中央教育審議会大学分科会(第178回)・高等教育の在り方に関する特別部会(第8回)合同会議 議事録

1.日時

令和6年7月19日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長・部会長)永田恭介分科会長・部会長
(副分科会長)村田治副分科会長、吉岡知哉副分科会長
(副部会長)大森昭生副部会長
(委員)後藤景子、橋本雅博、日比谷潤子、古沢由紀子、湊長博の各委員
(臨時委員)麻生隆史、多忠貴、金子晃浩、小林弘祐、志賀啓一、須賀晃一、髙宮いづみ、田中マキ子、曄道佳明、濱中淳子、平子裕志、福原紀彦、益戸正樹、松下佳代、両角亜希子、吉見俊哉、和田隆志、大野博之、小林浩、中村和彦、濱田州博、堀有喜衣、松塚ゆかりの各委員

文部科学省

(事務局)伊藤高等教育局長、浅野私学部長、森友大臣官房審議官、奥野大臣官房審議官、豊岡文部科学戦略官、吉田高等教育企画課長、石橋大学教育・入試課長、桐生学生支援課長、神山私学行政課長、板倉私学助成課長、錦私学部参事官(学校法人担当)、中安生涯学習推進課長、髙見高等教育政策室長、田井国立大学法人支援課企画官、下岡留学生交流室長、篠原私学経営支援企画室長、小林大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長、氏原大臣官房文教施設企画・防災部計画課企画官、花田高等教育企画課課長補佐、疋田高等教育政策室室長補佐、阿久津高等教育政策室室長補佐、山田大学教育・入試課課長補佐、海老医学教育課課長補佐、濱中国立教育政策研究所高等教育研究部長ほか

4.議事録


【永田分科会長】  こんにちは。中央教育審議会大学分科会(第178回)を始めさせていただきます。今回は、高等教育の在り方に関する特別部会(第8回)と合同会議という形になっております。
 今日もハイブリッドで行うことになっておりまして、ハイブリッドの条件下でも自由に御発言できるという状況で会議に参加をいただいております。
 それから、YouTubeのライブ配信をしています。本日の議題の1つ目である認証評価機関の認証については、大学分科会運営規則第3条第2号に基づき、議事は非公開とさせていただきます。この議題が終わるまではYouTubeに公開する形とはなりません。
 かなり議題は多く、メインの議題は4番目の議題ですが、進行に御協力いただければと思います。
 それでは、連絡事項を事務局からお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日はハイブリッド会議及びライブ配信を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、分科会長から御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は、再度挙手のボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。また、発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮いただけますと幸いでございます。
 本日の会議資料は、事前にメールでお送りしているとおりですが、会場のiPadには本日の会議資料をチャットにてURLをお送りしてございますので、紙の資料と併せて御活用ください。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、先ほど申し上げたように、YouTube配信の前に、議題(1)認証評価機関の認証について、報告がありますので、事務局より説明をお願いします。
 
<認証評価機関の認証について>
現在、認証評価機関の認証に関する審査委員会に付託されている審査案件について、事務局より報告があった。
また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき、この時点から会議が公開された。
 
【永田分科会長】  改めまして、こんにちは。本日は、議事次第やその他を含めて8つの議題があります。ただいま、YouTube配信の前に、認証評価機関の認証についての議題を終えたところでございます。
 それでは、この中のメインのテーマは4番目の中間まとめの案についてでありますが、その前に幾つか大切なことについて議事進行したいと思います。
 議事に入る前に顔ぶれが変わりましたので、事務局のほうから、委員も含めて、御紹介をお願いしたいと思います。
【花田高等教育企画課課長補佐】  失礼いたします。
 まず、大学分科会委員に交代がございましたので、御報告させていただきます。
 横浜市立大学の相原前学長が委員辞任されたことに伴い、令和6年5月14日付で大学分科会臨時委員としまして就任されました山口県立大学長の田中マキ子委員でございます。
【田中委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  ありがとうございます。
 その他、大学分科会委員の役職にも変更がございましたので、参考資料3のとおり、新たな名簿をお配りしてございます。
 また、事務局におきましても、7月11日付で人事異動がございましたので、御報告させていただきます。
 伊藤高等教育局長でございます。
【伊藤高等教育局長】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  浅野私学部長でございます。
【浅野私学部長】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  森友大臣官房審議官でございます。
【森友大臣官房審議官】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  豊岡文部科学戦略官でございます。
【豊岡文部科学戦略官】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  石橋大学教育・入試課長でございます。
【石橋大学教育・入試課長】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  中安生涯学習推進課長でございます。
【中安生涯学習推進課長】  よろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  事務局からは以上でございます。
【永田分科会長】  こちらからも、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りますが、先ほどの(1)の次の(2)、医学部臨時定員増に係る大学設置基準の一部改正についてということで、事務局からまず御説明をお願いいたします。
【海老医学教育課課長補佐】  失礼いたします。医学教育課課長補佐の海老でございます。
 資料1を御覧ください。
 医学部の入学定員につきましては、将来の医師需給の観点から、過去の閣議決定に基づきまして、原則として定員を抑制してきたという経緯がございます。
 一方で、地域における医師の不足、地域の医師偏在の問題が課題となりましたことから、平成20年度より臨時的に入学定員を増員してまいりまして、平成22年度以降は、2ポツに記載の枠組みによりまして、毎年度増員を認めてきているところでございます。
 具体的には、(1)でございますが、地域の医師確保の観点からの定員増、地域枠と呼んでいるものでございますが、都道府県の医療計画に基づいて奨学金を設け、大学が地域医療を担う意思を持つ者を選抜いたしまして、卒後には地域に定着することを求める、こういった取組でございます。令和6年度には、この地域枠、978名を措置してございます。
 続いて、(2)といたしまして、研究医養成のための定員増でございます。研究医枠と呼んでいるものでございますが、こちらは複数の大学が連携いたしまして、研究医養成の拠点を形成しようとするものでございまして、例えば、学部・大学院を一貫する特別のコースを設置して取り組むものとなります。令和6年度には27名を措置しているところでございます。
 4ポツにありますように、今回、令和6年度末を期限といたします医学部入学定員の臨時定員増の枠組みにつきましては、令和7年度末まで1年間延長することとされております。これに伴いまして、大学設置基準等の所要の改正を行うと、そういうものでございます。
 改正といたしましては、技術的な改正ですので、詳細は割愛いたしますけれども、条文案は、資料1の3ページ目以降にございます。
 また、資料2-1に諮問文、資料2-2に答申案をそれぞれ御用意させていただいているところでございます。
 御説明といたしましては、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  御質問等ありましたらお受けいたします。いかがでしょうか。
 オンライン参加者からもお手は挙がっていないと思いますので、決を採りたいと思います。
 設置基準に関する改正事項は、この大学分科会の議決をもって中央教育審議会の議決とするということになっておりますので、定足数をまず確認してから採決いたします。
 定足数を教えてください。
【花田高等教育企画課課長補佐】  大学分科会委員及び臨時委員の数は29名であり、現在25名の方々に御出席いただいてございますので、中央教育審議会令第8条第1項に定める過半数を満たしております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、改めてお諮りいたしますが、先ほど御説明いただきました医学部臨時定員増に係る大学設置基準の一部改正について、お認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  御異論はないと認めまして、これは認められたということにさせていただきます。ありがとうございました。
 次の議事は、(3)学校教育法規則の改正について、これについても、事務局のほうから、資料3を基に御説明をお願いいたします。
【石橋大学教育・入試課長】  失礼いたします。
 資料3を御覧いただければと思います。情報公表に関する制度改正についてというところでございます。
 今回3点の改正を考えておりまして、その背景といたしましては、最初の丸の黄色の枠組みの中でございますけれども、「大学入試の在り方に関する検討会議提言」、また、「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」、そして、「人文科学・社会科学系における大学院教育の振興方策について」、そして、「博士プラン」、この4つにおかれまして、教育情報の公表について追加すべき事項があるということで御提言をいただきましたので、その旨を改正したいと考えております。
 公表事項のところですけれども、(1)に関しましては、入学者の選抜に関することといたしまして、最初の丸のところを御覧いただければと思いますが、最低限下記の事項を想定しておりまして、合否判定の方法や基準、合理的配慮の提供に関する対応方法、また、原則として公表する事項とさせていただいています試験問題、解答・解答例や出題意図というところは、最低限公表するべきこととしております。
 また、公表を推奨する事項として、ここに書いてあります各数であったりとか、多様な背景を有する者への支援制度ということを考えております。
 また、大学の実情に応じて、多様な学生の受入れ状況なども公表していただければと考えております。
 (2)が外国人留学生の数に関することというところでございまして、これにつきましても、本科における外国人留学生の数、また、専攻科・別科、科目等履修生等というところで、これらのものについては、基本的に最低限下記の事項は公表を想定しております。
 その他、公表を推奨する事項として、外国人留学生の入学者の数、卒業または修了した者の数、それから、進学者数、就職者数、また、日本人の留学生の数等を考えております。
 (3)で、標準修業年限以内で修了した者の占める割合その他学位授与の状況に関することということで、こちらに関しましては、大学院に関しまして、こちらに書かせていただいている「標準修業年限以内で修了した者の占める割合」、それから、「その他額以上の状況に関すること」として、退学した者の割合、修了していない者の割合等々を公表していただきたいと考えております。
 また、公表を推奨するものとしては、その原因であったりとか、進路の全体の状況、公表した数値の分析・解説などを推奨したいと考えております。
 具体的な条文の改正は、左下に書かせていただいている赤字のところになりまして、スケジュールといたしましては、本日、大学分科会にお諮りしておりますので、この後、パブリックコメントを経て、令和7年4月1日施行を考えております。
 その後は関連の参考資料でございます。
 説明、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  御説明ありがとうございます。
