令和7年9月3日(水曜日)12時30分~14時30分
Web会議
(分科会長)吉岡 知哉分科会長 (副分科会長)和田 隆志副分科会長 (委員)安孫子 尋美、田中 マキ子、冨永 悌二、廣津留 すみれ、古沢 由紀子、森 朋子、両角 亜希子の各委員 (臨時委員)上田 悦子、大竹 尚登、大野 博之、大森 昭生、小野 悠、加藤 映子、北畑 隆生、栗本 博行、志賀 啓一、杉村 美紀、中村 和彦、濱中 淳子、平子 裕志、本間 敬之、益戸 正樹、松下 佳代、吉見 俊哉の各委員
(事務局)合田高等教育局長、先﨑大臣官房審議官、松浦大臣官房審議官、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、村尾国立大学法人支援課長、佐藤高等教育局参事官(国際担当)、鈴木大学設置・評価室長、寺坂高等教育政策室長、花田高等教育企画課課長補佐、太田高等教育政策室室長補佐、菅谷私学行政課課長補佐ほか
【吉岡分科会長】 所定の時間になりましたので、中央教育審議会大学分科会第185回を開催いたします。御多忙の中、また、大変な暑さで、しかも今日の午後には雨が降る、台風も来ているという大変な状態ですけれども、御出席いただき誠にありがとうございます。
本日も、対面とウェブのハイブリッド会議として開催し、その様子をYouTubeライブ配信にて公開いたします。会議資料、音声など御準備はよろしいでしょうか。オンラインの方々、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局から連絡事項をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。
本日は会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、御指名されましたらお名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は再度、挙手のボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。
本日の会議資料は事前にメールでお送りしているとおりでございますが、会場のiPadには本日の会議資料をチャットにてURLをお送りしてございますので、紙の資料と併せて御活用ください。
また、事務局に人事異動がございましたので、御報告させていただきます。
合田高等教育局長でございます。
【合田高等教育局長】 どうぞよろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 先﨑大臣官房審議官でございます。
【先﨑大臣官房審議官】 先﨑です。よろしくお願いします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 松浦大臣官房審議官でございます。
【松浦大臣官房審議官】 松浦です。よろしくお願いします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 安井高等教育企画課長でございます。
【安井高等教育企画課長】 安井でございます。よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 村尾国立大学法人支援課長でございます。
【村尾国立大学法人支援課長】 村尾です。よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 寺坂高等教育政策室長でございます。
【寺坂高等教育政策室長】 寺坂でございます。よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 以上でございます。
【吉岡分科会長】 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速本題のほうに入っていきたいと思います。
本日は、初めに、地域における高等教育機会の確保のための取組に関する制度改正について御議論いただきます。次に、本分科会に設置されている「質向上・質保証システム部会」の下に「教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ」が設置され、新たな評価について議論を進めていただいておりますが、ここまでの議論の整理について事務局から説明いただき、御議論いただく予定です。
その後、報告事項といたしまして、「国際競争力けん引学部等の認定等に関する制度の創設」、「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会の「改革の方針」」、「社会とともに歩む私立大学の変革への支援強化パッケージ-2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議中間まとめ-」についても御説明いただきます。
最後に、令和8年度概算要求についての御報告もございます。
盛りだくさんでございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、(1)の「地域における高等教育機会の確保のための取組に関する制度改正について」です。
まずは、事務局から制度改正の内容について御説明いただいた後に、地域大学振興に関する有識者会議の座長を務めていらっしゃる大森委員からもコメントをいただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。
【石橋大学振興課長】 失礼いたします。大学振興課の石橋でございます。よろしくお願いいたします。
資料1を用いて御説明させていただきますが、まず後ろのほうからで恐縮ですが、17ページを御覧いただければと思います。
地域大学振興に関する有識者会議につきましては、4月以降立ち上げさせていただきまして、8月までに3回の会議を開催してまいりました。この中では、大学分科会の委員でいらっしゃいます大森委員、田中委員、中村委員に御参画いただいてきたところでございます。
これに関しましては、すみません、また次の16ページのほうを御覧いただければと思いますけれども、今回、議論の整理ということでおまとめいただいておりまして、その中に、イで赤字で囲んでおりますけれども、大学間連携による地域アクセス確保の取組への支援ということで、今回の制度改正を考えたということでございます。
冒頭にお戻りいただきまして、1ページ目でございます。地域における高等教育機会の確保のための取組に関する制度改正についてでございます。
制度改正の趣旨でございますけれども、やはり大学進学者数の大幅な減少が見込まれる中ではございますが、地域において必要な学びが継続できるということは引き続き重要でございます。そのために、地方に在住する高等教育進学希望者の教育機会の確保に多大な支障が生じるおそれなど、そういうことに対してきちんと対応していく必要があるのではないかと考えております。
そのため、中教審の「知の総和」答申の中でも高等教育へのアクセスの確保を図る仕組みの構築ということが提言されておりまして、今回は、大学設置基準の改正を中心に、2の制度改正の内容を御説明したいと思います。
御案内のとおり、大学設置基準の中では、例えば基幹教員の数であるとか、授業科目の自らの開設、授業期間等々、それぞれ基準がございますけれども、真に地方に必要な大学なり短期大学なりが、その確保のために、ほかの大学と連携して当該取組を行うことが必要となれば、この特例対象規定の下でございますけれども、このような規定の例外を認めてもよいのではないか。その際には、大学分科会のほうで御議論いただきまして、お認めいただくという仕組みをつくってはどうかというのが今回の御提案の内容でございます。
丸2のところを見ていただければと思いますが、認定に関する規定の整備ということでございまして、下のチェックポイントの最後の4番目のところを御覧いただければと思いますけれども、申請計画書において、地域における高等教育機会の確保に資する教育の実施が必要であるとする事情、他の大学と連携して行う教育の実施内容、学生に対する適切な配慮のための具体的な措置等が明らかにされているかという観点や、その次でございますが、大学等連携推進法人等と連携して行われること並びに協議会等と連携して実施されることが見込まれること。また、資格養成課程、例えば、教員養成であるとか、保育士、幼稚園といろいろありますけれども、分野所管省庁等が特例適用の必要性を認めている。こういうことが整理できた場合には、計画を出していただいて、設置基準の特例ということを認めていければと思っております。
その下の2つ目のポツのところでございますが、申請があった場合は、中央教育審議会大学分科会の審査を経て、今も特例を審査する委員会が別途ございますけれども、そちらのほうで審査をしていただいてということを考えております。
丸3は、先ほどちょっと申し上げました協議会に関する規定も整理をさせていただくということと、丸4では、大学等連携推進法人の業務を、例えば、事務の共同運営や産学官連携推進の事務の追加ということもさせていただくということと、社員に地方公共団体や民間事業者も含め得るということを明確化したいと思っております。
お認めいただけましたら、パブリックコメント等を経て、令和8年1月1日の施行ということでやっていきたいと思っております。
事務局からの御説明は以上になります。大森委員、よろしくお願いいたします。
【吉岡分科会長】 では、大森委員、お願いします。
【大森委員】 地域大学振興に関する有識者会議の座長を仰せつかっております大森でございます。この間3回の会議を開催してきた、その感想も含めて、少し御報告をさせていただきたいと思います。
今回のこの提案に至ったプロセスの中でどんな議論がされたかということなんですけれども、もう既に御承知のように、1回目の会議では学生たちに来てもらって、特に地方で学んでいる学生たち、国立大学の学生4名と私立大学の学生2名が来てくれて、いろんな意見を聞くことができました。
その中で、報道等もされていますけれども、地元の大学がもしなければ進学自体を諦めていたというようなことを言っている学生もおりまして、そういう意味で、このまま地方から大学がなくなっていった場合に、そういった若者たちの未来がどうなっていくんだろうというようなことにも思いをはせたところです。その社会的な損失の大きさというものを感じて、地域における高等教育へのアクセスの重要性を改めて感じることができました。
加えて、いろいろ話を聞くと、高校時代の、例えば、地域に出ていっての探究活動などが地元大学への進学を後押ししたんだというようなお話も複数聞くことができて、そういう意味で、地方大学が地元の高校の、特に探求なんかとタッグを組みながら、学びの高大接続をしっかりやっていくということの重要性も感じることができました。
地域の大学が地域とともに若者を育てようとしたときに、そこに関わる先生たちの評価みたいなことにも議論がいって、なかなかそこが評価されないところがつらいところなんだみたいなお話もあって、そういったところも考えていかなければいけないなということでございます。
また、次に、福井県から仁愛大学さんという大学さんに来ていただいて、ここは保育士養成を県内で唯一やっている大学なのですけれども、福井県が一つの大学、特に私立大学ですけれども、そこをしっかり財政的にも支援をして支えているという事例でした。
今後一層各地の自治体に自分事として大学を捉えてもらえるような仕掛けが必要なんだなということ、同時に、現場の先生たちとか学生さん、卒業生さんのお話も聞けたのですけれども、すごくしっかり丁寧にすばらしい教育をされているんですね。だけれども、正直言うと、なかなか定員がというところもある。だから、その定員充足ということと教育の質を併せて考えるということがいかにナンセンスかというようなことも感じた次第ではありました。
それから、経団連さんのお話なんかもお聞きする機会があって、地域とは何かという議論もいたしました。それは主体によっていろいろ考え方が違って、経団連さんとかは、やっぱり500万人規模ぐらいの広域圏で考えていく必要があるのではないかというような御提案もいただいたし、とはいえ、商工会議所であれば、基礎自治体単位だよねとか、そういうなかなか定まらない議論ではあるのですけれども、そんなところでありました。
いずれにしても、地域の未来を議論して、実行に移し、チームをつくっていくときには、自治体の長の皆さんのリーダーシップも非常に重要になるということで、大学だけの話にとどまらないということです。会議体では他省庁の皆さんにもオブザーバーで来ていただいて、タッグを組み始めているというところで、省庁間の緊密な連携も必要になってくるということです。
あとは、結構重要なポイントで、コーディネーターですね。地域のプラットフォームや連携推進法人を組むときに、コーディネーターがどんな人が必要なのかというような議論もあって、これ、意外とコーディネーターと言っていたら、委員の中でもイメージが全然違ったみたいなことがあって、産学官の連携を育むのがコーディネーターだ、これもまさにそうだ。ただ一方で、大学同士の議論を促進して、適正規模と連携をつくっていく、これもコーディネーターだと。これ、多分役割違うよねなんていうことで、名称も含めて今後検討していく必要があるなと。一人では多分無理なのかもしれないみたいなことも見えてきたところです。
今後、会議でまた継続して議論をしていきます。地域大学振興プランというのをしっかりと立てながら、毎年更新をするような形で進めてまいりますけれども、地域大学の振興を支えていくということが必要で、その最初の取組として、今日提案をさせていただく地域アクセス特例であるとか、首都圏の大学さんが地方に行っていろんな活動をするときの支援であるとか、あるいは、連携のための組織形成、あるいは、コーディネーターの配置の支援、そういったことをまず進めながら、より一層の議論を深めていきたいと思っているところです。御審議いただければ幸いです。
