参考2 |
各国における「教育基本法」に相当する法律について
(1) | アメリカ | ||||||||||||||||
連邦国家であるアメリカ合衆国では、教育に関する事項は基本的に州の専管事項とされており、連邦レベルで我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 但し、具体的な全国教育目標を定めた法律がある。 各州は州法(州教育法)を定めているが、その内容は一般に教育行政の仕組みや学校教育の基本的枠組みについての具体的、実務的な規定であって、教育の理念や原則を定めたものではない。 |
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(2) | イギリス | ||||||||||||||||
我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 教育制度の総合的な枠組みを定めた法律があるが、教育の理念などを定めた規定はない。 |
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(3) | フランス | ||||||||||||||||
教育基本法と称する法律は何度か制定されているが、最近のものとしては、1989年に制定された「教育基本法」(通称「ジョスパン法」)がある。この法律は、教育を国の最優先課題とすることを公約した社会党政権下で成立した法律であり、6編36条からなる。 【教育基本法の主な内容】
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(4) | ドイツ | ||||||||||||||||
連邦国家であるドイツ連邦共和国では、教育に関する事項は基本的に州の専管事項とされており、連邦レベルで我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 但し、高等教育については、「高等教育機関の使命」等について定めた「高等教育大綱法」が定められている。 各州は、初等中等教育法、高等教育法など個別の法律を制定しているが、教育基本法に相当する法律はない。ただし、教育の理念や目標を州憲法で規定している州がある。 |
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(5) | 中華人民共和国 | ||||||||||||||||
中華人民共和国では、1980年代以降、教育の改革・発展を円滑に進めるため、教育に関する法律制度の整備が進められる中で、1995年に「教育法」が制定された。内容については、従来の教育政策を踏襲し、教育を社会主義現代化建設の基礎として、国家が教育事業の優先的発展を保障するという基本原則が明確に規定されており、10章84条からなる。 【教育法の主な内容】
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(6) | 大韓民国 | ||||||||||||||||
1948年に制定された憲法の精神に則り、1949年に教育の基本的事項を規定した「教育法」が制定され、以来38回の改正が行われてきたが、内容の一貫性が保ちにくくなり、さらに新規の内容を盛り込むため、改正の必要性が高まり、1997年に教育法が全面的に改正され、3章29条からなる「教育基本法」として新たに制定された。 【教育基本法の主な内容】
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(7) | ロシア連邦 | ||||||||||||||||
1991年12月ソ連邦崩壊に伴いロシア連邦が誕生し、以後、市場経済体制への移行にあわせた教育改革が進められ、92年7月に「ロシア連邦教育法」が制定された。 【ロシア連邦教育法の主な内容】
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1989年7月10日付け教育基本法(ジョスパン法)
(Loi d'orientation sur l'education no.89-486 du 10 juillet 1989)
第 | 1条 教育は,国の最優先課題である。教育という公役務は,生徒及び学生を中心に置いて構想され組織される。それは機会の均等に貢献するものである。 人格の発達,初期教育・継続教育の水準の向上,社会生活・職業生活への参加,及び市民としての権利の行使を可能にするため,教育を受ける権利は各個人に保障される。 一般教養及び認知された資格を獲得することは,その社会的・文化的・地理的出自に関係なく,すべての青年に確保される。障害をもつ青年の学校への統合は促進され,治療・保健機関はその一翼を担う。 小学校,コレージュ,リセ及び高等教育機関は,知識と学習方法を教授し獲得させる責務を負う。これらの機関は,男女平等の促進に寄与する。これらの機関は,フランス並びにそれを取り巻くヨーロッパ及び世界の中での経済・技術・社会・文化の進展に応ずる内容と方法を持つ教育を提供する。ここでは,すべての教育段階において地域語・地域文化の教育を行うことができる。芸術教育,保健・スポーツ教育は,すべての生徒の教育に直接寄与する。高等教育においては,保健・スポーツ活動の機会が学生に与えられる。 各小学校,コレージュ及びリセにおいて,生徒及び学校内外で生徒の教育に携わるすべての人々により教育共同体が構成される。 生徒及び学生は,父母,教員,進路指導担当教員及び専門家の支援を受けて,自らの希望と能力に応じて,修学及び職業に関する進路計画を立案する。関係行政機関,地方自治体,企業及び各種団体がこれに協力する。 教育という公役務の範囲を学校外活動に拡張するに際しては,特に行政機関,地方自治体,各種団体・財団が協力する。ただし,学校外教育活動は国が定めた教育活動を代替するものではない。 生涯教育は,教育機関の任務の一部をなす。生涯教育により各人は,教育水準を向上させ,経済及び社会の変化に適応し,また獲得した知識を有効なものにすることが可能となる。 |
第1編 学校及び大学生活
第1章 教育を受ける権利第 | 2条 家庭が申請する場合には,すべての子どもは3歳で,住居に最も近い場所の幼稚園あるいは小学校付設幼児学級に受け入れられなければならない。 都市,農村,山岳地帯の別に関係なく,不利な社会環境にある学校では,優先的に2歳児の受け入れも実施される。 |
