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「『留学生30万人計画』の骨子」とりまとめの考え方

平成20年4月25日

1.「留学生30万人計画」の意義と期間

日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト・モノ・カネ・情報の流れを拡大する「グローバル戦略」展開の一環として位置付け、2020年を目途に30万人を目指す。

 第169回国会における福田内閣総理大臣施政方針演説:「新たに日本への『留学生30万人計画』を策定し、実施に移すとともに、産学官連携による海外の優秀な人材の大学院・企業への受入れの拡大を進めます。」を受け、我が国の留学生政策を抜本的に見直すとともに、以下のとおりその意義を再整理し、明確化することが重要である。あわせて、その達成すべき時期については、「2020年を目途に30万人を目指す。」とすることが適当である。

(1)「留学生30万人計画」の意義

1. 我が国や我が国の大学等にとっての留学生交流の意義

1) 我が国にとっての留学生交流の意義
  • 我が国の科学技術、産業等の国際競争力の維持・向上
  • 我が国の経済活動の担い手として、労働市場に(優秀な)人材を確保
  • 発展途上国出身の学生を受入れ、高等教育を受ける機会を提供し、人材育成を通じた国際貢献を実施
  • 我が国と留学生の出身国・地域との国際親善の強化
  • 我が国と諸外国との間の人的ネットワークの形成により、相互理解と友好関係が深化し、世界の安定と平和に資する
  • 留学生を通じた日本語、日本文化等「日本」の魅力の普及、海外における我が国の理解者、支援者の育成
  • 留学生という若者の活力が少子高齢化を迎えた我が国又は地域を活性化
2) 我が国の大学等における留学生交流の意義
  • 大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校)の国際的な通用性・共通性を向上し、国際競争力を強化
  • 大学等の教育研究や国際的評価の向上
  • 知的国際貢献の実現
  • 国際的学術ネットワークの確立・進展
  • 少子化に対応した経営安定化
  • 日本人学生の国際理解増進や異文化体験、語学力向上
  • キャンパスの国際的な環境の創出

2. 留学生の視点から見た日本留学の魅力と条件(日本留学への動機付け)

1) 国としての魅力

 外国人の受容に寛大で共生が可能な国際的に開かれた国であること、文化的な魅力、卒業後のキャリアチャンスに富む国であることなどが、外国人が日本をその留学先として選択する大きな要素となる。

2) 高等教育機関の魅力

 入学しようとする高等教育機関の魅力は留学を動機付ける最も大きな要素である。高等教育機関の教育研究の世界的通用性は重要な要素であり、加えて、将来のキャリアパスの可能性などが留学先選択の判断材料となる。

 
3) 留学にかかる費用

 教育研究の質のみならず、授業料や生活費など留学にかかる費用の多寡も、留学先を決める上で重要な要素である。一方で、学資を得る手段としての奨学金の措置の有無やアルバイトの可否なども重要である。

4) 受入環境

 留学生は大学等に在学すると同時に我が国における生活者となる。留学生にとって、安価で安心して入居できる宿舎の措置や大学等内の受入れ体制の確立、交通事情、さらには治安、保健衛生といった直接教育研究には関わらない生活上の環境整備の充実度も重要な要素である。

5) 留学のし易さ

 せっかく日本を留学先として希望しても、受入れ大学等の対応が不適切であったり、大学等の情報そのものが不十分だったり、入学する際の試験制度や認証制度が未整備では、留学の意欲を削ぐことになりかねず、また、過度に厳格・煩雑な入国手続きは、結果として日本留学が敬遠されることになりかねない。さらに、日本語で困ることのないよう、事前の日本語教育への配慮の有無や、英語等外国語による授業の実施の有無も重要な要素である。

3. 諸外国から見た日本留学の意義

 諸外国では、自国の将来のリーダーの育成、国内の要請に基づく特定分野の人材育成、高度な教育研究の追究、国際経験の涵養や語学力の向上、などの目的で自国の若者を海外に留学させている例が見られる。
「留学生30万人計画」を進めるにあたって、このような、送り出し国としての諸外国の視点も十分に考慮する必要である。諸外国の留学生政策は、とりも直さず我が国留学生交流政策と呼応するものであるという認識は重要である。

(2)「留学生30万人計画」の期間

 いわゆる「留学生受入れ10万人計画」が策定された昭和58年から、それが達成された平成15年までに至る留学生数の伸びは決して平坦なものではなく、ついては、今後30万人を達成するまでの道筋を明確に予測することは難しいが、我が国にとって、「留学生30万人計画」をより積極的に内外にアピールしていく観点から、その達成時期について、「2020年を目途に30万人を目指す」とすることが適当である。

