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中央教育審議会

 1998/8 議事録 
今後の地方教育行政に関する小委員会 (第26回)議事録 

 地方教育行政に関する小委員会(第26回)

  議  事  録

  平成10年8月21日(金)  13:00〜15:00
  霞が関東京會舘  35階    ゴールドスタールーム


    1.開  会
    2.議    題
      今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会


    出  席  者

委員 専門委員 事務局
根本会長 安藤専門委員 梶野生涯学習官
河野座長 石原専門委員 御手洗教育助成局長
薄田委員 大山専門委員 徳永地方課長
小林委員 岡田専門委員 早田主任体育官
坂元委員 小川専門委員 高   総務審議官
田村委員 尾木専門委員 杉浦政策課長
永井委員 佐々木(初)専門委員 その他関係官
横山委員 蓮見専門委員
鱒渕専門委員
山極専門委員


○  それではただいまから、地方教育行政に関する第26回の小委員会を始めます。きょうはまたお忙しいところを、会長にもおいでいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、初めに本日の配付資料についての確認からお願いいたします。

<事務局より説明>

○  それでは、これから御審議をお願いしたいと思います。
  本日も前回の小委員会に引き続いて、答申の文案について御討議をお願いいたしたいと思います。本日お配りしてある答申文案、ここでお示しした文案は、委員の皆様方の御意見を踏まえて、私のほうで修正を加えたものでございます。本日は、この修正した答申文案について御討議をいただければと思います。
  それでは、まず事務局から、答申文案の修正点について説明をお願いいたします。

<事務局より説明>

○  前回の御意見の中で、非常に多かったのが、わかりやすい言葉でということがございました。わかりやすい言葉ということも考えて、いろいろ苦労しながら検討してみたんですが、特に法令用語とか、専門的な用語ということで、一定の限度がございました。しかし、この件については、次回もう1回機会がございますので、次回までにさらにできるだけの検討をさせていただきたいと思っております。
  ただ、その中で、わかりやすいということのもう一面は、教育委員会は執行機関であるということで出しておりましたものを、丁寧にわかりやすく説明するということで、わかりやすくなるという面があるのかなということから、そういう点についても検討しまして、先ほどのような修正箇所をお出ししてあるわけでございます。
  それから、前回出されてまいりました各項目ごとに現状と課題、そして見直しの視点を出してあって、それを受けた形で、囲みで具体的改善方策が出されている。これが相互にどうつながっているのか、一貫性があるのか、これを明確にすべきだということがございましたので、そういう点から修正したものを、今、説明したわけでございます。
  そこで、きょうは、今説明しました修正案について、さらにいろいろ御意見をいただき、御審議をお願いしたいと思っております。いつものように御意見のおありの方から伺いたいわけですが、いかがでしょうか。これはやはり二つの部分に分けて御意見を伺ったほうがいいかなと思いますが、「第1章」と「第2章」、ここまでのところを一区切りとして御意見を伺えたらと思います。この部分について御意見のおありの方はお出しいただけたらと思います。

○  具体的改善方策の中の「地方分権の推進の観点からの見直し」のところでありますけれども、大変わかりやすくなって、誤解が解けました。新聞報道なんかを見ますと、見出しでもって「どこまで自由になるか」というような誤解があり、また私たちの会合でも「本当にそうなのか」というような話が出ていたんですけれども、特に学級編成及び教職員定数のところでこのように書かれたということで、誤解が解けたということで、御苦労に対して感謝申し上げたいと思っております。
  ただ一つ、事務処理体制の充実の具体的改善方策のところですが、「教育委員会の機能の充実を図るため、例えば、加配教員等を」という、この「加配教員」という言葉が適切なのかどうか。これを読むと、また現場では「TTをそのために使われちゃうのか」というような短絡的な反応が出てこないとも限らないという感じをちょっと持ったのでございます。

○  私、かねがね、学校に経営感覚といいますか、経営発想をということで申し上げておりまして、その観点からすると、今回の案の中に、教員は教員として教育に専念をし、教員以外の職員についても、そのために資質向上などの研修などを強化しようと。これについては地味な内容でございますけれども、大変評価できるのではなかろうかと考えております。
  さらに、それをサポートする意味からも、「情報網の整備」ということで、具体的改善方策の中に「総合情報システムを構築」というふうにあります。その内容として「全国的な教育に関する総合情報システム」と書いてありますが、これに「教育や学校経営に関する総合情報システム」などといたしますと、経営発想についての様々な事例や情報が収集できて、より経営感覚を持った学校運営にプラスになるのではなかろうかと思います。

○  非常にありがたい評価をいただきまして、ありがとうございました。
  それから、初めに申し上げようと思ったんですが、これは前から出ておりますが、一応ここに出してあるのは「第1章」からこういう形で出されておりますが、答申文ということになりますと、これはよくありますように、中教審としての我々の審議の基本的な姿勢と申しますか、方向と申しますか、それに当たるようなところを「まえがき」にするか、「前文」ということになるか、「総論」ということになるか、そこら辺については、きょうまでの御意見を伺った上で、さらに検討させていただいて、次回にこれはお諮りするということにしたいと思いますので、そのことをちょっと申し上げておきます。

○  私もお礼を申し上げようと思っていたところでございます。全体的に大変わかりやすくすっきり ―まだちょっと難しい面も個人的にはあるなと思いますが、非常によくまとめていただきましてありがとうございました。
  かねてから申し上げていますように、法規でかかわるところと、いろいろな成功事例等の情報を提供するようなところの区別ということも申し上げておりましたのが、具体的な方策を四角の中に箇条書きに入れていただき、そして具体的な法規名を随分挙げていただいておりますし、それから情報提供のほうに関しましてもあちこちに入れていただいております。
  今、ご発言のあった情報網の整備のところでも、総合情報システム、それから衛星通信のこともお書きいただいていることもありまして、全体的に21世紀を目指した、国、都道府県、市町村、学校との関係の行政の動きをサポートするインフラストラクチャーへの気配りも入ってきたのではないか。大変すばらしいことだと存じます。
  全国的な教育に関する総合情報システムというところは、私は「教育」という言葉の中に、学習の指導であるとか、生活の指導であるとか、学校の経営であるとか、全部含んだ意味でたぶんお書きになっているのではないかと思いますので、学校経営を取り出してそこを強調するという考えもありますが、これでもよさそうな気もいたしますので、御検討をいただければと思います。

