1.カリキュラム改革の実施状況
カリキュラム改革
1.カリキュラム改革の状況(平成13年10月1日現在)
平成3年の大学設置基準大綱化を踏まえ、全体の9割を超える509大学(約99%)、1,171学部(約97%)においてカリキュラム改革を実施。

(注)
- ( )は学部数。
- 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)及び、平成4年度以降に設置された大学(151大学)、学部(474学部)は含まれない。
- 私立大学には、放送大学を含む。(以下、特に断らない限り同じ。)
カリキュラム改革の具体的内容(平成13年度)

※ くさび型教育課程とは、専門教育、教養教育とも4年間を通じて履修できるカリキュラムを指す。
2.教養教育の実施状況(平成13年度カリキュラム)
様々な取組が行われているが、情報活用能力の育成、学際的・総合的内容、心身の健康に関する科目及び専門教育の基礎科目を開設している大学が多い。

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
専攻以外の分野を学習させるための配慮

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
外国語教育の改革
1.外国語教育の実施状況
英語、フランス語、ドイツ語、中国語の科目を開設している大学が多いが、朝鮮語(韓国語)の科目を開設している大学も多い。また、L.L.ビデオ等、ネイティブスピーカーの活用等様々な活用が見られる。

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
外国語教育における取組(大学数)

(注)「目的別クラス化」とは、会話中心、速読中心など目的別にクラス編成を行っている場合をいう。
2.外国語による授業の実施状況(大学数)

(注)外国語と日本語の併用による授業も含む。
英語による授業の実施例
- 上智大学比較文化学部、外国語学研究科比較文化専攻
全授業科目を英語により実施。
- 国際大学
全授業科目を英語により実施。
- 宮崎国際大学
「日本語表現」の授業科目以外の全授業科目を英語により実施。
- 立命館アジア太平洋大学
「基礎教育科目」は、原則的に日本語で行うクラスと英語で行うクラスの両方を開講。また、「専門教育科目」等でも、英語のクラスを多数開講。
情報化への対応
1.情報(処理)教育の実施状況(大学数)
国公私立521大学(約79%)で情報処理教育を必修化しており、656大学(約99%)で専用の教室を設置している。

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
2.マルチメディアの活用状況(大学数)

(平成13年度)
|
国立 |
公立 |
私立 |
計 |
衛星通信を利用した公開講座の遠隔地提供 |
実施 |
11(10) |
0(0) |
8(11) |
19(21) |
検討中 |
20(22) |
3(1) |
33(38) |
56(61) |
他大学等との双方向による遠隔講義科目の開設 |
44(33) |
3(1) |
21(17) |
68(51) |
※ ( )は平成12年度実績を示す。
マルチメディアを活用して他大学との双方向による遠隔講義科目を開設している大学例
- 上越教育大学「教育工学概論、教育メディア特別演習、教育実践研究方法論特論」
- 島根大学「総合B(中国・四国地区国立大学間共同授業)
- 苫小牧駒澤大学「総合口座4~7」 ・ 明海大学「日本語学演習3」
高等学校での履修状況への配慮
高等学校での履修の多様化に伴い、補習授業の実施など高等学校の履修状況に配慮した取組を行う大学も年々増加しており、平成13年においては、国公私立386大学(約59%)・705学部(約42%)が実施している。
※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。

配慮の内容の例 (大学数・学部数)

補習授業の取り組み例
- 鳥取大学
専門高校出身者及び希望者に対して、補習授業として「教養基礎科目」(英語、数学、物理学、化学、生物学)を開設している。
- 北海道薬科大学薬学部
当該授業または当該科目の学力が不足しているものに対して、補習授業として「演習授業」(数学、生物学、物理学、化学)を開設している。
高校関係者との連携の取り組み(大学数)

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
ボランティア活動を取り入れた授業科目等の開設状況

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
ボランティア活動を取り入れた開設授業科目の例
- 広島大学「障害学生支援ボランティア実習A、B」
自大学の障害学生に対して、授業のノートテイク、図書館での文献探し、パンフレット類の点訳、ホームページ作成等の具体的な支援を、教官らの指導のもとで行う。
- 早稲田大学第二文学部「社会福祉援助技術現場実習」
社会福祉施設や福祉行政機関等での現場体験を通して、相談援助業務に必要な資質・能力・技術を習得することを目的としている。実習指導と四週間の現場実習を行う。
起業家育成教育の実施状況

起業家育成のための授業科目の例
- 電気通信大学電気通信学部「ベンチャービジネス概論」
- 岡山大学経済学部「現代新産業創出論1、2」
- 宮城大学事業構想学部「事業構想総論1、2、3」
- 多摩大学経営情報学部「ベンチャー企業経営論」
- 呉大学社会情報学部「戦略経営情報論」
2.授業の質を高めるための具体的な取組状況
ファカルティ・ディベロップメントの実施状況
ファカルティ・ディベロップメントを実施している大学は、年々増加しており、平成13年度現在、409大学(約61%)の大学が実施している。

ファ カルティ・ディベロップメント: 教員が授業内容・方法を改善し、向上させるための組織的な取組の総称である。具体的な例としては、新任教員のための研修会の開催、教員相互の授業参観の実施、センター等の設置などを挙げることができる。
ファカルティ・ディベロップメントの内容(大学数)