 ただいまの御説明どおりですが、御質問とか御意見あればお伺いいたします。いかがでしょうか。
 髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】  ありがとうございます。
 今回、情報公開について、それ自体はよろしいかと思います。
 その上で、3番目の大学院についての情報なのですけれども、さきに行われた人文科学・社会科学系における大学院教育の振興方策の際に、この標準修業年限に関しては、分野特性はあるということが一応内容でも書かれていたかと思います。
 ちなみに、分野特性について、アメリカのデータでは全分野で博士課程5.7年、社会科学系が6年、それから、人文科学系が6.8年という、このようなデータまで上がってございました。
 標準修業年限以内で修了したかどうかのデータ公表は非常に重要だと思うのですけれども、これがいけないことであるとして一方的に文系大学院にネガティブなイメージを与えないような何かしらの工夫はぜひとも一緒にお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 今のご意見は運用に際してということなので、法文そのものではないのですが、御要望があるということです。
 小林委員、どうぞ。
【小林(弘)委員】  同じ場所なのですけれども、大学院へ入るときに、仕事をやりながら大学院へ入っている方は多く長期履修制度というのがありまして、もともと初めから標準が長期というものもあるので、そのときどういう取扱いになるかというのはちょっと気になるところです。
 あともう一点ありまして、日本人の留学生なのですけれども、医療系の学部では、特に医学部では、卒業してから留学する人たちが多いのですけど、それは今のカウントでは留学生には入らないと思うのですけど、そういうのはどういう取扱いなのか伺いたいと思います。
【永田分科会長】  今の後半の部分について、事務局、いかがでしょうか。
【下岡留学生交流室長】  後半の医療系の御卒業されてから来る方についての取扱いでございます。
 ここに留学生に入るかどうかということの判断は、在留資格が留学であるかどうかということで判断することを想定しております。ですので、卒業してからいらっしゃる方が、在留資格が留学ということでいらっしゃるとすれば、それはカウントするという整理で今考えてございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
【小林(弘)委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長】  日本の受け取る側の基準ということになっています。
 よろしいでしょうか。
【小林(弘)委員】  あと、長期履修制度についてはいかがでしょうか。
【永田分科会長】  小林委員ですか。
【小林(弘)委員】  小林です。すみません。
【永田分科会長】  どうぞ、もう一度。
【小林(弘)委員】  大学院の長期履修制度で入学した方は、標準修業年限になるのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
【髙見高等教育政策室長】  ありがとうございます。
 今、こちらの資料3の(3)の2つ目の丸のところに書いておりますけれども、その他学位の状況に関することとしまして、先ほどに先生おっしゃっていただいた長期履修学生の状況ということも、その割合ということで、しっかり示すということになっております。
 ただ、基本的に標準修業年限というのは、各専攻科、あるいは研究科ごとに設定するということになっておりますので、そういった意味では、多くの大学院では、博士後期課程は3年とか、そういった設定になっているものと承知しております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 古沢委員、どうぞ。
【古沢委員】  よろしくお願いします。
 情報公表を進めていただくのは、受験生なり学生にとっては非常にいいことだと思います。
 質問なのですけれど、今現在の公表の状況についてどのように把握していらっしゃるかということなのですけど。特に入試区分も増えてきているのですけれど、入試区分ごとの受験状況とか、合格判定基準とか、やはりどのような課題があるのかというのを文科省としてどのように把握されているか伺えればと思います。
 以上です。
【石橋大学教育・入試課長】  ありがとうございます。
 実際の情報公表のことでございますけれども、今のところ、入試に関して申し上げますと、大体93%の国公私立大学で公表が進んでいるというようなことになっておりまして、それは合否判定の方法や基準というところを公表している大学の実際のパーセンテージとなっております。
 あと、大学全体で様々な項目については、やはり少しばらつきがあるというような状況になっておりますので、ここに関しては、よりしっかりと公表していただけるように働きかけをしていく必要があるかなと考えております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  古沢委員、よろしいですか。
【古沢委員】  分かりました。ありがとうございます。
【永田分科会長】  多分、合否判定の方法や基準というのは、非常に細かくどうのというのではなくて、そこに公表していることが担保されるということが非常に重要です。つまり、違う方法で合否をやっていないということを保障するために、これは入るのだと思うのです。いろいろと新聞では問題になっている合否判定もあったように思いますが、当然だと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、パブコメにいった後、また戻ってくると思います。このままパブコメにかけさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次は、今日の一番のメインです。1時間超を見込んでおりますので、思う存分御議論いただければと思うのです。内容は、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方についての中間まとめ(案)ということになっています。
 この中間まとめの案を皆さんと御議論させていただいて、特別部会のクレジットで中間まとめ(案)として出していくことになります。その後、いろいろなところから、御意見あると思いますので、勘案しながら、最終案に向かって進んでいくことになると思います。
 最初に申し上げておきます。中間まとめですから、最後のほうに具体的な施策みたいなところまでは当然踏み込んでいません。その前提となる方向性を主にまとめているということです。事務局に御説明いただいた後に、委員の皆様から、とりわけて大学分科会プロパーの方々の御意見を大切にしたいと思いますので御意見いただきたいと思っております。
 それでは、御説明よろしくお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  高等教育政策室の髙見です。お手元の資料4-1から4-4までを御覧ください。
 資料4-1が中間まとめ(案)の本文、資料4-2が概要、資料4-3が中間まとめに記載の各内容、項目の関係性を整理したロジックツリー、また、資料4-4は参考ですけれども、6月末の特別部会で出された主な意見、こういった形で整理しております。
 本日ですけれども、資料を事前に委員の皆様にも送付しておりますので、資料4-1の中間まとめ(案)本文について、時間も限られておりますので、主なポイントに絞って御説明いたします。
 資料4-1、中央の下にページ数を記載しております。2枚ほどめくっていただきまして、1ページ目、「はじめに」を御覧ください。
 この中では、先日も発表もございましたが、昨年の年間出生者数が72万台と大きく減少したこと、また、このような少子化というのは、中間的な規模の大学が1年間に90校程度減少していく規模であること、こういったことをまず初めに記載しております。
 3ページ目を御覧ください。1ポツ、高等教育を取り巻く状況ということで、(1)近年の社会を取り巻く状況の変化といたしまして、急速な少子化の進行、また、次のページ、4ページ目から5ページ目にかけまして、労働供給の不足、あるいは、人材需要の変化、地方創生の現状について記載しております。
 また、6ページ目から7ページ目では、(2)近年の高等教育を取り巻く状況の変化としまして、GIGAスクール、あるいは、探求学習の充実など、初等中等教育段階の学びの変化、あるいは、地域によって異なる進学率、地域間格差、また、次のページ、8ページ目から9ページ目に移っていきますが、短い学生の学修時間、あるいは、留学生の獲得競争の激化、さらに、10ページから11ページにかけましては、リカレント教育、あるいは、リスキリングの必要性の高まり、また、障害のある学生の増加、研究力の低下、さらに、12ページ、次のページですけれども、高等教育のデジタル化の進展、こういった今の状況について記載しております。
 また、13ページから21ページにかけては、説明は割愛しますけれども、これまでの高等教育政策として、「量」、「質」、あるいは、修学支援、大学運営に関する政策に分けて、主に大体この30年ぐらいの動向について記載しております。
 少し飛びますが、22ページ、23ページを御覧いただければと存じます。
 22ページ、2ポツ、今後の高等教育の目指すべき姿といたしまして、(1)におきまして、これはもうこの大学分科会、あるいは、特別部会でも多々御議論いただいたところでございますけれども、我が国の「知の総和」の維持・向上が必要であるということ、さらに、(2)は、高等教育政策の目的といたしまして、「質」「規模」「アクセス」、こういった観点から整理しております。
 また、(3)重視すべき観点として、24ページ以降ですけれども、新たな時代に対応した教育内容の改善、この中では文理横断・文理融合教育、あるいは、成長分野を創出・けん引するような人材の育成、こういった内容が入ってくると思っております。
 また、25ページ、下段のほうでございますけれども、流動性に支えられた多様性の確保、いわゆる留学生、社会人を含めた多様性を確保していくという観点、さらに、26ページから27ページにかけましては、高等教育の国際化、研究力の強化、また、さらに28ページ、29ページになりますけれども、学生への経済的支援の充実、デジタル化の推進、また、高等教育機関の運営基盤の確立、この辺り、財政的な基盤の内容というのも追記をしているところでございます。
 さらに、29ページの下のほうですけれども、こちらからは、高等教育機関を取り巻く環境・組織との接続強化ということで、入口である初等中等教育、あるいは、出口である社会、また、地域との連携・接続強化について掲げております。
 それから、33ページですけれども、ここからは3ポツ、今後の高等教育政策の方向性、あるいは、具体的方策としまして、まず(1)教育研究の「質」の更なる高度化として、グランドデザイン答申で示された学修者本位の教育の更なる推進、あるいは、34ページ、次のページの下のほうにありますが、外国人留学生や社会人をはじめとする多様な学生の受入れの推進、さらに、38ページ、少し飛びますが、大学院教育の改革、そして、40ページでは、新たな項目を立てる形で、情報公表の推進、こういった内容についても記載しております。
 また、41ページからは、高等教育全体の「規模」の話ということになってくるわけですが、この規模の適正化については、①にありますように、18歳で入学する日本人学生、いわゆる伝統的な学生以外の受入れの拡大を図っていくことを示すとともに、次のページ、42ページになりますけれども、高等教育全体の規模の適正化に向けた支援として、具体的な方策というのを43ページ以降に記載しております。
 また、44ページ、(3)の高等教育への「アクセス」確保としましては、地理的観点からのアクセス確保、さらに、46ページ、社会経済的な観点からのアクセス確保についても記載しております。
 また、47ページからは、機関別・設置者別の役割や連携の在り方としまして、(1)機関別の役割としては、大学、短大、専門学校等の機関別に関する役割を掲げるとともに、49ページの(2)設置者別の役割や、50ページの中ほどにあるとおり、機能別分化の必要性にも振れつつ、国立大学、公立大学、私立大学の役割・機能について記載しております。
 最後ですが、52ページ、高等教育政策を支える支援方策の在り方としては、中ほどにア、イ、ウと記載がありますが、その中で公的な負担、個人負担、社会からの支援など、高等教育全体を支える財政基盤の在り方について、中間まとめ以降の論点として掲げるとともに、2040年以降の社会を見据えつつ、そこに至るまでの時系列も含めて、具体的に検討していくことが必要である旨、記載しているところです。
 私からの説明は以上でございます。御審議よろしくお願いします。
【永田分科会長】  要領がよ過ぎる説明で、なかなかついていくのが大変だったかもしれません。
