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スポーツ振興小委員会(第3回)議事要旨

1. 日時
  平成18年5月31日(水曜日)15時〜17時

2. 場所
  丸の内東京會舘11階「ゴールドルーム」

3. 議題
 
(1) 関係団体からの意見発表について
財団法人日本プロスポーツ協会
社団法人日本プロサッカーリーグ
株式会社アルビレックス新潟
ミズノ株式会社
(NPO)ジュース(スポーツに関わる女性を支援する会)
財団法人日本障害者スポーツ協会
(2) その他

4. 出席者
 
  衛藤委員長、浅見委員長代理、角田委員、増田委員、雨宮委員、伊藤委員、上村委員、梅田委員、緒方委員、北村委員、三浦委員、三木委員、村上委員
(文部科学省) 西阪スポーツ・青少年総括官、石野企画・体育課長、篠崎生涯スポーツ課長、小見競技スポーツ課長、嶋倉企画・体育課室長、坂元競技スポーツ課企画官

5. 議事
 
(1) 関係団体からの意見発表について
   財団法人日本プロスポーツ協会の赤木委員長、社団法人日本プロサッカーリーグの鈴木チェアマン、株式会社アルビレックス新潟の池田代表取締役会長、ミズノ株式会社の上治専務取締役、(NPO)ジュースの小笠原理事長より、それぞれ資料に基づき又は口頭にて、概ね以下のとおり意見発表があった。

[財団法人日本プロスポーツ協会からの発表
 日本プロスポーツ協会は、スポーツ振興基本計画中の、「プロスポーツの競技者等の技術指導等を通じた社会貢献活動の促進」と「プロスポーツ団体と競技団体等の連携の強化」について、具体化する立場にある。
 前者については、「プロスポーツ有効活用事業」を実施している。この事業は、プロスポーツ選手が、アマチュア競技者や一般のスポーツ愛好家を指導するための基礎的及び専門的な指導力の養成やマネジメント能力の養成を行うことにより、会社経営等の自営や高度な専門性を有するスポーツ指導者などへの活用の機会を創出しようとするものである。協会では、財団法人日本体育協会の認定資格制度と協働する形の「プロスポーツ指導者制度」の創設を検討している。
 また、日本雇用創出機構と提携して、「キャリアサポートセンター」を本年4月に開設した。これは、プロスポーツ選手の「パフォーマンスの向上とライフスキルの向上」を支援することにより、スポーツ選手の地位向上とスポーツ界の発展に寄与することを目的としており、スポーツ選手のネクストステージのため、警察官などの公務員試験や農業就労のための技術獲得の支援などを、登録した傘下の団体構成員に対して行うものである。

[社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)からの発表]
 Jリーグは、地域にスポーツを根付かせ、スポーツを通じた地域の活性化を図り、人々を豊かにしようとする「Jリーグ百年構想」を持っている。スポーツの中でもサッカーは、スポーツの性質上、他のスポーツにない独特のものを持っており、現にドイツや南米などでも、主要なサッカーチームの周りでスポーツ振興が行われている。将来的には、日本全国にサッカーチームをつくり、各チームの周りでいろいろなスポーツを振興するようにしたい。スポーツを通じたコミュニティの形成が目標である。Jリーグとしては、収入が増えれば、他のスポーツにも手がけていきたいと考えている。プロスポーツについては、チームの指導者くらいは、各チームで抱えられるようになると良いと思う。
 スポーツ振興基本計画の見直しに当たっては、次の3点を提言したい。
  1  将来にわたって活用できる施設の整備
今の全国のスポーツ施設を見ると、国体仕様となっているが無駄が多い。できればサッカー場にして欲しい。
2  スポーツ施設の使用料のプロアマ均一化
プロは、周りの人に満足を与えなければならない。沢山の人に喜びを与え、社会的な影響力を持っているため、考慮して欲しい。
3  学校の校庭で子どもに遊びを
昔は子どもが校庭で遊ぶことにより対人関係を身につけていたが、今は、事件が起こるたびに過剰に反応し過ぎて、親が送り迎えをしているような状況。Jリーグアカデミーでは、幼稚園の子どもに遊び(スポーツとは言わない)を教えることをやっている。

