(1)大学等における教育研究の高度化と国際競争力の強化

留学生交流の実施体制の確立

 留学生交流は,大学等の国際化,国際競争力の強化にかかわる重要な戦略としてとらえるべきものである。各大学等においては,留学生交流に組織的に対応するため,学長等のリーダーシップの下に,各教育機関としての明確な留学生受入れ・派遣に関する方針を定めるべきである。その上で,留学生センター等を中心として学内の関係部局が一致協力し,留学生交流を着実に実施できる体制を確立すべきである。

特色のある教育内容の一層の充実

 多くの優れた留学生を日本にひきつけるためには,まず何よりも大学等の教育研究内容が質の高い充実したものにならなければならない。現在,各大学等においては,教育内容や教育方法の改善に積極的に取り組んでいるが,さらに国際的な通用性・共通性のある,日本人学生にとっても外国人留学生にとっても魅力のある教育研究が行われていく必要がある。
 その上で,外国語による授業や試験の実施,秋季入学の導入など,外国人留学生に配慮した教育プログラムの実施を拡大するとともに,インターネット等を活用した遠隔地での教育研究指導の実施についても検討すべきである。また,学位授与の改善を引き続き進めるとともに,我が国の大学と外国の大学の双方で学位を得られるようなプログラムの開発についても期待される。
 さらに,外国人留学生にもインターンシップの機会を提供することなどにより,教育効果をより高めるとともに,日本の経済,社会,文化などに対する外国人留学生の理解を深めることも重要である。

国際化に対応した教員,職員の採用と外国語運用能力の向上

 大学等の国際化を進めるためには,教員の公募の対象を,我が国で学位を取得した留学生を含め海外に拡大することなどにより,優秀な外国人教員の積極的な採用を進め,教員構成の国際化を推進することが求められる。また,日本人教員の採用の際にも,豊富な留学経験や海外での活躍の実績を加味することが望まれる。このような多様な教員の参画により,留学生に対して教育研究のみならず生活面での指導の充実が図られ,より留学生のニーズにこたえるものになると考えられる。
 また,事務職員についても,外国語運用能力や国際経験のある職員を採用したり,留学業務に関する研修の充実に努めたりして,各大学等における受入れ体制の質を高めることが必要である。

大学等における情報発信機能と情報収集の強化

 より多くの優れた留学生を受け入れるためには,各大学等において,特色ある教育内容,指導教員等の教育研究の内容について,インターネットのウェブサイト等を通じた情報発信を一層充実することが重要である。
 また,各大学等は留学生に関する入学者選抜をより的確に行うために,留学生を募集する現地の教育機関,留学あっせん機関等の状況について,在外日本公館を含む関係機関と連携し,積極的に関係情報の収集に努めるとともに,各大学等の間においても関係情報の共有化を図ることが重要である。

留学生の在籍管理の徹底

 留学生の中には,一部ではあるが,実際には大学等に通学せず,不法に就労する者がいるとの指摘がある。大学等においては,安易に留学生を入学させることなく,真に留学を目的とする者を入学させることが求められる。また,自ら入学許可した留学生については,勉学状況の良好でない者への指導の徹底,改善の見込みのない者に対する退学等の処分の実施など,責任を持って在籍管理を行わなければならない。その際には,地方の入国管理官署との連携を図ることが重要である。

自己点検・評価,第三者評価の実施

 大学は,その教育研究水準の向上に資するため,自己点検・評価を行うことに加え,平成16年度からは,文部科学大臣の認証を受けた評価機関による第三者評価を受けることが義務付けられている。
 第三者評価の評価項目の内容は,各評価機関が自主的に定めるものであるが,留学生受入れの質の確保の観点から,例えば,留学生に対する教育プログラムの在り方や大学における留学生の受入れ体制等について,充実した評価が行われることが強く期待される。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

-- 登録:平成21年以前 --