 事前に読んでいただいている前提でもちろん話しているのですが、御理解いただいて、今日特に重要なのは、今後この先に進めていく、どういうことをやるのかということ、もっと詰めたそれぞれの、特に最後のところで具体的方策と書かれていた中身ももっと詰めていかなければいけません。その前に、何か欠けていること、あるいは、この論点はここでは要らないのではないかということについて、まず御意見いただけるのが一番ありがたいと思っております。
 その上で、その具体的な方策のこのぐらいまで話してほしいということがあれば、もちろんそれもお受けしたいです。例えば、どのようなことかと申し上げると、43ページのところを御覧いただきまして、今回非常に重要な案件の一つが、複数大学等の連携による機能強化という項目です。そこに書かれているのは、中段のところで、複数大学等の連携による機能の共同化・高度化への支援としか書いていないので、それは一体何を意味しているのかはっきり分からないわけです。例えば、共同化・高度化というところで、教育内容、カリキュラムについてはこういうことをやったらどうか、それから、共同化というところでは、ヒト・モノ・カネの動かし方ができるような基準はつくれないのかといったことは今書いていないわけです。それはこれから書くつもりですが、そういったところまで含めて、もっとこの辺りを突っ込んで今後議論してほしいということも含めて御意見をいただければと思います。今申し上げたことは事例でして、いきなりそれについて意見を交換するわけではありません。全般を通しまして、今申し上げたような観点で御議論いただければと思います。
 それでは、いかがでしょうか。どんな御質問、御意見でも構いません。
 村田委員、どうぞ。
【村田副分科会長】  ありがとうございます。私から幾つかあるのですが、主な点を一つ二つ、お話をさせていただきます。
 まず一つ、今回、急速な少子化に伴うというタイトルにあるようなことで、まさに少子化が一番大きな問題として認識されているのではないかとは、当たり前なのですが、思うのですね。そのときに、本文、「はじめに」にもありましたように、ここ数年で、特に地方の私立大学を中心に、経営的に厳しい状況になっていくというような問題があろうかと思います。そういう意味では、一つは規模の問題。
 一方で、地方の大学を中心とした高等教育機関というのは、ある部分、専門分野に偏りがあったり、ないところがあったりというところで、言ってみれば、地方と都市圏との分野の多様性の格差といいましょうか、そういうものがある。
 つまり、アクセスの問題と規模の問題、これ、ある意味、相矛盾するといいましょうか、ジレンマに陥ることになろうかと思います。しかしながら、一方で、少子化はいかんともし難いので、この辺りどうするのかということを考える際に、これも23区の規制のときに議論になったかと思いますが、基本的には、地方の大学の活性化のためには、地方の産業の活性化をどうするかということがやはり極めて重要なのではないかと思います。今般の18歳人口の減少に伴うといった問題を考える際には、文部科学省だけではなくて、政府全体としてどうしていくのか、その地方にどういう産業があって、どういう産業を中心に活性化をしていくのかということと、その地域の大学の専門分野がどういうところを中心に据えるのかということは、大きな関係があると思うのですね。そういう意味では、アクセスの問題と、それから、ある意味少子化の問題というのは極めて密接に関係しているので、少し大きな視点で考えていく必要があるのかな。でないと、なかなか根本的な解決にならないのではないかというのが1点目です。
 もう一点目、これもちょっと言いにくい話をあえてさせていただきますが、今、一応、大綱化以降、高等教育に関しては、事前チェックを緩く、事後チェックを厳しくというふうになっているのですが、永田先生がこの間まで大学基準協会の会長をされておりました大学基準協会ですら、過去、不適合は1回しかないのですよね。実際、認証評価は最低基準をしているということで、なかなか厳しい評価基準ではないのではないかというふうに思います。
 そういった意味で、ある意味、事前を緩く事後を厳しくという、これを大きく変えるのか変えないのか、あるいは、変えないであれば、逆に、認証評価機関そのものの質を上げていくというようなことはやはり強化すべきだし、それから、最低基準ではなくて、非常にいい側面、いい部分を持っているような大学に対して、それを積極的に評価していくような機能、そういった認証評価機関の在り方そのものも変えていかざるを得ないのではないかなと思うのですね。
 特に18歳人口の減少の関係で言いますと、海外からの留学生という案が、いろんなところで、ここでも入っていますけれども、残念ながら、学生の学修時間が少ないという意味では、日本の大学教育の質というのは、海外から見れば、本当にいいものであるのだろうか。そうすると、海外から留学生は来てくれるのだろうかと。やっぱり質の問題を上げていかないと、海外からの留学生を呼び込むことは、大学院も含めておそらくできないのではないかと思います。そういう意味では、質の問題、そして、それは認証評価の問題に大きく関わってくると思いますから、本当に抜本的にどう考えるのかということを考えないといけないのではないかなというふうに思います。
 以上2点、御意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今2点のうちの後半のほうですが、実は、その認証評価をどのように使うかということは、まだ書き込まれていません。しかし、認証評価は今までのやり方と変えないといけませんという議論はもう出ているので、今後、これをどうポジティブに使うかという議論になっていくと思うのです。ですから、今おっしゃったとおりであります。
 認証評価自身は、グローバルステージでは必要なものなので、教育先進国には一般的にあるわけですが、使い方を考えるというのはあります。
 それから、設置基準については若干書いておりまして、43ページに、認可申請の基準を見直そう、きつくしようというような読み取り方ができると思います。
 それから、前半の部分につきましては、45ページあたりのところに若干の考え方は書いておりまして、東京圏と地方圏は違う、課題も違うということは明記しています。
 議論の中でよく出てきたのは、地域のコーディネーターを誰がやったらいいのだろうか。産官学の地域、自治体も含めた、そこのコーディネーターがいないという話が出ていまして、確かにいません。
 それから、自治体によって高等教育に対してとても温度差があり、一律にできないので、一体そこをどうしたらいいのかという議論はしています。単語だけは少し書いてあるのですが、どのようにコーディネーターを見つけるのか、つくるのかというようなことについては、まだ回答が出ていません。
 この具体的な方策の中は、今後ももっともっと具体的なことを本当に書いていかなければいけないので、おっしゃった点を留意の上、進めていきたいと思います。ありがとうございます。
【村田副分科会長】  1点だけよろしいですか。
【永田分科会長】  どうぞ。
【村田副分科会長】  今、永田先生おっしゃっていただいた事前のところ、今、私、法人分科会の会長でもあるのですけれども、厳しくするというなら、それをはっきりと書いていただかないと、なかなか我々、現場を担っている身として難しいと感じています。大綱化のときの基準がやっぱりありますので、事前も厳しくするのだというのであれば、そちらにシフトできるのですが、なかなかそこはアクセスの問題を含めたり難しいので、その辺り、まさに大きな指針を出す部分ですから、それをはっきりと、どちらの方向かというのを出していただけると、我々としても動きやすいというふうに思っております。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 志賀委員、どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。
 まずもって、文科省の担当の皆様方には、事前に大変長い意見書を送りまして、その結果、かなり反映していただきまして、本当にありがとうございます。
 私、第173回のこの分科会において、適正規模という問題と定員未充足の問題を一緒にしてほしくないという話をさせていただきました。このまま安易に市場原理に基づくような定員未充足になるところを淘汰するというふうな意見だと、私の知るところでも、保育や福祉等、社会に必要な分野が消えてしまって、社会構造そのものが崩壊しかねないという話をさせていただきました。
 今回、資料の23ページに、規模のところの話で、「規模」とは、社会的に適切な規模の高等教育機会の供給であると、このように定義していただきましたことは、心より感謝申し上げます。具体策にどこまで反映するか分かりませんが、あくまで社会的に適切な規模ということで御認識いただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。
 委員の皆様に共通理解していただきたいこととして、この後、令和6年に入って、短期大学に関してだけですが、日本私立短期大学協会が把握するだけでも、23校の学校が募集停止を発表しております。その定員の内訳を見ると、1,885名の保育士養成施設、340名の栄養士養成施設、300名の福祉関連資格養成施設が消えることになります。ほかにもビジネス系等もあるのですけれども、これらは氷山の一角で、定員充足率を満たせないというので、定員削減、実はうちの学園でもそうしているのですけれども、もう本当に数千人規模のそういった技術的・専門的職業を養成する施設が消えるということで、実は、淘汰すると言っていた方のお望みどおり、この答申が出されたときには、もう情勢ががらっと変わっている可能性があるということは御承知おきいただきたいと思います。
 あわせて、新卒の進路だけではなくて、有効求人倍率とかを見ると、事務的職業が供給過剰であるのに対して、先ほどの医師のことも議案であったとおり、専門的・技術的職業、あるいは、医療・サービスの職業というのが深刻な人手不足に陥っているという状況で、今後は、本来であれば省庁横断的に、理工系だけではなくて、本当に必要な分野というものがどれかということを調査していただきたい。せめて、そういう安易な数字だけでのペナルティを科して淘汰するということだけはやめていただきたいということで、もしよろしければ、先ほどの方策のところに、そういった、資格等を含めた議論というのは、なかなか文部科学省だけでできないのであれば、省庁横断的な人材の育成の在り方の検討とかいうものを加えていただきたいなと思うところでございます。
 あわせて、こういった資格関係は、先ほど高度化という話がありましたけれども、保育にせよ、栄養にせよ、福祉にせよ、高度化と、人材不足だから簡素化というのとで、あらゆる資格が揺らいでおりまして、要は、本来は多様性に対応するために、大学・大学院まで出た人でないと資格を持てないようにしたいということと、いや、それだと人がいなくなるので、資格を簡素化したいというのがあります。ですから、これは特に高等教育機関でも非常に重要なことかと思いますので、そこを踏まえたものを入れていただきたいと思うところでございます。
 それと、先ほど認証評価の話が出ましたので、私、大学・短期大学基準協会の委員長も務めておりますので、この立場から申し上げさせていただきますと、認証評価というのは、やはり器の質保証をするというものにすぎなくて、私もいろいろ見ていますと、例えば、3つのポリシーはちょっと漠然とし過ぎているなとか、分かりにくいなというふうな学校があっても、それがちゃんと定められていて、周知していて、見直すような会議体等があれば、適合・適格という判断をせざるを得ないわけです。
 ですが、それを本当に評価するとしたら、世間一般なのですけれども、でも、もう認証評価も始まって20年たちますけれども、例えば、高校生がアドミッションポリシーを見て入学したとか、あるいは、企業がディプロマポリシーを見て採用を判断したとかいう話なんか、ほとんど聞いたことがありません。本来であれば、そういった世間の評価を得て、器は整っていることは認証評価機関は保証できますけれども、あとは、いわゆる評判の可視化をしたわけですから、それを評価するのは、やはり世間への周知が大事なのではないかなと思います。もし認証評価の活用ということを考えるのであれば、そういった、時にはひどい評判を立たれる学校もあるかもしれませんけど、それも含めて、世間への周知ということを入れるべきではないかと思います。
 私からは以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
  認証評価については、多分、認証評価団体の認識と文科省の認識は違わないのですが、現実的に強制力を発揮させるところで、非常に難しい問題があります。狙いは多分そんなに変わらないと思うのです。検討の余地があります。
 それから、前半部分はおっしゃるとおりで、我々は、ずっと特別部会で議論になっているのは、必要なものは必要だということなのです。ただ、ペナルティを与えるという項目はなかったと思うので、そこは御理解いただきたいと思います。
