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小・中学校の指導体制
日本の小・中学校における教員1人当たり児童生徒数は、各国と比較して大きい。少人数指導や習熟度別学習など、よりきめ細やかな指導体制の充実が課題。
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平均学級規模(国公立教育機関)
日本: |
初等中等教育28.5人、前期中等教育33.7人 |
OECD平均: |
初等中等教育21.5人、前期中等教育23.8人 |
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小・中学校の教材費・旅費等
昭和60年に一般財源化された小・中学校の教材費・旅費は、措置率が年々低下(教材費:基準財政需要額の73.1パーセント、旅費:教職員一人当たり交付税積算単価の72.1パーセント(平成17年度))しているとともに、各自治体によって整備状況に差が発生。
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小・中学校の学校図書館図書費
学校図書館図書費は、交付税措置されているが、図書整備の目標である学校図書館図書標準の達成率は、平成17年度末現在、小学校約40.1パーセント、中学校約34.9パーセント。また、地方自治体間の整備状況の差も大きく、図書の整備が課題。
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小・中・高等学校における教育の情報化
日本は、アメリカや韓国と比較して、学校における教育の情報化が遅れている(例えば、校内LAN整備率はアメリカ、韓国はほぼ100パーセントである一方、日本は平均56パーセント程度)。児童生徒の情報活用能力の育成や、ICTを効果的に活用した「わかる授業」の実現のための環境整備が課題。
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学校評価の充実
教育水準の保証を図る上で、学校評価を通じた学校運営の改善が重要。現在、教職員による自己評価の実施は進んでいるが、保護者等が参加する評価(外部評価)の実施が進んでいない。さらに、自己評価、保護者等による評価(外部評価)の結果を含めた学校に関する情報の公開が不十分であり、これらの一層の促進が重要。
(参考) |
学校評価の実施状況(平成17年度間)
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公立学校における自己評価実施率 97.9パーセント
(うち 公表率 58.3パーセント,設置者への提出率 36.1パーセント) |
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公立学校における外部評価実施率 51.5パーセント
(うち 公表率 69.7パーセント,設置者への提出率 33.3パーセント) |
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いじめ等児童生徒の問題行動
いじめは小・中・高あわせて2万件、暴力行為は3万件を超えており、小学生による暴力行為が増加するなど(平成17年度)、児童生徒の問題行動は依然憂慮される状況。また、特に、携帯電話を使ったいじめや犯罪をはじめ、携帯電話をめぐる多くの問題が指摘。
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不登校児童生徒
小・中あわせて12万人の児童生徒が「不登校」を理由として年30日以上欠席しており、不登校児童に対する支援措置の充実等が課題。
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教員をめぐる課題
文部科学省が平成18年度に行った勤務実態調査によると、教員の残業時間は1日平均2時間、1か月で平均34時間であり、教員の多忙化が指摘。
病気休職者数が年々増加し、その中に占める精神性疾患による病気休職者数も平成17年度で過去最高(平成17年度:病気休職者7,017名、うち精神性疾患による休職者4,178名(59.5パーセント))。また、指導力不足と認定された教員が、平成18年4月1日現在で506名おり、人事管理システムの適正化が課題。
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学校の進路指導の充実、各学校段階及び学校と職業生活の連携の改善
大学進学者のうち、約20パーセントは最低修業年限で卒業せず、卒業する者の約15パーセントが進学も就職もしないまま卒業している。また、卒業後3年以内に離職する者の割合は、中卒で約70パーセント、高卒で約50パーセント、大卒で約35パーセント。
これらの問題を、単に高等学校や大学など単独の問題として捉えることなく、各学校段階の間の連携、学校と社会の連携の問題として受け止め、能力や適性に応じた進路指導を行うとともに、各学校段階の間や、学校と職業生活を結びつけたキャリア教育の推進が重要。
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ものづくり等を担う人材を育成するための職業教育の充実
専門高校では、ものづくり等地域の産業や社会を担う技能者を育成しており、高等専門学校では、実践的・創造的技術者を育成している。これらの取組はものづくり現場の技術力の維持・強化に向けて貢献しており、このような学校に対する資源配分が重要。
熟練した技術者の高齢化といった問題が懸念される中で、ものづくり現場における技能継承や、ものづくり人材の育成が課題。
(参考) |
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〔専門高校における状況〕
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就職希望者に対する就職決定率(国公私立合計)96.1パーセント(平成18年度) |
〔高等専門学校における状況〕
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就職希望者に対する就職内定率98.7パーセント(平成17年度) |
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求人倍率21倍(平成18年度) |
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若者の失業率、フリーター・ニート
24歳以下の若年者の失業率は他世代より高水準。また、平成18年でフリーター187万人、ニート62万人と推計。青少年が自らの個性や適性を自覚し、主体的に進路を選択し、社会的自立を果たせるよう、早期からのキャリア教育や、専門高校(全高校生徒数の2割)等による地域社会と連携して行う職業教育の充実が重要。
