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参考2
学校教育に関する主な提言事項

 
学校の役割

【役割全般】
学校教育は,すべての国民に対して,その一生を通ずる人間形成の基礎として必要なものを共通に修得させるとともに,個人の特性の分化に応じて豊かな個性と社会性の発達を助長する,もっとも組織的・計画的な教育の制度であり、国民教育として普遍的な性格をもち,他の領域では期待できない教育条件と専門的な指導能力を必要とする教育を担当するものである。
(中教審答申S46.6)

学校の目指す教育としては、(a)[生きる力]の育成を基本とし、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、子供たちが、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指す。そして、知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性とたくましい体を育んでいく。(b)生涯学習社会を見据えつつ、学校で全ての教育を完結するという考え方を採らずに、自ら学び、自ら考える力などの[生きる力]という生涯学習の基礎的な資質の育成を重視する。
(中教審答申H8.7)

学校の役割は1地域コミュニティの中核としての役割 2子どもに市民となるための基礎・規律を習得させる役割
(青少年問題審議会H11.7)

義務教育の役割は、人間として、また、家族の一員、社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得させるための教育について、国民の誰もがこれを等しく享受し得るように制度的に保証すること
(中教審答申H11.12)

学校は、子どもの社会的自律を促す場であり、社会性の育成を重視し、自由と規律のバランスの回復を図ることが重要である。
(国民会議報告H12.12)


【初等中等教育】
初等中等教育の役割は、人間として、また、家族の一員・社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得した上で生徒が各自の興味・関心、能力・適性、進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得し、その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成すること
(中教審答申H11.12)

 
【大学教育】
これまで大学は,高度の学術の研究と教育を通じて文化の継承とその批判・創造に寄与することを最高の使命としてきた。同時に,大学に対しては,人間性の尊厳に根ざした豊かな教養をつちかい,高度の知識・技術を身につけた人材を育成して国家社会の発展と人類の福祉に貢献することが要請され,さらに今日では,国民的・時代的な要請から,より多様な教育的機能が期待されている。
(中教審答申S46.6)

高等教育の役割は、学部段階においては、初等中等教育における「自ら学び、自ら考える力」の育成を基礎に「課題探求能力の育成」を重視するとともに、専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力等を培うことを基本とする。
(中教審答申H11.12)

 
【人間性・道徳・公共心】

道徳教育の充実、道徳の時間の有効活用
(中教審答申H10.6)

初等中等教育においては、個人として国家・社会の一員として社会生活を営む上で必要な基礎・基本の習得を一層徹底するとともに、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることが肝要

高等教育においては、教養教育を重視することによって、学生に幅広く深い教養や高い倫理観を醸成するとともに、学生生活全般を通じて豊かな人間性を身に付けさせることが必要である。
(中教審答申H11.12)

小学校に「道徳」、中学校に「人間科」、高校に「人生科」などの教科を設け、専門の教師や人生経験豊かな社会人が教えられるようにする。そこでは、死とは何か、生とは何かを含め、人間として生きていく上での基本の型を教え、自らの人生を切り拓く高い精神と志を持たせる。
(国民会議報告H12.12)

学校教育全体にわたる道徳教育を充実し、人間として生きていく上で必要な基本的態度や情緒を育てる必要がある。
(中教審答申H14.2)


【体育・芸術】
生涯にわたる豊かなスポーツライフ及び健康の保持増進の基礎を培う。

児童生徒の発達段階に応じて運動を一層選択して履修することや基礎的な体力の向上を図る。
(教養課程審議会答申H10.7)

学校教育においては、伝統や文化を尊重するとともに、古典、哲学、歴史などの学習を重視する。また、音楽、美術、演劇などの芸術・文化活動、体育活動を教育の大きな柱に位置付ける。
(国民会議報告H12.12)


古典や歴史なども含めた文化・芸術や、様々なスポーツ等を体験させ、豊かな感性や、たくましく生きるための体力や精神力など、知・徳・体の調和のとれた人格を育てることが重要である。



学校制度の在り方(柔軟な学校システム)

