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中央教育審議会

 1998/3 議事録 
中央教育審議会  今後の地方教育行政に関する小委員会 (第13回)議事録 

     中央教育審議会  地方教育行政に関する小委員会(第13回)

      議  事  録 

    平成10年3月6日(金)  13:00〜15:00
    霞が関東京會舘  35階  ゴールドスタールーム


文部省    中央教育審議会    地方教育行政に関する小委員会  (第13回)

    1.開    会
    2.議    題
        今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会

      出  席  者

委員 専門委員 事務局
河野座長 石原専門委員 長谷川生涯学習局長
有馬会長 岡田専門委員 近藤審議官(初等中等教育局担当)
薄田委員 小川専門委員 御手洗教育助成局長
國分委員 如月専門委員 徳永地方課長
小林委員 蓮見専門委員 富岡総務審議官
坂元委員 藤波専門委員 杉浦政策課長
田村委員 鱒渕専門委員 その他関係官
永井委員 森元専門委員
横山委員 山極専門委員


○  それでは、本日もお忙しいところをありがとうございます。地方教育行政に関する小委員会、第13回を開催いたします。よろしくお願いいたします。
  本日の文案については、全体の総論に当たる部分であります「今後の地方教育行政の在り方」に続いて、「教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方」、そして「教育委員会制度の在り方」の部分については、具体的に改善すべき事項を盛り込んだものになっております。しかし、「学校の自主性・自律性の確立」「地域コミュニティの育成と地域振興に教育委員会の果たすべき役割」及び「学校以外の教育機関の運営の在り方」の部分については、中間報告の後に、引き続いて具体的な改善措置について御審議をいただくということで、この面については、主な事項についての検討の方向性を示したものとなっております。そのことを前提にして、きょうは御議論をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、まず、事務局から文案の説明をお願いいたします。
(事務局から説明)
○  主に前2回の委員会で御検討いただきましたことを、文案として私の責任において修正させていただいたものでございます。行政的な説明文にならないようにということを受けて、一生懸命検討しましたので、その結果、説明も行政的な説明調でなく、わかりよく説明してもらいました。事務局と相談しながらでしたが、事務局も皆様の御意見を受けて、徹夜の連続という形で協力をしてくれましたので、お礼を改めて申し上げます。
  いずれにしても、今説明しました文案をきょうは御審議をいただきたいと思いますが、前回の委員会で、大方の方向については、これでよかろうということでお認めいただいたと思います。いただいた御意見をもとにしながら、なるべく盛り込む形で、私の責任において修正させていただきました。
  それを前提にして、これから御討議をお願いしたいと思いますが、きょうの進め方については、前回いろいろ御意見もいただいておりますので、それを受けて修正したものだということで、改善になっていると私は思いますけれども、そういうことについての御感想と、さらに修正した箇所等について、さらにほかのところでも結構でございますが、御意見がございましたらそれを一通りまず伺って、論議すべきことがあれば、その後論議をしていただくということで進めさせていただければと思います。
  そこで、これは御感想も含めて御意見をいただきたいと思います。
○  国の役割を全体的にスリム化するという方向で記述したことによって、国の役割の重要性が薄れたというのではなくて、逆に明確化したのではないかということで、評価したいと思います。
  それから、これから教育委員会が今まで以上に重要な位置に位置づけられてきた場合に、教育委員会としての政策形成能力とか、政策分析能力、あるいは情報収集、あるいは情報の発信能力、そういったものをどのようにより一層強めていくのか。そのために、教育委員会の人材について、どのようにより一層人材を登用していくか、そういったところがこれから勝負になっていくかなと思っております。
  最後の学校の自主性・自律性、経営責任は、具体的なことがこれから書かれるわけですけれども、今、方向性はこんなことかと思いますが、かなり具体的にきちっと書かないと、今書いてあるような学校への保護者や地域住民の意向反映等々というのは、考え方としては、今でも開かれた学校ということで意識していることでありますから、具体的に保護者とか、あるいは地域住民の意向反映を具体的にどういう形でするのか。あるいは、それによってプラスの面と、それから保護者とか、住民といっても、いろんな人がいるわけですね。かえっていろんなことを言われ過ぎてしまって、学校も混乱している面がある。そういったところをどのようにきちっとやるのか等々含めて、あるいは学校の責任の問題を含めて、後半で具体的に書かないと、学校が変わるというところまではなかなかいかないのではないかと思っています。
○  中間報告後に審議していくべきことについてもお触れいただきました。
  それから、先ほど初めに申し上げなければならないと思っておりましたが、きょうこの文案で次回の総会に小委員会の案として上げていくということをお認め願った上で、総会でまたいろいろ伺った御意見等をも踏まえながら、それに続いてもう1回、小委員会をお願いする。その小委員会を経て、次の総会に中間報告として出されていくという運びになりますので、そのことをお含みの上、御感想と御意見をいただければと思います。
○  実は、前々回、前回と大変忙しくしていまして、こちらの委員会に出席させていただくことができませんでした。今初めて触れさせていただく部分もあって恐縮をいたしておるんですが、全般的には今までの議論を踏まえて、うまく御記述をいただいているという感想を持っています。
  実はきのうまで予算特別委員会等がありまして、いろいろな議論をしてきたわけでありますが、従来にはなかったことが御質問でたくさん出てまいりました。それは何かというと、一つは「心の教育」にかかわっての問題と、栃木県黒磯市の例のナイフ等にかかわることにかかわりまして、今まで学校教育に関する部分、あるいは地域の教育力に関する部分は結構あったわけですが、今回、非常に議論が出てまいりましたのは、家庭教育にかかわる部分について、今まで「心の教育」にかかわって、中教審の小委員会のほうから座長私案が出ておりますが、それとも絡みまして、家庭教育について教育委員会がどういう役割を果たすべきか。実は今までは、個々の家庭に教育行政で踏み込むのはなかなか難しいという表現をいたしておったわけでありますが、しかしながら、教育委員会として家庭教育にどうアプローチしていくかという部分で、結構な御議論がありました。