○  大変わかりやすく丁寧にまとめていただいて、地域住民の意向の把握のところについてはこのとおりでよろしいと思っております。
  「地方教育行政の在り方」の素案が、専門用語が多いもので、わかりにくいなど、いろいろとお話もございましたが、これからの教育行政の骨格にかかわることでございますので、やはりきちんとした法制度の整合性のもとにこのように書いたことは非常にありがたいと思っております。

○  全体的には、各委員から出された点を取り入れられて、表現もかなり工夫されていますから、「第1章」「第2章」については、特に先ほどご発言がありました教職員定数の問題で、前回の小委員会の翌日の朝日新聞で、1面トップで報道されて、職種間の枠が外されて融通されるというようなことで、特に少数の職種の学校事務職員とか、栄養職員から相当強い反発が出たんですけれども、そこのところは正確に書いていただいて、誤解が恐らくこれで解けるんだろうと思います。
  ただ、「算定された教職員数の範囲内で、多様な教育活動を展開する観点から、常勤の教員を配置せず、非常勤講師で代替することができるようにする」とあります。この言っている意味の大半は理解できるんですけれども、これは取りようによって、中学校も小規模校化して学級数が小さくなってきていますので、音楽とか、美術とか、週の担当時数が少ない教科等で、本来一人しか採用できないのを、一人を常勤で採用しなくて、非常勤で二人にするというようなことが安易に行われる問題が生じます。端数が出て、1.5だから、その0.5を非常勤に持ってくるというのは、それはそれで結構なことだと思うんですけれども、どうもこの文章だけだと、取りようによっては、学校単位とか、市町村の場合、何か安易に取られるという危険性をちょっと感じるので、もう少し正確を期すような書き方をしたほうがいいのではないかというのが一つです。
  それと関連して、教職員定数と給与費の国庫負担のところです。これはこの前、教職員定数について最後の合算した範囲内で国庫負担を行うことができるようにということは、事務局が説明された、教員が100で、養護が20なら20となったのに、養護を先にするという意味で25にして、教員を95にするとか、そういうことの場合に合算したものを全部、あくまでも算定基礎だから国庫負担の対象にする、そういう趣旨というふうにこの表現は理解していいのかどうか、そこのところだけ一つ確認をしておきたいと思います。
  それから、「地域住民の意向の積極的な反映」という中の具体的改善方策のところです。「通学区域の設定や就学する学校の指定等に当たっては、学校選択の機会を拡大していく観点から、保護者や地域住民の意向に十分配慮し、」云々というくだりです。この問題については、この小委員会でそれほど議論したという記憶があまりなくて、そういう意味で、「なぜ公立離れで、私学が」という話を含めて、そういう意見が一、二あったかもしれませんけれども、それほど議論をかみ合わせて、これをどうするかということについては、そんなに深い議論を小委員会としてしたという記憶が私にはあまりないんです。
  今、既にこれについては、文部省のほうで一昨年ですか、通知を出して、不登校の問題等も含めて、一定程度緩和するという方向での行政的な指導、またそういうことの取組をやっている先進的な地域の紹介等を行っているので、あえてここの「住民の意向反映」というところに、この項をこの時期に入れなければならないのかという点については、私はどうも合点がいかないので、どういう経緯でこれがこの段階で入ってきたのか。前の中間報告のときにはこういうのはなかったと私は理解しているんですけれども、私の理解が間違っているのかどうか。以上2点を意見として申し上げておきます。

○事務局  3月までの御議論、あるいは3月以降の御議論の中で、これに関連をするこういった趣旨の御発言がたびたびございましたので、そういったものをこういった形でまとめまして、御提示をしたということでございます。

○  「拡大していく」というところを言っておられると思うんですが、これはさらに検討させてください。
  それから、教員定数の問題については、委員の皆様方は、新聞報道等であれだけ取り上げられまして、恐らくお読みいただいていると思いますが、そういうことで、委員の方々には少なくともここで確認的に共通理解をしておいていただきたい。改めてこういう出し方でよろしいということを前提にしながら、お互いに確認し合っていくということもありますので、ここで事務局から確認も兼ねて説明をお願いします。

○事務局  前回、国庫負担金の算定の部分、それから先ほど御指摘のございましたその前の学級編制等定員の部分。特に新聞の報道 ―私ども、審議途中でございますので、個々に聞かれてこれについてお答えするというプロセスもございませんで、マスコミの方々はどこかで手に入れられたものを前提に書いておられるということもございまして、お書きになっている方々自身が議論の背景なり、あるいは現行の学級編制の基準の定め方や定数算定の国庫負担の仕組みについて、十分な御理解がないままお書きになったということもございまして、学校現場から私どもに対しても相当な御意見がございまして、私ども直ちに各校長会等の組織や教育委員会の事務担当者に対しまして、ここの部分につきましては、大変申しわけございませんでしたけれども、審議の内容を少し正確にお伝えしたほうがいいだろうということで、御説明をさせていただきました。
  その結果、もう少し丁寧に書いたほうがいいだろうということで、ここにございますように、特に新聞で一つ誤解を与える部分は、学級編制の40人とか、35人とか、30人とか、こういったことがそのまま弾力化になるような見出し等がございました。これについては、審議会での議論は、人数をどうするかということについては、直接この場では議題になっていない。ただ、40人なら40人という現行の基準を前提にした場合に、ここに書きました例外的な場合しか弾力性がないということを、与えられた定数の範囲内であれば、都道府県が少し標準から離れて、幾つかの弾力的な運用ができるような基準をつくれるようにしておく。
  その上で、先だっても県と市町村とどちらがイニシアチブを取るのかというお話もございましたけれども、まず県がきちっと基準の弾力化を図る。その弾力化を図った基準について、どういう運用をするか。これは当然市町村や学校現場からの御要望があった上で、県がその基準を運用するということでございますので、ニーズが市町村や学校のほうから上がってまいった場合でも、最終的には都道府県がその基準を運用するということで統一性が担保されるだろうということも含めまして、そういったことが読み取れるように、短い文章の中ですが、できるだけ工夫をさせていただいたということでございます。
  それから、ご意見のございました非常勤講師による代替の部分は、確かにそういった心配がまだございます。何が何でも一人配置してということではなくて、もう少し基準は基準として、各学校の配置の一つの目安になることは間違いないわけでございますので、もう少し地域や学校の実態に応じてというような合理的な必要があるということについては、工夫をさせていただきたいと思っております。
  それから、もう1点御指摘がございました国庫負担金の算定のところでございますけれども、私ども自身も、文章がちょっと粗雑であったかなと、これは反省いたしております。もともとの関心事は、それぞれ定数で定められた職員は、特別の合理的な理由がない限り、国全体としてそれぞれの学校に必要であろうという形で算定をしているわけでございますので、それをあたかも都道府県の全く自由裁量で融通無碍に使われる、あるいは場合によっては校長のお考えだけでというような心配も与えてしまったということは、深く反省いたしております。
  もともとこの問題は、現在、養護学校のほうでは同じような規定があるわけでございまして、国庫負担という3兆円の金額をより厳格に使わせるという財政的な、あるいは会計法規的な縛りもございまして、それぞれの枠の中で、大きなお金ですから、厳格に使ってほしいということから、小・中学校については職種ごとにきちきちと計算するという事務手続がございます。これが実は意外に煩瑣でございまして、これが養護学校と同じように一くくりで国庫負担ができれば、私ども文部省や都道府県も事務的にも非常に簡素化・合理化になるということもございます。その上で、先だっても御説明いたしましたし、今、御指摘がございましたように、結果的に、そのときのある特別な合理的な理由がある場合には、計画を変更しながら先取りしたり、後送りしたりということで、各道府県に多少の裁量の余地が出てくるということを考えておったものでございます。場所も誤解のないようにということで、後から出てくることは結果でございますので、全体としての事務の簡素化・合理化というところに配置させていただくということで、慎重に扱わせていただきたいと思っているところでございます。

