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中央教育審議会

 1998/6 議事録 
今後の地方教育行政に関する小委員会 (第22回)議事録 

 地方教育行政に関する小委員会(第22回)

  議  事  録


  平成10年6月22日(月)  13:00〜15:00
  霞が関東京會舘  35階    ゴールドスタールーム


    1.開    会
    2.議    題
        今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会


    出    席    者

委員 専門委員 事務局
河野座長 安藤専門委員 富岡生涯学習局長
薄田委員 石原専門委員 近藤審議官(初中教育局担当)
坂元委員 大山専門委員 御手洗教育助成局長
田村委員 岡田専門委員 早田主任体育官
横山委員 尾木専門委員 高   総務審議官
児島専門委員 杉浦政策課長
蓮見専門委員 その他関係官
藤波専門委員
堀内専門委員
山極専門委員
和田専門委員


    意見発表者(◎)
      1  日本PTA全国協議会
          ◎岡部観栄(会長)
      2  全国高等学校PTA連合会
          ◎関   俊平(会長諮問委員会委員長)
             木本由孝(会長)
      3  全国公民館連合会
          ◎松下  誠 (副会長、常務理事)
      4  全国子ども会連合会
          ◎白鳥省吾(副会長)
             宇田川光雄(常務理事)
      5  日本体育協会
          ◎竹田  弘 (事務局長、理事)
             米澤貞弘(総務部長)
      6  全国公立文化施設協会
          ◎鈴木滉二郎(常務理事、東京文化会館副館長)

○  それでは、ただいまから第22回地方教育行政に関する小委員会を始めます。お忙しいところを御出席いただいてありがとうございます。
  特にヒアリングをお願いしました関係団体の方々には、本当にお忙しいところをおいでいただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、初めに配付資料の確認からお願いいたします。

  <事務局より説明>

○  それでは、日本PTA全国協議会会長の岡部観栄さん、それから全国高等学校PTA連合会会長諮問委員会委員長の関俊平さん、それから全国公民館連合会副会長・常務理事の松下誠さん、それから全国子ども会連合会副会長の白鳥省吾さん、それから日本体育協会事務局長・理事の竹田弘さん、そして全国公立文化施設協会常務理事の鈴木滉二郎さん、鈴木さんは東京文化会館副館長でございます。
  以上の方から、まず意見発表をお願いしたいと思います。その後、御一緒にいろいろ質疑応答をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、まず岡部さんからよろしくお願いいたします。どうぞ。

○岡部意見発表者  ただいま御紹介いただきました日本PTA全国協議会の岡部でございます。初めに、このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。中間報告につきましては基本的には非常に立派な考え方が示されていると思っています。しかし、今後どのような施策になるか、具体的な提案を示していただきたいと思うようなところもございます。
  最初に、中間報告の基本的な考え、教育行政の地方分権化、また学校の自主性・自律性の確立、住民の学校運営参加という方向に賛意を示したいと思っております。国が多様性を失い、単純な文化で支配されるとき、その国は衰弱すると言われておりますが、地方の多様性を育て、個性ある教育が展開されることは、教育界のみならず、我が国の未来にとっても大変喜ばしいことでありますし、地方や学校への思い切った権限委譲を行うようにお願いしたいと思っております。
  ただし、単純に権限委譲を行えばよいというわけではないような気もいたします。なぜならば、現実が理想どおりにいくためには、ある程度の条件が備わっていなければならないのではないか。特に教育行政の地方分権化を進めるためには、やはり教育委員会が相当の行政能力を持つことが最低条件になるのではないか。また、住民が学校運営に参加するためには、住民が相当の公共精神を備えていることが条件になるような気がいたします。そのように地方分権を成立させるための条件について、中教審がどのような御認識を持っているのか、また条件が十分でないとするならば、それにどのように対処するべきなのか、ぜひとも答申の中で示していただければありがたいと思っております。
  とりわけ学校の自律性・自主性を確立するためには、管理職と教職員が対立することなく、一致努力して学校運営に当たることが条件になるのではなかろうか。このことにつきましては、日教組等の今後のパートナーシップ路線に期待をしておるところでございますけれども、各都道府県組合の対応はいまだバラバラな状態ではないか。そのことにつきましても、中教審がどのような見解を持つのか、示していただきたい。
  また、地方分権のためには、自治体が分権に見合った財源を独自に持つことが条件になるのではないか。分権に必要な財源を、政府は自治体にどのように措置するおつもりなのか、ぜひ御検討いただき、またそのようなことも答申で触れていただければありがたいような気がいたしています。
  また、中間報告全体のトーンといたしまして、これは仕方ないのかもしれませんし、歴史的にもそうなのかもしれませんけれども、学校教育のほうから見た考え方にどうも偏りがちであるという気がいたします。私どもは社会教育団体でありますので、今後、ぜひとも逆の立場から見たような考え方も入れていただければありがたいと思っております。
  時間がないので、簡単に申し上げていきたいと思いますけれども、「第4章」の「学校の自主性・自律性の確立」については、1番目は、個々の文章が出ておりますけれども、校長の責任として処理することと教育委員会として処理すべきことを整理統合する。その中で、特に学校に権限を委譲することにつきましては大賛成なんでございますけれども、学校の管理職と先ほど申しましたように教職員が手をとって仲良くやってもらうということが、パートナーシップの確立ということですけれども、それはぜひとも必要ではないかと思います。
  また、今のままで学校長に権限を委譲されましても、それは現場として混乱するのではなかろうか。例えば、100人ぐらいの教師がおる学校につきましても校長は一人でございますので、管理体制をしっかりする必要があるのではなかろうか。言い換えてみますと、中間管理職といいますか、そのようなことも今後考える必要があるのではなかろうか。
  また、住民の学校運営への参加ということでございますが、最も肝心の「学校が保護者や地域住民の意向を把握、反映するための仕組み」のところについては、私は学校に保護者や有識者、地域住民の意向を確認する仕組みをつくるということを言っておられると思うんですが、これは学校レベルでそういうことが必要なのかどうか。欧米に見られる同様の組織では、教職員と保護者が一定の割合で委員会をつくり、生徒の学校生活全般について話し合う場にしていると聞いておりますけれども、この部分につきまして、どうしても現在のPTA活動と重複する部分もございますので、今後、それはPTAの意向を詳しく聞きながら進めていかないと、別な組織がまたでき上がってしまうということで、現在のPTAが生かされないということにもつながってくると思いますので、御注意をお願いしたい。
  次に、「第5章」の「地域コミュニティの育成と地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」の部分でございますけれども、まず地方にありまして生涯学習につきましては、学校教育と社会教育、あるいは文化・スポーツなどあらゆる行政を学習者の視点から体系化する理念だと私は理解しておるんでございますが、どうしても地方行政にあっては、単に社会教育課が生涯学習課に名前だけ変わったところが多いのではないか。そのような考えから、生涯学習ということの位置づけといいますか、定義づけといいますか。また地方にあって教育委員会そのものが、総務課となるべきようなところが生涯学習課ということにならなければおかしいのではないかと思っておりますので、その辺の一貫性が必要なような気がいたしております。
  また、家庭教育のところにつきましては、私は大賛成でございまして、極めて私的な分野でありますが、これまで教育行政が避けて通ってきたところだと思っております。このため、この部分は厚生行政の児童福祉分野として取り扱われてきたのではなかろうかと思っておりますが、このたび教育行政も大いに家庭教育のことについて触れてきたということで、大賛成であります。
  ただし、今、子どもを思う親の気持ちというのは、私は基本的には昔とあまり変わりはないと思うわけですけれども、今の家庭教育の問題は家庭自身の問題というよりも、家庭を取り巻く環境の問題と言ったほうが適切ではないか。特に家庭を取り巻く教育環境の悪化、例えば劣悪な番組を流し続けるテレビとか、少女ヌード等を載せた漫画雑誌であるとか、そういうものが非常にはんらんしておりまして、今は家庭自身の問題というよりも家庭を取り巻く環境の問題とむしろ言い換えたほうがいいのでないかという気もいたしております。その辺についても、今後、ぜひともよろしくお願いしたいと思っております。しかし、家庭教育については、私は大賛成でございます。ただ、PTA等の教育団体に対応を押しつけるばかりでもいけないのではなかろうかと思っております。
  次に、「第6章」の「学校以外の教育機関の運営の在り方」というところでは、地方教育行政の中で学校に次いで最も重要な教育機関は、私は公民館であると理解しております。その公民館について、国の教育行政の方針が少し見えにくいということが言えると思います。学校教育のほうにどうしても重点が行きがちで、社会教育のほうが少し軽視されている点があるのではないか。今後は社会教育及びその中心機関である公民館の在り方について、もっと議論していただくようにお願いいたします。
  また、公民館の指導者の養成についてはどのようにお考えなのか。やはり学校における教員と同じように、公民館における社会教育主事や公民館主事は大切だと思いますし、公民館や図書館の指導者の養成、資質向上を真剣に議論していただきたいと思っております。
  また、学社連携の時代には、学校教育と社会教育の両方の垣根を低くしなければならないのではないかと思っております。このためにも一歩踏み込んで、例えば市町村教育委員会の中に学校職員、公民館職員、図書館職員の連絡協議会を設置するなど、学社連携を促進するための組織を設置させてはどうかと思っております。
  社会教育団体として、社会教育の今後について議論を深め、答申で方向を示していただくことを期待いたしております。