  これは、今後、地域の教育力ということの中で、家庭の教育、あるは保護者の教育ということになるんでありましょうが、中間報告以後の議論になろうかと思いますが、中教審の「心の教育」のところのまとめができたところぐらいになりますと、教育委員会の機能の一つとして家庭教育へどうアプローチしていくかということが、結構議論として生まれてきそうな気配がいたしております。そこを幾らか整理しておく必要があるのかなという思いをいたしております。
○  学校の自主性・主体性ということで、幾つか気になっていることがこの中に盛り込まれているものですから、感想と、今後どのように進めたらいいのかというその困難さというか、問題などを自分なりに考えたことを、ここで述べさせていただきたいと思います。
  一つは、現在、学校の様子を見ていったときに、ここに保護者並びに地域の方に対する学校の教育方針なり、それから学校がどのように実施してきたのか、その状況をなどを知らせるという機能を持たせたらどうかということで出ているわけですが、これについて、現時点はそれに沿ったようなものとして、例えば新入生に対して就学時健康診断が義務づけられていまして、それとあわせて本校の入学説明会、どういう教育方針で、どういうものを目玉として学校でやっているのかとか、そういうのを10月ごろやっているわけです。
  またさらに、年度が始まっていけば、学校として当初の目標に対して、どのように子どもたちの教育を日々やっているのか、途中の経過などについても、校長先生が「校長だより」という形で書いているわけです。また、これは在学している子に対しては「学年だより」とか、「学級だより」等で、その辺の子どもの様子なり、学校の様子なども盛り込まれていく。そういうことを現時点でやっていくわけですが、この文言からしますと、さらにもっと幅広い地域住民の方を巻き込んでいって、さらに学校の教育活動、学校をバックアップしていただけるような形で進めるというところについて、そんなに間口を広げてしまて大丈夫なのかな、収拾つくのだろうかというところが感じられます。
  そのほかにも、地域の方、例えばお医者さん等については、学校保健委員会であるとか、それから学校給食委員会、それから大きな問題として数年前に出できましたいじめがあったときに、いじめ防止対策委員会等々、もろもろの組織なども現にあるんです。でも、いじめについては、本校は今のところないということで、年に1回ほど、自治会長さんと民生委員さんなどを集めてやっている次第です。
  ですから、先ほど言ったような、もっと広めた形の組織というのは、一体どの辺までをどのようにやるのか。そして、現時点であるような組織との兼ね合い、もちろんPTAも入っていますし、学校と保護者というところで一番連携をしなくてはいけない部分はPTAだと思うんです。その辺、ほかが広がり過ぎてしまって、日々の実践、教育活動をやっていく中で必要な部分の組織について、ないがしろにするということはないと思いますが、その辺との兼ね合いをどのように持たせていくべきなのか、自分自身としてはっきり見えていない。そんな点を一つ感じました。
  次に、学校開放が叫ばれているということでありますけれども、現在、学校のスリム化ということで考えていったときに、確かに施設などについては、既存の施設では体育館であるとか、校庭などについては開放できる状態です。そして特別教室、美術や図工やその他の音楽であるとか、さらにはプール等について開放する。施設一つ開放するに当たっても、それに対応できるようなものが現時点では数えられるだけしかないだろう。当然、管理面ということで、その辺の兼ね合いが教育委員会との関係で大きく出てくるのではないか。
  それプラス人材も、教員という形になると思うんですが、地域の方との連携をするに当たって、人材も機能として開放するということになると、学校本来の教育はどうかなという部分があるんです。学校としては地域の方の教育力を生かして、いろんな授業等について協力いただいている。そういう協力いただいている分野でもって、逆に出ていくのは嫌だという意味ではないんですが、自分の守るべきというか、やらなくてはならないところはどうなのかという部分で、学校開放も地域との連携を広めようというところはわかるんですが、その辺のかみぐあいが一つ気にかかります。
  最後に三つ目で、生涯学習云々ということで、まちづくり、地域おこしということでやっていくに当たって、行政の方は本来の社会教育施設等において、いろんな情報等を提供していく。もちろん施設も。そういう形で支援活動しているんですが、民間の事業者等と連携しようという、そこまでやっていくとなると、教育委員会がここでは中心的役割を担っていくのだというときに、人材の確保に当たって人数的なもの、また民間の方とどういう連携をしていくか。連携、連携と言うのは口ではやさしいでしょうが、現実に民間の企業を漏れなくやるのか、ある一部の企業とだけ、あるいは事業者とだけ連携を取った場合に、地域、町、市にあるほかのそういった機能、文化的なところにしても、スポーツ的なところにしても、連携というのが非常に難しいのかなと。実際にしていくにはかなりの時間と労力がかかるだろう。これはまちおこし、地域の人づくりという部分ではやむを得ない部分もあるんでしょうけれども、そういうところは非常に高度なというか、アカデミックというか、ねらいはいいんですが、現実面に返ったときに、なかなか難しいなという感想を持っております。
○  地域振興ということでいろいろ出てまいりますけれども、そういった中で、教育委員会とか、学校と住民との関係、あるいは地域のコミュニティ等、いろいろ出てきて、そこで「地域住民」ということがよく言われております。私は、この「地域住民」は、この前申し上げましたが、子どもも入るのかどうかとかということがありますけれども、ここへ企業も入れていただきたいと思うんです。きょういただいた資料の中で、「企業」という言葉が出てまいりましたが、地域振興における企業の果たす役割は大変大きいと思います。特に私どもは、埼玉県内43市あって、製造事業所数が県内で2番目に多いんです。そうしますと、今、景気が悪くて、法人市民税が落ち込んでおりますけれども、そういった企業の発展が私どもの自治体の発展に大きな役割を果たしてきておるということであるわけです。
  それと同時に、今、お話が出ましたが、企業とどういうかかわりを持っていくのかということですけれども、前にもちょっとお話ししましたけれども、私どもでは出前講座というのを全国に先がけて始めたんですが、当初は行政のみの出前講座であったわけであります。それを市民のニーズにこたえるためには、どうしてもそれでは無理だということで、市民の方が講師になる。それから、企業が講師になる。それから、公共機関が講師になる。それと学校の先生が講師になる。そして行政。この五つの部門で、今、176の講座を持っております。
  そういった中で、企業の講座というのは、地元にある企業でありまして、小学生がよく、前は社会科見学と言ったんでしょうか、企業見学に行ったり、あるいは地場産業の発展のためにもそういうことをやったのだと思いますけれども、地元の企業にもこういうものがあるんだと。子どもたちにそれを知っていただく、また大人にも知っていただくための講座をやっているわけであります。そういった意味で、地域振興に関しては企業もあわせて、私は「地域住民」とともに同じように重視をしていくべきではないかと思います。
