教育振興基本計画の重点施策に関する各委員の意見
第2 教育の目標を達成するため総合的かつ計画的に実施すべき施策
1.重点目標・施策
○教育の基本的システム
- 国公私立学校の設置認可システム、地方分権のシステム【鳥居会長】
- チャーター(国家的付託)の明確化とチャーターシステムの多様化【鳥居会長】
- 発達段階に沿った学制(幼、6歳〜(小)、11歳〜(中高)、17歳〜社会へ、19歳又は20歳〜高等教育)【永井委員】
- 18歳までの無償教育の延長、職業への円滑な移行【横山委員】
- ナショナルミニマムのグレードアップ【鳥居会長】
○柔軟な学校システム
- 幼・6・3・3・4・院の制度の柔軟なシステム
- 【鳥居会長、木村委員】
- 6・3・3・4制度の弾力的運用【横山委員】
- 6・3制【鶴田委員】
- 幼・小、小・中、中・高の接続の改善【木村委員、横山委員】
- 多様な学校の実験(パイロットスクール、スーパーサイエンススクール、コミュニティスクール)【鳥居会長、木村委員】
○私立学校の育成【鶴田委員】
○経営管理組織の確立【市川委員】
○基礎学力の向上
- 基礎学力育成と競争原理強化【茂木委員】
−基礎学力養成と自ら学ぶ力の養成、全国共通学力テストの実施と生徒間・学校間の競争意識の醸成、学力国際比較における到達目標の設定と結果の検証
- 学力低下と学習意欲低下の歯止めとなる施策【西室委員】
−基礎的な算数計算能力、読解力・記述力等日本語能力、英語等語学能力をきっちり学ばせる施策
- 基礎知識、基礎学力の向上【横山委員】
- ナショナル・ミニマムとしての教育の徹底【永井委員】
−成績1を半減させる、限りなくゼロに近づける、生活能力の重視
- 知識・技術伝達と学び方習得の調和のとれた教育の推進【山本委員】
−教育内容としての知識・技術の伝達
- 1)基礎・基本の徹底 2)精選された知識・技術の獲得度の向上
3)知識・技術の活用・応用についての理解度の向上
- 従来の「覚えさせる教育」、「詰め込み教育」を改め、まず、「自分で考える」次に「自分の考えを伝える力」を早い時期から訓練【西室委員】
○個性・才能の伸張
- 才能の発見、育成【永井委員】
−才能ある者への機会の確保
- 生きる力を育む学力の向上【横山委員】
−個性、才能の伸長と創造性の育成
- 高校・大学等の入学試験のより一層の改善【山本委員】
- 語学、理科などの傾斜教育を行う【鶴田委員】
○教育内容・方法の改善
- 知識・技術伝達と学び方習得の調和のとれた教育の推進【山本委員】
−学び方習得のための教育の推進
- 1)多様な学習方法・問題解決法の習得の推進 2)自己評価法習得の援助 3)学び方を活用した自己主導的学習の推進
- 各段階別教育の組織及び内容の再編成【市川委員】
−初等・中等・高等の教育段階でなく、児童期・青年期・成人期の教育として捉える
○公共心の育成、日本の伝統・文化の尊重
- 人を愛し、親を愛し、兄弟を愛し、隣人を愛し、国を愛する心を育てる。 公徳心あるいは公共心教育【鶴田委員】
- 規範意識の育成【國分委員】
- 日本の歴史、伝統、文化を尊重する心の育成【國分委員】
○公立学校教職員を第3者が評価する制度の確立【鶴田委員】
○教員の力量向上ー養成・採用・研修の改善【木村委員、横山委員】
○教師(幼稚園から大学)の生涯養成・研修強化【森委員】
○教職員の養成と確保【市川委員】
○使命感に溢れる教員の養成と適格者の確保【國分委員】
○少人数学級など
- 少人数学級やT・Tなど個に応じたきめ細かな指導が可能となるための教育条件の整備【横山委員】
- 20人学級の実現(補助教員を含めて)【永井委員】
○施設設備等の整備
- 教育資材装置、施設の充実、先端化【鳥居会長】
−教育装置設備のグレードアップ(理科・社会科・国語・英語・IT)
- 教材・教具・教育施設の整備【市川委員】
- 学校校舎、施設、設備の大幅な改修費用の確保【横山委員】
○大学教育の改善