○関意見発表者  全国高等学校PTA連合会の関俊平です。現在、連合会の会長諮問委員会の委員長の任に当たっております。よろしくお願いいたします。
  このたび中央教育審議会の場におきまして、私どもの意見発表の機会ということでもって、この場を設けていただき大変感謝を申し上げます。本日は、私のほかに、当連合会の会長も見えておりますので、後ほどまた御質問等があればお話もいただけると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  なお、私どもがこれから申し上げますことは、従来から高P連といたしまして主張している部分でございまして、せんだってもこの取りまとめに当たりましては、各県連の連合会のほうへそれぞれの意見を聴取いたしまして、まとめ上げてきたものでございます。そういう意味で、高P連の全体の意見としておとらえいただければと思っております。
  本日は、「第4章」以降の事柄を主にということで御案内がございましたので、ここを重点的にお話したいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
  早速ですけれども、私ども、健全な青少年育成のためのよりよい教育環境づくりと、PTA会員の高校教育に対する意識の向上と啓発を大きな目的としている団体でございます。子どもたちがその入学目的を達成するために、心置きなく学校生活が送れるような環境の確立を心から願っている団体でもございます。
  ところで、このような私どもの願いというのは、学校の健全な運営に大変大きくかかわっていると我々は考えております。すなわち、校長先生を頂点とした学校が、公教育の場としてふさわしい運営あるいは経営を実現しているかどうか。この問題は私ども大変関心があるところでございます。最近の一部新聞報道にもあるような、学習指導要領を大きく逸脱したり、あるいは偏向的に見られる教育を可能にした校長の指導力の有名無実化といいますか、指導力の低下の問題につきましては、我々は学校運営の紊乱ととらえて、最も大きな関心事として認識しております。
  学校の健全な運営、すなわち学校の自主性とか、自律性の問題は、大きく校長の権限とその立場の問題にかかわっていると思っております。権限で言えば、人事権とか、あるいは予算に関する裁量権と思われます。また、立場という意味では、学校における校長の位置づけです。無論、校長先生の職制上の位置づけは当然それを制肘するものはないとお見受けいたしますけれども、実際の教育現場における校長の権限の実態は、必ずしも理想的でないように感じます。特に職員会議との関係等につきましては、大変複雑な問題があるようで、また確執もあると伺っておりますし、そのように見受けられる局面もしばしば目にしております。
  学校運営や学校づくりにつきましては、校長先生が一人で背負うものでないことは、もちろん当然のことでありますけれども、学校の最高責任者である校長の経営方針の一つとして行う教員の適材適所への任用や予算の裁量などは、経営上不可欠の要件だと考えます。
  また、校長の任期については、大体現行では二、三年ぐらいのようでございます。聞くところによりますと、3年のほうに移行しているようなお話も伺いますが、これでさえも甚だ短いのではないかと考えます。いわゆる生徒や保護者はもちろん、特色ある学校づくりに不可欠な地域住民との交流につきましても、校長先生の任期が二、三年というのでは、なかなかそれは絵に描いた餅のごとくでございまして、交流を深めていくという段階までは踏み込めないのではないかと考えております。いわんや教員のほうから見れば、どんなに高邁な理想を説かれても、またどんなすばらしい学校プランを示されても、しょせんは腰かけ的な存在でしかない、あるいはそうしか映らないという校長像になっていくのではないでしょうか。当の校長にしましても、2年間とか3年間では何ができるんだろうというジレンマもあるのではないか。そのような葛藤の中で学校運営をされているとお見受けする部分であります。
  だれから見ても印象の薄い、存在感に乏しい校長では、目指す学校運営とはほど遠いものとならざるを得ません。こういう問題につきまして、人事権、裁量権の大幅な拡大が必要ではないかと感じております。今後、校長の権限については、行政のみならず、いわゆる社会通念の上からも広く議論されるべきものと思います。
  次に、教育はだれがやるのか、あるいはどこでやるのかという問題も、我々としては感じます。現在の、文部省が教育委員会を指導し、教育委員会が学校を指導する、学校といいますか、校長先生を管理するという行政的な手法をダイナミックに転換することができないんだろうか。すなわち、文部省は教育委員会を、教育委員会は学校を管理・指導するばかりでなく、校長の学校運営に大きくサポートしていくという立場で、教育行政を推進することはいかがなものだろうかと考えます。教育委員会が校長に対して相応の権限を付与し、かつ付与した権限を管理するばかりでなく、運営に当たって支障を来さないようなサポートは、いずれにいたしましても考えるべき問題ではないだろうかと感じております。
  このような中で、学校づくりに大きく寄与してほしいという部分がございますが、そのことが、すなわちPTAの学校に対する協力の心をより一層大きく持たせるものではないだろうか。学校運営につきましては、学校の教員だけがつくるものでなく、やはりそこに通う生徒の保護者であるPTAの団体も大きく寄与するべきものととらえております。すなわち、そこにはPTAを経験した地域の住民も当然含まれてくるべきものと考えますし、そのような地域活動を含めた相互補完が今後必要ではないだろうかと感じております。
  また、これまで社会現象にまで発展しましたいろんな問題、例えばいじめ、薬物乱用、あるいは不登校、校内暴力等々につきまして、その実態を把握し、効果あらしめる対策を講じるために、保護者や地域住民の意識や行動等のアンケート調査なども、これから積極的に進めていくべきものと思いますが、直接子どもにかかわりを持つPTAがこのような活動を受託をしたり、あるいはこれに対して積極的に参加することが必要ではないかと感じております。
  また、PTA自身が社会教育団体としての自覚の中で、その特性を生かした活動を展開することが、逆にそこで我々の教育力に寄与するものと考え、ややもすると学校に押しつけていた感の強い家庭教育の分野、あるいは地域教育の分野にも大いに明るい光が差してくるのではないかと感じております。このような活動が有効かつ適切に推進されれば、学校へのサポートにもつながり、それが相乗効果を高めて、さらに保護者や地域住民の教育に対する意識の向上にもつながるのではないかと考えております。
  学校が学校本来の教育に専念できるように、家庭の教育力、あるいは地域の教育力をつけることが何よりも大事であり、それにより生じた学校教育の余力が、また一層教育現場での充実を導き出すのではないかと考えております。以上、意見発表といたします。

○松下意見発表者  全国公民館連合会を代表いたしまして、きょうは考え方を申し述べて、御理解、御協力をいただきたいと思います。
  きょうの団体の多くの方々と競合する面が非常に多いと思いますが、そのうちの最も公民館連合会に関係あるかと思われるものを御説明を申し上げたいと存じます。
  公民館を初めといたしまして、社会教育施設の見直しを図っていただきたいということであります。公民館を初めといたしまして、少年自然の家とか、女性センター、市民会館、コミュニティセンター等、そういう施設がありますが、それらはそれぞれの目的で設置されているのでありますが、共通点は学びの場の施設であるということが言えると思います。公民館が各地域に設置されていることから考えあわせて、公民館はこれら施設の中心的役割を果たすよう努力をしているんですが、全国どこに行きましても、「公民館」という名前だけは一番浸透していると思います。これは50年以上の歴史を持っておりますし、最近の言葉で「市民会館」とか、「コミュニティセンター」とか、いっぱいありますが、例えば列車の大きな事故があったりなんかしますと、すぐ公民館。地震があっても公民館。公民館といえば地域住民はだれでも知っているとおりでありますので、その公民館がやっぱり先ほど申しました教育的な施設の中心的な役割を今後も果たしていかなければいけないのではないかと思います。
  それには教育委員会が指導、支援をなお一層強化していただきたいと思いますし、先ほどどなたかの御意見にもありましたが、関係同士の融合といいますか、協力体制をもっとしっかりつくっていただいて、教育委員会がそういうところにも出席したりして指導していただきたいと思うんです。
  例を挙げますと、私のところの公民館なんかですと、年1回の総会とか、利用者団体の集まりとか、そういうところにぜひ出てきてくれということで、教育委員会の関係の方に来てもらうんですが、年に1回ぐらいですが来て、「非常によかった。今度はちょいちょいこういうのに呼んでくれれば」ということを言いますが、呼んでも来られない事情が多かったり、また仕事が多かったりして来られないんですけれども、ぜひ教育委員会は公民館を初めとする団体の指導強化をしていただきたいということをお願いしたいと思っております。
  次に、学校週5日制にかかわる公民館の役割でありますが、現存する少年団体、子ども会、スポーツ少年団  ―これはきょう体育協会の方が見えておりますが、日本体育協会で各市町村にまで浸透しているスポーツ団体でありますが、そのスポーツ団体等を助長していただきたい。これも教育委員会がほったらかしていると、そこのスポーツ少年団はずっとしぼんでしまう。市町村の教育委員会に熱心な体育課の指導の方がおられますと、そのスポーツ少年団は活発な活動をしているということからすると、先ほど来申しましたように教育委員会がかかわって、指導・助言をしたり、また事業の共催等についても援助をしてくれるということが大事かと思います。
  次に、私はいつも思うんですが、5日制というのは、素人ですけれども、家庭に子どもを帰すということに簡単に言えばなっているように思うんです。つまり、家庭にいることが多くなる。ところが、家庭はどうかというと、お母さんはパートに行っていない。あるいは、ほとんどのお母さんは、今は昔と違いますから家庭にいない。子どもが帰ってきて、「お帰りなさい」と言う人がいないという状況です。第2と第4土曜日も、銀行とか、公務員、大きな企業もお休みですが、恐らく日本全体の半分ぐらいは休みはないんだろうと思うんです。子どもがうちへ帰れば、お母さんもいない、お父さんもいないということになりますから、行くところは子ども部屋を持っている友達のうちへでも行くか、あるいは歓楽街へでも行くか、そういうことになってしまう。それを公民館で引き受けるようにしまして、そこで子どもに対して学校の果たせなかった役割をやってやる。
  一例で言えば、子ども祭りなんていうのもそうですし、それから親子の英会話教室もそうですが、そんなような事業がいっぱい、今は公民館が  ―昔はあまりなかったんですが、最近はそれを非常に取り入れております。
  そういう状況でありますが、特に私は、今のように家庭に帰したんだけれども、家庭は留守だということが現実でありますから、公民館が、子ども会とか、スポーツ少年団とか、そういうものを集めて、教育委員会と一緒になって指導してやるという形がいいのではないかと思います。
  特に私が最近感じますのは、母親教育というものを徹底していただきたいと思うんです。お母さんは、進学指導のときに中学校に行って、先生に会う。これはいやでも応でも行くし、また進んでお休みしてまでも行きます。それと妊娠しまして産婦人科へ行くときも、大抵の人は妊娠しますと行くはずでありまして、ドクターの指導を受けたりします。それから、スポーツ少年団に母集団というのがありますが、そういう母集団はお母さんが積極的に少年団を援助して、手伝いをしてくれているんですが、そういうところではお母さんがたくさん見られます。そういうところでは、お母さんにいい教育になるようなことをしているわけですが、ふだん母親の教育はなされておりません。私は、30年ぐらい公民館長をやっていたことがあるんですが、そういうお母さんを全部集められるのは、先ほど申しましたような産婦人科の先生に来てもらって、子どもたちが成長するまでの話をするということをやって非常に喜ばれて、予定よりも人数も多く集まったりして、いい結果があったように思います。
  3番目に、地域の中に少年団を組織する取組ですが、先ほど申しましたように、非常に熱心にやっているところもあるし、弱いところ、ないところがあります。教育委員会はこっちに頼るけれども、一般の人は教育委員会の御指導はよく聞くんですね。熱心の度合いという点でも、教育委員会が力を入れてくれているから、こうやりますということになりますので、ひとつ弱いところや、ないところは、教育委員会が実情を把握いたしまして、地域のボランティアに働きかけて、組織活動を強化していただきたいと思っております。
  それから、夏休み、冬休み等に集団宿泊研修とか、林間学校とかありますが、これは地域で公民館なり子ども会がやっているのもありますけれども、学校教育の中に少年自然の家というものがありまして、修学旅行に行かないで、そこで泊まらせてそこで体験をする。子ども会だったら年齢上下にかかわらず、学校の場合は修学旅行を兼ねちゃうのと同じことになりますが、そういうところで親睦を図ることが子どもたちにも非常にいいと思われます。
  なお、5番目は、先ほど来からお話がありましたように、社会教育の施設を持っている団体との連携・協力を図ることが大事かと思っております。以上で終わります。

