1.基本的事項

  • 高等教育機関が今後の我が国において果たすべき役割について
  • その中で、今後の大学が果たすべき役割について
  • 高等教育は、中等教育後の様々な学習機会の中にあってその中核をなすものであるとともに、21世紀の「知識基盤社会」においては、個人の自己実現(人格の完成)の上でも社会・経済の発展や国際競争力の確保の上でも極めて重要である。
  • 学術研究の高度化、学習需要の多様化、社会の価値観の変化、国際化・情報化の進展等の中で高等教育が今後ともその役割を十分に果たすためには、各高等教育機関が競争的環境の中でそれぞれの個性・特色を明確にし、全体として多様な発展を遂げていくことが必要である。
  • 新しい時代にふさわしい高等教育の位置づけに関し、社会人受入れの推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も視野に入れていく必要がある。
  • 大学は将来の全人格的な発展の基礎を培うためのものであり、技能や知識の習得のみを目的とするのではないという大学教育の基本的特性を明確にすべきである。また、大学教育としての共通のコア部分の整理などを通じて、「大学とは何か」ということも明確化すべきである。
  • 「大学とは何か」を考える上で、学校教育法第52条に規定する大学の目的の単一性と実際の大学の多様性との関係をどう整理するかが重要となる。
  • 大学は、学術の中心として深く真理を探求し専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを本質とするものであり、その活動を十全に保障するため、伝統的に一定の自主性・自律性が承認されていることが基本的な特質である。
  • 大学は、学術研究の推進や高度な人材の養成を通じて歴史的普遍性や国際性を志向するものであるとともに、時間的場所的な諸条件を限定された一個の社会的な存在でもある。したがって、大学についてはその自主性の尊重が本質的要請であると同時に、大学には自律的に時代や社会の期待に応えていく姿勢が求められる。
  • 19世紀ドイツ以来の「フンボルト的大学観」は我が国の大学の在り方に大きな影響を与えてきたが、大学人を第一義的に研究者であると自己規定し、最高の教育を自己の研究成果の披瀝であるとする考え方は、主として少数エリートに対する教育を想定して成立するものであり、21世紀の今日では歴史的意義を有するに止まるのではないか。フンボルト以外にも注目すべき大学観としては、オルテガが1930年代のスペインの社会状況を前提として大学の使命を1.教養教育2.専門職業人養成3.「それに加えて」科学としたことや、米国のC.カーが「大学の効用」の中で現代の大学を教育・研究・奉仕の多機能を持った「マルチバーシティ」と考えたことなどが挙げられる。大学観も時代や社会状況に応じて変貌していくべきものと考えられる。
  • 大学は歴史的には教育と研究を本来の使命としてきたが、社会情勢の変化とともに、我が国の大学に期待される役割も変化しつつあり、現在においては、社会貢献(地域社会・経済社会・国際社会等、広い意味での社会全体の発展への寄与)を教育・研究に加えて大学の「第三の使命」として位置づけることができる。言うまでもなく、人材養成や学術研究それ自体が我が国の発展に対する長期的観点からの社会貢献であるが、近年では、公開講座や産学官連携等を通じた、より直接的な貢献が求められるようになっており、これがいわゆる「第三の使命としての社会貢献」と考えられる。

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