第 | 3条 フランス国民は,今後10年間で,同一年齢人口のすべての者を最低限職業適任証(CAP)あるいは職業教育修了免状(BEP)の水準に,また同一年齢人口の80%をバカロレア水準に到達させることを目的と定める。 義務教育修了時にその教育水準に達していると認められない生徒は,この水準に到達するため,学習を継続できなければならない。国は,その結果生ずる就学延長に必要な財源を措置すべく,権限を行使する。 |
第 | 4条 就学期間は,学習期(cycle)を単位として構成される。各学習期について,年間到達目標と評価基準を含む全国統一の教育目標及び教育課程(programme)が定められる。 幼稚園から小学校修了時までの就学期間は3学習期からなる。 コレージュにおいては,2学習期に分割して教育を行う。普通教育・技術教育リセ及び職業リセの学習期は,普通教育,技術教育及び職業教育の免状,特にバカロレアの取得に連なる。 各学習期の年限は,政令により定める。 生徒間の平等及び生徒の成功を保障するために,各学習期及び全就学期間を通じて一貫した教育の下で,生徒の多様性に応じた教育を行う。 |
第 | 5条 教育課程は,各学習期において獲得すべき基本知識及び習得すべき学習方法を各学習期ごとに定め,これを全国的基準とする。この基準の枠内で,教員は個々の生徒の学習リズムを考慮して教育を行う。 |
第 | 6条 教育課程審議会は,教育の全般的理念,達成すべき基本目的,この目的に沿った教育課程及び教科領域並びにそれらの知識の発展への適応性に関して,国民教育大臣に見解を表明するとともに提案を行う。同審議会は,国民教育大臣が指名する適格者によって構成される。 教育課程審議会の意見及び提案は公表される。 |
第 | 7条 就学期間には,教育機関の発意と責任の下に,国内外を問わず企業,団体,行政機関及び地方公自治体で行われた教育の期間を算入することができる。この教育期間は,教育を施す機関が行う教育との関係で把握される。この教育期間は,技術免状あるいは職業免状の準備を目的とする教育においては必修とする。 専門家が継続的に関与する専門的芸術教育を含む普通教育では,当該専門家は学力評価やバカロレア資格の審査に参加することができる。 |
第 | 8条 進路指導相談及び教育や職業に関する情報を受ける権利は,教育を受ける権利の一部をなす。 生徒は,修学・職業に関する進路計画を作成する。学校及び教育共同体,特に教員及び進路指導カウンセラーはその作成を支援するとともに,就学期間中及び修了後の同計画の実現を支援する。 進路決定は,生徒に対する継続的な観察を通じて準備する。 進路選択は,家庭あるいは生徒が成人に達している場合は生徒自身の責任において行う。学校長の決定に先立ち,学級委員会の提案に同意できない者すべてを対象に面接が行われる。校長の決定が生徒あるいは家庭の要望と一致しない場合には,その決定に理由を付すものとする。進路決定については,不服審査を申し立てることができる。 |
第 | 9条 1学年は36週で,5つの授業期間と4つの休業期間からなる。3年間の全国的な学校暦が,国民教育大臣によって定められる。この学校暦は,政令が定める条件の下で,地方の状況を考慮して変更することができる。 |
第 | 10条 生徒の義務は,学習に固有の責務を遂行することにある。この義務には,勤勉さ,学校の運営規則や集団生活を尊重することが含まれる。 コレージュ及びリセにおいては,生徒は多元性の尊重,中立性の原則の尊重の下に,情報の自由及び表現の自由を行使する。これら自由の行使は,教育活動を損なうものであってはならない。 リセには,校長が主宰する生徒代表委員会が設置される。同委員会は,学校生活及び学業に関する諸問題について意見を表明し,提案を行う。 |
第 | 11条 生徒の父母は,教育共同体の構成員である。 学校生活への彼らの参加及び教職員との対話は,それぞれの学校において保障される。 生徒の父母は,その代表を通じて学校評議会,管理評議会並びに学級委員会に参加する。 父母の代表が県,地域圏,大学区及び全国レベルの各種審議会に出席するに当たっての欠勤の許可及び休業手当を受ける条件は,コンセイユ・デタ(Conseil d'Etat)の議を経た政令により定める。 国は,中央教育審議会に代表権を持つ父母団体の代表団に助成を行う。 |
第 | 12条 学生は,新入生受け入れ,高等教育機関での生活の活性化,就職のための援助活動に携わる。彼らは自らの代表を通じて,全国大学学校厚生事業センター及び同地域圏センターの運営に参加する。 |
第 | 13条 学生の集団及び個人としての経済的及び道徳的権利と利益の擁護を目的とする学生団体は,代表権を有するものと見なされる。そしてこの資格において,高等教育・研究審議会及び全国大学学校厚生事業センターの管理評議会に出席を認められる。学生団体の代表団は助成を受ける。学生団体は,学生生活の経済的・社会的・文化的諸条件に関する情報を収集,調査する学生生活観察センターの運営に参画する。 |
第2編 教職員
第 | 14条 教員は,生徒の学校教育活動全体に対して責任を負う。教員は教育チームを構成し,その職務に当たる。教育チームは,同一学級または同一生徒集団を担当する教員,同じ教科領域の担当教員,及び特に学校心理専門員などの専門職員により構成される。生活指導職員もこれに加わる。 教員は個々の生徒の学習に対して援助を行い,継続して指導を行う。教員は生徒の評価を行う。教員は,生活指導職員及び進路指導担当職員と協力して,進路計画の選択に関して生徒に助言を与える。教員は,成人の継続教育活動に参加する。 教職員は研修を受け,これらすべての任務の遂行に備える。 |
第 | 15条 行政,技術,現業,厚生,保健及びサービスに携わる各職員は,教育共同体の構成員である。これらの者は,教育という公役務に直接協力し,学校及び国民教育省の出先機関の運営に寄与する。 これら職員は,生徒の学校への受け入れと生活環境の質の向上に寄与するとともに,安全,学校食堂,衛生及び厚生活動,寮における生徒の宿泊を保障する。 |
第 | 16条 教職員の採用計画は,毎年,国民教育大臣により公表される。同計画は,5年計画で,毎年更新される。 |