○白鳥意見発表者  それでは、全国子ども会連合会の立場で申し上げます。中間報告につきましては、この方向で論議されることを期待いたします。
  「第4章  学校の自主性・自律性の確立について」ですが、「3―(2) 」の校長・教頭への任用資格の見直しについては、学校と地域社会との関係から、社会教育について深い識見を持っていることが求められます。
「3―(3) 」の教員以外の専門性を持つ者の活用についてですが、一人の教師があらゆる分野に精通しているとは限りませんので、特別活動や道徳教育などでの活用が期待されます。このことによって、学校の囲い込みの中から学社融合に進展するものと考えられます。
  「4―(2) 」の学校教育活動への地域の活力の導入・活用についても同じ意見です。
  「4―(3) 」の学校が保護者や地域住民の意向を把握・反映するための仕組みとして、地域の特性に応じて、学校協力会など、現行の教育委員会、校長の権限を前提として組織し、学校が地域住民の意向を把握し、反映していくことが必要だと思います。
  「第5章」の「地域コミュニティの育成と地域振興に教育委員会の果たす役割」ですが、「2―(1) 」の生涯学習を中核としたまちづくりの取組の推進、生涯学習社会構築の人づくり、まちづくりは、教育行政と一般行政が一体となって行うべきで、総合行政として首長部局との連携を図っていくことが重要だと思います。「4―(1)   」教育委員会と首長部局等との連携の促進についても同じような意見です。
  まちづくり、人づくりの基本は子どもたちです。各青少年団体はその活動・発展を模索しております。ボーイスカウトの女性参加のこと、子ども会の幼児会員の4歳からの会員範囲の拡大など、行政の理解と支援を期待しております。
  「2―(2) 」の地域教育機能の向上では、子どもたちの生活の場、地域を基盤としてかかわるPTA、青少年団体は、多様な団体の力を結集して、地域の教育力向上を図るために協力し、教育委員会は積極的なコーディネートの役割が期待されます。
  「第6章」の「学校以外の教育機関の運営の在り方について」ですが、公民館等の社会教育施設は、学校週5日制の実施に伴い、大いに利用されることになります。しかし、公民館は大人の施設としての考え方や職員の勤務体制、指導者などの多くの問題を抱えております。また、少年自然の家など青少年の自然体験施設は、学校週5日制が始まって、教科の精選などで学校の利用が減少傾向にあります。体験学習は子どもにとってこの時期にぜひ必要な体験で、校長のリーダーシップに期待するところが大きいです。
  以上、項目について申し上げましたが、私見ですが、思うことを二つばかり申し上げたいと思います。
  一つは、学校の自主性についてですが、今、特に少子化の中で異年齢の集団活動を体験し、子どもの成長発達課題の活動性、自主性、創造性などを身につけることが大切なことだということは、どなたも思っていることです。しかし、少年団体の育成活動はますます困難になってきております。
  その理由として、遊び場がないとか、リーダー不足、部活動・塾との関係、子ども自身の参加意欲の問題などがあります。
  しかし、最も困難な問題としては、親の理解と学校の理解の問題があります。御存じのように、昭和46年の46答申以来、15期の中教審まで、多くの社教審、臨教審の建議などたくさんありました。その中で常に言われていることは、学校・家庭・地域の連携を述べておりますが、一般の先生方の目にはほとんどこの答申が触れることはないと思っております。開かれた学校は閉ざされた学校になり、学社融合は核分裂を起こしそうです。
  このような現状の中で、今後の教育行政に期待するところは、校長の体質  ―これは社会教育体質もそうですが  ―と、それからリーダーシップを持つということ。それはリーダーシップのない校長を選ばないということ。そのように自主的学校運営ができる校長を選ぶことが大切だと思います。校長が思えば、先ほど申し上げたようなことができると私は思います。
  例えば、まちを挙げての祭りの日は、学校を休んで、先生も生徒もみんなで参加することはできないでしょうか。子どもの心はそんなことで大きく育つのではないかと思います。このことに期待をしたいと思います。
  もう一つですが、これは卑近な例で、実は事例発表のようなものなんですが、今回の三者の連携について、今後の方向として参考になると思いますので、あえて時間をおかりして申し上げたいと思います。
  ある地方の中学校区の話なんですが、市は24万の都市です。中学校区は約2万の人口を持っておりますが、小学校4、中学校1の学区です。そこに一昨年、地域ボランティアセンターというのができ上がりました。教育と福祉の縦割行政の流れが地域におりてきて、生涯学習ボランティアと福祉ボランティアが一体となって、まちづくりのための地域ぐるみの自主的民間主導の活動となりました。公民館に事務局を置き、拠点として、行政も全面的にこの活動を支援しております。県は社会参加活動資金の援助、市はフロンティア21の資金援助、ガイドハウスの設置、福祉協議会はほのぼの事業のモデル地区、小・中学校の福祉指定校など、あるいは民間としては銀行のパソコンの設置、チャリティー益金の寄附、あるいはガイドリーフレットを作成して寄附をしてくれるなどです。
  私は、地方教育行政の積極的な展開によって、行政と住民が地域という接点の部分、つまり接点の場でいかに連携を図れるか。地方教育行政の実を上げる原点としてそれを提唱したいと思います。

