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中央教育審議会

1997/3
中央教育審議会第1小委員会(第22回) (議事録) 

                     中央教育審議会  第1小委員会(第22回)
                                議    事    録


              平成9年3月14日(金)13:00〜15:40
                  虎ノ門パストラル  新館6F  橘

      1  開    会
      2  議    題
        「学校間の接続の改善」について
      3  閉    会

      出  席  者

        委  員
            河野座長                        草原生涯学習局長
            有馬会長                        辻村初等中等教育局長
            市川委員                        工藤審議官(教育助成局担当)
            薄田委員                        早田大学課長
            江崎委員                        富岡総務審議官
            木村委員                        その他関係官
            國分委員
            小林委員
            坂元委員
            高木委員
            田村委員
            土田委員
            永井委員

        専門委員
            油井専門委員
            薩日内専門委員
            里中専門委員
            末吉専門委員
            蓮見専門委員
            増井専門委員
            牟田専門委員
            中  専門委員
            山極専門委員



                                                      
○  それでは,議事に入らせていただきます。
  本日は,「大学・高等学校の入学者選抜の改善」について,前々回,2月5日,第20回の討議に続いて御議論をいただきます。本日は,既にお話をしましたように,前々回での議論を踏まえまして,前々回お出ししました「検討課題のメモ」を,いただいた御意見をもとにさらに具体化して,文章化しました「素案」をお配りしてあります。何しろ,この大学・高校入試改善の問題というのは,申し上げるまでもなく,中教審の第一次答申を受けて,第二次答申に向けて[生きる力]と[ゆとり]を実現するために,必ず本格的に探求していって,やりますというふうに,いわば公約してあったものですから,その気負いもございました。そして,皆様方で御議論いただいたことから全体的にこの問題をとらえ,いただいた貴重な御意見はなるべく盛り込みたいということがあったものですから,大変長いものになってしまいました。
  一番初めにつけておきました目次的なものをごらんいただければわかりますように,これが全体の一覧でございます。教育内容の厳選ということを主張している中教審ですから,これの明確化,簡潔化,焦点化に向けては,これからの御審議を経る中で努めていきたいと思います。
  なお,きょうの「素案」では,「大学入学者選抜の現状とこれまでの様々な改善努力」,それから「高等学校入学者選抜の現状とこれまでの様々な改善の努力」,そういったところが空白になっておりますが,これについては,今後,お示ししたいと思います。
  それから,大学入学者選抜の改善に関連して,「受験機会の拡大をどのように進めていくか」というところで,「4月入学を基本とする一方で,国際化という観点とともに,受験機会の拡大という観点から,一般の学生を対象とした6〜7月選抜,9月入学についてどう考えるか」というところが囲みになっております。この件については,本日,文章化して出してございません。受験機会の拡大ということについて,これまでの御議論の中で,4月入学を基本としながらも,その一方で9月入学を行うことに賛成だという御意見を,何人かの委員の方々からもいただいておりますが,まだこの点について具体的に詰めた議論をしておりませんので,これについては文章化をいたしておりません。
  次に「ゆったりとした入試日程の確保についてどう考えるか」,ここのところも四角で囲んでございます。「例えば,入学者選抜の実施時期の終期を繰り下げ,4月まで行えるようにすることについてどう考えるか」。ここのところについても,委員の方々の中から,これまでの御議論の中で御提案もいただいておりますが,まだ具体的な詰めた論議を行っておりませんので,きょうの御議論等を経て,文章化して盛り込んでいくという方向で考えさせていただきたいと思います。
  この二つの点については,きょう,そして次回といろいろ御議論をいただきながら,次回には文章化したものをお示しして,御議論をいただきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
  まず,きょうお示ししました「素案」の全体について,いろいろ御議論をいただきたいと思いますが,きょういただいた御意見をもとに,さらに修正,あるいは整理,簡潔化ということも考えながら,次回にもう一度この件について御検討いただきますので,それを前もって御了承いただいておきたいと思います。
  ここで,どの点からでも,どなたからでもどうぞと申し上げるべきところですが,次回に今申しましたようなことを文章化して出したいということがございますので,今申し上げました二つの点等から御議論をいただければ大変ありがたいと思います。どうぞひとつよろしくお願いいたします。