○  よろしいでしょうか。「第1章」「第2章」の部分についてまだおありかもしれませんが、後でまた戻ってお聞かせいただいても結構でございますので、一応通らせていただきます。では「第3章」「第4章」の部分についてお願いします。

○  内容というよりも、感じたことをお話しさせていただきます。
  今回の答申案を読ませていただきまして、教育の地方分権ということだと思いました。住民の身近にあります我々市町村教育委員会が、今まで以上に頑張っていかないといけないことなのだなというのを強く感じました。これからは学校も教育行政も住民の参画を促して、画一的でない、地方ならではの個性豊かな学校や教育行政を展開していくことが大切なのだなと思いました。

○  前回から皆さんが申し上げておりますとおり、非常にわかりやすくなったと思っております。例えばという事例を挙げて説明をしたりして、それは非常にいいと思うんです。
  「地域住民の教育機能の向上」の具体的改善方策のところで、「地域全体の教育機能の向上のため」にということで、「例えば」とありまして、「幼稚園を地域の子育て支援の拠点として」というところは、私もかねてからいろんな場面でお話はしているんですけれども、「幼稚園」という言葉は、これは「例えば」だからこれでいいと言えばいいんですが、私は半分以上は「保育所」という言葉を、どうして枠を取り払って入れてもらえないかということが、いつも思っていることの一つであります。両方とも公的にあるわけですので、一方だけでなく、「例えば」ということであったら、「幼稚園、保育所を地域の子育ての拠点として」ということを入れてもらえれば、もっとわかりやすくなるのではないかと思います。
  それから、地域の教育機能の向上というところで、読んでみても、いま一つ、外に向けて学校が出ていくという場面が何か少ないような感じがしてならないんです。扉がどうしても内側に向けて開かれたという感じで、外に向けて開かれて、学校の先生方が出ていくというようなニュアンスがいまいち少ないのではないかという思いがしました。
  それから、これは発表してしまうと終わりなので、発表の前にお話ししておきたいと思うんですけれども、きのうから私どもは全国のPTAの大会をやっております。その中で、私、きのう言われたことなんですけれども、情報の公開ということで、この答申などをインターネットを通じて出しているわけですけれども、「心の教育」のときに、新聞やテレビで発表されているのに、インターネットでアクセスしたら、文部省のほうのが出てこなかったということがありますので、発表と同時に、インターネットでアクセスできるような処置をしてほしいと思っております。

○  今御意見があったところと関連するところですけれども、やはりここで指摘されている問題は、特に現在、就学前の幼児を持つ家庭への働きかけということが非常に重要になってきているので、もし可能であれば私も「保育所」という文言をここに補えればいいなと思いましたが、実態としてはなかなか保育所をネットワークの中に取り込むことが難しい、そういう実態を踏まえられているのかなという気も一方でしておりましたが、御検討いただければありがたいというのが1点です。
  それから、「活動に関するコーディネート機能を発揮できるよう職員の資質の向上に」ということがあります。ここでは「職員の資質の向上」と同時に、こうした機能を発揮できるような「支援体制を整備する」ということの文言が補われるといいのではないかと思います。事実もう既にかなりの多くの地域では、幼稚園とか、あるいは公民館などをネットワーク化して、こうした働きかけに機能するような体制が整備されているところもありますので、そんなことを生かしていただければありがたい。これは要望になります。
  それから、もう1点発言させていただきます。「教育委員会の支援機能の拡大」のところで、これは前回も議論の対象になったところですが、ここでは教育委員会の支援機能の拡大を極めて明確に位置づけられたことは評価できると思います。が、そこでちょっと気になるのは、そのことがあまり表に出過ぎるために、緊急の事態が生じた場合の対応責任、説明責任の主体である学校の存在が希薄になる懸念があるので、例えば「教育委員会が直接対応するなどの支援を行うとともに」くらいにして、やはり学校が基本にあるということも少し背後に置くような表現にしていただいたほうがいいのではないか。これは意見であります。

○  「学校運営組織の見直し」のところで、新たにつけ加わっております「一律に法令上の制度として導入したことなどもあって」、いわゆる主任制闘争が行われたということがございますが、一律の法律上の制度として導入したから反対闘争があったのではなく、主任制を中間管理職として機能させないために反対闘争はあったのであります。それゆえに校長が管理職として尊重されず、リーダーシップも発揮できないで、職員会議がいわゆる実質的な決定機関になっているという経緯があるわけで、わざわざ「法令上の制度として導入した」からということをつけ加える必要はないのではと思っております。
  さらに、〈法律上の根拠が明確でない職員会議が〉と書いてございますが、現行法におきましては、校長が責任を持ってするべきで、そのもとにある職員会議を新たに補助機関と言わなくても、基本的に補助機関であります。明確でないので、もう一度書いて、今までのトラブルを解決するためにはっきりとするという意味ではいいのですが、先のと関連しまして、学校が自律して、多様な活動をしていくためには、何と申しましても学校がきちんとした組織として、教育機関として運営ができるということが大切なのであります。21世紀はそういう基盤がなければ、今までよりもさらにいろいろな問題が出てくる可能性のほうが強いわけです。
  そういう意味では、そのことをしっかりとここで押さえていただき、きちんと校長、教頭の管理職の任用の仕方、育て方も含めておくことが大切です。また校長が一人で何もできない、だから外部が支援するというような御意見もあり、学校評議員の制度も取り入れられておりますが、基本的には組織の中でトップが力を発揮するときは、組織内にきちんとそれを補佐する人がいなければどうにもならないわけです。したがって、校長が自分の教育理念のもとに、学校教育について教職員の意見を十分聞きながらリーダーシップを発揮できるように、きちんとした考え方が位置づくようなことが必要ではないかと思っております。その意味では、ここでのこういう書き方は、特に入れる必要もないのではないかと思っております。