○竹田意見発表者  日本体育協会の理事、事務局長をいたしております竹田でございます。本日は、このような機会を設けていただきましたことに深く感謝申し上げます。
  また、中間報告では、私どもがスポーツ振興を図っていく上で、有益な事柄を御提案いただいておりますことに、心から御礼申し上げます。
  したがいまして、私どもといたしましてはここに取り上げられておりますような事柄が、できるだけ早く具体的に実行に移されますことを希望するわけでございますけれども、それに加えまして、若干一、二申し上げさせていただきます。
  大きな社会変化が進行しておりますような状況を踏まえますと、子どもたちからお年寄りまで国民のすべてが充実した生活を実現していく上で、日常において、みんなで気軽にスポーツに親しみ、楽しむ機会を増やしていくなど、暮らしの中にスポーツ環境を整備していくことがますます必要になってきていると考えております。
  我が国では、国民のおおよそ15%程度がスポーツクラブや同好会などに属して、スポーツを楽しんでいるという報告もなされておりますけれども、例えばドイツでは国民のおおよそ3人に1人が何らかのスポーツクラブに属して定期的にスポーツを楽しんでいるといったような、ヨーロッパの国々に比べますと、我が国には大きな課題が残されていると考えております。
  先ほどは全国公民館連合会さんのほうから、少年団のことについて触れていただきましてありがとうございました。言われましたような趣旨に全く同趣旨のことで、せんだっても私どもの本部長が文部大臣とお会いさせていただきましてお願いもしたところでございますが、少年団はある意味では世界に冠たる組織化を図っていると自負いたしております。
  しかしながら、その単位団では小学生を中心とする限られた世代の単一種目を主とする小集団が多うございまして、我が国においても多様な世代の方々が多様な種目のスポーツを楽しみ、種目を異にし、世代を異にする人たちが、同じクラブハウスで交流するといったヨーロッパで発達しております総合スポーツクラブを育成し、多くの国民が手軽にスポーツを楽しむことのできる受け皿にしていくことが喫緊の課題ではないかと考えている次第でございます。文部省体育局でも対応を始めていらっしゃいますけれども、本会でも18のモデル地区を指定するなどして、真剣に取り組んでいるところでございます。
  谷川俊太郎さんの「サッカーによせて」という詩がございますが、こんなふうな言葉がございます。「希望はいつも泥まみれなものだ/希望はいつも汗まみれなものだ/泥にまみれろ/汗にまみれろ/そこにしか憎しみが愛へと変わる奇跡はない/一瞬が歴史へとつながる奇跡はない/体が体とぶつかりあい大地が空とまざりあう/そこでしか本当の心は育たない」。
  私どもはまことにそのように信じ、スポーツ振興に取り組んでいる次第でございますけれども、地域の中にスポーツを根づかせていくためには、総合スポーツクラブが持つ意味は大変に大きいと思っております。同時に、そのことは地域活性化にとっても重要な役割を果たすのではないかと思います。
  青少年がフィジカルな肉体活動そのものによって、そのこと自体が持つ心への影響力、心の教育への好ましい力については、谷川さんの詩にもあらわれているとおりでございますけれども、総合スポーツクラブでは様々な世代の人たちとスポーツを楽しみ、交流することによって、お父さんやお母さん方のぶざまな姿を見るにせよ、予期せぬすばらしさに驚くにせよ、子どもたちの家庭像を拡大するに違いありません。お年寄りとの触れ合いも、子供たちにいたわりの心や新しい発見を導くに違いありません。その意味で、総合スポーツクラブは青少年の心の教育、すばらしい成長のために大きな役割を果たせるのではないかと思います。
  総合スポーツクラブの意義や役割を育成するための条件や手段、方策について、さらに審議を深めてくださいまして、「総合スポーツクラブ」という言葉を使うかどうかはともかくとして、中間報告以上にこれらのことに御配慮くださいますようにお願い申し上げる次第でございます。
  もっとも中間報告では、このことに独立した章や項を設けたり、そうした言葉を直接に使われているわけではございませんけれども、地域における生涯スポーツの振興とそのための総合スポーツクラブ育成に当たって必要な事柄が、かなりの程度取り上げられていることに心強く感じながら、取り上げられているうちの幾つかについて、さらに一層の御配慮をここでお願い申し上げさせていただきたいと思います。
  だれもが手軽にスポーツクラブのようなところを一つの場としてスポーツを楽しむための最も基礎的な大事な条件は、簡便にスポーツ施設にアクセスできることと、適切なスポーツ指導者に恵まれるということであろうかと思っております。
  我が国のスポーツ施設は、様々な形でかなりの程度整備されていると言っていいかもしれませんが、それにもかかわらず総理府の体力・スポーツに関する世論調査では、かなりの高い比率で身近で利用できる施設の増加が要望されております。他方で、国際大会や国体でつくられました施設の後利用が悪く、お飾りになっているという指摘もしばしば聞かされるところでございます。企業の福利厚生施設としてのスポーツ施設はかなりあります。そして、長い期間にわたって学校体育施設が営々としてつくられてまいりました。これらを利用する側の立場に立ってネットワークを組んで、効率的に使えるようにすることが大切ではないかと思います。そのためにはだれが運用するかが重要です。
  パンフレットになっておりますこの中間報告の「第6章3ー(1)」施設運営への住民参加の促進の中に、委託システムについて触れていただいておりますけれども、使う人の側に任せるというのは、私どもにとって非常に重要なことだと考えております。その地域の体育協会やまた今後地域全体を覆うある程度の規模の総合スポーツクラブが育ってまいりましたときには、それらに委託するシステムを積極的に進めてほしいと思います。使う側の満足感も大きくなりますし、維持費に関しましても経費効率的でもございます。フランスやドイツではこの方式が広く使われております。我が国ではいまだ例外的な面が見られますので、もう少し強調していただいて、例えばこの項目の中に、「今後……」ということがございますが、その前に「早急に広く全国的に普及するよう」といったような、何か強調するような文言をつけ加えていただければ幸いでございます。
  このことは、それよりも前に出ております学校施設についても当てはまります。文部省の方々や私どもがおつき合いさせていただいております都道府県保健体育課長の方々にお聞きいたしますと、学校施設の開放は随分行われ、大変うまくいっていると言われるわけでございます。けれども、私ども少年団関係者や地域スポーツ指導者の人たちの本音は、もちろん他の施設と比べますと、いい面がたくさんあることを前提としつつも、必ずしもうまく使えないし、使えても何となく窮屈だということもしばしば言われます。
  学校施設は教育にとって欠くべからざるものであり、自分たちが守り維持していかなければならないという極めて良質な校長や教員の強い責任意識の心情が、ある場面では文部省や教育委員会で考えているのと違って、硬直したものに陥っていく恐れもあるのではないかと思います。学校施設は地域全体の共有財産であるという観点に立って、自らのみが責任をかぶらなければならないというかたい観念から、もう少しゆとりある心に校長や教員が開放されるよう呼びかけていただければと思う次第でございます。
  そして、そのような立場から申しますと、例えば18時から21時までと一定時間帯はあらかじめ予定される学校側の特別の行事の場合等を除いて、年間を通じてその利用計画を立て、管理する権限を市町村、体育協会等にゆだねる等のシステムを工夫していただけますと、使い勝手が飛躍的によくなりますとともに、その地域のスポーツ施設全体を計画的・効率的に地域住民に割り振ることができるようになるのではないかと思われます。
  学校の目的は教育であり、学校開放などは余技であり、余裕のあるときにやるものだとか、教育の都合上いつでも取り消したり、変更したりできるという考え方を少し柔軟にしていただきまして、学校内教育も学校開放も学校における並列する重要な目的であるという理念に立って、教育の目的はきちんと確保されながらも、折り合いをつけ調整もしていただきながら、時には部分的に管理責任まで外部にゆだねていただく等、地域活性化、スポーツ振興にもお助けをいただければと思う次第でございます。
  なお、総合スポーツクラブという観点から申しますと、学校施設の開放は体育館や校庭のみならず、空き教室のクラブ談話室、交流室への開放の在り方も含めてお考えいただければと思っております。
  スポーツ指導者の活用についてお願いを申し上げます。
  中間報告の「第4章」「3―(3) 」の教員以外の専門性を有する人材の活用についての御提言はまことにありがたい次第でございますが、これらのことに関しましても文部省の方などに聞きますと、通知も出してあるし、かなり取り入れられていると言われます。ところが、私どもの地域スポーツ指導者は、「自分たちを全く使ってくれない」としきりに私どもに言います。
  例えば、昨年の12月に私どもが例年やっておりますスポーツ指導者の全国研究大会を開催いたしましたときには、例年500人ほどの地域スポーツ指導者が集まるわけですが、たまたまこのときは文部政務次官に特別講義をお願いいたしまして、政務次官の講義が終わってから、政務次官が文部省や私に注文がないかと促されました。そのとき一斉に、「例えば、ノックもできないような先生がソフトボール部長になって指導している。それではスポーツをする本当の喜びもソフトボールの基礎的・基本的な理論もきちんと身につけられない。私たちはもともとボランティアなので、どんな立場だとか、報酬とかは全く考えていない。子どもたちにスポーツをする楽しさと自分の力で伸びていける基本を身につけさせてやりたいんだ。それにもかかわらず、なかなか学校の中では使ってくれない。補助者でもいいから、私たちをどんどん使ってほしい」と、こんな声ばかりが相次いだわけでございます。
  学校の先生方は大変良質で、これからも持ち続けてほしい強い責任感で教育に取り組んで、課外活動の教育あるいは生徒指導の一環として、児童生徒をトータルに把握しようとされているんだろうと思いますけれども、それにもかかわらず、そのことが場合によっては何もかもすべて自分たちだけでやらなければというかたい気持ちになって、私どものようなスポーツ指導者から見ると、排他的とか、閉鎖的のように映ってしまうようなことも生じているのではないかと思う次第でございます。
  学校施設開放も同じでございますけれども、制度的にできるようになっているというばかりでなく、先生方お一人お一人の心の余裕といいますか、ゆとりといいますか、そういうことへの御配慮もいただいて、スポーツ指導者の多くの人たちが学校の中でお手伝いさせていただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  スポーツ指導者の活用は、同じ章の「4―(2) 」学校の教育活動への地域の活力の導入・活用の中でも取り上げてくださっておりまして、感謝申し上げます。学校はこれまで実にがっしりした箱を築いてこられました。そのことが我が国全体の発展にも大いに貢献したことは言うまでもありません。今、それをもっとよくしていくためにがっしりした塀は取り払い、箱もガラスに変えて、外からの見通しをよくしましょう。箱の外の人も中に入ってきて、箱の中をよりよくするのにお手伝いしていただきましょうというわけでございますけれども、最後に学校という箱の中にいる優れた方々に外に出てきていただいて、私どもを助けていただければというお願いをしておきたいと思います。
  これまで我が国の青少年スポーツ、ジュニア育成は、ほとんど全面的に学校に依存してまいりました。しかしながら、少子化や多様な価値観のもとでの選択の広がりとか、スポーツ種目の増大などによりまして、課外活動としてのスポーツ活動を学校単位でやっていくのは極めて困難な局面を迎えております。このため、我が国のスポーツはだめになってしまうのではないかと心配している競技団体関係者もかなりおります。日本中学校体育連盟あたりでは学校連合ということも言われているそうでございますけれども、青少年スポーツも含み、より広い地域全体の中で取り組む総合スポーツクラブの考え方はこの面でも有効ではないかと思っております。
  日体協内部に総合企画委員会というものを設けておりまして、地域生涯スポーツの推進等について議論を続けてきておりますが、学校との共生ということがこのところしきりに言われております。学校単位で様々な課外スポーツ活動が行われるときには、私どももその中で学校に対して御協力をさせていただきますけれども、同時に、その学校ではもはや部活が行われていないという中で、専門の部活動を持たない先生方もたぶんいらっしゃるんだろうと思われますから、そういう場合には、それが体育の先生であれ、国語の先生であれ、学校を離れて地域のスポーツ活動の場で、一般のスポーツ指導者の方々と一緒になって御協力いただけないだろうか。そういうことをもっともっと組織的にできるような工夫について御配慮いただけないだろうかとお願い申し上げる次第でございます。