【志賀委員】  すみません。ペナルティという表現は失礼でしたけど、適正規模ということについて、削減したら助けるよというところとか。でも、適正規模と淘汰を関連付ける表現は大分減ってきておりますので、それは最初に申し上げたとおり、ありがたいことかと思いますので、ぜひそのまま、今後は助けるよというようなことも含めて、何か記載できればなと思いますが、そこはまた長い文章を文科省に送ろうかと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  その辺りが、実は先ほどからずっと申し上げている、ポジティブな連携・統合というのはどういう方向性になるのかということで、中村委員が事例を出されて、何をやったとしても人がいなくなってしまうという御発表は強烈なインパクトがありました。みんなでお互いに助け合おうという根っこからの話があったと思うのです。
 どうですか、中村委員。
【中村委員】  山梨大学の中村でございます。
 うちは山梨県立大学と日本で初の大学等連携推進法人を組みまして4年になるのですけれども、主にはやはり教育面を中心にやっている、あと、大学運営だとか、今後はクロアポも含めて取り組んでいかなければいけないのですが、そのときに、大学だけでやっていては駄目ということと、あと、今私たちがやっている国立と公立で終わりではなくて、できれば地方の私立の皆さんにも入ってもらって、できるところからやっていくという考え方が大事だと思っています。
 そのときに、すごく大事なのは、地域連携プラットフォームみたいな考え方で、大学とか高等教育機関だけが考えては駄目なのですね。さっきからお話が出ているように、産官学金で連携をして、地域で高等教育を考えていくこと、あるいは、高等教育を考えることによって地域を元気にするとか、それがすごく大事になってくるなと思っています。
 そのためには、やはり地域ごとのグランドデザインという、やはり地域によって違うので、山梨大学は、特別部会でもお話ししたのですけれども、非常に東京に近いのです。ですから、進学する率は比較的高いのですが、首都圏のほうにみんな行ってしまうという状況があります。じゃ、山梨の中の大学が全ての学部を網羅できるかというと、それはできないわけで、そこをみんなでもって連携をしてやっていくと。あるいは、もう都道府県をまたいで連携してやっていくという考え方も今後大事になるかなと思っています。
 いずれにせよ、先ほどからお話でているように、いろんな省庁等の方々にこの取組について真剣に考えていただくことも非常に大事ですし、自治体に対して、大学に関してきちんとそういったところのポジションを与えるとか、あるいは、ちょっと言い方は荒っぽいかもしれませんが、一定の権限委譲を自治体にもしていただくとかいうことも大事なのかなと思っています。
 先ほど永田会長が最初におっしゃっていたコーディネーターどうするかというのは、非常に大きな問題で、それぞれの産業と、官、うちの県で言うと、県庁とか市町村だと思いますけれども、それから、金融と、少なからずそこの中での地方創生みたいなことをみんなで考えていって、その方々がほかのところの分野に、例えば、金融の方が大学に来るとか、あるいは、大学の方が産業に行ってみる、その流れをつくりながら、できるだけこの4つの分野のことを分かっている、領域が分かっている方を今後養成していくと。取りあえず過渡期だと思っていますけれども、まずはそこから始めなければいけないし、いずれは、そのコーディネーターの方を中心に、地方の創生の組織を産学官金でつくっていくということによって、地域プラットフォームが本当に生きるのではないかなと思っています。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 ですから、答えはまだ出ていないのですが、その地域で育てる子供の数や将来像があって、産業の将来像があって、十分にそこで話合いが必要だ、それから、そこに支援が必要だということで、シミュレーションでは、そこら中にそういうことを行う地域が生まれることになっています。ところが、全部性格の違う地域だという非常に難しい多様性があって、それを何とかするために、コーディネーターと今呼んでいますが、相当に高いレベルの見識を持った方がそれぞれに配置されていかなければいけないであろうというような、話合いの途中でいるということであります。
 橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  ありがとうございます。
 まずは、今回この非常に難しいテーマについて「中間まとめ」として取りまとめていただき、ありがとうございました。
 特に、「はじめに」のところで、今後の高等教育の在り方について、健全な危機意識を持つべきであること、それも社会全体で持つべきだということがメッセージとして明確に示された点は、私としても非常に共感しているところです。それから、切り口として、「質」の問題、「規模」の問題、「アクセス」の問題について、それぞれ論理が展開されたことについても、大変適切な選定をされたと思っております。
 その上で、2点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、教育研究の質の更なる高度化に向けた情報公表の促進の面です。民間企業では、財務情報の開示から始まって、今ではサステイナビリティや人的資本などの非財務情報にまで、開示の取組はどんどん進んでいます。
 もちろん、企業と大学では情報公開の仕組みや内容は異なりますので、同列には論じられませんけれども、同じような流れは、大学をはじめとする高等教育機関の世界でも必要になってきたのかなと思っています。
 私は教育界の人間ではありませんので、外から見ていますと、一般的にはどうしても偏差値とか知名度とかというのに注目が向きがちで、それ以外の情報については、公表されていたとしても、実感としてそれらをつぶさに見ているということはあまりないのではないかなと思っています。
 そういう意味で、公表の仕方もあるとは思うのですが、どんな項目をどんなふうに公表していくかについてぜひ今後議論を深めていただいて、どちらかというと教育界の外にいる人間が見て、その大学の特質やよさなどを感じられる、それも横断的に俯瞰的に把握できるプラットフォームのようなものが浸透していけばいいと、率直に思いました。
 また今、大学では存続問題が出てきており、再編や統合もこれから増えてくると思っておりますが、そうした中で、海外からの留学生の獲得とか、あるいは、これから社会人へのリカレントを進めていくうえでも、大学の外から見た人間が横断的に俯瞰できる、そういったプラットフォーム、あるいは、情報公表の仕方というのが大変大事かなと思いました。
 それから、2点目ですけれども、再編・統合というものが逃れられないといいますか、できればしないほうがいいのかもしれませんが、やむを得ざるということであれば、取組を進めるためのガイドラインや指針のようなものが必要なのではないかと思います。民間の企業ですと、再編・統合やM&Aなどは日常茶飯事でして、別に珍しくもないのですけれども、それでもやっぱり競争相手同士が一緒になるというのは、実際にはかなり難しくて、非常にハードルが高いです。心理的な抵抗もありますし、カルチャーの違いなどもあり、トップ同士が合意していても、融合というのはなかなかそんな簡単には進まないというのが実感です。やはりどうしても、できれば取り組みたくないという心情が先に働きますので、実行にあたっては相当強いリーダーシップが必要ですし、あるいは、綿密な計画というものが前提になるのかと思います。
 43ページの具体策の中に、縮小・撤退への支援として「早期の経営判断を促す指導の強化」といったワードがありますが、指導というよりは、やはりそれぞれの経営主体が自分たちの経営状況を客観的に把握した上で、いわゆる地域でのシンボルとしての大学を守るとか、あるいは、地域の住民の方たちがアクセスしやすいような大学を残すといった、高い理想に向けて仮に再編・統合を進めるのであれば、そういう意欲のあるような主体に対しては、それを後押ししてあげられるような助力が必要なのかなと思います。
 そういう意味で、これはあくまでも一つの提案ですけれども、例えば、医療機関とか、自治体とか、地域銀行なんかもそうですが、人口減少に合わせた再編・統合の具体例が大学以外の世界では少しずつ出てきていますので、そういったものも参考にしながら、一定の道筋とか留意点をある程度原則的に示してあげて、何から手をつけてよいか分からないというような状態を避けるためにも、ガイドラインとか指針というものがあればいいのではないかなと思います。
 そうしたガイドラインや指針を基にした再編統合の具体例がどんどん出てくるようになれば、先に申し上げたようないろんなハードルが越えやすくなりますし、より有効にかつ合理的に取組が進むのではないかと思っています。
 以上2点です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 情報公表は、つい最近になって別立てにしました。まさにおっしゃっているようなことを、すぐにはできないかもしれないが、きちんと考えないといけないということで、実は埋没していたものを一個個別の項目にしたばかりです。
 それから、連携・統合の話は、統合というよりも、多分今考えているのは、連携等法人の実質的な機能強化で、それぞれの個性を持ったままホールディングスみたいになるのかもしれませんが、それをどうしたら具体的に本当にやっていけるのかということは、まだ少し具体性がないので申し訳ありません。
 1~2分とは申し上げませんが、8分、9分にはならないように、ここからはお願いしたいと思います。
 古沢委員、どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。8分、9分にはならないように。ならないと思います。よろしくお願いいたします。
 先ほど村田先生もお話しされていた設置審査の事前の審査が厳しくなるのかどうかというのは、私も気になっていまして。設置基準の大綱化のときに、基本的な要件を満たしていれば設置を認めるという原則が打ち出されたと思うのですけれど、恐らくその基本線は維持した上で、経営の見通しをきちんと出してくださいということだと思うのですけれど、その辺りの説明をこの報告の中でもある程度具体的にする必要があるのではないかと思いました。
 それで、やはり今現在も新規参入の場合、学生募集などでかなりスケジュール的に難しい点などもあると思うのですけれど、設置認可を厳しくすることによって、新規参入とか大規模な改組・転換を決して阻むものではないということは踏まえたいと思います。
 それから、これも先ほど志賀先生のお話に出たところですけれど、定員未充足への対応については、保育士とか福祉関係もそうですけれど、小学校教員の養成課程についてもかなり影響が強まっていると思いますので、長期的に慎重な目で見ることが必要だということも申し添えたいと思います。
 それから、これは質問なのですけれど、43ページ、収容定員の引下げに対する大学等の忌避感の緩和のための仕組みの構築というところで、今現在は、一旦引き下げた場合、不勉強で申し訳ないのですけれど、復活するには、また増やすためにはどのような手続が必要かということと、容易にする仕組みというのはどんなことが想定されるというのを、事務局の方にお聞きしたほうがいいかとは思うのですけれど、簡単に教えていただければと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  最後のところは、事務局のほうからお答えいたします。
 おっしゃったことは、ほとんど大変重要な項目です。それから、先ほど志賀委員もおっしゃいました。幼児から子供、それから、初等中等を経て、そこに関わる先生たちがとにかくいなくなりそうな気配です。このこと自体は多分、仮にどんなにデジタルの世界が進んでも、ある程度必要だという認識を皆さん持っていると思うのです。一方で、トラック運転手がいないというのは、テクノロジーでカバーするしかありません。その両方が進行して、あと数年後に人が乗っていないトラックが走るようになるわけです。そういうことも考えないといけないわけで、全部が全部、今までと同じような日本社会が継続するかというと、その前提はないのです。2040年について考えているので、ここに書かれている前提というのは、そのときに本当に変わってしまっているだろう日本の中でのことを考えて、これは書いているのだと思うのです。
 ですから、その辺りは、今申し上げたように、人を育てる部分についての人の関わりは大変重要だと思いますが、それ以上に、いろいろな社会変革が起こっている中で、それに対応する、あるいは、それをけん引する人をどう育成するかということになります。今現在、御不満もいろいろ出てくるかもしれませんが、相当に責任のある書き方をしないといけないのだろうと思います。
 最後の部分、事務局のほうからお願いします。
