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中央教育審議会

 1999/7 議事録 
初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する小委員会 (第13回)議事録 

 中央教育審議会

初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する小委員会(第13回)

議事録


平成11年7月8日(木)  10:00〜12:00
霞が関東京會舘35階    ゴールドスタールーム


1.開会
2.閉会

出席者

委員 
根本会長、木村座長、河合委員、川口委員、國分委員、田村委員、土田委員、永井(多)委員、松井委員、横山委員

専門委員
荒井専門委員、岡本専門委員、小川専門委員、工藤専門委員、小嶋専門委員、鳥専門委員、永井(順)専門委員、橋口専門委員、久野専門委員、山口専門委員、四ツ柳専門委員

事務局
佐藤事務次官、富岡生涯学習局長、御手洗初等中等教育局長、遠藤審議官(高等教育局担当)、工藤学術国際局長、木曽国際企画課長、本間総務審議官、寺脇政策課長、その他関係官


○木村座長  それでは、時間になりましたので、ただ今から中央教育審議会「初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する小委員会」、第13回になりますが、開催をさせていただきます。
  本日は、お忙しい中、本会に御出席賜りましてありがとうございました。
  それでは、まず最初に、事務次官に御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤事務次官  おはようございます。本日は、委員の皆様方、御多忙にもかかわりませず、そしてまた急なお願いを申し上げましたのに、お集まりいただきまして、本当にありがとう存じました。文部大臣は、本日は国会の審議で出席できませんので、代わりまして一言御挨拶を申し上げたく存じております。
  皆様方には、昨年の11月以来、初等中等教育と高等教育との接続の改善に関しまして、様々な観点から精力的に御審議いただいておりまして、この機会に改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。
  今日、国際化の進展によりまして、インターナショナルスクールの卒業生や外国人学校の卒業者、また、何らかの事情によりまして義務教育を修了できなかった方々に対する大学や高等学校への入学資格の付与につきまして、内外からの要望が高まっている状況にあるわけでございます。
  これらの方々につきましては、大学入学資格検定や中学校卒業程度認定試験の受験資格が現在は認められておりませんので、進学の道が制度的に閉ざされているという問題があるわけでございます。
  また、外国人学校卒業者の大学入学資格につきましては、昨年秋以来、国際化の観点から、諸外国における外国人学校の取扱いなどについて調査を行うなど、私どもといたしましても事務的な整理を行ってきたところでございます。
  文部省といたしましては、これらの問題につきまして、この際、我が国の学校教育体系との整合性を勘案しながら、国際化の進展やそれに伴う人材の流動化、あるいは規制緩和の要請の高まりといった社会の変化に適切に対応するとともに、個人の学習の成果が適切に評価される生涯学習体系への移行を図る観点から、個々人の学力を公的に判断して進学させる道を制度的に開くため、大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化を図ることといたしたいと考える次第でございます。
  これらの大学入学資格検定や中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化は、入学者選抜の前提となります大学入学資格や高等学校入学資格を付与する道を開くものでございますが、初等中等教育及び高等教育の接続にもかかわる事柄でございます。
  そこで、本日は、文部省として制度改正を行うに当たりまして、本小委員会の皆様方に文部省としてのお考えをお示しし、御意見をぜひとも伺いたいと考えた次第でございます。このような趣旨でございますので、どうぞ御理解をいただきまして、大所高所からの御意見を賜りますようお願いを申し上げるところでございます。
  重ねまして、本日の御参会につきまして厚く御礼を申し上げるところでございます。ありがとうございました。
  それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

<事務局から説明>

○木村座長  それでは、議論をしていただきます前に、資料1「大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化について」(※1)、先ほど佐藤事務次官からお話があったとおりでございますが、これにつきまして文部省の考え方について御説明をいただきたいと存じます。