○鈴木意見発表者  全国公立文化施設協会の鈴木と申します。きょうは、「今後の地方教育行政の在り方について」の中間報告に対する意見を申し述べる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
  前回のヒアリングのときに、私ども公立文化施設における子どもたちの芸術文化体験というのが、子どもたちの心の糧になるものであると積極的に位置づけていただきたいとお願いをしたわけですが、きょうは具体的に中間報告に対する各章あるいは各項目別に御意見を申し上げるのではなくて、やはり同様の問題提起をひとつさせていただきたい。公立文化施設における事業の積極的な意義といいましょうか、これについて実態としてひとつ御理解をいただきたいと考えてまいりました。
  私どもの公立文化施設協会は、今年度、1,324のメンバーの数に増えております。未加盟の公立文化施設も加えますと、これは2,000を超える施設ができておりまして、この施設でどんなことが行われているかという実態が実はあまり知られておりません。昨日もNHKスペシャルの番組を拝見しておりますと、2回にわたる番組の中で、小学校の学級が崩壊をしている、あるいは中学校が荒れている。その中で、心ある現場の先生方、あるいは校長先生が大変努力しておられる状況を目にいたしますにつけましても、実はそれが対症療法的なと申しましょうか、そういう取組に終始せざるを得ない今の学校現場の状況を、むしろ本来豊かに生き得る出会いの場として、あるいは連携軸として公立文化施設をぜひ意識していただきたい。今日の公立文化施設における事業展開というのは、本当に一部ですけれども、そういうものにこたえるものになっているということを御紹介させていただきたいと思います。
  「子どもたちの生活空間」についてのところですけれども、やはり人の心というのは、申し上げるまでもないことですけれども、人と人との間ではぐくまれる、あるいは人と人との間でしかはぐくまれない、人との交わり、あるいは人間的な感動を通じて、心の豊かさが培われるものだと思います。ところが、現在、他人と健全なかかわりを持つことができない子どもたちが増えている。
  したがって、これは昨年12月の、第22期の東京都の青少年問題協議会の中間答申の中に述べられていることですけれども、学校・家庭・地域といったような、我々が見慣れた青少年の生活領域の外に、実は自然発生的に第5の生活空間というのができ上がっていると、この中間報告は述べております。ポケベル、あるいは携帯電話、電子メール、インターネットなどの情報メディアを使った青少年の新しい対人関係といいましょうか、生身の人間同士の交流ではなくて、機械化された空間ができている。テレビゲームとか、あるいはホラービデオなどに代表されるような多メディア、あるいは多チャンネルの情報空間を第4の生活空間としますと、さらに第5の生活空間が広がって、子どもたちがいわば仮想現実性にどんどん閉ざされていく状況が進んでいると言われております。
  したがいまして、子どもは地域の中でも見えにくくなっている、学校の中でも見えにくくなっている、家庭の中でも見えにくくなっているということですから、子どもたちが生身の人間として感動をもって生活できる場を、場としても、事業としても、ぜひ用意をしていく必要がある。
  現実に現在、公立文化施設で先進的に進められている活動を幾つか紹介をさせていただきます。子どもたちがミュージカルに取り組む、あるいはオーケストラの養成講座に参加している、演劇ワークショップに参加しているという幾つかの事例の中で、例えば、ある地方のコミュニティセンターで行われている音楽のワークショップの例ですけれども、ここではロンドン・シンフォニエッタ、世界的なレベルのアンサンブルを招きまして、公立中学校、公立小学校、各1クラスを対象に音楽のワークショップを行っております。これはこの小・中学校のクラスだけではなくて、当然、このコミュニティセンターが持っておりますアンサブルに対する指導とか、大人に対するワークショップも設けられております。
  この中で、子どもたちを対象にした音楽ワークショップの中では、自己紹介をしながらのコミュニケーションとか、単純な手拍子や足踏み、あるいは発声、打楽器を使った音楽ゲームから作品づくりに至るプロセス。これはイギリスで考えられている音楽ワークショップですけれども、それがシンプルなリズム、あるいはメロディが重なり合って複雑で美しい音楽が形成されるということを、まさしく追体験するようなワークショップになっております。これはイギリスでは劇場・ホールの「エデュケーション」部門と呼ばれるところがつくり上げているプログラムですので、各芸術団体とか、劇場・ホールなどで頻繁に行われる。地域社会と学校と密接な結びつきを持って行われている。このコミュニティセンターの中でも、参加した子どもたちがそのワークショップの中で、音楽を自らつくり上げていく喜びを非常に手ごたえを持って感じているということが報告されております。
  それから、また別の地方では、如月小春さんが子どもの館へ行きまして、一夏、ワークショップを開いて公演をするという事例を紹介させていただいております。平成3年以来、数年にわたって行われているワークショップですが、この中では不登校の子ども、あるいはいじめの対象になって悩んでいる子どももいる。そういう子どもたちが、一夏の間、如月さんが新しくお書きになるシナリオに基づいて、演劇の指導を受け、あるいは劇団と一緒に公演に携わるということが、悩み多い思春期の子どもたちにとって、人格形成という意味でも大変な効果を持っている。これは『八月の子どもたち』として晩成書房というところから本が出されておりますし、その後、これは子どもを対象にするだけではなくて、演劇指導者の育成講座も行われまして、その記録は「八月の子どもたち・その後」として『演劇と教育』という雑誌のことしの1・2月合併号、3月号に紹介をされております。
  そのほか、実は先進的な取組を行っている施設は、ここで御紹介できないほど出てきているんですが、こういったような事例の中で、先ほど異年齢の子どもたちの交流という話が出ておりましたけれども、異年齢の子どもたちだけではなくて、アーティストである大人とか、そういう人たち、あるいは父母の皆さんとも共同して、汗を流しながら感動して、それを共有していくということが現実に生まれております。
  実は、どうしてホール、劇場においてこれが可能であるかということですが、私は学校においてこういうような感動が今なくなっていると言うつもりはないんですけれども、劇場とか、ホールというのは、井原西鶴が言っておりますように、「ひとは虚実の入れもの」であって、ここで演劇をつくり上げる追体験をすることが、「人間を見ること」につながるわけですし、パブリックシアターのディレクターである演出家の佐藤信さんが、「まず何よりも劇場というのは人間を見るところだ」と言っておりますように、そこでつくり上げられることが、「自分が自分である」ということを確認できるからではないだろうかと考えております。
  ことしの5月に、NHKの「課外授業ようこそ先輩」という番組がありますが、その中で演出家の野田秀樹さんが母校の小学校の6年生のクラスで、ゲームや劇づくりの、いわばイギリスのワークショップで野田さんが学んでこられたことだと思うんですが、やっている番組を拝見しました。この中で、子どもたちは体を使って、勇気とか、信頼などの言葉を感じる、そういうことの意義がよくうかがえたわけです。
  優れた指導者が優れた手法で行えば、子どもたちはどういう場にいても、そこが居場所になり得るんだということを示しているように私には感じられました。教員養成の課程でも、実は専門的なそういう養成コースが取り入れられていない。単に教員養成のコースだけではなくて、我が国では演劇専門家を公的に育てる仕組みがないと言われております。したがいまして、例えば演劇の鈴木忠志さんの有名な「鈴木メソッド」という方法がありますけれども、こういうのはアメリカのジュリアードスクールの演劇コースなどで取り上げられて、鈴木さんも現実に指導に行かれているわけです。こういったことが我が国で生まれていながら、我が国で行われていないということとか、あるいはある地域のパブリックシアターでは、今年度、イギリスのロイヤル・ナショナル・シアターのワークショップのリーダーを招いて、ワークショップを企画しておりますけれども、やはりここに教員たちのためのコースが設けられていて、教員たちが参加するとすれば、例えば教育委員会がそれを研修として職免を与えるとか、そういうようなサポートをしていくことも必要ではないかと考えております。
  最後に、先ほど施設が住民のために住民によって運営されることが必要だということが、各団体から言われておりますけれども、御案内のようにNPO法案ができて、各都道府県では、現在、NPOの認可・承認のための条例づくりが進んでおります。公立文化施設でも幾つか、例えばある地域の文化会館などでは文化事業協会という住民の組織、団体が文化会館を管理する仕組みができつつあるとか、またある地域の文化会館は、住民参加の中でつくられて、住民運動の中心になった大工さんが、現在、文化会館の館長を務めているとか、そういう意味では、自ら使う人たちが自分たちの施設としてそれを管理するという動きが現実のものになってきております。
  公立文化施設協会としても、そういう意味では、これからそういう創造的な事業を地域の中で展開をして、子どもを含む多世代の住民がそこで交流をして、物事を創造して、生きる喜びを自らつくり上げていくような組織運営を目指していきたいと考えております。

○  どうもありがとうございました。以上で、一通り各関係団体から御意見をいただきました。非常に貴重な御意見をいただきまして、今後の審議の大きな参考にさせていただきます。ではこれから委員の皆様との質疑応答あるいは相互の意見交換をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  委員の方からどうぞと申しますが、まずきょう参考になる資料をお配りいただいております専門委員から御発言をいただきたいと思います。