[株式会社アルビレックス新潟からの発表]
 アルビレックス新潟は、大企業に頼らずに地域に浸透し、活動しているJリーグの代表的なチームである。地域に密着した幅広い活動を行っており、1普及(大会の実施、指導者派遣、サッカー教室の開催、保育園への巡回指導等)、2人材育成(直営サッカースクールの運営、日本代表選手の輩出等)、3国際交流(各種国際交流試合、ユースチームの海外派遣等)、4エンターテイメント(地元住民の無料招待など地元密着チームの存在による愛郷心の高揚)、5ボランティア(プロ選手の障害者施設への慰問、球場ゴミ0運動等)、6地域総合型スポーツクラブ(各種スポーツの設立等)のほか、新潟県内の小中学生の総合的な学習の受け入れも行っている。
 スポーツ振興基本計画の見直しに当たっては、次のような意見を述べたい。
(1) 国、自治体などが取り組むべき課題
 
1  スポーツエンターテイメント施設と社会体育スポーツ施設の分化
2  使用する公共施設の料金優遇
3  小学校・中学校・高等学校の施設開放
4  小学校・中学校・高等学校のグラウンドの芝生化
5  実業団チームから地域密着型クラブチームへ転換するための受け皿作りへの支援

(2) スポーツ団体などが取り組むべき課題
 
1  トップアスリート達のプロ化
2  プロが持つ選手育成ノウハウ(コーチ・競技指導者・医療技術者・アスレチックトレーナー・栄養技術者等による)をジュニアで活かすサポート体制の構築
3  総合型スポーツクラブの育成の理解とマネジメント力の向上

[ミズノ株式会社からの発表]
 ミズノは、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」を経営理念としており、「ミズノスポーツ財団」「ミズノ国際スポーツ交流財団」2つの財団を設立して、1自治体に対する運営強化のための資金援助、2優秀指導者への表彰制度(ミズノメントール賞)、3スポーツに関するフィクション、ノンフィクション著者に対する表彰(ミズノライター賞)、4学術スポーツ医学に対する研究助成など、スポーツの振興に関する事業を行っている。
 また、社員選手を有しており、会社負担による明確な条件の下で業務としての選手活動を行わせている。選手は、経済的不安なく、引退後もこれまでの実績評価も含め安心して競技に専念、集中できる環境を整えている。
 現状の問題点としては、企業がチームスポーツを支援する際には全日本選手権、全日本実業団、各競技団体リーグ戦での優勝を狙うか、オリンピックをはじめとする国際大会に選手を派遣することを取るかの選択の問題(ミズノは後者を取っている。後者はマスコミへの企業名の露出度が低い等の問題あり)がある。また、語学力教育などを含めた総合的な国際競技力の向上方策の必要性、選手の肖像権の問題、指導者の処遇の問題などがあるが、次の点については、国・行政に要望したい。
  1  マスコミが取り上げない又は国際レベルの低い競技種目への優遇処置制度の創設(企業側はメリットが見出せないため取り組まない)
2  世界ランキング30〜40位の選手へのバックアップ(競技に専念できればオリンピック等でメダルに期待が持てる)
3  企業スポーツ選手の労災認定の取扱について、関係省庁への働きかけ
4  ドーピング問題への取組

[(NPO)ジュースからの発表]
 NPO法人ジュースは、スポーツに関わる女性を支援する会として、日本国内NPO第1号として発足した。Education,Leadership,Coordination,Networking,Participation,の5つの使命に基づき、女性とスポーツに関わる様々な支援・啓発活動に取り組んでいる。女性とスポーツ関しては、1994年に開催された「第1回女性スポーツ会議」を契機として国際的に様々なムーブメントが形成されつつある段階であり、まだまだ歴史は浅いが、本年5月には、熊本で「世界女性スポーツ会議くまもと」を開催し大成功を収めた。次の点について要望をしたい。
  1  子育て期のスポーツ参加率の拡大
(子育て期に参加しやすいプログラムの普及、スポーツ施設の託児機能の充実)
2  少女のスポーツ参加の促進
(少女が求める体育・運動部活動の展開、女子児童・生徒の身体感覚づくり、学校体育・スポーツに携わる教員・指導者の資質向上)
3  女性の国際競技力の維持、向上
(女性アスリートのキャリアサポートの充実、女性コーチ、審判、トレーナー等の積極的な育成、ナショナルトレーニングセンターの女性への配慮)
4  女性スポーツ振興の実現に向けて
(スポーツ競技団体における女性役員比率の増大、女性スポーツボランティアの育成・活用、スポーツ団体・健康づくり団体とのネットワーク促進、女性の参加しやすい総合型地域スポーツクラブの育成)