ありがとうございました。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
せんだっての答申の一つの重要な核であるアクセスの問題を中心に、特に地域をどうするかということを含めて議論されているということだと思います。
それでは、今の御報告、御意見につきまして、何か発言があれば。
では、まず益戸委員からお願いいたします。
【益戸委員】
UiPathの益戸です。
只今の御説明を聞いて、去年答申をつくるに当たっては、大きな議論をやって参りましたが、それを受けて非常に細かく丁寧に議論が進行している事を十分感じる事が出来て安心いたしました。大変ありがたいことだと、まず感謝を申し上げたいと思います。
この大学設置基準の改正は、たいそう重たく、かつ例外規定も多く壁が高い議論の様に思えますが今の解説の中で、大学設置基準を変えないと前に進まないことがたくさんある事が良くわかります。それを変えていくというのは、今や当たり前のことですから、大げさ
なことと捉えずに、改革していく正しい道を進みましょう。
しかも、この議論の中で、色々な立場の方の御意見を聞いていただいています。去年は
我々、頭の中で想像しながら議論を進めていたと思いますが、そうではなくて、きっち
り現場の皆さんの御意見を聞きながらの議論を通して、例外をつくるのではなくて、自然に大学設置基準は変わっていくもの、かつ、そのためにはスピード感を持ってやらなければいけないということが浮き彫りになりました。もちろん、これは大学だけではなくそれ以外の高等教育機関の在り方についても後押しをしていく事につながります。
全国各地で努力している学修者のために、少しでも様々な事情に合う様に変えていく主旨だと理解をいたしました。大賛成でございます。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
この議論、まださらに続くということだろうと思いますので。
【大森委員】 またもっと具体を絞って。
【吉岡分科会長】 具体のほうにということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今の御意見も踏まえまして、パブリックコメントがこの後行われるということですので、そういう手続を進めていただければと思います。その上で、改めてここに諮っていただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。オンラインのほうも大丈夫ですね。
続きまして、(2)の「教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ ここまでの議論の整理」です。
まずは事務局から説明いただいた後に、教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループの座長を務めていらっしゃる森委員からもコメントをいただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。
【鈴木大学設置・評価室長】 大学設置・評価室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
資料2-1と2-2を使って御説明させていただきます。
本ワーキングは、本年2月に出された「知の総和」答申において、教育研究の質の更なる高度化を図るために、新たな質保証向上システムの構築、認証評価の見直しが提言されたことを受けて、質向上・質保証システム部会の下に設置されたものでございます。
ここにいらっしゃる森委員を座長といたしまして、5月12日の第1回開催から3か月間で6回の審議を行いまして、認証評価を実施している機関別認証評価機関、分野別認証評価機関、認証評価を受審する高等教育機関の各種団体、高等教育との接続の観点から、高等学校関係者、経済団体からも幅広く意見をいただくとともに、委員の皆様の意見を踏まえて、今回、議論の整理をまとめたところでございます。
資料2-1を御覧いただければと思います。ワーキングのこれまでの議論の整理をまとめたものの概要でございます。第1部、第2部という形で二部構成にしております。
まず、第1部の新たな評価の基本的な考え方です。認証評価制度につきましては、20年経過しまして、認証評価機関の様々な改善・工夫の結果、高等教育機関の内部保証システムの導入に寄与していると考えているところでございます。その一方で、ヒアリングやこれまでの答申において以下のような課題が指摘されているところでございます。
1つ目といたしましては、社会からの期待は、高等教育機関の「教育の質」をしっかり評価し、社会に対してそれを公表していくことであると考えられておりますけれども、複数の評価基準等の評価結果の分かりづらさが生じているなどにより、その期待に十分果たしていないのではないかということでございます。
2つ目でございますけれども、いわゆる評価の「負担感」、この評価がどのように使われているのかという評価者・被評価者ともにインセンティブがないということの「徒労感」があるのではないか、という点でございます。
3つ目でございますけれども、認証評価制度に伴って、高等教育機関の改革にはつながったと認識しておりますが、学部・学科における学生の学びと成長に寄与するカリキュラムの改善まで十分まだ至っていないのではないかという課題が指摘されたところでございます。
その上で、「知の総和」答申において、やはり学生が生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を身につけて、学生自身が学修成果とか成長を実感できるように、高等教育機関は、学生の学ぶ意欲を醸成して、成長を後押しするために、「教育の質」を不断に見直すことが必要であること、また、そうであるならば、高等教育機関は、絶えず教育の改善に取り組む必要があるだろうということで、まさにこの「教育の質」を向上させ、「教育の改善」を促すことが必要とされたところです。そのためには、内部質保証をしっかり行うとともに、認証評価制度を見直し、「新たな評価」への転換を図っていくべきではないかということが書かれたところでございます。
その上で、改革の大きい方向性として3点挙げさせていただいているところでございます。
1つ目につきましては、学修者本位の教育を引き出す評価制度の構築ということで、学位を授与する過程で3ポリシーを基盤とする教育成果と学生が在学中にどれくらい成長したかについて、学生自身が成長実感やステークホルダーによる評価で可視化し、教育改善が進められているかという観点を評価すべきということ。
2つ目でございますけれども、やはり高等教育機関はこれまで以上に自ら行う教育活動に対して社会からの理解と支持を得ることが必要ということで、社会に理解されやすい形で、この新たな評価制度の結果については公表される仕組みが必要であろうということ。
3点目でございますけれども、先ほども課題にありましたように、「負担感」、「徒労感」というところにつきまして、その解消のために、真に必要な評価の項目を厳選した上で、データベースなどを積極的に活用して、「負担感」、「徒労感」を解消していこうという、3つの方向性で検討を行ってきたところでございます。
その上で、第2部として新たな評価制度の基本的な枠組みということで、1から5の項目ごとにこれまでの議論をまとめさせていただいたところでございます。
1つ目の評価の主体でございますけれども、現行の認証評価機関、16機関ございます。各機関が、今大学教員らを中心とした、要はピア・レビューを基本として行っておりますけれども、より幅広い方から評価の参画も検討したらどうかということ。評価機関が複数存在するということであれば、評価基準の観点のばらつきをなくすために調整組織の設置を検討してはどうかということ。評価機関についても適正に評価が行われているかということを文部科学大臣が確認するシステムを設けることも検討してはどうかとされているところでございます。
2つ目の評価の対象でございますけれども、いわゆる学生が学修成果を上げられているかという点の可視化を重視するのであれば、学位分野に基づく学部・学科、研究科ごとの教育の質の評価を重視する制度設計に向けて、引き続き検討していくべきではないかとされたところです。
3つ目、評価の視点でございますけれども、「新たな評価」については、養成すべき人材像がディプロマ・ポリシーに照らして学生が必要な学修成果が上げられているかという点を可視化して、教育改善へ活用されているかという点を評価の中心に据える。この観点からの評価に注力できるように、評価の項目を検討すべきではないか。
であるならば、その項目・指標等を共通化して、具体的にどういう評価基準・項目、指標を使っていくかという、そのモデルを示すことを引き続き検討していこうとされたところでございます。
学修成果の可視化につきましては、いわゆる成績等の直接評価と学生アンケート等の間接評価の双方の観点で行うことが重要ではないかという御指摘をいただいているところでございます。
3ポツの一番最後の5番目のところでございますけれども、「新たな評価」制度は、いわゆる各高等教育機関が将来を見据えた養成すべき人材像、それぞれディプロマ・ポリシー等に掲げられた学生が在学中に必要な資質・能力を身につけることができたかという学修成果を評価するということになります。社会の変化、地域のニーズも変化する中で、現在の各高等教育機関が掲げているいわゆるディプロマ・ポリシー等が具体的に十分なものになっているかという再検証が必要であろうということが言われているところでございます。
4番目、評価の手続でございますけれども、これについては、いわゆる段階別評価の導入を検討するというふうに言われたところでございます。これにつきましては、大学をはじめとする高等教育機関の役割というのは、学生の資質・能力を最大限伸ばして、社会の原動力となる人材を養成することでございます。現在も、偏差値や立地等といった、必ずしも各機関の教育の質とは直接関係のない価値判断で社会的評価とか進路選択が行われていることが現状でございますので、このような現状を打破するために、教育の質を分かりやすく評価・発信することが必要であるということ。また、よりよい、高い評価を得ているものがあるのであれば、各高等教育機関、そういう高い評価をされた先進的取組・課題を把握・共有しやすくなるのではないか、それによって自己改革・自己改善が進むのでないかということで、段階的評価の導入を指摘いただいているところでございます。
4ポツの2つ目でございますけれども、その評価の手続の効率化というところに関しては、データベースの構築・活用を検討した上で、実地調査については、現在細目省令で義務づけられているところでございますけれども、これについては、実施義務の撤廃を図った上で、一定の条件の下において実施するか否か評価機関の判断とする方向で検討してはどうかとしているところでございます。
5ポツの評価結果の公表・活用につきましては、評価結果を一元的に公表し、分かりやすく公表するということ。さらに、その評価結果について、国の政策に活用することなどのインセンティブを検討してはどうかということが、現時点で議論の中で整理されたところでございます。
本日紹介した内容はまだ議論の過程でございますので、引き続き、ワーキングでまとめた方向性を踏まえながら、これからさらに細かい制度設計について議論を深めていきたいと考えているところでございます。
では、森委員、よろしくお願いいたします。
【吉岡分科会長】 よろしくお願いします。
【森委員】 ありがとうございます。今回ワーキンググループ長を拝命いたしました森でございます。
このワーキンググループは、本分科会の下に特別部会、伊藤委員が座長でございますけれども、そこのさらに下に設置されたワーキンググループでございます。
今、鈴木室長のほうから御説明がありましたが、結構細かい話なので、なかなか難しいところもあるかもしれません。そして、20年たった認証評価が大きく変わるということで、大学もどのように変わるのかということで、非常に注目も浴びているというふうに思っております。
このワーキンググループでは、先ほど3か月6回という話がありましたけれども、大変密な、そして熱い議論をさせていただきました。そこの根幹にあるのは、やはり18歳人口の減において、「知の総和」答申で示されたように、学生一人一人の能力をどうやって最大限に伸ばしていくのかと、その大学はどうあるべきなのかといったようなことを中心に議論をしたということでございます。
特に認証評価に関しては、もう既に20年経過をしているという中で、これまでは大学の文化の基盤であるピア・レビューを行いながら、認証評価機関が非常に丁寧に評価を行ってくださっていたところではございます。ただ、そこの中で、今回ありますように、社会に開かれた高等教育機関というところを注意すれば、やはり社会的な機能といったようなものをしっかりと大学も示していかなければならないと考えたところでございます。
よって、高校生を送り出していただくような高校、そして、大学生が巣立っていく経済界や地域社会、こういったようなところから丁寧にヒアリングを行わせていただきまして、そこの中からどういうニーズがあるのかといったようなところを今回丁寧に整理したところ、やはり人材育成というところに特化をすることが必要なのではないかなというふうに考えた次第でございます。
大学は当然ながら教育・研究・社会貢献という大きな三本柱がありまして、特に研究といったようなところは大学の大きなミッションではございますけれども、その研究を通じて教育を行っていくということ。私ども大学は研究機関だけではございませんので、そういう意味では、しっかり人材育成を行っていこうということで、今回のワーキンググループでは、教育に特化するというところを大きく方向性としてお示ししたということになります。