○事務局  資料1を御覧いただきたいと思います。
  まず趣旨の「1」ですが、我が国の学校教育は、小学校から大学までの一貫した学校教育体系から成り立っているわけでございます。上級学校への入学資格につきましても、下級の段階の学校を卒業した者を原則としつつ、文部大臣が定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者に入学資格を付与しているという立て方になっているわけでございます。
  これと同等以上の学力があると認められた者というのは、例えば諸外国におきまして、外国学校教育の12年の課程を修了した者とか、そういうのが入っているわけでございますが、基本的に積み上げということになっておるわけでございます。
  これに関連しまして、大学の入学資格につきましては、高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある者ということで、中学校を卒業しましたが、高等学校に進学しなかったか、あるいは中途退学というようなケースがあるわけでございますが、そういう子どもたちのためには大学の入学資格検定という制度があるわけでございます。
  それから、同様に高等学校の入学資格につきましても、基本的には中学校を卒業した者ということになっておるわけでございますが、それと同等以上の学力がある者ということで、病弱等のいろんな事由がございますけれども、就学義務猶予免除を受けた者に対しまして、中学校卒業程度認定試験という制度があるわけでございます。
  「2」でございますけれども、先ほど事務次官からお話を申し上げたとおりでございますが、今日、国際化の進展等によりまして、インターナショナルスクール卒業者とか、外国人学校の卒業者、また、何らかの事情によりまして義務教育を修了していない者につきましては、大学や高校への入学資格の付与について、今、道があいていないわけでございますが、それについての内外の要望が非常に高まっているということでございます。これらの者については、大学入学資格検定や中学校卒業程度認定試験の受験資格が認められておらず、進学の道が制度的に閉ざされているという問題があるというのが現状でございます。
  「2」の補足でございますが、下のほうの「(参考)」に端的に書いてございますので、「参考」のほうを見ていただきたいと思います。
  現在、大学入学資格検定の受検資格は、中学校等を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められた者であって、その後、高等学校等に進学しなかった者やいわゆる中退者とされています。
  しかしながら、インターナショナルスクールや外国人学校は、そのほとんどが各種学校でございまして、各種学校につきましては、教育内容について法令上特段の定めがなく、その卒業者について一般的に中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めることは困難であるため、大学入学資格検定の受検が認められていないわけでございます。
  また、中学校卒業程度認定試験の受験資格につきましては、就学義務猶予免除者(相当する事由があると文部大臣が認めた者を含む。)―これはいじめとか、不登校というようなことで、相当する事由があると認めた者を含むということとなっているものですから、就学義務がなく我が国の中学校等を卒業していない者─―これは日本国籍を持っていない外国籍の子どもということになります─―や、日本人で日本国籍を持って就学義務がある者でありますけれども、いろんな事情によりまして、就学義務猶予免除という手続を受けませんで、義務教育を修了していない者には、そのいずれも受験資格が認められていないということになっております。
  したがって、平たく申しますと、インターナショナルスクールの卒業者、外国人学校の卒業者、また何らかの事情によりまして義務教育を修了していない者については、制度的に進学の道が閉ざされているというのが現状です。
  そこで、上にまた戻っていただきまして、「3」でございますが、このため我が国の学校教育体系との整合性を勘案しつつ、国際化の進展やそれに伴う人材の流動化、規制緩和の要請の高まりといった社会の変化に適切に対応するとともに、個人の学習の成果が適切に評価される生涯学習体系への移行を図る観点から、個々人の学力を公的に判断して進学させる道を制度的に開くため、大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化を図るという考え方をとらせていただきたいということで御説明申し上げております。
  もう一つございますが、先ほど事務次官から御紹介がございましたが、資料の9枚目ですが、本年4月には対日投資会議専門部会から、インターナショナルスクールの卒業者に対しまして、高等教育機関への進学機会がないということについて検討すべきだという提言もなされておりますし、また昨年の秋以来、後ほど御説明いたしますけれども、諸外国におきまして外国人学校の位置付けに関する調査を行うなど、文部省内で整理を行ってきたところでございます。
  この調査結果を見ますと、制度上、外国人学校の卒業だけで所在国の大学入学資格を認めている国はないに等しいということもございます。卒業に加えまして、バカロレア等の資格取得とか、全国的な統一試験の一定以上の成績などの一定の要件を満たせば、所在国の大学入学資格が認められるような国が多いという、これは後ほど説明いたしますが、そのような調査もございました。そういうこともあわせ踏まえまして、「3」に対しますような考え方をとらさせていただきたいということでございます。
  資料の2枚目の「2.具体的措置」ということでございますが、まず「(1)大学入学資格検定の受検資格の拡大」を目指そうということでございます。大学入学資格検定規程を改正しまして、中学校等卒業の資格を有しない場合でも満16歳以上の者については、大学入学資格検定の受検を認める。くどいようでございますけれども、今まで大学入学資格検定の受検ができます者は、中学校を卒業した者、あるいは中学校卒業程度認定試験を合格した者というふうに限られておりました。これに対しまして、中学校等卒業の資格を有しない場合でも満16歳以上の者については、大学入学資格検定の受検を認めようと。
  「ただし、18歳に達した日の翌日から大学入学資格検定合格者となる。」。これはちょっと補足いたしますが、大学入学資格検定というのは、働く子どもとか、いろんな事情がありますので、高校3年生相当の年齢で全科目一遍に受検させまして合格させることはなかなか難しいだろうということで、16歳以上の者については、1科目、2科目という積み上げで受検できるようにしようということでやっておりまして、その効果は18歳に達した日の翌日からということで、いわゆる小学校、中学校、高等学校とやってきた子どもたちと年齢的には合わせるという考え方をとっておりますものですから、そのようなことになっております。
  そして、これに合格した者につきましては、中学校卒業程度認定試験合格者とみなす。大学入学資格検定合格者は、直ちに大学を受験するか、あるいは場合によりましては高等学校を出ていないわけでございますから、高等学校にもう一度入り直したいという子もあり得るわけでございますので、大学入学資格検定に合格した学力を持っている者につきましては、中学校卒業程度の認定試験の合格者とみなしてよいのではないかということでいたしたいということでございます。
  では、どういう子どもが端的にこの受検資格の拡大で対象になるかということでございますが、インターナショナルスクールや外国人学校の卒業者あるいはその在学者が対象になるわけでございます。
  2番目でございますが、不登校等の様々な理由により―これは日本国籍を持っている子どものことでございますが―就学義務猶予免除を受けずに、そういう手続を取りませんで、義務教育を修了していない者ということであるわけでございます。
  適用といたしましては、平成12年度の大学入学資格検定、平成12年8月の実施ということで、平成13年4月の入学者から適用ということを考えておるわけでございます。と申しますのは、ことしは既に受検等の手続が全部終わっておりまして、8月の前半には各県で大学入学資格検定を実施いたしますので、今年度は間に合わないということでございます。
  それから、「(2)中学校卒業程度認定試験の受験資格の拡大」ということでございます。学校教育法施行規則及び就学義務猶予免除者の中学校卒業程度認定規則を改正しまして、「1」でございますが、これは日本国籍がない子どもでございますが、就学義務がなく我が国の中学校等を卒業していない者で満15歳以上になるもの。例えば、在日外国人等で日本国籍がなくて、各種学校であります外国人学校等に通っている子どもということになるわけでございます。
  「2」は、就学義務がある者。これは日本国籍を持っている者ですが、就学義務猶予免除を受けていない場合でも学齢を超過し就学義務を負わなくなったものについては、中学校卒業程度認定試験の受験を認めるということでございます。これは日本国籍を持っている場合には就学義務を課しているわけでございますから、就学義務猶予免除を受けていないということについて、直ちにいわゆる中学校3年相当の年齢で受けるということは整合性がないということで、学齢を超過しまして就学義務を負わなくなった段階で受験を認めようということでございます。対象としましては、インターナショナルスクールや外国人学校の卒業者、在学者などでございます。
  2番目でございますが、不登校等の様々な理由により就学義務猶予免除、それから相当する事由というのは、就学義務猶予免除という手続ではなくて、それに相当する例えば不登校とか、いじめとか、そういうことで相当する事由があると文部大臣が認めた者があるわけでございますが、そういうものを受けずに義務教育を修了していない者で就学義務年齢を経過した者が、今度は対象として広がるということになるわけでございます。
  適用につきましては、平成11年度中学校卒業程度認定試験、平成11年11月に実施する予定でございますので、これは間に合いますので、これにつきましては平成11年度から適用させていただくという考え方に立っておるわけでございます。
  このような形で、受験資格の拡大ということで対応いたしたいということで、御意見を賜りたいわけでございます。
  なお、この資料にございませんけれども、大学院について一言申し上げさせていただきますと、現在、大学審議会の大学院部会におきまして、大学院の入学者選抜の改善について審議が続いているわけでございますが、その中で、大学院の入学資格の弾力化についても審議されているところでございます。具体的には、大学院が学術研究の進展や社会経済の変化に対応しまして、いろんな研究者とか、高度専門職業人の養成を果たすという役割を持っているわけでございますが、大学を卒業していない者であっても研究能力を有する者については、個々人の能力に着目して、大学院に進学させる道を開くということで議論されているわけでございます。本日の大学審議会の総会におきまして、大学院部会の審議の概要が報告されておるわけでございますが、その中で、大学院につきましては個別の入学審査を行い、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者で、22歳に達した者に大学院の入学資格を認めることとされた内容が報告される予定でございます。大学院部会の審議の概要につきましては、本日の大学審議会の総会で了承された後、公表される予定でございまして、あわせてこのような考え方が議論されていることについて御報告申し上げたいわけでございます。