【学制全般】
人間の発達過程に対応した漸進的な学制改革を推進するため、幼・小一貫教育、中・高一貫教育、または小と中、中と高の区切り方を変えることによって各学校段階の教育を効果的に行うことを試行的に行う。
(中教審答申S46.6)

学校制度の複線化構造を進める観点から、中高一貫教育の選択的導入を図る。
稀有な才能を持った子どもたちのための教育上の例外措置として、大学入学年齢の特例を設け、学校制度の弾力化を図ることや、同時に、学習の進度の遅い子どもたちに対して十分な配慮を行う。
(中教審答申H9.6)

個に応じた柔軟な進級、進学の在り方を検討
(青少年問題審議会H11.7)

幼児期から初等中等教育を一貫してとらえて各学校段階間の連携を一層強化するため、カリキュラムの一貫性、系統性をより一層確立するとともに、学校段階間のより望ましい連携や接続の在り方について総合的かつ多角的な観点から検討する必要
(中教審答申H11.12)

一人ひとりの資質や才能を生かすために、これまでの一律的な教育を改め、基礎的な知識を確実に身に付けさせるとともに、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばし、考える力を養う学習を可能にすべき。(具体的には、少人数教育、習熟度別学習、学年の枠を越えて特定の教科を学べるシステム、中高一貫教育の推進、飛び入学)

コミュニティ・スクール導入のための法制度整備に向けた実践研究の推進

インターナショナルスクール卒業者の進学機会の拡大
(総合規制改革会議答申H13.12)


【飛び級・飛び入学】
小・中・高の各段階における飛び級については、実施しないことが適当
(中教審答申H9.6)

一人ひとりの資質や才能を生かすために、これまでの一律的な教育を改め、基礎的な知識を確実に身に付けさせるとともに、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばし、考える力を養う学習を可能にすべき。(具体的には、少人数教育、習熟度別学習、学年の枠を越えて特定の教科を学べるシステム、中高一貫教育の推進、飛び入学)
(国民会議報告H12.12)


 
教員

【教職員に求められる資質と能力】
学校教育の直接の担い手である教員の活動は、人間の心身の発達にかかわるものであり、幼児・児童・生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものである。このような専門職としての教員の職責にかんがみ、教員については、教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児・児童・生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、そしてこれらを基盤とした実践的指導力が必要である。
(教養審答申S62.12)

一人ひとりの資質や才能を生かすために、これまでの一律的な教育を改め、基礎的な知識を確実に身に付けさせるとともに、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばし、考える力を養う学習を可能にすべき。(具体的には、少人数教育、習熟度別学習、学年の枠を越えて特定の教科を学べるシステム、中高一貫教育の推進、飛び入学)
(国民会議報告H12.12)

教員の資質能力とは、一般に、「専門的職業である『教職』に対する愛着、誇り、一体感に支えられた知識、技能等の総体」といった意味内容を有するもの。また、今後は、まず、地球や人類の在り方を自ら考えるとともに、培った幅広い視野を教育活動に積極的に生かすことが求められる。さらに、教員という職業自体が社会的に特に高い人格・識見を求められる性質のものであることから、教員は変化の時代を生きる社会人に必要な資質能力をも十分に兼ね備えていなければならず、これらを前提に、当然のこととして、教職に直接関わる多様な資質能力を有することが必要である。
(教養審答申H9.6)

校長や教頭には説明責任を果たす力量の向上が不可欠であるが、このような力量は、組織としての学校作りを進める中、主に日々の職務によって形成し得るものであり、それに勝るものはない。
(中教審答申H14.2「教員免許制度」)

 
【養成・採用・研修】
教員の養成、採用、研修の一層の改善充実
(中教審答申H8.7、教養審答申H10.10)

高等教育の役割は、学部段階においては、初等中等教育における「自ら学び、自ら考える力」の育成を基礎に「課題探求能力の育成」を重視するとともに、専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力等を培うことを基本とする。
(中教審答申H11.12)

教員養成カリキュラムの改善・充実、強い使命感を持ち、豊かな人間性を備えた指導力のある人材の確保、ボランティア活動や自然体験活動の経験の有無を採用の重要な資料とする。
(中教審答申H10.6)

