中央教育審議会「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」(中間報告)(平成19年)

  主な提言事項 主な取組
(◇:法令改正、○:予算措置、▲:検討中等、□:その他)
今後の課題
(◇:答申に記述、○:部会における意見、□:その他)等
2 国民の学習活動を促進する具体的方策
  •  「学び」の機会を総合的に提供・支援するシステムの構築
  • 予算措置 社会参加や就業、起業等の新たなチャレンジをしようとする人に対する学習相談や、チャレンジするために必要となる学習機会の提供等を行う再チャレンジのための学習支援システムの構築〔19年度予算額 5.3億円〕
  • 予算措置 教育委員会や大学、NPO等を中心に、多様な機関が連携して学習者を支援する仕組みの構築を促進(3ヵ年、10地域)〔19年度予算額 5.3億円〕
 
  • 法令改正 大学や専門学校が提供する、比較的短期の教育プログラムを受講して得られた学習成果に対し、学位以外の一定の「履修証明」を交付する取組の普及(19年6月学校教育法の改正、施行は公布の日から6月以内で政令で定める日)
  • 法令改正予算措置 放送大学における、一定の科目群を学んだ学生に対して学位以外の履修証明を与える制度(「科目群履修認証制度」)の導入
  • 答申に記述 このような制度・取組が社会的に活用されるような支援
  • 予算措置 教育・学習用コンテンツの活用支援方策についての検討〔19年度予算額0.5億円〕
  • 答申に記述 携帯電話、インターネット配信、地上デジタルテレビ放送等の複数の情報通信・配信手段に対応した社会のニーズが高い優れた教育用コンテンツの視聴・利活用等、新たな形態による教育用コンテンツの活用を促進するための方策についての検討
  •  個人の「学び直し」に対する支援
  • 予算措置 社会参加や就業、起業等の新たなチャレンジをしようとする人に対する学習相談や、チャレンジするために必要となる学習機会の提供等を行う再チャレンジのための学習支援システムの構築〔19年度予算額5.3億円〕【再掲】
  • 予算措置 インターネットを活用した教育情報提供システムの整備〔19年度予算額0.5億〕
  • 予算措置 教育情報ナショナルセンターにおけるコンテンツの拡充〔19年度予算額0.3億円〕
  • 予算措置 学習情報提供体制充実事業の実施〔19年度予算額0.6億円〕
 
  •  学習成果が適切に生かされ評価される方策
  • 検討中等 全国レベルの生涯学習に係る登録制度(「登録生涯学習検定制度(仮称)」)の創設を検討
  • 検討中等 学習成果が就業やキャリアアップ、ボランティア活動等の社会参加等につながり、社会で活躍しているものやこのような学習活動を支援する団体に対する顕彰制度の創設を検討
  • 答申に記述部会における意見 将来的には、第三者機関が学校の卒業認定以外の一定の学習成果を評価する仕組みの構築するなど、学習内容を評価し、全国的な通用性を保証するための制度構築
  •  若年者・女性・団塊世代・高齢者に対する支援
  • 予算措置 専修学校と高等学校が連携し、高校生に対する職業教育や専修学校の機能をいかした職業体験講座等を実施(専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン)〔19年度予算額 0.9億円〕
  • 予算措置 新たなチャレンジを目指す若者、中高年、女性、ニート等を支援するため、専修学校の持つ職業教育機能を活用して、それぞれの特性等に応じた職業能力向上のための学習機会の提供(「専修学校を活用した再チャレンジ推進支援事業〔19年度算額 7.7億円〕」)
  • 予算措置 再就職を希望する女性の再チャレンジのため、身近な場所での再チャレンジ支援講座、ロールモデルの収集・提供、女性メンターの養成等を実施(「再チャレンジのための学習支援システムの構築〔19年度予算額 5.3億円〕」の一部等)
  • 予算措置 公民館等におけるニート支援モデル事業〔19年度予算額0.1億円〕
  • 予算措置 団塊世代等社会参加促進のための調査研究(教育サポーター制度の創設)〔19年度予算額 0.35億円〕

