視点7 大学院教育の実質化のための大学院組織

大学院組織を検討するに当たっての基本認識

  • 大学院は、学士課程の教養教育に十分な裏打ちをもつ専門的素養の上に立ち、専門性の一層の向上を図るための、深い知的学識を涵養する教育の課程を提供する場であるという観点から、大学院教育を実施するための適切な組織のあり方について整理する必要がある。

適切な組織形態の検討

  • これまで大学院の教育研究機能を十分に発揮するに相応しい組織形態を確立する観点から、独立大学院、独立研究科の設置、研究科教授会の設置、研究科を学部と同等の基本的な組織として法令上明確化することなどを実施してきた。
     しかしながら、今後、大学院教育の実質化を図る上での課題として、学生、教員の流動性が低い、及び教員組織を未だ学部に多く依拠しており、施設・設備を含めて大学院の教育研究機能を十分に発揮できる体制にないなどの組織面に係る課題が指摘されている。
     また、専攻分野の教育課程の目的・役割に沿って、教員組織の体制を整備し、提供するカリキュラムの体系性に基づいて教育研究の展開を図る考え方も重要であり、このような観点で、大学院を置く大学は、大学院教育の実質化のための組織改革のあり方について、自主的かつ積極的な検討が必須である。
  • 例えば、大学院における教育研究活動に力点を置く大学は、大学院教育に関わる教員、施設・設備等について、その内部組織として、学部組織と切り離した形態とすることを指向するべきとの意見もある。
    また、他方で、学問分野等によっては、学士課程と連係し、学士課程からの一貫した教育プログラムの導入により、大学院教育の機能強化を図る試みも、現在、有効に行われていることにも留意する必要がある。
     その他、アメリカの大学院のように、学生が所属して教育研究活動を行う組織と、教員が所属する組織を区別して、学生に必要な教育課程を教員組織が分担、提供する組織形態や、大学院の教育研究組織の柔軟性を発揮して、他大学や研究所等との連携した組織の構築などについても検討を深化する必要がある。
  • このため、当部会において、大学教育における学士課程との適切な役割分担、学生・教員の流動性の向上、教員の教育・研究指導能力の向上などの観点から、大学院の組織形態の長所短所を見極め、これらの組織形態に応じた施設・設備の充実を含め、学問分野別、機能別に、今後、さらに検討を深化させていく必要がある。

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(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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