○  枝葉末節なことだけ申し上げて申しわけありませんが、私、言葉のほうを専門としておりますので、片仮名英語のことですけれども、例えば「ナショナル・カリキュラムセンター」を設けるとあります。しかし下のほうには「生徒指導研究センター」と日本語が出てくるわけで、これを何とするかなと思いますが、ただ文章として発表いたしますと、将来そういうものをつくるときに、どういう名前にするかということをある程度想定しておかなければいけませんので、何かこれは考えておいたほうがいいという気がいたします。
  もう一つ、「リカレント教育」というのが2ヵ所出てくるんですが、これは内容がよくわからないのですが、私が悪いのかもしれませんが、一般の方が御覧になってどのくらいわかるだろうかということで、これは日本語にしておいたほうがいいのではないか。
  あとこれはこのままでもいいかなと思いますが、「地域のアイデンティティ形成」。「アイデンティティ」というのは私もよく使いますけれども、文章にすると、何という日本語にするか、これくらい日本語の翻訳が難しいものはないですね。一番近い言葉は「独自性」という言葉ですけれども、「独自性」と「アイデンティティ」はちょっと違うみたいな気もしますし。ただ、10年ぐらい前、ユネスコが「カルチュラル・アイデンティティ」というのを議論いたしまして、私、文部省の方にお供して行きましたときは、文部省のユネスコ委員会では「文化的独自性」と訳しておられました。ちょっと違うような気がしますが、「独自性」だけだとぐあい悪ければ、「文化的独自性」とか、この内容から「文化的」を入れるのかと考えておりますが、いかがでしょうか。非常に枝葉末節でございますけれども、以上でございます。ほかの点は非常によくなったと思います。
○  これからのことで、特に「学校の自主性・自律性の確立について」という項目の中で、これは今後手直しされてくるわけですので、このような表現の仕方でいいのかと思いますけれども、何々について検討する必要があるということでありますから、それでいいんだと思います。
  ここで特に、学校や家庭・地域社会が連携協力していかなければならないということが書かれているわけですけれども、これはかなり前からずっと言われていることで、そこから一歩もまだ踏み出ていないということ。これはやはり次のときには一歩踏み込んで具体的に、そして第15期のときの答申の中に「第4の領域」という言葉が使われていましたけれども、そういうものを踏まえたような別の領域を考えていかなければ、連携が必要である、必要であると言いながら、何ら踏み込めないという形に今までずうっとなってきておりますので、「反映していく仕組みを検討する必要がある。」とありますけれども、これは本当に検討していただいて、「諮ることが必要である」というぐらいに書いていかないと、ここの問題はみんな、何とか逃げようとするようなところではないか。それぞれの立場に立って考えると、「連携、連携」と一口で言っても、なかなか難しい。何十年の間言われているものがなかなかできないということですので、一歩踏み込んだ具体的な第4の領域ということで考えていただければと思っております。
○  全体としまして非常にわかりやすくなったと思って、ありがたく拝見をしております。
  1点、これは内容的なことになりますので、これから検討をしていただくことになろうと思いますんですが、一つこれから議論していただきたいと思いますのは、直接かかわるところを言えば、学校の自主的な取組を支援する観点からの教育委員会の機能の見直しになるのかなと思うんですが、全体としまして地方教育行政の制度論になっているので、機能の面の見直しというのが、どちらかというと積極的に介入していくのではなくて、あまり立ち入っていかないという方向での見直しが強調されているんですけれども、それぞれの学校が自主性を発揮して、学校の独自な運営をしていこう、教育活動を展開していこうというと、それだけではなくて、それを専門的な立場からバックアップをして、相談に乗ってやったり、あるいは情報提供したりするようなものがかなり必要なんだろう。そういう面の機能の拡充を教育委員会のほうで考えなければならないのではないかという気がします。
  それに対応するのは、ナショナル・カリキュラムセンターのところですが、教育委員会等からの求めに応じて助言や支援を行うということになっているわけです。ただ、この「教育委員会等からの」というのが、どのレベルの教育委員会を想定しておられるのかということで、市町村の3,000幾らがここへ相談を持ちかけるのか、あるいは県教委が相談を持ちかけるという形で考えておられるのかということで、ましてや個々の学校がここへ相談を持ちかけるということにはたぶんならないのではないか。個々の学校が相談を持ちかけていくのだと、もう少しブロックレベル、あるいは県レベルぐらいでこういう何か専門的な機関があって、そこへ相談を持ちかけていくということがないと、ちょっと足りないのかなという気がするわけです。
  そういう意味で、「地域全体の教育課題に対応した施策の推進や学校ごとの教育課題に沿った指導・助言など」、その辺に「重点を移すなど」と書いてあるんですけれども、今までやっていた10の中から5減らして、残りの5に重きを置きますよという感じですが、ここのところをもう少し拡充をしたほうがいいのではないか。そういった体制を整えるんだということで、多少踏み込んだほうがよくないだろうか。
  ただ、都道府県の教育委員会なり、あるいは市町村の教育委員会に、そういう力があり得るかどうかという問題がありまして、そこのところを例えば大学との協力であるとか、あるいはいろんな形で体制を強めることを考えるとかいうことで、各県ごとの学校教育を支えるセンターをつくるという、そういったことがあったほうがいいのかなという気がしております。その点は、この後御検討いただく部分になりますので、その辺を少し手を広げておいていただいたほうが、議論しやすいのではないかという気がします。そこだけちょっと気になっております。
○  とても全体像がはっきりして、ようやくいろんなことがわかってきたと思いました。私の立場から申しすと、特に文化を軸にしての地域振興というのが、今、多面的に、多角的に行われている現状があって、それに対してようやく教育委員会の位置づけがはっきりされたなと思いました。今まで首長部局が文化にかかわることに、特に生涯学習も含めて大きな力を発揮していて、どうしてそこに教育委員会の力が及んでいかないのかなということを漠然と感じていたんですけれども、そのことを具体的にどうすればいいかはこれからだと思いますが、位置づけだけでもこれだけはっきりしたことはよかったなと思っています。
  先ほど委員がおっしゃった人材や情報収集や企画や実行していく能力を、いかに教育委員会がつけていくかということが重要であると同時に、これは突飛な考え方かもしれませんけれども、教育委員会という名称ですね。どうしても学校教育というイメージが非常に強く浮かんでくる気がして、これだけ地域振興ということの中での位置づけ、地域の中での教育委員会の果たすべき位置づけが明確に大きく打ち出されたからには、もう少し何か新しく考えてもいいのかなと。「文化」と言ってしまうとあいまいになってしまうと思いますけれども、これからの教育委員会はもっと大きいものを相手にしていくんだということを何かアピールできればいいのではないかと思いました。それが1点です。