○木村座長  ありがとうございました。
  それでは、ただ今、少し触れていただきましたが、資料2「諸外国における外国人学校の位置づけに関する調査報告」(※2)につきまして、御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局  お手元の資料2を見ていただきたいと思います。「諸外国における外国人学校の位置づけに関する調査報告」でございます。
  資料の1枚目の調査の概要のところでございますが、「(2)調査対象」を見ていただきたいと思います。そこに書かれております先進国、アジア地域の23ヵ国・地域について調査を行っております。また、同時に199校を対象にした個別の外国人学校向けの調査も行っております。いわゆる政府向けの調査と個々の外国人学校向けの調査、2本の柱で行っております。
  調査内容につきましては、「(3)調査の内容」あるいは資料の2枚目にございますような内容でございます。
  調査方法でございますが、文部省が調査票を作成いたしまして、外務省を通じて調査を行ったものでございます。回収状況につきましては、政府等向けの調査につきましては87%でございます。学校向けの調査につきましては、若干低い回収率でございますが、110校、55.3%の回収率になっております。
  次に資料の3枚目でございます。調査結果の要点のみ御説明させていただきたいと思います。
  まず、外国人学校の位置づけということで、どういう位置づけをされておるかということでございますが、下のほうをちょっと見ていただきたいと思います。政府向けの調査でございますが、公的な教育機関として位置づけることができる制度が「ある」と答えているところが、9ヵ国8州等ございます。「なし」と答えているところが6ヵ国10州等でございます。これは「ある」と「なし」とが拮抗しておるというような状況でございます。
  また、外国人学校に対する制度的位置づけでございますが、多くの国等は私立学校として位置づけているということでございます。国内の学校とは別個の制度に基づく特別の教育機関というところは3ヵ国ございました。
  資料の4枚目でございます。学校向けに調査を行った結果につきましては、3校について、国公立学校であるという回答を得ております。また、制度的な私立学校というものが47校ございました。国内の学校とは別個の制度に基づく特別な教育機関が14校、上記以外の民間教育機関というものが43校でございます。
  資料の5枚目を開いていただきます。外国人学校に対する公的な経済的支援があるかないかという調査を行っております。政府向けの調査では、「あり」が1ヵ国5州等で、「なし」が12ヵ国10州等でございます。経済的支援を行っている国・州等は一部であり、大半は行っていないということでございます。
  同じ内容のものを学校向けに調査をしております。それにつきましては、「あり」の中で、所在国中央政府からの経済的支援があるというのが4校、州政府あるいは地方公共団体からあるが13校で、「なし」が88校でございます。所在国・地域の中央政府等から経済的支援を受けている学校はほとんどないということでございます。
  本国からの公的な経済的支援があるかについては、本国政府等からの支援が「ある」というのが34校、本国の学校法人等からというのが3校でございます。「なし」が50校ということでございます。本国政府等からはかなり支援をいただいておるという状況でございます。
  資料の6枚目でございますが、ここが今回の調査の一番重要な部分でございます。外国人学校卒業生の大学への進学について調査をしております。政府等向けの調査によりますと、まず当該校卒業により所在国の大学入学資格を取得できるというものが1ヵ国だけでございます。タイのインターナショナルスクールの場合は、卒業だけで入学資格が取得できるということのようでございます。
  当該校を卒業したということに加えて、一定の要件を満たせば所在国・地域の大学入学資格を取得できるというものが8ヵ国・地域9州等ございました。その一定の要件という内容は、そこにブレークダウンしておりますが、国際バカロレア、バカロレア、アビトゥアの資格を有することというのが2ヵ国7州等でございます。全国的な統一試験での成績等の要件を満たすというのが7ヵ国・地域3州でございます。当該校が州政府の指定したカリキュラム等の要件を満たしていることというのが2州でございます。その他、これはGCEのAレベル以上の成績証明ということでございますが、1ヵ国ございます。
  また、特に制度として整備されていないというものが5ヵ国2州ございました。
  資料の7枚目には、学校向けの調査につきまして集計しております。
  学校向けの調査によりますと、当該学校の卒業ということのみで、所在国の大学入学資格を取得できるというのが2校でございます。当該校卒業に加えて、一定の要件を満たせば所在国・地域の大学入学資格を取得できるというものが78校ございました。内訳はそこに書かれておるとおりでございます。
  当該校卒業後、所在国・地域の大学入学資格を取得する方法がないというものが27校ございました。
  そういうことでございますので、卒業に加えて一定の要件を満たせば大学入学資格が取得できるというものがかなり多い数字になっております。
  資料の8枚目でございますが、外国人学校における教授言語ということで調査をいたしております。1ヵ国語のみというのが73校、2ヵ国語というのが18校、3ヵ国語以上というのが11校でございます。
  最後に、資料の9枚目でございますが、外国人学校の教育活動について聞いております。所在国の教育制度を取り入れているというものが28校。具体的には所在国・地域の教育課程の一部を導入しているというものが20校、所在国の制度による教員資格取得者の任用を行っているものが9校、無記入であったものが4校ということでございます。また、所在国・地域の教育制度を全く取り入れていないというものが76校ございました。
  簡単でございますが、調査について説明を終わらせていただきます。