○  それでは,審議に協力するために,空欄のところから言わせていただきます。大学入学者あるいは高校入学者選抜の現状というところで,第2小委員会のほうのドラフトで「受験エリート」という言葉が使われています。その「受験エリート」というのは何かといいますと,入学試験の問題に対して高い点を取る人です。これは学力があればいいわけですが,高い点の人が本当に物を考える力がある人かどうかということが現在の入学試験の問題点であると思っております。
  次に,4月入学を基本とするけれども,同時に9月入学についてどう考えるか,という点です。これはたしか臨教審でしたか,9月入学を提案していたわけですが,日本の予算年度とか,その他の事情で,9月を新学期とすることがどうも現在困難なようで,いろいろの反対が出て,現在行われていないと思っております。
  それと同時に,全国9月入学が無理であっても,これはある程度推進していいんではないか。今現在,ちょうど終わったところあたりだと思いますが,この入学試験期とかなり違った試験をするならば,むしろ別の時期にやったほうがよい。特にここで何回か触れられております丁寧な入試をやるには,考えようによっては,夏休みの初め,あるいは終わりを使って,じっくり志願者を検討するということが可能ではないか。ただし,そうなると大学あるいは高等学校の先生方はまたまた休みがつぶれて,負担増ということになるので,抵抗があろうかと思いますけれども,そういう道が一つ,機会の拡大化・多様化というところで,違った基準での選抜が,多様なニーズにこたえる学校の在り方としてあり得るのではないか。
  ただし,それは全国一斉に9月に必ず全部やるということで強制するわけにもいきませんので,特に大学の場合は,そういう機会の拡大をしてほしいと私は考えております。
  次に,これは私が述べたことが多少原因になっていると思われるんですが,私は1日で1万人以上の答案を採点する入学試験は問題ではないかと申しました。しかし,そうなりますと,例えば大型の大学で六つぐらい学部があるところは,連日入試をやって,試験日の1週間後に連日発表していくことが不可能になるわけですが,これを例えば3日でいいとは決して言いませんが,1日採点よりは3日で採点できるような問題を出してほしい。そうすると,6日で入試を終える大学では3週間かかってしまうという事態が起こるわけで,どうしても入試時期が長くなってしまいます。それがために,4月にどうしても食い込んでしまうということが起こります。
  ただ,高等学校の教育を,そのために縮めるということは私は反対です。つまり,前のほうにずれ込まないで,後ろにずれ込むよりしょうがない。現在,高等学校の3年生というのは,はっきり申しまして,大学受験で既に3学期は相当荒らされておりますから,これ以上荒らされたのでは大変だと思います。大学側も,荒らされるのは困るとおっしゃるかもしれませんが,4年の中で2週間ぐらいはおくれても何とかなるんではないか。
  特に教えている経験から申しますと,大学は,4月の10日か15日ごろから具体的に授業を始めますが,ちょっと教えるとすぐゴールデンウイークの連休になってしまうんです。ですから,5月から始めるくらいの覚悟で,少しずらしてはどうか。これはいろいろ法的な問題も起こって,文部省の方にも検討していただきたいんですけれども,やはりそのくらいのことを考えないと,じっくり入試の採点ができない。
  国立の場合は,私は少なくとも採点に1週間ないし10日かけておりますから,文章を書かせたり,ゆっくり採点できるような問題を出せますし,数学の場合は,結果が合っているかどうかは二の次と言うと語弊がありますが,どこまで考えてきたかということで採点をしております。これをやらないと,高点者と本当に適性のある人の間に乖離ができてしまう。
  最後に,これは中学校,高校のことに詳しい方がおられますから,その辺を伺いたいわけなんですが,これを読みますと,どちらかというと入試を軽くしようという考えなんですけれども,それは私,原則としては大変賛成なんですが,一方で第2小委員会のほうでは,特異の才能のある人は1年早く大学へ入れる,特異の才能のほうを扱っているわけです。同時に,入試の教科なりをあんまり減らしますと,入試の教科でない高校の授業が空洞化,形骸化してしまう。私が教えているフランス語なんかは,入試でやる人は頑張るわけですけれども,入試は英語でいこうという人は,3年になるとどんどんやめてしまいます。3年のときに「やめます」と言われると,教えているほうとしても甚だ気勢が上がらない。恐らくいろいろな科目でそういう先生方がおられると思うので,その辺はどうなっているのかという気がします。一方では特異の才を認め,個性化を尊重するわけですけれども,同時に中学までは義務教育でありますから,選択の個性,多様化は認めつつも,やっぱり日本の国民として,世界の市民として知っておいたほうがいいよということはすべて,しっかり勉強させたほうがいいんじゃないか。
  それから,スポーツの特異の才の場合は,もうすでにやっているような気がいたします。少なくとも大学レベルでは,有名な選手というのは,スポーツによって入っている人がいるような気がいたします。どこの誰とは申せませんが。高校野球なんかも,はっきりいるわけです。そうでなければ,あんなに特定の高校が強いわけがない。ですから,あんまりスポーツのことを強調するのは,賛成でない。とりわけスポーツ団体の意見を聞くというのは,私はあまり賛成でないです。