第 | 17条 1990年9月1日より,各大学区に教員教育大学センター(IUFM)を創設する。同センターは大学区内の1ないし複数の大学に付設され,これら大学の教職員と施設設備を活用することで,高等教育機関としての制度的責任を果たすことが保障される。コンセイユ・デタの議を経た政令が定める条件と範囲内において,1つの大学区に複数の教員教育大学センターを創設すること,及び大学以外の科学的・文化的・専門的性格を有する公施設法人に同センターを付設することができる。 教員教育大学センターは,公立高等教育機関である。同センターは,行政的性格を有する公立機関であり,国民教育大臣の管轄下に置かれ,コンセイユ・デタの議を経た政令が定める規則に従って組織される。会計監査は事後的に実施される。 国が定めた方針に基づき,同センターは教員の初期養成教育を行う。教員養成教育は,教員希望者全員に共通の部分と,教科及び学校段階による専門的部分とを含む。 教員教育大学センターは,教員の継続教育や教育に関する研究を行う。 同センターは,学生に対して,教職の準備教育を行う。 教員教育大学センターの責任者であるセンター長は,同センターの管理評議会が作成した提案名簿に基づき国民教育大臣が選択して任命する。同センターは,大学区総長の主宰する管理評議会により管理される。 この管理評議会は,コンセイユ・デタの議を経た政令の定める条件の下に,特に,教員教育大学センターを付設する機関の管理評議会の代表,市町村,県,地域圏の各代表,教員養成に当たる教員の代表及び教員養成を利用する教職員の代表,及び教員養成課程の学生の代表を含む。 既存の師範学校及び教員養成センターの教職員が,教員教育大学センター内での職務遂行を選択できる条件は,コンセイユ・デタの議を経た政令により定める。 師範学校の資産の国への帰属,同校の権利及び義務に関する条件については,本条第1項に定める期日までに法により定める。 各大学区における教員教育大学センターの設置まで,初等師範学校の施設に関する1879年8月9日付け法,公立初等教育に係る通常経費及びこの職務に当たる職員の給与に関する1889年7月19日付け法第2条,第3条及び第47条(1893年7月25日付け法及び公立教育機関の認可に関する1945年11月2日付け大統領令第45-2630号により改正)は,暫定的に効力を有する。 |
第3編 教育機関
第 | 18条 小学校,コレージュ,普通教育・技術教育リセ及び職業リセは,学校教育計画を作成する。同計画は,各学校が全国統一の教育目標を達成し,教育課程を実施するための学校ごとの独自の方法について定める。同計画は評価の対象となる。同計画は,この目的を達成するための学校教育活動及び学校外教育活動を定める。 教育共同体の構成員は,学校教育計画の立案に参加する。同計画の採択は,管理評議会あるいは学校評議会が行う。但し,同計画の教育に係る部分については,教育チームの提案に基づいて同評議会が決定を下す。 特に教育的な観点から,複数の教育機関が協力し,共通の学校教育計画を立案し実行することができる。 高等教育機関は,初等中等学校との間に,特に生徒の進路指導及び教育の促進のための協力に関する協定を締結できる。 初等中等学校及び高等教育機関は,経済的・文化的・社会的環境との接触・交流を行う。 |
第 | 19条 公立教育機関は,継続教育の任務を遂行するために,政令が定める地方の特別な条件を考慮しつつ,教育機関のグループを形成する。この目的のために,複数の教育機関が一定期間,公益団体を設立することができる。このため,フランスにおける研究と技術開発の方針と計画に関する1982年7月15日付け法第82-610号第21条の規定を適用する。但し,この公益団体の長は,国民教育大臣により指名される。この方法により設立された公益団体は,公法と公会計の規則の適用を受ける。 |
第 | 20条 国は,公立高等教育機関に対して,大学の建設事業の実施を委ねることができる。 国民教育大臣あるいは農業大臣の管轄下にある高等教育機関は,同機関に配分された土地あるいは国がその処分を認めた土地に関して,所有者としての権利と義務を行使する。但し,財産の処分権及び配分権を除く。 |
第 | 21条 教員ポストの配分に当たっては,教員1人当たりの生徒・学生数を改善することで,就学率の格差を解消し,大学区間及び県間の不平等を縮小するための政策を講ずる。同政策においては,社会的環境の不利な地域,過疎地域の特殊な制約を考慮する。この観点から,海外県・海外領のための施策を講ずるものとする。教員配置率及び就学率に関して,海外県・海外領と本国との間に存在する格差を解消する。 |
第4編 諮問機関
第 | 22条 中央教育審議会を設置する。 同審議会は,従来,国民教育高等審議会及び普通教育・技術教育審議会に帰属していた権限(本法第23条により,高等教育・研究審議会に委譲された権限を除く)を行使する。同審議会は,教育という公役務の目的と運営に関して意見を表明する。 同審議会は,国民教育大臣あるいはその代理人が議長を務め,教員,教員研究者(enseignant-chercheur),その他の職員,生徒の父母,学生,地方自治体,学校外教育団体及び家族団体及び教育・経済・社会・文化面での主要な利益代表者により構成される。 教員研究者の代表は,高等教育・研究審議会に選出された自らの代表により選出される。 教員及びその他の職員の代表は,職業別選挙に候補者を擁立する最も代表的な職員の労働組合組織の提案に基づき,この選挙の結果に応じて,国民教育大臣が任命する。 生徒の父母代表は,父母団体の提案に基づき,管理評議会及び学校評議会への父母代表の選挙結果に応じて,国民教育大臣が任命する。 学生の代表は,学生団体の提案に基づき,高等教育・研究審議会への学生代表の選挙結果に応じて,国民教育大臣が任命する。 中央教育審議会は,常設部会と複数の専門教育部会から構成される。 中央教育審議会が訴訟及び懲戒事項を裁定する場合,同審議会は教員団体に所属する12人の審議会委員により構成される。これらの委員は,同審議会の教員代表により互選される。 私立教育機関を代表して中央教育審議会に出席する委員は,その任期中に同審議会が私立教育機関に関わる訴訟及び懲戒事項を取り扱う場合には,票決権を持って同審議会に出席する代表を6人互選する。 国民教育高等審議会,普通教育・技術教育審議会は,中央教育審議会の設置の日まで,その機能を維持する。 |
