資料2‐3 大学分科会での検討課題に関するこれまでの主な意見等

全般的事項

  • 大学生をはじめ若者に元気や目的意識を持たせる状況をいかに作るか、高等学校以下の教育との関係にも留意が必要。
  • 中教審では、制度疲労の綻びを直すだけでなく、大所高所に立って前向きな議論を行うべき。例えば、国際的な視点で、世界のトップはなぜトップたりうるのかという分析が必要で、「世界のトップ100大学に日本から15校入ることを目標とする」くらいの目標を掲げても良いのではないか。
  • 大学分科会だけでなく、課題ごとの部会を設置して議論を深めていくべきである。
  • 将来像答申に掲げられている「12の提言」及び「中期的に取り組むべき重要施策」を着実に実現していくことが重要。その際に、改革全体の動きを注意深く見ながら全体のスケジュールを調整していく必要がある。
  • アジア諸国は高等教育を輸出産業と位置づけて積極的な展開を図っている。これに対抗していくためには、我が国も即断即決が重要である。

人材養成と社会のニーズ

  • これからの時代は多様なタイプの人材を確保することが社会にとって不可欠。産業界も一律に同じタイプの人材を求めているわけではない。
  • トップレベルの人材の育成方策とともに、ニート等への対策についても十分考えていかなければならない。一律に括ってしまっては不十分。
  • 人材の育成は、卒業後まで含めたキャリアパスを明確に見通して考えていく必要がある。
  • 全国的な教育機会の確保は重要である。各地方で知的な拠点としての大学が充実していくことが重要。
  • 出口管理の強化とともに、入学定員をどう取り扱うかという点も重要である。経営困難となる大学をいかに減らすかという観点では、国立大学と私立大学のバランスも重要。
  • 大学の機能別分化に関しては、我が国の人材の厚みを増すという視点も必要。国内での各分野の実務的リーダーの育成やニート・フリーターの再教育を視野に入れていく必要がある。

高等教育の質の保証

  • 事前規制を最小化し、自由で競争的な環境作りを進めるという点に関しては、一定の成果を得られた。今後は質の保証をどう確保していくかを考えるべき時である。
  • WTOでは人の提供するサービスが非関税障壁となってはならないという前提の下に、専門的な職業資格の国際的同等性の確保が課題となっている。
  • 質の保証について、事後評価としての認証評価を充実させていく必要がある。現状では機関別評価が先行しているが、それだけでは質を確保できるのか問題があり、分野別の評価を早急に構築する必要がある。
  • 設置認可の在り方について十分な検討が必要。大学の教員になれる資格があいまいになっている。また、事後チェックによる質保証のみでは、評価までに時間がかかり十分でない。
  • 事前規制から事後チェックへという流れに異論はないが、認証評価が機能するまでには時間がかかる。それを念頭に置いた上で、事前の設置審査でどう対応するかを考えていかなければならない。
  • 学部段階での質の保証は大きな課題で、そのためにもっとコストをかけるべき。
  • 教育の評価は難しいが重要な課題である。
  • 事前の評価の意義と役割について議論を深めるべき。事前規制から事後評価へという流れそのものは理解できるが、最近は規制緩和が行き過ぎている面もあり、申請内容からは学部や院の姿が見えにくくなっている。
  • 特区における株式会社立大学の参入は影響が大きく、今までは当たり前と思われていたものがそうではなくなってきている。特に、専任教員とは何か、主要科目の配置をどう考えるのか、教育内容の質的担保をどう考えるか等に関して十分に検討する必要がある。設置審での議論だけでは不十分でないか。
  • 自由化や規制緩和を大幅に進めた結果、制度改革は行き着くところまで来たと言え、中には改革の意図と違う「合成の誤謬」も生じているのではないか。今後は新たな制度改革を行うよりも、現状の分析・検証を十分行い、必要に応じて警告を発するという姿勢を基本とすべきではないか。