  それから、地域コミュニティの拠点として学校、公民館を活用していくことについて、この小委員会の最初のころに、横浜市の中学校に行く機会がありました。そこで、地域の中でどのように空間を利用していくか、あるいは災害時にどのような位置づけになるか、その用意をなさっていらっしゃるのをつぶさに見せていただいたときに、次は学校の先生方が地域の中でもっと外に出ていく、ないしは開いていくということを、どう考えていけばいいのかなということを思いました。
  昔の小さい町村ぐらいですと、お医者さんとか、お巡りさんとか、学校の先生、それからお坊様ですとか、そういう方々が地域のコミュニティの重要な柱になっておられたように思うんです。わからないことがあると、学校の先生に聞けばわかったというように、これは非常に牧歌的な図式だとは思うんですけれども、これから先、世の中がもっと複雑になっていって、子どもたちや地域を取り巻く環境が複雑になればなるほど、何でもないことをふと尋ねられたり、相談に乗ってもらえたりする、センターも必要でしょうけれども、身近な人間がいるということがとても重要になってきます。学校の先生はそれになり得るすばらしい人材なのですから、それが地域の中で学校の中だけにいらっしゃるというのはとてももったいない気がするんです。
  もちろん、これは先生方の仕事を増やすということではないんですけれども、実際、芸術文化の活動で地域に入っていきますと、そういうものに参加したいとおっしゃる先生方がたくさんいらっしゃるんですが、「学校を通すとすごく面倒になるから、個人で参加する」と大抵おっしゃるんですね。なぜ学校を通すと面倒になるのかというのを不思議に思ったことがありましたけれども、個人であればいろんなところに出かけていって、ほかの学校の子どもたちとも積極的に触れ合える先生方がいらっしゃるのに、それが現状のように、学校単位ではなかなか動きにくいというのはもったいないと思っていました。先ほどある委員がおっしゃったこととは逆になるかもしれませんが、私は学校の先生方がもっと外と触れ合える機会、地域の中で生かしていく機会をこれから考えていけるのではないかと思いました。
○  全体的なトーンについては、これでいいかと思います。幾つか、私自身しつこく言ってきたこともあったんですが、非常に難しい問題がいろいろありますので、ほぼこれでいいのではないかと考えます。
  ただ一つ、前のものと今回のもので大きく変わったのかなということがあるんです。それはどういうものかというと、研究開発校にかかわることについての文言が、ただ単に文章の流れが変わったということではなくて、意味内容自体がすごく変わっていると思うんです。というのは、前回のものを読んでみますと、少なくとも前回の文章では、研究開発については、都道府県等について主体的に実施することができるようにするということで、はっきり言って、これまで国が持っていた研究指定校の権限を都道府県以下にもおろして、都道府県が自由に自らの判断に基づいて研究開発をしていくという意味としてとらえることができたんですが、今日いただいた文章では、その前に「国が……認める場合には」ということが入っていまして、前回の意味とは全然違ってくるわけです。
  今日いただいた文章では、これは今の制度と全く同じですよね。ですから、今と同じような制度の仕組みをわざわざこういう形で書くということは、どのような意図があるのかなと。できれば研究開発の仕事というのは、都道府県以下でもっと自由にできるようなほうがいいのではないかというのを私自身考えていますので、その辺、現行制度の仕組みをそのまま書くということを見直しのところに入れているのは、どういうような意図があるのかということをもう少し説明いただきたいというのが一つです。
  もう一つは、前日の文章と比較して調べてみると、修正ではなくて削除した部分がありますよね。例えば教育長の資格要件なんていうのは、これはすっかりなくなっていますし、あと県費負担教職員の任命権限については、法定委任の範囲を政令市以外にも拡大するという文言もすっかりなくなっています。ほかに、もしも削除されたものがあるのであれば、なぜ削除されたのかということをもう少し説明いただいたほうが、全体の理解が進むのかなということで、もしも可能であればそうしたことをお願いします。
  あと、今回触れられた点で、私は非常に賛同するのは、情報網の整備です。これからの地方の政策立案の能力を高めていくという点では、これは死活の問題だと思いますので、ぜひ実行してほしいと要望します。
  実は今週の月、火と高知県に行ってきまして、高知県の教育改革とか、学校づくりの状況を2日間にわたっていろいろ見せてもらったんですけれども、はっきり言って、あそこは今、やれることは何でもやるということで、全国で優れているような教育委員会の取り組みについて、可能な限り情報を集めて、自分たちの状況に合うような形でつくりかえながらいろんなことをやられているんです。
  例えば、高知県教育委員会の学校支援の取り組みの一つに出前研修というものがあります。出前研修というのは別に新しいことではなく、三重県とか、いろんなところでもやられている事例ですが、今まで学校現場の研修というのは、教育委員会ないしは指導主事がイニシアを取ってやるような研修というのは、どうも効果があらわれないということで、それをやめて、学校現場の問題とか、学校現場の先生方の要望があった場合に限り、指導主事が出かけていって、要望のあった具体的なテーマについて、勉強会、研修をやる。そうした出前研修をことしから始めたらしいんですけれども、この1年間で、その出前研修に参加したのが4,000名近くもいたということで、学校現場が非常に活性化しているというお話をされていました。
  そのほかにもいろんな取り組みをやられているんですけれども、このようなアイデアを一体どこから持ってきたのかとお聞きしましたら、とにかくいろいろな手段を使って、全国の都道府県ないしは市町村の教育委員会に問い合わせをしながらデータ・情報を集めて、そうしたことをやっているんだという話をされて、そうした政策立案を含めた情報を地方の教育委員会や学校現場が極めて切実に必要としているということを、今回行って改めて感じたんです。そうした地方の教育委員会ないしは学校が真に欲しているような情報を体系的に整備されて、いつでもそれが手に入れられるようなシステムをぜひつくってほしい。これは希望というか、この点は賛同します。
  さらに、広域連合で教育委員会をつくるというのは、これは本当に必要な点なので、このようなことをやれば、小規模の町村教育委員会もそれなりに対応ができるのかなということで、これは非常にいいアイデアだという感じがしました。以上です。
○  先ほど英語のお話がございました。実は、私が日本青年会議所の会頭をやっておりましたときに、環境教育を子どもも大人もまちも企業も、そして世界じゅうで進めるために、「もったいない」という言葉を、話が長くなりますので簡単にいたしますが、あるブラジル人の日系三世の女性から、その言葉のすばらしさを逆に教わって、感動した思い出がございまして、「もったいない運動」というのを提唱しました。今、世界じゅう約100の国、30万人の二十から40歳までの国際青年会議所の運動テーマが、「もったいない」。これが日本語のまま世界に広がっているという例もございます。とかく我々は言葉を決めるときに、英語にしやすい、一言で訳せる名称を考えがちでありますが、そういった意味では、日本人に極めてわかりやすい言葉を一つの軸として考えることも大事かなと思います。そんな観点も含めて、先ほどおっしゃっておられた「教育委員会」という名称を見直したらどうかというのは、私も心から支持させていただくものでもございます。