○  ただいまの御意見に,私,全く同感でございます。
  高等学校の入試から科目数を減らすことも検討してはどうかという趣旨の記述,公立学校は5教科,私立は3教科やっているが,高等学校もいろんな方法を考えてみたらどうだという趣旨の記述がございますが,公立の学校の例しか実際には体験はしてないんですけれども,その経験からしましても,高校入試をいわゆる「ア・ラ・カルト方式」といいますか,特定の科目だけにするという方法は,私は原則としてやめるべきであると考えておりますので,ここのところの記述は改めていただければありがたいと思います。
  それから,大学入試の時期の問題でございますけれども,先ほど,高等学校の3学期は全く荒らされているというお話がありましたが,3学期だけではなくて,2学期も荒らされているんです。3年の2学期は,実際にあまり落ちついて勉強できない。最近,ようやく推薦入試は11月以降というふうに決まりましたので,少しは落ちつきが出てきたんですけれども,私の気持ちとしては,年内の大学の入学者選抜はやめてほしい。推薦を含めてやめてほしいと考えているわけです。年が明けてから,すなわち,少なくとも高等学校の2学期の学習状況をしっかり踏まえた上で選抜をやってほしい。現在は,高等学校の場合ですと,大学入試の調査書作成の資料は1学期までで,2学期のものについてはほとんど盛り込むことができない高校が多いんです。しかし,年明けからやって,大学側が丁寧な選抜をやるということになりますと,年度内に仕上げることは,私立大学の試験日の調整(棲み分け)のことを考えますと,物理的に無理かと思います。財政上のことはよくわかりませんけれども,4月下旬ぐらいまでずれ込んでもいいんではないかと私は思っております。
  それから,9月入試の件ですけれども,これは全国の大学が一斉に9月入学を半分ぐらい取り入れることはどうかと思いますけれども,真剣に検討していただいて,もう少し導入してほしいと思うわけです。と申しますのは,高等学校の生徒の活動状況を見ていますと,いわゆる生徒会とか,部活,クラブ等の活動は,一般的に2年生までで引退するという状況があるんです。3年生でそういうことをやっていると,とても卒業と同時に大学への進路決定はできないということですから,生徒会長は大体2年生,それから部活動の部長も大体2年生ということになっているわけです。もう少しゆとりを持って高校生活を送るためには,3月いっぱいぐらいまでいろいろな活動をやっても,大学への進路が見えてくる。そういう子供たちのためにも,9月入学があってもいいのではないかと思うわけで,「受験機会の拡大という観点から」とありますが,「高校生活にゆとりを持たせるという観点から」という文言も加えてよろしいのではないかと思っております。
  それから,センター試験と大学入試の関連についてでございますが,今までも御意見が出ておったわけですけれども,センター試験というのは,高等学校段階で習得すべき基礎学力の確認をするという一つの役割があると思います。それと同時に,もう一つは,大学側が選抜する。大学で学ぶための基礎学力がついているかどうかを確認する,いわゆる選抜する。そういう二つの意味がセンター試験にはあるのではないかと思うわけです。
  だとするならば,私は,センター試験は原則6教科6科目であるべきだろうと思っているんです。そのかわり,個別試験は,また同じような科目数をやるんでは困るわけでして,それぞれの大学の学部・学科の特色に適合した受験生を選ぶといいますか,その個性・特質を見定めるために,面接とか,論文を主力にして,仮にペーパーテストをやる場合でも,その学部・学科に極めて関係の深い教科・科目1科目あるいは2科目ぐらいに限定すべきだろうと思います。
  「影響力のある大学」という書き方で書いてありますけれども,いわゆる有名大学では,個別試験の科目数が非常に多いんです。したがいまして,特に影響力のある大学  ―委員の先生方が御卒業された大学などは,特に1科目に限定していただくと,随分状況が変わってくるのではないかと思っております。
  あと高等学校のところでもちょっと気になったところがあるんですが,それはまた次の機会にということで,以上です。

○  9月入学と,それから4月まで入試をやるということについて,積極論が出ました。
私も実は迷っておるんですが,必ずしもいいことばかりあるんじゃないだろうと思います。
  9月入学の問題ですけれども,これをやった場合に,修業年限との関係で,卒業の時期をどうするか。それは同時に,現実の問題として就職時期との関連もあるだろうということを考えるのが一つ。それから,いわゆる有力大学がやれば,もう1回ここで過熱した試験が,浪人組と不本意入学組が殺到して,相当な問題が起こりやせぬか。それから,表現は適当ではありませんが,有名でない大学がやれば,あまり見向きもしないというようなことも考慮に入れる必要があるだろうということでございます。
  もう一つ,入試が4月まで行われるようにすることというのは,賛成の御意見もありましたが,大学人の立場からどういうふうに考えるか。現実にそうすると,5月の連休明けから大学が始まるということになるわけで,入学式なんかをやればもっと遅くなってしまうわけで,その辺を大学人がどう考えるかという問題があるだろう。入試の問題というのは,大学人がその気にならなければどうにもならないわけですから,その点はどうかということ。丁寧にということであるならば,現在だって丁寧にやれるはずなんですね。仮に延ばしたとしても,一部私学のように短期間にやらざるを得ないという実態があれば,4月に入って短期間にやるということになりはしないだろうかという気がいたしますんで,その辺の効果ということも考えてみる必要がありはせぬか。これは,だからどっちがいいのかというのは,正直言ってわかりませんが,デメリットの点,あるいは効果の点もあるんじゃないかと思います。
  それから,全体の問題でございますが,あまりに膨大なので,どういうふうに言ったらいいかわからないんですけれども,トーンとして,一つは,一部の有力大学とか,影響力のある大学とかというのをかなりやっつけているわけですね,印象として。前にも申しましたように,中教審で幾ら一つの結論を得ても,実施するのは個別の大学ですので,やはり大学を勇気づけるようなトーンとしてやらないと,「おれたちこんなに一生懸命やってるのにボロクソか」と。一生懸命やっているんだろうと思うので,そこのところをさらに助長するというか,努力を多とする一方,もっと進めてくださいよというトーンにする必要があるんじゃないかと思います。
  特にここは,私もそうでございますけれども,高校以下の教育を[ゆとり]ある,そして[生きる力]をつけるという観点から入試を取り込んでおりますが,会長以下,大学人もおられますけれども,大学人サイドとしてどう見るかということも,もう少し考える必要があるのかなと思います。
  それから,バラバラで恐縮でございますが,どうも全体のトーンとして,学力を身につけているのが悪い人間のような,まあ,そこまでは言ってませんけれども,いや,ボランティア活動が大事だ,それも大事ですし,いろんな社会経験も大事だ,それも大事でございますし,だからといって努力した者が軽視されるというようなことであっては,基本のところが失われてしまうように思います。「学力検査に偏った」ということ,あるいは「中・高のハードルを低くする」とかということで,あんまり努力しないほうがいいよというふうになっては,これまた弊害が生じやせぬかと思います。
  最後に,前にも申したんですが,私大の入試をもう少し考えないといかんのではないか。国公の場合には,私の知識が十分でないかもしれませんが,いろんなことをやっている。特に2次試験ではいろんなことをやって工夫しているわけです。しかし,私大のほうは,前にも申しましたように,2科目か3科目のものをマルバツ式でもって短期間にやっているということでございますので,私学について,若干ためらいが皆さんあるわけでございますが,今の実態をあえて申せば,建学の精神に基づいた特色ある教育をやる,そういう人材を集めるというのが理念ですけれども,じゃ,そのための入試になっているか。どこの大学でも同じようにやっているんで,そういう人材を集めるための入試をやっているとはちょっと……。どういう教育を施しているかとまでは言いませんけれども,少なくとも入試ではそういうことがあるんじゃないだろうかという気がいたします。やはり私学の自主性というのは,基本的にはノー・サポート,ノー・コントロールという前提ででき上がった理念でございます。今日,財政的な事情から私学助成も伸び悩んでいるとは思いますけれども,やはり相当の公費が入っているわけでございますので,それなりの責任も果たしていただいたらどうだろうかと思います。

