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資料6

スポーツ・青少年分科会における主な発言(スポーツ関係等)

1.  スポーツの意義等について

昨今では明らかにスポーツという用語の意味が変わってきている。昔は社会体育ということで教育の一部であったが、今は教育を含みながら文化の領域に移してスポーツが語られている。文化にふさわしいものとして国民に結び付けてスポーツを発展させていく必要がある。

最近、地方にある動きだが、文化とスポーツを一体のものと捉えて振興を図っていくことも考えられるのではないか。

世界的にも体力低下は言われているが、日本の場合はその傾向が顕著。スポーツに歪んだイメージが強いからではないか。競技スポーツでもその底辺には楽しむということがあるはずだが、それを無視して、勝つことだけにまい進してしまっている。楽しく人間性の解放につながるスポーツというものを普及させたい。

紛争のある地域同士でも、スポーツで競い合い、相互理解が進み、友情が深められることがある。オリンピックはその中心にある。

2.  子どもの体力低下について

(1) 現状と背景

テレビの影響などもあってスポーツ活動が不足しているということだが、遊び場がなくなっていることがその原因なのだろう。

子どもの体力については、低下だけでなく、まっすぐ走れない子どももいる。その一方で、個人で室内でもできるボールリフティングは結構できたりする。小学校高学年など発達段階における運動体験が体力に影響していると思われるので、そのあたりも含め、体力の問題、運動能力の問題を考えていくべき。

ウォーキング、マラソンなどの大会には高齢者の方の参加が多い。一方で子ども連れは少ない現状がある。

朝食を食べさせてもらえる子、もらえない子、体力のある子とない子といった二極化がおきている。

経済格差が学力だけでなく体力にもあらわれている。高校の卒業生にこれまで頑張ってきたことを尋ねると、多くの子が中学校の部活と受験をあげる。その部活の加入率が高校で40パーセント台と落ちており、体力の格差のみならず、体験量の格差が生じている。

(2) スポーツ・体験活動の効果等

スポーツのメリットをPRした方がよい。体力をつけることで、学力が伸びるということが明らかになれば、親はとびつくだろう。

子どものころに運動をしなかった子どもは大人になって運動をするのか、子どものころに本を読まなかった子どもは、将来、本を読むようになるかなど、一人の人間の活動経験と生涯にわたる興味や生活習慣の関係について研究が必要と考える。

知育への偏重があるが、それゆえの体力低下ではないか。運動は脳を育てる上でも重要である。

スポーツや自然体験活動が人間形成にどのように関わるのかといった研究が必要と考える。

学校と学校外をつなぐこととして、通学路の調査をしてはどうか。市町村合併をすると通学路が広域になり、通学にバスなどを使うことがあるが、歩く体験がどう子どもの体力に影響するのか。歩く歩数の違いや運動量についてデータをとる必要がある。

動き回ることで人間は健全なコミュニケーションを身につけていく。また、昔から健全な身体に健全な心が宿ると言われているが、心の問題をスポーツという観点と合わせて考えていければと思う。

スポーツでは人間関係など様々なことが学べる。

スポーツの振興は心の育成のためにも役に立つ。スポーツを通じてコミュニケーション能力を高めたり、忍耐力や自立心を培い、健全育成を推進することで、いじめ問題の解決策にもなる。

チャンピオンスポーツも人づくりが大きな使命。ただ勝てばよいというものではない。子どもたちがあこがれるような選手を育てていきたい。柔道フェスティバルでは、子どもたちに対してあいさつをしっかり行い、いじめをやめようといったメッセージを送るような活動をしているが、まずは大人がそれを実践して子どもに教えていくようにしないといけない。

子どものときに学ぶ、身につける遊びやスポーツが生涯を律するものになるが、それが今欠落している。規制ということでナイフなどを取り上げるのではなく、その使い方を含めて倫理観をしっかりと教えることが大事である。

スポーツは教育の一つであると思うが、スポーツが教育になっていない一番の原点は、玉入れなどでも勝ち負けをつくらないようになっている幼稚園にある。勝ち負けの中から、喜びや悔しさ、あるいは勝った者を称えることを学ぶことができる。

スポーツは医療費削減にも寄与できると思う。

人間として本来持っている原始的な力を取り戻すためには、運動しかない。地域の力も借りて、身体を動かすことができる体制をとる必要がある。

3.  スポーツの振興・体力の向上に向けた取組方策について

(1) 生活習慣の改善

体力を奪っているのは生活様式だと思う。大人も含めた生活のあり方が確立しないと体力の問題は解決しない。

親はスポーツの成績が良いからといって喜ぶことは少ない。スポーツや自然体験の重要性について親への理解を進めることが必要。

子どもを見ていると学力も体力も落ちてきている。これは、ご飯を食べることなど小さいときからの当たり前の体験ができていないからだろう。学力の問題についても、まずは子どもたちに体力を付けさせることが重要と考える。