○  これを丁寧に読んでいけば間違いはないのでありますけれども、一つ気になりましたのは、「第3章」のタイトルなんですが、「学校の自主性・自律性の確立」ということでありますが、ここで扱われているのは当然地方教育行政の中での学校ですから、公立学校のことを扱っているわけで、私立学校については、結局、「第4章」の「学校以外の教育機関の運営の在り方」の中で触れられるだけになっているんですけれども、「第3章」のタイトルが「学校」ということでいいのかどうか。「公立学校」という言い方をしないと、若干誤解を生む危険性はないだろうか。私立学校の方が誤解をされてもいけないだろうということがあるので、どこかで「ここで扱うのは公立学校の意味である」ということを断っておいたほうがいいのではないか。
  例えば、最初の「国の役割」の中に「高等学校や幼稚園など学校の設置基準の設定」とあるんですが、この「学校」はたぶん私立学校も含めた学校全部ということなんでしょうから、そういう意味で、全体的な言葉の整合性が問題になるのかなという気もしないでもない。そういう意味で、どこかで、ここでは地方教育行政を扱うのだから、「公立学校」を「学校」ということで扱っていくんだと。一々書いていくのはややこしいでしょうから、そういうふうなことをどこかで断られたほうがいいのではないかということを一つ感じました。
  もう一つは、先ほどお話がございましたように、「校長・教頭の任用資格の見直しと教職員の資質向上」及び「学校運営組織の見直し」の具体的改善方策の上のところに処遇改善の話が出てきているんでありますけれども、具体的改善方策ではなくて、本文のほうに記述することにしたということで、そちらにそろえられたということで、それはそれでよろしいのかとは思いますけれども、こういう形で出されますと、恐らく四角で囲んである具体的改善方策というところに注目がいくだろうという気がしますので、できればそこのところにも書いていただいたほうがよくはないかという気が一つはしておるということでございます。

○  前回休んでしまいましたので、十分議論についていけるかどうか心配なんですが、一つ、書いておかなければいかんじゃないかと常に思っていることがあります。それはどういう言い方をするかということですが、例の情報網の整備のところで、例えばことしのある国立大学の卒業生で、情報関係と国際関係を勉強した学生は一人も教員になっていないんですね。ここ何年も続いているわけです。つまり、情報と国際関係の知識を持った人間が教育界に入ってこないという状況がずっと続いているというのは、象徴的にそれをあらわしているんだろうと思うんです。
  つまり、ネット網の整備をして、端末が各学校につながっても、現場できちっとそれに対応できるのか。今、機械だけ入って、実際はほこりをかぶっているという状況が現場のいろいろなところで見られるわけですので、そのことを「第2章」の最後のところで、ネット網の整備というのは非常に大事なことで、21世紀に向けてこういう形にしていくということでないといけないわけですが、同時に現場によっぽど自覚を促すというか、特に集中的に情報教育についてはコメントしておかないといけないのではないかという気がするわけです。新しい人材が入ってこなければ、結局、現職教育をしてやっていくよりしょうがないわけですけれども、その辺のところがどう見ても十分でないという感じがあるわけであります。
  あと意見ですので、これは別に書かないでいいんですけれども、チャータースクールという例のアメリカのスタイルを気にしておりまして、あれが教育改革でアメリカで唯一成功した例だと言われているわけですが、校長が申告して、それに基づいて学校にいろいろな権限を与えるというか、仕組みについての任せ方が決まっていく。うまくいかなければどうするかということを含めたことを書けないものかなということが気になっていまして、その点、じっくり読んでいませんのであれなんですけれども、そういうことができると随分変わってくるのではないかという気がするんです。何か当たっていない意見のような心配もあるんですけれども、ちょっとその点、意見を言わせていただきました。
  それから、私立学校のことについては、大変よくお考えいただいて、このような御指摘をいただくということで、大変ありがたいなと思っております。ありがとうございました。

○  私はずっと読ませていただく中で一つ大変うれしく思いましたのは、特に「第3章」ですか、「学校の自主性・自律性の確立」の中で、終始一貫、「校長、教頭」という言葉を使っておられて、「管理職」という言葉をほとんど使っていない。私はこの答申の表現の精神といいましょうか、うれしく思っております。最近、ともすると「校長、教頭」のことを「管理職」と簡単に言ってしまうんですが、私は学校の場合には普通の会社等の管理職とは違うという考えを持っておったものですから、一貫して「校長、教頭は」「校長、教頭は」と述べていることに、大変賛意を表したところであります。
  なお、一つだけ「学校運営組織の見直し」の具体的改善方策というのがあるわけですが、「主任制の在り方」のところでございますが、この表現で大賛成でございます。主任制については、今までのものを共通して置くものと、それから地域の実情に応じて各学校ごとに置くものとを区別するというのは大賛成であります。幅を持っての対応。
  ただ、私は、「その在り方を抜本的に」まで取り上げなくても、「その在り方を検討する」ということでも十分であろうという気持ちを持っております。