2.優れた資質を有する留学生を下記に留意しつつ戦略的に獲得

<<例>>
○ 欧米先進諸国との戦略的な分野の共同・連携
○ アセアン諸国、東アジア諸国の大学間との共同・連携
○ 中東、アフリカ諸国などの人材養成への積極的な貢献など
→ 大学院を中心とした共同学位、短期交流も積極的に推進

(1)戦略的な留学生の獲得

1. 国・地域

 今後も多くの留学生を世界各国に送り出すとされるアジア諸国に加えて、高等教育に対する需要が高まると見込まれるアフリカ諸国、これまでの交流実績が少ない中東や南米諸国といった多様な国々との交流に留意する必要がある。
 とりわけ、欧米先進諸国とは先端科学技術など国際競争力の強化につながる戦略的な分野の共同・連携を、また、アセアン諸国をはじめとするアジア地域については、例えばUMAPなど大学等間の共同・連携を充実させるなど域内協力を進めることが重要である。
 また、アフリカ諸国等開発途上国の人材養成については、経済社会や科学技術、高等教育機関の整備状況によって、留学生交流の形態には差異があることに着目し、それぞれの国の特性にあった交流形態を模索する必要がある。

2. 留学期間(長期・短期)・目的

 先進諸国の大学を中心として、母国の大学に在学しながら、ダブルディグリーなどの共同学位プログラム、大学間交流協定に基づく単位互換、語学学習や教養的な内容の1年以下の短期留学が今後拡大していくと見込まれることに留意する必要がある。

3. 戦略的な目標値の設定

 戦略的な対応が求められる地域や分野等に係る目標値の設定について検討することに留意する必要がある。

(2)戦略的に留学生を受け入れるための留意点

1. 留学生の定義

 現在の「留学生」の定義は、「出入国管理及び難民認定法」別表1に定める「留学」の在留資格により、我が国の高等教育機関(大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校)に在籍する外国人学生を指す。
 我が国では、日本語教育機関に在籍する外国人学生の在留資格は「就学」であって、「留学」と区別されているが、諸外国の中には、語学学習機関に在留する外国人学生も留学生としてカウントしている国も見られ、留学生の定義は一定ではない。
 このため、「留学生30万人計画」が意図する留学生の対象範囲について検討し明確にする必要がある。

2. 対象学種、分野

 特に、大学院への留学生については、近年増加傾向にあることや、優秀な人材の大学院への受入れを重視する立場からも、一層留意していく必要がある。また、全学生数に占める留学生の割合は全体では3.3%(平成19年度)であるものの、博士課程では、15.7%、修士課程でも9.4%と、高率になっていること、専攻分野別に見た場合に、特に博士課程では、理学、工学、農学、保健といった自然科学系の割合が6割以上を占めていることから、学部レベルと博士課程、修士課程等を区別した目標の策定が必要である。
 同様に、学部、短大、高専、専門学校についても、それぞれの特性に応じて見通しを分析することが必要である。
 アニメ、マンガ、ゲーム、ファッションなど日本のポップカルチャーへの関心の高まりが日本留学の大きな動機付けとなっていることも認識することが必要である。

3.留学生を引き付けるような魅力ある大学づくりと受入れ体制

(1) 優れた留学生獲得に向けたインセンティブの付与-日本の大学のグローバル化-
 ◇ カリキュラム、使用言語
  《例》世界的な卓越した教育研究拠点を目指す大学院研究科等にあっては、英語のみによる指導で学位取得を可能に
 ◇ 大学等の支援体制・・・専門部局や専門教職員の配置など
(2) 留学生にとって安心で魅力ある受入れ体制等の整備
 ◇ 奨学金、宿舎整備、生活相談、卒業後のフォローアップ、情報提供など
(3) 海外も含めた日本語教育の充実

 「留学生30万人計画」達成のため、大学等の受入れ体制に関し、当面、緊急に取り組むべき課題については以下のことが考えられる。

(1)優れた留学生獲得に向けたインセンティブの付与
-日本の大学のグローバル化-

 

 国際競争が激化する中、高等教育のグローバル化が急務となっている。日本の大学等が国際的に高い評価を受け、国際的に魅力のある教育研究拠点となることを目指すとともに、優れた教育研究の展開により世界的な通用性を向上させるなど、我が国の大学等が将来をにらんで変わっていくための取組が必要である。
 そのためには、大学等の留学生を受け入れるためのインセンティブが必要であるとともに、大学等において国際的な大学等間連携の推進や英語による授業の増など魅力的なプログラムを充実することが必要である。
 また、個人に依存した受入れ体制から組織的な受入れ体制とする観点から、国際交流に関する知識・経験を有する事務職員や、学問・生活面でのケアを行う相談員の配置、英語教育などの能力開発や学内研修などを通じた教職員の資質の向上を含む学内体制の確立・整備なども必要である。