○  今,大学人が大学入試をどう考えるかということの御発言がございましたので,それについて実情を御報告致しますので,お考えいただければと思います。
  御承知のとおり,国立大学は2月25,26日に前期試験を実施し,10日前後に発表することになっておりますので,前期についてはかなり余裕があります。私どもの大学では,前期で大体4,000人分の答案を採点いたしますが,これの採点に約1週間かかります。毎日,先生に出ていただいて,朝から晩までやって1週間。極端な場合には,1枚の答案に30分かかることもあります。非常に特殊な解答をしているものについては,採点室で採点をしている先生方が全部集まって議論をするということもあります。そういう意味では,非常にきめ細かな入試ができていると思います。前期は御承知のとおり,いわゆるペーパーテストだけになっています。
  後期の試験は,12,13日に行います。カレンダーを見ていただきますと,今年は水,木にあたります。12日に学科の試験を行いますが,終了後直ちに採点を始めます。夜,深夜までということはありませんが,かなり遅くまでやります。13日は,私どもは類制度を採っております関係で,1類から7類まで全く別の試験行います。ということで,13日は試験が進行していますけれども,12日の分の採点は並行してやっています。先程申し上げた曜日の関係で12,13,14日の3日間で,12日の分の採点を終わらせなければならない。15日が土曜日ですが,入試の関係の先生方が,1枚1枚答案を全部見るんです。つまり,合計点が間違っていないかということを,総出でチェックします。数学,物理,化学,英語と全部チェックして,総計が間違っていないか確認します。
  間違っていないことを確認したら,17日になりますが,それを計算機会社に持ち込みまして,パンチをやります。それを持って帰って,18,19で200本程のプログラムを通して,それでギリギリ,やっと夕方に合格者の案が出る。20日ないし21日,ことしは21日になりますが,入試総会を開いて,合格者を決める。
  何を申し上げたいかというと,国大協でも非常に努力しているのですが,私大とのせめぎ合いのために後期がこのような非常に苦しいスケジュールになってしまっているということです。私大から23日までに,従来は22日まででしたが,発表せよという要求がありまして,昨年からやっと半日延ばして23日まできたんですが,これ以上後ろにずらせないのです。
  最初,分離分割がスタートしたとき,私共でも後期にいろんな多様な試験をしておりました。七つある類のうち五つまでがインタビューをやっていました。ところが,時間がかかり過ぎるということで,殆どの類は止めざるを得なくなってしまった。今,頑張ってやってくれているのは一つの類だけです。昨日,今日とずっと議論していたのですが,先生方,あと3日あればインタビューまでできるとおっしゃっています。ですから,何とか後期試験に余裕を持たせる必要があります。そうすればインタビューまで含めて,いろんな試験ができると思います。現状ではいくら有力大学に後期の定員を増せと言ったって,それは不可能です。そこのところを変えていけば,入試は随分変わるんではないかと思っています。