そこの中でも、部局別であるとか、段階別評価とか、様々な少し刺激的なキーワードも入ってございますけれども、大事なのは、やはりどのような学生たちを育てていくべきか、この生成AIが基盤となっていくような知識社会におきまして、どのような人を育てていくのかというところをしっかりといま一度各大学が見据えていくということがまず大事ということですので、人材育成目標やディプロマ・ポリシーといったようなものの見直しは必須になるのではないかなと思っております。
そして、新しい評価におきましては、教育目標と評価の一体化ということを考えておりますので、掲げた目標がやはりどれだけ達成できているのかといったようなところを、自大学のPDCAを回すだけではなくて、しっかり社会にもお示ししていくということが重要ということであれば、もう一度申し上げますけれども、ディプロマ・ポリシーや人材育成目標のもう一度の見直しが必要ということになるかなと思っております。
最後しーんとしてしまったのでちょっとどきどきしておりますけれども、今回のこのワーキンググループに関しましては、新しい評価において、もう一度ねじを巻き直すというところがすごく重要なのかなと思っておりまして、できましたら、これは各大学がもう一度頑張って教育の改革を行っていこうといったような後押しになることを願っているということでございます。
私からは以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
評価の問題というのは、もう随分長い間、議論が続いている論点だと思います。
それでは、御自由に御意見いただければと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
では、大森委員、どうぞ。
【大森委員】 御説明ありがとうございました。
教育に集中して検討していくということと、学生の成長ということにコミットしていくということも大賛成でございます。
それを前提になんですけれども、今まで学修成果の可視化みたいなことは教学マネジメント指針の中で議論をしてきたところもあったと思います。そこでは、立派なポリシーを非常に重要なものとして置きながら、そこへの達成というものを学位プログラムごとにDPが決まっているのであるのだから、その達成をどう見ていくかは、そのDPによっても変わってくるだろうから、そこは各大学さん、努力して頑張って、自分の工夫で頑張ろうねという、そんな書きっぷりで指針ができていたと思います。
そのことと、今回のこの自己改善につながる評価、絶対評価というお話とか、評価基準とか項目・指標等のモデルということとは、これどういう関係になるのかという。つまり、各大学が今まで努力して可視化をしようとしてきたことと、この今お考えのことは、すり合わされるのか、全く違うフェーズの議論になっているのか。まだ中間だというのは重々承知しながらですが、教えていただければと思います。
【吉岡分科会長】 それは、では、事務局のほうから。
【鈴木大学設置・評価室長】 大森先生、意見ありがとうございます。
もちろん、これまでも高等教育機関でディプロマ・ポリシーをそれぞれ掲げて、それに向かって学生を育ててきたと思います。まさに我々、さっき森委員からもありましたように、それを後押しするような評価制度ということを考えてございますので、そこはまた別物というよりも、ちゃんとすり合わせる形で、我々としては新しい評価制度を構築していきたいというふうに考えているところでございます。
【森委員】 補足してもよろしいですか。
【吉岡分科会長】 どうぞ。
【森委員】 すみません。補足をさせていただきます。
上位のシステム部会のほうでも議論になったことでございます。そこの中で、やはり日本の大学として、学位の保証という観点では、質の保証の部分というのは絶対にあると。これはやっぱり共通性があってしかるべきであるというところ。その上で、質向上の部分というのは、それぞれの大学が自分たちの目の前にいる学生たちのために様々な努力をするところでございますので、そこは多様性があるべきであろうというふうな考え方ですので、質保証と質向上の部分を分けて考えていくべきではないかという議論があったということですので、次のワーキンググループでは、その辺りから議論してまいりたいと思っているところでございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
それでは、挙手の順番が若干前後するかもしれませんが、順番にお願いします。
では、まず安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】 安孫子でございます。
それでは、企業の立場から、評価の視点について意見を述べたいと思います。
企業であれば、どんな成果を上げたかが評価の重要な視点になります。評価には大きく2つあって、形式的価値と意味的価値があります。形式的価値は、これまで以上の売上げ利益を上げたか、または今までにない仕組みの導入で状態が大きく変わったかという、数値で表現できる成果を評価するものですが、意味的価値は、リーダーシップなど、企業が求める人物像に対してコンピテンシーを設置して、上司の達成度を評価するもので、数値で表しづらい側面があります。
そして、この形式的価値と意味的価値は二項動態であり、特に数値で結果を出しづらい意味的価値、このコンピテンシーは、上司が日頃から部下の仕事に寄り添わずには評価できないものです。また、本音のコミュニケーションが取れるエンゲージメントが双方になければ、何に困り、どんな壁に当たって、将来どんな成長を遂げたいのか、それが分からずに適切なアドバイスはできません。だからこそ、今ほぼほとんどの企業では、1on1、これが学習の質向上のベースになっています。
1990年代からのVUCA、それが今、2020年からBANIという、今の時代は、さらに人の感情や内面の混乱が伴う難しい時代になっているとともに、利益を上げづらい世界情勢の中、皆忙しくコスト削減対策に奮闘しており、1on1に費やす時間の捻出が難しい状況であります。したがって、この1on1という重要な評価ベースにあるプロセスでAIを導入する企業が大変増えてきているのも事実で、弊社もただいま準備中であります。
高等教育でアクティブ・ラーニングの導入を積極的に行っているということを読み、そして、いかに教員側が生徒側に寄り添う教育方法に変わりつつあると強く感じています。そのためには、やはり分業体制をどうするのかが重要であって、産官学の連携、地域との連携、その中でも、もっとイージーに周囲の実践知を持ったスペシャリストが学生の学びに寄り添いフィードバックできるようなバックアップ体制が必要ではないかなと感じています。
今はまだそういった周囲の有識者、経験値を持った人たちがなかなかこういった高等教育に関与できない、そういう難しい状況であるために、この辺も一緒にぜひお考えいただければと思いました。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
それでは、栗本委員、お願いします。
【栗本委員】 栗本です。
今回の新たな認証評価の策定に関して、多岐にわたる御議論をいただき、ワーキンググループ長の森先生、そして鈴木室長、ありがとうございます。評価の主体、対象、視点、手続、そして結果の公表・活用、多岐にわたって丁寧に議論がなされている内容を拝見させていただきました。
今回の大きな流れとして、従来の機関認証から、学位分野を意識した学修成果に重きをおく、スクール認証もしくはプログラム認証に移行する方向で検討がなされていると理解いたしました。その上で、3点ほどコメントさせていただきたいと思います。
1点目は、評価の視点が、ディプロマ・ポリシーそれ自体も見直しながら、そのポリシーに照らして、学修成果を可視化しながら教育の改善活動を促す、とあり従前以上に、何を教えるのか、もしくは誰が教えるのか、さらには教授法としてどのように教えるのか、といったカリキュラムの質的改善が鍵になるのだと思います。
この流れにおいて、現行制度よりも一歩踏み込んだ実質的な改善を大学に求めて、新たな認証評価が戦略的なガバナンスドライバーとして機能し始めることを期待します。
今後、具体的な評価基準や評価項目に関して、標準化されたものが考案されてくると思います。ぜひ、各大学の強みを表現できるような、あるいは知恵を出していけるような余地が残されていると良いのではないでしょうか。
2点目は、後半に御説明のありました実地調査に関することです。この文章だけ見ますと、義務ではなく、一定の条件下で行われ、それ以外は認証機関に委ねるという形で現状では検討なされているようです。極論を申し上げますと、対面での実地調査が省略され過ぎますと、実態の把握であるとか建設的な対話、そういった機会が損なわれるおそれがございます。今回、新しい認証評価が学位分野・単位になりますので、例えばですが、毎回一つの学位領域のみ選択して実地調査を組み合わせるとか、そのような形で省力化しながらも対話型の調査を設計する余地があってもよいのではないかと感じた次第です。
当然、データベースを使った効率化というのも大切ですが、現場との対話を通じたコンテクスト、数字の裏側にあるコンテクストを理解することも認証においては大切だと私は意識しております。自らの経験として、書面では見えにくい重要な側面を訪問時に気がついたこともありました。
最後になります。先ほど森先生も御指摘されましたように、AIもしくはデータサイエンス、そういった成長領域が、今後多くの大学で強化されてくるのだと思います。そうしますと、複数の学部や学科にまたがった学位横断的なカリキュラムの質改善を、どのように学位プログラム単位の認証で求めていくのか。ここは少し工夫していかないといけないのだろうと思います。専門教育と教養教育の質向上の取組、その双方に光が当たると良いのではないでしょうか。
以上3点でございました。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
何か今の段階で。後でももちろん構いませんが、まとめてでよろしいですか。ありがとうございます。
それでは、上田委員、お願いいたします。
【上田委員】 ありがとうございます。上田です。
認証評価ということで、私どもも今現在、来年の機関別認証評価の準備をしているところで、ちょうどその作業を考えながら、このワーキングの議論を見せていただいておりました。
やはりどうしても今の評価制度というのは、「適」を得るために、6年に1回見直して準備をするというようなものになりがちでありまして、やはり学修・教育の質向上に向けて、どのように日頃から変わっていっているのかというのが分かるようになっていないのではないかなと思っております。
私どもは学校規模が小さくて、認証評価を受けるのにも、事務職員だけではなく、教員も一緒にやっているところがございますが、関わっている教員以外は、何かすごく大変なことを、合格・適を取るために細かいことまでやらされているというような、教員一人一人がこの認証評価を質向上に向けたものであるというふうに捉えていないというところが、私は非常に問題かなと思っております。
そのために、やはりデータベースを構築するという提案がございましたけれども、これは、例えば、認証評価のときだけではなく、ずっと同じようなデータベースにデータを追加していって、どのように変わっていっているのかということが見られるようになれば、お互いの作業に対する徒労感というのも少なくなるのではないかというふうに思っております。
そういうデータベースを、最近の生成AIは分析もしてくれますので、そういうものを使いながら、各大学が、高専も含めてですけれども、どのように継続的に変わっているかというのが分かるような評価になればいいなと思っております。
それから、一つ、インセンティブの最後にございましたけれども、このインセンティブの考え方には大変賛同いたします。やはり受けるほうにとってもインセンティブがあるということで、もっと前向きに評価を受けるということになろうかと思います。
以上になります。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
続きまして、田中委員、お願いします。
【田中委員】 よろしくお願いします。田中でございます。2点ございます。
まず、新たな評価制度の基本的な枠組みの中の3になるのでしょうか。評価の視点というところで、何を評価するかというところなんですが、教学マネジメント指針では、学修成果・教育成果の把握・可視化というふうに言われており、学修成果というのは、学修目標であるとかディプロマ・ポリシー等々で把握しやすいものと思うんですが、教育成果とした場合、「何を評価する」と言ったときに、なかなか難しいところがあると思います。この事は、教学マネジメントの中においても、「把握・可視化を行うに当たっては限界もあるということも考えながら」ということが指摘されておりますので、ぜひ、「何を評価するのか」について、新たな評価としてお考えいただけるといいかなというのが1点目でございます。
2点目としましては、同じ基本的な枠組みの4番に当たる評価の手続でございますが、自己改善につながるように段階別評価の導入を絶対評価においてというところの案が出されておりますけれども、やはり段階というか、ランキングされてしまいますと、それが評価として独り歩きをする可能性がございます。大学のランクみたいな捉え方をされてしまうと、アクセスという問題にも非常に関わってくると思いますので、段階別評価というところのありようというか、結果の公表の仕方というところにおいては、工夫をしていただかないと、現場のほうはかなり困った状況になるのではないかなと考える次第でございます。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