【フリーター・ニートの数の推移】

  • <フリーター>平成15年217万人から平成18年187万人
  • <ニート>平成15年64万人から平成18年62万人

(出典:就業構造基本調査、労働力調査等)

【学卒3年以内に離職する若者の割合】

  • 中学卒 70.4パーセント
  • 高校卒 49.3パーセント
  • 大学卒 35.7パーセント

(出典:雇用保険事業統計(15年3月新卒者))

  • 答申に記述 学校における奉仕活動・体験活動等に関する連絡・相談を行う連携窓口の設置促進や家庭や地域との橋渡し役となるコーディネーターの養成

【高齢化率の推移と将来推計】

  • 1980年 10,647千人(9.1パーセント)
  • 2005年 25,392千人(19.9パーセント)
  • 2020年 34,559千人(27.8パーセント)
  • 2050年 35,863千人(35.7パーセント)

(出典:1980年は「国勢調査」、それ以外は「日本の将来人口推計(14年1月推計)」)

【団塊世代の意識】

  •  引退後も「社会的役割を」を持ちたい 62.4パーセント
  •  60歳をすぎても仕事を持ち続けたい 78.2パーセント
  • 部会における意見高齢者が、世代を超えた教育の活動に生きがいを持って参加できるような取組への支援
  •  「公共」の課題に取り組む社会教育の振興
  • 検討中等 以下の事項について、社会教育関連法制の在り方等に関する事項を検討
    • 社会奉仕活動・社会活動機会の提供・受け入れ先の開拓・マッチング等を行う拠点として公民館等社会教育施設機能を充実
    • 地域社会における学習活動支援の担い手としての社会教育主事の養成等の在り方の見直し
    • 地域の活性化を目指す個人や団体が必要とする情報や資料、場所を提供し、地域を支える情報拠点として図書館活動の質を向上(司書等の資格等の在り方を見直し)
    • 「これからの博物館の在り方等に関する検討協力者会議」を平成18年9月に設置し、博物館の定義、博物館登録制度や学芸員制度の在り方等を検討
  • その他 司書養成のカリキュラムの見直しや、現職研修の在り方等についての検討
  • その他 博物館の登録審査等を行う専門機関の設立の検討
3 家庭・地域の教育力の向上に関する具体的方策
  •  家庭の教育力向上のための具体的方策
    •  きめ細やかな家庭教育支援
    •  親子・世代間で育ち合う子育てを応援する社会作り
    •  子どもの生活リズムの向上
    •  社会や地域ぐるみの家庭教育支援
  • 予算措置 家庭教育支援総合推進事業〔19年度予算額9.8億円〕
    •  子育てサポーターリーダーの養成
    •  ライフステージに応じた課題別子育て講座の実施
    •  次世代の親となる中・高校生の子育て触れ合い交流事業
    •  父親の家庭教育参加促進事業
  • 予算措置 家庭教育手帳の作成・配付〔19年度予算額1.7億円〕
  • その他 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進

家庭の教育力について、約7割の親が低下していると実感(家庭の教育力再生に関する調査研究 13年度)

  • 答申に記述 子育ての悩みや様々な課題・困難を抱える親への情報提供・相談体制を充実するため、子育てサポーターリーダーや保健師等が連携した、訪問型の家庭教育支援
  • 答申に記述 団塊世代や高齢者の子育て支援への参画
  • 答申に記述 孤立しがちな親や問題を抱えた親等の実態についての調査研究
  • 答申に記述 身近な場所における家庭教育・子育て支援の環境整備

小さな子どもとふれ合う機会がない中高生66.10パーセント
(出典:子育てに関する意識調査 15年度)
子どもと接する時間の平均

  • 父親 3.1時間
  • 母親 7.6時間

(出典:家庭教育に関する国際比較調査報告書 16年度・17年度)