○木村座長  以上、「大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化」につきまして、文部省の考え方並びにそれに関連する資料について御説明をいただきました。
  それでは、少し時間をとりまして、以上の御説明並びに資料について、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願い申し上げます。いかがでございましょうか。
  どなたかございませんでしょうか。

○事務局  ちょうどいい機会ですので、先ほど説明いたしました資料1の3枚目から、「大学入学資格検定の概要」という資料がついておりますので、それを見ていただきたいわけでございます。
  「大学入学資格検定の概要」のところですが、資料の4枚目に棒グラフが書いてございます。「大学入学資格検定受検状況」というのが書いてございまして、一番下の表でございますが、志願者が平成10年度で1万9,000人、そのうち本当に受検しました数が1万6,000人で、合格者が1万人と書いてございます。
  これはちょっと説明いたしますと、1万人という数字は、平成10年度の大学入学資格検定において、全部トータルで合格したという数が1万人ということでございます。つまり、それまでに2科目なり3科目なり、あるいは高等学校を1年で中退した子は、あえて受検しなくてもいいですよという科目が入っておりまして、合格した瞬間に全部の科目に合格したのと同じようになる子どもが1万人ということでございます。正確なデータはないんですが、1科目だけでも受けたいという子がこの1万6,000人の中にいるわけでございます。そういう子どもの合格者ということになりますと、1万6,976人中、大体1万6,000人が科目ごとには合格するということでございますので、受検した科目については大体は合格するという感じで受け取っていただければいいかと思います。