第 | 23条 高等教育・研究審議会は,教員研究者,教員及び高等教育機関の利用者について権限を有する大学の決定機関が行った懲戒処分の決定について,上訴及び一審の裁定を下す。同審議会は,この点に関して,国民教育省の懲戒裁定機関が宣する職務停止,免職あるいは停職の解除に関する1908年7月17日付け法が定めた権限を行使する。 懲戒に関して裁定を下す高等教育・研究審議会は,教員研究者の代表及び高等教育機関の利用者の代表を含む。同審議会が,教員に関して裁定を行う場合には,同審議会に事案を付託された当事者と同等あるいはそれより上級の教員研究者のみを含むものとする。教員及び高等教育機関の利用者に関して懲戒決定を下すこれら審議会の構成,構成員の任命方法及びその運営については,コンセイユ・デタの議を経た政令により定める。 |
第 | 24条 市町村,県,地域圏及び国の間の権限の分掌に関する1983年1月7日付け法第83-8号を補足する1983年7月22日付け法第83-663号第12条により,各大学区内に設置される国民教育審議会の構成と権限は,高等教育についても適用される。ただし,訴訟及び懲戒を扱う国民教育審議会の構成と権限に関する1985年12月31日付け法第85-1469号(1946年5月18日付け法第46-1084号及び国民教育高等審議会に関する1964年12月26日付け法第64-1325号を改正)第1編の規定は留保する。 審議会の審議に付された問題が高等教育に関する場合には,大学総裁たる大学区総長が報告者となる。 イル・ド・フランス地域に関しては,当該3大学区について1つの審議会のみを設置する。 コンセイユ・デタの議を経た政令により,本条の実施様式を定める。 |
第5編 教育制度の評価
第 | 25条 国民教育総視学官,国民教育行政総視学官は,権限を有する行政機関と連携して,県,大学区,地域圏及び全国の評価を行う。これらの評価は,国会の文化担当委員会の委員長及び委員会報告者に提出される。 評価は,革新的な実践の周知を図るために,教育上の経験を考慮する。国民教育総視学官及び国民教育行政総視学官は,年間報告書を作成する。同報告書は公表される。 国民教育大臣は,本法の実施に関する報告書を毎年中央教育審議会に提出する。同報告書は公表される。 |
第 | 26条 地方の公立教育機関の年間報告書は,特に学校教育計画の実施とその結果に関して,県における国の代表,大学区及び所属する地方自治体に提出される。 |
第 | 27条 科学的・文化的・専門的性格を有する公立教育機関の評価を行う全国大学評価委員会は,独立した行政機関とする。 |
第6編 雑則
第 | 28条 本法の規定は,公立農業教育の刷新に関する1984年7月9日付け法第84-579号,国と私立農業教育機関との関係の改革に関する1984年12月31日付け法第84-1285号(公立農業教育の改革に関する1984年7月9日付け法第84-579号を改正)が定めた原則を尊重しつつ,農業大臣の所管する教育,教育機関及び教職員に適用される。 |
第 | 29条 本法の規定は,マイヨット特別自治区及び海外領に適用される。但し,フランス領ポリネシアの地位に関する1984年9月6日付け法第84-820号(フランス領ポリネシアへの後期中等教育の権限委譲に関する1987年7月16日付け法第87-556号により改正)が領土に付与した権限,並びに1998年のニューカレドニアへの自治権付与とその準備の規定を定める1988年11月9日付け法第88-1028号が領土及び地方に付与した権限は留保する。 特に上記に掲げる領土及び地方自治体独自の機関により修正が必要とされる事項については,当該地方議会の諮問を経て,コンセイユ・デタの議を経た政令により決定する。 |
第 | 30条 教育に関する本法の規定は,国と私立教育機関の関係に関する1959年12月31日付け法第59-1557号及び1985年度財政法(1984年12月29日付け法第84-1208号)の規定を尊重しつつ,国庫補助契約を結ぶ私立教育機関に適用される。 |
第 | 31条 外国に存在するフランスの教育機関に本法の規定を適用する条件については,個々の状況や諸外国政府と締結した協定を考慮しつつ,コンセイユ・デタの議を経た政令により定める。 |
第 | 32条 中等教育教員免許状を有する教員及びこれに準ずる教員,体育・スポーツ担当教員,進路指導カウンセラー,並びに国民教育大臣及び農業大臣の所管する職業リセの教員団の第2級に属する国家公務員の主たる俸給は,彼らの等級とその等級内の号俸による俸給の他に,加算指数15ポイントの特別手当を含む。 上記に該当する者は,それぞれの等級の第8号に達し,1989年9月1日から1994年8月31日の期間において満50歳以上でなければならない。 この特別手当は,上記の教職員が等級外上級職に達した場合には支給しない。また等級外上級職において給与格付を行う際にも考慮されない。 |
第 | 33条 コレージュの普通教育担当教員団に属する国家公務員は,別の大学区に移る場合,各々の身分規定により定める条件において,事前に出向の手続を取ることなく,異動先のコレージュの普通教育担当教員団に所属する。 |
第 | 34条 教育に関する1975年7月11日付け法第75-620号第2条第1項第2節,第9条,第13条第1項,第16条及び第19条第2項は廃止する。 |
第 | 35条 1989年から1994年の期間の国の教育政策の目標は,本法の付属報告書に示す。 |
第 | 36条 本法の実施状況に関する第1回目の総括は,1992年に国会に提出される。 本法は,国法として施行される。 |
中華人民共和国教育法
(1995年3月18日 第8期全国人民代表大会第3回会議で可決)
第1条 | 教育事業を発展させ,全民族の資質を向上させ,社会主義物質文明及び精神文明の建設を促進するため,憲法に基づき,本法を制定する。 |
第2条 | 中華人民共和国内における各段階各種の教育について,本法を適用する。 |
第3条 | 国家はマルクス・レーニン主義,毛沢東思想及び中国的特色を持つ社会主義建設理論の指導を堅持し,憲法が定める基本原則を遵守し,社会主義教育事業を発展さ せなければならない。 |
第4条 | 教育は社会主義現代化建設の基礎であり,国家は教育事業の優先的発展を保障する。 全社会は教育事業の発展に関心を持ち,これを支持しなければならない。 全社会は教員を尊敬しなければならない。 |
第5条 | 教育は社会主義現代化建設に貢献し,生産労働と結び付き,徳・知・体の全面に発達した社会主義事業の建設者及び後継者を育成しなければならない。 |
