令和7年1月28日(火曜日)13時00分~15時00分
Web会議
(分科会長・部会長)永田恭介分科会長・部会長
(副分科会長)村田治副分科会長、吉岡知哉副分科会長
(副部会長)大森昭生副部会長
(委員)後藤景子、橋本雅博、日比谷潤子、古沢由紀子の各委員
(臨時委員)麻生隆史、多忠貴、大野英男、小林弘祐、志賀啓一、須賀晃一、髙宮いづみ、田中マキ子、曄道佳明、平子裕志、福原紀彦、益戸正樹、松下佳代、森朋子、両角亜希子、吉見俊哉、和田隆志、伊藤公平、大野博之、小林浩、中村和彦、濱田州博、堀有喜衣、松塚ゆかりの各委員
(事務局)伊藤高等教育局長、浅野私学部長、森友大臣官房審議官、奥野大臣官房審議官、松坂文部科学戦略官、吉田高等教育企画課長、石橋大学教育・入試課長、桐生学生支援課長、佐藤参事官(国際担当)、三木私学行政課長、板倉私学助成課長、中安生涯学習推進課長、髙見高等教育政策室長、北野国立大学法人支援課企画官、篠原私学経営支援企画室長、米原専修学校教育振興室長、栗山教育課程課教育課程企画室長、氏原大臣官房文教施設企画・防災部計画課企画官、花田高等教育企画課課長補佐、疋田高等教育政策室室長補佐、阿久津高等教育政策室室長補佐、濱中国立教育政策研究所高等教育研究部長ほか
【永田分科会長】 定刻になりました。第181回の大学分科会と第15回の高等教育の在り方に関する特別部会合同会議を開催させていただきます。本日もハイブリッドの形式で行います。オンラインで御参加の方は自由に御発言できる環境であるという前提でございます。
それから、最初の議題、認証評価機関の認証についてという部分につきましては、運営規則第3条第2号によりまして、議事は非公開となっております。その後、YouTube公開する形としたいと思います。
それでは、事務局のほうから資料等の御連絡をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 失礼します。本日は、ハイブリッド会議及びライブ配信を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手ボタンを押していただき、分科会長から御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は、再度挙手のボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮いただきますと幸いでございます。
本日の会議資料は事前にメールでお送りしているとおりでございますが、会場のiPadには、本日の会議資料をチャットにてURLをお送りしてございますので、紙の資料と併せて御活用ください。
以上でございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
それでは、最初の議題、認証評価機関の認証についてです。認証評価機関の認証に関する審査委員会から前田臨時委員に御参加をいただいております。それでは、前田委員、御説明お願いいたします。
<認証評価機関の認証について>
一般社団法人専門職高等教育質保証機構からの申請に関する「認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について、前田臨時委員から資料1-1に基づき報告があった。
その後、審議を行い、資料1-2の原案のとおり答申することが可決された。
また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき、この時点から会議が公開された。
【永田分科会長】 それでは、日本の学位・称号等枠組み(案)について御議論をいただきたいと思います。議論の前に先立ちまして、資料に基づいた御説明をお願いいたします。
【佐藤参事官】 高等教育局国際担当参事官でございます。資料2を御覧いただければと思います。
こちら、もともと日本の学位・称号等の枠組みにつきましては、非常に国際的な動向やニーズを踏まえて対応させていただきたいというものでございます。1枚目、御覧いただいて分かるとおり、世界の留学生数は過去20年間で4倍に膨れ上がっています。これによって何が起こっているかといいますと、各国教育制度の違う学生たちが、それぞれの国の制度の下で取得した資格ですとか学位ですとか、そういったものを持ち歩くということが起こるわけですけれども、持ち歩く際に、学生個人個人に不利益が生じないようにしていこうという動きが随分前から世界的にございました。
3ページ目を御覧ください。こちら、ユネスコの高等教育の資格の承認に関する世界規約についてというものになりますけれども、背景のところの最初に書かせていただいているとおり、学習経験の承認を他の国においても公正に取り扱うことの重要性を認識していこうという動きがございます。現在、世界規約として、世界全体を股にかけたもの、それからそれぞれの地域性を配慮して、例えば欧州及び北米ですとか、私ども日本であればアジア太平洋という形で、6つの地域に分かれた地域条約というものが発行しています。主な内容としましては、下のところに書かせていただいているとおり、例えば2ポツ目のところを御覧いただきますと、他の締約国が付与した入学資格や学位等の資格、これはオンライン等で取得されたものも含み得るわけですけれども、これを承認し、または評定するというところがございまして、結局、これによって右側の締結の意義にありますとおり、個人にとって、大学や大学院等への進学を希望する個人にとって、教育制度の異なる他の締約国においても入学試験を受験する機会を確保していこうというものでございます。非常に大きな目で見ると、実は難民みたいなものも、場合によってはこの対象に十分なってくるわけですけれども、それぞれ制度の異なる場合であっても、基本的に相違がない、大きな相違がないと認められる場合には、入学資格を付与していこうという動きが世界的にあるということでございます。
4ページ目御覧いただきますと、アジア太平洋地域、私ども日本が参加しているものになりますけど、東京で締約会議が行われた関係で、東京規約と、一般的に東京コンベンションと言われるものでございますけれども、こちらのほう、現在、締約国11か国プラス1か国という状況になっておりまして、高等教育機関の範囲として、大学、大学院、短大、高専、専門学校、省庁大学校といったところが含まれます。この主な内容としましては、先ほど御説明したとおりなのですけれども、もう一つ、一番下のところに、国内情報センターを設立しというところがございますけれども、結局、各国の制度が違いますので、それを他の国から照会があったときに窓口となって、日本の制度はこうです、この大学はしっかりしているところです、例えばこういう教育制度の下、例えば外国になくて分かりやすいとこでいうと高専です。高専のようなものは、日本ではこれに相当するものですと、そういった諸外国からの問合せを一元的に対応する国内情報センターというのを設立しようというのが締約国には求められているという状況でございます。
それを受けまして、5ページ目、御覧いただきますと、これ日本でも高等教育資格承認情報センターというものを大学改革支援学位授与機構、NIADの中に設置させていただいています。既に専門の先生方が世界中からの問合せに対応しておりますし、また、実は国内の大学からの紹介、例えばよく分からない外国の大学の資格なりを持っている方々が入学したいと言ってきたときに、直接、かの国に問合せすることもできるわけですけれども、裏づけを取りたいということで、こちらの国内情報センターのほうに問合せをしてきて、ここがいろいろ世界とのネットワークの中で確認していくということが今、既に日々行われているわけです。
この中で、結局、すごく大事になってきますのが、それぞれが持っている資格というのが、入学資格という話になりますので、次のステップにどう接続し得るのか、し得ないのかということを、一般的にしっかりと公表していく必要があるということになっておりまして、これはNational Qualifications Framework、NQFということで、教育資格枠組みというものが、実は世界中にほぼ今もうできています。まともに今つくられておりませんのが日本とアメリカ、主な国でいうと日本とアメリカという状況でして、あとはほとんど、中国、韓国も含めて、世界の主要国というのは、既にこういったNQF National Qualifications Frameworkというのを整備しているという状況でございました。そこで、我が国におきましても、先ほど申し上げたように、例えば日本の高専の卒業生が外に留学したときに、結局これが何だか分からないので入学させないとか、入学させるまで確認のためにすごく手続がかかってしまって入学時期が遅れてしまうと、そういった不利益がないように、こういった日本版のNQFというものを今般、整理させていただきたいと、そういう国際的な動向ですとかニーズを踏まえた対応を取らせていただきたいというのが今般の趣旨でございます。
それを受けまして、今回、5ページ目の右側にございますように、NIAD、学位授与機構のほうで試案というものを、実は御作成いただいております。大体世界のアカデミックな資格枠組みというのは、レベル8からというのが多いのですけれども、場合によってはレベル10ぐらいのものもございますし、それぞれ国によってもちろん制度が違いますので、表記の仕方等は違うのですけれども、一般論としては、大体1から8ぐらいまでが大きいのではないかということで、学位授与機構のほうから今般、こういった試案をつくっていただいたというところで、この先、我が国の試案をどのようにしていくかという御相談を、担当課長のほうからまた御説明させていただきたいと思います。
【石橋大学教育・入試課長】 教育入試課長でございます。今の資料の中に、日本語版と英語版の表が付いているかと思います。これはNIADがつくってくださった試案を文部科学省、それから関係の皆様方に御相談をさせていただいて、再度、整理し直した資料になっております。
見ていただきますと、1から8のレベルの中で、5と6だけ2つのカテゴリーに分かれております。要は左側は学位、右側が称号となっております。さっき、佐藤参事官から御説明がありましたように、どのレベルに接続するかということでレベルが、上と下の関係性を見ていただければと思っております。一番上が博士、8が博士になりまして、1が小学校ということで、特に5と6のところは、6は学士ですけども、例えば、学位授与機構が認定専攻科を認定している短期大学や高等専門学校は当然学士が授与されますので、そこに位置付けられておりますし、また、短期大学は学位が出ますので、レベル5の左側にあると。一方で、高等専門学校、それから専門学校に関しましては、右側に称号ということで位置づけられていると、このようになっております。
これを英語版、日本語版ということで作成いたしますが、世界に向けては英語版で発信したいと思っておりまして、これを独立行政法人学位授与機構の名前で出していただきまして、今日のこの会をもって、中央教育審議会でも御確認いただいたということで、文部科学省としても、これは問題ないとさせていただいて、各関係機関にも通知させていただきたいと思っております。
説明は以上です。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】 ありがとうございます。御意見、御質問等あればお伺いいたしますいかがでしょうか。
【志賀委員】 よろしいでしょうか。
【永田分科会長】 志賀委員、どうぞ。
【志賀委員】 ありがとうございます。3点あります。