【髙見高等教育政策室長】  先ほど御質問いただいた43ページの上から4つ目の再編・統合の推進の中に、2つ目のバーのところで、収容定員の引下げに対する大学等の忌避感の緩和のための仕組みの構築という記載があり、その点での御質問だったと思います。
 これについては、特別部会で御議論いただいた中でも、定員の数を一旦引き下げると。またこれを戻そうとしたときには、設置認可手続が必要になってくるということで、非常にハードルが高くなってくる。そこを緩和するための措置、弾力化するための措置というのも講じることが必要ではないか、そういった御意見をいただいた中で記載したところです。
【永田分科会長】  古沢委員、今のようなことなので、無視しているというより、きちんと観点として議論はされていますし、今後とも続くと思います。
 先ほどたまたま43ページを引いたら、43ページに関わることばかりが今日出てくるのですが。というのは、具体的に書かれていて、どうするかということを書いている場所がここだけなのです。ほかはあまり書いていないのでそこに議論が集中していると思います。
 金子委員、どうぞ。
【金子委員】  連合の金子です。まずもって、この中間まとめを取りまとめられた特別部会の委員と、そして事務局に敬意を表したいと思います。
 私からは、大きく2つ申し上げたいと思います。
 1点目は、11ページにある我が国の研究力の低下の課題についてです。これを掘り下げて言えば、大きく2つあり、1つは人の処遇の問題、もう一つは管理・運営業務の負担の問題、これに尽きるのではないかと思っています。
 まず、人の処遇の問題では、高等教育というのは教育と研究の両輪で成り立ち、双方を高めていくということだ、ということは理解するのですけれども。さらに、基礎研究の幅広い裾野を広げることが相対的な研究力の強化に極めて重要だ、とも思うわけです。
 しかし、現状を見ると、やはりどうしても短期的な成果の出るところに特化しがちではないか、とも思います。その要因として、競争的資金を確保するための成果を上げるために短周期になっていくこと、また、任期付教員の課題もあるのではないかと思っています。
 任期付教員は3年間の任期で、さらに更新するためには、その時点での成果がある意味ベンチマークになるわけですが、そうなると、そこまでに何とか結果を出さなければいけない。ところが、実際問題は、3年で成果の出るものはそれほど多くありません。そうなると、ますます基礎研究に取り組むリソーセスというのも減少してくるのではないかと思います。
 実態を聞いてみると、3年後にどうなるかが分からない中で、雇用の保障のない研究者においては、長期の借り入れ、例えば、住宅ローンなども信用の関係で借りられないなど、生活不安を招く事態にもなっているということも承知しているところです。子育てどころか、結婚すら躊躇する、といったことも聞いています。そういう意味で、もう少し基礎研究の強化に向けて、処遇の配慮の観点から求められることについても、少し補強いただければと思います。
 また、管理・運営業務の負担について12ページに記載がありますけれども、継続的な課題があるということはデータもあるのかもしれませんが、様々な要因があると思います。52ページには高等教育機関の事務効率化等を図るための共通的なプラットフォームということが書いてあって、これは有効的な手段の一つとしてあるのではないかとは思っているのですが、一方で、その前に、もう少しやることもあるのではないかと思っています。
 これも現場から聞いたのですが、例えば、目標設定だとか、私にはあまり馴染みがないのですけれども、シラバスをつくるための事務作業が非常に多くなっているとか、達成状況の報告、例えば、教育の自主性、学問の自由、大学の自治にかかわる管理強化など、負担増が少し過剰になっているのではないか、といった声も聞こえてきています。そういった意味で、ガバナンス改革に向けて、少しこのような点からも精査する必要があるのではないかと考えています。
 2点目は、財政支援についてです。中間まとめ(案)の記載にあるように、高等教育の規模の適正化は避けて通れないと思っておりますが、再び科学技術立国を目指していく上では、やはりOECD他国と比べて明らかに劣る公的支援というものを拡大していくということは必須だと思っています。ぜひ、こうした公財政支出をグロスで拡充するといったことも、もっと訴えていただきたいと思います。
 加えて、これも52ページにあるのですけれども、高等教育の財務構造については、引き続き議論を重ねる必要がある、とまとめられておりますけれども、本まとめの段階においては、必要な予算措置も含めて、具体的にしっかりと記載いただきたいと思います。その点も重ねてお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 「おわりに」を金子委員に書いていただくといいと思って、おっしゃりたいことを全部おっしゃっていただきました。そのとおりですが、まだそこまで議論が行き着いていなくて、終わりのところはまだ書いておりません。公的資金投入に関しては、ぜひとも書きたいと本当に思っております。
 研究の話が出たのは大変うれしいわけですが、基本的に教育基本法どおり、大学は教育と研究とをもって社会貢献になっています。指導要領のない大学にとっては、基本的に、研究基盤の教育しかないのです。指導要領があるわけではありませんから、各大学課程ではこれを教えなさいというのはないわけです。その大学が教えることを教える。大学にオリジナルなことが多いわけです。ですから、そこのところを強化するのは、当然、教育を強化するのとイコールですから、それが今役に立たなくても投入しなければいけないということで、大変共感をいたします。
 それから、シラバスについて、一言申し上げると、シラバスはマストであり、全ての教員が本気を出して書かなければいけなくて、シラバスとオンラインがあれば、ほかは多分要らないと思います。つまり、シラバスがそこまで丁寧に書かれている大学がないというのが日本の欠点です。
 シラバスは何十ページにもわたって書くもので、そもそも教科書ではないのですが、物事の判定基準や、どのように自学自習をすればいいかも全部書かれていて、そこに沿って、その大学オリジナルな指導要領が書かれているものがシラバスなのです。ですから、必要ならばオンラインでもいけるので、それは雑用ではなくて、私から言わせれば、一人一冊ぐらいずつシラバス書いたらどうですかと言いたいぐらいなのです。少し余分でした。
 そのような意識はまだ日本にはないと思うのですが、それで差がつくのです。留学生を採るときの差というのは、そこに本当に真面目にどのような教育を行うかということをさらすわけですから、全然シラバスをさらせない大学に学生は来ないと思います。ですから、そこは本来の仕事になるのです。
 少し余分なことを申し上げました。このまとめにシラバスという単語が出てこなかったので、どのように書き加えようかと思いました。質の向上に入ると思います。ありがとうございました。
 後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】  ありがとうございます。大変難しいテーマにつきまして、特別部会での御検討ありがとうございます。
 これからさらに議論を進めていただくに当たりまして、そもそも論ではありますが、高等教育の在り方という観点から教育に関してお願いしたいことがあります。
 教育行政がなすべきことというのは、国の発展を支える人材の育成で、その達成のために高等教育の果たす役割と責任、先ほどからも出ておりますが、高等教育の質保証を示すことです。
 そもそも日本をどんな国にしたいのかというビジョンに沿った強いメッセージとして、高等教育の在り方を伝えるということが重要だと思います。少し関連してはいますが、今の高等教育、学力偏差値重視の日本の学校教育から脱却する契機とできればいいかなと思っています。
 初等中等から最終学歴としてのどの高等教育機関に入学するかということが目的になってしまっているという側面がございますが、自学自習も含めて、学びの質向上により学生の成長、どれだけ学生を伸ばすかということを目指す、そういう高等教育機関の変革が重要だと考えております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。基本中の基本です。
 多委員どうぞ。
【多委員】  ありがとうございます。
 まず、このたびは、詳細な中間まとめ(案)を作成いただきまして、誠にありがとうございます。感謝を申し上げます。
 その上で、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 まず、本文の29ページ、中間まとめ(案)の概要ですと2ページ目のところにあります。2の今後の高等教育の目指すべき姿の(3)重視すべき観点の⑧というところに、高等教育機関を取り巻く組織・環境との接続の強化という項目がございました。この中には、初等中等教育、社会、地域、この3つとの接続や連携が記されているわけでありますが、私は、加えて、日本語教育機関との接続や連携の強化も必要だと考えております。
 と申しますのは、御承知のとおり、教育未来創造会議の第二次提言では、留学生の受入れ及び卒業後の活躍に向けた環境整備が盛り込まれました。受入れに関しては、2033年までに40万人の留学生を受け入れることが目標として掲げられている中で、コロナ禍で落ち込んでいた日本語教育機関の留学生の数に目を向けますと、参考資料として御提示いただきました関係データの中の外国人留学生の数の推移を見ても分かるとおり、2023年の段階で9万人を超えておりまして、その数は、当該データを見る限り、過去最高の値を示しているわけであります。この留学生が今後高等教育機関に進学するということが十分に想定されます。
 その日本語教育機関におきましては、令和6年度から日本語教育機関認定法が施行されまして、今後、日本語教育機関における一層の教育の質保証、向上が見込まれます。
 また、卒業後の活躍に向けた環境整備という観点では、認定要件を満たした専門学校を卒業した留学生の就労について、外国人留学生キャリア形成促進プログラムが制度化されたことによりまして、今後、就労の幅が広がってまいります。
 こうした留学生に係る目標や法律の施行、環境整備などを踏まえまして、日本語教育機関と高等教育機関との接続の強化についても、重視すべき観点の⑧に加えるべきではないかと思った次第です。
 2点目は、これは書きぶりについてで大変恐縮なのですが、本文で言いますと49ページ、概要のほうで言いますと4ページ目のところに、4、機関別・設置者別の役割や連携の在り方の(1)機関別の役割というものがございますが、この中で専門学校について記述をしていただいております。
 この文章の後半のほうには、職業や実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図るというふうに記されているわけですが、これは学校教育法124条の中の専修学校、つまり、専門課程と高等課程と一般課程の全てを含んだ条文になります。
 今回の機関別につきましては、専修学校の専門課程である専門学校に特化されておりますので、その役割については、専門学校の教育内容や人材育成に即した記述をしていただければと考えております。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 日本語や日本事情の教育ということについては、基本的に私も全く同感なのですが、難しいのは、このことを高等教育の一環として行うかどうかという部分については、よほど考えて提供していかないといけないだろうと思います。つまり、大学では数Ⅲを教えないということと同じで、高校の課程のことは教えないので、日本語を教える場合に、高等教育機関にふさわしい教え方をしないといけません。日本語会話学校では駄目なわけで、そこが少し難しいと思いますが、ぜひともそのような部分は充実させなければいけないので、議論が必要なことだと思います。ありがとうございました。
 松下委員、どうぞ。
【松下委員】  ありがとうございます。
 今回の中間まとめ、本当に詳細なまとめを作成していただきまして、ありがとうございました。
 高等教育に関わる問題は、もうほとんどが網羅されているのではないかと思います。これまでに出てきた御意見にはほとんど賛同するものなのですけれども、まだ出てきていない点で、2点、意見を申し上げたいと思います。
 まず、国立大学法人化についてです。19ページのところで法人化の問題が取り上げられているのですけれども、今年は法人化されて20年ということで、この辺りできちんとした総括というのが行われるべきではないかと思います。
 朝日新聞等でも総長アンケートなどが取られていて、その中では、7割近い学長が法人化に対して否定的な評価を示したということが報道されています。それに対して、この19ページの記述というのは、法人化の結果、各大学において学長を中心とした機能的な運営が実現された、教育・学生支援の充実が図られたとの意見があるということで、割と肯定的な意見が、引用も示さないで書かれているということ、そして、その下には、しばらくの間、運営費交付金の減額が続いたことで、法人化の効果が減殺されているという、そういうふうなことも書かれています。ここはもう少し構造化して、何が問題であったのかということを書いていただきたいなと思います。