志賀委員、お願いします。
【志賀委員】 ありがとうございます。
毎度ながら、認証評価機関の理事でもありますので、幾つか。実は、評価機関の各5団体からも多分、文部科学省にはいろいろな意見があるかと思いますが、今日は私、ちょっと絞って、3点だけ、前提の課題のもう少し精査をお願いしたいということで申し上げたいと思います。
まず1点目、資料2-2、本文のほうの1ページ目から2ページ目にかけての記述ですが、この認証評価、アメリカを参考にしながら、実態はアメリカと違うということをわざわざ書いているんですけれども、何が言いたいかちょっと分からない部分があります。
そもそも認証評価というのは、本日議論があることのほかにも、2000年代にヨーロッパで教育の質や学位が比較できるようにしたほうがいいという動きで始まったと記憶、そういった要因もあったと記憶しております。
アメリカは確かに州によって法も違うので、民間団体ではやっていますけれども、学位の国際通用性という意味では、各国の法令に準拠しつつも、学修成果、ラーニングアウトカムを基軸とした評価システムについてはそんなに変わらないと思いますが、わざわざこう書いたということは、今後はそういった欧米を含めた国際通用性はどうでもいいから、日本は独自の評価基準を展開するというふうにも受け取られてしまいます。なぜこれを書いたかの意図とか、よろしければ後でお聞かせいただきたいということと、歴史の中でちょっと書いただけですというのであれば、もう少し書き方を変えていただきたいというのが1点。
続いて、2ページ目の丸1の一番上のポツ、今日も述べられましたけれども、もう少し認証評価については、「教育の質」を明示することを世間が期待しているかのような指摘があると書いてありますが、私、7月28日のこのワーキンググループで各経済団体のヒアリングの資料しか読んでいませんが、その中に、身も蓋もないこととして、商工会議所さんの資料の中に、認証評価をほとんど知らない、あるいは、評価があってもあまり使うつもりはないという表記がありました。あわせて、ほかの評価団体さんの表記を見ていても、この20年の評価に対する批判というふうな記述はほとんどなくて、どちらかと言ったら、今回の答申をお読みになって、各団体の担当者の方が評価に期待することを記載されたような、そういう記載があって、本当に世間はこういったことを期待しているのかということを改めて裏を取っていただきたいと思います。
例えば、私は、地元では学校法人だって経済人なんですけれども、あるとき都市部の大規模大学から採用が来たので採用したら3日で辞めた人がいます。うちの事務職員で。そこの学校のディプロマ・ポリシーを読むと、自分のキャリア形成ができる者と書いてあって、要は、今何が言いたいかというと、本来経済団体がちゃんと今までの評価結果を読んでそれを批判するのであれば、あなたたち、こんなふうにディプロマ・ポリシーに書いていたけど、そのとおりの人材を輩出していないじゃないかという批判は絶対ありますし、そういうふうな批判が出てくると思ったら、ほとんどそういうのが経済団体からの意見になります。これは、要は、社会的な機能を本当に認証評価は必要としているかどうかということであります。
視点を変えると、実は認証評価機関の現時点の5団体の事業目的や設立趣意書を見ると、そんな社会への説明責任といったような記述はありません。全ての団体は、各大学、会員校等の教育の改革・改善の支援というのを、全ての団体、言葉遣いは違っていますけれども、書いています。つまり、認証評価機関は、それ自体が説明責任や情報公開の義務を負っているわけではなくて、それはあくまで各大学が法令によって自己点検・評価をし、認証評価を受け、情報公開をする、そのお手伝いをしているというふうな立場なんですね。ですから、経済団体のこの見解も、当たり前と言えば当たり前なんです。
ですから、もしかすると認証評価機関がこれまでもそんな責任があったかのようなことをお考えの方がいらっしゃるかもしれませんが、そうするのであれば、今後、認証評価機関に、目的を変えてそういうふうな責任も負ってくださいという、定款ではないですけど、それぞれの認証評価機関にそれを求めなくてはいけなくなる。か、認証評価機関は今までどおりとして、別の違う評価の在り方の組織をつくるか。この中で、今、調整組織の検討が必要というふうに文章には書かれておりますけれども、そこがより今回のニーズに合ったような説明責任を負うような別のをつくるか、今の評価機関に変えろと言うか、どちらかになってしまいます。
ですから、評価機関としては、本当にこのようなことが実現できるのか、これ、3点目ですけれども、例えば、分野別評価って、分野ってどれぐらいに分けるんだろう、どれだけの先生が評価に要るのだろう、そして、それについて段階的評価とかどういう基準でするんだろうというふうなことなど、実現可能性については、今、評価機関の間では、本当にこれできるんだろうかということで、不安の声が上がっているというところは御承知おきください。
そして、一方で、学修成果の可視化ということについては、今もう既にそういうことはやっている場合が多いです。ただ、その可視化されたものがいいか、悪いかの判断というのは大学のほうに任せているのであって、評価機関までそこに手を入れてしまうと、いろいろ公平性とか、そういったものに抵触するのではないかという、そこの不安もあります。
ですから、評価機関としては、今までの機能を維持しつつも追加と言われると、本当に実現可能性について不安がありますので、調整組織と言わず、別のちゃんとした責任性と秘匿性といいますか、そういったところを持ったような組織をつくられるのであれば、むしろぜひそちら側にこの機能を活用していただきたいと思います。
私からはひとまず以上ですが、もしかしたら、また事務局にはいっぱいメールを送るかもしれません。申し訳ないですが、よろしくお願いします。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
事務局から今の段階で何かありますか。もちろん後でも構わないんですけど。では、後でまとめたときに。幾らか事務局への質問も含まれていたので、お願いいたします。
では、続いて、松下委員、お願いします。
【松下委員】 ありがとうございます。
ここまでのおまとめ、ありがとうございます。特にやっぱり評価負担に対する配慮というのは非常に必要なことなので、ぜひ進めていただきたいと思います。
その上で、幾つか質問させてください。
まず、評価と言ったときに、英語だとevaluationとかassessment、そして、認証評価については大体accreditationがほぼ対応するわけですけれども、ここではずっと評価というふうに書いてありますので、もちろん認証評価のことであるということは分かるんですけれども、その認証評価をやるときにも、大学の中での様々な評価との関係というのも必要になってきますので、なるべく認証評価のときは認証評価と書いていただいたほうが分かりやすいなというふうに思います。
と言いますのも、先ほど最初に大森委員がお尋ねになったこととも関係するんですが、教学マネジメント指針のときには、授業科目レベル、それから学位プログラムレベル、大学全体レベルという、この3つのレベルの関係というのを見ていくということが言われました。そういった大学の中での様々なレベルでの評価と、もちろんそれを関係づけながら認証評価が行われるわけで、どこの評価のことを今議論しているのかということがより分かりやすくなるような書き方にしていただければと思います。
今回、大学の中での今申し上げたような様々なレベルでの評価、特に今回、教育・学修の質向上ということですので、そういった様々なレベルでの評価との関係というのが非常に重要になってくると思うんですが、そこがまだあまり議論されていないのかなという印象を受けました。
2番目に、定性的評価とか絶対評価ということが重視されているということですね。絶対評価ということが言われているんですけれども、これもとても重要なことだとは思いますが、絶対評価ってともすれば少しインフレになりやすいんですね。成績評価の場合もそうですけれども。なので、絶対評価をやるときには、必ず評価基準の設定とか、その評価基準についてのキャリブレーションというか、基準合わせ、そういったものが必要になります。ですので、絶対評価とか定性的評価というのを重視される場合は、ぜひそういったところでそれを補強するようなロジックという説明も付け加えていただければと思います。
すみません。以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございました。
それでは、次は、北畑委員、お願いします。
【北畑委員】 ありがとうございます。北畑でございます。2点御意見申し上げます。
800大学を分野別に審査するというと、作業量が物すごいことになるなという気がいたしまして、そこで、さっきもちょっと意見が出たように思いますけど、最近はやりの生成AIを審査の前さばきで活用したらどうかと思います。
これは教育機関ではないんですが、企業のサステナビリティを審査するEcoVadisという、フランスに本拠を置く審査機関があるんですが、制度発足から18年で15万社を審査した。年間1万社近く審査をしているんですけれども、審査の方法は、ここに申請をすると、業種別、企業の企業別に質問が来ます。それは、多国籍企業はこれとか、零細企業はこれというふうに少し審査項目は違うんですけど、それで多数の質問が来まして、それに対して回答をエビデンス付きで出すということになっていまして、エビデンスがないと回答ができないと、こういうことになっております。
審査は、専門家による分析とAIによる審査の二本立てです。AIは、公表されたデータを大量に集めるというのは得意分野でありますので、申請の中に、例えば、隠していた不祥事が報道されていれば、そういうのもピックアップしてくるということで、これを使っているというのが一つのみそだと思います。
それで、その結果をプラチナ・金・銀・銅というまさに複数段階評価していまして、メダルがもらえるということです。メダルは上位35%で、プラチナだと上位1%に入らなければいけない、そういう基準がしっかりしていまして、メダルをもらえなかった方も、この制度に引き続き努力しますというコミットメントメダルとか、18か月で改善をしたので改善賞みたいなメダルももらえるということになっておるようでございます。
こういう仕組み、教育関係で直ちに同じようにできないかもしれませんけれども、電子申請をやるというのが実地調査に代わる部分として随分使えるのではないかと思いますし、AIに課題はあると思いますけれども、私どもの場合は、公表データ以外も、今度できるデータベースとか、文部科学省さんとかいろんな調査機関が持っている非公開データも、何か制約をつけてこの中に入れると、より精度の高い、公平で納得感のある審査をして、それに専門家が加味をすると、そういうことをやってみたらどうかなと思うのが1点目です。
2点目は質問なんですが、6年に1回ぐらいという評価のようでございますけど、隙間の5年間はどうするんだろうということなんですね。低い評価を受けた大学は、直ちに努力をすると思うんですけれども、その努力みたいなものは6年待たないと評価されないというのは大変なので、ここは上場企業がやっているコーポレートガバナンス・コード、適合性を自己判断する、適合しないときにはexplain、説明をする、そしてそれを公表するというような仕組みが出てきているので、隙間の5年間は、自己適合評価とそれを公表して評価を受ける、そんなことで5年間しのぐということなんかをやってみたらどうかなと思います。
以上2点でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、冨永委員、お願いします。
【冨永委員】 私は1点でありまして、先ほどどなたかがおっしゃったように、データベース化をぜひお願いしたいと思います。大学は現在、複数の評価が並行して行われている状況もありますので、できるだけ評価指標を厳選し、その定義を統一していただけるとありがたいです。同じ評価項目でも微妙に定義が異なる場合があり、現場はなかなか大変なんですね。そのような形でデータベース化をした上で、もし調査で必要なことがあれば共通データベースを作成し、調査ごとに必要な項目だけを加える形にしていただけると非常にありがたいと思っています。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、和田委員、お願いします。
【和田副文科会長】 ありがとうございます。
まずは、お取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
今回、人材育成という、この評価の検討の在り方の目的について伺いました。その点で3つございます。
1つ目は、この目的に沿って評価がよりよい人材育成につながっていく、これがきちんと見えることが重要な気がします。つまり、活用の結果ということです。ディプロマ・ポリシー等の再検討や、あるいは、カリキュラムの改善など、具体的な改善から人材育成の質の向上につながっていくということがルートとして見えるということが重要な気がしています。
2つ目は、国際性です。資料2-2の2ページ目に、国際通用性のある評価基準との整合性という言葉がございます。留学生も増えていくと思います。また、多文化共修ということも重要な要素です。国際という視点も引き続き議論をいただければと思います。
3つ目は、AIとの関係です。これも4ページに、AI技術の更なる進化という言葉がございます。AIが進化する中での教育の評価というのがどうあるべきなのか、ここも議論に重要な要素ではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