○  もう少しゆとりを持った選抜をしないことにはいけないということは確実でございます。
  ここに,きょうはアドミッション・オフィスという話が出ていますが,アメリカのアドミッション・オフィスは例えば20人ぐらいのスタッフで,1年じゅう活躍してリクルートしているわけです。アメリカの大学は,これは文部省でもう少し調べていただいたらいいんですが,私の知っている限りでは,高等学校はほとんど4年です。高等学校のアイデンティティーみたいなものをはっきりさせるために,私は4年がいいんじゃないか。98.何%も行くわけですから,義務教育にするかしないかということはまた別かもしれませんが。アメリカの場合は高等学校1,2,3ですね。4年生,つまり高校の最終の成績は内申書には書ないようです。ですから,荒らされるという問題は,知識を重視しますと,高等学校でこれだけの知識が大事だということですと,確かにできるだけ長い間高校の授業を受けさせて,その知識に基づいてするんですが,人物を中心にする場合には,高校の最後の最後までの知識を見る  ―現実的にアメリカではそれが不可能でございます。
  アメリカには二つの試験制度みたいなのがございまして,割に早く決めてしまう。御存じのように,アメリカは9月入学でございますが,割に早く決めちゃう。その年の12月に決めてしまうというのがあるわけです。これはアーリー・セツルメントといいますか,ちょっと条件がございまして,大学にアクセプトされますと,必ずそれを取らなくちゃいけないとか,若干条件があるわけです。一般的には,私の知る限りは,その年の年末ぐらいまでに願書を出しまして,その翌年の4月15日にそれを決めるわけです。ですから,アドミッション・オフィスは,4ヵ月ぐらいのゆとりを持って決めているのが実情でございます。
  ですから,もしアドミッション・オフィスということにしますと,今のように高校の最後の最後まで知識を重視し,というようなことは考えなくちゃいかん。今の場合は,大学入試を重視するからこそ,子供たちも勉強しないじゃないかという心配があるんですが,一般的にアメリカの高校は,3年生になってもそこそこに勉強しておるようですから,受験ということをあまりにも重視しますと問題になる。
  それから,9月入学でございます。ある国立大学は帰国子女を,30人とか,そのくらいの数を9月入学で採っております。そのために,多くの日本の学校はツー・セメスターなんですが,その大学はスリー・セメスター・システムを使っているわけです。スリー・セメスターというのは,4・5・6,9・10・11,それから12・1・2と大体,三つに分けている。その一つの理由は,9月入学をした子供たちもキャッチアップを比較的しやすいというのが理由でございます。
  それから,普通3年半で,つまり,9月入学ですと3年とツー・セメスターで,大体必要な科目は全部取るわけでございます。これは今,文部省なんかへも重ねてお願いしているんですけど,単位を取った学生は卒業させてくれと言ってるんですが,今のところは4年在学するということが大学卒業の条件になっておりまして,その点が若干問題です。
  第2小委員会のほうで,稀有な才能の人たちは早期入学というようなことを考えているわけですが,9月にそういう子供を入学させるというのも一つの手じゃないかと思います。そうしますと,必ずしも1年早いんじゃなしに,6ヵ月か7ヵ月ぐらい早いということでございます。
  ですから,9月入学を拡張することはいいんじゃないかと思います。問題もあるかもしれませんが,チャンスを多くするということと,外国とのこれからの大学のグローバリゼーションを考えるときに,欧米の国は9月入学をやっていて,そういうところとのカップリングということから考えますと,9月入学は都合がいいわけで,それを取り入れるということは,これは現在のものとも整合性は一応はあるように思われまして,賛成します。どうも失礼しました。

○  まず,後期入学,後期日程の人数を具体的に少し増やせという方向を打ち出す必要がありはしないか。そうしますと,少し時間がかかるようになる。先程言われたとおりでありまして,何も4月までずれ込まなくてもやれるんだと思うんです。ただ,ある国立大学の場合の例を申しますと,ギリギリ私学の方たちが待っててくれて,両方に入ったときには,その国立大学を選ぶなら選べと,そういうことがある。そのギリギリの限界が,今,3月23日でしたか,その辺なんですね。これをまた私学にお願いしなくちゃいかんと思うんだけど,3月いっぱい延ばせば,かなり余裕が出てくると思うんです。ですから,日数の問題の一つ手前に,後期入学は非常に成功したと見るという観点で,少し増やすということから,日数をやや後ろへ持っていけないか。いきなり4月までいかなくてもよいと思います。これが一つです。
  それから,9月入学は,帰国子女と,もう一つ留学生の入学というのがあるんですね。それは国際化のために9月入学が必要だという論点。もう一つ,社会人入学というのが今後起こってくるだろう。ですから,一般の学生たちをいきなり採るんじゃなくても,その三つのカテゴリーの人々が入りやすいために,9月も開いておくことがいいであろうということがあると思います。
  しかしながら,一般の学生まで広げるという  ―既にやっているところがあるわけですから,広げるとしますと,そこで我々が工夫しておかなきゃいけないのは,2月,3月と同じ試験をやるということは問題なので,アドミッション・オフィスを活用するとか,何らか採用の仕方に関する工夫を行うべきであろう。そういうことを一つ考えます。
  3番目は,私学の方に少しお考えいただければ幸いだと思うのは,科目を余りにも少なくするために,私学志望の生徒諸君が高等学校での授業の単位を取る範囲が狭くなる傾向がありますので,少し私学の入試に関しても分析をしておく必要があるだろうと思います。
  4番目に,これは繰り返して申しわけありませんが,大学入試センター試験が一番いいと思いますが,私はそもそも,大学の入試に高等学校の先生たちに参加していただくべきであるということを,繰り返し申し上げております。しかし,これはいきなりやるといってもいけませんし,それから特定の大学が特定の高等学校の先生をお願いするなんていうとまた問題を起こすので,やはり大学入試センターあたりで高等学校の先生方の御参加をいただければと思います。これは既に,多少ここに「協力する」という言葉がありますので,もう一歩踏み込んでいければいいかと思います。
  それから,生臭い話になるんですが,どっかで5日制を強調していただきたい。せっかく我々は5日にするぞって覚悟したわけですから,一部の国立  ―国立は大丈夫だと思うけど,私立で6日やるというふうなことはなるべくやめてほしいということが書けないであろうか。
  もう一つ,これはショッキングな話でありまして,私は500もある大学が,毎年,毎年,入学試験を重ねていけば,問題の種は尽きる。特に大学入試センターがあれだけ苦労したって,似通った問題が時に出るとかって非難されるわけで,私はこのタブーを外すべきだと思います。すなわち,仮に5年までの問題は出しちゃいけないけど,5年以前の問題は,場合によっては同じ問題が出ても仕方がない  ―仕方がないという言葉がいいかどうかわからんけども,それを許したらどうですかね。これは大問題で,どうお考えになるか。いずれにしても,ことし見てても,似た問題が出たとか,やれ間違いだとかっていうことが繰り返し起こっていることから見ても,これは避けられない問題だと思う。ですから,入学試験問題を気楽にと言っては悪いけれども,いい問題は出さなきゃいけないけども,繰り返しのところは許すことをしなければ持たないんじゃないかと思うんです。現に,アメリカのSATは,あれは問題が1,000題かなんかにしたんじゃなかったでしたっけ。その中から出すんですね。だから,ある程度そのタブーを破らなきゃいけないんじゃないかということを,「そうしろ」と申し上げるんじゃないんですけど,お考えいただけませんでしょうか。以上。

