福岡県
少子高齢化の進行、情報化の進展等社会情勢の変化に伴い、子どもたちの育成や県民の学習ニーズ等への対応など、社会教育行政が果たすべき役割はますます重要になっています。
しかし一方で、生涯学習体系への移行が進む中、社会教育と生涯学習の理念的な棲み分けはなされているものの、組織体制や行政運営等において一部混乱を来しているのも事実です。
このような中、平成20年2月に、中央教育審議会から「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」の答申が出され、今後の生涯学習振興行政・社会教育行政が目指すべき方向性等が示されたところです。また、政府においては、改正教育基本法を受け、教育振興基本計画の策定に向けた作業が進められており、県教育委員会としましても、この基本計画を踏まえ、本年度から本県教育振興基本計画の策定に着手する予定です。
また本県では、この4月から、時代の変化に伴って派生した様々な課題等に的確かつ総合的に対応するために組織が再編され、その中で、県生涯学習審議会の運営をはじめ、生涯学習の全体計画の策定及びその進行管理や生涯学習事業の推進等、いわゆる生涯学習振興行政に関しては、知事部局に新設された生涯学習室(新社会推進部社会活動推進課)が所管することになりました。このことに伴い、県教育委員会に設置されていた生涯学習課が社会教育課に課名が変わり事業が一部移管されますが、所管する事務事業については、従来どおり社会教育を担当することになります。
また平成19年6月に、「教育力向上福岡県民会議」が県教育委員会に設置されました。本会議は、心豊かで、学習活動や芸術・文化・スポーツ等の体験活動に取り組む意欲と創造性にあふれた子どもを育てる「福岡の教育ビジョン」を策定し、広く県民運動として展開することを目的としており、去る1月31日には、本会議での審議をとりまとめた内容が第1次提言として示されたところです。
提言の内容としては、福岡の子どもの本質的な課題として、
- 学ぶ意慾の低下
- 自尊感情の低下
- 規範意識の低下
- 体力等の低下
の4つの視点が明確にされており、この課題等を改善する方策として、
- ◆実体験を重視した教育を推進しよう
- ◆学校を支援する体制を整備しよう
- ◆保幼の連携、校種間の一貫した教育を推進しよう
- ◆校長のリーダーシップと教師の能力を高めよう
- ◆家庭の教育力を高めよう
- ◆地域の教育力を高めよう
の6つのアクションプランが提言されています。
福岡県社会教育行政としては、本県のこのような動向等を踏まえ、教育力向上福岡県民会議から提言された学校支援に対する取組等を進めるとともに、地域力を高める「青少年アンビシャス運動」についても継続して取り組み、子どもの育成という観点から、この2つの運動を一体的に推進します。
また、改正教育基本法で新たに規定された「生涯学習の理念」、さらには「家庭教育」、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」の規定等を踏まえ、
- ◇社会全体の教育力の向上
- 家庭の教育力の向上
- 地域の教育力の向上
- 学校、家庭、地域が連携するための仕組みづくり
- ◇子どもの体験活動・読書活動の推進
- ◇県民の学習活動・社会参加活動の支援
- ◇文化芸術活動の推進
- 子どもの文化芸術活動の推進
- 県立美術館の機能充実と将来構想
の4点を平成20年度の施策の柱に掲げ、一連の法整備や振興基本計画策定の動向等を視野に入れながら、学校教育行政をはじめ、市町村社会教育所管課及び関係団体等との連携を図りつつ、社会教育の振興に努めます。