○  我が町の資料を配付いただきまして、また発言の機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。
  なるべく手短にお話をさせていただきたいと思います。皆さんのところにございますこの資料を御覧いただきたいと思います。「見えた世紀への道/きらめく琴丘」ということで、21世紀への道、きらめく琴丘ということで、昭和60年8月に「体育の町」の宣言をし、町の主要施策といたしまして、体育・スポーツでのまちづくりを進めようということでやってきたわけであります。平成8年から10年にかけまして3年間にわたって、先ほど日本体育協会さんのほうからお話が出ておりました、文部省の総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業の指定を受けまして、子どもからお年寄りまで幅広い世代が参加するスポーツクラブの育成を図り、地域の生涯スポーツの推進を図ってまいりました。それにかかわる資料がこれでございます。
  うちの町は人口約6,800人ですから、地域スポーツクラブをつくってやりやすい人口規模ではないかと思っております。町内14のスポーツクラブを編成いたしまして、その14をまとめてスポーツクラブ連盟の組織化を図っております。詳しい内容は、ぜひ後で御覧いただきたいと思います。それにあわせて、67ヘクタールの土地を町で買収いたしまして、総合運動公園  ―体育施設と文化施設の整備を図っております。
  主なスポーツクラブの事業内容でありますが、「おはようジョギング体操」。朝の6時からスポーツクラブのある地域の運動公園30ヵ所で、4月から10月までNHKのラジオ体操を毎朝やっているわけです。これは17年続いておりまして、3歳の子どもから82歳のお年寄りまで100日突破を目指して、もう何千人という人たちが100日突破をいたしております。
  もう一つは、「総合スポーツ大会」の実施。地域スポーツクラブが、8種目で競い合うわけであります。地域のスポーツクラブが燃えてまいりまして、頑張ってやっているわけであります。
  体育で町をつくっていくんだという観点と、スポーツは楽しいものだということで、「国際チャレンジデー」、ことしで4年目ですが、5月の最終水曜日、住民が15分間以上、スポーツを一日中朝6時から夜の9時まで楽しむ国際チャレンジデーという日を設けております。これは幼稚園、保育所、小・中学生も全員参加しております。15分間以上スポーツをやった住民の参加率を競うということでありまして、スポーツで琴丘町が熱く燃えている一日です。ことしは山口県の菊川町、ALTが来たイギリスのアッシュボンと対戦をいたしました。昨年は負けているんですが、ことしは6,800の人口で6,482人、95.2%。ダブルカウントを一切しないで、スポーツで燃えているわけです。地域スポーツクラブもバレーボールで対戦をいたしております。
  そのほかスポーツクラブの情報の発行とか、スポーツ教室の開催とか、スポーツリーダーの育成を図っております。
  考えますに、各スポーツも含めまして、学んだ事を自分たちの地域を住みよいものに変える、そして住みよい町にするということが、生涯学習だと考えておりまして、地域スポーツクラブを核に、先ほど申し上げました「チャレンジデー」とか、町民が一丸となってスポーツによるまちづくりを頑張っているわけであります。町民は「チャレンジデー」をやっても、「ことしは勝とう」「頑張ろう」ということです。やる気のある町民のいる我が町の21世紀は見えてきたなということであります。
  このモデル事業が全国的に広がってくれるといいなと実は思っていまして、これからは各スポーツクラブが、民泊とか、そこの特産品を販売するとか、人と人との交流、物と物の交流なんかも、将来考えております。
  最後にもう一つ、私も何回かここで、子どもたちが感動するということの大切さのお話を申し上げてまいりましたが、これも4年目になりますが、「縄文ページェント」というので、町民が1,400人かかわって、これには小・中学生、幼稚園、保育所も全員参加しております。町民手づくりのオペラが、朝日の全国版と読売の「論点」に載りました。ことしの8月8日もこれをやります。30メートルの16メートルのステージで、子どもたちが感動して涙をする、それをぜひ委員の皆さんにも見にきていただきたいと思います。

○  全国公民館連合会のほうにお伺いします。学校週5日制にかかわる公民館の役割について、いろいろ述べられましたが、まさにそのとおりだと思いますけれども、私、考えるところによると、週5日制だからどうのこうのではなくて、そうではないときの公民館の在り方、要するに何もしなくても、子どもたちが公民館に集まれる、そして学校の帰りに特別なイベントがあるわけではないけれども、集まれるような雰囲気づくりとか、そういうものが私はものすごく大切ではないかと思っているんですけれども、その辺、どんなふうにお考えであるか教えていただければと思います。

○松下意見発表者  5日制は子どもを家庭に帰してしまっているので、公民館の役割を一層強化したり、子ども関係の事業をたくさん持たなければいけないと思っておりますけれども、今急にそのようになったからというのではなくして、既に今までも子どもが、例えば先ほど少年団の話が出ましたが、少年団の中には御案内のように、サッカーとか、野球とか、剣道とか、柔道とか、いっぱいあるわけです。一つだけではないんです。そういうのを公民館で事務局も置いて、あるいは道具を預かったりしてありますから、しょっちゅう取りにきたりしておりますので、この前のときにもそういう話を私はちょっといたしました。だからやるというのではなくて、今度は教育委員会も指導・援助して、そういうものをさらに一層、今おっしゃるように子どもが気楽に来れるような公民館にしてほしい。今までもそういうことでおりましたから、殊さらに5日制になったからではないんです。
  5日制になったら、なおさら先ほど申しましたように、子どもがうちへ帰っても親はいない、土曜日だって父親もいない、親子でどこかへ行くといったってないわけですから。買い物さえもできないでいるわけです。それを今度は公民館を受け皿として、今後、学校教育とあわせて、これから完全実施になればなおさらですから、子どものそういうのを一生懸命やろうということでおります。ほとんどの公民館は、5日制の問題は早くも決まったころから既にやっておりますし、前にもやっていると思いますから、今、殊さらにそれを強化しているわけではありません。

○  いろいろと教えていただきまして大変ありがたく存じております。、日本体育協会のほうにお伺いいたします。
  スポーツを通じての地域振興の問題を、特に施設の問題、それから指導者の問題というところに重点を置いてお話しになったんですが、総合スポーツクラブを育てていくという場合に、学校スポーツとの関係をどういうふうに考えていくのかということで、もう少し踏み込んだお話を伺えないだろうかという気がいたします。
  というのは、特に部活との関係をどう考えるかということでありますけれども、地域での総合的なスポーツクラブを育てていこうということと、小学校から高等学校までの間、大学になりますと地域とかなり離れてしまいますけれども、少なくとも高等学校ぐらいまでの間、学校単位で組織化されているということとの関係をどういうふうに考えていったらいいのかということで、場合によりましては、むしろ学校単位という形ではなくて、もっと地域別の組織化を図って、そちらが主体になって動いていくほうが、ある意味でそれぞれの地域の教育力を高める、あるいは地域の文化的な活動を強化していくという線と並んで、重要な意味があるのではないかと思うんでありますけれども、その辺、どんなふうにお考えかということを教えていただければと思います。

○米澤意見発表者  現在、その辺の取組については、企画部会というところで種々検討しているところでございます。
  それから、日本体育協会といたしましても、昨年から総合スポーツクラブというものに体協独自のスポーツ少年団を核としたクラブづくりに着手しているところでございます。これは平成9年から平成11年まで3ヵ年の計画でやっております。その辺で、総合スポーツクラブという実態がそこで出てくるのではないか。
  そういう中で、学校と地域とのかかわりについて、先ほども御説明いたしましたが、「共生」という表現が出ておりまして、学校と地域といいますか、体育関係団体が共生していくことが、今後、21世紀に向けて必要であろう。その中で、学校開放等の公共施設の利用等、運動クラブの在り方も含めまして、学校、体育関係団体、当然PTAとか、そういう関係団体も含まれてくると思いますけれども、そういう中での連絡調整会といいますか、協議会といいますか、そういう中の一つの組織づくりをもって対応していくことが必要ではないかと考えております。具体的な内容については、今後検討されて詰められていくということになろうかと思います。

○  二つのPTA団体の方にお伺いしたいと思います。きょういただきました資料、あるいは口頭での御発表の中で、中間報告で申しております親や地域の学校参加あるいは学校経営参加について、肯定的に受けとめていらっしゃると、こう理解できたんですが、どのような形で親や地域住民のかかわり方になるのか、まだ確たるものが打ち出されていないんですが、例えば個々の学校単位、小・中学校単位で考えた場合に、当然のこととして既存の今あるPTAとのかかわりが大きな焦点になってくるだろうと思っているわけです。地域住民まで含んでということになりますので、そのまま現在の保護者を中心としましたPTAの会員の方々とイコールにはならないかと思いますが、実態的にはほとんど同じになってくる。
  そうしますと、現在のPTAは、御指摘がありましたように、対学校との関係だけではなくて、会員の方々の自己啓発とか、自己活動とか、そういった部分も含んでおりますので、イコールではないと思いますけれども、中心的な部分、あるいは現在の学校の問題状況を考えた場合に、親がどういう形で学校の組織運営なり、あるいは教育活動の在り方についてかかわりを持っていくのかというのが、今日の教育問題から大変大きな問題になってくるのではなかろうかと私は理解をしているわけです。
  そうした場合に、小・中と高等学校は地域性ではだいぶ違うと思いますけれども、両団体ともここで考えていこうとしております学校の協議会とか、様々なかかわり方、新たな組織をつくって、学校の経営なり運営にかかわりを持つ団体と既存のといいましょうか、現在のPTAの役割と、どういうところを問題にされようとしていらっしゃるのか。単純に言いますと、今のPTAの強化で、果たして今方向づけられようとしている問題は解決つかないのか。つかないから、新たなものを模索しなければいけないのか。その辺の自己評価になると思いますけれども、どのようにお考えなのか、今の点についてお考えを伺えればと思っております。

○岡部意見発表者  ただいまの御質問の要旨をちょっと理解できていない部分もあると思うんですけれども、お答えになるかどうかちょっと心配なんですけれども。
  私が先ほど申し上げた有識者と地域住民の意向を確認するのは、教育委員会レベルの仕事ではないかと思ったわけです。これは例えば学校レベルでやる場合に、今までのPTAが主体となってやるべきではなかろうか。ただ、学校運営の部分については、PTAが今までどのようにかかわっておったかというと、ほとんどかかわっていないというのが実情ですから、その辺については今後そういう場を設けていただくような施策は、ぜひとも必要かなと思います。それにまた、地域の有識者等は、もし入れるにしても少数人数でなければうまくいかないのではないか。単位PTAレベルではそのように考えます。