○  皆さんがおっしゃっていることとあまり変わった話ではございませんけれども,入試が4月までずれ込むというのは,妙なことになるんじゃないかという気がします。1学年が1年生は11ヵ月で,2年以上は12ヵ月というようなことになってもいけないんじゃないかと思いますので,やはり入試を3月中に終わるというのが原則で,4月から入学をしてということで,4年間ピッタリやれるような形を採るのが望ましいのではないかと思います。
  そういう意味では,私学との関係という話に結局なっちゃうんですけれども,今年から国立のほうは全部2回,前期,後期という形に一本化したわけですけれども,その場合に,私学のほうにお願いして,前期を少し早くさせていただけないか,それから後期の発表を少しおくらせていただけないかということでだいぶ交渉していただいたんですが,結局,私学のほうは1日も譲れないというお話だったわけで,この辺はもう少し緩和できないだろうかという感じがやはり非常に強いです。
  もし時間をかけて入試をやるのが望ましいんだということを,高等学校のほうも理解していただけるのだったら,例えばセンター試験を12月の末にもっていくというようなやり方も,一つは考えてもいいのではなかろうかという感じもいたします。
  もう一つは,9月入学ですけれども,これは国際化という観点で,留学生やあるいは帰国子女のための9月入学というのは十分わかるんですが,受験機会の拡大という観点から一般学生を対象にというのは,どうもわかりにくいんです。第2小委員会のほうでお考えいただいているすぐれた学生を早くに大学へ入れるという意味で,3年の後期から入学してしまうというのだったらまだ話はわかるんですが,そうでなくて,いわば半年浪人をして入るというふうなシステムは,どうも大変わかりにくいような気がいたします。
  一回失敗をしても,また復活できるようにという趣旨はわかるんですが,それはこういう形ではなくて,例えば編入学制度を考えるとか,あるいはもう少し幅を広げまして,高校を卒業して大学に行くのが今では半分である,残りの半分のことをどうするんだということがこの前の総会でもだいぶ議論になりましたけれども,生涯教育という観点で,大学にもっと社会人が受け入れられるような形で考えていくという,そういう文脈で考えるべきではなかろうか。4月にうまくいかなかったから,9月にというのは,ちょっと奇妙な感じがして,よく理解しにくい感じがいたします。
  丁寧な入試をやるということと,9月の入試という話とを結びつけて考えると,例えば11月に考えられている推薦入学の中身というところで,かなり違った形の丁寧な内容をやってみることは可能なのかもしれない。そういう意味で,推薦入学について,量の問題が若干書いてありまして,推薦入学のやり方は学科試験をやるべきではないということが書いてありますが,その内容をどういうふうに考えていくのかということについて多少のお話があってもいいのかなと,そんなことも若干感じているところでございます。

○  現在審議されている中高一貫性や例外措置は,その対象となる学校や人数はごく少数ではありますが,従前の制度に風穴を開けるという意味では,大きな意味合いを持っていると思います。
  それに対して,入試の問題は,対象となる人数も多く,社会的な関心も高いだけに,相当な改善策でないと納得してもらえないと思います。そういう意味では,本日提出された座長素案は必ずしも十分ではないように思われます。特に検討事項の所です。
  具体的な改善策としては,まず,大学入試センター試験についてですが,この試験の性格が,高等学校の学習到達度を見るといった性格も包含していますので,高等学校関係者との連携が望まれます。出題者の中に高等学校関係者(必ずしも現場の先生である必要はない)を入れることを考えるべきです。また,追試験を廃止して年に複数回実施するとか,リスニングテストを導入するなどの改革が必要です。
  次には,検討課題になっている6〜7月入試,9月入学を導入することです。入試に対する精神的な不安感や重苦しさを助長しているのは,一発勝負で,敗者復活がなく,選択肢が限られていることです。そういう意味では,先に挙げた大学入試センター試験の複数回の実施,個別試験のうち後期試験の定員の大幅な増加と併せて6〜7月入試,9月入学のシステムを位置づける必要があります。特に高校時代にクラブ活動やボランティア活動に打ち込み,能力を持ちながら2〜3月の入試には間に合わなかった生徒,例外措置の対象者,大学独自の入試,海外子女,留学生など,これから非常に大切な問題を含んでいると思います。
  更に,個別試験では,原則として学力試験を廃止して,論文(論述試験),面接,研究成果,実技試験など,多彩な方法を組み合わせて行う必要があります。その場合,論述試験一つとっても,採点に非常に時間がかかります。従来の学力試験の採点に掛ける時間とは比べものになりません。そういう意味でも,従来の簡単に採点して素早く合否を決めるといった手法ではなく,丁寧できめの細かい選抜を行い,時間を掛けて合否を決めるといったことが望まれ,そのためには,入学者選抜の実施時期の終期を繰り下げ,4月まで行わざるを得なくなりますし,そうした時間的な余地を保障しておくことが大切です。

