平成5年度以降の高等教育の計画的整備の概要
「平成5年度以降の高等教育の計 画的整備について」
(平成3年5月 大学審議会答申)
(1)計画期間
本計画は,長期的な展望にも十分留意しつつ,18才人口急減期の計画として5年度から12年度までの8年間を計画期間とする。
(2)今後における高等教育の発展の方向
- 高等教育の規模が拡大し広く普及した状況を踏まえ,研究指向型,教育力点型,地域生涯学習型など,様々なタイプの高等教育機関が育つことが必要。
- この上で,理念・目標に基づき高等教育機関が,個性を発揮し自由で多様な発展を遂げることが必要。
- 18才人口の急減に伴い,今後,大学等にとって厳しい環境が予想される。各大学等は,カリキュラムの編成,指導方法の改善充実などに積極的に取り組むことが必要。
(3)高等教育の整備の方向
- (1)高等教育を高等学校卒業後の多様な教育形態を含む広い意味のものとして把握し,自己点検・評価のシステムを導入すると同時に,構造の柔軟化を進めること。
- (2)大学・短期大学については,量的な拡大よりも質的な充実を格段に図ることが重要であること。
- (3)質的充実に当たって特に重視すべき方向として,
- (a)豊かな創造性と柔軟な対応能力を育成する教育機能,
- (b)世界に積極的に貢献する世界的水準の教育研究,
- (c)多様な学習機会を提供する生涯学習への対応。
- (4)過去の進学状況や前計画との継続性等の観点から行財政政策を推進することが適当との判断に立ち,大学等の新増設については原則抑制の方針で臨むこと。
- (5)原則抑制との方針を前提とし,その範囲内において,地域配置の適正化及び専門分野のバランスある発展の観点から,地方での事情に応じた設置認可の弾力的な対応を考慮するともに,人材養成の極端な社会的ニーズの変化に改組転換を含めて対応する。
- (6)世界的に高い水準の教育研究を積極的に展開し得るように,評価を踏まえた重点的な整備を行う。
別紙 平成12年度における高等教育(大学・短期大学・高等専門学校)の規模の想定
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入学者数 |
入学定員 |
進学率 |
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平成2年度と平成12年
度の入学者数の比較
(平成12年-平成2年)
※平成2年度入学者数 738千人 |
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平成3年度と平成12年
度の入学定員の比較
(平成12年-平成3年)
※平成3年度入学定員
659千人 (566) |
ケース1 |
千人 649 |
千人 590 |
%
高卒進学率 40.0 (43.0) |
千人 △ 89 |
千人 △ 69 (24) |
ケース2 |
千人 667 |
千人 606 |
%
高卒進学率 41.2 (44.2) |
千人 △ 71 |
千人 △ 53 (40) |
ケース3 |
千人 682 |
千人 620 |
%
高卒進学率 42.2 (45.2) |
千人 △ 56 |
千人 △ 39 (54) |
(注)
- 各ケースには,外国人留学生15千人,社会人学生30千人を含む。
- 高卒進学率は,高等学校新規卒業者と過年度卒業者の進学率。
大学等入学者-(外国人留学生+社会人学生)
18才人口(3年前の中学校卒業者)
- 進学率の欄の( )内は外国人留学生・社会人学生を加えた場合の進学率。
大学等入学者
18才人口
- 入学定員の比較の欄の( )内は,期間を限った定員を除いた場合の数。
(規模の想定の考え方)
- いずれのケ-スも,平成12年度の高校新規卒業者の大学・短期大学への志願率は,51.2%(平成2年度男子実績)と仮定した。これは,近年,志願率が上昇傾向にあるが,そのうち,男子の志願率はほぼ横這で推移しているのに対して,女子の志願率が一貫して上昇傾向にあることから,平成12年度においては,女子の志願率が,現在の男子の志願率に並ぶものとして仮定したものである。
- 上記1の志願率を前提とし,
- (1)ケ-ス1は,平成12年度において,現行計画が想定している進学率40.6%(高卒進学率でみれば40%程度)の入学者数に対応し,かつ,合格率71%程度(18才人口が160万人前後で推移した昭和50~57年度の平均合格率)となり得る規模として想定した。
- (2)ケ-ス2は,平成12年度において,ケ-ス1の進学率がさらに上昇し,合格率75%程度(過去最高値,昭和47年度)となり得る規模として想定した。
- (3)ケ-ス3は,平成12年度において,ケ-ス2の進学率がさらに上昇し,合格率79%程度となり得る規模として想定した。
- なお,いずれのケ-スの場合にも,外国人留学生については10万人計画に沿って,平成12年度には学部ベ-スで15千人,社会人学生については需要動向等を勘案し,平成12年度には30千人が入学するものと想定した。
- また,定員超過率は,長期的には改善されるべきものとの観点から,いずれのケ-スの場合も,平成12年度は1.1と仮定した。