  内容についてでございますが、開かれた学校づくりという点での議論、詳細については、後に送るという前提で、大変すばらしい内容になったかと思いますが、一つだけ、このところの中間的なマスコミの報道などを見ても、このような答申が出ると、ついつい「カリキュラムセンターを設置する」とか、「ボランティアセンターをつくる」とか、一つの各論のみが浮上してきて、ここまで小委員会が議論してきた大前提が何となくどこかへいってしまうような気がします。
  実は私のささやかな信念は、地方分権も大いに結構、規制緩和も結構、行革も大事だけれども、とにかく地方における教育行政こそが最重要課題である。道路がなくても、橋がなくても、ホールはなくても、空港はなくても、とにかく教育行政への力の入れ方こそが、これからの時代、非常に厳しい財政上の問題の中でも大事なんだと。その前提での地方における権限の委譲であり、自主性の確保でありということでなければならない。
  そのためには、首長といいますか、きょうもいらっしゃいますけれども、地方自治体の首長が本当に地方教育行政こそがまちづくりの大きな軸であるということをまさに認識していただけるような、そんな考えが前提にあってほしいなということを考えるわけです。受け皿議論には、能力という部分とやる気という部分がありますが、やっぱりやる気があって、首長がそれを訴え、議会がそれをセコンドし、市民がそれこそが大事なんだというところに、初めて地域参加の開かれた学校づくりが一つ一つ進む。
  これはこういう審議会の慣例としてやむを得ないのかもしれませんが、何か頭文といいますか、こういう時代なんだけれども、地方における積極的な取り組みこそが前提にあって、初めて行われる自主性の確保であり、改革であると。そんなことを、書面でなくても結構ですけれども、何らかの折にぜひ大きくアピールしていただいて、国民的なコンセンサスの一つのきっかけとなるようなものであることを願いたいと思います。
◇事務局    前回お示しをしたものの中で、大きく削除したものについては3点ございます。
  一つは、市町村教育委員会の事務処理体制の充実に関連をいたしまして、前回、県費負担教職員の任命権の法定委任の範囲を政令指定都市以外にも拡大することに関して、県内全体の教職員構成の適正化を確保する観点から、問題が多いと考えるという内容があったわけでございますが、これについては、委員の先生方から問題が多いということであれば、そういうことで一致したのであれば、わざわざ書く必要もないということもございましたので、これを削除したものでございます。
  それから、指導等の在り方の見直しにかかわる部分でございます。国立教員養成大学・学部について、前回は国立教育研究所の機能の充実を図るというのが入っておりましたが、これは「ナショナル・カリキュラムセンター」とどういう関係になるのかという御指摘もございましたので、その部分については、混乱を避けるために削除したものでございます。
  もう1点は、先ほど御指摘ございました点ですが、教育長に適材を確保するということにつきまして、資格制度云々ということについても触れていたわけでございます。具体的に申しますと、教育長としてふさわしい人材を得るため、教育長の任命に際して一定の資格要件を付すことの検討が必要であるということが記述されていたわけでございますが、この点について、「資格要件を付す」という意味合いが、これだけを読むと、何か法律上一定の資格を明確にするということの意味合いになるわけでございますが、現在では、そのような明確な資格を法律上定めて、その資格がなければ特定の地方公共団体の職員になることができないという資格を付すことに関しては、できる限りそういったことはやめていくということが、地方分権の中での方針でございます。したがいまして、先ほど申しました「一定の資格要件を付す」ことの意味が、具体的な一定の資格なりそういったことにとられるということであれば、それは趣旨と違いますし、当初はそういったことだけではなくて、望ましい在り方、望ましい教育長像を示すという意味合いも含めての文言だったわけでございますが、実際の受け取り方が必ずしも望ましい在り方を示すということとは異なって受け取られている面がございました。そういった御意見がございましたので、その点について誤解を避けるために削除したものでございます。
◇事務局    研究開発学校について御説明を申し上げたいと思います。
  全体のここのところの文脈の流れは、今後とも国が果たすべき役割の基本的な考え方が述べられているわけでございまして、その中で、全国的な基準の設定、教育課程の基準の設定はまさしくその代表的な例でございますが、そういったものは今後とも国の基本的な役割を前提としながら、その事務・事業の見直しを行っていこうというのが全体の考え方でございます。
  現在、研究開発学校を文部省が委嘱をしておりますが、全国的な教育課程の基準であります学習指導要領の適用を外して、いろんな教育課程の研究を行っていただく。現在の仕組みは、文部省があらかじめ研究開発の課題を設定いたしまして、その課題にのっとって、都道府県の教育委員会から推薦をいただき、特定の学校における研究開発の実施を委嘱しているという仕組みになっておるわけでございます。
  今後は、そういったものを、現在の仕組みは仕組みとして存続をさせますが、そういった学習指導要領の適用を外して行う教育課程の研究が、都道府県レベル、市町村レベルで主体的に実施できるように、研究開発の課題も、学校管理機関であります都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会が独自に設定をしていただきまして、もっといろんな課題について、学校において研究開発ができるようにしていこうというのが今回の趣旨でございます。前回のところは、気持ちとしてはそういうことでございましたけれども、抽象的な表現になっておりましたものですから、そういったことをより明確にしていこうということで、このような記述にさせていただいたことでございます。
◇事務局    教育長の資格要件につきまして補足をさせていただきます。
  教育長の議会同意という考え方と、それから資格要件を付すという考え方と、論点整理の段階からその二つがずっと流れてきたわけでございます。地方教育行政の前半部分については、ほぼ取りまとめをしていきたいという段階で、これをどうするかということでございますけれども、各団体のヒアリング等を見ましても、場合によっては免許制度という考え方もないわけではありませんし、いろんな意見があろうかと思いますけれども、まとまって資格をどうするというような御意見は、先ほど説明がありましたように、具体的議論の中で出てこなかったということが1点。