○  資料1の「2具体的措置」のところの「(1)大学入学資格検定の受験資格の拡大」のただし書きで、「18歳に達した日の翌日から」とありますけれども、中央教育審議会でもいろいろ議論があって、今、日本では、条件はいろいろついていますが、17歳で非常に優れた能力を持っている子どもは、大学に入学をすることができる道が開かれているわけです。もし大学入学資格検定で受かった子どもがそういう優れた能力を持っていた場合に、17歳で入学をするということが可能なのかどうかということをお伺いしたくて。今の時点で17歳で入る子どもの数がそれほど増えているようには思いませんけれども、月日が流れて、将来的には制度の活用がかなり行われることもあると思うんですが、その辺の整合性はどうなっているのか教えていただきたいと思います。

○事務局  結論から申しますと、できるということになっております。端的に申しますと、以前、中央教育審議会で御審議いただきまして、17歳で、高校2年以上在学した者について、数学、物理の分野に限っては道をあけようということであけていただきまして、関係の法令を整備させていただきました。そのときに、高校2年以上在学した者と同等の者というところで、大学入学資格検定についても同じような規定をさせていただきましたので、理論的に言うと道はあいているということになります。ただし、当然、その分野は整合性を考えると、こういう分野になるだろうという解釈になるんでしょうか。そこまでは現実に問い合わせ等がございませんので、詰めたわけではございませんが、理論的には問題ないと思います。

○  質問でございますけれども、先ほどちょっとお触れになった、大学審議会で審議しているという大学院のことでございます。案の段階で結構なんですけれども、適用はいつからということになっているのか、差し支えなければということと、それから大学院に関しては、どうやら個別に判断すればよろしいと。しかし、今日の案では、大学に関しては、例えば大学入学資格検定を通りなさいということになっているわけですが、その辺の考えのもとにある哲学というか、お考えというか、それを伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局  適用の関係でございますけれども、実はちょうど今日やっておる大学審議会で、審議の概要という形で、部会から総会に報告ということでございます。その後、来月に答申という形で文部省のほうにいただくと予定しておりまして、それを受けて省令の改正等を行いまして、でき得れば来年の4月から大学院に入る方々について間に合うようにしたいと考えております。
  それから、もう一つの問題でございますけれども、大学院につきましては、大学との接続という観点で考えますと、大学も今、多様化・個性化がだいぶ進んでおりますし、内容も学部別、その他いろいろございますし、あるいは大学院のほうは研究能力ということもございますので、そういう観点から、今回、個別に大学院のほうで資格審査をする。恐らくペーパーでやるところが多いと思うんですけれども、それをやった上で、さらに大学院の入学者選抜試験を受けていただくという整理でございます。
  ただ、これは高等学校と大学との接続の観点で言いますと、大学学部への入学資格につきましては、学部段階の教育というのは高等学校等における学習指導要領を踏まえた体系的なカリキュラムに基づく基礎的な学力を修得している。それを基礎に学部教育が展開されているということでございますので、そういった基礎的な学力が修得されているかという判断については、高等学校卒業あるいは公的な試験の大学入学資格検定等の合格といった取り扱いをするのが適当であろうという整理を、大学審議会のほうでもしておるということでございます。

○  そうすると、いかがでしょうか。大学入学資格検定を通らずに、大学入試センター試験―これは将来、性質が変わらなければいけないかもしれませんが―ということは現在はお考えになっていないということになりましょうか。

○事務局  大学入試センター試験は入学者選抜の一つのカテゴリーという理解でございますので、そういう議論は今のところございません。

○  確認の意味で質問をしたいことがあります。これは日本国籍を持つ子どもで、インターナショナルスクールもしくはアメリカンスクールに通っている小中学生、あるいは義務教育の就学義務猶予の免除の手続を経ていない日本国籍を持つ子どもたちは、この措置がとられても、依然として就学義務違反が法律上成立するということになるわけですね。そこで、申し上げたいことですけれども、今回の措置は、もちろん外国人の子弟にとっても大きな意味合いを持つと同時に、日本人の子弟にとってもかなりインパクトのあるものだろうと私は考えます。
  さらに、将来的な検討課題としてテークノートしておく必要があると思いますのは、現在、アメリカやヨーロッパの諸国にある義務教育の例外規定もしくは日本でも戦前の国民学校令以前までありました義務教育の例外規定についても、将来的には検討する必要があるのではないかということです。現在、直ちに実現する必要があると考えませんが、将来、必ずそういうことが検討課題になるであろうという意見を私は持っております。