- 大学卒業者の国際競争力低下の歯止め【西室委員】
−能力、知識、スキルが確実にアップした学生のみが進級できるような「卒業重視」の制度
- 組織、カリキュラムの抜本的改革、研究基盤の整備、教養教育、専門教育の充実【茂木委員】
○大学院教育の充実【黒田委員】
- 大学院博士課程の質の確保
−研究者養成の大学院の設置の厳格化、教育機能の充実と厳格な修了判定、博士号の国際的信頼性の確保(レフリー制のある学会誌等にトップ・ネームで論文掲載を授与の必要条件とする等)
- 大学院についてのビジョンを明確にする
−専門職大学院等の専門職業人養成と研究者養成の大学院との区別化
○評価に基づく競争原理の導入
- 公正な評価に基づく競争力ある大学の育成【茂木委員】
−自己点検評価及び外部機関による評価と評価結果の情報開示
−評価に基づく効率的・重点的な資源配分による国際競争力のある大学の育成
- 大学卒業者の国際競争力低下の歯止め【西室委員】
−個々の大学が学生や社会のニーズを掘り起こし独自の教育、研究プログラムを提示し、教育、研究の消費者に判断を仰ぐ「競争原理」の導入
○産学連携
- 産学連携による研究開発促進とベンチャー・ビジネスの支援強化【茂木委員】
- 産業界との連携強化【西室委員】
○国際化への対応
- グローバル化・国際化への対応(「知」の世界に国境はないことを認識すべき)【中嶋委員】
- コミュニケーション・ツールとしての英語力強化と異文化理解力の養成【茂木委員】
- 国際社会で外国人と対等に渡り合える人物の育成、論理的思考力とプレゼンテーション能力が必要【西室委員】
- 小学校からの英語教育の充実【黒田委員】
−ネイティブの若者を一校に一人配置
- 国際化時代に対応した語学・英語教育【鶴田委員】
−小学校から正科にする
○情報化への対応
- パソコン、インターネット等をツールとして活用するITリテラシーの育成【茂木委員】
○家庭教育を原点とする地球市民としての社会性・人間性の涵養【茂木委員】
- しつけの重要性についての親の認識の向上と家庭・地域、幼稚園・保育所・小・中学校の連携による健全な倫理観の育成
○家庭教育支援計画の策定【森委員】
- 「心の庭」づくり支援
- 親(人生最初の教師)の自己教育支援、社会人(親代わり)支援
- 家庭教育手帳、ノートの(全面)改訂
○奉仕活動の推進
- 奉仕活動の積極的な奨励による、助け合い、思いやりあふれる社会風土の醸成【茂木委員】
- 高等教育前の1〜2年社会体験(職業体験、ボランティア)の参加促進【永井委員】
−青少年の社会化、進路探究、学びの動機付け
○生涯設計を導入した教育・学習体制の整備【山本委員】
- 進路指導・相談体制の充実(中学校以降)
- 生涯学習パスポート(ポートフォリオ)の作成・活用の奨励
○独創性・創造性を評価できる評価体系の整備【山本委員】
- 教育・学習成果の評価・認証体系の整備
- 高校・大学等の入学試験のより一層の改善
- 入社試験改善の要請
(参考)
第1 教育に関する施策の基本的な方針
1.教育の現状と課題
○ |
教育の危機ー危機に瀕する国家【鳥居会長】(学校・教育現場での学級崩壊/人格陶冶能力の低下/画一的思考の進学競争/多様な職業、多様な人生を理解できない青少年と親/自信喪失の年齢層の拡大/科学・産業・国際関係で相対的劣位)
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○ |
国家の発展段階と教育制度【鳥居会長】(明治初年後進国への学制導入/戦前産業立国時代の教育/戦中国家主義時代の教育/戦後民主化初期と高度成長期の教育/文化的爛熟・経済衰退・少子化・大競争時代の教育)
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○ |
現行教育制度の再検討【鳥居会長】(占領政策としての新制度/義務教育の意味の変化/国・公・私立の役割/文教施策における国と地方の役割/幼・6・3・3・4・院の固定化から柔軟化/教育費用の社会的分担(税・受益者負担・民間支援))