  それから、理論的に考えますと、地方自治という考え方から、教育委員会の枢要なポストであります教育長を、地方自治の原則に従って、議会に御判断を任せようという際に、議会の人材を選任する幅をまた法律で何か枠をはめるということは、どうも論理的にも一致しないかなということで、最終的にここで整理するとすれば、論理矛盾せずに、なおかつ地方分権というものの考え方で考えていった場合に、国の法律的な制度の枠組みとしては、議会同意ということで、この際地方にお任せするということがすっきりする。あるいは、ここで結論を出さなければいけないのではないかということで、そういう意味で、ぜひこれは委員の皆様方全体の御結論ということで、どちらかに振っていただきたいということで、あえて一方を削除させていただいたということでございます。よろしく御審議をいただきたいと思います。
○  全体として、今までのいろいろな意見をよく整理され、国、都道府県、市町村の役割も明確になったと思っております。
  20世紀型の学校教育から21世紀型へと変化する中で地方教育行政の教育委員会の在り方が、制度的にも変化していくということでございますが、具体的に一人一人の子どもの個性を尊重し、いわゆる21世紀型の、狭い意味の学校教育がもう少し幅広い意味の学校教育へと変化していく中で、教育委員会としては、学級編制等の法律第5条の規定の見直しとその運用についてが、一つの大きな課題になってくるかなと思っております。
  加えて、教育委員会の人材についてお話がございましたが、教育委員会がこれからの教育行政を担っていくに当たりましては、制度だけでなく、具体的にそれが機能するときの人材確保が非常に重要なことだと思っております。そういう意味では、教育委員会の人材が広域的な、そして幅広い人事交流の中で、いい形でそれぞれ切磋琢磨でき、またこれからの学校教育だけでなく、幅広い教育行政の人材の任用・登用の在り方も、大きな課題になってくるのではないかと思っております。
  教諭である方が教育委員会に入り、指導主事になり、一般行政のほうから行政事務の方が教育委員会に入ってきますが、数年でまたそれぞれに戻っていくという中で、教育委員会が蓄積された専門的な教育行政のいわゆるプロフェッショナルな人材育成を自らなし得ないということが大きな課題でございます。そういう意味では、地方教育行政のこれからの在り方の中で、それぞれの教育委員会の努力の中で、システムとしていろいろとできるような工夫もこれから必要ではないかと思っております。
  なお、地域・家庭・学校教育のことでございますが、地域コミュニティの育成という視点がここに出ておりますが、こういうことをもう少し前面に出す中で、コミュニティの育成が、すなわち地域の教育力や家庭の教育力を高めていき、それがまた学校教育を支えていくということを、社会的にも大きな一つの啓発活動としていただけたらと思っております。
  なお、先ほど教育委員会という名称についてお話がございましたが、国では一般的に「文教行政」と言いますが、地方では「教育行政」と言いまして、議会は「文教委員会」とか、「文教公安委員会」になっておりますが、一般的には「教育委員会」で根づいているのではないかと思います。外国の方に言うときには、「学校教育、文化、スポーツを所管している行政委員会です」と、こういう説明をよくしております。
  最後でございますが、学校がそれぞれ自律して特色ある学校づくりをしていく、そのためには学校もそれぞれ一定の財源が必要ですが、教育委員会も地域全体の教育施策をしていくときには、予算の措置がどうしても必要でございます。この点に関してはここにはほとんど出てございませんが、現実には財政主導型の中で、学校という教育機関をかかえている教育委員会の施策を一定程度独自性を持って確立できるようなシステムも、将来的な課題でございますが、御検討いただけたらと思っております。
○  内容的に、前2回の各委員から出された意見をうまく取り入れて書かれているということで、基本的にはそう大きな問題を感じていないんですが、一つは、一方の「幼児期からの心の教育」の中間の座長まとめというのをこの前もらったんですけれどもね。全体のトーンというか、表記の仕方が、教育行政というある意味で行政システムを変えるということですから、法律何条、何条というのがやたらと出てきまして、審議に参加している私たちはある程度わかるんですけれども、一般国民にこれが公表されたときには、非常にわかりづらいなという感じを持っています。あえて法令に基づき資格を有する教員と、「資格を有する教員」というふうに言っても、それほど意味があるのかなと。あんまり法律用語がまくら言葉にどんどん出てくるというのは、保護者とか、住民から見た場合は非常に読みづらくて、その条文の名前が出てくるとなかなか先を読まないということがあるので、その辺のところを少し工夫していただきたいということ。
  一方のほうは、諮問されているのは、確かに「地方教育行政の在り方について」なんですが、幼児期のほうのタイトルは「新しい時代を拓く心を育てるために」、アンダーラインして「次世代を育てる心を失う危機」というふうな、表題だけ見ても、大体どういうことを言わんとしているかというイメージがわくような文章になっている点からすると、小見出しのつけ方とか、何か……。行政システムを変えるのだから、どうしてもこのようにならざるを得ないという一面は、私もよく理解できるんですけれども、これ以上徹夜をしていただくのは忍びないんですが、ちょっと考えてもらいたいなというのが、全体的な印象の問題です。
  それから、内容的な問題では、これだけ国と都道府県、市町村の役割の見直しをして、できるだけ子どもたちとか、住民に近い市町村や学校に裁量の余地を拡大して、創意工夫を凝らすとしているんですけれども、これは分権推進委員会のほうも基本的にそうですが、それだけの裁量を与えられて、特色ある学校づくりをしようというときの予算的裏づけとか、財源措置が全然、財源の委譲が伴っているというふうに読み取れないので、今から言ってもせんないことではあるんですがね。かなり早い段階で、そういうことについて考えようということを提案した記憶はあるんですけれども、ここへきてということですから。
  ただ、どうしてもやるとすれば、「関連する行財政制度の」という表記が書いてあるんですけれども、それは国の教員配置の標準定数法の改正等を意味した言葉になっているんですが、全体として学校や市町村の独自性を発揮して教育行政を推進していくための必要な財源措置を、自治体全体、首長も含めて地方公共団体がもっと配慮するようなことを、何かちょっと書けないのかということを、内容的には感じています。
  それから、「見直し」「見直し」というのがずうっと出てくるんですが、かなりの部分はその見直しの内容はこういう観点からということで書かれていますから、わかると思うんですけれども、いわゆる措置要求等についての見直しのところは、国の全体の動向を見てとかというような表現になっておるわけですけれども、ほかの省庁の関係もありますから、国政全体の動向を見るというのは必要なんでしょうけれども、どういう方向で見直すかというのが、これだけでは一般の方にはわかりづらいのではないかというところで、そういった点をもう少し工夫してもらいたい。以上であります。
○  今度の中間報告は画期的なことであったはずなんですけれども、あんまり長くやっていまして、感動もちょっと薄れてきたんですが、要するに学校の主体性と、それを支える組織ということが一つと、それから中教審で言っていることは、教育というのは学校だけでやるわけではありません、みんなでやるんですよと。みんなの手にゆだねるというところから、具体的に地方教育のところに展開されるわけですから、みんなでやるという場合には、教育委員会プラス首長部局の連携なんですね。これは都市政策、環境、女性問題、すべてあるわけで、この連携のところがうまくいくかどうかというところが一つ大きくかかわるわけです。