(2)留学生にとって安心で魅力ある受入れ体制等の整備

 米国や英国が国を挙げて留学生の獲得に乗り出すなど世界規模で優秀な人材の獲得競争が展開している現状を踏まえ、積極的な留学生のリクルーティングが緊急の課題である。
 そのための海外拠点の整備、我が国の大学等へのアクセスを高め、かつ優れた人材の選抜にも活用できる、現地での採用も含めた試験制度の改善・普及、英国のブリティッシュ・カウンシルのような留学を専門に取り扱う機関の創設・整備、日本留学に関する情報発信機能の強化、留学の前提となる母国での統一試験の結果を認証する制度の整備、学年暦(アカデミック・イヤー)の見直しなど、海外の優秀な人材を我が国に呼び込む手だての構築が必要である。その際、入国管理手続きとの連携が必要である。
 留学生にとって留学を成功させるためには、日本という異文化社会に一刻も早く適応する必要があり、そのため、生活者としての留学生の視点を重視することも必要である。
 呼び水的効果も期待できる奨学金については、国費外国人留学生制度や私費学習奨励費の見直しなどを図りつつ推進することが必要である。
 また、企業との連携や公的賃貸住宅の活用なども含めた留学生の宿舎の確保・整備、日本留学の満足度を高め、日本留学がすばらしかったと誇りに受け止めてもらえるような受入れ体制の整備が必要である。その際にはキメ細かな工夫をすることにも留意することが必要である。
 さらに、母国に帰国した留学生に対して、同窓会組織の整備などを通じた卒業後のフォローアップは、大学等ばかりでなく我が国にとって有益な人材ネットワークを構築し、一層の活性化をもたらすことにも配慮が必要である。

(3)海外も含めた日本語教育の充実

 留学生はまず留学する国を選択し、次に大学等を選択する傾向があることから、他国にない特色のある日本のナショナル・ブランドを確立することが必要である。
 また、アジア諸国の急速な経済成長の中で、我が国経済の活性化を図るためには、我が国の国際化の促進、文化的な魅力の発信強化、ビジネスチャンスの拡大などを通じて我が国の魅力を向上させ、人的交流を深化し、グローバル戦略を展開することが必要である。
 他方、日本と諸外国とのパートナーシップの構築にも留意が必要である。
 その上で、留学生が言葉の面で困らないよう、海外も含めた日本語教育の普及・充実を図っていくことが必要である。その際、海外の日本語教育拠点の整備も含め気軽にアクセスできる環境の整備も必要である。
 日本語教育機関に在学する就学生の多くが引き続き高等教育機関に進学することから、留学生と同様に就学生への配慮は重要であるとともに、高校生留学は、異文化理解や友好親善を促進するとともに、将来の高等教育機関への留学予備軍として、引き続き我が国の大学等に進学する可能性が大きいことから、同様に配慮が必要である。
 なお、個々の施策については、引き続きその具体策とアクションプランを検討してとりまとめていくこととする。

4.留学生にとって魅力ある社会 -日本の社会のグローバル化-

(1) 将来の魅力あるキャリアのための就職支援・雇用の促進
    <<例>>留学生の日本企業への就職の拡大
(2) 地域・企業等のコンソーシアムによる交流支援
    <<例>>地域を核にした学生交流事業、企業寄付による奨学金など

(1)将来の魅力あるキャリアのための就職支援・雇用の促進

 世界の活力を我が国のエネルギーとしていくため、我が国に留学した留学生を卒業後も積極的に取り込んでいくことが必要である。留学生は将来のキャリアビジョンを描きつつ我が国に留学していることから、戦略的に人材の需給状況を明らかにしつつ、例えば、平成18年度に卒業(修了)した留学生約32,000人のうちの3割程度の約9,400人が日本国内に就職しているが、この倍増を目指すといった、産学官連携による積極的な留学生への就職支援・雇用の促進を展開することが重要である。

(2)地域・企業等のコンソーシアムによる交流支援

 留学生交流の取組を大学等のみで行うのではなく、地域において多様な団体や企業等も含めたコンソーシアム形態での交流も、新たな留学生交流の取組として有意義と考えられる。例えば、日本のある地域において、大学等がコンソーシアムを形成し、それに地域の文化資源や地場産業も含め世界の特定地域とのローカル・トゥ・ローカルレベルの交換留学が考えられる。
 また、米国では企業が主催し、夏休みの間、世界の優秀な学生を集めたサマースクールを開催している例があるが、こうした取組を大学等のみならず日本の企業も積極的に導入することにより、一層の学生交流が進むことから、このような取組を促進することも必要である。
 さらに、企業の出資による奨学財団を通じた奨学金など、企業が留学生に対して奨学金を支給する例が見られるが、こうした企業の取組をより促進していくことも重要である。
 なお、個々の施策については、引き続きその具体策とアクションプランを検討してとりまとめていくこととする。

