戻る

資料1

宗教に関する教育について(検討メモ)

  宗教と教育とのかかわりについて
  宗教と教育とのかかわりについては、有識者からのヒアリングやこれまでの議論の内容を踏まえ、大きく以下の観点に整理して検討することでよいか。
1 宗教に関する寛容の態度の育成
2 宗教に関する知識の教育と、それを踏まえて宗教が社会生活において持つ意義を理解させる教育
3 宗教的な情操を涵養する教育
4 特定の宗教のための宗教教育

  宗教に関する寛容の態度について
  「宗教に関する寛容の態度」は、憲法第20条に規定する信教の自由を重んじ、宗教を信ずる、又は信じないことに関して、また宗教のうち一定の宗派を信ずる、又は信じないことに関して、寛容の態度を持つことをいうものであり、今後とも教育において尊重することについてどう考えるか。

  宗教に関する知識、宗教が社会生活において持つ意義の理解について
  グローバル化を背景に、国教がなく、国民の多くが宗教に無関心といわれる我が国において、異文化理解の観点から世界の様々な宗教についての教養が求められることについてどう考えるか。
  違法な行為など公共の福祉に反する行為を繰り返すような疑似宗教団体から身を守るために、宗教に関する正しい知識を持ち、それを踏まえて宗教の社会生活における意義を理解することについてどう考えるか。
  宗教に関する知識の教育と、それを踏まえて宗教が社会生活において持つ意義を理解させる教育を行うことについてどう考えるか。

  宗教的な情操の涵養について
  「宗教的情操」という言葉は多義的であり、その中には、宗教的情操は特定の宗教に基づかなければ涵養できないという考え方も存在しており、このような立場からは、「宗教的情操の涵養」と「特定の宗教のための宗派教育」との境界が大変微妙なものとなりがちであるとの意見があるが、厳密な定義を求められる法律に「宗教的情操の涵養」を規定することについてどう考えるか。

  特定の宗教のための宗教教育について
  憲法の定める政教分離の原則を踏まえ、国公立学校における特定の宗教のための宗教教育や宗教的活動について禁止する規定を引き続き教育基本法に置くことについてどう考えるか。

  その他
  現在、学校教育において、宗教的な情操に関連する教育として、道徳を中心とする学校教育活動の中で、「人間の力を超えたものに対する畏敬の念」を深めるための取組が進められているが、このことについてどう考えるか。
  宗教に関する教育の充実を図るため、教育内容や指導方法の改善、教材の研究・開発などについて専門的な検討を行うことについてどう考えるか。


参  考>  戦後教育改革期の「宗教的情操」教育論議の分類

1 方法的に、特定宗派に偏らず諸宗を平等に扱い、公平を重んじつつ宗教教育を行うことを主張する立場
2 日本人の伝統的宗教意識の中にある無定型な宗教心を指す立場
3 すべての宗教に共通の宗教的情操というものがあり、これを人間に共通の基礎的な宗教心として育成する立場
4 宗教が歴史上に果たした役割、事実などの客観的知識を中心としながら、文化的事実としての宗教に対し、幾分、好意的に正しい理解を与えることを目的とする立場
5 各自の信仰的立場を前提に作られた多様な宗教的情操教育のイメージ

(出典)鈴木美南子「戦後改革における宗教教育と信教の自由(二)」(『フェリス女学院大学文学部紀要』第26号、1991年)


ページの先頭へ