まず、この件につきましては、事前に打合せでお話をさせていただきましたが、その際にも申し上げたのですが、これは本来、大学分科会の議論ではなくて、生涯学習分科会管轄じゃないかということと、また、そこに上げるまでには、ちゃんと部会なり有識者会議なりで議論していただきたいということが1点目です。昔なので、詳細なデータは探れないのですけど、2007年の中教審の生涯学習分科会でこの議題が出ている形跡がありまして、本来であれば中高もありますので、それも含めて、国際比較をして、日本での位置づけを確定する重要なものではないかと思います。
この後、議題3にあります専修学校の専攻課程の取扱いですとか、短期大学協会からの要望が上がってきて、新たな教育課程というのも今後、提案される可能性がある中で、この表を定期的に見直していく会議体がなくてはならないかと思いますので、ぜひそれを文部科学省の会議体で行っていただきたいということと、もし既に設ける予定があれば、それを教えていただきたいというのが1点。
それから、2点目として、各レベル、教育機関とかプロセスしか記載されておりませんが、本来であれば、各レベルのラーニングアウトカム、すなわち学習成果の明記をすべきでないかということです。説明資料では、ユネスコの大きな資料しか出てきていませんけれども、個別具体の動きとしては、欧米ではもう2000年代にこういう国際比較をすることが求められて、2008年度にはEQF、European Qualifications Frameworkというのが創設されて、それに基づいた枠組みが欧米、ヨーロッパの各国にできておりますが、その比較資料を出してほしいと先日申し上げたのに、各国がどういう表になっているのか出していないので、ぜひ委員の皆様で検索して、それぞれ確認していただきたいところですが、EQFの大きな組織では、各レベルにそのレベルで身につけるべき能力、ラーニングアウトカムというのが明記されていますが、今回の提案では、下の日本語訳では長々と各教育機関の条件とかプロセスが記載されているのですが、そういったどんな能力を各レベルで身につけるべきかという理念的な記載がない、これは本当にそれでいいのかと思います。
それから、アメリカは国家としてはフレームワークはないのですけど、USQFという独自の枠組みがあって、こちらはレベル9段階になっていますが、ブルームのタキソノミーというのに準拠したと明記しています。ブルームのタキソノミーも各詳細説明は省きますから、皆さんぜひググっていただきたいのですけれども、このように国際的枠組みは、ここはこういう教育機関ですよとか、教育機関名や修業年限ではなく、まず、何を身につけたかというのが先に来ているのに、それがないまま、この枠組みがあるというのは、理念ないまま手法のみを記載しているようにしか思えませんので、ぜひこれは今日確認で、本当は私こんなのでいいのかと思うのですけど、これでしようがないのであれば、今後それぞれに身につけるべき枠組み、EQFに準拠するのかどうするのか、各レベルはどう相当するのかということを明記しないといけないかと思います。
何でこんなことに目くじらを立てているのかと思っている方もいるかもしれませんけど、国際的には割と深刻なことをやらかそうとしているように見えてならないからです。実態として、日本は、あまり学位って特定の職種を除いて、せいぜい初任給に影響するぐらいで、そんなに学位というのを重要視していない感じがするのですけど、国によっては学位というのが非常に、その後の待遇だったり、役職だったりに影響する場合があります。この表だけだと、ある教育機関に入って卒業すればこのレベルですという表だけでは、言葉を飾らずに言えば、ありていに申して、ちょろい国と思われる可能性がある。この表を提出することによって、もしかするそれで留学生が増える可能性もあるかもしれないけれども、良い人材が来るかどうかというのは甚だ疑問で、ここにいらっしゃる先生方は、それぞれすばらしい大学とかにいらっしゃるので、ぴんとこないかもしれませんが、あまり言いたくないのですが、認証評価とかをやっていると、残念ながらこういうことを利用する学校法人も出てくる可能性があります。
何しろ定員充足率はうるさく言う一方で、留学生を推進するという現行の政策では、留学生を引っかき集めようという方針になる学校法人もあるかと思います。そうすると、そういう学校がどんどん出てくるようであれば、10年後、20年後、日本で国際規格でレベル6相当というけど、ほかの国に比べて微妙だねといった評価を国際的に受ける可能性すらあるし、そういう留学生しか来なくなる可能性がある。ですから、文部科学省としてしかるべき会議体で議論して、こういったことを定期的に見直し、また、そのレベルで身につけるべきでラーニングアウトカムというのも含めて明記していただきたいというのがお願いです。これが2点目。
最後は、参考までにお伺いしたいのですけど、さっきの説明でいろいろな問合せがあると言っていたのですけど、それはどういう人が問い合わせてくるのか、ほかの国の教育関係省庁の人とか、さっき言ったような関連団体の人なのか、留学生を出そうとしている学校関係者なのか、学生生徒個人なのか、どういった人からの問合せが多いのか、その傾向をお伺いしたいです。
最後だけ質問です。よろしくお願いします。
【永田分科会長】 佐藤参事官、よろしくお願いします。
【佐藤参事官】 御質問ありがとうございます。御質問の点についてお答えしますと、学位授与機構のほうに問合せが来ているのは基本的には大学、諸外国のまずは大学、それから場合によっては、諸外国の質保証機関と伺っております。
【志賀委員】 ありがとうございます。なので、学校が多いということであれば、さっき言ったように、この表を利用するというのを、どう利用されるかということもよく考えていただきたい。その上で、理念も含めて、国際的に通用するようなものに今後していただきたいというのがお願いです。
私からは以上です。
【永田分科会長】 骨子は不断に見直すというところだと思うので、いかがですか。
【石橋大学教育・入試課長】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、これで1回つくってしまえば終わりということではなく、海外からいろいろな問合せがあれば、それでアップデートするものも必要になってくると思いますし、私たちとしては、中央教育審議会で御議論いただくのが大事かと思っておりますので、また、その都度、その都度、御相談をさせていただきたいと思っております。
生涯学習分科会の取扱いについて、中安課長から一言、御説明いたします。
【中安生涯学習推進課長】 すみません、生涯学習推進課長です。今いただいた御意見ですが、初等中等教育の話もこの表自体は含んでおりますので、そういった観点から生涯学習分科会のほうでも、この後、御議論いただくことを予定しております。
【永田分科会長】 だとすれば、今の志賀委員の御質問、不断に見直しますというところを付け加えて、お諮りすればいいかと思います。この先、これはどこで公表されるのですか。
【石橋大学教育・入試課長】 学位授与機構のホームページに公表されるということと、当然文部科学省のホームページ等においても、リンクを貼って掲載していきたいなと思っております。あとは、各機関には通知の形でお知らせしたいと思っております。
以上です。
【永田分科会長】 麻生委員、どうぞ。
【麻生委員】 志賀委員から話がありましたので、私は簡潔に申し上げます。佐藤参事官からの説明はよく分かりました。ありがとうございました。
日本語で分かりやすい10ページを見ると、おっしゃるとおり学位と称号が大きく分けられている。特に高等教育の部分で分けられているということは重要な点だと思います。
また、学位、称号以外にも、ここに書いてあります中等教育から伸びてきた高等学校の専攻科等の卒業生が5番に入ってまいりますので、ここについては、学位、称号というよりも、どちらかというと修了証書、卒業証書というような、そういった類いのものになるので、大体、本来なら3つの線があるべきだと思います。これを説明の中に入れられれば、2つの学位と称号等に分けられるという説明は理解いたしました。
重要な点は、先ほど志賀委員が言われましたとおり、教育の質の保証という観点だと思いますので、外国からこれを見てどのように見るのかは外国の自由ですが、少なくとも日本で制度化されている認証評価というものを考えますと、この表の10番の(3)、一番下に明記されております。認証評価の受審義務があるということが、ある意味では教育の質の保証をきちんと受けているのだということになると思います。これが表の中に書き込めないので欄外に書いてあると理解しております。これが記述されたということは大変重要ですが、書き方としては、認証評価の受審義務があり、受審をして適格・不適格、適合・不適合ということがあるところまで本当は書いてほしいですが、義務があるということは絶対に受けなければいけません。特に機関別評価の場合は7年以内に1回です。また分野別は5年以内に1回です。この1行に書き込むのは大変難しいと思いますが、出来れば今後の説明において、教育の質の保証の観点から、NQFという概念に含まれる、質の保証がされている学校であるかそうではないか、もしくは、それが義務化されている学校であるかないかを、もっと分かりやすく発信していただくように、今後お考えいただければと思っております。
先ほど質問しようと思ったのですが、これは学位授与機構で公表されるということで、ひとまずこれで見た上で、発展的にまた訂正、修正もあり得るという分科会長のお話もありましたので、様々な制度改革も今後あるでしょうから、これに対して柔軟に対応していただけることをお願い申し上げます。
私からは以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。大体お二方、似たような意見だったと思います。
今回は先ほど申し上げたような不断の見直しということを含めて、ぜひとも先へ進めてください。そのほかいかがでしょうか。後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】 ピンポイントですが、先ほどの2人がおっしゃったことと重複していますが、最初の御説明のときに高専というものが何度か引き合いに出されたので、ちょっと一言。
高専、高等専門学校は御存じのように、高校生年齢でスタートする高等教育機関で、名称に専門という言葉が入っています。そのために、従来から高度な学びによる学習成果が正しく理解されていないという問題がございます。今回の枠組みがそのような誤解を助長しないということを願っています。これはお願いです。
【永田分科会長】 事務方は何かコメントはありますか。
【石橋大学教育・入試課長】 ありがとうございます。この枠組みの中では、レベル5というところに位置づけさせていただいておりますが、おっしゃるとおり、高専でどういうラーニングアウトカムが出てきているのかということも併せて発信していくことは重要だと考えております。ありがとうございます。
【永田分科会長】 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。幾つか注文がありましたので、留意して発表をお願いいたします。
それでは、次に、前々回の分科会で御議論いただきました、専修学校の適格専攻科の大学院入学資格の付与についてです。事務局のほうから御説明をいただいた後に議論をさせていただきます。
【中安生涯学習推進課長】 お時間をいただきまして、ありがとうございます。生涯学習推進課長でございます。専修学校の適格専攻科の大学入学資格の付与の検討状況について御説明をさせていただきます。