続いて、古沢委員、お願いします。
【古沢委員】 ありがとうございます。
大学の外部の視点という立場から申し上げますと、今までの認証評価制度、確かにちょっと分かりにくいですとか、大学の負担が非常に重い、社会に周知されることが少ないという面はやはりあったと思います。報道機関としても、まれに不適合のケースがあると報道するということはあったんですけど、なかなか制度の周知というのはできなかったという反省点はあります。
ただ、逆に、これだけの労力をかけて高等教育機関の質が担保されているという信頼感にもつながっていたと思っていまして、今後もその積み上げは尊重していただいて、質を担保されるような制度にしていただきたいと考えています。
学生の教育の成果とか改善状況を測るのは非常に難しいのではないかと思いまして、多様な尺度を使うことは必要だと思うんですけれど、同時に、ぜひ大学の教育の内容とか質、あるいは教育体制が広く社会に周知されて、情報公開の推進につながるような制度になってもらえればと思っています。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
続いて、吉見委員、お願いします。
【吉見委員】 ありがとうございます。吉見でございます。
大変積極的といいますか、チャレンジングな方向での整理をワーキンググループでしてくださっていて、すばらしいと思っています。
1点、コメントというか、申し上げられればと思っている点がございまして、これは最初のほうで御説明あったかと思いますけれども、非常にざっくり言っちゃえば、それぞれの大学の位置というものが、現状で言うと、受験産業が示す偏差値ランキング、これによって、言わばランキングといいますか、序列化されているという。しかし、実は、それは教育の質と極めて関係ないといいますか、入試のそのときの大学生の筆記試験に対する正答率みたいなところでのランキングであって、大学の教育の質とは全く対応していないわけです。
しかも、実際には、現在の大学の相当数が、AOですとか推薦入試というものが40%とかになってきていますから、河合塾が出している数値に本当はとらわれる必要はないんですけれども、世間一般はそれにとらわれているという、この現状をいかに打破するかという問題意識が背景にあるというふうに私は認識しています。
そうすると、この認証評価の評価というものを社会的にどうやって認知として広げていくかということが極めて重要と思います。恐らく既にいろいろな委員の方々がお話しされているとおりでございますけれども、重要なことは、1つは横断性、つまり、全ての大学がある共通の基準の下に評価されるということが必要だと思いますし、2つ目には公開性ということで、その審査というかプロセスが、既に書かれていますけれども、公開されているということ。そして、3つ目は、ある種PRというか、社会を説得するというプロセスがそこに入っているべきだと思います。
その基盤となるのは、もう既に多くの方々がおっしゃられるとおりですけれども、データベースというか、共通の情報上のデータベースを公開する形できっちり整備するということがやはり極めて重要なのではないかと私も感じるところでございます。
それから、一つ、追加でお聞きできればと思うんですけれども、2018年のグランドデザイン答申の中で出されている「学修者本位の教育」というところから考えると、例えばティーム・ティーチングとか、自分でいろいろ考えさせるということが、大学において極めて重要ということですね。
ところが、チームワークの中での学生たちのパフォーマンスをどうやって評価していけばいいのかという尺度というか、これはなかなか難しい。明確に確立されているものはないような気がしますけれども、そこの辺りも、そういうティーム・ティーチングが広がっていったほうがいいと思うんですけれども、広がっていく中で、そういうふうなところの評価、学生の伸び代をどうやって評価していくかということもぜひ御検討いただければと思いますし、他方で、先ほど来AIの話が出ていますけれども、現状、相当数の大学の学生たちが既にChatGPTなりAIを使ってレポートを書いていて、答案を出していて、先生たちは見抜けていないというのが現状です。
スタンフォード大学においても、2022年に何か調べた例があるみたいですけれども、大体スタンフォードですら、5%から7%の学生は、いろんなレポートをAIに聞いて、AIに書かせているということですので、今、一般の日本の大学の多分1割から2割ぐらいの学生は、ChatGPTに書かせて、すっとそのままレポートを出していると思います。それが現状なので、これをどうするかということは非常に重要な課題だと思います。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、濱中委員、お願いします。
【濱中委員】 よろしくお願いいたします。
今回示されました方向性、教育の可視化のシステムがより進展すること自体は、とてもよいことだと思っております。学生自身からもさらなる可視化を望む声が寄せられることもあります。加えて、大学や教員がそのことにまだ十分気づけていない現実も一部では確かにあるわけで、学部・学科の単位で取り組まれるようになるというのは、現場にとって大きな刺激になると考えております。
ただ、この新しい仕組みでどこまでのことができるのか、その射程をちょっと明確にしておく必要もあるのではないでしょうか。例えばですけれども、高等教育の大きな強みは、ゼミのような密な関係、少人数の閉じた場での成長という見方もできますが、このような場で起きていることは、第三者が外から読み解くということはできるようなものではない、担当教員ですらよく読めないということは多分にあるはずです。
何を申し上げたいかといえば、この可視化は、こうした機微な成長、学修の可視化を目指しているのではなく、大枠でのまるっとした成長と言えばいいんでしょうか、そのような成長の可視化であることを、いまいちど共有、明示すべきであると考えております。
生成AIの活用も先ほどから案として出ておりますけれども、生成AIの活用でも、やはりこれは機微を読み取るようなものではなく、学習データから大枠の傾向を可視化するという点で有効なはずです。
評価制度に過度な期待を寄せるのではなくて、制度としての意義は認めつつ、どこを捉えようとしているのか、いまだ評価に対する疑念を抱く大学関係者も少なくないことから、不要な誤解を避けるためにも、制度とかAIの仕組みが何を後押しできるのかといった視点の議論をきちんと重ねていくことが大事だと思っております。
よろしくお願いいたします。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、杉村委員、お願いします。
【杉村委員】 ありがとうございます。
今回も取りまとめをありがとうございます。また、学修・教育の質向上に向けた評価の枠組みについて議論いただいていることに感謝申し上げます。
私からは3点申し上げたいと思います。
一つ目の点は、既に御指摘がありました国際通用性のことです。高等教育には様々な立ち位置がありますが、国内のみならず海外から見たときの日本の高等教育の質向上という意味では、国際通用性の重要性は、既にほかの委員も御指摘になっているとおりです。
御参考までに、 OECDが2019年から取り組んでいる学修成果の可視化に関する取組、特にコンピテンシーで取り上げますと、批判的思考や創造性に関する取組で、ルーブリックをつくった国際比較の検証実験をされています。すでに報告書も出ておりますが、例えば、そうした学修成果の可視化の取組を日本ではどのように考えていくかといった点は、今後この制度が導入されたとき、何を評価するか、どのような方法で評価するかを考える際に、非常に参考になるのではないかと思います。
二つ目の点は、今回ディプロマ・ポリシーに注目してということですけれども、大学におります立場から言いますと、大学では、現在3つのポリシー、すなわちアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、そしてディプロマ・ポリシーの3つを組み合わせて、教育課程の議論をしております。
そうなりましたときに、出口のディプロマ・ポリシーとの整合性だけではなくて、最終的には今回の取組は、カリキュラム改善にまで持っていくというのが大きな狙いなので、大学がそれぞれつくっている、あるいは、それぞれの分野でつくっているカリキュラム・ポリシーとの整合性というのも、評価にあたり非常に大事になってくると思います。また、これは高大接続の観点から考えますと、学修者の学びに注目した場合、学生一人一人が小中高と学んできて、大学で学びをする、そのアドミッション・ポリシー、つまり入学者選抜のときに大学が立てている大きなビジョンをどのようにつなげて考えるかといった点が考えられます。こうした点も、実は最終的に評価を考えるときには大事なのではないかと思いますので、評価の視点を設定する際には、3つのポリシーとの関係をどう考えたらよいかという点もポイントであると考えます。
最後に、三つ目なのですが、海外での認証評価については、いわゆる資格枠組みのフレームワークというのをどこの国も決めています。英語ではQualification Frameworkと言って、多くの国がこれを定めています。つまり、各学位課程において、この学年を修了するとこのqualificationが認定されたというようにできるからです。
この点において、日本の資格枠組みは明確なものがまだありません。その結果、例えば、企業の方がこのレベルの学生を採りたいといったとき、どの資格認証のレベルを持った学生さんなのかといったことがやはりわかりにくい。そういうものはあまり今までは決められていないため、それぞれの基準でやっていらっしゃったと思いますけれども、これを機会に、 Qualification Framework、海外が取り入れていて、今いろんな国が導入していることから、日本も検討してみるのも一考なのではないかと思います。
以上3点で申し上げました。ありがとうございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、本間委員、お願いします。
【本間委員】 本間でございます。本当に大変な内容をお取りまとめくださいまして、ありがとうございました。
特に冒頭にありました人材育成目標ですとかDPの見直しが必須であるというところは、大学にいる者としても、やはりここをしっかりやっていかなければと思ったところでございますけれども。
やはりこの評価ということでいきますと、資料2-1の2ページ目の3ポツのところの2項目め、項目や指標を共通化するというところが一つ大きなポイントになるのだと思うのですけれども、それと同時に、2ポツ、分野に基づく学部・学科、研究科ごとの教育と。こちらは、どちらかというと、多様性というか、バリエーションを取るというところを言っているのだと思うんですけれども。この共通化して評価するという評価の軸と、それぞれの分野等々によって多様に評価していくという、その軸というのをうまく組み合わせた評価の制度設計というのを最初にしておくのは重要だなという気がいたしました。
特に、例えば、これ、学部・学科、研究科となっておりますけれども、今、私どものところでも、特に大学院のところのそういう評価をどうするのかというところが非常に大きな課題になっておりまして、3ポリシーをきっちりつくるというのはまさにやっているんですけれども、やはり今どちらかというと、学部のところで手いっぱいで、大学院はむしろ研究が中心なので、大学院の評価としては、業績を上げるですとか、学位の授与の条件として、原著論文数ですとか、そういった形で済んできたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、そうでなくて、もう少ししっかり足腰を鍛えてもらえるようなところが必要であろうということで、先ほど先生からのルーブリックのお話ございましたけれども、私ども、試行的に博士課程でルーブリックを入れているところがあるんですけれども、それは比較的学生さんにとっても、自分たちが何をやらなければいけなくて、どこまで行ったかというのが見えやすいというようなことで、それはそこの分野では割と評判がよかったです。まだまだここは改善しなければいけないと思っております。
また、多様性ということでいきますと、例えば、私どものところでかつてティーチングアワードを導入したわけなんですが、そのときに、よい授業をやった先生を表彰しましょう、じゃ、よい授業は何かというところで、学部というか、専門分野ごとにものすごく考え方が違って、とても議論が紛糾したことがございまして、そういったところを今度教育に当てると、やはり同じようなバリエーションとか違いというのが出てくると思いますので、その共通化というところと多様性というところのバランスを取りながら、どうやって設計していくかというところが非常に重要だということは私も改めて感じた次第でございます。
以上です。ありがとうございました。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
小野委員、お願いします。
【小野委員】 小野です。ありがとうございます。
先ほども大学院の人材育成という話がありましたが、最初のほうに出ていた社会に開かれた評価というお話で、より双方向的な評価の在り方ができるのではないかということを、特に博士人材の観点からお話をさせていただきたいと思います。