 引用されている資料を見ても、2010年の検証の文書ですよね。それが引用されているだけなのですね。多分、その上のところで、これまで法人化以降行われてきた様々な政策が列挙されていますので、その都度、法人化については何らかの検証がなされ、それにもとづいてこういうふうな政策が行われてきたのではないかと思うのですが、それについて、もちろん分量的な問題というのはあるかとは思うのですが、あまりに構造的な記述というのが不足しているように思います。
 例えば、先ほど金子委員が研究力の低下についておっしゃいましたけれども、この研究力の低下というのも、この法人化や運営費交付金の減額というのと関係があるかなと思います。そういうふうに多くの学長も回答しております。ですので、前半のところでかなり現在の高等教育の抱える問題点が列挙されているのですが、それがどういうふうな要因で生まれたのかということ、これはかなり複雑な事柄ですので、簡単には書きづらいとは思うのですけれども、19ページの法人化のところでも、そういったことについても言及していただければと思います。
 もう一点は、今回の中間まとめのキーワードの一つかと思うのですが、「知の総和」ということについてです。22ページのところで、この「知の総和」の定義がありまして、人の数と、それぞれの人の能力の掛け合わせということで書かれているのですね。これは今までも何回かこの分科会でも議論されてきたところかと思いますが、今日の様々な御意見を伺っていても、単に人の数と、その人の能力の掛け合わせというのでは、少し定義として不足しているのではないかなと思うのですね。
 というのが、私、以前も申し上げたかと思うのですが、人の数が減っているなかで、一人一人の能力を伸ばすということには限界もあるのではないかと思います。今日の様々な御意見を伺っていましても、また、この中間まとめの中のほかの箇所を見ましても、人と組織、そして、個々の人や組織の能力だけではなくて、その相互作用というか、例えば、産官学、地域連携という話がありましたけど、それは様々なセクターとか組織がどういうふうに相互作用することで、新たな価値を生み出していくかということだったと思うのですね。
 ですので、「知の総和」というときに、人の数と、それぞれの人の能力の掛け合わせという定義をできたらもう少し膨らませていただいて、例えば、人、組織の能力やその相互作用とかいったような文言を入れていただけると、今回のこの中間まとめで書かれている内容がかなり理念としてカバーされるのではないかなというふうに感じております。
 以上2点です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 最後のほうの「知の総和」なんですが、ここでシンプルに書いてあります。そのファクターの中には、当然ながら関数として書かれますから、コミュニケーションは入っているのです。それは質の向上の中に入っているわけですから、当然ながら、コミュニケーションから生まれるものというのは、新たなものを生み出すわけです。その根本的基盤となる関数をつくっているものというのが、それぞれの人の能力だし、人の数であるのは間違いないのです。ですから、質のほうにしっかりと書かないといけないということだと思います。つまり、それがもっとさらに可能性を生み出すということだと思います。
 それから、文科省でたしか国立大学が法人化して20年が経過したので何かやろうとしているそうです。
【伊藤高等教育局長】  すみません。国立大学に関して主に深掘りをするというのは、実は、中央教育審議会は国立大学だけではなくて、公立も私立も含めて、全体の高等教育について御議論いただく、処方箋を書いていただくというような場でございますので、特定の機関である国立大学だけという形については、これまでも別途の場を設けていろいろ議論を重ねてまいりましたので、今回も20年たったところでもございますので、私ども、これは改めて文科省内でまた検討している最中でございますけれども、国立大学というものに特化したような検討については、しっかり文科省としても行ってまいりたいと思いますが、それらも踏まえて、また中教審のほうにも適宜御報告もさせていただきながら、全体の審議を深めていただければありがたいと思っております。
【松下委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長】  YouTubeで流れているところで申し上げるのも何なのですが、法人化は、いい、悪い、両方の意見があるでしょう。それを、法人化と行政改革がリンクした形のアンケートと、別にしたアンケートの両方を取っているところはありません。
 要するに、行政改革によって運営費交付金が減ったのは法人化のせいであるという結論をもって考えていらっしゃる方がたくさんいると思うのです。ですから、アンケートを取るときに、そこを考えたアンケートを取らないといけません。これは根本的には違う問題なのです。そういった意味合いで正しいアンケートはまだ誰も取られていないと思いますので、今後、しっかりとアンケートなり何なり取っていただいて書き込んでいきたいです。アンケートが間に合うかどうか少し分かりませんが、とにかく法人化の総括はしなくてはいけないのでしょう。それは分かります。ありがとうございました。
 麻生委員、どうぞ。
【麻生委員】  ありがとうございます。
 私は、機関別・設置者別の役割の連携の在り方についてのみに絞って申し上げます。
 47ページ以降に機関別の役割と、設置者別の役割が分類して書かれております。
 機関別は、法令で定められているそれぞれの機関が並べてあり、個々の特色や役割等が書かれていて、それに対する課題も一部記載されています。
 ただ、設置者別に関しましては、単純に国立大学、公立大学、私立大学の3つだけしか記載されていないことを懸念しておりまして、例えば、大学の中には短期大学もあるし、専門職大学も入ってきますが、短期大学だけに絞って言いますと、設置者は国立ゼロです。公立が十数校、私立が300弱という、少しいびつな設置者構造になっておりますよね。
 特に私立の短期大学に関しましては、先ほど志賀委員がおっしゃったとおりですので、細かいことは申しませんが、自県内入学率、就職率が高いこと、女子学生が多いというのが短期大学の特色であります。もちろん専門職大学の特色もまた別に挙げればあると思いますが、そういったことがこの中には、設置者別の輪切りにしても、機関別の輪切りにしても見えてこないというところで、ここはうまくはまとめにくいところだと思います。特に、国公立については、学士課程のことしか書いてありません。
 これについては、もう少し細かく書くか、もしくは機関別のほうで、この中での私立のことなどを書いていただくことが、より分かりやすい役割分担につながっていくのではないかなと考えております。
 以上です。
【永田分科会長】  大変大切な御指摘で、どちらに書いたらいいか分かりませんが、短期大学のほうにきちんと書かないといけないかもしれなくて、その観点はこの文章では抜けていると思います。少しそこは考え直します。ありがとうございました。
 田中委員、どうぞ。
【田中委員】  よろしくお願いします。田中でございます。
 これまでの議論と少し重なるところがあるかもしれませんが、2点述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、プラットフォームの動かし方を強化するという点でございます。私どもは、地域活性化人材育成事業、SPARCの事業で、山口大学、本学、山口学芸大学というところで、国公私の3大学で連携法人をつくりました。それがつくれたもともとは、山口県にこの地域連携プラットフォームがもう10年近く前からあって、機能していたことでございます。
 しかし、長くあればあるほど、それがあったがゆえに、こうやって新しいグラントにも手を挙げることがちゅうちょなくできたのですけれども、やはり担当者も、本県では県が主導しておりますので、担当者が替わったりするというところで、なかなか戦略的に、あるいは、将来を見据えたパワーを持って進めるというところが少し弱いかなと思うところがあるのですね。
 先ほどの議論の中で、地域連携プラットフォームを動かすにはコーディネーターがということがあったと思うのですが、専門家、あるいは、よく分かるというところでリードしていただけるような方があることが、これからたくさんこういったプラットフォームをつくり動かすときに、やはり意味があるのではないかと考えるところが1点です。
 もう一点としては、高等教育の在り方というところに、29ページに関係するかもしれません、初等中等教育との接続の強化ということでございますが、本県は、御案内のように、中教審のこの報告書の中でも書かれているように、外部進学率が全県で最下位になりました。しかし、統計で見ていくと、山口県に残る、あるいは、域内に進学する人は割と高いのだというデータもあります。ということは、戦略として進学率を高めることが、やはり県内にとどめ、あるいは、高等教育への促しができるということで、進学率を高めるにはどうしたらいいかということで、小・中・高・大までを視野に入れて戦略を練らないといけないということになって、本学は附属高校を持つことの戦略を取りました。
 今いろんな準備をしているのですけども、しかし、附属高校を持つといえども、子供さんたちはいいかもしれませんが、その後ろには親御さんがあって、あるいは、地域の産業課題等々あって、なかなかそういった流れをつくるだけではうまくいかないところがあるのですね。そこで考えたのが、先ほどのプラットフォームの強化というところと関連するのですが、本県がつくっていますプラットフォームの中には、大学・産業界・金融関係があって、小・中系は入ってないのですね。専門学校、短期大学までということで、小・中・高・大の接続、あるいは、初等中等教育の接続強化という観点がありながらも、そういったところが入っていない。そこは少しやはり拡大・強化し、関係する省庁等々も違ってきますけれども、そこで一体的に高等教育の在り方、あるいは、人を育てるという観点で考えていくべきではないかと思いまして、意見を述べさせていただきます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。大変好事例だと思うので、参考にさせていただきますが、どんなに進学率を上げても、2040年は東京ですら定員割れをします。山梨大学は、たしか数千人を切っていくのではないかと思うのですが、とにかく、どんなに頑張っても日本中全部足らなくなります。それだけは意識しないといけないということです。
 すみません。数字間違えました、中村委員。
【中村委員】  多分、今5,000人なのですね。この二、三年は。これが2040年になると、3,500人ぐらいになるのですけど、進学率は上がるのですよ。進学率は高いので、6割5分とか7割まで上がっていっても、総人数は減っていくという。これ、多分どこも同じような感じになると思いますね。
【永田分科会長】  というわけで、すごくシリアスなのです。進学率を上げても東京も必ず定員割れとなります。流入も全部換算し直しても、とにかく減ってしまいます。この問題は本当に、地域からそれが現実化していくのですが、東京すら現実化しますので、何としてでも我々として、アクセスを保ちながら教育のレベルを維持しないといけないのです。ありがとうございました。
 日比谷委員、どうぞ。
【日比谷委員】  ありがとうございます。
 私、このところずっと参加できておりませんでしたので、議論に全くついていっていなかったのですが、気がついたら中間まとめが出てきたという感じで、お取りまとめ、ありがとうございました。
 先ほどもどなたかからお話がありましたが、40ページの情報公表の推進のところについてコメントしたいと思います。
 ここの一番下の具体的方策という四角の中に、比較分析が可能となる情報の可視化と書かれているのですが、これ、私も本当に大事なことだと思います。それぞればらばらにいろいろな形で公表されるのですけど、それを見比べても、専門家で分析の視点を持っている親御さんでしたら、子供にはここはこうだああだとか言えるかもしれませんが、もうどうなっているか分からないと。しかし、教育活動の状況を国内外の人に示す、先ほどから話題になっていますが、留学生にももっと来てもらわなければいけないとなると、留学生が見てもよく分かる、海外の人が見てもよく分かるという内容のものが必要です。
 特にそのときに重視すべきと思うのは、このセクションの最初で、教育研究の質の話が出てきていますが、その質が分かるような公表の仕方、特に、学修者本位の教育が行われているかを測る資料というのは、いろいろな項目はあると思いますが、それらがきちんと出ていて、そして、教学マネジメント指針についても注で書いてありますけれども、いろいろこういうものを公表しましょうという例を挙げたのですが、非常に効果的にそれが示されるように進んでいるかというと、残念ながらそうでもないかなという気もしますので、ここは非常に注意をしなければいけないし、この項目が立ったことは大変に喜ばしいことだと思います。