○  この答申素案として、前回の話から、学校の自主性・自律性という点での具体的改善方策の中で、校長・教頭の任用についていろいろと訂正いただいたんですが、前回にもちょっとお聞きしたことを、参考までお伺いしたいと思います。現在、教員の免許状を持って、なおかつ5年以上勤務ということが規定されているんですが、さらに今後幅を持たせるということで、教員以外の方に10年以上というものを年数的に持ってきたことの理由づけ。その辺の数字的な意味づけは何か根拠があるのかどうか、お聞きしたいことが1点目であります。
  2つ目に、「校長・教頭の選考と人事の在り方の見直し」のところですが、「若手教員」ということで、30歳ということを省いて、ここら辺は抽象的にということで訂正されているんですが、頭のところの「年功序列を排し」の「排し」という部分について、ここは絶対入れる必要があるのかどうか、この表現上の点をもう一度確認したいということです。
  3つ目に、前に戻って申しわけないんですが、先ほどもあった通学区域のことです。「地域住民の意向の把握・反映」のところで、現在、その保護者が在住している市町村と隣接する市町村、行政の境界に当たる部分において、ほかの地域に子どもが通学するということの弾力性なのかなと思うんですが、境界に沿った部分であるのか、それとも境界どころか、本当に離れたところでの学校を保護者が選択できるのかどうか。そういう選択の幅をどの辺のところまで考えているのか。
  その際、保護者の意向を聞くという場合に、新しく1年生が入るといった場合には、今までですと、在住している地区において教育委員会から通知などを差し上げて、子どもたちが学校に入る。自分が在住する地域の学校に指定されていくという方法だったと思うんですが、その辺の方策について、今後どのような方法で進めていくのか。すべて保護者と教育委員会との話し合いでその辺はやっていくのか、または隣接市町村となれば、近隣の教育委員会同士でその辺の話し合いを煮詰めていくのかどうか。校長としてどのようにかかわってくるのか。与えられれば受け入れますという形で、学校は受け入れればいいのかどうか。そういった広い絡みが出てくると思いますので、これは後でという話が先ほどありましたので、御検討いただくことになると思うんですが、その辺、小・中学校においても考えられるということなものですから、お聞きしたいと思います。

○  最後にあったことについては、さらに検討させていただきますが、前のほうの部分、経験年数等の根拠については、これは事務局から。

○事務局  基本的に、現在、免許状を有し、なおかつ経験年数5年となっているわけでございます。したがいまして、免許状を持っていらっしゃらない方について、教育に関する職、その経験に着目して、教諭の免許状の所有とほぼ同じ能力を認めていこうということでございます。どういった年限、教育に関する職に就いていけば、それが免許状を持った者と同等というふうに評価ができるのか。それについてはいろいろ意見があろうと思いますが、私どもはおよそ10年も従事すれば、それで十分評価はできるのではないかと考えまして、そのようにしたものでございます。

○  全般にわたって述べさせていただきます。先ほど学校内の管理体制についてお話がございましたが、特に「第3章」で「学校の自主性・自律性」ということをうたっている以上、そして「校長の権限の拡大」ということをうたっている以上、そのリーダーシップを発揮できるようにと書いてあるんですけれども、校長をどのような人物にするのかということはあまり書いてないような気がいたします。もちろん、これをどう書くかというのは大変ですけれども、やはり実力、人柄ともに魅力ある人物でなければならないだろうと思います。
  私も専門的な集団の管理運営を行っておりますのでよくわかるんですが、専門的集団の場合は、利益至上主義の会社、企業経営などと違って、非常に難しいわけですね。まさに校長の人物次第というところが重要だということを、もう少し書いておかないといけないのではないか。もちろんそれを補佐する組織が必要でございますけれども、あまり管理体制を強調すると、見合った人物でない人物が座った場合には、かえって管理体制のもとに空洞といいますか、管理のための管理みたいなことになっては、これまた逆戻りというような気がいたしますので、そこのところは何か書き方があるのではないかと一つ考えます。
  それから、全体的に地方分権ですから、地方に仕事が増える。そして、規制緩和ということで、基準は大綱化する。柔軟になる。とすると、これがうまくいっているかどうかというのは、どこが評価するのかという問題が、これはここだけの問題ではなく、残っているかなという気がいたします。最初から「校長の自己評価」と書いてあるわけですけれども、それだけでいいのかどうか。大綱化したら必ずそれがうまくなっているかどうか、客観的な評価を教育委員会が結局するということになるのか。これは教育課程審議会の問題でもあるんですけれども、その辺のところがあまり明らかになっていないということが一つ心配になります。
  それと今申し上げた、つまり地方分権ということで、いろいろ書いてありますね。許可のところを届出にするとか、細かく書いてあります。国よりも都道府県の仕事が増え、都道府県よりも地方の教育委員会の仕事が増え、そして学校の仕事が増えるのであれば、それに見合った財源がそのように流れなければならないだろうと思うんですけれども、それがそのようになるのかどうかですね。そして、教職員の予算についても3兆円ということですけれども、今までのいろいろな権利といいますか、そういうものの経緯もあって、一概にはなかなか難しいのかもしれませんが、この3兆円というものを効率よく ―効率よくというのは、経済合理性だけではなくて、本当に成果あらしめるように使わなければならないと思うんです。その辺がちゃんと担保するように書かれているのか。
  私、二、三ヒアリングいたしますと、末端の学校では「前から緩和するというふうに何度も国は言うんだけれども、実際には非常にやりにくい」ということをよく聞きます。実は国のほうがかえって柔軟だということを最近聞きます。どうも中間業者と言うとなんなんですけれども、そこのところでやりにくいようなことになる。そこのところが本当にそのように動くように、これは読み取っていただかなければならない。それが読み取れるリポートになっているのかどうか。それと例えば職員の人数なども、仕事が増えるところに確実に増えるような仕組みになっているのかどうか。そういうふうに流れるのかどうかですね。そこのところが、このリポートだけでうまく読み取れるんでしょうか。
  本当に私たちの子どもが行きたくななるような公立学校になるのかどうか。そうあってほしいと私は希望するわけですけれども、こうやって答申しても、子どもは私立学校に預けたほうが安全だというふうにならないようにするにはどうしたらいいか。その辺のところは確実に運用されることを希望いたします。

