスパッと解けるそういうものを発明しない限り、中教審、大学審議会はだめだ、文部省はだめだという世の中の感じがあるのですが、それに対してお答えいただきたいと思うんです。そんな何にでも効く薬はないんだという現実を、少し諸外国とお比べいただいたりしながら分析いただければ幸いだと思っています。
  もちろん、そういうことを探っていきますと、今回の御答申の中でそこまでお願いいたしませんけれども、日本の現在の学制に対して将来どうあるべきであるとか、今、会長もおっしゃられた国家像、価値観との関連とか、様々なことが出てまいると思いますし、少子化への対策なども出てまいると思いますが、まずは私のぜひお願いいたしたいことは、国民がみんな心配をして、何となく大学の入学試験が改革されない限りにおいて、初等中等教育もうまくいかないんだというような考えに対して、いや、本当はそうなのではないんだという安心感を与えていただければと思っております。それが一つ。
  もう一つ、私が大変気にしていることは、一方で学術立国、科学技術立国、文化立国等々申します。それでは、学術立国を本当に実現するためには、相当主導権を持ってどんどん進んでいく人材がいなければいけない。科学技術立国を本当に実現しようと思えば、ノーベル賞をもらい、あるいは大発明をするような人材を育てなければいけない。その上で、入学試験は本当に邪魔になっているのか、それともそれをよくしているのか、その辺についてもお考えいただきたいと思うわけです。独創性というのと入学試験とあんまり関係ないと思いますけれども、そういうものとの関連は一体どうなっているのか。さんざん御議論いただいてまいりましたけれども、非常にたくさんの問題がこのところ極めて具体的に問いただされておりますので、そういう点、理念論もあると思いますけれども、少し具体的に御検討賜れれば幸いでございます。
  こんな難しい問題をおよそ1年間でなんていうのは誠にもって申しわけないんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

○根本会長    どうもありがとうございました。
  少子化問題につきまして、「少子化への対応を考える有識者会議」というのが総理の下にあるようでございますが、先ほど来のお話を受けまして、教育の観点からこの問題を審議することにいたしたいと思いますが、皆様、よろしゅうございますか。

○根本会長    それでは、今後の審議の進め方についてお諮りいたします。
  まず、さきの御論議でもありましたように、本日諮問を受けました「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」に加えまして、「少子化に関連する問題」についても審議を行うことといたします。そこで、審議をより深め、幅広い観点から審議を行うために、それぞれの審議事項について、従来どおり小委員会を設置するということにいたします。この小委員会に私ども委員が分属するといいますか、分かれて参加することにすると同時に、新たに専門委員を任命することとしたいと考えております。よろしゅうございましょうか。

○根本会長    それでは、そのように取り計らせていただきます。
  次に、小委員会への委員の分属及び専門委員の任命についてであります。小委員会への委員の分属については、私のほうで決めさせていただきたいと思いますが、特に御自分でどちらかの小委員会に分属したいという御希望のある方はお申し出いただきたいと思いますが、いかがでございますか。お任せいただけますか。
  それでは、私のほうに御一任いただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。
  それから、専門委員の任命についてでございますが、これについては、審議会の運営規則におきまして、私の意見を聞いて、大臣が任命されるということになっておりますので、私と事務局に御一任いただければと思います。よろしゅうございますか。

○根本会長    それでは、そのように取り進めさせていただきます。
  それから、小委員会の運営の在り方でございますが、各小委員会開催の案内通知は、原則として当該小委員会に分属する委員に対してのみ行うということにしたいと思います。従来もそうでございましたが、このような進め方でよろしゅうございますか。

○根本会長    次に、当面の日程についてお諮りいたします。今後、当審議会といたしましては二つの小委員会を設置し、審議を進めることになりますが、その日程については、専門委員も含めて事務局に速やかに調整をお願いすることとし、後ほど御連絡申し上げたいと思っております。
  次に、審議会の公開の進め方についてお諮りいたしたいと思います。「審議会の公開に関する対処方針」というものがございます。議事録による公開を行っておりますが、会議そのものは非公開とするなどといった方針により運営されてきたところでございます。
  今回の審議につきましても、大学入学者選抜の在り方などというものは、審議途中の未確定段階で何か情報が漏れまして、受験生など関係者に混乱を及ぼすというようなこともございますし、また個別の高等学校や大学の名前を提示しつつ論議を進めるといったような、かなりデリケートな問題もございます。また、少子化問題につきましても、それぞれ個人の方の価値観や家族観といったようなプライバシーなどに深くかかわる部分も多くございますので、自由闊達な論議をお願いする意味から、「接続」と同様に「少子化」の問題を含めまして、議事録は公開いたしますけれども、会議自体につきまして公開することは取りやめたいと思っております。この方針でよろしゅうございますか。

○根本会長    それでは、そういう方向でまいります。
  以上をもちまして、本日の会議は終了いたします。
  次回の日程については、後ほど文書にて御連絡いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。   どうも長い間ありが
とうございました。

   

(大臣官房政策課)

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