ファカルティ・デベロップメントの取組事例
- 東京農工大学工学部
1999年度から、優れた講義を行っている教員に「最優秀講義賞」を送っている。その教員は学生のアンケート調査等から選ばれた候補者の中から、教員十数人で構成される教務委員会が勉強会方式の面接を行い、投票によって決定され、次年度1年間は新任教官のアドバイザーを務める。
- 京都大学
「ライフサイクルと教育」を公開実験授業と設定し、教員等が参観できるようにし、またビデオ等で記録している。そして授業後には、参観者を交えた検討会を開き、教員の授業内容・方法の向上に役立てている。他にも、研究会やフォーラムなども開催している。
シラバスの作成状況
シラバスを作成している大学は年々増加しており、平成13年度現在、659大学(約98%)1,622学部(約96%)がシラバスを作成している。

シラバス:授業科目名、担当教員名、講義目的、講義概要、毎回の授業内容、成績評価方法、教科書や参考文献、履修する上での必要な要件等を詳細に示した授業計画。
学生による授業評価の実施状況
平成13年度現在、513大学(約76%)において、学生による授業評価を実施している。

授業評価の取組例
- 北海道教育大学
「平成13年度授業の改善を目指して―学生による授業評価―」
結果を分析し、冊子にまとめるとともにホームページ上で公開している。「学生による授業評価」の結果に対して教官が自己点検レポートをまとめているのが大きな特徴。

学生による授業評価の結果を改革に反映させる組織的な取り組み
授業評価の結果を改革に反映するための組織的取り組みが行われていると答えたのは、国立48大学(50%)、公立14大学(30%)、私立120大学(32%)となっている。

組織的な取り組みの例
- 室蘭工業大学
「室蘭工業大学はこんな授業で勝負する」
教員による授業改善の実践的取り組みを「教育実践報告」として学内誌へ連載したものをまとめ、本として出版。授業実践の具体事例の紹介だけでなく、苦労話や失敗談も多く盛り込まれている。
単位の上限設定
単位の過剰登録を防ぐため、1年間あるいは1学期間に登録できる単位の上限を定めている大学が相当数ある。

厳格な成績評価の実施
シラバス等で授業方法・計画とともに成績評価基準を明示した上で、厳格な成績評価を行うことが求められているが、例えば現在、米国において一般に行われている成績評価方法であるGPA制度を導入している大学も見られる。(平成13年度 91大学)
GPAの導入状況

GPA制度:授業科目ごとの成績評価を5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4・3・2・1・0のようにグレード・ポイントを付与し、この単位あたりの平均を出して、その一定水準を卒業等の要件とする制度。
実施大学の例
- 筑波大学
情報学類・工学システム学類においては、グレード・ポイント(以下GP)をA(3)、B(2)、C(1)と設定し、大学院推薦入試の参考としている。
工学基礎学類においては、GPをA(3)、B(2)、C(1)、D(0)と設定し、専攻進級の参考としている。
- 青森公立大学
経営経済学部において、GPをA(4)、B(3)、C(2)、D(1)、F(0)と設定し、累積2.0以上が卒業判定に、3セメスター連続で2.0以下が退学勧告になっている。
- 共立薬科大学
薬学部において、GPをA(9.8.7)、B(6)、C(5)、D(4.3.2.1)、E(0)と設定し、通算5.0以上を卒業判定としている。他に、大学院推薦入試、就職推薦、卒論配属の参考としている。
GPA制度以外で教育指導を実施している例
- 山梨大学
工学部において、病気その他やむを得ない事情がないにもかかわらず、入学後1.5、2、3、4年終了時の全取得単位数が、それぞれ30、40、55及び70単位未満の者、及び5年次終了時に卒業論文履修条件を満足できない者に退学を勧告している。
また、退学勧告を受けて退学した者で、1年以上社会人としての経験を積んだ者に対しては、退学前に取得した単位を有効として、再入学を認めている。
授業期間等
セメスター制の採用状況
セメスター制を採用している大学は年々増加しており、平成13年度現在、約8割の大学(541大学・1,318学部)においてセメスター制が採用されている。

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
セメスター制:1学年複数学期制の授業形態。日本でよく見られる通年制(ひとつの授業を1年間を通して実施)における前期・後期の区分とは異なり、ひとつの授業を学期(セメスター)ごとに完結させる制度。
3学期制をとる大学の例
長岡技術科学大学工学部、鹿屋体育大学体育学部、東京基督教大学神学部
国際基督教大学教養学部、金沢工業大学工学部
少人数教育の実施
少人数教育の実施状況

※ 大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。
(注)ここでの「少人数」とは、1クラスの学生数が20人以下の場合を指す。
ティーチング・アシスタント(TA)の活用状況
平成12年度は、総計60,044人がTAとして活用されている。

TA:学部学生等に対するチュータリング(助言)や実験、実習、演習等の教育補助業務(具体的には、演習のディスカッションリーダー、レポート・試験等の採点など)を行い、これに対する手当てを支給される大学院学生等を指す。