本件は、今し方、永田分科会長からおっしゃっていただきました、昨年、3月12日の大学分科会、それから10月16日の大学分科会でも状況を御報告させていただきました。3回目になってございます。前2回の御説明と重複する部分ございますけども、経緯等を確認させていただきます。
令和6年6月の学校教育法改正で、学校教育法によるところの専修学校専門課程、いわゆる専門学校ですけども、就業年限2年以上の専門課程を置く専修学校には専攻科を置くことができることとされました。この結果、例えば修業年限2年の専門課程を卒業し、修業年限2年の専攻科も修了した場合、通算して4年の課程を修了したことになりますけれども、これに大学院の入学資格を付与することについて検討させていただいているものでございます。
大きな文脈でございますけども、一番下の米印に書かせていただいておりますけれども、平成17年の我が国の高等教育の将来像(答申)によりまして、修業年限4年の専修学校専門課程には、既に一定の条件を満たし、文部科学省が認定した場合は、大学院入学資格を認めていただいております。今回の件は、制度的にはこれとのバランスを図るもの、また、趣旨としては、平成17年の頃に立ち返るものでありますけども、何らかの事情で専門学校に進学したものの、さらなる学修を求める者に対し、できるだけ進学の隘路を減らし、学習者の立場に立って大学との接続や連携の改善を図ろうとするものでございます。
過去2回議論いただきました中では、1度目の御議論の中では文部科学省による認定について、要件の明確化や認定の将来の体制等についての御意見を、2度目の議論の中では、事後の評価の観点からの御意見をいただいておりましたので、それらを合わせて、改めて質保証の取組として、本ペーパーに整理をさせいただきました。
1枚目の真ん中の緑の部分でございますけども、質保証として3点書かせていただいております。まず、1点目の事前の認定でございます。これは文部科学省の事務局にて行わせていただきます。具体の要件は次のページの別添1に書かせていただいておりますけども、修業年限4年の専門課程の認定要件を基本的には踏襲する形で設定しております。ただし、右側の3号の体系的な教育課程の認定につきましては、手続の透明性、羈束裁量的な運用の観点から、認められるケースを関係文書に限定列挙することを予定しております。また、その右側の一番下の米印にありますとおり、教員や設備等については、専攻科と専門課程の専任教員の兼任は認めないなど、専攻科についても単独で専門課程と同等の条件を求めることとしています。認定事務は、4年制の専門課程の大学院入学資格に係る認定を付与する事務と同様、総合教育政策局で行わせていただきますが、具体の認定に当たっては、これも現在の4年制の事務の際と同様、高等教育局の御担当とも御相談の上、認定を行う仕組みとすることとしております。
資料1の1枚目に戻っていただきまして、真ん中の枠のところでございます。2点目の評価の話でございます。こちらは、認定を受ける専攻科を置く専修学校については、学校教育法第132条の2第2項に基づく外部の識見を有する者による評価を5年に1回受けるよう義務づけることとさせていただきます。厳密には、法律では努力義務ですので、法律に基づく義務づけはできませんけども、この評価を受けることも認定要件に入れることにより、評価を受けない場合は認定を取り消すという対応を取らせていただきたいと考えてございます。
また、今回、新たにつくられる専攻科を置く専修学校だけではなく、従前から認められている修業年限4年制の専門課程を置く専修学校についても、同じ評価を受けるよう認定の仕組みを改める方向で検討させていただきます。4年生の専門課程で大学院への入学資格の付与の認定を受けるに当たっては、従来、このような条件がなかったので、規制強化になりますと、必要な行政的な検討、手続をする必要はありますけれども、当局としては、この方向で検討をしてまいりたいと考えてございます。
なお、評価を行う外部の識見を有する者についてですけども、専修学校の世界には学校教育法上、評価機関を認証する仕組みがございませんので、ここで行う評価は、認証評価機関による評価というわけではありませんけれども、独立した第三者による評価とするための独立性や第三者性の確保に関する要件、評価結果の公表の在り方についても、この評価が適切な取組や社会への情報提供につながるよう、併せて認定の仕組みの中で整えてまいる予定であります。
別添2は最後、3枚目御参考ですけども、専門学校は資格を取得できる学校も多いところ、関係法令等に基づき所轄庁で行われる質保証の取組の御紹介になります。こうした取組と併せもって、大学院入学資格が付与される専修学校の教育の質保証に取り組みたいと考えております。
説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をお伺いいたします。麻生委員、どうぞ。
【麻生委員】 度々申し訳ありません。これにつきましては、何度か私も意見を述べさせていただいた案件でございます。
3月、10月、それから今回で、教育の質の保証に関しては大分立ち入った形で、緑の枠の中で、それに対する対応をされたと思っております。ただ、独立した第三者による評価というものが、私たち大学や短期大学、高等専門学校においては、学校教育法上で、大学分科会で認証を受けた認証評価機関における評価が必要になります。この場合はそうではないということですが、もちろん総合局での判断はあるのでしょうが、できれば、評価の機関、もしくは第三者の評価する団体なのか個人なのか分かりませんが、そちらのチェック体制というのを十分やっていただく必要があると思います。できれば大学分科会で認証するべきだと思いますが、総合局のほうでも考えていただければと思っております。ということで、ここで評価が出された、先ほどの評価がなされたものと同等のところに記述されると思います。
再度確認になるかもしれませんが、2年制の専門学校に、2年制の認定をされた適格専攻科を終了した者に対しては、大学院受験資格が与えられるということがここで分かるわけですが、その修了者には4年制の専門学校で与えられる高度専門士の称号を与えるのかどうかというのを明確に教えてください。
【中安生涯学習推進課長】 ありがとうございます。高度専門士の称号については、付与させていただく方向で検討をしております。
それから、認証評価についても、できる限り独立性の高い評価機関において評価を行うよう関係団体に対し、関係学校に対して促してまいりたいと考えております。
【麻生委員】 承知しました。ありがとうございました。
【永田分科会長】 そのほかいかがでしょうか。
緑色の枠内は、最初に見たときとは随分変わってきていて、しっかりとしたものになっています。今、御質問があった第三者は誰なのかというのは、詳細設計をつくるときに、今の御意見を参考に生かしていただきたいと思います。
そのほかいかがでしょうか。ないようでしたら、志賀委員、麻生委員から御意見をいただいて、大きく改変しました。今回また麻生委員から少しだけ御意見がありましたが、実際に仕組みをつくるときに生かしてください。ありがとうございました。
それでは、次の議題です。急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方についての答申案について、御議論をいただきたいと思います。これまでいろいろパブコメ等を含めて御意見をいただき、まとめたものについて、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】 お手元の資料の4-1から資料の4-5までを御覧ください。資料4-1が答申案、資料4-2が答申案の要旨、資料の4-3が昨年末から今月中旬まで行ったパブリックコメントの意見をまとめたもの、そして、資料4-4が前回12月13日の大学分科会特別部会、この場でございますが、こちらでの御意見、そして、資料の4-5が12月25日に行われました中央教育審議会総会の意見をまとめたものとなっております。
まず、初めに、資料の4-1を御覧ください。前回の大学分科会と特別部会の合同会議でお示しした答申案に関する議論を踏まえ、答申案につきまして、昨年12月25日に中央教育審議会で御審議いただきました。その後、12月26日から1月15日にかけてパブリックコメントを行い、158件の御意見をいただいたところです。本答申案はこれらを踏まえて、12月25日の総会で提示した答申案から、事務局にてさらに追記修正したものであり、赤の部分が修正箇所となっています。主な修正箇所のみ、ポイントを絞って説明します。
まず、初め、答申案の題名ですけれども、これまで諮問を踏まえて、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方についてとしておりましたが、永田分科会長とも相談の上、答申案の内容をより体現する題名として、「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築~」としております。
続いて、「はじめに」におきまして、危機を少子化に絞って記載しておりましたが、これ以外にも様々な危機があることを明確化するため、記載の充実を図っております。
続いて、ページが飛びますが、7ページを御覧いただければと思います。高等教育政策の目的として、質、規模、アクセスの3点を掲げておりますが、先ほどお示しした題名に連動させる形で高等教育システムの再構築を行っていく旨、明記をしております。
続いて、9ページを御覧ください。成長分野を創出、牽引する人材の育成について、デジタル、半導体、グリーン等の人類の新たな課題に挑戦していく成長分野の転換について記載していたところでございますが、農業や観光等の地域を支える分野の振興についても、これまでの政府文書等を踏まえて記載を追記しております。
続いて、14ページを御覧ください。こちらのイの題名で、従前、高等教育機関を核とした地方創生の推進としていたところですけれども、高等教育機関は地方の人材育成の核というほうが適切ではないか、そういった御意見があったことを踏まえまして、「人材育成等を核とした地方創生の推進」と修正をしております。
続いて、18ページを御覧ください。教職員の能力向上に関する取組として、博士後期段階から行うプレFDやファカルティ・ディベロップメント、スタッフ・ディベロップメントに関する記載を追記しております。
また、隣の19ページ、大学入学者選抜について、高校段階における文理横断的な学びの必要性の高まり、大学入学共通テストの導入、総合型、学校推薦型による入学者の増加など、在り方の議論を進めていく重要性について、その背景をより明確化しております。
続いて、27ページを御覧ください。ここは通信教育課程の在り方、箱書きの中で、奨学金の対象が旧来の面接授業、あるいはスクーリングに限定されて遠隔授業は対象とされていない実態を改善する観点から、学生への支援に関する視点を追記するとともに、放送大学学園法が成立した当時の国会でも附帯決議として示されていたことですけれども、私立大学通信教育と放送大学の連携の推進についても明記をしております。
続いて、43ページを御覧ください。地域のアクセス確保の部分ですが、地域のアクセス確保の観点から新たに設けることとする高等教育機関、地方公共団体、産業界、金融機関等の地域の関係者が継続的に議論を行う協議体として、これまでの案では、地域研究教育推進プラットフォームとしておりましたが、名称を改め、地域構想推進プラットフォームとするとともに、大学と連携推進の仕組みを発展させた地域研究教育連携推進機構との関係性について、追記をしております。