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現代的健康課題への対応の充実
子どものメンタルヘルスやアレルギー疾患などの現代的健康課題に対して、校内組織体制づくりや学校と地域の医療機関等との連携の推進が必要。
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地域内での子どもの安全確保
多くの保護者が「地域内での子どもの安全確保」について高い関心を持ち、学校と地域が連携した子どもの安全確保のための環境整備が急務。
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学校施設の耐震化
平成19年4月現在、公立小中学校施設の耐震化率は6割弱、自治体間でも大きな差があり、より一層の耐震化の推進が課題。
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理数教育
理科や数学の勉強が楽しいと思う生徒の割合は国際的に見て最低レベルで、学年が高くなるにつれて算数・数学、理科ともに好きでなくなる傾向にあるという調査結果があり、理数好きの児童生徒を増やすことが課題。
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大学等進学率
高等教育機関への進学率が7割を超える現状(近い将来、収容力(志願者数に対する入学者数の割合)がほぼ100パーセントになるいわゆる「大学全入時代」が到来)。こうした中、教育の質の保証、私学経営等に悪影響が生じる可能性が指摘(平成18年度の入学定員未充足の私立大学の割合は40.4パーセント)。
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大学の国際競争力
研究面においては、日本の論文数のシェアは2位、また、被引用回数のシェアは4位と健闘しているが(米国科学情報研究所調査)、知識基盤社会の構築を目指す我が国においては、アジア、世界の「知の拠点」として更なる国際的に魅力のある質の高い大学の構築が課題。
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大学の国際化
日本への留学生数は117,927人(2006年度)であり、高等教育機関在学者に対する留学生受け入れ数の割合は3.3パーセントと、国際的にはまだ不十分な水準。また、外国人教員の割合も、5.1パーセントと低水準。外国語での講義など我が国の大学の国際化は十分とはいえず、経済的負担も大きい。
また、日本人学生等の海外留学は約83,000人(2004年)であり、経済的支援、卒業・就職活動等の遅れに対する配慮が必要。
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地域の知の拠点としての大学
各地方大学は個性豊かな教育研究のみならず、生産誘発効果や雇用創出効果により立地県の経済に大きく貢献。しかし、国立大学法人運営費交付金や私学助成の削減により、特に地方大学における教育研究環境が悪化しており、今後の大学に対する支援のあり方が課題。
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企業が大学へ期待すること
経済社会の人材需要は、社会人として備えるべき基礎的能力(例:対人関係能力、自己教育力など)を求める方向に変化。例えば、文系では、企業は「知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること」を最も期待するが、大学は、より「専門分野の知識を身に付けさせること」を重視する傾向があるなど、大学における教育と企業の大学に対するニーズのマッチングが課題。
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大学が企業に期待すること
大学の改革を進める上で大学関係者から企業に対する期待・要望も強まっている。例えば、企業としては、産業界の求める人材像の明示、過度の早期採用等の是正、大学の学習成果の適切な評価、インターンシップ受け入れの拡大、従業員の学び直しへの支援、教育研究活動への寄附の充実などが課題。
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大学における学術の振興
大学の枠を超えて共同利用・共同研究を推進する「全国共同利用」は、これまで国立のみを拠点としていたが、私立大学等にも拠点を置き、国公私立大学を通じた新たな学術研究システムの整備が課題。
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若手研究者の状況
米国では、若手研究者は任期付で自立的な環境で研究実績を積み重ね、審査試験に合格後、終身雇用の職を取得すること(テニュア・トラック制)が一般的。一方、日本では、当初から終身雇用の割合が高く、テニュア・トラック制等若手研究者が活躍できる環境の整備が課題。
また、若手研究者の素養・能力を養うために有効な取組として、「若手研究者が自立できるような環境整備」「研究者間の切磋琢磨を促す取組」をあげた研究者が34パーセントにのぼっており、これらに対する取組が必要。
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博士号取得者の活動実態
博士号取得者の多くはアカデミック志向が強く、営利企業で活躍する博士号取得者は、米国(33.6パーセント)の半分(16.9パーセント)にとどまっており、博士号取得者のキャリアパスの多様化が課題。
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女性研究者の状況
日本の研究者に占める女性の割合は11.9パーセントであり、欧米諸国と比較して低い状況。その理由としては、男女問わず「出産、育児、介護等の家庭の事情」が一番にあげられており、研究と家庭の両立支援の充実が必要。
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高等教育財政
我が国の高等教育費に対する公財政支出の対GDP比は0.5パーセントで、OECD加盟国中最低水準(2003年)であり、国公私立を問わず、私費負担の割合は極めて高い水準(60.3パーセント)。また、我が国の学生一人あたりの公費・私費を含む高等教育費の額は、アメリカの約半分。こうしたことから、公財政支出の拡充、民間企業や個人等からの積極的な資金導入の促進、教育費負担の軽減が必要。また、機関補助と個人補助の適切なバランスを図りつつ、基盤的経費の確実な措置と競争的資金の拡充等、多元的できめ細やかなファンディング・システムの構築が必要。
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教育研究施設・設備
国立大学等の建物のうち約3分の1が老朽化し、施設を利用する教員・学生等の安全性の確保や教育研究活動に支障 をきたし、早急な整備が必要。 また、教育研究の基盤を支える学術研究設備の整備・高度化が不可欠。 |