第6条 | 国家は教育を受ける者に対し愛国主義,集団主義,社会主義の教育を実施し,理想,道徳,規律,法律,国防及び民族団結の教育を実施しなければならない。 |
第7条 | 教育は中華民族の優秀な歴史的文化的伝統を継承,発展させ,人類文明が生んだすべての優れた成果を吸収しなければならない。 |
第8条 | 教育活動は国家及び社会の公共の利益に添うものでなければならない。 国家は教育と宗教の分離を実行する。いかなる組織及び個人も宗教を利用して国家の教育制度における活動を妨害してはならない。 |
第9条 | 中華人民共和国公民は教育を受ける権利及び義務を有する。 公民は,民族,種族,性別,年齢,職業,財産及び宗教にかかわらず,法により等しく教育を受ける機会を有する。 |
第10条 | 国家は少数民族の特質と必要に応じ,少数民族の教育事業の発展を援助する。国家は貧困地区の教育事業の発展を支援する。 国家は障害者教育事業を支援し,これを発展させる。 |
第11条 | 国家は社会主義市場経済の発展及び社会の全面的進歩の必要に対応し,教育改革を推進し,各段階各種の教育の均衡のとれた発展を促進し,教育改革を促進し,生涯教育体系を整備,確立する。 国家は教育の科学的研究を支持,奨励し,またその実施を組織し,教育の科学的 研究の成果を普及させ,教育の質を向上させる。 |
第12条 | 中国語を学校その他の教育機関の授業言語とする。少数民族の児童生徒を主とする学校その他の教育機関は,当該民族の言語又は当該民族に通用する言語により授業を行うことができる。 学校その他の教育機関における授業では,全国共通の標準語及び標準文字を使用 し,普及させなければならない。 |
第13条 | 教育の発展に顕著な成績を収めた機関及び個人に対し,奨励を与える。 |
第14条 | 国務院及び地方各レベル人民政府は各レベル政府の責任を分担して管理し,責任 を負う原則に基づき,教育の指導及び管理を行う。 中等以下の教育は,国務院の指導のもと,地方人民政府が管理する。 高等教育は国務院及び省・自治区・直轄市人民政府が管理する。 |
第15条 | 国務院教育行政部門は全国の教育を主管し,全国の教育事業について計画を策定 し,管理調整する。 県以上の地方各レベル人民政府教育行政部門は法律その他の規定に従い,当該行 政区域内の教育を主管する。 県以上の各レベル人民政府のその他の行政部門は,その職責の範囲内で関連する教育に責任を負う。 |
第16条 | 国務院及び県以上の地方各レベル人民政府は,当該レベルの人民代表大会又はそ の常務委員会に対し教育政策及び教育予算,決算の状況を報告し,監督を受けなけ ればならない。 |
第17条 | 国家は就学前教育,初等教育,中等教育,高等教育の学校教育制度を実施する。 国家は科学的な学校体系を確立する。学校体系内の学校及びその他の教育機関の設置,教育形態,修業年限,入学資格,教育目標は,国務院又は国務院が権限を授与する教育行政部門が定める。 |
第18条 | 国家は9年制義務教育制度を実施する。 各レベル人民政府は各種の措置を採用し,学齢にある児童・少年の就学を保障する。 学齢にある児童・少年の父母その他の保護者及び関係する社会組織,個人は学齢にある児童・少年に規定の年限の義務教育を受けさせる義務を有する。 |
第19条 | 国家は職業教育制度及び成人教育制度を実施する。 各レベル人民政府,関係行政部門及び企業,非営利事業体は多様な措置を採用し,就職前の公民が職業学校教育又は各種の形態の労働就職訓練を大いに発展させ,これを保障しなければならない。 国家は多様な形態の成人教育の発展を奨励し,成人労働者が適切な形態の政治,文化,科学,技術,職務に関する教育及び生涯教育を受けるようにする。 |
第20条 | 国家は国家教育試験制度を実施する。 国家教育試験は国務院教育行政部門が種類を確定し,国家が教育試験の実施を承認した機関がこれを実施する。 |
第21条 | 国家は学業証書制度を実施する。 国家が設置認可する又は承認する学校及びその他の教育機関は国家の関係規定に従って卒業証書又はその他の学業証書を交付する。 |
第22条 | 国家は学位制度を実施する。 学位授与機関は法により一定の学術水準又は専門水準に達した者に対し,相応の学位を授与し,学位証書を交付する。 |
第23条 | 各レベル人民政府,末端の大衆的自治組織及び企業,非営利事業体は,各種の措置を採用し,識字教育を展開しなければならない。 国家の規定に従い,識字教育を受ける能力を持つ公民は識字教育を受けなければならない。 |
第24条 | 国家は視学制度及び学校その他の教育機関の評価制度を実施する。 |
第25条 | 国家は教育発展計画を策定し,学校及びその他の機関を設置する。国家は企業,非営利事業体,社会団体及び公民個人が法により学校及びその他の教育機関を設置することを奨励する。 いかなる機関及び個人も営利を目的として学校及びその他の教育機関を設置してはならない。 |
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第26条 | 学校及びその他の教育機関の設置は,以下の基本条件を備えなければならない。
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第27条 | 学校及びその他の教育機関の設置,変更及び廃止は,国家の関係規定に従い,審査,承認,登録又は報告の手続きを経なければならない。 | ||||||||||||||||||
第28条 | 学校及びその他の教育機関は以下の権利を有する。
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第29条 | 学校及びその他の教育機関は以下の義務を履行しなければならない。
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第30条 | 学校及びその他の教育機関の設置者は国家の関係規定に従い,設置する学校及びその他の教育機関の管理運営体制を定めることができる。 学校及びその他の教育機関の校長又は主たる管理責任者は中華人民共和国の国籍を持ち,中国国内に居住し,国家が規定する職務要件を持つ者が担当しなければならなず,その任免は国家の関係規定に従って行う。学校の学習及びその他の管理は校長が責任を負う。 学校及びその他の教育機関は国家の関係規定に従い,教員を主とする教職員代表大会及びその他の形式により,職員が民主的な管理及び監督に参加することを保障する。 |
