留学生関係団体等からの意見

はじめに

  • 「留学生受入れ10万人計画」を目標として、その目標達成のために数の確保に大きな力が注がれているが、質の確保まではできていない現状である。やはり、質面の確保も肝要であることを強くうながすべきである。(国立短期大学協会)
  • 我が国への留学生の9割は私費留学生である。物価の高い我が国の生活では、生活確保の経済的負担が重くのしかかり、アルバイトをしなくてはならないのが現状である。従って、国からの支援が非常に重要である。
     一方、我が国の短期大学生の中にも海外の大学へ留学を希望する者がいるため、短期大学生を対象とする留学の支援を図ることが必要。(日本私立短期大学協会)

1 留学生交流の意義(理念)

諸外国との相互理解の増進と人的ネットワークの形成

  • 専門学校に学ぶ留学生数は17,173人であり、留学生政策に果たす枠割りは大きい。
    • 「専門学校に対する国からの経常費補助がないこと。
    • 授業料減免学校法人援助処置が専門学校には適用されないこと。
    • 専門学校における国費留学生の割合が大学に比べて低いこと。
    • 文部科学省の補助を受けて財団法人日本国際教育協会が実施する留学希望者への情報提供事業に専門学校の個別参加が認められていないこと。
    • 専門学校に留学する場合にのみ一定の日本語能力が入国在留審査の際に要件としていること。」等の専門学校と大学の間に格差がある。
    • 留学生部会の専門委員に、専門学校の関係者を含め議論がなされるべき。
    • 大学等の定義が不明瞭であり、明示すべきである。
    • これまで進められてきた留学生政策のあり方を教育機関別に整理し、改善すべき課題等を明らかにした上で、今後の施策の方向性と具体的な施策の展開についてとりまとめる必要がある。
    • 専門学校が留学生政策に果たしてきた役割を評価・検証し、大学との制度的格差を是正する必要性を明記すべき。(全国専修学校各種学校総連合会)

3 新たな留学生政策の基本的方向

日本人の海外留学への支援

  • 海外留学を望む学生の具体的ニーズは奨学金が第一とは考えられない。研究テーマなのか、言葉の問題か、留学生活のことか、卒業後の就職か。(国立短期大学協会)

留学生の質の確保と受入れ体制の充実

  • 留学生の学力差に対応するために補習をするなど受入れ側にもカリキュラムの綿密な整備等による体制を整える必要がある。また、入学時に留学生対象の試験を重視し、面接も含めて学力・人物評価をすべきである。(国立短期大学協会)

4 具体的な施策の展開

(1)大学等における教育研究の高度化と国際競争力の強化

国際化に対応した教育,職員の採用と外国語運用能力の向上

  • 留学生の受入れの多い国では、どの大学にもトレーニングを受けた事務職員及び国際交流に関する教育・研究を専門とする留学生専門職員を置いており、学業面から生活面までの指導をしている。日本においてこれらの教職員の育成を図るためには財政的支援が必要となる。(国立短期大学協会)
  • 短期大学の教員が対象になる海外研修制度もあるが、補助期間や対象人数や補助額などは充分とはいえない。国際的な感覚を持った教員の育成という観点から、短期大学教員を対象とした海外研修制度の一層の充実を望む。(日本私立短期大学協会)

留学生の在籍管理の徹底

  • 身元・出所及び目的のはっきりした留学生の受入れを重視し、修学以外の目的(就労など)でないことを確認してから受入れるべきである。(国立短期大学協会)

(2)多様な教育,研究に対するニーズに応じた海外留学の支援

海外留学の支援

  • 貸与制奨学金の活用のみでなく、派遣留学の重要性に鑑み、十分に対応できる、総合的かつ政策的な奨励支援策を講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)
  • 「留学は季節別短期留学(1~2ヶ月)、中期留学(6ヶ月)、長期留学(2年以上)など3種類に大別されるが、短期留学はほとんど私費になっている。これらの留学に対して、大学間相互協定(相互単位認定など)により授業料相互免除を進め、それに対し奨学金等の支援行うこと。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

短期留学の推進

  • 「短期留学制度の推進にあたっては、さらに底辺を広げるためにも短期留学を短期大学にも適用することが望ましい。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
  • 短期留学推進制度の対象から短期大学生は対象外となっている。日本人短期大学生と諸外国人学生の一層の交流を図る観点から、短期大学生も同制度の対象となることが必要。
     また、短期大学専攻科に在籍する学生については、3ヶ月、半年、1年の留学制度を併せて考える必要がある。(日本私立短期大学協会)

外国政府との協力体制の強化

  • 外国政府との協力体制の強化とは、学生交流に大学等はどの様に関与できるのか、具体的情報は受入れ機関にも情報提供されているのか。(国立短期大学協会)