○事務局  例えば、就学義務督促を受けても、なおかつ確信的にそういうコースを取りたいという子どもたちには、結果的に道があくわけでございますから、私どもとしまして、学校教育体系、それから義務教育の考え方そのものに変更を来すものではないと思っています。いわば例外的な措置だと思っておりますけれども、意図的にそういうふうにしていくことについて、結果的にあけていくということになりますと、そういう意見が出てくることは否定はできないだろうと思うんです。ただ、今のような考え方を政策的に推し進めるというような考え方を今すぐ持っているわけではございません。
  もう一言補足して説明させていただきます。現行では、憲法第26条第2項前段の規定がございまして、「すべて国民は、法律の定めるところによりその保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とございますので、子どもの教育を受ける権利をどういうぐあいに構成していくかということは、国の教育の基本にかかわることでございますので、そういった御意見があるということは私ども承知しておりますけれども、今回、そこまで踏み込んだ議論をしておりません。極めて慎重に扱っていくべき事柄だろうと考えているところでございます。

○  意見と質問を申し上げたいと思います。この国際化の問題は、第一次答申のテーマがそもそも国際化でございましたので、遅まきながらそれにこたえるものだと思います。そのとき私も意見を申し上げたのですが、なぜかそれは落ちておりましたが、やっと実現したかなという感じを持っております。これは御提案ということなんですか。こうするからということなんでしょうか。それは支持させていただきたいと思います。
  もう一つ、いわゆる大学入学資格検定というのは、何をもって合格としているのかということですけれども、これはたしか私の知るところでは、平均点以上ということでございますよね。絶対評価ではなくて、到達度ではなくて、たしか平均点だと思っているのですけれども、それはどうかということ。
  それから、先ほど、大学入試センター試験のほうは選抜的なものであるとおっしゃられたんですが、大学入試センター試験のほうもたしか高等学校卒業までの到達度がどのぐらいかということを測るということで、目的がこの二つは重複してくるんだと思うんです。その辺をどのように整理しようとなさっていらっしゃるのかという、その二つがこれから浮かび上がってくるかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

○事務局  大学入学資格検定は、大体高等学校で必要とされる内容のミニマムなものを設定しておりまして、競争試験ではございませんから、到達度のある点数を合格点としております。
  平均点ではなくて、到達度の合格点ということですね。ですから、平均点とか何とかというのではなくて、ある水準に達していれば合格というふうに科目ごとにやっておるわけでございます。
  大学入学資格検定というのは、もともと大学の入学資格ということに関しまして、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するという制度でございまして、高校卒業の認定をするとか、そういうことではない。いわば大学の入学資格に関して同等の学力があるかどうかという考え方をしております。科目数も、今、11科目、人によりまして12科目ということになるわけでございます。先ほど御紹介いたしましたように、1万6,000人受けまして、1万6,000人がほぼ合格するような水準に設定してある、ミニマムな内容にするということになっています。それをどの程度のレベルにするかというのは、まさに接続でどうするかという問題があるかもしれませんけれども、この制度ができた当初の理由は、中学校、義務教育を修了した後、いろんな事由があって勤めに出たり、あるいはいろんな理由があって高校を中退した者に対して、進学の道をあけようということがもともとの趣旨でございますから、そのような水準に設定しているという実情であります。
  大学入試センター試験の関係でございますけれども、大学入試センター試験は、先ほど簡単にお答えしたんですけれども、各大学で行う入学者選抜の一部を共同して実施するという性格でございまして、入学資格がある人についての入学者選抜ということでございますので、入学資格をどう与えるかという次の段階となるものですから、ちょっと性格が違ってくるだろうと思っております。

○  先ほどの他の委員の方の御質問と関連するのですが、大学入試センター試験の受験資格について、国立大学の場合には文部省の見解に従って、現在、それを認めていないわけです。他方,公立大学の場合は、かなりの数の大学が学長の承認書を出すことによって、大学入試センター試験の受験資格を与えています。つまり,大学入試センター試験が受けられるということになっているわけです。この形での弾力化が行われた場合には、その扱いについては今後どのようになるのでしょうか。

○事務局  受験資格についての一次的な判断は大学のほうで行っている。それに基づいて、そこの大学の入試の一部を大学入試センター試験という形で活用していくということでございますから、受験資格の問題については、これまでどおり各大学での判断ということになろうかと思います。

○  さっきの社会人の質問についてお答えいただきたいのと、それから日本人であって日本の国籍を持っていても、例えば片方の親が外国人であるとか、そういうことで、むしろ両にらみの教育を受けさせたいと思う家庭もあると思うんです。今、いろんな家庭がありますし、今後出てくると思うんです。そういうことがそもそも就学義務猶予免除の事由になるのかどうか。なるんであれば別に構わないんですけれども、そこでならない場合には、これからの国際化対応ということを考えたときに、その辺は15歳、16歳で分ける理由はないのではないだろうか。その多様性は認めるべきではないだろうかという気がします。