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第31条 | 学校及びその他の教育機関で法人の条件を備えるものは,設置認可又は登録の日から法人資格を得る。 学校及びその他の教育機関は民事の活動において民事の権利を持ち,民事の責任を負う。 学校及びその他の教育機関の国有財産は国家の所有に属する。 学校及びその他の教育機関が経営する産業は独自の民事責任を負う。 |
第32条 | 教員は法律に定める権利を有し,同時に法律に定める義務を履行し,人民の教育事業に忠誠でなければならない。 |
第33条 | 教員は法律に定める権利を有し,同時に法律に定める義務を履行し,人民の教育事業に忠誠でなければならない。 |
第34条 | 国家は教員の資格,職務,契約任期制度を実施し,審査,奨励,養成及び研修を通じて教員の資質を向上さ,教員の陣容を強化する。 |
第35条 | 学校及びその他の教育機関の管理業務の従事者については,教育職員制度を実施する。 学校及びその他の教育機関の教育補助及びその他の専門技術職員は,専門技術職の契約任期制度を実施する。 |
第36条 | 教育を受ける者は入学,進学,就職に当たり,法により平等の権利を有する。 学校及び関係の行政部門は国家の関係規定に従い,女子の入学,進学,就職,学位授与,留学派遣において男子と平等の権利を保障しなければならない。 |
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第37条 | 国家,社会は入学条件を満たし,家庭の経済が困難な児童,少年,青年に対し, 各種形態の援助を提供する。 | ||||||||||
第38条 | 国家,社会は入学条件を満たし,家庭の経済が困難な児童,少年,青年に対し, 各種形態の援助を提供する。 | ||||||||||
第39条 | 国家,社会,家庭,学校及びその他の教育機関は違法犯罪行為のある未成年が教育を受けるための条件を整備しなければならない。 | ||||||||||
第40条 | 就業者は法により職業訓練及び継続教育を受ける権利と義務を有する。 国家機関,企業,非営利事業体及びその他の社会組織は,当該機関の職員・労働者の学習・訓練のために条件及び便宜を提供しなければならない。 |
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第41条 | 国家は,学校及びその他の教育機関,社会組織が措置を講じ,公民に生涯教育を受ける条件を整備することを奨励する。 | ||||||||||
第42条 | 教育を受ける者は以下の権利を有する。
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第43条 | 教育を受ける者は以下の義務を履行する。
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第44条 | 教育,体育,衛生の行政部門,学校及びその他の教育機関は体育,衛生保健施設を整備し,学生生徒の心身の健康を守らなければならない。 |
第45条 | 国家機関,軍隊,企業,非営利事業体,社会団体及びその他の社会組織,個人は法により児童,少年,青年の心身の健全な成長のために良好な社会環境をつくならなければならない。 |
第46条 | 国家は企業,非営利事業体,社会団体及びその他の社会組織が高等教育機関,中等職業学校と教育,研究,技術開発・普及の面で多様な形態の協力を推進するよう奨励する。 企業,非営利事業体,社会団体,末端の大衆的自治組織及びその他の社会組織,個人は適切な方法を通じ,学校の整備を支持し,学校の管理に参加することができる。 |
第47条 | 国家機関,軍隊,企業,非営利事業体及びその他の社会組織は学校が組織する学生生徒の実習,社会実践活動を援助し,これに便宜を与えなければならない。 |
第48条 | 学校及びその他の教育機関は,正常な教育活動に影響を与えないという前提の下で,当該地域の社会主義物質文明及び精神文明の建設に貢献しなければならない |
第49条 | 未成年者の父母又は保護者は未成年の子女又は保護する者が教育を受けるために必要な条件を提供しなければならない。 未成年者の父母又は保護者は学校及びその他の教育機関と連絡を持ち,これに協力して,未成年の子女又は保護する者を教育しなければならない。 学校,教員は学生生徒の父母に対し家庭教育の指導を行うことができる。 |
第50条 | 図書館,博物館,科学技術館,文化館,美術館,体育館(場)等の社会公共の文化体育施設,及び歴史文化遺跡,革命記念館(地)は,教員,学生生徒を優待し,教育を受ける者の教育のために便宜を与えなければならない。 ラジオ及びテレビ局は教育番組を開設し,教育を受ける者の思想,品性徳性,文化及び科学技術の資質を高めなければならない。 |
第51条 | 国家,社会は未成年者のために校外教育施設を設置し,発展させなければならない。 学校及びその他の教育機関は,末端の大衆的自治組織,企業,非営利事業体,社会団体及びその他の社会組織と相互に協力し,未成年者に対する校外教育を強化する。 |
第52条 | 国家は,社会団体,社会文化機関及びその他の社会組織,個人が教育を受ける者の心身の健康に有益な社会,文化,生活教育活動を展開することを奨励する。 |
第53条 | 国家は,公財政支出を主とし,その他の多様な財源による教育費で補う体制を確立し,しだいに教育に対する支出を増加させ,国家が設置する学校の経費の安定した財源を保障する。 企業,非営利事業体,社会団体及びその他の社会組織,個人が法により設置した学校及びその他の教育機関の運営経費は,設置者が負担し,各レベル人民政府は適切な支援を与えることができる。 |
第54条 | 公財政支出教育費が国民総生産に占める比率を国民経済の発展及び財政収入の増加に伴って次第に高めていかなければならない。具体的な比率及び実施計画は国務院が規定する。 全国各レベル政府の財政支出総額に教育費が占める比率を国民経済の発展に伴ってしだいに高めていかなければならない。 |
第55条 | 各レベル人民政府の教育費の支出は事業権限と財政権限を一致させる原則に基づき,財政予算において単独の項目とする。 各レベル人民政府の教育支出の伸びが財政の経常収入の伸びを上回るようにするとともに,学生生徒1人当たり教育費をしだいに増加させ,教員給与及び学生生徒1人当たり事務費がしだいに増加することを保障しなければならない。 |