続いて、62ページ、「おわりに」の部分を御覧ください。こちらでは学生へのメッセージが必要ではないか、そういった御意見があったことを踏まえて、新たにそのメッセージを追記しております。
続いて、お手元の資料4-2を御覧いただければと存じます。4-2ですけども、本答申の要旨として、答申案の内容をまとめたものを用意しておりますが、これまでの内容に加えまして、より内容を分かりやすくする観点から、5ページから7ページにかけまして、質、規模、アクセスのそれぞれの項目に関しまして、今後の具体的方策のイメージを整理した資料を新たに追加しております。
そして、資料4-3から4-5までは、本答申案や要旨と併せて御確認いただければと存じます。
それから、続きまして、お手元の参考データ集のファイルを御覧いただければと存じます。恐らく赤の紙ファイルが、黄色ですか、机上にあると思いますが、こちらをめくっていただきますと、新たに変更、追記した箇所はページ数に黄色のマークをしておりますけども、参考データ集で幾つかの追記修正を行っております。ファイルの扉を開いていただくと、1枚目、(1)-1-4という資料がございますが、この中で各地域別の従前から将来の見通しを含めた世界人口の統計、2枚目の(1)-2-1とで地球温暖化の現状、また、その下、(1)-2-2では、世界の国際秩序の動向の変化、さらに3枚目、(1)-2-3では、エネルギー消費の推移、(1)-2-4では、水食料需要の見通しなどの世界動向の変化、あるいは、4枚目ですけども、(1)-2-10では就業率の国際比較、(1)-5-6という資料が8枚目ぐらいにございますが、こちらでは東京圏への男女別転入超過数の推移という資料、そして、さらにその先、11枚目になりますが、(2)-1-8では、大学短大別の受験進学者の割合についてデータを追加するとともに、それ以外にもこれまで提示してきましたデータにつきまして、時点更新を行ったものを追記しております。
事務局の説明は以上になります。御審議よろしくお願います。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
これから御意見いただきますが、今日も合同会議でかなりの人数がいらっしゃいます。できれば、一、二分で御意見を述べていただいて、皆さんが意見を述べる機会を与えていただきたいと思います。最初に、途中退席が決まっています須賀委員、御意見あれば、最初にどうぞ。
【須賀委員】 ありがとうございます。今回、かなり手を入れていただいたので、私が気にしていた部分については、かなり書き込んでいただいたかなと思っております。
そこで、この先どういう形になるのかというところで一番心配しておりましたのが、中央教育審議会で大学の数の問題についても、ある程度の形が出てきたときに、入り口の部分の設置審のところとどういう関係を持つのかというのが、気にしている一番大きなところの1つでございます。そういったものは、今回の答申の中では関係ないのかもしれませんけども、どういう形で今後進めていかれるのか、何かあれば教えていただきたいと思っておりました。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。答申案は、基本的な考え方や概念を述べていて、文部科学省がこれから一つ一つ、施策に落としていくのだと思うのです。実際、何年か前のグランドデザイン答申も、出てからかなりの法律改正、省令改正を順番に行っていく、あるいは誘導的な政策や予算を考えて進めていきました。かなりたくさんの法律改正やシステム改変があるので、一気に進めるわけではなくて徐々に進むものだと思いますが、いかがでしょうか。
【髙見高等教育政策室長】 ありがとうございます。お手元の資料の4-1の答申案のうち、62ページを御覧下さい。答申案は全体としては、具体的な方向性に加えて、どういったことやっていくのかということを項目ごとに整理しておりますが、これはあくまでも答申でございますので、これが出た後に、政府としてしっかり制度改正、あるいは財政支援、そういったものを行っていかなきゃいけないということで、すぐにできるもの、それから比較的時間をかけて行わなければいけないものといろいろあるというところでございますけども、そういったものをしっかりと工程表の形で整理した政策パッケージ、こういったものを答申が出た暁には、政府のほうでしっかりと用意して、それに沿って必要な施策を進めてまいりたいと考えております。
【永田分科会長】 ありがとうございます。それでは、ほかに御意見、御質問等あればお伺いいたします。小林委員、どうぞ。
【小林(弘)委員】 前回もお話ししたのですけど、規模の適正化に関しまして、国立大学、それから公立大学、それから私立大学について、それぞれについて、縮小も含めて検討するという話はされているのですけども、それは地域ごとに当然異なると思いますので、それを議論する場所というのがどうも不明で、地域構想推進プラットフォームでもなさそうだし、地域研究教育連携推進機構でもなさそうなのですが、議論する場所というのはどういうものを想定されているのか、どこにも書いてないような気がしますので、そこが1点目。
そして、もう一つは、毎回毎回、公財政支出の規模についてということで、いろいろ委員の方が要望を、金子委員とか、それから、曄道委員もそうですか、それから髙宮委員も、私も含めて、何回も要望している割には具体的なことが書かれていないと思います。永田分科会長も書くようなことを言っていらっしゃったような気がするのですけど、今回も書かれていないので、書かれない事情もあるのかもしれないのですけど、話によると、GDP比というのは財務省があまり好きではなくて、学生1人当たりの公財政支出は十分あると言われているそうなのですが、そのデータも私は見たことがないので、その辺について何か御存じでしたら教えていただければと思います。
2点です。
【永田分科会長】 事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】 ありがとうございます。まず、1点目の地域の規模の話ということでございますが、まず、これ全体的な規模の話については、答申案の中でも整理していますとおり、2040年には46万人まで厳しくなっていくということを示しております。今後、これはまた議論を進めていく過程において、地域ごとに、ここに掲げているような地域構想推進プラットフォーム、あるいは、地域研究教育推進機構といいます枠組みを考えておりますけども、この枠組みができた暁には、そういった中でも、地域の中でアクセスをどうしていくのかということはしっかり御議論いただく必要があるのではないかと考えております。
それから、コストの話については、実は資料の後ろのほうになりますけども、81ページの注釈の部分でございます。32行目から33行目にわたっての注釈の部分、これ文字が小さくて、259というところでございますが、この辺りでOECDに関する記載を追加しているところでございますが、なおまた、さらに必要なことがあれば、いろいろとまた御助言いただければと思います。
【永田分科会長】 ありがとうございます。概算要求で文部科学省に新しい地域プラットフォームに資する新しい室もつくられる予定になっていますので、一歩ずつですが進んでいくでしょう。この辺については、難しいところがありまして、詳細に書くと詳細にとらわれますし、大きく書くと全然聞いてもらえないという、なかなか難しいところがあるので、今言われました追補のほうで読んでいただきたいと思います。
そのほかいかがでしょうか。大野委員、どうぞ。
【大野(英)委員】 ありがとうございます。こういう重要な答申が取りまとめられたということを大変意義深く感じています。加えて、ここで読み込めるのだと思いますけれども、答申を実施するに当たって、3点ほど喫緊の課題があらわに、実行段階で出てくるのではないかと。それについて、簡単に3点ほどお話をしたいと思いますが、全て人口減少による働き手不足と、それから、人工知能によってドライブされた雇用減少が同時進行する、つまり、人材のミスマッチが進行するということが背景にあり、高等教育が18歳人口のみならず、社会の構成員のウエルビーイングを満たす役割があるということがあります。
まず、1つ目は大学や高等教育機関は、教育だけではなくて経営のデジタル化、デジタルトランスフォーメーションを進めるべきで、これによって学生諸君の学びが進化するとともに、社会との協働が一層強化されます。
第2に、多様性、柔軟性、迅速性を重視して設置基準、設置認可を行うことが急速に変化する社会に対応するために重要だと考えます。加えて、年齢や背景にとらわれないことで、高度な海外人材の受入れも推進できるようになると考えます。
第3に、これも先ほど出ていましたけれども、大学を核とした人材育成、リスキリングネットワークをつくっていくと。既にSINETなど、ハードウエアは整備されていますので、AI時代に対応した高度な教育やリスキリングプログラムをその中で提供することによって人材のミスマッチを解消し、それによって大学が新たな産業の創出や地域活性化の核となることが期待できると思います。
したがって、答申を実行するに当たって、今のような人材のミスマッチというものを、スピード感を持って解消する方向でぜひ実施していただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。議論をされた内容もほとんど含まれていると思いますが、あえて、大事な点としてエンファサイズしていただいたということです。
そのほか、いかがでしょうか。村田委員、どうぞ。
【村田副分科会長】 発言するかどうか迷ったのですが、先ほどの小林委員の御質問で御回答があった259番の脚注なのですが、これは昔、ある会議で財務省の人と私はやり取りをしたことがあるのですが、国民1人当たりのGDPに対する、例えば大学教育、高等教育の在学者1人当たりの公財政支出といったら、これ簡単な算数で、結局、GDPに占める、大学だったら高等教育の支出の割合掛ける大学進学率分の1なのです。そうすると、大学進学率が、日本の場合はOECD比に比べて若干低いですから、そのためにこの比率が多くなって見えるのです。やはり比べるのは、GDP比に対する高等教育の支出であるとか、学生1人当たりでの支出であるとかというようにすべきだと思うので、逆に、財務省はこの指標をよく使いたがるのです。しかも、これOECDの、たしかOECDだったと思うのですが、レポートがありまして、レポートでこの比率が使われているのですが、参考文献はその一つぐらいしか私はないと思っているのです。
ただ、これはかなり曖昧な定義づけだと思いますので、逆にこれを使っちゃうと進学率に影響が受けていますので、脚注にこれを載せるということは、逆に文部科学省もそれを認めてしまっていると。私は、財務省はどちらかいうと、大学、あるいは教育への支出のためにとは言いませんが、抑え、低くというか、高いのだということを言うための指標として持ってこられているのかなと思うので、進学率に影響を受けるようなもの、これは別の編成に影響を受けるようなものを載せないほうが、根拠が曖昧だと思いますから、ここは削除していただいたほうが文部科学省にとってもいいのかなと思います。
以上です。
【永田分科会長】 先ほど小林委員の御意見に回答したところなのですが、この数字を使うというのはかえっていろいろと解釈されてしまいます。GDP比で出すと、そんなことはないという理屈で返ってくるわけです。それは何度やっても同じ理屈で返ってくるわけです。文章の本文のほうは極めて低い水準にあるという公財政支出のパーセンテージを書いているわけです。これを2つ、おっしゃったように、違う意味合いを持っている部分があります。数字を出し過ぎると、それは実は功罪あるという部分があります。
