資料3 「我が国の高等教育の将来像(審議の概要)」に関する意見(社団法人 経済同友会)
2004年11月4日
社団法人 経済同友会
教育の将来ビジョンを考える委員会
委員長 浦野 光人
1.高等教育に関する基本的考え方-経済同友会の提言に基づいて-
「大学のあるべき姿」に関する提言キーワード:
- 「個性ある大学」
- 「多様性と開かれた交流に満ちた大学」
- 「学ぶ意欲と能力に応える大学」
- 「開かれた競争社会としての大学」
採用に関する経営者の意識、企業の行動:
「企業の採用と教育・人材育成に関するアンケート調査(2003年1月)」
Q.現在の日本の学校教育による人材育成の満足度
- どちらかと言えば不満 49.1%
- 非常に不満 37.2%
Q.どの段階の教育に不満か?
- 小学校 33.7%
- 中学校 14.2%
- 高等学校 13.0%

大学 36.4%
Q. 現在の若者に不足していると思われるものは?(複数回答)
- 忍耐力 73.8%
- 問題解決能力 54.6%
- 課題発見能力 46.2%
※ 以下、「チャレンジ精神」「責任感」「論理的思考力」 等
Q.ビジネスの基礎・基本能力として、今後必要になるものは?(複数回答)
- 問題を発見する力 73.0%
- 論理的に考える力 69.9%
- 行動力・実行力 69.4%
- 語学力 66.8%
- 常に新しい知識・経験・学力を身につけようとする力 65.2%
アンケートから明らかになった企業の新卒採用のあり方
- 新卒者採用の選考方法・基準で一番重視するのは「面接の結果」
- 「出身校」の重要度は極めて低い
- 「熱意・意欲」、「行動力・実行力」、「協調性」が重視される
- 80%以上の企業が、インターネットを通じての採用を導入
- 採用時の出身校不問は、32%(部分採用も含め)
- インターンシップ制度の導入は、52%
2.これからの高等教育への期待
今後期待される人材とは:
- 自ら課題を発見し、考え、行動する人
(洞察力・質問力・判断力・論理性・創造力・行動力)
- 得意分野を持った人 (基礎スキル+個性、得意技、能力)
- 自ら動機付けできる人(職業観・人生観、社会認識、積極性、向上心)
- 国際社会で活き活きと活躍できる人(語学力、自己表現力、歴史・文化理解)
↓
以上を基礎に、これからの国際社会で活躍する多様・多彩な人材の輩出を!
これからの社会の流れと大学改革の方向性:
社会変化の方向性は・・・
- 「官から民へ」、「国から地方へ」 → 自由な競争社会
- 社会の多様性(価値観、ライフスタイル、働き方等)
- グローバル化、ボーダーレス化の更なる進展
- 情報化、サービス産業化
- 少子高齢化の進行
↓
大学改革の方向性は・・・
- 規制緩和、現場への権限委譲
- 社会の実態とニーズに対応する環境作り(国際化、多様化)
- 大学の多様化・個性化と学習者への幅広い選択肢の提供
- 生産性、創造性の高い、多様な人材の育成
3.中央教育審議会における検討への期待と意見
高等教育(高校後の教育課程)の全体像と大学の役割の明確化を!
- 社会の変化、方向性に即した高等教育のあるべき姿とは?
- 特に「大学」の果たすべき役割は何か?
(cf.大学院・専門職大学院・専門学校・短期大学)
- ユニバーサルアクセスに関する考え方
現場(大学等)と学習者の努力・自己責任を改革の基本に!
- 高等教育に関する国の役割は最低限にとどめ、できる限り現場の自助努力を促す
- P7:「高等教育計画の策定と各種規制」の時代から「将来像の提示と政策誘導」の時代への移行
- P31:「国の今後の役割は、1.制度的枠組みの設定、2.将来像の提示、3.質の保証システムの整備、4.大学・社会・学習者に対する情報提供、5.財政支援等が中心となろう」
- 現場(大学等)は、それぞれの特化すべき機能、輩出する人材の姿などを具体的に提示、個性と強みを活かし、学習者に対する責任を重視して経営にあたる。
- 学習者は自らの人生観、職業観、興味、関心、目標等を自覚し、自らの責任で主体的に進路選択する。
個性化・多様化による「選ばれる大学」づくりの促進を!
- 大学は横並びの姿勢を脱し、自らの歴史、伝統、社会のニーズ等に勘案して、「UI(ユニバーシティ・アイデンティティ)を再構築すべき。
- 米国の例:
- “Research University”--最先端の研究拠点、研究者育成
- “State University”--総合大学、高等教育の「量」を担保
- “Private College”--基礎教養に特化、エリート養成
- “Community College”--「アクセス」の担保
- “Professional Schools”--専門職養成
- 大学の個性、機能分化を促進し、根付かせるものは、社会や市場からの評価。
旧来的な「行政指導」であってはならない
情報公開・第三者評価、「淘汰」の仕組み造りを
- 「目的管理」的手法のみならず、客観的第三者評価の活用を
- 評価、実績と連動させた形での予算措置を
以上