第56条 | 国務院及び県以上の地方各レベル人民政府は教育専門の基金を創設し,僻地,貧困地区及び少数民族地区における義務教育の実施を重点的に支援しなければならない。 |
第57条 | 税務機関は法により規定通り教育税を徴収し,これを教育行政部門が管理し,主として義務教育の実施に使用する。 省・自治区・直轄市の人民政府は国務院の関係規定に基づき,地方独自の教育税を徴収し,特定の費目に使用できる。 農村の「郷」(訳注:村に当たる)で徴収する教育税は,郷人民政府が徴収を組織し,県人民政府教育行政部門がその管理を代行するか又は郷人民政府が管理し,当該郷内の郷及び下部区画である「村」レベルが所管する教育事業に使用する。農村の教育税の徴収税率及び具体的な管理方法は,省・自治区・直轄市人民政府が定める。 |
第58条 | 国家は優遇措置を講じ,正常な教育・学習に影響を与えないという前提の下に,学校が「勤工倹学」(訳注:学校の付設工場や農場又は付近の工場・農場で学生生徒を生産活動に従事させ,労働教育を実施するとともに,その収益を学校経費に当てる活動)や社会サービスを展開し,企業を経営することを奨励し,支援する。 |
第59条 | 県レベル人民政府の承認を経て,郷,民族郷,鎮(訳注:町に当たる)の人民政府は自発的で能力に応じた負担という原則に基づいて,当該行政区域内で寄付金を割り当て,主として義務教育段階の学校の危険校舎改築・修繕,校舎新築に使用することができる。これを他に流用してはならない。 |
第60条 | 国家は国内外の社会組織及び個人が学校に寄付金を提供し,支援することを奨励する。 |
第61条 | 公財政支出教育費及び社会組織や個人の寄付金は教育に使用し,流用したり,横領したりしてはならない。 |
第62条 | 国家は金融手段を運用して教育事業の発展を支援することを奨励する。 |
第63条 | 各レベル人民政府及び関係する行政部門は学校及びその他の教育機関の教育費の監督管理を強化し,教育投資の効果を高めなければならない。 |
第64条 | 地方各レベル人民政府及びその関係行政部門は学校の施設設備の整備を都市又は農村建設計画に組み入れ,学校の施設設備のための用地及び必要な物資を計画的に調達し,また国家の関係規定に従い,優先,優遇政策をとらなければならない。 |
第65条 | 各レベル人民政府は教科書及び教育用図書資料の出版発行,教育機器・設備の生産供給及び学校教育,科学研究に用いる図書資料,教育機器・設備の輸入について, 国家の関係規定に従い,優先,優遇政策を実施する。 |
第66条 | 県レベル以上の人民政府は衛星テレビ教育及びその他の現代化された教育手段を発展させなければならず,関係行政部門はその発展に優先的な措置を講じ,援助を与えなければならない。 国家は学校及びその他の教育機関が現代化された教育手段を普及させ,運用することを奨励する。 |
第67条 | 国家は教育の対外交流及び協力の展開を奨励する。 教育の対外交流及び協力は,独立自主,平等互恵,相互尊重の原則を堅持し,中国法律の基本原則に違反せず,国家の主権,安全及び社会公共の利益に損害を与えてはならない。 |
第68条 | 中国国内の公民が留学,研究,学術交流又は教員となるため出国する場合,国家の関係規定に従って処理する。 |
第69条 | 中国国外の個人は国家が規定する条件を満たし,関係の手続きをとった後,中国国内の学校及びその他の教育機関において学習,研究,学術交流を行い,又は教員となることができ,その合法的権益については国家の保護を受ける。 第70条国外の教育機関が発行した学位証書,学歴証書及びその他の学業証 |
第70条 | 国外の教育機関が発行した学位証書,学歴証書及びその他の学業証書の中国における承認については,中華人民共和国が締結した又は参加する国際条約に従って処理するか,又は国家の関係規定に従って処理する。 |
第71条 | 国家の関係規定に違反し,予算通りに教育費を支出しない場合は,同レベルの人民政府が期限を定め支出する。事情が甚だしい場合は,直接の管理責任者及びその他の直接責任を負う者に対し,法により行政処分を与える。 国家の財政制度,財務制度に違反し,教育費を流用,横領した場合は,上級機関が期限を定めて流用,横領した経費の返還を命じ,直接の管理責任者及びその他の直接の責任者に対し,法により行政処分を与える。犯罪を構成する者については, 法により刑事責任を追求する。 |
第72条 | 徒党を組んで暴力を振るい,騒動を起こして学校及びその他の教育機関の教育秩序を攪乱し,又は校舎,敷地その他の財産を破壊した場合は,公安機関が治安管理に関する処罰を与える。犯罪を構成する者については,法により刑事責任を追及する。学校及びその他の教育機関の校舎,敷地及びその他の財産を侵犯する者は法により民事責任を負う。 |
第73条 | 校舎又は教育施設の危険性を知りながら,措置を講じず,人身事故又は重大な財産の損失を招いた場合は,直接の管理責任者及びその他の直接責任を負う者に対し, 法により刑事責任を追及する。 |
第74条 | 国家の関係規定に違反し,学校又はその他の教育機関から費用を徴収した場合, 政府が徴収した費用の返還を命じ,直接の管理責任者及び直接責任を負う者に対し法により行政処分を与える。 |
第75条 | 国家の関係規定に違反し,学校又はその他の教育機関を設置した場合,教育行政機関がこれを取り消す。違法な所得がある場合は,これを没収する。直接の管理責任者及びその他の直接責任を負う者に対しては,法により行政処分を与える。 |
第76条 | 国家の関係規定に違反し,学生生徒を入学させた場合,教育行政部門は入学を取り消し,徴収した納入金を返還するよう命じる。直接の管理責任者及びその他の直接責任を負う者に対しては,法により行政処分を与える。 |
第77条 | 入学者選抜において不正があった場合は,教育行政部門が入学の取り消しを命じる。直接の管理責任者及びその他の直接の責任を負う者に対しては,法により行政処分を与える。犯罪を構成する者は,法により刑事責任を追及する。 |
第78条 | 学校及びその他の教育機関が国家の関係規定に違反し,教育を受ける者から費用を徴収した場合,教育行政部門が徴収した費用の返還を命じる。直接の管理責任者及びその他の直接責任を負う者に対しては,法により行政処分を与える。 |