教育内容・教員組織

  • これからの大学が目指すべき方向性のうちでも、高度専門職業人養成、幅広い職業人養成、地域における生涯学習の拠点の3つが特に重要だと思う。私立大学が国立大学に、地方の大学が都市部の大学に追随するのではなく、多様性の追及を大いに奨励すべき。
  • 高等教育の機能別分化に関して、大学と専門学校が同じような教育内容・水準になっているのではないかという危機感を持って、教養教育と専門教育の中身を充実させなければならない。
  • 助教授・助手の位置づけの見直しについては、助教がしっかりと学位を持つような運用が重要。国際的通用性のためにも、若くして教授になることを可能とするなど、優秀な人材に報いる方策を考えなければならない。
  • 今後は学部と大学院との関係をどう考えるか、また、我が国がオリジナリティを持つ部分をどう育てていくかについて考える必要がある。
  • 法人化後の国・公立大学と私立大学の違いはどこにあるのかを意識して議論していくことが重要である。
  • 収容力100パーセントの時代を迎え、入学者選抜で入学者の質をコントロールすることが事実上難しくなる。入学者選抜の問題については将来像答申でもほとんど議論されていないことから、十分な検討の必要がある。
  • 学士課程の教育は重要であり、また教養教育が専門学校と大学との違いであるとされる。教養教育をどのように再編すべきかを議論しなければならない。
  • 現代社会で要求される学士課程とはどのようなものか、それを提供する大学とは何かという問題を検討することが必要。その際に、大学院、とりわけ専門職大学院をまず取り上げると、学士課程の問題点も見えやすくなるのではないか。

大学院

  • 大学院の質を考える上では、「高度な質」を維持するということと、「多様性」を確保するということの2面があることに留意すべき。
  • 大学院教育の実質化について、世界に通用するトップクラスに全ての大学院がなるわけではないので、COEをさらに充実し具体化させていく努力が必要。
  • 専門職大学院と一般の大学院の関係をどう考えるかという点も重要。職業資格に結びつかない専門職大学院は、専門学校と変わらなくなる危険性がある。
  • 専門職大学院に関しては、アカデミックな部分を担当する教員と実務家教員のバランスが重要。また、アカデミックな部分を担当する教員の質の確保が重要。
  • 専門職大学院は法科大学院、ビジネススクール、アカウンティングスクールそのほか様々なものができたが、多くの課題が出てきているので、論点や問題点を整理する必要があるのではないか。
  • 法科大学院では教育に大変な力が注がれており、既存の大学院と比べ大きく変わったが、幾つかの問題も明らかになってきている。特に、専門職大学院における教育と、学部や既存の大学院における教育との関係を精査しなければならない。分野の縦割りが強まって18歳時点の人生選択が固定化しては良くない。学生の流動性が重要だ。
  • 専門職大学院については、その学位と国際的な職業資格との同等性の確保が問題となるだろう。

高等教育財政

  • 長期的観点で我が国の高等教育にどのように資源を投入すべきかを抜本的に考え直さなければならない。
  • 経済的資源配分は極めて重要。高等教育を我が国の国家戦略の重点分野として位置づけなければならない。高等教育に対する公的資金の投入が欧米諸国の半分くらいということではいけない。まずは、これを改善しなければならない。21世紀のマクロの流れから考えると、公財政支出を増やすという議論が必要となろう。
  • 多元的なファンディングシステムをどう構築するか。高等教育は、学生だけが受益者ではなく、社会全体が受益者である。このような理解は奨学金の問題等にも関係してくる。
  • 欧米諸国並みのGDP比の実現や基盤的経費助成と競争的資源配分のバランスは大変重要である。しかし現状では基盤的経費が縮小傾向にあり、機能別分化の中で質の高い教育を進めていくことが難しくなりつつある。
  • 大学がインフラを整備できるように基盤的経費を充実させることが重要。我が国の高等教育のアフォーダビリティ(供給の受けやすさ)は主要16か国中で最も低いというデータもある。フローとしての競争的資金も重要だが、ストックの形成を十分考えていく必要がある。

学生支援

  • 奨学金をはじめとする学生支援方策の充実の問題は極めて重要である。近年、低所得者の進学率は上昇しているにもかかわらず、十分な手当てがなされていない。入学が決定した後に奨学金の交付が決まるという形態では、実質的な学習機会の確保には結びつかないのではないか。
  • 奨学金には、現在でも財政投融資の資金が投入されているが、貸し付けた奨学金の回収コストをいかに下げるかと言う点も課題である。
  • 奨学金等の個人支援の充実も含めて、多元的なファンディングシステムの構築を急ぐべき。
  • ニートやフリーターの問題が大きく注目されていることからも、学生支援に関する議論を行うべき。特に学生の就職支援についての検討が必要である。その面からも、大学は地域社会や産業界との関係を強化することが期待される。

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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