○  全体的な感想を一つ。これまでいろんな意見や論点があったんですけれども、そうしたいろんな意見や論点にかなり心配りされ、工夫された文章で書かれているということで、私は基本的には今日出された文章でいいのかなという感じがします。
  つまり、ある論点のある部分を大きく修正すると、それに連動してほかの部分も修正せざるを得ないという、かなり微妙なバランスの上に立っているようなものでして、これは基本的には法制度改正のスタートということでは非常によくできた答申だと思いますので、実際このスタートで動き出しながら、これから地方自治体ないしは学校レベルで、具体的な努力が連動して進んでいくだろうというのが、この答申全体の基調だと思いますの、私はこれで十分ではないかという感想を持っています。
  あと、先ほどお二人の方から、学校選択の機会を拡大するということについて、中教審の中で議論をあまりしていないのに、こういうのを入れていいのかとか、学校選択の機会の拡大を入れた場合に、その方策について云々という話があって、再検討をというお話があったんですが、私はむしろ逆に、「学校選択の機会を拡大」、これくらいの表現はぜひ答申に入れてほしいという希望を持っています。
  というのは、確かに今回の議論の中では、学校選択の問題についてそれほど議論してこなかったのは事実そうですけれども、今の政府全体の規制緩和の動きとか、あと消費者主権の考え方の浸透ということを考え合わせた場合に、ただ単に通学区域の弾力化ということだけでは、その辺の思いというのはどうしても伝わらないような感じがしますし、実際、地方自治体レベルでは学校選択の機会という思想を、通学区域の弾力化に合わせながらやっているところがかなりあるんですよね。
  例えば、私、今、ある地方の教育委員会に入って調査をやっていますけれども、そこの教育委員会はことし、平成10年度から、中学校区単位での学校選択はやっているんですよね。地域という単位をどういうレベルで考えるかということですけれども、従来のような小学校区単位ではなくて、中学校区単位での地域に責任を持つ学校や教育行政システムの在り方、むしろ中学校区単位レベルでの学校選択ぐらいはやらないと、保護者、地域に教育責任を負えないというか、そうしたものを含めた学校づくりがどうしても必要になってくるということで、今、いろんな地域がそうした努力をやっていますので、そうしたことをサポートするという意味でも、やはりこうした文章ぐらいは入れてほしいということです。
  それと、これまでこの審議会の中で議論していなかったから云々ということで、入れることについてちゅうちょするということは、それはやはりおかしいんで。というのは、例えば補助金制度の見直しのところは、私はこの内容自体は非常に賛成でして、確かに審議会の中でも補助金制度の議論はほとんどされてこなかったんですけれども、実際この内容は、今出された地方分権推進計画の中で、負担金、補助金の運用手続の見直しというのはかなり具体的に書かれていますので、そうしたものを踏まえた場合には、当然こうした内容を入れることは当然やられていいと思いますので、政府全体の動向を踏まえた場合に、バランスのよい入れ方はあると思いますので、少なくとも学校選択の機会の拡大ぐらいは入れていただけないかなという希望を持っています。

○  「第3章」につきましては、「校長・教頭の任用資格の見直し」のところですけれども、確かにここで校長、教頭とはっきり分けていただいたということで、前回の案文より大変わかりやすくなってきました。特に「教諭の免許状の所有要件の取扱いについて検討すること。」ということまで踏み込んでいただいているということで、実は全国の教頭会のほうからは、この辺のところを少し具体的に申し上げますと、「及び」以降を外してほしいという要望が私どものほうにもきているということをお伝えさせていただきます。
  それから、先ほどお話があった校長の人物像についてという大変難しいことですが、「校長・教頭の任用資格の見直しと教職員の資質向上」の前半部分をぜひよく読んでいただいて、こういうことに我々は努めていかなければならないと思っております。

○  前回いろいろ申し上げまして、先ほど他の委員の方からありましたように、考え方によっては立場の違いから、必ずしも一致した意見にはなっていなかった部分も、微妙なバランスをとって、ここのところは全体的に、現状と課題については非常に整理されているというのが私の受け止め方です。
  特に校長、教頭のリーダーシップもさることながら、同時に一人一人の教職員がやる気を起こして、将来に対して一定の教職員としての誇りが持てるようなことを、励ます意味も含めて書くべきだということについては、「教職員一人一人が、学校の教育方針」云々というところで、「それぞれの専門性を最大限に発揮するとともに一致協力して学校運営に積極的に参加していくことが求められている」という意味で、それから事務職員等も含めて資質とか、職能の向上ということも含めて書かれていますから、そこのところはかなりの部分書いていただいているということで、そこの部分は評価をしたいと思っているんです。
  具体的な問題で、一、二どうしても申し上げなければならないのは、一つは主任制について、先ほど御意見がありました。私は冒頭申し上げたように、原案に今日修正して書かれたというのは、これから全体として、学校の校長を中心にした協力体制をどうつくっていくか。そして、もっともっと学校を活性化していく、調和のとれた学校にしていくという意味で、ここに書かれていることについて、特段の異議を挟むものではありません。
  問題は、その具体的改善方策というところで、いずれにしても長い一定の対立なり混乱があったことも否定できない事実でありますし、教育関係者がその辺のところを過去は過去として、一定程度きちっと反省総括をしながらも、将来に向かって、学校の体制をバックアップするような校内組織の整備をどうするかということですから、全国的に共通して置くものと、学校の種類や規模、地域の状況に応じて置くもの ―現状も確かにある意味ではこうなっているわけですね。
  先ほどもありましたように、校長、教頭、それを補佐するスタッフ、そしてそうでない主任、一般の教員というふうに、ある意味では補佐する体制が必要だということを私は全然否定しません。ただ問題は、今はそうでもありませんけれども、一時期、経営層、管理層、作業層ということで、いわゆる宗像・伊藤和衛論争というのがひとしきりあった。そういうものをまだ整理しきれない中にありまして、そういう点から、分けて考える。
  そして、私はやっぱり「抜本的に検討する」ということは必要だと思いますから、そこの部分については異論がありませんが、表現の仕方について、これから関係者がテーブルに着いて協議をしていく上で支障にならないような観点。特に前段で書かれています、これから「総合的な学習の時間」とかを含めて、カリキュラムの編成が学校にとって非常に大事になってきますから、新たな教育課題に対処するためには、今までの主任だけでいいのかどうか。そういう意味では、私は抜本的に検討するということは必要だと思います。そういう意見を申し上げておきまして、事務局のほうでも座長を中心にひとつ御検討いただければと考えております。
  それから、定数改善問題。仕組みのほうの問題はよく理解できるんですけれども、その他関連する問題ということで、前々から何回も議論になっておりますけれども、第一次答申で出した教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけるということをもう一度取り上げまして、そういったものを含めて、教育条件の整備に十分配慮すべきだというような締めくくりになっているくだりがあります。それはそれとしてわかるような気もするんですけれども、これは二次答申のときにも会長に私も何遍かこのことを申し上げまして、財政構造改革に関する特別措置法が議論されているときだけに、中教審としては欧米の水準に近づけるということについて、次の定数改善計画 ―他の委員の方からも何回か強調されていますけれども、今、現場の関心はそこのところに集中して、十分配慮するという、まあ大蔵省などもにらんでそのように書かれたかもしれませんけれども、ここのところはもっと思い切って、次の定数改善計画の策定に当たって十分行き届いた、きめ細かい多様な学習形態等を含めてやれるような、2002年からの完全5日制の問題やカリキュラムの大改訂もありますから、それに合わせてそういうことが可能になるようにするというのを、もう少し強くここはアピールできないのかなということを意見として申し上げておきます。
  表現については、いろいろ配慮されているんだろうということもわかるんですが、財革法凍結か、廃止か、いろいろ議論もある中ですけれども、ここのところは特に会長の政治的な発言力も含めて、ひとつ政府に対して大きく物を言っていただきたい。そのことがある意味では雇用の創出という経済団体などが主張されていることにも、結果としてはつながっていく。今からは情報とか、教育関係でなければ産業構造の中で人を増やすということはなかなかできない面もあるので、私はそのことを強く申し上げておきたいと思います。