 本文のほうに大学ポートレートの課題などもちょっと書かれておりますが、これをやりましょうと言うと必ず出るのが、風評被害があるから公表できないという話なのですが、もうそれを断固断ち切るような書きぶりで、ぜひ最終まとめをつくっていただきたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  そのまま書きたいです。先ほどの橋本委員と同じようなのですが、日本はそのようなものをオリジナルに完備していなくて、なるほどと思いました。
 曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  ありがとうございます。私からは2点発言させていただきたいと思います。
 まず1点目は、少子化を意識したときの留学生の受入れに関してです。35ページのほうで、留学生のモビリティの促進ということが明記され、優秀な留学生を引きつける教育を確保するといったようなことがうたわれております。
 37ページには、その具体策として、外国語による授業の充実、あるいは、日本語教育の充実、さらに就職の促進といったような具体策も書き込んでいただいているわけですけれども。
 懸念の一つは、外国語による授業の充実というところで、これからその質を議論するためには、英語による科目の数が多くなった、そういう議論では間に合わないわけで、当然、そこでは教員の確保といったようなこと、特に海外から教員から呼べる国にならないといけないだろうと思います。留学生のモビリティが促進されるということは、同時に、教員・研究者のモビリティが促進されるということになりますし、それを実現しようとすると、当然、今度は雇用の問題としての、例えば、私立大学において海外から優秀な教員を確保しようとしたときに、その雇用の賃金であるとか、そういったようなかなり具体的な課題を抱えることになります。
 具体策はまたこれから考えるということだとは考えておりますけれども、その辺の方向性というか、課題意識のようなものも少し書き込んでいただければなと思いました。
 2点目は、公財政支出についてでございます。これは先ほど金子委員も指摘をされておられまして、永田分科会長もそれについての言及をなさっておられました。
 繰り返しになるかもしれませんが、例えば、私立大学の場合には、経常費補助金を頂戴して私大の経営というものが成り立っているわけですが、我々、公財政に関する要望書なども私立大学連盟等から出させていただいていますが、私立大学の経営を支援していただきたいということはもちろんでありますけれども、この段においては、やはり日本の高等教育全体の底上げ、発展というものを考えなければいけない時期にあろうと思います。これは世界との比較においてもですね。
 この中間まとめの中では、教育研究の質ということが強くうたわれておりますが、これを質を確保し向上するということにおいて、やはり公財政支出の在り方に関して、ぜひ、中教審からの発信ということが非常に大きな意味を持つと思いますので、その辺も御勘案いただければなと思いました。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 外国人が増えていくことに関わるところというのは、おっしゃったように、教員のことについてはまだ書いておりませんが、今後もっと詰めていくことになりますし、我が国として、留学してきた人が就職もするというのであれば、生活環境そのものを一部フィッティングさせていかなければいけないということもあると思います。
 それから、最後におっしゃいました公財政支出については、あまり使わない言葉なのですが、教育というのは、本当の意味で投資なのだと思うのです。それを前面に出して書かないとやはりもういけないのではないか。あまり言いたくない予算もたくさん国にはあるわけで、本当の意味での投資というのは、教育なのだと思います。研究も、目先のものもありますが、遠くのものもありますが、遠くのものは、人が育たないとどうせできないので、その意味で、強く書き込みたいなと思っております。ありがとうございました。
【曄道委員】  お願いします。
【永田分科会長】  小林委員、どうぞ。
【小林(弘)委員】  今、曄道委員が私の質問の前半の部分を全部聞かれたので、それで結構だと思います。
 1つ、最後のほうに、企業をはじめとした民間からの寄附金という項目があるのですけれども、これについても、やはりもう少し社会が学生を育てるのだという観点から、強く要望していただければと思います。
 それから、もう一つの点は、先ほどの43ページ、結局、少子化に向けて、大学は統廃合というか、そうせざるを得ないというのは、もう誰が見ても明らかだと思うのですけれど、この中で、アウトリーチ型支援というふうにさらっと書かれているのですけれども、一体誰がやるのかとか、あと、地域ごとに支援の仕方が違うと思うのですね。それから、国立、公立、私立、それも合わせた形での規模の適正化を図るということを、もうちょっとトーンを強くして欲しいと思います。連携という言葉で書かれているのですけれども、その辺もきちんと書いていただければと思います。
 国立はそんなに定員は増えていないと思うのですけど、公立は、数も増えて、さらに、公立の専門学校が随分増えているのですね。このために、民間の私立大学がかなり経営的にも圧迫を受けていますので、国公私立全体でその地域で適正化というのを考える場が必要かと思いますので、ぜひその辺の書きぶりもよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。具体的な内容のときに詰めていきたいと思います。
 この連携・統合の中で誰も語らないのですが、設置者を超えた連携・融合の形というのは一体どうやってつくっていくのかというのは、実は、全然法的には整備されていないし、大きな穴なのです。おっしゃったように、もう少し大きな議論をきちんとして、法整備もするものにしないといけないとは思います。 濱中委員、どうぞ。
【濱中委員】  濱中でございます。よろしくお願いします。
 今回、急速な少子化という文脈の中で議論していることを踏まえますと、社会人学生というのはかなり重要なキーワードになっているのではないかというふうに理解をしております。その社会人学生については、34ページから38ページに書かれておりまして、制度の活用の促進だったりとか、教員へのインセンティブ、教育環境、また、社会人が実際学ぶことができるようになる支援の充実といったようなことが書かれていて、いずれも大事な観点だと思ってはいるのですけれども、現場で授業を担当しています一教員として、また、私大連のほうで村田先生が分科会長でいらっしゃったのですけれども、そこのリカレント教育推進分科会で次第連に加盟している各大学の実態を調査・分析した経験から申し上げますと、社会人リカレント教育だったりとか、社会人学生が戻ってくるというような、そういったことが本格化しない大きな要因の一つは、やっぱり資源といいますか、要は、大学側にちょっとその余裕がないというところにあるのではないかというふうに理解をしております。
 つまり、今の社会人が少ない状況での教育で、この状況ですら既に余裕がない教員たちが多くいる中で、さらにこれまで経験したことがない社会人を対象に、その社会人にとって有益になる授業に新たにつくって取り組むというのは、かなり大きな仕事になるはずなのです。
 研究時間の劣化がもう既に言われていることに表れていますように、大学教員の時間的余裕についてはかなり厳しい状況にあると考えられるわけで、そうした中で、社会人教育を充実させていくためには、一つに、学部教育を、充実ももちろん大事なのですけれども、ある程度やっぱり整理をして、余裕を生み出すというようなこともちょっと大事なのではないかということと、もう一つは、追加の資源を投入するということ、制度やインセンティブの次元を超えたものも大事になってくるのではないかなというふうに考えております。
 社会人学生の拡充につきましては、これまでも取り上げられてきたことと思いますけれども、なかなか状況が変わらない理由が一体何なのかということ、ちょっと踏み込んだ認識に基づいた施策がもう必要なのではないかなというふうに考えております。
 後者の資源の話なのですけれども、中間まとめ以降、本格的に検討が始まるというふうに理解しておりますけれども、少子化、そして社会人、また、先ほどもちょっと話題に出ました留学生だったりとか、障害のある学生についても、同様の、どういうふうに余裕を生み出していくのかという切り口が設定できるように思うのですけれども、こうした観点からの学部教育の見直し、また、資源の議論が必要なのではないかなということをちょっと意見として申し上げたくて、手を挙げました。
 よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。本当に社会人、全然増えないので、これは何とかしないといけないです。
 髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】  ありがとうございます。2点ほど申し上げたいと思います。
 1点は、もう既に金子委員、永田分科会長、それから、曄道委員からもありましたように、財政支出が不可欠であるということを中教審からおっしゃられる、今回は非常に重要な機会、いい機会になると思いますので、それが御意見としても多数出たのは大変よかったのではないかと思います。
 先日の報告にありましたように、OECD38か国中37番目という高等教育への財政支出は、このままにしていては、ほかのいろいろなところがどんなに頑張っても、なかなか日本が浮き上がる可能性を極めて低めてしまうと思いますので、この際、はっきりとその話ができたらよろしいのではないかと思います。
 それから、そのバックグラウンドとして、どうも高等教育というのは、その個人に支出の寄与が戻ってくるという考え方がかなり日本には大きいようで、先ほど分科会長がおっしゃっておりましたように、そうではなくて、国としてのその支出は、国全体に返ってくる非常に有益なものを、大学進学者個人ではなくて、社会が共有しているということについて、もっともっと言っていかなければいけないと思った次第でございます。それが1点目でありました。
 もう一つは、今回、大変進んだいろいろなおまとめ、ありがたいことに非常に細かくいっていただいたのですけれども、そのうち、縮小のスキームをどうしていくのかが、まだこれから詰めていかなければいけない課題になっていると思います。
 その際に、急速な人口減少という背景も十分に踏まえられていたわけで、さて、考えていくほうと実際の縮小スピードというのが間に合って、対応のほうが先行できるのだろうかというところが、今重要な課題として残されている気がしました。これをもっと危機感を持つために、少し踏み込んだ、このままであった場合のシミュレーションなどをつくって、あるいはお伺いできると、もっと危機的な状況が多くの方々に共有していただけて、さらに危機的対応としてのスキームづくりが一層進行するのかなとも思いました。
 以上、意見として申し上げました。ありがとうございました。
【永田分科会長】  大変ありがとうございます。ちょうど欠けていたところが少しありました。
 お手が挙がっているのは須賀委員で最後です。ちょうど予定していた時間ですが、須賀委員の御意見をお伺いしたいと思います。
【須賀委員】  ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。
 一つは、高等教育全体の規模の適正化というところで、幾つか御意見は出ていましたけれども、どちらかというと、中教審の場合には、内部質保証のほうにメインの力点が置かれていて、その後、連携というような形が出てまいりましたけれども、そのようなスピード感で本当にこの少子化に対応できるのかというと、なかなか難しいような気がしております。
 例えば、設置審のほうでは、相当に基準を厳しく、財務基準やリスクシナリオ等で設置の認可がかなり厳しく審査されるようになったとはいえ、ある基準を満たせば設置ができるということです。これから先も、相変わらず今までと同じように新しく大学が設置されるという中で、どのような規模で再編・統合を進めていかなければいけないのか。相当にスピードアップしていかないと、日本の教育そのものが危なくなってしまうのではないかというような感じがいたします。
 そのときに、10年後、20年後の日本の教育を見据えて、最適な規模の議論をもう少しきちんとやっておく必要があるのではないか。今のように、設置の話と我々が今までやってきたような議論とがあまりうまく連動されていない状況では、問題の解決というところに行き着かないのではないかという心配があります。ぜひとも、その辺りを前面に押し出したような議論、方針を中教審のほうから出していただくことが必要ではないかというふうに思っております。これが1点目です。