大学院部会のほうでも以前話が出たんですけれども、博士人材の社会での活躍をより推進していこうという中で、博士人材が社会でどのように能力を発揮できるのかという、能力を大学側が客観的に定義し提示するということが必要であると。これは先ほどのQualification Frameworkと同じようなことかなと思うんですけれども。一方で、企業側も、博士人材の専門性をいかに生かせるような業務を設計し得るかということが課題になっていて、この大学側と企業側の取組というのは、それぞれではできなくて、双方向的なやり取りが必ず必要で、この双方向的なやり取りそのものを評価システムの中に何かしらの形で組み込めないかということを、御提案というか、コメントさせていただきたいと思います。
こういう博士課程教育の質をいかに社会に開かれた形で保証できるのか。それが博士人材のところを逆に考えるきっかけになるのではないかなということで、コメントをさせていただきます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。私からも幾つか、ほとんど既に発言のあったことで重なりますが、やはり認証評価の一つの論点は、これ永田前部会長がしきりに言っておられた国際通用性といいますか、国際的な要素というのは非常に重要であるということは永田前会長が言っておられて、先ほどの杉村委員の話にもありましたけれども、例えば、留学の協定を結んだりするときに、どういう認証をきちんと受けているかというのは多分向こうから必ず問われてくるし、そうでないとこちらも送り出せないということがあって、そういう意味では、ここでの社会に向けてというときの社会というのは、単に日本国内社会だけではなくて、世界的な要素を持っているということがやっぱり一つ重要なことだろうと思います。
それから、今回の一つの目玉といいますか、中心は、やっぱり学位プログラムを中心に考えていくということだと思います。学位プログラム単位で高等教育を考えていこうというのは、グランドデザインの頃から一つの重要な流れだと思います。ただ、これ、実際には確かにいろんな学位プログラムがあるという意味では、やり方によっては単に負担が増えるということになるので、その辺の設計というのは難しいとは思いますけれども、やはり方向性としては、学位プログラムということを常に念頭に置きながらやっていくということは重要かなと思いました。
それは分野別とのつながりといいますか、いわゆる分野別の評価とどういう関係をさせるのかということでもあると思いますが、分野別については、特に理工系を中心に、もう国際的なそういういろんな評価団体があって、そこの評価団体のどこで評価されているかということが、大学の国際的なランキングというか、そういうのと結びついているようなところもあります。経営とか経済とかの分野もそうですけれども。だから、そういう意味では、今のどういう単位で考えていくのかというのはやっぱり一つの要だと思います。
そのことと、全体に係るもっと大きな話ですけれども、評価の話のときに、やっぱりこれは何のための評価なのかというのが多分一番重要で、随分議論をしてきたんですが、やっぱり何のためにやっているんだかよく分からなくなってきているところが多分大学側のほうもあるし、受ける側は大変だということになる。
場合によっては、例えば、この評価の指標はこのための評価指標であるということを明確にしないと、要するに、自分のところで組み立てているカリキュラムとこの指標とは合わないけれども、そういう指標があるのでやっているということになったりすると、負担感というか、義務感だけで、要するに、仕方なくやっているというところになると思うのです。要するに、何のためにこれをやっているのかという大きな話から、これが何のための指標であるのか、このためにこの指標がこういう理由で立っているということの明確化ですね。したがって、極端に言えば、これから外れている部分はこの指標に合わないということもあり得るかもしれないわけです。その辺も考える必要があるのかなと思いました。
そういう何のための指標なのかというのをきちんとしておかないといけないというのは、評価、特に数字とかランクみたいなもので出た場合、必ず独り歩きするので、そのためにも、これはこういうこのための評価なのだというのを明確にしていくことは必要かなと思いました。
偏差値だって、もともとはそんな意味があるものではなかったわけですが、どんどんどんどん独り歩きして、今や絶対的な評価になってしまったというところがあるわけで、そういう意味では、評価とか基準を立てるときに、やっぱりそれは何のためになのか。大きく言えば、この認証評価制度は何のためにやっている評価制度なのかということについての合意を改めてつくり直すというか、確認するという作業が並行してあるのがいいのかなと思いました。
以上です。
幾つか質問等がありましたので、では、事務局か森委員からか、いかがいたしましょうか。
【石橋大学振興課長】 まず、事務局から。
【吉岡分科会長】 では、まず事務局のほうから。では、石橋課長、お願いします。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。
各委員の先生方、本当にありがとうございました。今いただいた方向性をきちんと事務局としても整理させていただいて、またワーキングのほうで御議論いただけるようにしたいと思っておりますが、数点、御質問があった点をお答えさせていただきたいと思います。
まず、栗本委員からございました横断的な分野のものはどうするかということでございますが、やはりそれは学際的な分野を見る委員会というところで見ていただくというような整理かなと思っておりますので、これまでの法学とか医学とかという委員会で見るというよりは、そういう学際的なものを見ていただく委員会をつくって、そこで評価いただくというようなイメージで考えたらいいのかなというふうには今思っておりますが、いずれにしても、ここもワーキングの議論かなと思っております。
それから、今、分科会長からもございましたし、田中委員からございました、やはり段階別評価が独り歩きしないようにということでございますけれども、我々としては、やはりしっかりと教育をなされている大学に対してきちんと評価がされるということが必要だと思っておりますので、その点を踏まえながら、どういう形で段階別をつくっていくかということを引き続きワーキングのほうで御議論いただければと思っております。
あと、北畑委員からいただきました、隙間の5年間ということをどうするか。まさにそこはおっしゃるとおりでございまして、やはり頑張って改善いただいた場合に、それに対しての評価を変えるタイミングは必要、もしくは、今おっしゃっていただいたようなことも含めて、改善につながるための評価でございますので、一旦それが固定化されて何か大学にとって不利益なことにならないようにということはおっしゃるとおりかと思っておりますので、その方向も含めて議論させていただければと思っております。
それから、志賀委員からいただきまして、少し細かいところはまた丁寧に先生に御説明させていただきたいと思いますけれども、我々としては、機関別の認証評価の必要性というところから、少しアメリカとの制度の比較をさせていただきましたけれども、我々の国は、この設置認可ということで、大学が学位授与権を持つということになっておりますので、その観点から、その後の評価の在り方ということは整理してもいいのではないかという観点で、ここを書かせていただいております。
また、認証評価機関が社会に対してどう説明するかというよりは、認証評価を通じて各大学がどう社会に説明するかというふうに我々としても理解して、今再確認する必要があるのではないかと丸1でまとめたところはそういう認識でございましたので、そこも誤解のないように整理をさせていただければと思っております。
また、吉見委員から、アクティブ・ラーニングもチームで学ぶということも非常に大事だと、それをどう評価するか。これは御指摘のとおりでございまして、それも含めて、ディプロマ・ポリシー、人材養成目的の中で、学生たちの学びということの仕掛けにそれが使われていると思いますので、その目的やDPと照らし合わせながら、この評価項目というのを整理できればと思っております。
また、本間委員、それから小野委員からの大学院のところも御指摘いただきました。今日、和田委員御出席いただいておりますけれども、大学院部会とこちらはしっかりと議論を詰めていくということで和田委員にもお話をさせていただいておりますので、やはりその修士・博士の部分をどう評価するかということについては、引き続き大学院部会と御議論を進めていければと思っております。
簡単でございますが、事務局からのコメントでございます。よろしくお願いいたします。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
森委員、何かあれば。
【森委員】 まずは、積極的な議論いただきましたことに感謝を申し上げます。
私どもワーキンググループは、あまりにも集中するあまりにアリの目のようになっていまして、いろんな課題が山積されている中で、若干埋もれつつあったところを、今日、皆様方の鷹の目で見ていただきまして、様々な御助言をいただいたというふうに思っております。
特に4点ほどございまして、まずは、段階別というものが入るということであれば、当然ながら、その公平性・公正性みたいなものをどのように担保するかということは非常に重要な観点かなと思います。
また、質保証向上の観点からも、共通性と多様性をどういうふうに担保していくのかということでございます。
あとは、そのデータの量と質の部分でございますね。大変よい御議論をいただいていると思います。
最後、私どもがやはりちょっと弱かったなというところは、吉岡会長からもお話ありましたけれども、国際性の話でございます。今回、北畑委員と杉村委員から大変有益な情報をいただきましたので、またワーキンググループのほうでもまとめさせていただきまして、そういう観点も入れ込むということを考えてまいりたいと思っております。
以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
大変なところはいろいろあると思いますけれども、ワーキンググループにおいて本日いただいたいろいろな意見を考えに入れながら、さらに議論を進めていただければと思います。大変ありがとうございました。
それでは、よろしいでしょうか。次に進めたいと思います。
報告事項が3件あります。3件続けて報告いただいた後に、質疑応答の時間を設けたいと思います。
まず、「国際競争力けん引学部等の認定等に関する制度の創設について」です。事務局から説明をお願いいたします。
【佐藤参事官】 国際担当参事官の佐藤でございます。資料3のほうを御覧いただければと思います。
優秀な外国人留学生をより積極的に学部段階で大学等に受け入れていただくために、「国際競争力けん引学部等」の認定制度というものを創設してはどうかというふうなことを御報告させていただきます。
左側の背景のところを御覧いただきますと、もともと一部の大学の皆様から、学部段階で優秀な留学生を入れたいと思っても、いろんなところで実はペナルティ、収容定員に関するペナルティ制度というのがあるために、なかなか思い切った留学生獲得の取組ができないというふうな御指摘をいただいておりました。
こういった御指摘を踏まえて、教育未来創造会議ですとか、この中央教育審議会の中で、留学生に関する収容定員管理の制度の改善をすべきだ、弾力化すべきだというふうなことがもう提言に載せられていたところでございます。それを受けまして、今般、この特例措置といいますか、認定制度というものを今考えるに至ったというところでございます。
分かりやすく申し上げますと、国・公・私立大学共通で、学部段階で優秀な外国人留学生をより多く受け入れて、結果的に現行の収容定員の中で留学生の比率が高まるようなところ、そういった学部を審査の上認定して、その際にかかる認定をされた学部については、そのペナルティをかかりづらくする、緩和していくというふうな内容でございます。
2番のところを見ていただきますと、認定の基準としまして、学部を認定するものではあるんですけれども、そもそも手を挙げられる大学というものはやはり一定程度しっかり審査する必要があると思っておりますので、機関要件としまして、大学等として最低限満たしていただく事項として、その認証評価において適合を受けている、これは当然の話ですけれども、そういうことですとか、申請の前3年以内に法令違反がないとか、そもそもこれはオーバーした部分のペナルティを緩和するというふうな内容になっておりますので、収容定員充足率が9割満たないような場合というのはそもそも申請できないよねとか、そういったものを機関要件と設定した上で、審査の内容としまして、外国人留学生の適切な受入れ体制があるかとか、それから、その多様化、多様性に関する取組を確保しているかとか、そういったところを審査していきたいと思っております。
15年ぐらいの長さの中で、現行の留学生の割合プラス10%以上とするという計画を認定してはどうかというふうに考えておりまして、そういった計画のほうもこの審査の際に出していただくということを検討しております。
最後に、このスケジュールのところですけれども、今、パブリックコメントを7月25日から8月24日までの期間、やらせていただきました。大学関係者の方々を含めまして、計29件御意見いただいたんですけれども、うち9件は、そもそもあまりこの制度に関係ないような御意見もございましたので、直接的には20件いただいたというところですけれども、今回、そのパブコメを踏まえた告示案の訂正というのはございませんけれども、御意見の中に、その機関要件ですとか特例認定を行う際の審査基準についてのもろもろございましたので、そういったところは、今後の実施要領ですとか審査要領等の検討に当たって参考とさせていただきたいと思っております。
パブリックコメントの結果については、近日中にホームページに掲載予定としておりまして、今後、告示と規程の公示・施行を受けて、秋に募集をして、その後、年末年始に審査をしまして、来年の4月から制度を開始したいと考えております。
以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