  もう一つ、教育活動ということと施設という、この「教育活動」というソフトの部分と、地域にある「施設」の機能を十分に生かし、この施設ならこれしかやらないというのではなくて、相互交流みたいなことがもう少し考えられていいのかなと。21世紀的と言うんだけれども、何が21世紀的なのかちょっとわかりにくいんですが、インターネットの時代、情報化の時代で、その辺の大きなイメージ的な枠組みがもう少しはっきりすると、関心を呼ぶのかなという気がいたしております。
  例えば、私も実際に文化施設を運営しておりまして、教育委員会というか、学校との連携がやりにくいんですね。その一つのポイントは、地教行法の第32条では、はっきりと文化施設とかいうような施設の名前が載っていないんです。昔から法的な根拠を持たない。各地域の条例でやっているわけですけれども、その法的な根拠を持たないから学校との連携がやりにくいのか、その辺のところ、私はわからないんですけれども、そこが壁になっているのなら  ―「公民館」とまでは書いていますね、地方自治法のほうでは。だけど、地教行法のところに載っていないのが一つネックなのかよくわからないんですが、もしそういうことでフォローできるのであれば載せていただいて、首長部局が建てた文化施設であろうが、教育委員会で建てた施設であろうが、教育と関係があるんですよというふうに、皆さんで考えていくための手を打っていただきたいと考えます。
  それから、私学との関係について書いてあるんですけれども、教育委員会のほうの情報だけ私学に一方的にいくというのではなくて、公教育のほうも、私学が珍しいユニークな教育をやっていれば、その情報も欲しいのではないかと思うんです。そこも「連携」とかというふうに書いてありますから、書いてあるんだと言われればそれまでですけれども、情報の相互交流ということで、さっき別な部分にも書いてあった情報収集というところの中にも、私学のほうの情報も入れてほしいと思います。
○  全体的には非常によくできているんですが、一、二感じたことを申し上げさせていただきますが、私立学校に関連している部分でございます。書き方としてはこういう書き方なんだろうと思うんですが、連携という場合に、例えばいろいろな研修会等に参加する場合に、公立の学校の先生の場合は教育委員会から旅費等が出るわけですが、私立ですと一切出ないわけです。その連携をどの程度まで含めた意味にするのかということで、実質的に効果を上げられるかどうか、これだけでいいのかなという気が一ついたします。
  それから、私の感じでは、地域によってですが、ある県の場合などは、教育委員会の委員長を私立学校の先生がして、教育に関する情報、ノウハウの交流を、人的に計画的にやっているということもありますので、そういったようなことが考えられるのかどうか。なかなか難しいんだろうと思うんですが、教育委員会の中に私立の人を入れる、また公立の先生が私学審議会等に入るといったものも考えられるのかどうか。今から言うのはちょっとあれですが、最初にちょっと申し上げたんですが、交流という意味の中に、その辺のところをどこまで入れるのか。自主性と独自性と言われていますが、それと公共性とのバランスがなかなか難しいものですから、表現は苦心を要するところですが、そんな点が気になった点でございます。
  それから、今お話しになったように、学校だけが教育するという時代ではないだろうという状況の中で、例えば先般、神戸で市議会で審議をして、結局、地震があったときに、地域の防災拠点としては、学校と、それから学校の教員がいないと、地域防災ができないという実態があるものですから、いや応なしに学校が防災拠点になっているわけです。そうなると、そこに働く先生方が教育の仕事以外に、防災関係の仕事をする。積極的にするということなんでしょうけれども、当然、時間外等の問題が起きた場合、教育にかかわることではないけれども、防災のための仕事で時間外が起きた場合、今の仕組みでは時間外は払えないような仕組みなっているんだそうです。それは仕組みとしてはそういうことなんだろうとは思うんですけれども、教育をするということが学校だけの役割ではなくて、地域とか、家庭とか、みんなでやるという形、社会の変化に応じて地方分権の仕組みが考えられるということであると、今のお話を考えた場合、教育専門職であります学校及び学校の先生がいろんなことをやるということと同時に、それが首長部局等の要望の下請にならないように、首長部局が言うから、その下請でやるという形にならないようにする部分も一応触れておかないと、先ほどどなたでございましたでしょうか、学校の先生が御心配になっていたような、そんなにできるんだろうかという心配が一方あるわけでありますので、その辺も触れておく必要もあるのかなという気がしたわけでございます。
  なかなか難しいんですけれども、流れは流れとして受けとめながら、しかし現状は、確かに学校というのは、施設も、それから教員を含めたソフトも、学校教育だけになっていまして、それ以外とはなかなか交流しないし、その点は非常にかたいですね。地方で、私どもの末端で学校の窓口の人と話し合いますと、その辺を非常に強く感じますので、そういうことについては、この答申は画期的なことになるだろうと思いますので、その二つの面を強く指摘していただく必要があるのではないかという感じがいたしております。以上でございます。
○  大変よくまとめていただいて、これが総会に出て、もう一遍戻って磨き上げれば、外に出せるようなまとめになっているかと存じます。特に一般行政の中で、文教といいますか、教育委員会の主体性をグッと押し出し、だいぶ主体性が出たまとめにしていただいたと思います。
  「ゆとり」と「生きる力」、そして地域の重要性を入れていただいて、筋が大変通ったと思います。
  幾つか気がついたところをコメントさせていただきたいんですが、「ナショナル・カリキュラムセンター」についてですが、こういうカリキュラムセンターは、いつも恒常的に検討を行うもので、恒常的に反映するということが第一次答申の精神ではなかったかと思うんです。
  それから、先ほど情報網のことについて、お二人の先生が強調していただいて、私もこれを入れていただいて大変よかったと思います。もう一つ、できれば「情報網を整備し、情報伝達の迅速化」の間あたりに、「成功例の蓄積・検索や」ぐらいがあったほうがいいなという気がするんです。高知の例は成功例ですよね。ああいう例が集められ、蓄積されていて、引っ張り出せるというニュアンスがここに欲しい。そうすると、運営がうまくいっているところを参考にして、それぞれの教育委員会が上手な運営をしようということにつながるわけでございます。これが第2点でございます。
  それから、私立のところですが、これは私立のところと首長のところは、オドオドとしか触れていなかったのを触れていただいて、私は大変前進したと思っております。例えば先ほどの情報網、ネットワークにしましても、公立と私立の間のネットワークを地域ネットで組みたいわけです。それがなかなか、二つの壁を越えたネットが組みにくいということがありますので、こうした形で連携を持っていただくということを書き込んでおいていただくのは大変いいことではないかと思います。