○事務局  社会人の問題につきましては、今回の制度改正によりまして、全く問題はございません。それまでの経過のいかんを問わず、いつでも受けられるということに、今後はなろうかと思います。
  二重国籍の問題は大変難しい問題でございますけれども、一応法律の解釈といたしましては、日本国籍をともかく持っていて、日本国内に在住しているということであれば、形式的には就学義務猶予がかかるというぐあいに解釈せざるを得ませんので、日本国籍を持った子どもたちということで理解をしていただきたいと思います。

○  ちょっともとへ戻りまして、例の大学入試センター試験と大学入学資格検定の関係で、特に国立大学の立場から申し上げます。
  文部省側からおっしゃったように、確かに目的が違うから、出題範囲にしても、困難度にしても違う。それはよくわかります。しかし、国立大学の一般選抜で大学に入ろうとする者の立場に立ちますと、まず前の年の8月までに一気にでもいいし、あるいは分けてもいいんだけれども、大学入学資格検定をちゃんと通ってくださいと。それから、次の年の1月に大学入試センター試験を受けてくださいと。そしてまた個別試験ということになります。
  私は、大学入学者検定の中身は全然知らないのですけれども、例えば「数学  II  」「数学A」という科目が選択で取れる。それを選んだら、その問題をまず解かなければならない。大学入試センター試験でもたぶんそれをやる。水準は違うかもしれない、範囲は違うかもしれないけれども、恐らく非常に似た領域、非常に似た内容、形式の問題を2回解くことになると思います。部分的には重なる。それから、大学が必要によって個別試験を課すというと、今度は少々目的や形式は違うけれども、それをまた受ける。結局、ある領域に関して3回やっていかなければいけない。最後の場合は、大学が個別に考えるとしても、最初の二つの相互関係というのは、やはりそのうち問題になるのではないか。これはどっちが動くのかわかりません。大学入試センター試験というのは今のままの形ではだめでしょうけれども、ここでのいろんな議論とも関係しまして、どこかでその整理が要るのかなという感想を持つんですけれども、何か見解がございましたらお願いいたします。

○事務局  将来は別としましても、これは資格の問題とそれぞれの大学の選抜の問題ということで、やはり整理をしていきませんとしょうがないのかなと思います。現実問題としても、大学入試センター試験は何点取ったという事実はあっても、それで合格だとか、不合格だとか、そういう尺度には使っていないということもございますので、遠い将来の課題かなと思っております。

○木村座長  ありがとうございました。
  一通り御議論が出たようでございますが、これは大変大きな制度改革といいますか、日本の教育界にとってエポックメーキングなことだと思います。

○  私はこれは大変に喜んでおります。本当に画期的なことができたと思います。というのは、私は自分の仕事の関係で、こういう不登校の人とかにかかわっていますし、もう一つ大学院のほうも非常に喜んでおるんです。例えば離婚をされる。そして、女性の方が自分も頑張って生きていきたい。前に国文学をやっていた。そして、いろいろやろうとしても、例えば昔の師範学校卒業とか、昔の短期大学卒業の方は、大学院へ行けなかったんです。しかし、本当に勉強したい。カルチャーセンターへ行っても、それは違うんですね。大学院を出て、本当にそういうことをやりたいと思っても、そういう人はもう一遍大学へ入らねばならないということがあったんですが、今度のことで、その人に力さえあれば、これは力がなかったら話になりませんが、実際にそういう力のある方っておられるわけです。私はたくさんそういう人を見てきて、せっかくもう一遍メークアップしようという人たちが、制度の中で漏れている。それが今度の大学院のこれによって、非常にたくさんの人が助かるのではないかと思います。ちゃんと試験をするわけですから、だれでもかれでも入れるわけではない。それから、恐らく60歳を超した方でも、行こうと思う人が出てくるでしょう。本当にそういう点で、これは国民に対する非常に大きい贈り物という感じを私は持っております。
  実際、我々の知っているのでは、不登校なんていったって、6年も7年も不登校になって、そこからまたパッと頑張り出す子がいるんです。ところが、6、7年行っていないということは、もちろん小学校、中学校へ行ってないということになります。ところが、その子が頑張れば、門戸が開かれているということであれば、我々としても非常に指導も援助もしやすいわけです。そういう点で、これは非常に大きいことだと思います。
  もう一つ、私が思いますのは、これは恐らく日本の受験競争を緩和するために役立つのではないかと思いますのは、何かみんな無理してよい大学に入らねばならないなんて思っているけれども、別によい大学に入らなくても、実力さえあればよい大学院に入ればいいわけです。大学院の入学試験と大学に入るときの試験はだいぶ性質が異なります。大学へ入るときには、一般的に知識を持っていて、いろんなことができねばならないという感じですが、大学院のときは、これ一筋というすごいパワーを持っている人は、大学院に入って成功するわけです。そういうこともこれから可能になるのではないかと思っています。
  そういう点で、私は、困って何とか立ち上がろうという人たちの援助ばかりしておりますので、本当に画期的で意味のあることをやってもらったと思っております。