若手教職員や学校外の人材を校長、教頭に積極的に任用。年功序列にとらわれない評価方法、任用方法の研究開発。
(中教審答申H10.9)

修士レベルの教育を受けた教員の割合の向上、現職教員の修士課程学修の促進。
(教養審答申H10.10)

長期社会体験研修の機会の充実
雇用形態の多様化、教師の採用方法について入り口の多様化
免許更新制の可能性の検討
(国民会議報告H12.12)

子供たちに教養の基礎を培っていくためには、教員一人一人が、教養の持つ意味を自覚し、生涯にわたって教育者として力量を高めるとともに、常に向上心を持って教養を磨くことが必要である。教員の養成・採用・研修を通じて、一貫してこの姿勢を重視する必要がある。
(中教審答申H14.2「教養」)



【教員の評価】
適格性を欠く教員等への人事上の措置、継続的な観察、指導、研修を行う体制。分限制度の的確な運用。
(中教審答申H10.9「地方教育行政」)

一人ひとりの資質や才能を生かすために、これまでの一律的な教育を改め、基礎的な知識を確実に身に付けさせるとともに、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばし、考える力を養う学習を可能にすべき。(具体的には、少人数教育、習熟度別学習、学年の枠を越えて特定の教科を学べるシステム、中高一貫教育の推進、飛び入学)
(国民会議報告H12.12)

修士レベルの教育を受けた専修免許状取得者の給与上の措置など適切な処遇改善
(教養審答申H10.10)

努力を重ね効果を上げている教師に金銭的処遇、人事上の措置、表彰等で報いる。

授業や学級運営に改善が見られない教師については他職種への配置換え、免職などの措置を講じる。

採用後の勤務状況の評価の重視。
(国民会議報告H12.12)

保護者や地域の住民等への授業の公開をはじめ、多様な観点から授業の改善のための評価を受けることは、教員の自己啓発を促し、力量を高める上で意義深いものであり、積極的な導入が期待される。併せて、各都道府県教育委員会等における勤務評定の評価方法等の工夫、表彰制度や特別昇給の実施等を通じて、優秀な教員を適切に評価しその処遇の改善を図っていくことも求められる。
(中教審答申H14.2「教養」)

教員の資質能力を向上させながら、それを最大限発揮するためには、教員一人一人の能力や実績等が適正に評価され、それが配置や処遇、研修等に適切に結び付けられることが必要である。このため、各都道府県教育委員会等において教員の勤務評価について、公務員制度改革の動向を踏まえつつ、新しい評価システムの導入に向け、早急に検討を開始することを提言する。また、各都道府県教育委員会等において、優秀教員に対する表彰制度とそれに連動した特別昇給等を実施するための調査研究などを実施し、教員の意欲や努力を適正に評価する取組が進むことが期待される。
(中教審答申H14.2「教員免許制度」)




出典一覧
○中央教育審議会
・答申「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」(S46.6)
・答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(第1次答申)(H8.7)
・答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(第2次答申)(H9.6)
・答申「新しい時代を拓く心を育てるために−次世代を育てる心を失う危機−」(H10.6)
・答申「今後の地方教育行政の在り方について」(H10.9)
・答申「初等中等教育と高等教育の接続の改善について」(H11.12)
・答申「新しい時代における教養教育の在り方について」(H14.2) (答申H14.2「教養」)
・答申「今後の教員免許制度の在り方について」(H14.2) (答申H14.2「教員免許制度」)
○教育職員養成審議会
・答申「教員の資質能力の向上方策等について」(S62.12)
・第1次答申「新たな時代に向けた教員養成の改善方策について」(H9.6)
・第2次答申「修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について−現職教員の再教育の推進−」(H10.10)
○教養課程審議会 答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」(H10.7)
 
○青少年問題審議会 答申「「戦後」を越えて−青少年の自立と大人の責任ー」(H11.7)
○教育改革国民会議「教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案−」(H12.12)
○総合規制改革会議 「規制改革の推進に関する第1次答申」(H13.12)

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