次に、国立大学法人等の機能強化に向けた検討会、改革の方針についてです。事務局、お願いします。
【村尾国立大学法人支援課長】 国立大学法人支援課長の村尾と申します。
昨年7月に立ち上げられました国立大学法人等の機能強化に向けた検討会の状況について御報告します。資料4でございます。
国立大学が法人化してから約20年を経まして、その現状分析、そしてその状況を踏まえた今後の機能強化の在り方について、相澤座長をはじめとしまして、有識者の先生方に約1年にわたって御議論いただいてきたというものです。先月8月29日に「改革の方針」として提言を取りまとめていただいたというものでございます。
まず、1の趣旨でございますけれども、平成16年度の法人化後の20年、失われた30年とも言われる我が国の低成長期とも重なって、国立大学法人等においてもコストカット型の経営にならざるを得ず、諸外国との研究力の格差や財政基盤の格差の拡大を招くことになった。そして、我が国の潜在力を生かして、今後は「知・人への投資」の好循環を生み出していくことが必要である。そして、その国立大学法人等については、未来に責任を持って改革を実行することが必要とされている。そういったことが書いてございます。
こうした認識の下、この「改革の方針」の方向性に沿って、令和10年度から新しく第5期の中期目標期間がスタートするわけでございますけれども、組織・業務、運営費交付金等の見直し、これを具体化していくということが国に対して要請されております。
2ポツの今後の国立大学法人等の機能強化に向けた改革の方向性ということですけれども、デジタル社会の到来、そして少子高齢化の急速な進展、こういったことで、これからの20年がこれまでの20年と同じような環境には全くないということを念頭に置いて、社会の大きな転換点に大学は置かれているということが指摘されております。
そして、国立大学法人等の全体としてのミッションを今回整理しております。不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引、変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成、3つ目が地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興ということで、3点で整理をされておりますけれども、各法人が機能強化を進めるに当たっては、自らのミッションや機能強化の方向性を明確にして、その方向性に沿って適切に取組が進んでいるかどうかを検証できるように、KPIも含めた指標を設定していくということ、さらに、期待されるミッションを果たしていくに当たっては、一法人だけで必ずしも果たせるとは限らず、再編統合・連携等、そういった視点を持つことも重要であるということが指摘されているところです。
また、左の下の(2)にありますように、財務戦略・人事戦略の構築といったガバナンスの抜本的な強化、右下にあります(3)ですけれども、例えば、一定規模の確保、強みの更なる伸長という観点からの統合・連携等の組織の見直し、次のページになりますけれども、(4)教育の質の向上、学部から大学院への学生定員などのシフトといったような取組ですとか、研究力の強化に向けた取組ということでは、若手研究者の育成・確保等々について方向性が提示されているところです。
3ポツとして、国立大学法人等への支援の考え方ですけれども、こういった改革を下支えしていくためには、運営費交付金などの基盤的経費を適切に確保していくということが重要ということで、法人化以降の減少に加えまして、足元の物価賃金の上昇によって実質的な目減りが生じているという状況を指摘した上で、令和9年度までの、今の中期目標期間ということですけれども、近年の物価・人件費の上昇等も踏まえつつ、国立大学法人の運営費交付金等の基盤的経費を着実に確保していく。また、附属病院についても緊急的に支援の検討が必要というふうにされております。
そして、令和10年度からの第5期の中期目標期間に向けては、法人自らが掲げるミッション、機能強化の方向性に沿った活動を支援できるように、運営費交付金の在り方についても見直しが提言されておりまして、ここでは基本的な視点が書いてありますけれども、中期目標期間中の見通しを立てやすい明確な配分ルールの構築。そして、指標等を基に、各法人が掲げるミッションや機能の強化の方向性に応じた取組の成果について何らかのインセンティブを持たせる仕組みを入れていく。最低限必要と考えられる教育研究をベースとした経費については、社会経済の状況の変化に左右されず活動できるよう、物価等の変動に対応させる観点も含めて、安定性をより向上させた仕組みとする。そういった3点の視点が指摘されているところです。
さらに、その下になりますけれども、地域社会を先導する人材の育成や地域産業の振興を行う国立大学に対する支援、そして、大学の機能強化を促進するための施策についても御指摘をいただいた上で、最後に、国立大学法人等の支援に当たっては、文部科学省のみならず政府全体で支えていく視点や、政府のみならず自治体や産業界等からの投資を促進する必要性についても指摘をされているというものでございます。
今後についてですけれども、今回のこの「改革の方針」という提言を受けまして、文部科学省において、これを踏まえた基本的な方針を策定いたしまして、令和10年度からの第5期の中期目標期間に向けて、先ほど冒頭にありましたように、運営費交付金の算定ルールや組織業務の見直しの具体化を進めていきたいと考えているところでございます。
なお、令和8年度の概算要求については既に内容を公表されておりますけれども、運営費交付金については、近年の物価・人件費の上昇等を踏まえた額を盛り込んだ要求としているところでございます。
以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
続きまして、「社会とともに歩む私立大学の変革への支援強化パッケージ-2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議中間まとめ-」について、事務局から説明をお願いいたします。
【菅谷私学行政課課長補佐】 私学行政課の菅谷でございます。本検討会資料5を御覧ください。
本検討会議につきましては、「知の総和」答申を踏まえ、私立大学に期待される役割を果たしていくための具体的な方策を検討するため、アサヒグループホールディングスの小路会長を座長とし、また、平子委員に副座長をお務めいただきまして、そのほか大学分科会からも、伊藤委員、両角委員、大野委員、大森委員、中村委員に御参画をいただきまして、先日、中間まとめとして取りまとめいただいたところでございます。
この1ページ目、まず、社会の変化と直面する課題といたしまして、赤字部分でございますけれども、将来的な職種間のミスマッチとして、AI、ロボット等の活用を担う人材が約300万人不足するリスクや、学歴間のミスマッチとして、大卒文系人材が30万人余剰となるリスク、また、地方の人口減少と人材確保の必要性、こういったものを挙げていただいております。
その上で、私立大学を取り巻く環境といたしまして、今後の大学進学者数の推計を踏まえますと、相当数の法人が縮小や撤退を覚悟しなければならないこと、地方の人口減少の影響も考慮しますと、地方の小規模私立大学から撤退してしまうおそれがあること、また、我が国の理工系入学者の割合は諸外国に比して大幅に低いこと、こうしたことを課題として挙げていただいております。
2ページを御覧ください。私立大学の役割の変遷等といたしまして、これまでも私立大学は高等教育の量的な拡大に大きく貢献するとともに、近年ではエッセンシャルワーカーや産業人材の育成に大きな役割を果たしておりまして、研究面においても重要な役割を担っていると、こういったことの確認もいただきました。
そして、次のローマ数字の2、今後の私立大学振興の基本的な考え方としてまとめた部分でございますけれども、先ほども述べましたような役割から、私立大学の充実は、「知の総和」の向上に資するとともに、経済社会・国民生活の向上にも貢献するものとして、基盤的経費の拡充が不可欠であるとした上で、私学助成のメリハリ・重点化への転換を図るべきこととされております。
この転換の具体的な観点といたしましては、この点線枠囲みの中にございますように、地域経済の担い手の育成やエッセンシャルワーカーの養成、国際競争力強化に資する研究の充実、産業を支える理工農系人材の育成、そして、教育研究の質の向上、こうした観点を挙げまして、規模の適正化とともに進めていくべきということとしております。
3ページを御覧ください。私立大学振興のための3つの政策の方向性の転換として、大きく3つに分けて御説明をさせていただきます。
まず、1つ目の転換の観点は、地域から必要とされる人材育成を担う地方大学の重点支援ということを掲げております。具体的な取組でございますけれども、この薄い青い枠の中でございますが、地域プラットフォームの構築支援や地域経済の担い手を育成する地方中小規模大学のメリハリづけ、また、地域の将来像を踏まえた人材輩出を行う大学への重点化を図るべき、こういったことを提言いただいております。
次に、4ページを御覧ください。2つ目の転換の柱といたしまして、日本の競争力を高める教育研究を担う大学の重点支援といったものを掲げております。研究力強化に向けた施策の具体的な方向性といたしまして、拠点となり得る研究力の高い私立大学への施設整備と基盤的経費の一体的支援などについて提言いただいているところでございます。
駆け足となりますが、5ページを御覧ください。産業を支える理工農系人材の育成としまして、施策の具体的な方向性といたしまして、理工農系分野の学部の支出が多い傾向にあるといったことを踏まえた教育研究の充実に向けた、産官による重点的な支援、また、施設整備の支援、ST比等の改善を通じた効果的な配分強化、こういった事柄について御提言いただいたところでございます。
6ページを御覧ください。転換の3つ目の柱といたしまして、再編・統合等による規模の適正化に向けた私立大学の経営改革強化といったものを掲げております。施策の具体的な方向性といたしまして、経営指導の強化や連携・合併、撤退に向けた支援、そして学生等の不利益を最小限にする取組や学部等新設の厳格化を図ることを提言いただいているところでございます。
これらの提言を踏まえましては、先日公表いたしました概算要求にも反映しているところでございます。
ローマ数字の4で、こちらは中間まとめになりますので、今後も更なる検討を要する事項として議論を続けていただく予定でございまして、今後は、教育研究の質の向上方策として、文理横断・文理融合教育の推進や、教育指導体制の構築、附属病院の充実方策等についてさらに検討を深めていただくこととしております。
駆け足になりましたが、説明は以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ちょっと時間は限られておりますけれども、今の3つの報告について御質問、御意見あれば御発言いただきたいと思います。
安孫子委員、お願いします。
【安孫子委員】 ありがとうございます。
3つ目の社会とともに歩む私立大学の変革の3ページ目で御説明いただいた、目指すべき姿の中にある教育研究面の構造転換などの人材需要を踏まえた変革について意見を述べさせていただきます。企業は、文理関係なく、問題発見と問題解決ができる人材を望んでいます。そういう意味では、高等教育の中で、体験的なアントレプレナーシップの教育がぜひ追加されるべきだと考えております。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
それでは、吉見委員、お願いします。
【吉見委員】 ありがとうございます。
資料4の国立大学法人等の機能強化に向けた検討会の御説明で、これは希望というか、もしできたらというお願いなんですけれども、法人化20年ということで、国立大学法人化によって何がよかったのか、何が悪かったのかということが、20年たつと本当に分かってきているというふうに思います。それで、やっぱりここの中に出てきているように、格差の拡大とか、いろいろな問題が相当はっきりしてきている。ですから、かなりクリティカルに、何が問題だったのかということについて、国立大学法人化20年というのを一つ反省的にきちんと検証していただきたいと思います。
中央と地方の格差、あるいは理系と文系の格差、また、法人化以降、国立大学教員の意識がかなり変わったと思います。その意識の変化というのは一体何であったのか。また、国立大学と私立大学の関係とか、学部間の縦割りとか、そういうものも変わらなかったと思いますので、変わらなかったこと、変わったことということを、やっぱり20年というのは重要な節目ですから、きちんと検証していただきたいと思っています。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
加藤委員、お願いします。
【加藤委員】 何か早押しゲームのようで、手を挙げるのにびっくりしましたけれども。
国際化のところのことなんですけれども、外国人留学生受入れのための国際競争力けん引ということなんですが、これは定員管理を緩和するということになるかと思うんですけど、補助金とかは考えられないんでしょうか。
留学生受入れをしていて一番大変なのは、いろんなことが、留学生対応の業務が出てきます。ですから、単に留学生を増やしただけで、大学の、例えば、本学のような小さな組織であれば、本当に大変なんですね。ですから、そういう補助金というか、職員の手当てができるようなものというのを今後お考えにならないのでしょうかということが質問です。
【吉岡分科会長】 佐藤参事官、何かありますか。
【佐藤参事官】 御質問ありがとうございます。
