資料1 |
教育基本法に関する諮問における検討の視点
1 | 教育の基本理念(教育の目的及び方針) |
・ | 時代や社会の変化に対応した教育という視点 |
・ | 一人一人の能力・才能を伸ばし創造性をはぐくむという視点 |
・ | 伝統、文化の尊重など国家、社会の形成者として必要な資質 の育成という視点 |
2 | 教育の基本原則 |
・ | 教育の機会均等、義務教育、男女共学 |
・ | 政治教育、宗教教育 |
3 | 家庭、学校、地域社会の役割など教育を担うべき主体 ・学校の役割、教員の使命 |
・ | 家庭、地域社会等の役割 |
4 | 教育行政及び教育の振興 |
・ | 国、地方公共団体の責務 |
・ | 教育振興基本計画に関する規定 |
「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」
平成13年11月26日諮問(抄)
新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について
1 | 教育基本法は,教育の基本理念及び基本原則について定める法律として,昭和22年に公布・施行され,以来,我が国の教育は50年以上にわたって教育基本法の下で進められてきた。しかしながら,先に述べたように,制定当時とは社会が大きく変化しており,また,高校,大学進学率の著しい上昇や生涯学習社会への移行など教育の在り方も変容を遂げてきている。さらに,教育全般について様々な問題が生じており,21世紀を迎えた今日,将来に向かって,新しい時代の教育の基本像を明確に提示し,それを確実に実現していくことが求められている。 このため,新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方を考え,その見直しに取り組み,教育の根本にさかのぼった改革を進めることが必要である。 |
||||||
2 | 教育改革国民会議の報告においては,これからの時代の教育を考えるに当たっては,個人の尊厳や真理と平和の希求など普遍の原理を大切にするとともに,「新しい時代を生きる日本人の育成」「伝統,文化など次代に継承すべきものの尊重,発展」「教育振興基本計画の策定など具体的方策の規定」の三つの観点から,新しい時代にふさわしい教育基本法を考えていくことが必要であると提言されている。 この提言を踏まえながら,時代状況の変化にかんがみ,教育基本法の在り方について,主に次の事項に関して検討する必要があると考える。 |
||||||
第一に,教育の基本理念についての検討である。 教育の基本理念として,教育基本法は,教育の目的(第1条)及び方針(第2条)を定めている。教育の目的として第一条は,人格の完成を目指し,国家,社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成を期して行うとし,国家,社会の形成者として有すべき徳目を例示している。また,教育の方針として第二条において,教育の目的を実現するため,教育を行うに当たっての心構え,配慮すべき基本的事項について定めている。 これについて,普遍的な理念は維持しつつ,次の視点などから検討する必要があると考える。 |
|||||||
|
|||||||
第二に,教育の基本原則についての検討である。 教育基本法は,教育の機会均等(第3条),義務教育(第4条),男女共学(第5条)を規定して,教育の普及を図っている。このうち特に,義務教育は近代国家における基本的な教育制度として憲法に基づき設けられている制度であるが,制度の在り方について,例えば,一人一人の能力の伸長を図るという視点,あるいは家庭の果たすべき役割と学校教育との関係といった視点から,議論する必要があると考える。また,男女共学規定について,制定時との時代や状況の変化を踏まえ,男女共同参画社会の形成を目指す観点から議論する必要があると考える。 さらに,政治教育(第8条)と宗教教育(第9条)について,その在り方と限界について規定されているが,宗教教育に関しても,憲法に規定する信教の自由や政教分離の原則に十分留意しながら,宗教的な情操をはぐくむという観点から議論する必要があると考える。 |
|||||||
第三に,家庭,学校,地域社会の役割など教育を担うべき主体についての検討である。 教育の目的の実現のためには,家庭,学校,地域社会等の果たすべき役割を明確にし,それぞれがその役割を果たしつつ,互いに連携・協力して教育に取り組むことが重要である。特に,教育の原点は家庭にあり,基本的な生活習慣や倫理観,自制心,自立心など基礎的な資質や能力を育成する場として,家庭が教育に対して果たすべき役割はとても大きなものがあると考える。 家庭教育や社会において行われる教育については,社会教育に関する規定(第7条)の中で触れられているが,家庭や地域社会等の教育に対する役割の重要性を十分踏まえ,その役割を明確にする観点から議論する必要があると考える。 また,学校教育に関する規定(第6条)として,学校の性格及び教員の身分について規定しているが,学校についても,その役割や教員の使命について明確にする観点から議論する必要があると考える。 |
|||||||
第四に,教育行政(第10条)については,教育が不当な支配に服してはならないとの原則を維持しつつ,教育振興基本計画の在り方とともに,国,地方公共団体の責務について,その適切な役割分担を踏まえて,教育施策の総合的・計画的な推進が図られるよう,明確にする観点から検討する必要があると考える。 | |||||||
第五に,前文の取扱いについてである。教育基本法には,法制定の由来,趣旨を明らかにするための前文が付されている。前文についても,法律全体の在り方に即して検討を行う必要があると考える。 | |||||||
3 | また,学校教育法や社会教育法など教育法令は,教育基本法に掲げた理念,原則に則って定められていることから,教育基本法の見直しに伴うその他の法令の見直しの方向についても,必要に応じて,議論が必要であると考える。 |