○  今度の答申は、「21世紀に向けた地方教育行政の在り方に関する調査研究協力者会議」を引き継いで、今まで審議してきたわけですけれども、全体的に一つの方向性といいますか、答申としてのあれが明確になってきたのではないかという面で、こういうことでいいのではないかと思っております。
 答申ですから、ある程度方向性をきちっと示すということはものすごく大事ですし、だからといってあまり細かいことまで触れますと、答申を受けまして、行政当局が具体的な政策を講じていくわけでありますから、今回の文章は非常にわかりやすくもなっていますし、結構かと思います。
  感想としては、この地方教育行政は地味なんですけれども、ある面では画期的な考えで、今まで例えば「開かれた学校」という割合抽象的な言葉で言っておりましたけれども、こういった「学校の自律性・主体性」といったものを踏まえますと、これからの学校の透明性とか、責任性とか、あるいは納税者にとってみれば、税金を納めたことに見合う教育効果を学校に期待するでしょうし、その中で、学校選択の自由というか、そうは言ったって、日本の場合、そんなに激しく行われるわけではありませんけれども、やはり臨時教育審議会以降、ある程度の学校通学区域の拡大なんていうことは言っているわけですし、いじめだけでなくて、そういう考え方があるわけですから、この線でいいのではないかと思っております。

○  実は私が言おうと思っていたことは、先ほど他の委員の方がおっしゃったので、多少繰り返しになりますけれども、私も長期の見通しとして、教員の定数改善がいずれは行われるべきだと思っております。これは既に御指摘のことですから、繰り返しませんが、会長の政治力は重要だと思います。それから、前会長が文部大臣になられたというのは、全くチャンスなので。なぜかといいますと、この点について、前会長時代にもっと強く言わなくていいのかという発言をされたことがあるのですね。ですから、今、最良メンバーが会長と文部大臣におられるので、ぜひこのとき何か出しておいたほうがいいのではないかと私は思います。
  もう一つ、戻ってしまうんですけれども、情報網の整備のところで、私、現状を知らないので、発言を控えたのですけれども、インターネットとか、コンピュータを導入するときに、実際現場ではどのくらい導入されているのかわかりませんが、こういうものを入れようとすると、非常に抵抗されるのではないかという気が私にはあります。というのは、当面、仕事が増えてしまうんです。
  なぜこんなことを言うかといいますと、私が勤めている財団で、今、私が何度言っても、職員がサボタージュしてパソコンを入れないという事態があります。考えてみますと、職員のほうから見れば、目が悪くなるのではないかとか、一時的にはすべてインプットするのが相当な労力ですし、それから覚えなければならないんですね。そういったようなことを考えると、嫌がるということが随分あるんだろう。
  で、それが現在どのくらい行われて、スムーズにいくのかどうかということを、説得的に、やはりそういうことはやらなければならないことで、大変だろうけれども、徐々にでもいいから実施していくということをしっかり書いておく。何か説得力が必要と思います。モデル校でうまくいっているのが、そのまま簡単に進むというような楽観主義に立っているようですが、私は必ずしも楽観的でないので、ちょっと申し上げました。

○  今の問題ですけれども、今、19%ぐらいの学校でインターネットが入っていて、2003年までには全部の学校にインターネットが入るということです。先ほどご意見のあった人材の育成というのは非常に大事だと思います。これは教課審とか、教養審マターで、養成・研修についてはそうだと思うんですが、情報網の整備の部分の文脈でいくと、できれば図書館の司書教諭というのが平成15年から必置 ―大規模校でしょうけれども、必置になるので、それのファンクションとして、メディアセンターを扱うような機能が入っているんですが、それを重点的にして、そういう機能を待たせるということをここら辺で書いていただけるとありがたい。司書まで含めてですね。これが1点です。
  もう一つ、放送大学のCSの話が出ておりまして、これは大変結構だと思うんです。さらに、各都道府県の教育センターや社会教育施設に衛星ネット網が今度できてくる。これは文部省が力を注がれて、補正でお取りになったのが実現してくると思うので、その辺の活用を探したんですけれども、どこにも出ていないので、地域のほうに何か入ってもいいかなという気がしております。
  それから、ついでで申しわけありませんが、通学区域の問題は、私は何回か発言をさせてはいただいているんです。通学区域の選択をしたらどうだろうかということは、御議論はあまり深まらなかったけれども、発言させていただいているので、取り入れてくださった分もあるのではないかと思っております。
  最後にもう一つ、地域教育連絡協議会。これは何度も言っているんですが、こういう書き方でいいと思うんですが、それの構成メンバーとか、事務局をどこに置くか、責任主体はだれか、市町村の教育委員会がたぶん責任を持ってやる。地域の特性によっては、首長部局が主体性を持ってやることもあるいは含まれて、こういう書き方になっているのかと思うんですが、だれが責任主体を持って、どう運営するかというイメージがある程度後ろにあって、こういう書き方になっているならばよろしいかと思いますが、一度御検討いただければと思います。

○  前々回ですか申し上げたことでもあるんですが、教職員の資質向上というところで、職員に関するコメントがあるんです。これは前々回申し上げていましたから、言わないでもいいかと思ったんですが、今もお話がありましたので。養護教員、学校事務職員、学校栄養職員というコメントが出ていますので、今の司書の話ですね。総合学習の時間というのは、結局、司書がどう活躍するかというのに大変かかわってくるわけだと私は思っているわけです。というのは、総合学習の時間は、教科縦割りを外してという話になると、司書がいろいろな情報のセンターとして役割を果たせるという、刺激といいましょうか、そのポイントになるという、そのことをここに書けるのかどうか。
  つまり、お金の問題がかかわってきますし、司書に関してはまだ認知されていませんので、平成15年というお話を今お聞きしたんですが、そうであれば「15年を目途に」というような感じでもいいんですけれども、何かやらないと、総合学習の時間というのは現場でものすごく大変ではないかという気がします。その辺のところはコメントできるのかどうか、その点だけ。