我々としては、ここで書いているのは、今、先生がおっしゃったような数学も含めても、基本的にOECDの中で全然高等教育への投資がなされていないということを申し上げたいのだということなので、書き方を少し変えれば……。
【村田副分科会長】 いや、脚注の数字を使うと、特に高等教育に関しては、数値が悪くないという形になってしまいます。
【永田分科会長】 それは財務省が言ってくるのです。
【村田副分科会長】 そこを危惧しています。
【永田分科会長】 文部科学省が持っていって、いつも財務省が言うのと同じ回答が今、来ているわけですが、事実は事実でこういう数字があります。先ほど小林委員にお伺いするときに、数字がいいように使われるというのがあって、出せない部分があります。数字を出すとひっくり返る解釈をされる部分があるというのは、もう常日頃から全ての数字について対策が練られていますので、定性的な文章で書くというのは、ひとつの手であるというふうには思っているところです。少し考えさせていただきます。事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】 事務局です。ここの書きぶり、また事務局のほうで考えさせていきたいと思いますが、大きく多分2つの方法があるのかなと。先生がおっしゃるように、削ってしまうというやり方と、それから、この数字はこういった特性があるので、こういったことを留意しながらちゃんと確認する必要があるというように、少し留意事項をつけるというやり方もあるのではないかと思います。
【村田副分科会長】 進学率に影響が効くのだということは、ちゃんと書いていただければ……。
【髙見高等教育政策室長】 その辺り、しっかりと検討したいと思います。
【永田分科会長】 そのほかいかがでしょうか。田中委員、どうぞ。
【田中委員】 お世話になります。よろしくお願いします。設置者別の役割についてでございますが、53ページのところになるかと思うのですが、国立大学の役割というところで、四角囲いの中で具体的な方策というところで、3つの丸ポチというところでまとめられているのですが、国立大学においても、第3期中期目標期間のところぐらいから類型別のところ、運営費交付金の類型別から始まって、国立大学においても地域と世界と、あるいは日本全体とか、世界に伍するとかというところで、地域を意識して運営されてきていることは十分知っております。
文中においても、地域と社会全体をというところの文脈で書かれているのですが、そのまとめにおいては、3番目に「地域の牽引役」としてと書かれていて、その下には「各地域社会を牽引する」、もう本当に細かいところなのですが、地域という言葉だけを限定されて書かれると、公立大学の役割との共有化というか、競合化というのがクローズアップしてしまうと思うので、ここは地域社会と、社会という文字を入れていただきたいと、細かなことなのですが思うところがありまして、発言させていただいております。よろしくお願いします。
【永田分科会長】 田中委員がおっしゃるのは、四角囲いの丸印のついたタイトルの「地域の牽引役」ではなく、「地域社会の牽引役」ということでしょうか。
【田中委員】 はい。
【永田分科会長】 了解しました。それは問題ないかと思います。その下は、「各地域社会を牽引する学生の育成」と書いておりまして、その問題は解決できると思います。
【髙見高等教育政策室長】 先生、よろしいでしょうか。一応この書きぶりは、前の文章が各地域社会を牽引する学生という観点と、後ろが大学と連携を地域において牽引していくという2つの意味合いを兼ねて、今は地域の牽引役という記載にしておりますけど、ただ、先ほどの御指摘を踏まえて、どのような書き方ができるか検討したいと思います。
【永田分科会長】 ということでございます。
【田中委員】 ありがとうございます。
【永田分科会長】 ほかにいかがでしょうか。大森委員、どうぞ。
【大森委員】 大森でございます。今日はもう本当にまとめていただいたので特にと思っていたのですけれども、今の御議論ところで気になったのは、もちろん公立大学のお立場というか、地域の中での役割というのは、非常に重要な役割だということを認識した上ですけれども、公立大学がないような県とかもあったりしたりということと、公立大学があれば、国立大学は大学、仲間は集めて牽引しなくていいのかというと、そうでもないような気がして、両方にその役目があるのか、今ソリューションがないのですけれども、もともとの意図は、各県に必ずある国立大学が地域の仲間を引っ張っていってということの意味だったと思うので、そのことが薄くならないようにはしていただいたほうがいいのかなと感じて、すみません、書きぶりは事務局にお任せをしてしまう感じになるのですが、公立大学も本当に重要な役割を果たしているということを重々承知した上で、そのことを御検討いただければと思いました。ありがとうございます。
【永田分科会長】 先ほどの53ページのところの一番重要な国立大学の具体的な役目として、大学等連携における牽引役というところなのだと思うのです。この部分が一番強調されるような意見がずっと出ていたのだと思うのです。大森委員の御意見も多分そうです。
各地域社会を牽引する人材というのは、別に地域の人材だけではありません。こちらのほうの大学等の連携、こちらは地域なので、微妙に少しだけ違うのです。あとのほうは、あくまでも地域の中での連携の牽引者として頑張りなさい。後半は別に地域の学生だけでもなくて、「地域の産業や」というのが入っていると分かりやすかったのでしょうが、そういうものをつくり出していくという中核になってほしいというのが含まれて書いているのだと思います。ですから、そこを分かりやすく、知っている人は解説しているわけですが、そう読めないのであれば、今のようにここは改めます。はっきり分かるようにさせていただきます。
そのほかいかがでしょうか。こういうのが非常に重要な意見でして、誤解を招くような表現が一番よくないので、今みたいなところは、こちらが意図するところが通じるように修正した方が良いと思います。そのほかいかがですか。小林委員、どうぞ。
【小林(弘)委員】 すみません、2回目になりますけど、こちらの本文のほうは答申案のほう、53ページから順番に、国立、それから公立、私立大学が書いてあるのですけども、公立大学のほうには、定員規模の見直しも含めというのが太字で書かれていないので、ほかのところは定員規模の適正化というのがかなりはっきりと書かれているのですけど、公立大学のほうは、地域の実態を踏まえた実施というところの丸ポチの1番目に定員規模の見直しも含めて書いているので、少し書き方のトーンが弱いかなという感じがします。
たしかパブコメの中にも同じような指摘があったような気がしますので、どうでしょうか、これももう少しトーンを強めていただければ。定員規模の見直しと書いてあるわけですけど。
【永田分科会長】 今の御意見は、もう少し見直しのサイズ感というか、規模感が分かる書き方にという意味ですか。
【小林(弘)委員】 強調の仕方が、国立と私立については規模の適正化というのがかなりはっきりと書かれているのですけど、公立のほうはトーンが若干弱い感じがする、そういう印象の問題だけかもしれませんけど。
【永田分科会長】 事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】 公立大学につきましては、先生御存じとおり、地方自治体が実際には運営を行っているというところもありますので、少し一歩、書き込みにくいところというのは実態としてございますけども、ただ、御指摘はごもっともだと思いますので、そこら辺の書きぶりについては工夫していきたいと思います。
【小林(弘)委員】 及び腰だということですね。ありがとうございます。
【石橋大学教育・入試課長】 1点だけ付け加えさせていただきますと、国立大学、それから私立大学ができてきた地域の中で、公共団体は自分たちのところでこれが足りないと思って大学をつくられているという例も多々ありまして、ここに対しての規模感というのをどう考えるかというのは、自治体ともしっかりと意思疎通をしたいと思っておりますので、このような書き方で、事務局としては提案させていただいたところでございます。
【小林(弘)委員】 御存じのように、私立大学の立場としては、公立大学、こういう言葉を使っていいか悪いかは分からないのですけど、民業圧迫みたいな感じで捉えられているので、実際、例えば、看護師養成機関というのが、専門学校も含めて公立のほうがどんどんつくっていってしまうので、学費の高い私立大学は定員割れしてしまうという現状があるので、それは何とか伝えておきたいと思います。
【永田分科会長】 そうです。わざわざ四角に囲って書いているからなのです。全体像で書いてあって、誰がそれに相当するかが分かりにくいのです。そうなると、先ほどおっしゃったとおりで、こういう書き方にもなっています。確かに変な話ですが、微妙に少し違うのです。なかなか言い難いこともあると思います。事務局、どうぞ。
【石橋大学教育・入試課長】 全く見直さないということではないと私たちも捉えてはいるのですけども、先ほど御意見がありましたように、自治体ごとにきちんと議論をしていただくことは大変重要かなと思っておりまして、機構であったり、新しい法人の仕組みなどもしっかりと準備をしていきたいなと思っておりますのと、先ほど少し御紹介いただきました地域大学振興室という室を当課のほうに設けることに、この4月からなっておりまして、そこでもこのような、まさに今いただいたお声は私たちのほうにもいろいろな形で届いておりますので、自治体との議論というのを、もう一歩踏み込んでやっていきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】 このままになってしまうかもしれませんが、しっかりと考えさせていただきます。
松下委員、どうぞ。
【松下委員】 ありがとうございます。ここまでおまとめいただきまして、本当に感謝申し上げます。
今回の答申では、地域の高等教育へのアクセス確保を図るための仕組みというのがかなり具体的に打ち出されたというのが、大きな特徴の一つだと思います。これに関して伺いたいのですが、1ページのところの注で、地方と地域の用語の使い分けについて書かれています。その一方で、要旨のほうの参考3というスライドで簡潔にまとめられているのですけれども、例えば地域研究教育連携推進機構というときの地域というのがどのくらいの範囲で考えられているのかという点を伺いたいと思います。というのが、例えば産官学連携推進パターンのほうですと、地方創生に資するとなっていまして、ここでは地方という言葉が使われています。これは地方創生という言葉があるからということになるのかもしれないですけれども、先ほどの地域と地方の使い分けでいえば、都市に対して地方という呼び名であるわけです。
例えば大学間の連携というときに、ある特定の地域の大学間だけではなくて、例えば地方と都市部の大学の連携なども含めて考えておられるのかどうなのか、地域でのネットワークをつくるというときのイメージをもう少し具体的にお示しいただければと思います。
それから、もう一つ、それに関わってですが、その下のほうに、今もお話に出ました地域大学振興室の新設というのが書かれています。これも非常に重要な取組だと思うのですが、本文のほうには地域大学振興室という言葉は書かれていないですよね。検索したところではヒットしなかったのですけれども。このような割と重要なことが、要旨のほうのスライドには書かれているのだけれど、本文のほうに書かれていないということになっていますので、地域大学振興室について、本文のほうでも触れていただくわけにはいかないのでしょうか。