 もう一点は、中等教育との接続といったような部分でございます。先ほど初等・中等・高等教育を接続するために附属校の設置を考えましたというお話が山口県立大学の先生からございましたけれども、高校までの教育と大学からの教育というものを、大学入試が、どちらかというと、ある意味隔ててしまっていて、入試によって高校の教育がゆがめられてしまっているという現状があるのだろうと思います。
 今の高校の教育のままで、大学に入ってから文理融合、文理連携といったようなことがスムーズにできるかというと、それはほとんど不可能だろうと思います。むしろ中等教育、あるいは、高校での教育をしっかりやって、その基礎を持っていると大学に入ってからの文理融合の教育はもっとスムーズに進むのだということになりますと、その辺の連携をうまく進めていくために、大学の入試改革も含めて議論をしていただく必要があるのではないか。
 その際に、恐らく私立大学に、例えば、今とは全く違ったようなタイプの入試を要求するというのは難しいだろうと思いますので、大学入学共通テストのようなものを積極的に利用させていただけるような、そんな仕組みを考えていくのも一つの重要な柱ではないだろうかと思っております。
 ということで、高大接続を考えるということも対象として、ぜひともここで、大学入試も含めて議論していただければありがたいというふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 そうです。もう少し具体的方策の中に、その文理融合のところを推進しますでは駄目で、このようなことも含めてやっていきますということを書きながらやらないといけないというようなこと。
 本日はここまでにさせていただきます。
 今日御発言できなかった方で、まだどうしてもという方は、事務局のほうに御意見を届けていただければと思います。
 特別部会の委員はほとんど御発言されなかったので、多分同じ感想だと思います。特別部会でより厳しい意見が多かったと思います。要するに、具体的な道筋を具体的に示せというような意見がありました。我々が何となく遠慮していた部分にもっと踏み込めといったような意見が結構あったと思いますので、その方向に少し修正をさせていただいて、中間まとめとして、その後、さらに深掘りした内容に変えたいと思います。
 途中聞いていて、やはりもっと突っ込んだ話合いをすべきだと思っているのです。誰も思っていないわけではないのですが、ここまで皆さんが実感を持って、人がいなくなるということを実感されているということが、今日はひしひしと伝わってきました。本当の意味でフィジーブルであって、しかし、それでも頑張らなければできないフィージビリティを持ったものをきちんと出さないといけないという気になりました。ありがとうございました。
 それで、お願いなのですが、特別部会は、次いつ開催予定でしょうか。
【髙見高等教育政策室長】  特別部会、次は9月です。
【永田分科会長】  その手前に出すのでしょうか。
【髙見高等教育政策室長】  はい。
【永田分科会長】  9月まで次の特別部会はないということで、今日の御意見をいただいたものを極力入れて、それから、もう一つは、仮に今すぐ入れられなくても、お約束としては、必ず中間取りまとめの後、議論をさせていただきますし、具体的な方策として入れていくという覚悟を持ちます。時期的には、秋の陣に入る前に、秋の陣というのは、私の頭の中で勝手にこの内容が通りの向こうにも影響するだろうと思って、秋の陣、つまり、お金のことなのですが、ある一定のまとめを早々に出さないといけないこともありまして、今申し上げた日程の中で、8月にはこの中間まとめとして出したいと思っております。
 皆様からいただいた意見を取りまとめて、一任とさせていただきたいのですが、よろしいでしょうかということです。いただいた意見を無視することはなく、中間まとめは中間まとめなので、その後にもう一度議論をするし、書き込み方も工夫をさせていただきますが、今日いただいたものをできる限りそしゃくした形で中間まとめとしてまとめたいと思います。
 御一任をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは、そうさせていただきまして、夏休みですが、頑張って書いてまとめたいと思います。ありがとうございました。
 幾つかの案件がありまして、先へ進ませていただきます。
 レジュメの(5)今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議についてということで、小林室長、2~3分で御説明いただければと思います。
【小林計画課整備計画室長】  それでは、資料5を御覧ください。
 こちらの協力者会議でございますけれども、国立大学法人の施設整備については、5か年計画というものがございまして、文部科学大臣決定がございます。現在の計画は令和3~7年度となっておりまして、こちらの資料の設置目的というところを御覧いただきたいと思いますが、現在の計画、令和7年度までということでございますので、次期計画の策定に向けまして、大学の関係者や高等教育の有識者、また、知事会や経済団体などの関係団体の代表者を構成員とします協力者会議を設置しまして、これを5月から開催しております。こちらについては、こちらの大学分科会の議論もよく参照しながら考えていきたいと思っております。
 全体のスケジュールが一番下にございますけれども、現在の計画が7年度まででございますので、来年の7年度の中間までにかけまして御議論いただいて、令和7年度の最後のほうで次の計画の大臣決定をいただきたいと思っております。
 続きまして、2ページ目を御覧いただきたいと思います。
 こちらの協力者会議の次期計画に向けた論点でございまして、簡単に書いておりますけれども、次期計画策定に向けた論点としては、現在、共創拠点化ということで、国立大学法人の施設整備を進めさせていただいておりますが、更なる推進ということで、こちらは実際に実装化をするということで大きな論点となってくると思っておりまして、それ以外には、予算の拡大に関しての財源の多様化であったり、資産マネジメント、また、附属病院の機能強化などが考えられると思っております。
 特に、共創拠点の実装化ということにつきましては、こちらの資料の2つ目の丸の3つのポツがございますが、将来の社会変革、こちらはもう人口減少、少子化といった社会変革が想像されますけれども、そうした社会変革を見据えた共創拠点の整備ということで、地方公共団体との連携など、そうしたところが論点になってくるものと思っております。
 それ以外に、研究開発のニーズに機動的に取り組む共創拠点であったり、また、防災という観点での共創拠点も論点になってくるものと考えております。
 こちらを今後議論を進めて、来年度の計画策定に向けて進んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  御協力ありがとうございます。
 これは審議ではなくて、御報告まででございます。
 続きまして、全国学生調査について、髙見室長、お願いします。
【髙見高等教育政策室長】  お手元の資料6を御覧ください。
 文部科学省では、2018年に出されたグランドデザイン答申を踏まえまして、国として、全国共通の質問項目によって、学生目線から大学教育や学びの実態を把握するための調査を実施することとし、令和7年度以降の本格実施に向けて、2ページ目にあるとおりですけれども、これまで3回の試行実施を重ねてきております。
 本年秋には第4回目の試行実施を行うことを予定しておりまして、別途設けられた有識者会議におきまして、その枠組みについて御議論いただいてきました。
 本日は、その第3回試行調査からの主な改善点について御報告いたします。資料6の3ページ目を御覧いただければと思います。
 前回調査からの主な改善点といたしまして、参加校数の増加、あるいは、回答率の向上に向けて、従来の文部科学省が実施するインターネット調査に加えて、参加大学が独自に実施する学生調査に本調査の質問項目を設定することができるようにすることとしました。
 また、質問数を48問から33問に精査するとともに、本格実施においては、当面内容を変更しない、こういったことも決めたところでございます。
 さらに、調査結果の活用促進に向けてということで、5ページ目にありますような各質問項目の上位校のリスト、いわゆるポジティブリストを掲げるとともに、上位校の教育方法やグッドプラクティスの事例公表すること、さらには、6ページ目以降にあるように、教学IRの活用に使えるようなひな形を提供し、教育改善への活用を促すこととしております。
 私からの報告は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 大切です。何で全部の大学が賛同しないのかよく分かりません。ここで出てくるのが我々の成果です。学生さんが何を学び、どう学び、どう育てたかがわかる調査なので、これこそ全部の大学が参加しないといけないことだと思います。それでも、かなりの大学数は入ったということで、価値があるでしょう。
 最後に、博士人材活躍プランについて、髙見室長、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】  お手元の資料7-1と7-2を御覧ください。
 文部科学省では、昨年の11月から、盛山文部科学大臣の下で、博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォースを開催しまして、産業界や大学関係者、また、博士課程学生の方とも議論を重ね、本年3月26日に「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を取りまとめたところでございます。
 本日はもう時間の都合もございますので、資料7-1を簡単に説明いたします。
 意義・目的から解決すべき現状・課題、あるいは、具体的な取組、さらに、隗より始めよということで、文部科学省の人事採用・処遇、こういったことも含めて、指標とともに具体的なプランとして提示するとともに、表面左側でございますが、産業界へのお願いということで、1,300の経済団体・業界団体長に向けて、ここの1から7に書いているような内容、社会でもしっかり博士人材の活躍に向けた取組を進めていただきたいということで、依頼文書を発出するとともに、経済団体等との意見交換も進めているところでございます。
 私からの報告は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 最後の資料は、具体的に見ると驚異的な数字が書いてありまして、「知の総和」としては増える方向になるはずであります。
 博士課程を3倍にするというのは、自分の大学で考えてみれば分かりますが、そんな簡単に3倍になるかということです。ところが、そう書いてあります。
 多くの方は経験されていると思いますが、学士課程、修士、博士の学生にプレゼンをさせたときに、明らかにやっぱり違います。修士は修士なりに、学士課程よりもできるようになっていますし、博士はもっとできるようなっています。
 マスで「知の総和」を上げる一つの方策として、出されているのだと思うのです。ですから、何か特殊なことをやっているわけではなくて、今まであるようなものを活用しながら、修士・博士へ行くこと、特に文系の方はぜひとも修士まで上がっていただきたいし、理系の方は博士へ上がっていただきたいです。それを実現すると、全体の「知の総和」は増えます。当たり前です。明らかに、現場で我々が教えていれば、学士課程の学生さんと大学院の学生さんは全然違うので、それだけの進歩、学修をしているということだと思うのです。
 盛山大臣も応援していますから、「知の総和」向上を目指して頑張りたいと思います。
 本日の議題は、以上でございまして、今後の予定等を含めまして、事務局から御案内ください。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日も活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の大学分科会及び高等教育の在り方に関する特別部会につきましては、日程、実施方法等、改めて御連絡させていただきます。
 本日、時間の都合で御発言できなかった内容がございましたら、7月22日月曜日をめどに事務局まで御連絡ください。
 以上でございます。
【永田分科会長】  御協力ありがとうございました。
 それでは、中間まとめをつくって、その後のまとめに向けて、また皆さん御協力いただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
 
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(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)