 財団法人日本障害者スポーツ協会からの意見について、資料に基づき、文部科学省の水田スポーツ振興基本計画専門官より、概ね以下のとおり、代理で説明があった。

[財団法人日本障害者スポーツ協会からの発表]
 同財団は、我が国の障害者のスポーツの普及・振興を図ることを目的とした、厚生労働省所管の財団法人で、大会の開催や指導者の養成などの活動を行っている。平成11年に日本パラリンピック委員会を創設、平成12年に財団法人日本体育協会へ加盟、平成15年には特定公益増進法人に指定されている。主な意見は次のとおり。
 「スポーツの意義」の記述について、障害者にとっての重要性や、障害者も概念上対象とされていることについて明記して欲しい。
 生涯スポーツの部分について、「国民の誰もが」という記述では、障害者も含まれているかどうかがわかりにくくいため、「性別、年齢や障害の有無にかかわらず」という文言を追加して欲しい。
 競技スポーツの部分については、「パラリンピックに対する支援」という項目以外は障害者スポーツが対象とされていないので記述して欲しい。

 関係団体からの発表等につき質疑応答・意見交換が行われた。
 (以下、○:発表者、△:委員)
[質疑応答・意見交換]
委員  女性とスポーツについては、データを元に説明いただき、現状が理解できた。どのような表現を使うかはわからないが、「女性とスポーツ」について声を上げる必要があると思う。

委員  今の子どもは確かに遊びが少ない。現在様々な事件が問題となっているなか、事件を起こす人は、子どもの時に遊んでいないと思う。しかし、なぜサッカーだけ他のスポーツと異なり、特別なものがあるとの説明があったが、それはどういうものか。

発表者  サッカーには独特のものがあり、スポーツをしない人が見てスポーツをするようになるし、サッカーチームを好きになると、違った価値観を持つようになる。

委員  スポーツ振興基本計画策定時は、かえって性差や障害の有無ということは出さない方が良いとの考え方だった。今回は、出すべきという意見と理解してよいか。

発表者  男女共同参画基本法ができたことと同じ理屈で、目標が達成できる前の段階では、積極的に出していく必要があると思う。都道府県体協の半数以上では女性役員数が0であった。JOCの2001年以降の5年間の取組は評価したい。

委員  アルビレックス新潟は、成人・中高年のスポーツの場も作っているのか。

発表者  フットサルコートでは、家族や地域で使ってもらっている。チームができるまでは、中・高校の女子サッカーのチームはなかったが、新潟県内の高校で女子チームが出来始めた。障害者のバスケットボールのチームもできた。

委員  サッカーは一貫指導が進んでいると聞いたが現状はどうか。選手はピラミッド状になっているのか。

発表者  指導体制のモデルは財団法人日本サッカー協会でコントロールしているが、実際にはJリーグのクラブが小学校・中学校・高校のチームを持っており、各段階で上へ行くテストがある。また、中学校や高校の部活動もあり、複線化され、うまく調和できている。プロになるのは難しい。その中から他のチームのプロになる選手もいる。

発表者  新潟で一貫指導を始めようとしたら、当初は教員から反対があったが、現在は、複線型になって調和している。

委員  選手の労災の認定は時間がかかったことに驚いた。

発表者  過去のケースで労災認定の決め手となったのは、社内の出張規定で行かせていたことであった。

委員  課税対象はどうなっているのか。

発表者  スポーツ用品の商品開発については経費としてではなく、広告宣伝費に入れられることも多い。経費と広告宣伝費との間に明確な基準が無いので判断が難しいとのこと。

委員  女性については、未だに「おなごのくせに」、「女性は家庭をみていろ」という意識が残っていると思う。スポーツ少年団について言えば、活動時間帯は放課後に限られており、夕食の準備の時間帯になっており、女性が関わっていくのが難しい。男性の理解が大切であり、1つずつクリアしていきたい。

委員  Jリーグについては、遊び心を持ってサッカーをやっているところが気に入った。

委員  障害者スポーツ協会のように、女性とスポーツについても修文案を文書で出してはどうか。

委員  プロとアマが一緒に研修するのは良いことだと思う。

発表者  スポーツ振興基本計画の項目のうち、「プロスポーツの競技者等の技術指導等を通じた社会貢献活動の促進」については、文部科学省の事業もあり、良い方向に進んでいる。一方、「プロスポーツ団体と競技団体等の連携の強化」については、プロアマの交流がなかなか進まない。「プロ」というカテゴリーが団体ごとに異なることや、プロ団体が指導しようとしてもアマ団体が拒否することなどがよくあり、具体的な拡大策が必要である。

(2) 閉会
  今後の日程について事務局より説明があった後、閉会となった。
  (了)


(スポーツ・青少年局企画・体育課)

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