以上、2点です。
【永田分科会長】 文部科学省の代わりに申し上げます。後のほうの質問は、予算成立していませんので、まだ実際にできるかどうか分からないのです。幾らできるといってもできないかもしれないので、書きにくいのだと思います。
それから、前半部分の地方というところは、そこに書いてあるとおりだと思います。つまり、機能的であれば、このコンテクストとは違いますが、鹿児島大学と山口大学が共同獣医学部を設置している、四国の4県も国立大学で教育課程をシェアしているなどの実例があります。こちらから地域を限定するというよりは、機能的に協業できるところは行ったらよいのではないかと思います。
それから、大学等連携推進法人は、新しい法人が1個できるわけですが、これは入る大学が全ての課程をその法人に入れるわけではないので、これもニーズに応じた部分での連携の枠組みであるということです。ただ、大学等連携推進法人はあまり強い法律になっていませんので、そこはこれから変えていかなければいけないであろうと思っています。
例えば、一番大切なガバナンスマネジメントについての権限は抑えた形でつくられているということ、それから、インセンティブがほとんど大学間同士でしか感じられないというところがあって、当法人ができた地域にきちんと還元される形になるようにというような部分は今後、規則改正も含めて行わないといけないだろうと思っております。
ですから、画一的ではありますが、地方というのはジオグラフィックな地方であり、地域というのは今申し上げたような多様な機能で連携を組むと、そういう考え方であると思います。
事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】 もう永田分科会長におっしゃっていただいたとおりなのですが、1点補足、資料4-1の43ページですけれども、地域大学振興室という直接の記載はございませんが、43ページの下から4行目あたりですけども、国における司令塔機能を果たすための責任ある体制整備、これがまさに今おっしゃっていただいた地域大学振興室を想定しているものということでございます。しっかりとこの後、進めていきたいと思います。
【松下委員】 ありがとうございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。平子委員、どうぞ。
【平子委員】 パブコメに寄せられた意見として、「はじめに」の中に、「大学教職員の雇用や待遇に関する課題が射程に入っていない」という指摘がありました。これは重要な指摘だと思います。これから先、少子化の影響で業種を超えて良い人材の取り合いになってくる可能性がありますので、大学教職員の雇用、処遇について、課題認識をしておいたほうがいいのではないかと思います。これに関する記述は本文にあるのでしょうか。
【永田分科会長】 事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】 例えば、59ページのところで、ウの個人保護者負担という項目がございます。この中では、高等教育機関について社会の進展に対応したより高度な教育活動を行っていくことが求められており、それに伴い必要なコストが大きくなっていくといったことで、その必要性について掲げているといった記載がございます。そういったところが、まず、主な記載の箇所かと思います。
【永田分科会長】 パブコメの意味とは少し違っていますけが、この程度の表現になっているということです。
そのほかいかがでしょうか。
【髙見高等教育政策室長】 失礼しました。あと57ページもございました。必要コスト算出というところですが、質の高い教育研究を行っていくためには、優れた教職員や学生を引きつける環境を構築することが必要だということで、安定的な財務基盤を確立することが必要だと。これは恐らく前々回ぐらいの特別部会で御議論いただいて、挿入した内容だと捉えております。
【永田分科会長】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょう。大森委員、どうぞ。
【大森委員】 すみません、2回目で。大森です。さっきの御議論を聞いていて、少しもやもやしていて、どうしようかなと思っていたのですけど、事務局にはすごく御負担かもしれないのですけど、さっきの公立大学のくだりのところなのですが、書きぶり云々というよりも、文部科学省としても各自治体に少し遠慮があるなあということがあると、全く同じことが今度、自治体のほうでも国立大学や私立大学に遠慮があるなあという感じがあって、例えば県とかの総合戦略計画とかを立てるときにも、公立大学のことに関してはしっかりと書き込まれるのだけれども、国立大学とか、あるいは、ほかの自治体が、例えば市が持っているものであるとか、あとは私立とかについては書かれないというようなことがよく、今は大分なんかは大分変わってきましたけれども、起こっている。お互いに遠慮していて、そして、でも今ここで言おうとしているのはそういう場合じゃないよと、設置者を超えてみんなでタッグを組まなきゃいけないのだよねということを言っているのに、この段階で遠慮をしてしまうというのは、実際に今度、室ができることの通知もいただいて、みんなでやろうよと言っているところなので、そこを一歩乗り越えたいなあという気持ちはありますということだけです。
以上です。
【髙見高等教育政策室長】 ありがとうございます。先生の御意見については、資料4-1の14ページでございますけども、31行目以降、「地域の将来像について議論をする際には」というところからですけども、「地方公共団体の役割は欠くことができない」と。しかしながらということで、これはまさに先生がおっしゃっていただいたとおりですけども、「地方公共団体では、高等教育に関する行政は国の役割であると認識の下、高等教育機関との連携業務を中心に行っている部署が設置されている例は少ない」と、こういった実態もあるということも記載しております。まだこの書きぶりで足りないということであれば、またさらに追加をしていきたいと思いますが、今回の答申の非常に大きな柱の一つだと思っておりますので、そこは今後、しっかりと自治体の方々にも訴えかけていくようにしていきたいと思います。
【永田分科会長】 今の大森委員の御意見は、この答申のかなり重要なポイントです。地域でがんばってお互いに助け合おうということになっているので、今の14ページのところに、1か所だけでいいから、設置者を問わずという意味で高等教育機関をというように書けば、意味するところはできるので、ぜひとも入れましょう。これは後までずっと引っ張るのです。何とか等、プラットフォームなども全部出てくるので、なるべく最初のほうに入れておいたらいかがでしょうか。ここは大学全般を記載している部分ですから。
そのほかいかがでしょうか。益戸委員、どうぞ。
【益戸委員】 部会では、ずいぶん色々とはっきりしたことを言わせていただきました。それがこのような形でまとまった事は大変感謝すべき事です。ありがとうございました。
今回の議論の中で非常に重要だった点は少子高齢化社会を迎え、民間企業では当たり前となっている新たな競争・改革が、教育機関でも始まり、新しい時代を意識するという事です。
例えば先程、公立大学と私立大学のお話が出ましたが、しっかりした情報公表であるとか、しっかりした教育プランづくりというものが、結果的にどのように学校が残っていくか、どういう形で教育・研究が進められるかなどにつながっていくことなのだと思います。この答申で全てが解決するわけではなくて、これがまさに新たな出発点になるということを私たちはしっかり意識しなければいけないと思います。以前、文部科学省の方にお願いをいたしましたが、この議論を実現するためには一体どうしたら良いか。皆さまの不断の努力は十分理解しておりますが、さらに突っ込んでいっていただきたいとお願い致します。特に国の予算は、残念ながら横ばいです。
議論のはじめから何度も申し上げましたが、改革は必ずコストがかかるということです。ぜひそれを国全体として理解いただけるように、よりがんばっていただきたいことと、この答申の中身を一部のマネージメントだけでなく全学の教職員の皆さんが理解できる様にする事、そして学修者・ご父兄にもご理解頂ける様に伝える方策をお願い致します。
議論に参加させて頂きありがとうございました。
【永田分科会長】 ありがとうございます。目が合ったので伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】 難しい議論とはどういう議論だったのかなと、さっき永田分科会長が言ったのを、それをちょっと笑っていただけでございます。
【永田分科会長】 髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】 ありがとうございます。髙宮です。ここまでの長いいろいろな審議をまとめてくださいまして、本当、文部科学省の方々どうもありがとうございました。
私から今回の案については、大きくもはや修正というのは、提案はございませんが、希望としましては、一つ意見を述べさせていただきますと、前に小林委員がおっしゃっていましたように、経済的なところの部分で、公的資金の支出については、もう少しアピールできるような内容を盛り込めたらいいのではなかったかなと、そこは私も思っております。ただし、書きようによって非常に難しいことがあることも御説明を伺って理解いたしました。
非常に経済面が重要だと申しますのは、ほかの全てのことは恐らくサジェスチョンは非常にいいことが述べられており、どの大学も、どの教員も、教職員もやりたいと思うことが多々あると思っています。ところが、人手が足りない、資金が足りない、それゆえにできないということが生じてしまっておりますので、そういう意味から経済問題というのが重要だと認識しております。これを出された上でどうなるかというと、今後、いろいろな実施のパッケージの方法等を皆様お考えのようでありました。これから本当にどうやって実現させていくのかということにも、むしろ私は関心を持ってきているところです。先ほどの公的支出の重要性とか実現のためには、もしかしなくても、広報活動ですか、多くの方々に理解していただくための広報活動なども少し文部科学省のほうから積極的にしたりするということも含めた、実施のための方策がむしろ出たらいいのかなと思いました。
ちなみに、今日別のところでリスキリング教育の話を会社の方々としておりましたら、例えば、学位ってどのように捉えているでしょうと伺うと、もはや日本の大学は弱過ぎるかもしれないというような厳しい御意見をいただきました。こういうところにも対応していくためには……。
【永田分科会長】 髙宮委員、音が途切れています。
【髙宮委員】 大丈夫でしょうか。
【永田分科会長】 今は聞こえます。
【髙宮委員】 すみません、失礼いたしました。そういうグローバルで負けつつあるようなところに対応するためにも、もっと広い方々に財政支援のことをお考えいただけたらと思います。
以上です。ありがとうございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。次への応援団だと思ってください。後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】 これから高等教育機関が競争にどんどん入っていくと思うのですが、その切り口として、学びの質ということと出口保証ということは重要だと思います。これらを達成していくために、国公私立問わず、規模の縮小、適正化というのを最大限活用していこうというポジティブな空気感を醸成できたらと思います。量の減少も質の向上につなげる様々な方策を実現していってほしいと思っています。精神論ではありますが、教育には夢が必要で、積極的に攻めていくということが必要と考えております。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。中村委員、どうぞ。会議の中ではたくさんコメントをいただきました。