昔、薩摩では「山坂達者化運動」という取組を町ぐるみで行っていたと聞く。今、「早寝早起き朝ごはん運動」が普及してきたが、こういった形で地域運動をおこしていきたいと思っている。

体力の問題については、IT技術の進展などによりパソコンと向き合う時間が増えるなど環境の変化があるので、生活の改善が必要である。

(2) 環境の整備

中学校、高等学校で部活に入らないとスポーツをしなくなる。遊べる程度のスポーツが数多く出来るような一般の人向けの施設が必要である。

子どもたちの好奇心や興味、希望をある程度実行できる環境を整備していくことが、スポーツの振興にも倫理観の確立にもなると思う。親子関係の環境の整備など、何らかの形で補助できる体制を整備しなければならない。

スポーツを楽しみながら体を動かせる環境をつくりたい。

(3) 学校の役割

学校と学校外の望ましい関係をどう作っていくか。特に学校外の在り方を検討していく必要がある。

子どもがスポーツを通して人間関係などを学ぶためには、部活動が一番良いと思う。総合型スポーツクラブができることはよいが、市町村合併で自治体が広域化し、集まることが大変な地域もある。

部活動の位置づけが明確でないまま部活の指導についての指示があり、現場では混乱する。よりよい環境の中で、指導する者、運動する者が楽しく部活ができるようにしてほしい。

運動部活動が健全育成に果たす役割は大きいが、学習指導要領に明確な位置づけがなく、その点が学校現場で実際に部活動を進めていくに当たっての厳しいと現実である。

学校外の活動の充実は大事だが、日本では学校スポーツとして導入され、発展してきたので、欧米のような地域スポーツクラブの育成は進めにくい。地域スポーツクラブなどが機能するようになるまでは、学校体育を大事にしていく必要がある。教職員の労働条件の問題も絡んで、部活を社会体育へという雰囲気の時期があり、中学校の部活動が低調になったことがあるが、その10年後に校内暴力が本格化したという事実を指摘しておきたい。

(4) 競技者との交流

文科省がオリンピック選手の学校への派遣事業(スポーツ選手ふれあい指導事業)を行っているが、実際に現場に行った選手の声を反映したり、選手たちが主体的にイベントを考えたりすることができるようするなど、この事業をさらに充実させていってほしい。地域の人々、学校の先生などと生徒との関わりの中で互いに向き合うことが必要である。

最近は子どもが遊びに飢えている。グラウンドでの遊び方も知らない、器用でないなどのこともあり、様々な体験をさせることが重要である。親子、地域、大人が分かってあげて向き合ってあげることが重要であり、そのためにオリンピック選手も活用していきたい。

トップアスリートが教育現場にもっと来て、子どもたちが夢を持てるようにして欲しい。

4.  スポーツ予算について

財政赤字の問題もあり、何事も効率的に行うことが求められているが、お金を使わなくてもできることはスポーツなどでもあり、そういった視点が大事だと考えている。

スポーツ振興くじについては今後どうしていくのか。今の状態は不十分。抜本的検討が必要ではないか。

現在のtoto(トト)について、売上が減少し、助成財源が確保できなくなるのは深刻な問題。売上向上も必要だが、払戻金の割合を下げることなども検討してはどうか。

toto(トト)について、ワールドカップも対象としてはどうかと考えている。

toto(トト)について、47都道府県にある体育協会等とも協力して、助成金を受け取る競技団体にも協力を要請するなど、もっと興味を持っていただけるように宣伝していかないといけない。

5.  企業スポーツについて

企業スポーツについて、プロ化が進む中で、そのあり方が難しくなっているが、企業には人もいるし、様々な施設も持っている。こういうものを地域と一体となって活性化していけるのではないか。仕事が忙しすぎて、地域での貢献ができないという問題もあるので、ワークライフバランスなどについて国の旗振りが重要である。

6.  体験活動の充実について

スイスでは地域ごとに2週間のスキー休暇というのをとることができるので、混雑を避けて平日に親子でスキーを楽しんでいた。日本でも地域の実情に応じてこういった取り組みが行われればいい。

休みがゴールデンウィークなどに集中して混雑するためか、体験活動などに出かける機会が減っていると思う。フロリダでは、必要な時間を選んで授業を受け、親の都合に合わせて学校を休んで体験活動を行うことができるが、こうした柔軟さがあってもよいのではないか。

自然体験が少ないと言う割には、大人が自然を奪っているなどの現実もある。けがをしても知らないというくらい自由にさせたほうが良い。

ガールスカウト活動は、性教育の問題などにも対応することができ、効用が大きいので、是非支援を充実させて欲しい。


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