○関意見発表者  高校のほうも、私も単Pの経験も含めてのお話にさせてもらいますけれども、あらゆる部分でPTA組織と地域と同じレベルで考えるということはないと思います。ある焦点を絞った、例えば現在大きな問題になっております財政的な部分では、私費の運用の問題については、学校とPTA以外に地域も入った形での協議会をつくっておりますが、そういう形での地域のかかわり方。PTA活動そのものは、やはりPTAの子を持つ親の一つの教育の場、啓発の場というとらえ方もありますので、そういう意味ではPTA活動はPTA活動として意義あるものであり、地域にまでばらまいたPTA活動とは違うのではないかという認識を持っております。
  いずれにしても、3年間終わると、子どもが卒業すると同時に、親も卒業していきます。ただ、親が3年間培ったノウハウとか、ハウツーが地域に広がっていくという形で、それをPTAの活動とか、学校運営に活用できないだろうかということを考えていきたいと思っております。その運用の仕方につきましては、学校のほうである程度受け入れる工夫とか何かもこれから議論していかなければならないのではないか。我々は現在、願望として持っておりますけれども、具体的には先ほど言ったように協議会的なものがまず先にあって、それからお互いの信頼関係を築きながら広めていくべきではないだろうかと感じます。

○木本意見発表者  全国高等学校PTA連合会の会長の木本由孝でございます。私はいつもお話を申し上げるんですが、何か教育というと非常に難しい言葉が多くて、もっともっとやさしい言葉でわかるようにしていかなければならん、これが私は基本だと思っているものですから、ちょっとレベルが低くなって恐縮なんでありますけれども、学校教育、社会教育、家庭教育の連携をよく表現で使われます。家庭教育はよくわかります。学校教育もよくわかります。家庭はしつけであり、学校は教育をするところだと。社会教育って何なんだろうか。いやいや、全部すべてですよと、こう言ってしまえばそれまでのことでありますけれども、もうちょっと社会教育というのは何かということを議論してみてもよろしいのではないか。
  その中で、私は、子ども会とか、公民館とか、日本体育協会の話は非常に参考になったわけでありますけれども、まさに社会教育をやっていただいているんだろうと私も思うわけであります。この辺はもう少しわかりやすく、社会教育とは何ぞやということを、お母さんやお父さんに簡単にわかるようなことを考えていかなければならんと思ったりしております。
  それと施設面から言いますと、最近、高等学校も都市の真ん中にあるという学校も結構あります。ある校長が私に話をされておったんですが、「非常に便利なところにあるので、グラウンドの周りをジョギングできるようにして、地域のお年寄りや町民の皆さん方に使ってもらいたい」という話をされたり、「外野のほうの芝生のところを何とかパークゴルフ場にできないだろうか」とか、「地域の皆さん方にスポーツを通じて、高校生が使っていないときに利用してもらう方法はないだろうか」とか、現場の校長さんはいろんなことを考えている。考えているんだけれども、権限もなければもちろんお金もない。そんなことでかなり自問自答しておるようであります。
  そんなことで、やる気のある校長はたくさんいらっしゃると思いますので、先ほど関諮問委員長が話しましたように、何とか校長の裁量をみんなでもう一度考えてみる必要があるのではないか。
  さらにはまた、教育というのが本当に我が国にとって限りなき財産であり、国益になるんだと、そんなことを考えますと、専門職であり、長年培ってきた経験というんでしょうか、この豊かな校長が60歳で定年なんだということ。この議論がもう少しあってもいいのではないか。本当にやる気があって、専門的に培ってこられた経験というのは、私は尊いものがあるのではないだろうか。先生方の60歳で「御苦労さんでした」というのは、今の長寿社会にとってどんなものなんだろうか。この辺は考えていかなければならないだろうと私も考えております。
  最後になりますけれども、調整区域に学校が建つということがあって、いろんな例がありますけれども、老健施設を複合させるとか、それから身障施設を複合させるとか、子どもたちに生きた教育をさせるために、ポツーンと学校だけが建っているのではなくて、できればそういう施設も、言うならば一緒に複合させることもこれから大事なことではないかと私は思うんですけれども、そんなことも考えていただければありがたい。
  少々長くなりましたけれども、日ごろ考えていることを申し上げさせていただきました。

○  少し抽象的な質問の仕方をして要領を得なかったと思います。端的にお伺いします。今お答えにもありましたけれども、今のPTAとしては、学校経営参加を求めるつもりがあるのかないのか、その1点だけお伺いしたいと思います。

○岡部意見発表者  学校経営に参加をするつもりがあるかどうかということでしたら、PTAとしては、意見を申し上げる場所があったほうがもちろんいいと思います。それは賛成です。

○関意見発表者  我々は、具体的に経営に携わるという部分ではなくて、例えば評議員会とか、小委員会とか、諮問委員会とか、そういう形で、日本PTA全国協議会の言われたような意見の具申ができる形の参加であれば、個々の学校でも考えていきたいと思っております。

○  日本PTA全国協議会にお尋ねいたします。「学校の自主性、自律性の確立」のところで、「学校に権限を委譲することについては大賛成である。」、しかし、今のままでは戸惑いとか、混乱が起きるのではないかということで、「校長を含め中間管理職の充実を計り、管理体制づくりをしなければならない」ということの御説明がございましたけれども、PTAから見まして、学校というものがどのような戸惑いや混乱が引き起こされるのか、また「中間管理職の充実を計り、管理体制づくりをする」ということは、具体的にどのようにイメージされているのかをもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。

○岡部意見発表者  この部分につきましては、もちろんPTAの中でも、私どもの協議会は全国で3万3,000校ありますし、会員も1,200万人おるということで、この中で、賛否両論あるということは御承知いただきたいと思っておりますが、学校の中で校長に権限を委譲するということは、大いに結構だという大方の考え方なんです。
  ただし、今の体制の中にあっては、例えば100人教職員がおりましても、校長は一人でございますし、教頭については複数おるという学校もあるようでございますけれども、普通の社会一般通念から言いますと、100人職員がおって、普通の会社であれば10人以上課長もおるのではなかろうかと思います。その中にあって、命令系統が実にあいまいであるということを考えるわけです。トップの命令よりも話し合いが優先されておる、そういうような慣例があるということもお聞きいたしますので、そのようなことで、権限だけを持たされた場合に、果たしてこの部分がうまくいくんだろうか。つまり、教職員とのパートナーシップということを考えたときに、現場が混乱する部分も出てくるんではなかろうかと思っておるわけです。
  権限を校長に委譲するということは大賛成でありますけれども、その場合は、学校の管理体制をある程度強化していかなければ、やっぱり現実問題として難しいのではなかろうか。校長のほうがかえって非常に困る部分も出てくるのではないか、そのように考えて説明したということです。

○  全国子ども会連合会の先ほどの御発表に関連して、一つお尋ねさせていただきます。
  お話の中で、特に地域コミュニティの育成に果たす教育委員会の役割についての貴重な御意見を伺った中に、特に積極的な行政の支援が重要であるというお話がございました。また、そのこととも関連して、貴重な実践の御紹介もいただいたわけであります。こうした地域のコミュニティの振興がこれから非常に重要になるわけでありますけれども、私も全国の幾つかの市町村で非常に実績を挙げている地域を存じ上げているんですけれども、その場合に、大体まず推進母体があって、これを促進する組織体があって、ネットワーク化して広がっていって、例えば地域の体育・スポーツにも広がっていきますし、子育てのネットワーク化にもつながっていくという広がりがあるように思います。
  今の御発表に関連して、あるいは実践例に関連して、例えば今の積極的な行政の支援という部分をもう少し具体的にということを含めて、推進母体あるいは組織化していくための地域の支援になるのか、あるいは学校はどうかかわるのか、その辺について何かお教えいただくことがあれば、もう少し教えていただければと思って質問させていただきました。よろしくお願いいたします。

○白鳥意見発表者  簡単に申し上げますと、御指摘のとおり、実践例のある1つの地域ではボランティアセンターというのが発足しました。マスコミが一斉に取り上げました。全国初の民間主導の組織だというような言い方をしたんです。それは何が違うかというと、行政が予算を持っていろいろお金をつぎ込んで、例えばモデル地区の指定という形で、行政が主体になって進めるのではなく、従来やっているボランティアのいろいろな民間団体が一緒になって、活動をしている組織体が一緒になった組織体をボランティアセンターという言い方をしたのです。
  ですから、ちょうど普通の組織とは逆になっておりまして、推進委員会というのが下にありますが、これは従来ある21の団体、どこの地区にもあるような団体、それには機関、学校もPTAも全部入っているわけです。もちろん公民館も入っています。それらの推進団体と、もう一つは個人登録をした人たちが六つのグループに分かれて、一緒になってという形です。ですから、地域ボランティアセンターは傘だという考え方の中で、それぞれの団体が計画を持ち、予算を持ち、活動を進めています。ボランティアセンターの役割は、大きく言えば情報を集めて、それぞれに伝える役割が一番大きいんです。そういうことで、今までの観念とはガラッと変えないと、これは理解できないと思います。
  先ほど申し上げたように、行政がこれはほっておかれないという形で、どんどん手伝いが始まったわけです。お金を出してくれるところもあれば、ガイドが始まりましたので、ガイドのボランティアハウスをつくってやろうとか、それから行政のかかわりのある社会参加の推進協議会とか、いろんなところがありますが、お金を出したり、また民間の銀行も、「それじゃ、我々はパソコンをひとつ寄附しようではないか」という形で、町ぐるみで応援体ができました。

○  全国公立文化施設協会の鈴木さんにお伺いします。演劇ワークショップへの教員の参加ということで、これは教員が資質を向上させるためにも、大変大事だということを今お話を伺って感じたんですけれども、一例で結構です。規模、人数、期間、費用、おわかりの範囲内で教えていただきたいと思います。

○鈴木意見発表者  これにつきましては、申しわけございません。今、手元に資料がありませんで、今年度、教員を対象にするコースがつくられているということだけしか確認しておりませんで、どのぐらいの教員が参加して、どういう事業の成果が上がったということについては、申しわけありませんが、今お話しできない状況ですので、御了解いただきたいと思います。

○  お伺いしたいのは、PTAの団体の御意見なのですが、校長の民間人の登用ということがいろいろと議論されてきたんですけれども、そのことについてどのようにお考えになっているか、お差し支えない範囲でお願いします。