今後、予算要求の中でそういうことを考えられるのであれば頑張っていきたいとは思いますけれども、実は今回、要件の中に一つ明確に入れていきたいと思っていますのが、すみません、ちゃんと明示的に御説明はしなかったんですけれども、自律的に国際業務を支える財務構造を含む云々云々というのを、実はそのポンチ絵の審査内容のところに書いておりまして、要は、やはり留学生を増やしていくのであれば、授業料を上げるとか、手数料をしっかり取っていくとか、しっかりそこも併せてお願いしたいと。補助金等、奨学金等、我々も何とか獲得して頑張っていきたいと思っておりますけれども、大学の中でしっかりと自律的な体制をぜひつくっていただきたいというのも、この際、併せてお願いさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
それでは、栗本委員、お願いします。
【栗本委員】 栗本です。資料3と資料4についてコメントさせてください。
資料3、「国際競争力けん引学部等」の認定について、優秀な外国人留学生の受入れを促進して、日本人学生に多様な価値観と文化的な背景を持つ仲間と学ぶ機会を提供する上で、非常に期待しております。ぜひ、審査におきましては、先ほど御指摘された持続性の視点に加えて、特定の国や地域に偏らない、多様な国・地域からの留学生を受け入れる、そのような大学を選定していただきたいと思います。現在、来日している留学生の7割は3つの国・地域から、という話も聞きます。偏った傾向が加速することなく、より多様な地域から迎え入れるような国になってもらいたいと考えます。
2点目は国立大学法人の「改革の方針」についてです。今回の報告書を拝見させていただきました。最も印象的だったのは、この報告書の中で一番多く使われている言葉が、「強化」の2文字で、2ページの中で17回も記載されておりました。強化、という言葉に今回の国立大学の改革の戦略ベクトルを強く感じました。その上で、1点コメントさせていただきます。
経営戦略の第一原則は、選択と集中です。全ての事業や機能を満遍なく維持しながら強化することは困難でして、結果的に中途半端な結果になりかねません。戦略の本質とは、「する」ことを増やすのではなく、「しない」ことを増やすことにあります。しないことを増やせば増やすほど、国内外のライバルにとって模倣しづらい存在になり、より筋肉質な体質へと強化されるわけです。したがって、自大学の強みや、その資源を最大限に生かせる領域に集中して、必ずしも強くない部分・領域は縮小する判断、勇気というのも必要ではないでしょうか。大切なのは、しないことを決める勇気と資源を分散させない判断だと思います。
今回の概略に選択もしくは集中の言葉が見当たらず、令和8年度の概算要求では1兆円を超える予算が計上されています。一方で、資料5では、私立大学に対してはスクラップ・アンド・ビルドや再編という言葉が出てまいります。その辺りのアンバランスを感じまして、コメントさせていただきました。
引き続き、よろしくお願いいたします。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
では、廣津留委員、お願いします。
【廣津留委員】 御説明ありがとうございます。資料3のところで1つ意見を申し上げたいと思います。
外国人留学生受入れの制度がたくさんの制度で整っていることは、大変期待をしております。近年、本当に予想以上に自国第一という動きがすごく強まっているように感じていまして、特にお金の使い方にはすごく敏感になっている人が多くいるように思います。
この部屋に、この会議室で、文部科学省さんでお話ししているとなかなか気づきにくいというか、そういうことにはならないと思うんですけれども、やっぱりロングタームで留学生を受け入れることが、この国の将来の人材とか国力のためになぜ意義があるのかというロングタームの視点がある人ばかりでは、やはり国内ではないので、そこについてコンテクストをいかに上手に説明するかというのが、このような制度を設置するときに、発表するときにすごく慎重になってもいいのかなと思います。
そして、外国人留学生向けというか、これから留学を考えている人向けにも、日本はセーフスペースであって肩身の狭い思いをすることはないですよと伝えることもとても重要だと思いますし、ただでさえ留学生獲得競争が強くなっている今ですので、幾ら制度が整っていても、留学を決めるのは人だと思いますので、それが国内向けにも海外向けにもうまくコンテクストを説明するというか、慎重になり過ぎることはないと思いますので、早め早めで手を打っておくのがいいのではないかなと思います。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
平子委員、お願いします。
【平子委員】 今、廣津留委員がおっしゃったことと全く同じことを、言おうと思っていました。
今は日本人学生の同質性、これをどうやって打破していくのかということが問われている時代です。だからこそ外国人留学生を受け入れる、あるいは、日本人学生が海外に行くといったスキームがこれからより重要になってくると思っています。
私は過去に、APUの大学評価委員を務めたことがあります。APUは半分が外国人留学生なのですが、日本人学生はある意味マイノリティです。入学したときの日本人学生は比較的おとなしいのですが、外国人学生と交流していくうちに行動が積極的になる、いわゆる非認知能力が大きく進化するというお話を聞きました。
その意味から、日本人が海外に行ってそこでもまれるということも必要なのですが、外国人留学生をうまく活用することによって、日本人学生も鍛えられるということも必要だと思います。外国人留学生の受入れの環境の整備について、研究インテグリティだけではなくて、留学生が日本人学生と学修していく中で、日本人学生が逆に留学生から学べるような環境整備も必要ですし、それを一つの基準にしていただけたらと感じました。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
大竹委員、お願いします。
【大竹委員】 大竹でございます。
国立大学の機能強化についてということで、御説明いただいてありがとうございました。2ページ目に絞って3点だけショートで申し上げたいと思います。
基盤的経費を確実にということと病院の緊急的支援というのは、これは現場としては非常に重要で不可欠だというふうに思っているところであり、その中で、令和8年度の概算要求に乗せていただいたということは、これで助かったところが随分多いと思います。国立大学は多くの博士の学生を出しているという責務もありますので、それを維持するという観点からも非常に重要であろうと思っています。
その上で、2)と3)のところで少し前向きな話をしたいなと思うんですけれども、今日の冒頭の話題がやはり地域ということで、地域の中での大学の役割という観点では通底するところがあるかなと思う中で、地域構想推進プラットフォームという中で新しい産業を育成していく核というのは、これは重要な役割だと思うんですよね。そのときに、願わくは、ビジョンを描いてほしいと。
恐らく各都道府県あるいは市町村で持っている特性というのは違うのが日本のよさだとすると、それぞれが描くビジョンというのがあっていいのではないかなと。そのビジョンにのっとって教育あるいは研究、地域との連携を行うとすると、先ほどの私学のところでありましたけれども、理工系の人材が減ってきて、小さい大学がなくなってしまうんじゃないかという危惧があるというお話もありました。けれども、ビジョンを描く中で、そういう人材が必要だという文脈の中で、そういう私学をみんなで助けるというやり方もあると思うんですよね。そこは日本の力として期待したいなというふうに思います。
ここはちょっと質問なんですが、3)の基盤的経費と競争的研究費と、ここのファンディングの在り方って重要だと思う中で、もう少し踏み込んで、例えば、科学研究費については増額したほうがよいとか、そういう議論がこの検討会であったとしたら、教えていただければと思います。
以上です。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
今の最後のところだけ、事務局、今、簡単に答えられますでしょうか。どうぞ。
【村尾国立大学法人支援課長】 ありがとうございます。
基盤的経費と競争的経費の役割については、これから運営費交付金の在り方も含めて検討していくということが本文の方でも書いています。具体的に科研費について個別に取り出してということではないですけれども、そういったこと全体を、今度の科学技術・イノベーション基本計画に向けた議論もありますので、検討していくということです。
併せて、今までコメントいただいた点に関し、補足申し上げますと、法人化20年で変わった部分と変わらなかった部分の整理というような御指摘がありましたけれども、本年の1月に論点整理がされておりまして、その中では、先ほど御指摘のあったような、大学によって差が出てきている。例えば、経常収益や経常費用について、全体として増えているのだけれども、大学の類型によって差があるなど、分析がされておりますので、また御参照いただければありがたいと思っております。
また、機能強化に当たって選択と集中というお話もありました。これにつきましては、まず、国立大学法人等の全体のミッションとして3つに分類をしておりますので、こういったことも踏まえて、それぞれの大学でどういった方向性へ向かうかということを検討していただくということが基本的にあります。
そして、その上で、再編統合・連携等の視点を持つ、あるいはその機能強化の方向性に沿って組織を見直していく、大学の中での資源配分をどのように考えていくのかなど、そういったことも今回の方針の中では記載されているところでございますので、御参考までに紹介させていただきます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
最後に、中村委員、手短にお願いいたします。
【中村委員】 中村です。ありがとうございます。
資料4の国立大学の機能強化に向けた検討会での「改革の方針」をまとめていただいて、本当にありがとうございました。
このことに関しまして、国立大学協会のほうで幾つかのタスクフォースを現在考えています。その中には、今お話に出たような博士人材の育成、留学生の人材育成、また、先ほどの評価の話と関わる教育コンテンツ、もう一つは、地方創生ということがタスクフォースの原点として出されています。
地方創生は、国立大学だけではなくて、地域によっては、国公私で連携していきますが、今お話しになった競争的資金に関しましては、J-PEAKSというのがあり、これは、本当にいい試みだと思います。幾つかの大学が国公私問わず一緒になって研究や教育を行い、しかも、そのJ-PEAKSを取った25大学も、それぞれ山並みをつくっていこうという感じになっています。こういうことはすごく大事になっていくと思っています。
私が考えたのは、せっかくほぼ同じ時期に、国立大学の「改革の方針」と私立の今後の機能強化が出たわけですから、ぜひ私立の方々に国立の改革について見ていただきたい、読んでいただきたい。逆に、国立の方々が、私立のことについてしっかり認識を持つべきだと考えます。こうならないと、やはり日本の大学が進歩しないと思っていまして、ぜひそういった手だてをしていただければありがたいなと思います。
以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。
時間が既にちょっと定刻を過ぎておりますので、ほかに何かどうしてもという御意見があればですが、よろしいでしょうか。
それでは、すみません、最後になりますけれども、令和8年度の概算要求について、合田局長のほうから一言お願いいたします。
【合田高等教育局長】 時間を超過してございますので、詳しい御説明は省かせていただきますけれども、令和8年度の概算要求、先週末に財務省に提出したところでございます。
先ほど大竹理事長からも話がございましたように、国立大学の運営費交付金につきましては、物価・人件費の高騰分、該当部分が620億でございますが、これを含めて要求させていただいておりますし、それから、栗本先生からお話がございました私学助成につきましても、前年度に比べて452億円増ということで要求してございます。
また、「知の総和」答申を踏まえた地域大学振興ということで、新規で25億、それから、大学の附属病院支援ということで、これも新規で60億要求させていただいておりまして、本年度は、省内の概算要求の枠を、一言で言えば、目いっぱい高等教育局に寄らせていただいて、要求をさせていただいております。
これから財務省との折衝も始まるわけでございますが、どうか先生方におかれましては、私どもかなり強気で本気で予算を取りに行くという不退転の決意を持って取り組ませていただいておりますので、ぜひ先生方も社会に対してお働きかけをいただきまして、御支援を賜ればと思っている次第でございます。
簡単ではございますが、以上でございます。
【吉岡分科会長】 ありがとうございます。ここでの議論が具体化していく一番の要でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。本日の議題、以上となります。
最後に、次回の開催日程について事務局から説明をお願いします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は活発な御議論いただきまして誠にありがとうございました。
次回の分科会につきましては、改めて日程調整の上、御連絡差し上げます。本日御発言できなかった内容ございましたら、事務局まで御連絡ください。
以上でございます。
【吉岡分科会長】 どうもありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室