  また、その後の方に「例えば」というところがありますが、これは衣の下のよろいなのかなという気もしますけれども、「例えば」からそれ以下を修正し、「……学校外の有識者の参加を得て、学校が保護者や」云々として、「……仕組みを検討する必要がある。」と。そして「例えば」の中身、こういう制度の導入も含るとしたほうがわかりやすい。ただ、「例えば」で非常に上手に、丸く中へおさめられたというのはよくわかるんですけれども、私はポンと出しちゃってもいいのではないかという気がいたします。これは御検討いただければ結構です。
  首長部門と教育委員会との関係は、教育委員会の主体性をずうっとこの辺で出していていただいて、統一的な文教文化政策を進めていただけると大変ありがたい。よく書いていただいたと思います。以上でございます。
○  全体としましては、いろんな方の意見を踏まえて、特に体系を今回少し変えて、一層よくなったように思います。全体の印象は以上でございますが、2点だけ申し上げたいと思います。
  一つは、研究開発校の指定の問題ですが、これだけ読むと、ちょっとよくわからないと思いますので、工夫が必要ではないか。よく知らない人は、研究開発にしろ、いろんな勉強にしろ、国の承認がなければできないというふうに理解しかねないと思うんです。たぶんここで言わんとしているのは、学習指導要領なり教育課程なりに外れたことをやるんだから、各学校なり、市町村なり、県なりの勝手の判断でやっては困りますよということが背景にあるんだろうと思うんです。一般の研究指定校みたいのは、それぞれ県あるいは市町村で大いにやったらいいということだろうと思うんですが、これだけ読むと、何か制限だけしているように受けとめられるなという気がいたします。
  もう1点は、多少細かいことですが、新たな柱を立てて、スポーツ、あるいは文化活動等について書き込んだということは、賛成でございますし、大いに結構なことだと思うんです。ちょっとここで気になるのは、文化財とか、いろんな芸術文化活動とかはいいんですが、プロスポーツチームを核とするスポーツ活動への支援が行われる場合に教育委員会が積極的な役割を果たすというのは、個人的には、私はプロ野球もJリーグも大好きでございますし、行政がプロスポーツに一定の関心を持つ、場合によっては関与することは大事なことだと思うんですが、そこは議論があるかもしれません。しかし、ここで言っているのは、要するにプロサッカーチームのサポーターを教育委員会が支援するというふうにも受けとめられるので、そこまでやるのかという気がするんで、趣旨は結構なんですけれども、ここのところはちょっと何か工夫が必要なのではないかという気がいたしました。
○  いろいろ御意見もいただきました。御意見の中に、中間報告後の具体的な改善策を打ち出す、あるいは検討すべき事項についても御意見をいただいております。この面については、きょういただいた御意見を整理しておいて、中間報告後の審議に反映させ、位置づけていくということにさせていただいたらと思います。
  そういうことで、3月16日の総会に、この委員会としての報告を、きょうお出ししまして大体お認めいただきました、ほぼこの文案のとおりで上げさせていただきたい。ただし、きょう出されたいろんな御意見をもとに、修正したほうがいいということについては私のほうで検討させていただいて、その修正については私に御一任させていただく。こうしたことを前提にして、3月16日の総会にほぼこの文案で上げさせていただきたいと思います。
○  さっき何人かの方が御指摘になった文章とか、片仮名の言葉というのはまだ直すところがあるのかなという気がするんですが、それよりも一つお聞きしたいことは、「地域社会」と「地域コミュニティ」というのは違のでしょうか。
  それから、「リカレント教育」の定義は何でしょうか。時々、ほかのところで普通に言っているのとやや違う意味があるような気がするんで、そこのところを、ちょっと質問いたします。
◇事務局    生涯学習の立場で使っておる用語でございまして、生活していく中で、いろんな技術の進歩、世の中の進歩にキャッチアップしていく、あるいはおくれないようにするために、絶えず勉強していくことが生涯学習の一つの要素になっておって、その機会を設けていく、それらを用意していくということが、リカレント教育の場を充実させていくということで使っておるんだろうと思います。
  一方、これはむしろ高等教育局のほうのサイドからは、「リフレッシュ教育」という言葉で、これはもっとはるかに現実の仕事に直接関係のするような、例えば工学部であったり、農学部であったり、そういう極めて先端的な技術あるいは知識、そこでの教育を「リフレッシュ教育」ということで言われております。
  きょう御議論いただいたところで使われているのは、そういう意味では生涯学習の観点からの「リカレント教育」という言葉で、一般的に我々が使っておる用語がふさわしいということで、たぶん使っているんだろうと思います。それがこの場合、いいのかどうかはこれはまた検討させていただければと思います。
  また、「地域コミュニティ」と「地域社会」ということでございますが、もちろん「地域社会」という言葉は広い意味での言葉で、包括的な概念でございます。文部省のほうでは長谷川局長のほうの生涯学習審議会の答申の中で、平成4年7月に述べられているわけでございますが、日常の生活圏における住民の生活・活動の拠点であると同時に、人々の交流・助け合いの場としての「地域コミュニティ」ということでございますので、「地域社会」というのは物理的な空間概念も含んで広い概念でございますが、その中で、今申しましたようなことを「地域コミュニティ」と言っている。そこは意味合いがやや違うということでございます。
○  それでは、きょうはありがとうございました。
  今後の審議の進め方でございますが、第216回総会を3月27日、金曜日、12時30分から開催して、「今後の地方教育行政の在り方について」の中間報告を行うこととしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  今後の取り進めについては、次回、3月16日の第215回総会においては、本日の御審議に基づいて、修正を行った中間報告の文案につい審議を行います。
  それから、3月24日の第14回小委員会では、総会の御論議を踏まえて、小委員会として中間報告の文案について、ここで最終的な審議をお願いいたします。
  そして、3月27日の第216回総会においては、中央教育審議会としての中間報告を文部大臣に提出する。こういう運びとしたいと考えます。
  これで本日の会議を終了いたします。次回の小委員会は、3月24日、火曜日、13時から、霞が関東京會舘のロイヤルルーム、34階で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
  なお、委員の方につきましては、第215回の総会を3月16日、月曜日、13時から、霞が関東京會舘・ロイヤルルーム、34階で開催いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  本日はどうも長時間ありがとうございました。

(大臣官房政策課)

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