第79条 | 国家教育試験において不正があった場合は,教育行政部門が無効を宣告し,直接の管理責任者及び直接責任を負う者に対し,法により行政処分を与える。 非合法に国家教育試験を実施した場合,教育行政部門が無効を宣言する。違法な所得がある場合は,これを没収する。直接の管理責任者及び直接責任を負う者に対しては,法により行政処分を与える。 |
第80条 | 本法の規定に違反し,学位証書,学歴証書又はその他の学業証書を発行した場合は,教育行政部門が証書の無効を宣告し,回収又は没収を命じる。違法な所得がある場合は,これを没収する。事情が甚だしい場合は,証書を取得する資格を取り消す。 |
第81条 | 本法の規定に違反し,教員,教育を受ける者,学校又はその他の教育機関の合法的な権益を侵犯し,損失,損害を与えた者は,法により民事責任を負わなければならない。 |
第82条 | 軍事学校の教育は,中央軍事委員会が本法の原則に基づき規定する。 宗教学校の教育は,国務院が別に規定する。 |
第83条 | 国外の組織及び個人が中国国内で学校を設置,又は中国と共同で設置する方法については,国務院が規定する。 |
第84条 | 本法は1995年9月1日から施行する。 |
韓国教育基本法
1997.12.13
法律第5437号
第1 | 条(目的)この法律は,教育に関する国民の権利・義務と国家及び地方自治団体の責任を定め,教育制度及びその運営に関する基本的事項を規定することを目的とする。 |
第2 | 条(教育理念)教育は弘益人間の理念のもと,すべての国民をして,人格を陶冶し,自主的な生活能力と民主市民として必要な資質を備えるようにし,人間らしい生活を営むべく,民主国家の発展と人類共栄の理想を実現することに寄与することを目的とする。 |
第3 | 条(学習権)すべて国民は,生涯にわたり学習し,能力と適性によって教育を受ける権利を持つ。 |
第4 | 条(教育の機会均等)すべて国民は,性別,宗教,信念,社会的身分,経済的地位,又は身体的条件等を理由に教育において差別されない。 |
第5 | 条(教育の自主性等)![]() ![]() |
第6 | 条(教育の中立性)![]() ![]() |
第7 | 条(教育財政)![]() ![]() |
第8 | 条(義務教育)![]() ![]() |
第9 | 条(学校教育)![]() ![]() ![]() ![]() |
第10 | 条(社会教育)![]() ![]() ![]() |
第11 | 条(学校等の設立)![]() ![]() |
第12 | 条(学習者)![]() ![]() ![]() |
第13 | 条(保護者)![]() ![]() |
第14 | 条(教員)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
第15 | 条(教員団体)![]() ![]() |
第16 | 条(学校等の設立・経営者)![]() ![]() ![]() |
第17 | 条(国家及び地方自治団体)国家及び地方自治団体は,学校及び社会教育施設を指導・監督する。 |
第18 | 条(特殊教育)国家及び地方自治団体は,身体的・精神的・知的障害等により特別な教育的配慮が必要な者のための学校を設立・運営しなければならず,これらの教育を支援するために必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第19 | 条(英才教育)国家及び地方自治団体は,学問,芸術,体育等の分野で才能が極めて優れた者に対する教育に関して必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第20 | 条(幼児教育)国家及び地方自治団体は,幼児教育を振興するために必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第21 | 条(職業教育)国家及び地方自治団体は,すべて国民が学校教育と社会教育を通じて職業に対する素養と能力の啓発のための教育を受けることができるようにするため必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第22 | 条(科学・技術教育)国家及び地方自治団体は,科学・技術教育を振興するために必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第23 | 条(教育の情報化)国家及び地方自治団体は,情報化教育及び情報通信媒体を利用した教育の支援と教育情報産業の育成等,教育の情報化に関して必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第24 | 条(学術文化の振興)国家及び地方自治団体は,学術文化を研究・振興するために学術文化施設の設置及び研究費支援等の施策を樹立・実施しなければならない。 |
第25 | 条(私学の育成)国家及び地方自治団体は,私立学校を支援・育成しなければならず,私立学校の多様かつ特色ある設立目的が尊重されるようにしなければならない。 |
第26 | 条(評価及び認証制度)![]() ![]() |
第27 | 条(保健及び福祉の増進)国家及び地方自治団体は,学生及び教職員の健康及び福祉の増進のために必要な施策を樹立・実施しなければならない。 |
第28 | 条(奨学制度等)![]() ![]() ![]() |
第29 | 条(国際教育)![]() ![]() ![]() ![]() |
第1 | 条(施行日)この法は1998年3月1日から施行する。 |
第2 | 条(他の法律の廃止)教育法はこれを廃止する。 |
第3 | 条(他の法律の改正)![]() 第8条第1項第5号を次のとおりとする。 5.教育基本法第15条第1項の規定によって中央に組織された教員団体から推薦する者 第11条第1項中「教育法第80条の規定による教育会」を「教育基本法第15条第1項の規定による教員団体」とする。 第13条第1項中「教育会」を「教員団体」とする。 ![]() 第9条中「教育法第8条の2の規定により」を「教育基本法第8条第1項の規定により」とする。 |
第4 | 条(他の法令との関係)この法の施行当時,他の法令から従前の教育法又はその規定を引用した場合,この法中,それに該当する規定がある場合は,従前の教育法又はその規定に代わってこの法律又はこの法律の該当条項を引用したものとみなす。 |