平成12年度以降の高等教育の将来構想の概要
「平成12年度以降の高等教育の 将来構想について」
(平成9年1月 大学審議会答申)
(1)対象期間
本構想は,平成21年度までを視野に入れつつ,12年度から16年度までの5年間を対象期間とする。
(2)今後における高等教育の発展の方向
- 高等教育機関に学びたいという意欲が高まっており,これを積極的に受け止めることが必要。
- これと同時に,大学等の多様化と質的向上を図ることが必要。
- 18才人口の減少に伴い,今後,大学等にとって一層競争的な環境が予想される。各大学等は,自らの責任において,それぞれの教育研究の在り方を工夫していくことが必要。
(3)高等教育の規模に関する考え方
- 進学率の上昇は積極的に受け止めるべきであるが,これと並行して教育の質を確保していくためには,進学率等の急激な変化を避けることが必要。このため,大学等の全体規模及び新増設については,基本的には抑制的に対応する。
- 高等教育機会の地域間格差の改善のため,特に大都市においては,引き続き,大学等の新増設を抑制。
- しかし,大都市部の大学等の発展,さらには,我が国の高等教育全体の活力ある発展のためには,大都市抑制の具体的な在り方についての弾力化が必要。
また,地域間格差の一層の改善のため,設置認可において,地方での立地については,弾力的に取り扱うことが必要。
- 臨時的定員については,
- 入学定員の減少に伴う受験生への影響,
- 臨時的定員が教育機会の確保に果たしてきた役割,
- 私学経営への影響,などに配慮することが必要,
このため,
- 臨時的定員を平成16年度までの5年程度の間で段階的に解消する,
- そのうち原則として5割までは恒常的定員化することを認める,
ことが適切。
大学・短期大学の全体規模の試算
(大学等の新増設については基本的に抑制しつつ,臨時的定員の5割を恒常的定員化した場合)
(千人,%)
|
8年度実績 |
11年度 |
16年度 |
21年度 |
18歳人口 |
1732 |
1545 |
1411 |
1201 |
志願者数 (現役志願率) |
1096 (54.4) |
934 (54.9) |
876 (58.9) |
707 (62.9) |
入学定員 |
693 |
706 |
657 |
679 |
入学者数 |
800 |
748 |
711 |
707 |
志願者に対する 収容力 |
73.0 |
80.1 |
81.1 |
100.0 |
進学率 (高卒進学率) |
46.2 |
48.4 (45.5) |
50.4 (47.2) |
58.8 (55.1) |
出典:大学審議会答申「平成12年度以降の高等教育の将来構想について」(平成9年1月29日)
試算の考え方-ポイント
- 現役志願率は,大学,短期大学それぞれ平成8年度実績(大学…年0.8 %増,短期大学…年0.6 %減)で推移するものとした。ただし,短期大学については,12年度以降,11年度の想定値(12.8%)で固定するものとした。
- 入学定員については,恒常的定員について平成8年度実績(大学…年6.6 千人増,短期大学…年2.2 千人減)を維持しつつ,臨時的定員(平成8年度,大学…73千人,短期大学…36千人)は,12年度から16年度にかけて,毎年度,11年度の規模の1割ずつ解消し,16年度に5割を恒常的定員化(臨時的定員は全て解消)するものとした。
- 平成11年度,16年度及び21年度の外国人留学生及び社会人学生の入学者数は,それぞれ,15千人,30千人とした。
- 平成11年度,16年度及び21年度の定員超過率は,1.10とした。
- 恒常的定員については,大学・短大それぞれ,平成7年度から8年度の増減を維持するものとした。ただし,大学については,12年度から16年度までの間,臨時的定員の恒常的定員化に伴い,それ以外の恒常的定員増については,通常の1/2となるものとした。
全体規模の試算についての考え方
- 現役志願率は,大学,短大それぞれについて,平成7年度から8年度の増減を維持するものと仮定。
大学:年0.8%増,短大:年0.6%減
ただし,短大については,12年度以降,12.8%(11年度の想定値)で固定。
- 現役志願率=当該年度の高卒者のうち大学へ願書を提出した者の数/当該年度の高卒者数×100
- 現役志願者数=高卒者数×現役志願率
高卒者数は,当該年度の18歳人口の89.7%(8年度実績)と仮定。
- 過年度志願率については,大学,短大それぞれについて,平成8年度実績で継続するものと仮定。
大学:前年度不合格者の77.7%が翌年度も志願
短大:前年度不合格者の49.6%が翌年度も志願
- 過年度志願者数 = 前年度不合格者数×過年度志願率
- 全志願者数=現役志願者数+過年度志願者数
- 入学定員については,大学,短大それぞれについて,以下のとおりとした。
- 大学
恒常的定員について,毎年6.6千人増加(平成8年度の増加分)するものとした。
- 短大
恒常的定員について,毎年2.2千人減少(平成8年度の減少分)するものとした。
臨時的定員(平成8年度,大学…73千人,短期大学…36千人)は,12年度から16年度 にかけて,毎年度,11年度の規模の1割ずつ解消し,16年度に5割を恒常的定員化(臨 時的定員は全て解消)するものとした。
- 定員超過率については11年度において1.10となり,11年度以降は1.10 で推移するものと仮定。
- 入学者数=入学定員×定員超過率(1.10)(11年度以降)
全志願者数がこれを下回る場合は,入学者数と全志願者数とは一致するものとした。
- 志願者に対する収容力=入学者数÷全志願者数
- 進学率=入学者数÷18歳人口
- 平成11年度,16年度及び21年度の外国人留学生数及び社会人学生の入学者数については,それぞれ15千人,30千人とした。