(3)渡日前から帰国後に至る体系的な留学生受入れ支援体制の充実

海外での情報提供,相談機能の充実

  • 「日本人留学生の支援に関連して、国公私立大学が個別に大学間協定を結んでいるが全体が見えない。日本学生支援機構が中心となって、国別・大学別の大学間協定等のネットワークを構築することは有意義である。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
  • 日本学生支援機構における海外活動の一環として「海外拠点の充実も視野に入れつつ……」とあるが、留学生の受入れの多い国には、複数の常駐事務所を設けて、User-friendlyな機関として積極的な留学情報の収集・提供・発信が行なわれることを期待する。(日本私立短期大学協会)
  • 日本に留学する場合、多くは日本語教育機関で日本語を習得した上で大学等に進学することを考えると、日本国際教育協会が実施している留学フェアは日本語教育機関も参加させ実施することについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)

日本語教育機関等に対する支援

  • 日本語教育機関の多くは学校教育法上の学校ではない。日本語教育機関の果たしている役割を考えると、学校教育法上の位置づけについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)
  • 日本語教育機関の多くは、授業料に消費税が課せられている。学生の学費負担の軽減を図るため、各種学校と同様、非課税扱いとすることについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)

渡日前入学許可の推進など入学者選抜の改善

  • 「特に現在日本での日本語教育機関の就学者や留学生の不法就労等による社会問題を考慮すると、大学としては現在海外で実施されている「日本留学試験」をより有効に活用して、できるだけ渡日前入学許可の推進を図るため、外国政府や各種海外事務所などの協力を得ながら、海外での日本語教育機関の設置を更に推進する必要があると考えます。ただし、現在海外某地に設置されている2,3の日本語教育機関のような営利を目的とするものではなく公益法人的な日本語教育機関であることを切に希望します。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
  • (海外における日本語教育等の留学予備教育の支援)
    留学生の出身国のなかには、現地において、日本の大学に入学できるほどの日本語教育等の留学予備教育を行える機関が非常に少ないか、皆無である地域も多く、これが日本留学試験受験数増にならない大きな原因となっている。1.現地の日本語教員を日本の大学等に来てもらい、留学予備教育が行えるような研修の実施2.日本国内の準備教育課程認定の機関に海外分校を設置してもらうことを促すような支援の検討が必要。
  • (渡日前入学許可入学者のための就学金等の支援の拡大)
    渡日前入学許可を推進するために、日本留学試験の成績優秀者を対象に実施している私費外国人留学生学習奨励費給付予約制度を発展的に拡大して、渡航旅費、授業料、生活費等をカバーできるような国ごとに支給枠のあるフルサポートの奨学金の創設の検討。
  • (日本留学試験を用いた国費留学生募集)
    渡日前入学許可を推進する観点から、日本留学試験実施国から限定的にでも、国費留学生(学部)選考において日本留学試験を利用する事を検討すべきである。また、大学院レベルの国費留学生の選考においても、留学生の質の確保の観点から、日本留学試験が利用されることも検討されてみては。(日本国際教育協会)

国費外国人留学生制度の在り方と今後の方向

  • 3つの採用方法の比率を、どの程度にすべきと考えているのか。地方大学でも、交流協定は数多く存在しているが、具体的な交換留学等の実績はあがっているのか。あるいは、これまで具体的に評価してきたのか。(国立短期大学協会)
  • 国費留学生制度の見直しにあたっては、留学生の希望を重視して適正な配置に配慮すべきであり、そのための財源措置を講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)

私費留学生支援制度の在り方と今後の方向

  • 授業料減免学校法人への支援事業の後退は私立大学にとっては受入留学生数に直接影響してくる重要な問題である。現在留学中の学生に対する支援の充実こそが最優先事項であるとの観点から、また、採用率が当初の100%から40%程度にまで落ち込んでいる事実に鑑み、私費留学生に対する手厚い援助策を早急に講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)
  • 日本に留学している外国人学生にとっての大きな課題は、授業料減免・奨学金受給・宿舎の確保などである。私費留学生への対応は、国家戦略の一環としての長期的な留学生政策の策定に基づいた、期限を明確にした着実な実行が必要である。(日本私立大学団体連合会)
  • 9割を占めるとされる私費留学生の支援は具体的にどの様に行われるのか。その予算や、人的資源は早急に確保できるのか。(国立短期大学協会)
  • 私費留学生に対する支援制度の充実は重要であるが、経済的援助を与える留学生に対しては、厳しい審査が必要である。安易に支援することにより、留学生の質の低下をきたし、国際交流においても信頼関係を損なう結果をまねく可能性もある。(国立短期大学協会)
  • 学習奨励費給付制度は、予算の関係で受給者の数が限られているため、短期大学に在籍する私費外国人留学生の受給者は少ない人数になっている。私費外国人留学生に対する経済的支援を図る観点から、学習奨励費給付制度の拡充が必要である。(日本私立短期大学協会)
  • 留学生に対する授業料減免措置を実施した学校法人については、授業料減免学校留学生1人当たり授業料の3割を限度に補助金が交付されることになっているが、実際には減免措置を講じた留学生総数の6割程度しか補助金は交付されていない。補助総額を増額して、減免措置を講じた全ての留学生の授業料に対して補助金が交付されることを要望する。(日本私立短期大学協会)

