資料4-2 前回(大学分科会第137回・将来構想部会第4回合同会議 平成29年8月23日)における主な意見【大学等の連携・統合】

前回(大学分科会第137回・将来構想部会第4回合同会議 平成29年8月23日)における主な意見【大学等の連携・統合】


○ 経営上の問題よりも、まず考えていく必要があるのは、学問あるいは教育という観点でどのように地域で教育をきちんと提供できるかである。

○ 地方創生や地方の生き残り策の議論が盛んだが、地域の大学・産業界・行政など、同じ地域内ばかりで議論している様に思える。首都圏と地方をお互いに知るための人の交流は重要で、より質の高い教育そして学生を集める経営的にも今後より力を入れてやっていかなければいけない。

○ 広域で学生が学期ごとに動くとこれまでと違ったところからものが見えるので、地域の課題の発見や解決に貢献することもある。
 各大学のコンテンツや授業内容、地域の特色などの情報にもっと容易にアクセスできることも必要。また、ナンバリングの制度をきちんと実践し、適切な体系であるかを見ていくことが大学全体の質保証には欠かせないと思う。

○ 雇用のほとんどを占める中小企業に対して各県が支援策を行っている。中小企業と連携した奨学金の返済支援を行う施策を行っている県もあることから、大学の連携・統合の中に地方公共団体の役割をしっかりと位置づける必要がある。

○ 複数の地域での学習・教育機会があるということは重要であるが、学生の教育費の負担だけでなく、郊外のキャンパスへの移動など時間コストも考慮しなければいけない。授業料不徴収のルールがあるが、単位互換をする際には授業料についても考慮する必要がある。

○ 高等教育の中に専門学校という視点が非常に薄い。地域において、質の高い人材育成と質の高い労働力の供給は高等教育機関の大変大きな役割である。

○ 課程認定の関係から、教員免許など資格に関する科目について受講者が数人でも設置しなければならない。全ての科目は自大学で開設しなければいけないなどの縛りがある。
 国公私立の緩やかな連携を広げていくことにより、資格が欲しい学生に対して高度な科目等を提供できるのではないか。企業からも資格に関する科目について協力を求めることができるのではないか。企業や大学・研究機関等の間で、クロスアポイントメント制度について資格に関する科目の中で活用できれば、日本全国どこにいても優れた教育を受けて、欲しい資格が手に入ることにつながるのではないか。設置基準等の制度の変更も検討してはどうか。

○ 国公私立を通じた統合の仕組みに関連して、国公私立それぞれの財務諸表の作成基準が違うことが問題だという声を聞く。特に学校数の多い私立学校の現在の会計基準は問題だという方向に議論が進みがちであるが、現行基準のままでそれなりの会計ができるので、決して障害ではなく、異なる目的で作っている会計基準の話に拙速に入らないでいただきたい。

○ 地域を超えた大学間の連携も大事だが、地域内の大学と地方公共団体、産業界とのプラットフォーム化も非常に大事である。また、地域の中小企業の求人情報が、高校に早く伝えられるような仕組みができて、地域間移動が少なくなった。人材需要を生み出していくための産業界との連携において、そこまで含めたプラットフォーム化が大事だと思う。

○ 地方の大学が少ないので学部のバラエティーも少なくなる。地方に残りたくても、そこに学びたい学部・分野がないので、遠方の大学に行かなければならないこともある。2040年を考えるのであれば、AI等の発達も踏まえ学位プログラムを柔軟にしていくことが、地方の大学の学びのバラエティーが広がることにつながる。

○ 地方で高等教育に行きたいと思ったときに必ず行けるよう、地方で質の高い高等教育の機会を保障していかなければいけない。そのためには、地方版の教育振興基本計画の中でも高等教育のことについてしっかり論議をしていく必要がある。専門職大学・専門職短期大学においては、教育課程連携協議会も形成される。地域でどのように高等教育機関を位置づけ、活用するかについて地方自治体がイニシアチブをとるよう、その働きかけを大学コンソーシアムなどの連合組織を通して行っていく必要があるのではないか。

○ 学生の流動性を高めるだけでなく、同時にシニアの教員の流動性を高める工夫が必要である。教員の流動性というと、任期切れの若手が次の職が見つからなくて非常に不安定というマイナスのイメージにつながるが、安定したポジションを持ったシニアの教員の流動性をどうしたら高めることができるのか。大学・学部を超えて動く仕組みを作るためには、給与やほかの面でも教員にメリットになる仕組みをどのように作るか、そのための予算措置はどうしたらいいかということの検討をする必要があるのではないか。

○ AI等を活用したベンチャー企業が地方にラボをつくり、地元大学の学生を採用し、地方大学や地方銀行との連携のもと、新しい産業が生まれていく、そういった機運も含めたまちづくりの事例がある。

○ 大学の統合は手続きが複雑であり、非常に負担が重い。例えば、認証評価で的確であるなどの評価を受けている大学について、同一法人の中で大学統合するような場合等には、手続きを柔軟にした方がよいのではないか。

○ 大学間等の連携において重要なことは、何をするかである。「トビタテ!留学JAPAN」の地域人材コースでは、地域の企業がインターンシップを行い、費用を出し、幾つかの大学が連合してやるという試みであったと思うが、成果があったらそれも取り入れたらどうか。

○ 今回の議論で、大学の連携・統合について、学位プログラムや教育の価値そのものに関連して支障となる手続の見直し、地域の学生たちの視点や大学の経営上の問題まで意見がでた。
 ある地域と他の地域、地域と学生という課題について、学生と大学両方に対して、国公私立の設置形態を問わず高等教育に携わっている我々には責務があるので、改めて整理して議論したい。


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