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中央教育審議会

1996/10
中央教育審議会第200回総会 (議事要旨) 

中央教育審議会第200回総会議事要旨


日 時 平成8年10月14日(月)午後1時〜3時

場 所 霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」

出席者

(委 員)    有馬,市川,薄田,川口,河野,坂元,田村,土田 の各委員
(専門委員) [第1小委員会] 油井,佐々木,薩日内,里中,那須原,蓮見,増井,牟田
   [第2小委員会] 河田,児島,シェパード,中,山極 の各専門委員
(文部省側)    井上事務次官,佐藤官房長,草原生涯学習局長, 辻村初等中等教育局長,小林教育助成局長,雨宮高等教育局長,   中西審議官(学術国際局担当),板橋審議官(体育局担当), 富岡総務審議官,鴫野政策課長 その他関係官




 

(意見発表者)1  岩切正憲氏(宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校長)
2  四方義啓氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科教授)

議事等
1.ヒアリング
「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」及び「社会の変化に対応する教育の在り方」についてヒアリングが行われた。その概要は次のとおり(○:委員・専門委員,△:意見発表者)。

ア  岩切正憲氏
  岩切氏から別紙1のとおり意見発表があった後,岩切氏と次のような質疑応答があった。

○  一般の中学校と異なり,県立という設置形態を採っているが,教職員の人事交流はどのように行っているのか。

△  県下一円の人事として行っており,他の県立高等学校や市町村立の中学校と交流している。

○  全寮制を採っているが,家庭が負担する教育費はどのようになっているのか。

△  中学校では授業料はないが,高等学校については,他の高等学校と同じ程度の授業料やPTA会費が徴収される。また,それ以外に,中学校・高等学校ともに月額3万円の寮費を徴収している。

○  中学校段階での入学者の応募や選抜の状況はどのようになっているのか。また,教育活動を展開する上で,各学年1クラスであることによる特徴は何かあるか。

△  中学校段階では,小学校の調査書,面接,集団討議,実技によって選抜し,その上で抽選を行っている。実技については,グループ活動等により,全寮制の学校で求められる協調性などを評価している。これまでのところ,40名の定員に対して,10倍近い  受験者の応募がある。なお,高等学校段階では,現在までは,県立中学校からの進学がなかった関係上,県内の他の普通科高等学校と同様に,学力検査,推薦,面接により選抜を行っている。
    学年1クラスであることにより,ゼミのような授業を行ったり,討論や調べものをさせたりなど,きめ細かい授業ができる。

○  今の子供に欠けているとされる,体験学習や異学年交流が行われていることは大変素晴らしい。中高一貫の6年間は間延びするという指摘もあるが,ゆとりがある分,色々なことが吸収できると思う。入学を志願する子供たちは,都会部・農村部それぞれどのような割合か。

△  子供たちは,おおよそ県内全域から来ている。

○  中学校における習熟度別学習や,選択教科の実施状況はどのようになっているのか。

△  習熟度別学習は,高等学校のみで英語や数学を中心に実施している。選択教科は,体験学習に充てている。

○  教職員の給与負担はどのようになっているのか。

△  中学校籍の教員について国庫負担はなく,全額県費負担である。

○  6年間の一貫教育では,生徒の間で相当の学力差が生じる心配もあろう。そうした場合も含め,中学校を修了して他の高等学校へ進学するという道についてはどう考えるか。
  また,大学入試についてはどのように考えるか。

△  本質的には本人の希望次第であるが,学校としては,6年間の一貫教育を目指しており,中学校から他の高等学校へ進学する子供が出ないような魅力ある学校をつくっていきたい。また,6年間の一貫教育の下で,生徒は自分の好きなことを見つけ,大学へ進学する目的意識を持つようになっているので,大学側もやる気のある学生を採ろうという方向になればいいと思う。

○  芸術やスポーツ等の特定分野だけでなく,普通科について中高一貫教育を行うことが好ましいと考えるか。

△  子供の個性に応じた選択の機会が広がればいいと思う。

イ  四方義啓氏
  四方氏から別紙2のとおり意見発表があった後,四方氏と次のような質疑応答があった。

○  現在行われている数学の分野以外に対象を広げて,高校生に対する教育機会を提供する考えはあるのか。

△  名古屋大学の多元数理科学研究科では,数学の専門家に加えて物理,生物,医学,経済学などの専門家から構成されており,例えば物理について,そうした計画も検討している。また,数学自体が,様々なサイエンスをつなぐ横糸のような存在であり,数学の分野でやる意義は大きいと考える。

○  現在は高校生に焦点をあてて事業を実施しているが,更に幅を広げ,定着させていくためにはどうすればいいと考えているか。

△  今の子供は,学問に対する動機づけが欠けており,学校の中でそれを見つけられずに悩んでいる。それを何とかしてやるのが,我々に与えられた責務であると思う。これからは知識を記憶する時代から,課題を発見し,解決することが求められる。

○  数学コンクールの問題は,理数系の基礎的な総合学力を評価する問題として適切だと思うが,現在の大学入試の問題をどう思うか。

△  日本の大学入試の問題は,やや技術的になりすぎた面もある。

○  パイロット事業における数学教育の内容は,現在の数学のカリキュラムに代わり得る可能性を持っていると思うか。

△  パイロット事業で取り上げられているような数学が,これからの未来型の数学ではないかと思う。


2.次回開催日
第201回総会は,11月15日に開催し,「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」及び「社会の変化に対応する教育の在り方」について自由討議を行うこととなった。


(注)別紙1、2は省略してあります。

  
  

(文部省大臣官房政策課)
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