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○ |
戦後教か、平育の問題点は何等主義教育への批判的考察【中嶋委員】
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2.21世紀の教育が目指すもの
(1)これからの教育の目標
○教育とは何かを改めて問う【鳥居会長】
- 人生の各段階(幼・少・青・壮・老年期)の教育
- 教えるべきこと(親・家族・社会・学校)と学ぶべきこと
- 何を如何に教え如何に学ぶか
○教育の原点は何か、「教育」の語源にまで遡ってこの点を明確にすべき【中嶋委員】
○生涯学習社会を基盤とした人材・教育大国の実現【山本委員】
○計画の基本理念における人間像【森委員】
- 知徳体の調和的発展(不易(学力低下よりモラル低下を懸念))とIT、国際化対応(流行)
(2)教育改革の基本的方向性
○教育に必要なものを改めて問う【鳥居会長】
- 教育理念(建学の精神(人造りの目標、専門教育の目標等))
- 教育制度(教育関係法令の整備/スクールガバナンスの確立/学校制度(国公私立)(国と地方の分権))
- 教育に携わる専門家(教員、教育補助技能者、学校設置者と運営者)
- 教育資機材(テキスト、教材、フィールドワーク、実験、実習、実物と仮想空間、ライブラリー、ミュージアム、情報ネットワーク、生物・地学・物理・化学等の素材・装置)
- 教育投資と教育資金(国家予算、地方自治体予算、ボランタリー資金、受益者負担)
- 教育の場(老朽校舎から21世紀型施設へ/旧来の校庭・グラウンド・体育館からの脱皮、新しい施設/自然とのふれあい/宗教とのふれあい/異文化とのふれあい)
- 国公私立の学校の社会的責務(社会的付託)(何を付託されているか(チャーター)/5つの使命:人格形成、能力開発、知識伝授、知的生産、文明の継承/3つの国権付託:学校設置、教育、学位・資格付与)
○教育振興の基本的方針ないしは政策の意図【市川委員】
- 人間能力の多面的な発達/多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実/社会の持続的で健全な発展/最低限度の意志疎通と合意を可能にする社会化の徹底
○教育振興のための基本的な政策目的【市川委員】
- 基礎学力の向上/人間性豊かな日本人の育成/創造性・指導力に富む人材の育成/父母・住民に信頼される学校作り/学習環境の整備/家庭崩壊・地域解体への対応
○施策を進めていく上での留意点【梶田、木村、國分、佐藤、高木、鶴田、森、山本委員】
- 施策の優先順位の明確化/10年後の社会のあるべき姿を見通した施策/現に生じている問題への的確な対応/これまでの様々な施策の体系化/徳育など、これまで十分達成されてこなかった不易な部分の教育の実現/これまで提言されながら取り組みが進んでいない施策の実施
第3 施策を推進するために必要な事項
1.施策を推進するために必要な教育投資の在り方
- 経常費・教育装置の向上【鳥居会長】
- 幼小中高教員の研修・研究・海外研修・国内研修【鳥居会長】
- 校舎施設の老朽化対策・先端施設【鳥居会長】
- 基本的社会資本である教育・研究への戦略的投資と予算の効率的運用【市川委員】
- 教育・研究費用の社会的分担と教育補助金配付の仕方(機関補助・個人補助)【市川委員】
2.施策を推進するための政府及び地方公共団体の役割、連携等
○計画の効果的な実施【市川委員】
- 計画の評価、進捗状況の点検と見直し情報公開と国民の意見の反映
- 国と地方の役割分担及び連携関係行政分野における各種計画との連携
- 政府による計画の推進調査研究、情報の収集・整備・提供多様な主体の参加
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