○  いろんなことを申し上げたいんですけれども,時間もありますので,絞りますが,基
本的には全体として大学審マターを書き込んでいるかなという印象があります。中教審はもう少し基本的な方針でいいような気はいたしますが,大事だから書き込むということであれば,それでもいい。
  9月の場合,国際的なものであるとか,社会人とか,留学生ということに対する試験では大変うまくいくと思うんですけれども,現にある大学がやっていらっしゃって,60名定員を残してやっていらっしゃる場合に,試験をやられても,現役が受けられませんので,浪人の方が受ける。そうしますと,3月に○○学部前期試験,○○学部後期試験で試験をしたら入る人を,わざわざ半年おくらして入れるということとそれほど違わないんじゃないか。それだったら早く半年前に大学へ入れてあげたらいいのではないか。ある定員を半年間延ばしておくのは気の毒じゃないかなという気がします。
  ということを逆にしますと,9月入試をもしやるならば,現役生に受けさせる。そうしますと,半年間,勉強が短くて大学に行けますよということになるわけです。ただ,それは飛び級ですらあれだけ問題になりますので,今すぐはかなり抵抗があるだろうし,高等学校は,教育が荒らされるんじゃないかということで御反対なさるというと,なかなかうまくいきそうもない。現在やれるような形で,一般の人を定員を取って残すんだったら,違った種類のテストをするんでも,それは3月にやったっていいわけですね。現役が受けられないんだったら,同じ浪人の枠の中で勉強するわけですから。受験機会の拡大だったら,3月に2度やっちゃったっていいし,現に私学はやっていらっしゃるような気がします。
  受験機会の拡大で,国際化とか,社会人とか,留学生という意味で,9月入学というのは大変結構だと思いますので,そういう意味に限定しちゃう。国立大学でも,前期試験に通った人は,後期受験を受けてもいいけれども,通らないわけですから,それと同じように,現在の大学在学生は9月は試験を受けられないとしておきますと,留学生,その他だけでうまくいけるということになります。
  もう一つ,入試センター試験のことですが,私は受験機会の拡大とも絡めて,2度入試センター試験をやればいいと思う。ただし,条件が幾つかあるんです。追試はもちろんやらないとうことと,試験問題は[生きる力]をはかる試験問題をする。学力検査以外のものの改善はいっぱい書いてあるんですが,学力試験そのものの改善が素案には書いてないんですね。私,前から言っているんですが,入社試験をやるときに,世界史を出たから世界史で,数学を出たから数学で入社試験をやらないで,総合的な問題でその人間をはかっている。同じように,センター試験で旧来の物・化・生・地など34科目じゃなくて,5科目試験をしちゃう。国語と地歴公民の総合科目と理科の総合科目と数学の総合科目と外国語,あと専門学校卒向けの少数科目,フランス語等の3科目を追加しますけど,基本5科目の試験だけをじっくり時間をかけてやっちゃう。そういうような総合的な試験問題で[生きる力]をはかるわけですね。
  物・化・生・地,世界史,日本史の試験というのは,高等学校で試験をやって,高等学校の卒業のときに教科の試験はやっちゃえばいい。大学で[生きる力]をはかって,大学の学習を続けさせるためには,入試センター試験と,それよりも深くなる個別大学の試験で,学力試験のところを総合学力,一部書いてはいただいているんですけれども,従来の教科をもとにする試験はやめちゃうというぐらいな勧告をする。そうしますと,試験問題をつくる手間も少なくなりますし,それから追試はやめて,2回にしちゃうということで,先生方の負担もなくなる。550の試験会場,9,000の教室で,2万人以上の監督でやる大事業を,大学が2回やれるかということだけの問題だと思うんで,その辺のフィージビリティを考えた勧告をしてはいかがかと思います。
  原則として,高校の先生におつくりいただくのは結構なことだと思うんですけれども,今,某高等学校で,自分のところの生徒を上げるために,いろんな問題を教えたりということがありますし,医師の国家試験でいろいろな問題を教えたりということが起こってまいります。現在,大学の先生でも,自分のお子さんが受験期ならば,試験問題をつくってない。その辺の配慮さえ担保がきちっとできて,もし万一そういう事件が起こったら,20億円パーになったものを,予算でパッと補助をするよという体制ができているんだったら,高校の先生方を出題に加えていいと思います。それと試験問題の点数が60点前後にうまくおさまらないということとのバランスの問題だと思うんです。
  ですから,試験問題の点数をうまく読めればと思いますが,私は高校の先生でも必ずしも点数が読めないと思います。ちょっと実験してほしいなと思っているんですが,試験が終わった後,高校の先生100人なら100人に,それぞれの科目について生徒が平均何点取るかを予想させますと,恐らく大学の先生と同じようにそんなに当たらない。外れるんじゃないか。点数を予測するというのは至難のわざだと思いますので,高校の先生に入っていただくこと自身は結構なんですが心配もあります。入ることによるいろいろな不祥事を防ぐという手だてさえできれば,原則的には結構なことだと思っています。