○関意見発表者  まず、学校教育の現場というのは、それなりの組織と秩序がやはり必要ではないかと考えております。そういう面では、むやみやたらに民間人登用というのは好ましくないのではないかと感じております。少なくも人格とか、そういう意味で、資質という問題をある程度考えますと、現在、主任、教頭を経てきて、校長にある方の中にも、どう見てもふさわしくないなと言いたくなるような方もお見受けすると言うと語弊がありますが、そういうところもあります。そういう意味では、いつかどこかの場でそういうことを議論することが必要であろうと思うし、また逆にそういうことを実験的に進めてみるのも一つの方策ではないかと感じます。
  関連しますけれども、先ほどちょっと言い漏らしましたが、校長先生の任期という問題に関連してくると、これは二、三年という任期よりは、四、五年ぐらいを見て、その地域とか、学校でそれなりの活動ができるぐらいの任期が必要で、当然それには資質も伴ってくるだろうと思います。現在のシステムが必ずしもベストとは思いませんし、民間登用が必ずしもそれを解決する方法とも言い切れませんけれども、考え方としては非常にいい方法ではないかと思っております。

○岡部意見発表者  個性重要視の時代でございますし、学校も個性を持つことはいいことだなと。私はそのように理解しておりますけれども、先ほどの権限の委譲というところに関連してくると思います。委譲して権限を大きくする以上は、やはりそれなりの資質の人でないとふさわしくないのではないか。かといって、今の校長先生方が全部ふさわしい人格者かと言われると、それも必ずしもそうではないような気もいたします。権限の委譲というところにつきましては、これは校長の資質の向上が大前提になるのではないか。そうではありますけれども、今のところ非常に試行錯誤しておる中で、民間からの校長の採用というのはおもしろいと言うと大変失礼ですけれども、やってみる価値があるのかなと。ただし、さっき申しましたように、資質の面におきましては、十分それを考慮に入れてやる必要があるのではないかと思います。

○  日本PTA全国協議会のほうにお尋ねいたしますが、学校の自主性・自律性の確立のところでございますが、そのためにはPTAはどのような立場、どのような役割を担うべきだとお考えでしょうか、お尋ねいたします。

○岡部意見発表者  学校の自主性・自律性の確立について、PTAはどうかということでございますが、先ほども申し上げましたが、学校運営の参加も一つの試行錯誤の中では必要性のあることかなと思います。しかしながら、PTAが学校の運営について参加する中に、限界もあるのかなと感じております。また、PTAが学校の運営にかかわっていくときに、やはりPTA活動は皆様方御承知のとおり、ほとんどお母さん方で占められておる。父親の参画が非常に少ないわけです。地域によっても違ってきますけれども、私は父親が今後社会教育に携わり、また家庭教育でも核とならなければならないのではないか、そのようにも思っております。その中で、それを進めていくためには、今度は産業界の御理解もいただかなければ難しいのかなと考えております。

○木本意見発表者  先般、高校生を持つお母さんからこんな質問を受けまして、私も戸惑ったんですけれども、自分に5人の子どもがいて、私のおなかから出た子なんだけれども、どうしてこんなに性格が違うんだろうと。5人の子どもが余りにもそれぞれ個性があって、そのことは大変結構なことなんですけれども、その中で自分で自らふと思ったことは、子どものスピードがそれぞれ違う。ですから、15になってわかる子、二十になって同じことがわかる子、そんなことで、その子によってわかる年代が違うんだなということを悟ったという話を聞きました。
  そういう面から言うと、高校生は、人生の中で一番スピードがある3年間を過ごしているのではないかと思うんです。大学の先生方にお聞きすると、高校時代のスピードが大学に来ると意外に鈍って、こんなにスピードがあった子かと思えないくらいのんびりやっている。しかし、高校3年間は、親も先生方も考えられないぐらいのスピードでどんどん進んでいくものですから、親がついていけない。こんな話を聞くものですから、PTAとしては子どもにしっかりついていかなければなりませんし、子どもの行動をしっかり把握していかなければならんということですから、PTAの組織というのは子を育てる勉強の場なんだから、とにかく会に出てくるようにと。そして、みんなでどうしたらいいかということを考えようということです。
  どちらかというと日本PTA全国協議会と私どもが違うことは、私どもの組織の中で子どもを育てていくにはどうしたらいいかという、内々の議論が組織の中に多いのかなと思っておりまして、対外的にどうするかこうするかということよりも、親がもう少し勉強しなければならない、子どもを持つ重みを考えなければならない。そのためには自分一人ではわからんから、みんなの意見を聞きなさい、PTAの組織に出てきなさいと、こんなことを話をさせていただいているものですから、組織内の論議は結構活発にやるんですけれども、対外的にはまだまだ未熟なものがあるのではないかと思っております。

○  学校外の活動で子どもたちの教育に大変お力添えをいただいておりありがたいお話でございます。どのようにしたら具体的により効果を上げていくようにできるかという仕組みと責任の問題について、PTA以外の団体に関係があると思うんですが、お伺いしたいと思います。
  体育館とか、講堂とか、実験室とか、校庭を開放して、いろいろな活動をする。それから、一方では公共施設を使って活動するという場面がある。ドラマであったり、スポーツであったり、音楽であったり、いろいろあるわけですね。これがそれぞれの団体がそれぞれの団体の部分で、ある意味でバラバラとやっていいのか、先ほどお話があったようにある種の束ねをしてやったほうがいいのか。そのときに責任の主体ですね。指導者であるとか、運営の世話は各団体がやられるとしても、施設の管理責任は学校が持ち、公共施設が持つ。その間の受け渡しをする仕組みをどうしたらいいのか。それを総括的に束ねるのに、教育委員会がいいのか、首長部局が何らかの最終責任を持つのかという、その辺の指導者、運営人、世話人というんでしょうか、それと管理者の責任ですね。そして各団体が並行して活動しようとされておりますね。そこら辺のうまくいく仕組みはこうあってほしいとか、こうしたらうまくいくなというお考えをお聞かせいただければと思います。

○松下意見発表者  お答えになるかどうかわかりませんが、文化面と体育関係になると思うんですが、これから申し上げるのは体育関係ですけれども、学校を開放してもらう体育の関係。文化の関係もありますけれども、体育の関係は、例えば私の市では、人口50万ですが、体育振興会というものができております。そこで公民館と先ほど申しましたスポーツ少年団とかいうスポーツ団体の代表者が集まって、体育振興会というものができて、1年間の計画を話し合ってつくります。
  ただ、学校開放をしている場合に、午前中は野球をやります、午後はサッカーが使いますということになりますと、そのバトンタッチがうまくいかなかったり、それが中止になったりする場合があるんです。そうしますと、前の人たちが使って、後のバトンタッチする人が中止になって、いなくなってしまうと、管理がだめになってしまうということ等があります。そのバトンタッチの部分は、教育委員会の体育課が行う。ふだんは関係団体が計画を立てますから、計画を立てた団体の事務局長なり団体の責任者がバトンタッチをしていってやるということになりますから、学校側ではなくて、団体の責任者によってやっていく。その全体を見ているのが教育委員会の体育課であるという形で、うまくいっているように思います。
  例えば、トイレを使う。学校が休みのときに運動場を使った場合に、トイレはここと指定されておりますけれども、指定されているところについて、中止になってしまうときの管理は前の人がやる。後がやるわけだけれども、前がやるとか、そういうバトンタッチを体育振興会という会ができて、使う団体が集まってうまくやって、その全体のまとめは教育委員会体育課でやるという形をとっております。前はうまくいかなかったんですが、教育委員会がそれをみんな見る形になったので、最終的に無責任なことがないようになっております。
  あまりよく説明ができませんけれども、みんなで集まって協議をして、日割、時間割で決めて、バトンタッチをうまくするようにして、できなかった場合には教育委員会に、休みでもだれかがいますから、その関係の人に話をして、後の処理は全部するということになっております。ちょっと答えがよくいかないかもしれませんけれども。

○  一つ、質問ではないんですけれども、学校に行きますと、学校教育目標というのを必ず掲げてあるんですけれども、私も今までの仕事柄、いろいろと学校へ行きましたが、一つとして教育目標の中に、学校や家庭・地域との連携を重視するんなんていう項目が入っている学校は1校もないんです。それから、例えば各学校では年間が終わりますと、教育課程の学校全体の評価を、今は学校の中でやっていますけれども、その評価項目の中に地域への貢献といったような項目はほとんどないんです。そういったものを、なぜPTAとか、そういう人たちが何も言わないのか。それに非常に疑問を持ったのが一つ。
  それから、PTAについてあるとするならば、あれだけ大勢の親の会員を抱えていますね。そうすると、相当いろんな考え方があるはずですよね。例えば、自主性・主体性なんていっても、いろんな考え方がある。そういった情報を、協議会というか、そういったところはどのように収集して、そういう資料を作成しているのか。例えばインターネットのホームページぐらいつくっているのか、そういったことについて若干聞きたいと思います。

○岡部意見発表者  最後のインターネットのホームページですが、ただいま開設をいたします。もうじきに。

○  それでは、きょうはお願いしました関係団体の方々には大変御多忙の中を御出席いただきまして、貴重ないろんな御意見をいただきました。今後の審議の参考にさせていただきます。きょうはどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。それでは、委員の方にお願いいたします。今後の審議の進め方でございます。この小委員会の会議スケジュールについてですが、関係団体からの中間報告についてのヒアリングは、今回で一応終了いたします。そして、7月10日の第23回小委員会以降は、答申の取りまとめに向けた審議に入っていきたいと思います。
  次回の7月10日の小委員会においては、中間報告以降の審議における委員の皆様方の御意見、さらにはヒアリングにおける関係団体の意見等を論点ごとに整理し、それに基づいて検討を深めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  そうした進め方でよろしゅうございましょうか。これで本日の会議は終了いたします。
次回の小委員会は、7月10日、13時から、霞が関東京會舘・ゴールドスタールーム、35階で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
  本日はどうも長時間ありがとうございました。

(大臣官房政策課)

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