  • 予算措置 子どもの生活リズム向上プロジェクト〔19年度予算額2.4億円〕
    • 子どもの生活リズム向上のための普及啓発事業の実施
    • 「生活リズム向上指導資料」の作成
    • 子どもの生活リズム向上のための調査研究の実施
  • その他 インターネットの安全・安心利用に向けた啓発のための講座であるe−ネットキャラバンを総務省、関係団体等と連携して実施(平成18年度〜)
  • 答申に記述 大人が子どもの生活リズム向上に一緒に取り組めるための、企業における従業員の働き方の見直し
  • 部会における意見 学校・家庭・地域に加えてメディア関係団体等も連携し、特にインターネットや携帯電話の安全な利用等について学ぶ機会の充実
  •  地域の教育力の向上のための具体的方策
    •  「放課後子どもプラン」の創設
    •  その他幅広い視点からの地域の教育力の向上のための方策
  • 予算措置 厚生労働省と連携した総合的な放課後対策事業「放課後子ども教室推進事業(放課後子どもプラン)」の推進〔19年度予算額 68.2億円〕
  • 予算措置 「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業〔19年度予算額 6.2億円〕
  • 予算措置 学校支援を通じた地域の連帯感形成のための特別調査研究〔19年度予算額2.0億円〕
  • 予算措置 総合型地域スポーツクラブの育成・支援〔19年度予算額 8.0億円〕

地域の教育力について、自身の子ども時代と比較し、過半数が「以前に比べて低下している」(55.6パーセント)と回答。

 地域が果たすべき役割として、「社会のルールを守ることを教える」ことについて「積極的に関わるべき」との回答が61.5パーセント。保護者は、子どもに対して社会規範を教えることを重視。

 地域で力を入れるべきこととして、「地域内での子どもの安全を確保するための活動をする」との回答が66.9パーセント。保護者は、子どもの安全確保に対する関心は極めて高い。
「地域の教育力に関する実態調査(17年10〜11月に調査))

【地域の活動への参加を妨げる要因】
仕事等のために時間がないこと(35.9パーセント)
参加するきっかけが得られないこと(14.2パーセント)
情報がないこと(11.1パーセント)
(国民生活選好度調査(15年度))

  • 部会における意見 地域全体の教育力の向上に資する学校・家庭・地域の連携のネットワーク等の取組への支援
  • その他 「放課後子どもプラン」の根拠を法律に規定することの検討
  • 答申に記述 「地域の教育力の指標」を作成し、経年変化を把握
  • 部会における意見 地域の人材や専門家による学校・家庭教育等の支援体制の充実
4 地域社会全体で学習活動を支援する具体的方策
  •  学習活動を支援する多様な人材が育つ仕組の構築
  •  学校・家庭・地域の連携協力の促進
  • 予算措置 団塊世代等社会参加促進のための調査研究(教育サポーター制度の創設)〔19年度予算額 0.35億円〕
  • 検討中等 学校と地域の連携協力や家庭教育への支援における社会教育行政の責任の明確化について、法制度の整備を含め検討
  • 答申に記述 国は、学習活動を支援する指導者を育成し、認定する事業(人材育成・認定事業)の質を保証する認証システムの構築
  • 答申に記述 地域人材から学習コーディネーター等の活用を推進するとともに、学校における地域連携・学社連携担当者への研修機会の充実
  • 答申に記述 家庭教育や社会教育、学校・家庭・地域の連携について、教職の課程認定大学におけるカリキュラムの充実や現職教員に対する研修の充実
  • 答申に記述 学校における地域との連携を図るための校務分掌の明確化及び外部人材活用のための仕組み作り
  • 答申に記述 企業と教育委員会とが連携し、職業体験等の受入れや、講師としての社員の派遣、学校行事参加のための休暇、短時間勤務制度の創設等の実施

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