○  「一部国私立」という表現,それから「私立高校」という表現があるんですけれども,
これはこういう書き方をすると,山の手表現と言われる危険があると思います。つまり,地方に行きますと,この「一部私立高校」「国立高校」のかわりに,県立のナンバースクールが出てくるわけです。推薦をしてくれと言っても,そういうところはなかなかやらない。人数も増やしてくれない。結局,面接で推薦をやっても,面接で学力試験的なことをやっているというのが実態ですので,これは私立とか国立と書かなくていいんじゃないでしょうか。これはやっちゃ困ることですから,「これはやらないでほしい」と書くだけでよろしいんじゃないかという気がします。こういうことを書くと,山の手意識だというような批判をされちゃう危険があるような気がしましたので,それが1点です。書いてあることには賛成です。
  それから,9月入学と4月入学のことですが,これは基本的に,送る側からすると両方とも賛成なんですが,受け入れられる大学の側から「どうも……」という御意見が出てくるんで。私は送る側の立場で,そういうことはぜひやっていただきたいなと思っております。やっぱり一発勝負であるかないかというのは,受験生の意識が随分違うし,これをやっておくと今度は,17歳で大学へ入れるというのが制度として広がるときに,4月に入れなくても,9月に入れれば,随分いろんなことが考えられると思いますので,これは入れてやれたらいいことじゃないかと思います。
  それから,センター試験のやつも同じでして,現状は大学の入試に関係したセンター試験になっているんですが,送る側から言うと,専門学校に行くのもいるし,短大に行くのもいるわけで,それらが今,全然対象になってないんですね。高校が入ると,そういうことも考えるようになるんで,やっぱり関係させたほうがいいんじゃないかと感じています。以上です。

○  先ほどお話のあった入試の早期化の問題は,中学校の場合一層深刻です。中学校の教育課程を実施する上で,3年生の部分が非常に危機にきているということです。高校は2学期からとのお話がありましたが,中学の場合も3学期が授業にならないという実態がかなり出ております。かといって高校のように休みにしてしまうことは,義務教育という性格上できないことですから,とにかく事入試に関するものは,選抜方法の多様化とか,受験機会の複数化とかいう長所もありますが,明確な制限枠を設けていただきたいと思います。今回の案では大学入試に関することは11月以降と書かれており,高校受験の場合もこの辺が明記されればいいな,という感を受けました。少なくとも1月以降でなければ選抜に関することには一切手をつけるなと。極端なことを言いますと,12月に進路が決まってしまった生徒と,本日現在まだ決まっていない生徒が,同じ公立学校にはいるということです。このように生徒指導上,教育課程の編成上,現在の公立中学校が非常に苦慮している実態があります。詳細は次回に譲らせていただきますが,よろしくお含みおきください。

○  私も詳細は次回にということで,賛否だけを言います。
  まず一つは,大学の9月入学の問題ですが,これは基本的には半々にしろというようなことではなくて,多様化,複線化の余地をつくる,高校生活のゆとり,国際化ということで,そうあった方がいいということの意味で,大いに賛成でございます。今回の審議が,受験競争の激化への対応ということでも,これは効果があるということで考えているわけです。
  次に,入試日程をもう少し延ばすという意味は,それとの関係も大いにあるんで,先ほど3月いっぱいでという話もありましたけれども,これも余地として,何も全部の学校がというわけじゃなくて,選抜に手間ひまかけて丁寧にという趣旨の当面の現実策として4月までやっても差し支えないよという範囲のところではいいんではないかと思います。あくまで両者とも多線化,複線化の一環だと思っております。大学関係者の御理解をいただきたいと思っております。
  3点目ですが,センター試験に高校の先生をということで御議論があるようでございます。これも基本的には,問題作成まで入れるということについて,私もいいことだと思っておりますが,段階的にやるということがあってもいいかもしれない。まず,大学入試の在り方についての高・大の協議機関をガッチリしたものをつくる。ここにちゃんと書き入れてありますが,そういう段階を踏んでもいいかもしれない。それから,秘密漏洩の恐れのことがありましたが,現場の先生は入れなくても教委サイドの先生でいいという話が先ほどありました。そういうことでいいかなと思います。
  それから,高校入試について,ここに書かれている,原則5教科をもっと緩めるということについて異論がありましたが,教科数や教科の指定の多様化については,もっと書き込んでもいい。中学生,高校生の多様化の現状,早い時点からの個性伸長,それに私学の状況を踏まえると,むしろもっとはっきり書き込んでもいいというぐらいに思っております。
  関連して,「生徒に受験科目を選ばせる」云々とサラッと書いてあるんですが,これも個性尊重という意味では,もっとやってもいい。教科間の点数調整など現実になかなか難しいものですから,ペーパーによる学力試験の点数尊重の立場でやれないということがあったように思います。
  ほかにもありますが,時間の関係がありますんで,この程度にして次回に譲ります。

○  きょうは時間の都合で延長もさせていただきましたが,ありがとうございました。本日の議論はここまでにさせていただきます。
  きょうの「大学・高等学校の入学者選抜の改善」については,次回,3月27日でございますが,ここで引き続き御議論いただきたいと思います。きょういただいた御意見をももとに,修正できることは修正して,あるいはポイントを絞って御論議をいただきたいと思います。
  次回は,第15期としては最後の第1小委員会の会議になりますので,一応の締めくくりも兼ねまして,ただいま申し上げたように,「大学・高等学校の入学者選抜の改善」とともに,「中高一貫教育」についても文章をお示しして,あわせて御議論いただきたいと思っております。
  次回は3月27日,13時から15時まで,霞が関東京會舘,35階,ゴールドスタールームで開催しますので,よろしくお願いいたします。
  きょうは,御発言いただかなかった方もおありでしたが,おわびいたします。きょうはどうもありがとうございました。

(文部省大臣官房政策課)
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