留学生宿舎の整備の在り方と今後の方向

  • 私費留学生に対する支援制度の充実は重要であるが、経済的援助を与える留学生に対しては、厳しい審査が必要である。安易に支援することにより、留学生の質の低下をきたし、国際交流においても信頼関係を損なう結果をまねく可能性もある。(国立短期大学協会)
  • 「民間宿舎の入居については、ホストファミリーへの各種支援体制を強化する必要がある。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

セイフティー・ネットの充実

  • 留学生対象の医療保険制度と経済的支援は最優先に考えるべきである。(国立短期大学協会)

留学生に対する帰国後の支援の充実

  • 追跡調査を実施し、再留学生制度を設けることも国際交流には欠かせないため、留学生動向のデータの蓄積と解析は継続すべきである。国立短期大学協会)
  • 「元留学生の指導教員のほかにODAの派遣等も入れてはどうか。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

(4)高校生留学の推進

高校生留学の意義

  • 国際理解教育の一環として、交換留学制度に基づく(外国の高校生の受入れを含めた)留学をより一層積極的に取り上げていってほしい。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)

高校生留学の推進

  • 様々な国・地域、文化交流を促進してゆく観点から、国際理解教育の中で、日本高校生に対して、アジア諸国、ヨーロッパ諸国への留学をより一層啓蒙してゆく必要がある。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)
  • 「~受入体制の未発達」を「~受入体制の未整備」としてはどうか。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)

高校生留学の促進のための支援体制の整備

  • 外国の高校生にとって、日本の高校への留学が魅力あるものとするためには、民間団体の努力だけではなく、官民一体となって広い意味での日本の文化をPRし続けていくべきである。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)
  • 外国の高校生を受入れるホストファミリーを確保するために、ボランティアとして外国の高校生を受入れるホストファミリーに対して、国、自治体、学校、地域として感謝、敬意を表すための何らかの形を構築する必要がある。(たとえば、アメリカにおいては、学生を家族の一員として受入れた場合には、税の面でのある程度の措置がなされる場合はある。)(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)
  • ものごとを主体的に考えられるようになる高校生レベルでは、「年間留学(3ヶ月以上)」の促進が望まれます。年間の経験を通し、小さなトラブルを経験し、それを解決する過程にこそ、見えない違いを発見し、奥の深い理解につながり、異文化コミュニケーション能力の発達が可能になる。
     「短期間の招致事業」という表現は、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入」と「外国からの研修旅行生(3ヶ月未満)」のどちらを意味するのか誤解を生じると思われる。派遣に関する記述に合わせ、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入事業」と修正をお願いしたい。
     「外国からの研修旅行生(3ヶ月未満)」の数値が計5296人であり、そのうち2週間未満が3737人であり、これでは、受入事業の難しさを経験し、その充実のためのノウハウを蓄積することができないのではないか。当面の受入強化をもって、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入」に結びつけるのであれば、「短期間の招致事業」としても、最低でも1ヶ月、できれば2ヶ月以上のものを促進することが望まれる。
     ホストファミリーは海外からの生徒を受入れるに当り、ホストファミリーへの優遇税制を設け、その代わり、留学生の食事、家族での小旅行、等の経費を負担する。家族の一員として日本の生活、文化を理解してもらう。ボランティアとして受入れている以上、現金での補填は適切ではなく、扶養補助の形が「家族の一員」という概念に沿うものと考える。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)

教員の海外研修の活用

  • 海外における生活体験の機会の増大を図るとともに、研修内容を充実させ、教員が海外で学んだ成果を生徒に還元させられるようなプログラムが望まれる。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)

その他の意見

  • 異文化適応の問題についての言及も必要である。日本人学生と外国人学生の双方に対して、異文化理解促進のための教育もしくは専門家によるカウンセリング体制の整備などが必要である。(日本私立大学団体連合会)
  • 受入れ機関の受入れ実績、教育・研究の実績、魅力ある特徴を持っていることも、質のよい留学生を多く求心する重要な因子となるため、受入れ側の魅力的で実のある教育・研究と質の向上を図ることが重要である。
    また、首都圏と地方では留学生の目的も受入れ体制も異なるので、首都圏と地方の相違点と対策についても言及すべきである。(国立短期大学協会)
  • 施策として「大学等グループ」単位を構築し、留学生はその中で単位互換が可能とすれば、魅力は倍増する可能性がある。(国立短期大学協会)
  • 現代において、人々の価値観や健康観は多様化している。医療人に求められる健康観や疾病観の理解をさらに深めるには双方向の相互交流が必要であり、政策による新たな展開の推進に期待する。(国立短期大学協会)
  • 短期大学入学後に様々な事由により退学・除籍した場合は、留学の在留資格を失うため帰国するか、他の在留資格に変更して日本に滞在することになる。しかし、留学生の中には帰国もせず、在留資格も変更しないで在留期間が満了するまで滞在を続ける者がいる。不法滞在期間中に留学生が問題を起こせば、留学生を受入れた短期大学の管理責任を問われる事態にもなるため、退学・除籍等に伴う在留資格及び在留期間については、法務省と協議を行ない、適切な措置が講ぜられることを望む。(日本私立短期大学協会)

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

-- 登録:平成21年以前 --