5.関係省庁・関係機関等の連携による有機的、総合的な推進

○ 留学生政策は我が国の外交戦略や今後の入国管理の在り方等と密接に関係
○ 民間企業や地域との連携を含めて有機的、総合的に推進
<<例>>留学生交流総合推進会議の創設など

 「留学生30万人計画」を教育政策のみならず、国家戦略としての留学生政策と位置付けて展開することが重要であり、特に、関係省庁・関係機関等とも連携して取組を進めることが必要不可欠である。
 そのうち、外交政策に関しては、短期的には、外交的要請や各国の教育事情に応じて、戦略的、機動的な対応が求められるとともに、中長期的観点からは我が国にとって安定した国際環境を構築する点を特に注視しつつ、我が国の外交戦略に則して、留学生の受入れを展開することが必要であり、他方、入国管理に関しては、真に勉学を目的とする者を入国させるなど留学生の質に留意しつつ、留学生の日本留学の意欲を削ぐことのないよう、書類や手続きの面で過度で厳格・煩雑とならないよう、入国審査について格段の配慮が求められる。
 また、卒業後も留まって日本企業に就職する留学生が増えていることから、優秀な留学生の我が国企業への受入れの拡大を進めるとともに、留学生のインターンシップの拡充など産学官連携による受入れの円滑化を図る。その際、在留資格の変更が可能となる業種が限られていることから、産業界の要請や入国管理にも留意しつつ、この在り方についても検討する必要がある。
 さらに、生活者としての留学生を地域をあげて円滑に受け入れることも重要である。留学生の地域との交流の促進、留学生との交流を通じた地域の活性化についても、留学生に関する関係学協会やNPO、ボランティア団体等も含む関係者との連携をより密接にして推進するとともに、企業等の民間奨学金の拡大や企業の社員寮の活用など、留学生への生活支援についても充実が必要である。
 そして、このような関係省庁や関係者の連携を一層促進し、国民運動に高めていくためにも、例えば留学生交流に係る全国レベルの交流推進会議のようなものを創設し、関係省庁をはじめ有識者、企業、大学等に留学生を含めた留学生交流の関係者が一堂に会する場を設定し、「留学生30万人計画」を有機的、総合的に推進する原動力にしていくといった方法も考えられる。

6.日本人の海外留学

 

 「留学生30万人計画」は、日本の大学等に留学する外国人留学生を念頭にまとめられるものであるが、海外から優秀な人材を受け入れるばかりでなく、大学等間交流の活性化や世界で活躍できる優秀な日本人の育成の観点からも、相互交流を重視すべきである。

(1)日本人学生の海外留学の意義

 日本人が海外留学をすることで、国際的な競争環境の中での国際的通用性のある人材の育成が期待できるほか、国際体験、国際理解・知識の拡大、語学力の向上など学生個人の能力や可能性を広げ、将来の可能性を豊かなものにし、留学を通じ国境を超えた幅広い人的ネットワークの形成が期待できる。
 大学等にとっても、双方向の相互交流に基づく大学等間交流の拡大やオフショアプログラム、日本語教育、日本文化の普及など日本の大学等の海外展開に活用することもできる。

(2)日本人の海外留学を促進するための方策

 奨学金の充実のほか、単位互換、ダブルディグリー等の魅力ある留学プログラムの充実、海外留学が将来の進学・就職に不利にならないような留学しやすい環境の整備、緊急時における連絡体制やセーフティネットの確立、就職時の進路指導の強化などを積極的に展開することが必要である。
 また、我が国としては、諸外国との学年暦の違いが留学を阻害しているとの指摘もあることから、大学等への秋期入学を促進することも海外留学の拡大の有効な方策として検討が必要である。
 なお、日本人の半数以上が米国に留学するなど、留学先が欧米に偏っているとの指摘があるが、相互交流の観点から、受入れ留学生の多いアジアへの留学、アジア体験についても配慮・誘導が必要である。

(3)対象学種

 学部レベルでの短期留学やダブルディグリー等の海外の大学との共同プログラムを通じた大学院生、特に博士課程在籍者の海外留学の促進にも留意すべきである。なお、他国に比べ大学院レベルの海外留学が少ないとの指摘についても配慮が必要である。

お問合せ先

高等教育局 学生支援課

-- 登録:平成21年以前 --