【中村委員】 地域の大学のことで言われたので、今回新しく地域大学振興室ができることを非常に期待しております。先ほど、大野委員もおっしゃったのですけども、多様性と迅速性がすごく大事だと思っていますので、各地域、やり方が違うというか、地域によっては特性も違うので、この部分をしっかり、私は国立大学なので、国立大学も含めていろいろなところで連携を組みながら牽引していきたいなと思っています。また、皆さんから御意見いただければと思います。ありがとうございました。
【永田分科会長】 どうもありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。吉岡委員、どうぞ。
【吉岡副分科会長】 ありがとうございます。何を言おうかと思ったかというと、こういう答申は、基本的にはここで考えたことを文部科学大臣にお答えするという形を取っていて、それが政策に反映されていくと、そういう仕組みだと思うのですが、ここまで我々がやってきた議論というのは、単に政府としてこういうのをやるべきだというだけではなくて、例えば地域をどうしようかであるとか、とりわけ各大学が今後、主体的に何をしていくべきであるかということを考える場ということでもあったと思うのです。
特に益戸委員からは、非常によく大学というのはこうすべきであるという意見が出されました。何を言いたいかというと、これはそういう大学の執行部であるとかが、きちんと読んでほしい。長いので、なかなか読みにくいのではないかと、吉見委員が前にもおっしゃっていましたけども、でもこれは各大学が今後考えていく、要するに方針を考えていくときのヒントとかもいろいろと入れてあるはずなので、そういう意味では、各大学に読んでほしいというのが単なる意見です。そう思います。
【永田分科会長】 ありがとうございます。そうあってほしいものだと思います。吉見委員、どうぞ。
【吉見委員】 すみません、私もここまでできていて、何も答申案について申し上げることはないので、ここから先は言わずもがなのことかもしれないのですけれども、多分これが出ていって、永田部会長や文部科学省の皆さんはマスコミとかメディアとか、あるいは、大臣とかいろいろなところに御説明をされるのだと思うのです。そのときの説明のされ方はどうするかということは大切だと思うのですけれども、本当に言わずもがなだと思うのですけど、これで、全体で一番、目を引くのは知の総和という言葉、これは一体何なのだという話になるのだと思うのです。
そのときに、この知の総和と、下に掲げられている3つの質の向上と規模の適正化とアクセスの確保はどういう関係になっているのだということは当然ながら聞かれると思うのです。恐らく、規模の適正化はせざるを得ないと考えているのはほとんどの方だと思うのです。だけども、それに対して知の総和を落とさない、むしろ上げるのだと掲げているというところにポイントがあるわけですよね。そうすると、そのためにどうすればいいかというと、ここにお書きになられているように、知の総和イコール数掛ける能力だとするならば、質を上げるしかないというところで質の話に入っていくわけで、だから、一番言いたいことは質の向上のところにあるわけで、だけど、それを担保するためには、前提として、アクセスの確保という下から支えるセーフティーネットみたいな、下から支えるものがないと全体が崩れちゃうというような、この組立てを、多分、永田分科会長は全部、これ頭に入っていらっしゃると思うのですけれども、多分いろいろな方が説明に行かれるときに、恐らく知の総和と質の向上と規模とアクセスは別々のことじゃなくて、極めて、ほとんど数式のように組み合わさっていると、そういうことをむしろ、いろいろなメディアの方にも分かるように説明に行かれることを期待しております。それだけです。
【永田分科会長】 ありがとうございます。もうお認めいただいたと思っているのですが、タイトルを最後の最後に変えております。タイトルの冒頭に少子化をもってきて、これから何年間も少子化答申と呼ばれるのは、さすがに避けたいので、今おっしゃった知の総和を頭に持っていきたいということで、変更しました。これなら知の総和答申とかになるのではないかと思います。少子化答申は少しと寂しい、もちろん大事な課題ですが、それだけが課題ではなかったわけですから、そういう意味で、これでお認めいただきたいと思います。最後に変えさせていただきました。
そのほか、いかがでしょう。小林委員、どうぞ。
【小林(浩)委員】 このようにおまとめいただきありがとうございました。1ページ目にあるとおり、まさに我が国における社会の将来を方向づける最大の国家プロジェクトの一つという強い認識の下で、よく部会長もおっしゃっていましたが、そういう思いで議論をしてきたつもりでございます。そう考えると、これまで大学というのは大学の中で閉じた存在だと思われていたように思います。よく私も講演に行くと、いろいろなところから大学の数が多過ぎるのではないかとか、もう少し、なくなってもいいのではないかみたいな声をお伺いしましたが、それは大学の中だけに閉じた問題として議論が行われていたわけです。しかし、今回の答申では、大学だけの問題じゃないとしているわけです。これから日本の社会構造、地域社会の大きな問題の中に大学をどう位置づけるかというスタートラインに立つような答申にまとまったのではないかと思います。そうなってくると、先ほど省庁間の話がありましたが、省庁を超えた話合いだけではなくて、地域の自治体や経済団体とも、今回の答申に掲げた課題認識を積極的に共有しながら、これからの社会の在り方、大学の在り方を検討していくことが重要かなと思っております。
11月に将来予測を出していただきましたが、2033年頃までは何とか定員充足率も維持できるのだけど、その後は急激に減って行くことになります。そう考えると、これから工程表をどう描いていくかというところも重要で、先ほどもスピード感が重要だという御意見がありましたが、これをどう工程表に落として、どのように大学外を巻き込んで進めていくかということが重要になってくると思いますので、その点のお話を最後にさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
これがどこまでうまく書けているかというのは、今はまだそれほどこの状況になっていないという状況の中で本当に取り組めるかということです。実行するに当たっては、今から準備しなければいけないことがたくさんあるでしょう。入学試験を変えれば当然カリキュラムも変わります。それから、リクルート問題として世界に打って出るのかどうか、そこは各大学の判断です。
それは1年前、2年前に始めたとしてもとてもできないことです。当たり前ですが、入学試験なんて今始めたら変えるのに数年以上、10年近くかかってしまいます。ですから、今から始めなければいけないことを認識しないといけないのです。それをもっと大きいコンテクストで考えなければいけないという、この臨場感が届けられればいいのですが、そこはまだこれからの広報にかかっていると思います。
和田委員、どうぞ。
【和田委員】 ありがとうございます。まずはお取りまとめいただきまして、本当にありがとうございます。資料4-2にありますように、5ページから7ページ、こういった参考資料のイメージが加わったことで、さらに分かりやすくなったという印象を持ちました。ありがとうございます。
その中で、今も強調されました時間軸というところが重要なのではないかと思います。もともと2040年で、どういう形になるかということが想定されていました。これが下方修正をされたわけです。したがって、より切迫された中で、これを実現するバックキャストが求められます。財政面では、短期、中長期と書いてあります。一方、政策パッケージを今後まとめられる中にも、ぜひ切迫感のあるタイムラインも必要なのではないかと思います。今、永田会長おっしゃっていただきましたように、いろいろなところが動くというのは時間がかかりますので、少し早めの着手とその広報ということもぜひ入れていただきたいと思います。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。それは政策パッケージも重要な施策で、そこが加速していかないと、同調できて、不安に思いながら参入していく人たちを押せないと思うのです。ぜひとも文部科学省、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
よろしければ、この辺りにさせていただきますが、いいですか。どうもありがとうございました。
今いただいたご意見、各種ありました。この場でお答えしたのもあるし、少し時間を下さいというのもありましたが、最後の推敲に入るわけですが、ぜひとも私に御一任をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】 ありがとうございます。なるべく先生方の御意見を生かして、最後の正文とさせていただきたいと思います。
その他ですが、12月に総会で諮問がありました、初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について、その御報告と、それから予算関係の御報告をお願いいたします。それでは、初等中等関係、よろしくお願いします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼します。初等中等教育局教育課程課でございます。
今、御案内いただきましたように昨年、12月25日に学習指導要領の改訂に向けまして、文部科学大臣より中央教育審議会に諮問を行わせていただきましたので、その要点について御説明を申し上げます。資料5-2の概要の2枚ものに基づいて御説明を申し上げます。
まず、表面、1枚目を御覧いただければと存じます。1枚目は、今後の社会状況や現行の学習指導要領の成果や課題を整理してございます。子供たちを取り巻くこれからの社会はますます変化が激しくなっていくことが予想される一方で、生成AI等のデジタル技術の発展は多様な個人の思いを具現化するチャンスを生み出しているという側面もございます。こうしたことを踏まえまして、「持続可能な社会の創り手」を育てること、そしてテクノロジー等の資源も総動員しながら、全ての子供が豊かな可能性を開花できるようにしていくことが重要であると考えております。
学校現場の状況に目を向けますと、コロナ禍に苦しみながら、GIGAスクール構想による1人1台端末も活用しながら、精力的な授業改善にお取組をいただき、質の高い教師の努力と熱意に支えられ、大きな成果を上げ続けております。
一方で、課題もございます。概要の真ん中の青い字の部分でございますけれども、不登校児童生徒など、主体的に学びに向かうことができていない子供、特別支援が必要な子供、あるいは外国人の子供、特定分野に特異な才能を有する子供も含めて多様性を包摂し、可能性を開花させる教育の実現などが課題になっております。また、課題の真ん中、2 学習指導要領の理念や趣旨の浸透も、また道半ばの部分があると考えております。また、その右、3 デジタル学習基盤、これはGIGAスクール構想による1人1台端末やクラウド環境のことを呼称してございますが、デジタル学習基盤の効果的な活用についても、さらに進めていかなければいけない状況でございます。