○  ありがとうございました。まだおありかもしれませんが、次回、9月2日にもう1回、小委員会の機会がございますので、そこでご意見を伺いたいと思います。
  いずれにしても、きょうはお示しした文案に基づいて、大変前向きのと申しますか、失礼に当たりますが、建設的な、またお励ましのような御意見をいただきましてありがとうございました。次回に向けてできるだけ組み入れる形で、修正すべきものは修正して、次回にお諮りするということにさせていただきます。
 そこで、きょうの小委員会の最後ということで、会長に一言。

○  大変に御熱心な討議をありがとうございました。義経の八艘飛びとは言いませんけれども、五艘飛びか六艘飛びぐらいされているのかなという感じでございます。河野座長を初めとして、委員の方々、いろいろとありがとうございます。
  私の考えていることを若干申し上げておきたいと思うんでございますけれども、敗戦による民主化教育ということが、ずうっとこの50年行われてきて、教育の機会均等というか、まれに見る教育レベルの高い、進学率の高い、先進国に日本はなったわけで、そういう意味では、日本の教育行政はかなり光の部分を持っておると私は思っております。サッチャーあたりが「読み書きそろばん」を改革の柱にしたというのは、やはり日本というものを非常に意識したわけでございます。
  ところが、一方において、物事にはすべて光と影があるわけでございまして、その影の部分が今問題になってきておる。それは一言で言えば、人間性の疎外という大きな問題だと思うんです。そして、この中教審で現在取り上げてまいりました心の教育の在り方というのと、きょうの御論議の教育行政の在り方は、まさに車の両輪というか、そういうものを通していかにして人間疎外を打ち破っていくかというところに問題があると私はとらえております。
  この「地方教育行政の在り方」というのは、ある意味では「地方」という字がなくてもいいわけですね。「今後の教育行政の在り方」というようなくらいの歴史的な意義を持っているものだと私は理解しておるんです。それをさらに一言で言えば、従来の日本の教育行政をどこまで自由化していくかということに尽きるのではないか。そうすると、自由化ということをどういうベクトルでとらえるかということになりますと、先ほど来皆様からお話がございましたように、「規制緩和」とか、あるいは「官から民へ」、あるいは「中央から地方へ」というような三つぐらいのベクトルがあるかと思います。
  その中で、本日討議した中で、「中央から地方へ」というのは、どこまでを地方へ委譲していくかということはかなり明確に書いてあるわけです。「官から民へ」ということについては、私は非常に大事なことだと思っておるんです。ということは、仮に中央から地方へ移管されても、その地方の公共自治体がセミ中央的なビヘイビアをとるのであれば、あまり意味がないんですね。そうすると、すべての根幹は民なんですよ。
  そういたしますと、例えば、地域住民に教育委員会の討議を公開するとか、あるいは評議員制度を設けるとか、あるいは前回、私が申し上げた公立と私立とのアライアンスを提言するとか、散発的には書いておるんでございますが、「中央から地方へ」というところにかなりのものを割いているわけであって、「官から民へ」ということについて、もうちょっと最初の出だしか何かにトーンを置いて書いていただいたらどうかなという気が一つしております。
  それから、「規制緩和」ということは、これはひっくり返して言えば、競争ですね。つまり、競争促進型の教育行政にしなければならない。それはどういうことかといえば、学校と学校の競争ですよ。その学校と学校の競争というのは、公立学校と私立学校の競争もございましょう。公立学校と公立学校間の競争もあるし、私立学校と私立学校の競争もある。そういう競争条件のもとで、よい学校ができていくと私は信じておりまして、その意味では、先ほど来御討議ございました一通学区域・公立一校という制度はもうやめるべきではないか。ですから、これをやめるに当たって、相当いろんな弊害が出てくるかもしれませんけれども、そのくらい思い切った方針が必要ではないか。そして、私立の学校を設けるに当たっての許可基準の緩和とか、そういうものもあわせ「規制緩和」の中において考えるべきだと思います。そうしますと、その背景に、学校教育法、学習指導要領というようなものがあるわけでございまして、この辺で今後、文部省としては教育行政の自由化に即応した体制をどのようにとるのかというのが問われているのではないかと思っております。
  それから、評議員制度というのは、私、大変結構だと思いますが、教育委員会と評議員会の関係が、もう一つわからない。したがって、考えようによっては、イギリスのように学校理事会ではありませんけれども、一つにしてしまうという考え方もあるわけでありまして、この辺を文部省のほうでどのように考えておるのかという懸念がございます。
  それから、最後に、これから日本がどういうふうに変化していくかということを考えますと、先ほどちょっと御意見がございましたけれども、一段と産業構造が変化していくわけです。要するに保護者の方々の働き場所もかなり変わってくる。最近言われているエンプロイアビリティーを日本は高めていかなくてはいけないわけです。そうしますと、学校というものを一つのメディアとして、地域の振興とか何とかということがございますが、これは文化的なことを言っていると思うんですけれども、それはもちろん結構でございますが、やはりその地域社会の有効求人倍率を上げるような、つまりお父さんに職がなかったら、子どもなんか教育できませんよ。ということは、やはりエンプロイアビリティーを上げるために、それぞれの地域の学校機関を使ってどういうことができるのか。これは労働省、あるいは通産省やなんかとの関係にもなると思いますが、先ほど来、経済団体というお話がございますので、エンプロイアビリティーを上げるための教育。
  これをもっと申し上げていくと、私は子どもに勤労というものを教えなければならないという考え方を持っておりまして、先ほど来、情報システムとか、いろんなお考えが出てきておりますが、これも結構でございますが、結局、人間の基本的な問題として、働くことね。勤労というものの尊さというか、そういうものを絶対に子どもに教えなくてはいかんと思っているんです。これはきょうの本題と外れますけれども、そういうものを含めて、地域社会との関連でエンプロイアビリティーというものを入れていただけないか、こんな気がしております。
  結局、座長からもちょっとお話がございましたけれども、これを出すに当たってのまとめというか、一つのカバーリングというものをおつくりになるでしょうから、そこで皆さんの考えている理念というか、要するにこれをやることによって、我々は何を目指しているのかということを相当はっきりと入れ込んだらいかがかなと、そんなような感じがしております。

○  ありがとうございました。それではきょうの議論はこれまでにさせていただきます。次回の小委員会では、本日いただいたいろんな御意見を詰めていきまして、今日の答申文案をさらに修正すべきものは修正してもう一度お諮りし、小委員会としての最終的な討議を行いたいと思います。そして、9月11日に予定されている総会に、小委員会としての答申案を報告して、御討議をお願いしたいと考えておます。
  以上で、本日の会議は終了いたします。きょうはどうもありがとうございました。

(大臣官房政策課)

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