○木村座長  ありがとうございました。
  本日のこの審議は、この小委員会として何らかの結論を出すという性格のものではございませんが、文部省から御説明のございました大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化につきまして、大方の皆様方の御賛同を得たものと思います。この旨、この後開かれます記者レクで御告をしたいと存じます。

○  先般のケルンサミットで初めてといいますか、教育問題が取り上げられて、国際間の学生や教員の方の交流というテーマ、それから生涯教育というようなテーマが正式に取り上げられたのは、これまた画期的だと思います。そういった潮流の中で、ただ今提案された考え方というのは、それ相応に評価されると思いますけれども、二つ問題がございまして、一つはインターナショナルな問題、もう一つはドメスティックな問題です。
  インターナショナルな問題は遅きに失したような感じがいたしまして、これは誠に結構だと思います。
  それから、ドメスティックの問題で、私が一つ懸念しておりますのは、これは委員方に対して釈迦に説法でございますけれども、教育というものの持つ性格からいたしまして、知識の開発のほかに人間形成の問題は、やはり学校が果たすべき非常に大きな面であると思います。先ほど来、何人かの方が御指摘になっていた不登校の内容というのは、私も詳しくはわかっていないわけでございますが、今回の措置によって、そういった不登校が何か許容されるような風潮になってはえらいことだ。基本的に日本人を教育していくという上で、学校の持つ意義をよく認識しておりませんと、何でもありになってしまって、日本の教育がガタガタになってしまうのではないかという気もいたしまして、その点については、先ほど来、事務局の方からいろいろなハードルについて説明がありましたけれども、この点はしっかりとしていっていただきたいと思います。
  ですから、インターナショナルの面は、私は全面的に賛成でございますが、ドメスティックの面における人間教育、道徳の問題、自由に対して規律というのは当然なくちゃいけないわけでございまして、学校に通わない子どもたちが団体生活というか、そういったものに対してどういう考えを持って、そして大学入学資格検定とか中学校卒業程度認定試験という試験だけに通ってどんどん上に行くということが果たしていいのかどうか。ここが私は一つ懸念を持っているところでございます。大体そういう考えでございます。

○  今の委員の方の懸念に対してちょっと申し上げたいんです。それは私がさっき言おうと思って忘れたんですけれども、これは日本の初等教育がしっかりしているから、むしろできるんだと言っていいのではないでしょうか。要するに、それだったら学校をやめようといって、みんながどんどんやめるということは初等教育が悪いということであって、いくらこんな制度があろうと、やっぱり学校へ行くべきだと国民が考えるような小学校、中学校を持っておればいい。これはある意味で言うと、先生方も安閑とできませんよと。何といったって学校へ行くことは意味があると国民に感じてもらうような学校になるように頑張ればいい。それで私はいいのではないかと思っております。

○佐藤事務次官  本日は、貴重な御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとう存じました。
  文部省といたしましては、皆様の本日の御意見を踏まえまして、今後、制度改正に向けて所要の準備を進めてまいりたいと存じております。
  個人的な感想を申しますと、今、お二人の委員からお話が出ましたように、この話はもともと国民教育としての学校教育体系をどうやって確保・維持していくかという要請と、それを厳密にやり過ぎると困ったケースがあるだろう。それをどう救うかということを、実態をにらみながら、微妙なバランスの上で、そろりと一つ峠を越えたというようなところでございます。したがいまして、私どもの軸足は学校教育制度をきちんと守っていくというところにありますものですから、それに対していろんな御意見もあると思いますし、委員方の今日の御意見の中に問題点はほぼ出尽くしているのではないかと思うわけでございます。
  もともと、学校教育制度を大きな堤防に例えますと、小さな穴をあけると、その穴のおかげで堤防が崩壊するという議論が常にございます。臨時教育審議会のときにも、実は高等学校の卒業についてもっと弾力的にしようというお話がございましたが、議論が報道された途端に、大学入学検定試験、予備校、高等学校へ行かなくてよろしい。うちの予備校へ来れば1年で大学入学資格検定ぐらいは合格させてみせる。あとは東京大学へ行く勉強をしっかりさせましょうというような宣伝をする受験産業が出たりいたしまして、私どものほうはむしろ過剰な反応と申しますか、教育に対するエネルギーに恐れおののいて、若干後ずさりをしたというような経験もあるわけでございます。今後、実態につきましては、御注意も踏まえて、よく私どももウオッチをしたいと存じますし、その都度、皆様方にまたお目配りを頂戴いたしたいと考える次第でございます。
  最後に、現在御審議いただいております初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する審議につきましても、引き続き御尽力を頂戴いたしますことをお願い申し上げまして、御挨拶といたします。どうもありがとう存じました。

○木村座長  どうもありがとうございました。
  それでは、本日の会議は以上で終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


※1、※2この資料については、文部省大臣官房総務課広報室にて閲覧できます。



(大臣官房政策課)

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