このような認識の下、教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合いながら、これまでの良い部分を継承しつつ、課題を乗り越えてよりよいものにしていこうということを基本的な方向性としてお示しをしているところでございます。
続きまして、2枚目を御覧いただければと存じます。その上で、主な審議事項について、4つの柱で整理をさせていただいております。第1に左上の部分でございますけれども、質の高い、深い学びを実現するための分かりやすい学習指導要領の在り方です。知識の概念としての習得や、深い意味理解を促すことなどが一層重要になるということを踏まえて、授業改善に直結するような学習指導要領とするための方策や、表形式、デジタル技術等を活用した示し方等を御検討いただきます。
2番目に、右ですが、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方についてです。子供たちの可能性を引き出すための柔軟な教育課程の編成の促進の在り方でありますとか、不登校児童生徒や特異な才能を有する児童生徒など、一つの教育課程では対応が難しい子供を包摂する方策などを御検討いただく予定です。
左下ですが、第3に、各教科等の目標や内容の在り方についてであります。ここは様々な課題を並べておりますが、情報活用能力の抜本的な向上を図る方策や、主体的に社会参画をするための教育の改善の在り方などを項目として挙げております。
最後に、右ですが、4番目に、教育課程の実施に伴う負担が生じにくい在り方など、学習指導要領の趣旨の着実な実現方策についてでございます。授業づくりの実態を全体として捉えた上で、教育課程の実施に伴う過度な負担や負担感が生じにくい在り方の検討や、情報技術など変化の激しい分野において、最新の教育内容を扱うことを可能とする方策を御検討いただきます。
今後、教育課程部会で御了承いただけることを前提として、1月30日に教育課程企画特別部会という特別部会を設置いたしまして、審議を進めてまいります。今後、中教審における審議を踏まえながら、また、高等教育との接続改善にも配意しつつ、今後の教育課程等の在り方について丁寧に検討を行ってまいります。
以上でございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。何か御質問あればお聞きいたしますが、いかがでしょうか。これは総会であった話でございますので、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
令和7年度予算の案について、特に高等教育に関わるところを中心に御説明をお願いしたいと思います。
【髙見高等教育政策室長】 お手元の資料6を御覧ください。昨年12月の末ですけども、閣議決定されました令和7年度予算案のうち、高等教育関係の主要事項を資料6の1ページ及び2ページに記載しております。
1ページ目を御覧ください。まず、我が国の人材育成やイノベーション創出を支える大学、高専の基盤的経費である運営費交付金、私学助成につきまして、各機関が引き続き教育研究活動を着実に実施しつつ、積極的な改革を進めることができるよう、対前年度同額程度の予算を確保しております。
次に、大学院教育改革の推進といたしまして、昨年3月に取りまとめました博士人材活躍プラン、これを踏まえまして、徹底した国際拠点形成と徹底した産学連携教育の実施等を通じて、質の高い博士人材の増加を図り、世界トップレベル大学院教育を行う拠点形成の支援として、19億円を計上しております。
また、次世代の半導体人材の持続的な育成に向けまして、半導体分野に強み、特色を持った大学等をネットワーク化し、地域の産業界等の人材ニーズを踏まえ、複数大学等が参画する連携型教育プログラムの構築を推進するための事業に必要な予算として、6億円を計上しております。
このほか高度専門人材の育成等の推進に向け、数理・データサイエンス・AI教育の普及展開や高度医療人材の養成等を実施するために必要な予算を計上しております。
続いて、資料の6の2ページを御覧ください。留学生の派遣受入れ、また、教育の国際化の推進について、一昨年の4月に取りまとめられました教育未来創造会議の第2次提言等を踏まえて、特に令和7年度予算においては、海外の大学へ留学する日本人学生に奨学金を支給する海外留学支援費制度について、対前年度7億円増の96億円を計上し、昨今の物価高騰等を踏まえた奨学金の単価拡充を行うとともに、インド、アフリカなどグローバル・サウスの大学との間で質保証を伴った新たな学生交流の推進等を進めるべく、大学の世界展開力強化事業につきまして、対前年度2億円増の10億円を計上するなど、我が国の学生の海外派遣の充実、また、優秀な留学生の戦略的な受け入れ、さらに留学生交流の基盤となる大学の国際化を一体的に推進するために必要な予算を計上しております。
最後に、高等教育段階の修学支援につきまして、大学等に進学する意思のある学生が経済的な理由により進学を断念することがないよう、引き続き着実な支援を実施することに加えまして、令和7年度から新たに高等教育の修学支援新制度におきまして、多子世帯学生等について、授業料、入学金を所得制限なく無償化するとともに、大学院修士段階における授業料後払い制度の本格実施を行うこととしております。
なお、3ページ以降に各事業の資料を添付しておりますので、お時間のある際に御覧ください。
続いて、資料7を御覧ください。先ほど答申案の中でも議論がございましたが、令和7年度の機構定員要求の結果を踏まえた高等教育局の新組織についてです。中央教育審議会の地域ごとのアクセス確保を図るための仕組みの構築、そのための司令塔機能の強化の提言、こういったものを踏まえまして、令和7年度機構定員要求が認められまして、令和7年、今年の4月より高等教育局内に地域大学振興室を設置予定としております。地域大学振興室におきましては、地域大学振興に関する高等教育機関に対する情報提供を一元的に担うほか、大学、短大高専等の高等教育機関や地方公共団体、各地域の協議体など、各地域の関係者と連携し、地域のアクセス確保や地方創生の取組を推進する予定です。大学の皆様をはじめ、関係省庁、地方公共団体、産業界等とも連携しながら取組を推進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
それから、最後になりますが、参考資料3を御覧ください。こちらでは、第12期の大学分科会の審議の状況をまとめた資料を作成しております。この資料につきましては、後日行われる予定の中央教育審議会総会におきまして、今期の各分科会の審議状況として、事務局より提示する予定となっております。
私からの説明は以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございました。今の最後の予算について何か御質問等ございますか。文部科学省、しっかりがんばったわけですが、まだまだがんばらないといけなくて、我が国の高等教育のために、もう少し予算を増やしていかないといけないと思います。
それでは、これで予定していた議事は全て終了となります。今日をもちまして、第12期の大学分科会、並びに高等教育の在り方に関する特別部会の最後となります。そこで、文部科学省から一言御挨拶をお願い申し上げます。
【伊藤高等教育局長】 第12期の中央教育審議会大学分科会及び高等教育の在り方に関する特別部会の最終回に当たりまして、一言御礼の御挨拶を申し上げます。
第12期中は、コロナ禍を契機とした世界の急激な変化など、高等教育を取り巻く環境が大きく変動する中で、その変化を適切に捉えながら活発に御審議をいただきましたことに深く感謝を申し上げます。
令和5年9月に、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について御諮問をさせていただきました。この件を中心に、今期の大学分科会では9回、また、高等教育の在り方に関する特別部会では15回にわたって、終始熱心な御議論をいただきまして、先ほど御審議をいただきましたとおり、本日、我が国の「知の総和」向上の高等教育システムの再構築とし、今日いただいた意見も踏まえて、また分科会長と御相談の上、最終の答申案とさせていただきたいと思ってございますが、いわゆる知の総和答申の案がおまとめをいただいたところでございます。
また、この答申案以外にも、今期の分科会においては、人文科学、社会科学系における大学院教育史の振興方策、また、大学設置基準等の改正などについて、専門的見地から御審議をいただきました。
事務局といたしましても、本日取りまとめいただきました答申案、これから総会で御了承いただいた後という形になりますけれども、速やかに今日も御意見いただきましたように、政策として実行に移していくことが大変重要であるということでございますので、しっかりと政策パッケージを早急に策定しながら、これに取り組んでまいりたいと思ってございますが、かなり大きな制度改正を伴う提言も今回いただいてございますので、その具体化に当たっては、来期の大学分科会などでも委員の皆様に丁寧に御意見をいただきながら、速やかにスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えてございます。
結びになりますが、永田分科会長をはじめ、委員の皆様の御尽力に改めて感謝を申し上げ、御礼の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【永田分科会長】 局長ありがとうございました。
私からも一言だけ御挨拶申し上げたいと思います。大学分科会の委員の先生方、それから特別部会の先生方、知の総和答申、あるいは知の総和向上答申、おまとめに御協力いただきまして、本当にありがとうございます。伊藤委員の授業料の爆弾発言から始まりまして、社会とともにという最後の小林委員のまとめに至るまでの間、いろいろな御意見をいただきました。
これ自身は大変よくできたと思いますが、内心では少しだけ思うことがありまして、今日の答申がグランドデザインの答申に書きたかったことだったのです。そう思うと、この答申は不満足なのです、きっと。つまり、数年前にこの結論を出したかったのですが出せませんでした。時期が早過ぎたのだと思いますが、ようやく今議論になりました。とすると、今話さなければいけない、今日、本当はまとめなければいけなかったことは、この数年後にまとまらなければいけないことであったはずなので、そういう意味では、若干じくじたるものがあるというところがありますが、これからの指針としては良いものができたと思っております。
最後に、大学分科会のほうについては、これも過去何度も申し上げておりますが、中央教育審議会の大学分科会になる前は大学審議会という独立した審議会でした。そういうレガシーを持って、我が国の高等教育についての、物すごく上から物すごく下まで話し合ってきた格調ある審議会が中央教育審議会の中で、ほかの部会と並んで大学分科会という形になったというレガシーのある会なのだということを最後に、もう一度、心にとめておいていただいて、昔から大学は議論の対象で、議論の対象はこの国をつくっていく基盤であると思って、これからも各方面で御活躍いただければと思います。長い間、どうもありがとうございました。
それでは、お開きとさせていただきます。ありがとうございました。
── 了 ──
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室