中央教育審議会答申「グローバル化社会の大学院教育」(平成23年1月。以下「大学院答申」という。)における,学位プログラムとして一貫した博士課程教育の確立,国内外に開かれた公正な入学者選抜に係る提言を踏まえ,大学院設置基準等の一部を改正しようとするものである。
博士課程には,前期2年と後期3年に区分する区分制博士課程と5年の一貫制博士課程が存在するが,現在,博士課程のほとんどが区分制をとっている。区分制博士課程の前期は修士課程として扱われることとされており,修士論文又は特定課題の研究成果という一定の研究成果の審査と最終試験の合格を,当該課程を修了し修士号を授与する要件として課している。
大学院答申の提言を踏まえ,専攻分野の枠を超えた体系的な教育を経て独創的な研究を遂行させるなど,博士課程の5年間を通じて一貫したプログラムを構築する観点から,「博士論文研究基礎力審査」(専攻分野に関する高度の知識・能力及び関連分野の基礎的素養に関する試験並びに博士論文に係る研究を主体的に遂行するために必要な能力に関する審査)の合格を,修士論文又は特定課題の研究成果の審査と試験の合格に代えて前期の課程を修了し修士号を授与する要件として課すことができるよう,関係規則の改正を行う。
1.大学院設置基準の改正
博士課程の前期の課程を修了し修士号を授与する要件について,博士論文研究基礎力審査の合格を,修士論文又は特定課題の研究成果の審査と試験の合格に代えることができることとする。
2.学位規則の改正
一貫制博士課程における修士号授与について,博士論文研究基礎力審査の合格によって博士課程の前期の課程の修了要件を満たした者に対しても行うことができることとする。
3.学校教育法施行規則の改正
博士課程の後期の課程の入学資格について,外国において博士論文研究基礎力審査に相当する審査により,修士の学位を有する者と同等以上と認められた者に後期の課程の入学資格を付与することとする。
入学者選抜に関しては,平成15年に大学設置基準において「入学者の選抜は,公正かつ妥当な方法により,適当な体制を整えて行うものとする」(第2条の2)の規定が追加された。一方で,大学院設置基準には同様の規定がなく,「大学院入学者選抜実施要項」を通知で示すにとどまっている。
大学院答申は,国内外から優れた学生を獲得するため,各大学院において入学者受入方針を明示するとともに,十分な基礎知識と多様な能力や意欲,将来性を見極める公正な入学者選抜を行う必要がある旨指摘しており,大学院についても,大学と同様の規定を整備するため,大学院設置基準を改正し,大学院における入学者の選抜は,公正かつ妥当な方法により,適当な体制を整えて行うものとするとの規定を設ける。
この改正は,公布の日から施行するものとすること。
高等教育局大学振興課大学院係
-- 登録:平成23年12月 --